(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、遊技者は、遊技機を選ぶ際、少し遊技して気に入らなければ他の遊技機に移動するという動作を気に入った遊技機が見つかるまで繰り返すことが多々あり、この段階で面倒なので会員カードを挿入せずに遊技することがある。また、単純に会員カードを挿入し忘れたまま遊技することもある。このような状況で大当たり状態が発生した場合にもその大当たり状態発生中に会員カードが挿入されればカウントするように設計するのが好ましい。
しかしながら、このように設計すると、1回の大当たり状態中に会員カードを何度も抜き差しすることで大当たり発生回数を実際の回数よりも多くカウントさせる不正が横行しうる。特にイベント開催中にこのような不正が行われると、イベント終了後に高ランクの遊技者に提供される特典の公平性が失われてしまう。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、遊技機で特別状態の発生中に記録媒体が抜き差しされる不正を防止することが可能な遊技場用システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の遊技場用システムは、遊技者を特定可能な遊技者特定情報を記録した記録媒体と、遊技者にとって有利な特別状態を発生すると共に当該特別状態発生中に継続して特別信号を出力する遊技機に対応して設けられ、前記記録媒体を受付可能な記録媒体受付手段と、遊技者による所定の排出操作がされた場合に前記記録媒体受付手段が受付けた記録媒体を排出する記録媒体排出手段と、前記記録媒体受付手段が前記記録媒体を受付けてから前記記録媒体排出手段が前記記録媒体を排出するまでに前記遊技機から入力した前記特別信号の回数を前記特別状態の発生回数として計数する発生回数計数手段と、前記発生回数計数手段が計数した前記特別状態の発生回数を表示部に表示する表示制御手段と、を備え、前記発生回数計数手段は、
前記記録媒体受付手段が記録媒体を受付けている状態において前記特別信号の入力が開始された場合、及び前記特別信号の入力中に前記記録媒体排出手段が前記記録媒体を排出することなく前記記録媒体受付手段が前記記録媒体を受付けた場合には前記特別状態の発生回数を加算する一方、前記特別信号の入力中に前記記録媒体排出手段が前記記録媒体を排出して、その後当該特別信号の入力中に前記記録媒体受付手段が前記記録媒体を受付けた場合には前記特別状態の発生回数を加算しないものである(請求項1)。
【0006】
請求項1記載の遊技場用システムにおいて、
所定のイベント期間を設定するイベント期間設定手段を備え、
前記発生回数計数手段は、前記イベント期間内であって、且つ前記記録媒体受付手段が前記記録媒体を受付けてから前記記録媒体排出手段が前記記録媒体を排出するまでの期間内における前記特別状態の発生回数を計数するようにしてもよい(請求項2)。
請求項1又は2記載の遊技場用システムにおいて、
前記表示制御手段は、機種毎に前記特別状態の発生回数のランキングデータを前記表示部に表示するようにしてもよい(請求項3)。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、特別信号の入力中に記録媒体を排出して、その後特別信号の入力中に記録媒体を受付けた場合には特別状態の発生回数を加算しないようにしたので、特別信号入力中に特別状態の発生回数を実際の回数よりも多く計数させる不正を防止できる。
請求項2の発明によれば、イベント期間中の特別状態発生回数を計数して表示するので、イベント期間中の遊技意欲を高めながら不正を防止できる。
請求項3の発明によれば、特別状態の発生回数がランキング表示されるので、遊技者の競争心を高め、遊技の興趣を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は遊技者管理システムの全体構成を示す概略図である。遊技場には遊技機1に対応して貸出装置2(記録媒体受付手段、記録媒体排出手段、発生回数計数手段、表示制御手段に相当)が設置され、管理室には管理装置3(イベント期間設定手段に相当)が設置されている。中継装置4は、2台の遊技機1、2台の貸出装置2及び管理装置3とLAN5を介して接続されている。管理装置3は、遊技機側(遊技機1、貸出装置2等)から送信される遊技信号を中継装置4を介して受信することにより遊技機1毎の遊技情報を管理する。
【0010】
管理対象となる遊技機1は、発射装置を構成する操作ハンドル6に対する操作により盤面7に発射した玉(遊技媒体)が始動口8に入賞(始動入賞)するのに応じて大当たり抽選を行い、抽選結果を表示部9において行う図柄変動にて報知し、その変動結果に応じて大当たりとなる。大当たりが発生すると15ラウンド(R)分だけ大入賞口10を開放する。入賞により遊技機1から払出された玉は上部受皿11にて受けられ、この上部受皿11が満杯状態となって溢れた玉は下部受皿12で受けられる。尚、1Rの上限入賞数は10個で、上限開放時間は30秒であり、上限入賞数又は上限開放時間のいずれかが満たされた場合に1Rを終了する。
【0011】
遊技機1のスペックは次の通りである。
・普図当選確率 通常状態:1/100、時短状態:99/100
・電チュー開放時間 通常状態:0.2秒、時短状態:1.5秒×3回
・普図変動時間:通常状態:30秒 時短状態:1秒
・特図当選確率 通常状態:1/400、確変状態:1/50
・確変大当たりの割合 40%
・大当たり中動作 15ラウンド、各ラウンド10個入賞可能、1入賞当たり14個払出
・奇数のゾロ目で大当たりに当選すると、その大当たり終了後は確変状態(時短状態)となる。
・確変状態(時短状態)は大当たり状態終了後100回又は通常大当たりの当選で終了する。
・大当たり抽選で当選すると大当たり状態(特別状態に相当)を発生し、発生中は大当たり信号(特別信号に相当)を中継装置4に出力し続ける。
【0012】
遊技機側からは、次の遊技信号が出力される。
・アウト信号=使用玉(使用媒体)を回収するアウトBOXから出力される使用玉数(アウト、使用遊技媒体)を特定可能な信号。回収(使用、打込)玉10玉に対して1パルスが出力されるので、「アウト信号数×10」をアウトとして特定する。尚、遊技機1から出力される信号であっても良い。
・セーフ信号=遊技機1から出力される払出玉数(セーフ、付与遊技媒体)を特定可能な信号。遊技機1での遊技(入賞)に応じた払出10玉に対して1パルスが出力されるので、「セーフ信号数×10」をセーフとして特定する。尚、補給装置から出力される補給信号をセーフ信号としても良い。
・スタート信号=遊技機1から出力される図柄変動数(役物作動数、スタート)を特定可能な信号。始動口8への入賞により変動(作動)する表示部9における図柄変動(役物作動、スタート処理)1回につき1パルスが出力されるので、「スタート信号数×1」をスタートとして特定する。尚、始動口8への入賞に応じて出力される始動入賞信号をスタート信号としても良い。
【0013】
・大当たり信号=遊技機1から出力される大当たり状態を特定可能な信号。大当たり中にレベル出力される状態信号なので、大当たり信号受信中を大当たり中として特定する。
・売上信号=貸出装置2から出力される売上情報(売上玉数、売上額)を特定可能な信号。遊技者に対する有価価値を対価とした貸出玉25玉毎に1パルスが出力されるので、「売上信号数×25」を売上玉数として特定し、売上玉数×貸単価を売上額として特定する。
・再プレイ信号=貸出装置2から出力される再プレイ玉(再遊技媒体)数を特定可能な信号。遊技者に対する貯玉を対価とした再プレイ玉25玉毎に1パルスが出力されるので、「再プレイ信号数×25」を再プレイ玉数として特定する。
【0014】
貸出装置2は、硬貨投入口13、タッチパネル式の表示部14、貯玉を払出すための払戻ボタン15、玉を遊技機1に払出すための払出ノズル16、会員カード(記録媒体に相当)が挿入されるカード挿入口17、このカード挿入口17に挿入された会員カードを排出するための排出ボタン18を備えている。会員カードには会員を特定するための会員カードID(遊技者特定情報に相当)が記録されている。
【0015】
貸出装置2はマイクロコンピュータからなる図示しない制御部(CPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ)を有しており、次のように動作する。
(1)遊技機側からの各種遊技信号に基づいて遊技者毎の遊技情報を作成する。この遊技情報は、カード挿入口17に挿入された会員カードから読取った会員カードIDと遊技情報とを対応付けることで行われる。
(2)会員カードの挿入状態でタッチパネル式の表示部14に対する操作により暗証番号の入力を条件として管理装置3に記憶されている貯玉を持玉とし、払戻ボタン15に対する操作に応じて1単位に相当する数の玉を払出ノズル16から払出す。
(3)管理装置3でイベントが設定(期間、対象機種、特典付与条件、特典などの設定)されると、中継装置4を介して管理装置3からイベント期間情報を入力する。
(4)中継装置4を介して大当たり信号を入力し、イベント期間内で且つ会員カード受付中であれば、大当たり信号の入力回数を大当たり回数として計数する。また、大当たり信号入力中に会員カードが挿入されても大当たり回数を加算するが、大当たり信号入力中に排出ボタン18に対する排出操作に応じて会員カードを排出する場合にはその旨を記憶し、その大当たり信号入力中に再度会員カードが挿入された場合には大当たり回数を加算しない。
(5)計数した大当たり回数を個人データとしてタッチパネル式の表示部14に表示する。また、表示部14に対するタッチ操作により表示された「イベント途中経過」画面で機種毎にランキング表示する。
(6)特典付与条件が設定されていれば、イベント終了後該当者に特典を付与する。特典は商品(コンテンツ含む)でもサービスでも良い。
【0016】
次に、上記構成の作用について説明する。
貸出装置2は、会員カードの挿入状態では対応する遊技機1から入力する大当たり信号に基づいてイベント期間中における会員の大当たり回数を計数して表示部14に表示する。
図4は、貸出装置2による大当たり回数計数処理を示すフローチャートである。貸出装置2は、イベントが設定されたか(S1)、会員カードを受付けたか(S3)、会員カード受付中か(S9)、排出ボタン18が押下げられたか(S14)、大当たり信号の入力が終了したか(S18)を判定している。
遊技場がイベントを開催する場合は、管理者は、管理装置3に対してイベント情報(対象機種、期間、時間等)を設定する。管理装置3はイベント情報が設定されたときは対象機種に対応する貸出装置2にイベント情報を送信することで設定する。貸出装置2は、管理装置3によりイベント情報が設定された場合は(S1:YES)、イベント情報を設定する(S2)。
【0017】
遊技者が貸出装置2に会員カードを挿入すると、貸出装置2は、会員カードを受付け(S3:YES)、イベント期間内かを判定する(S4)。イベント期間内でない場合は(S4:NO)、ステップS14に移行する。会員カードが挿入されることにより会員カード受付中となるが(S9:YES)、イベント期間内でないことから(S10:NO)、上記判定を繰返すようになる。つまり、イベント期間内でない場合は、会員カードを受付けるにしても何も実行することはない。
一方、貸出装置2は、会員カードを受付けた場合に(S3:YES)、イベント期間内であったときは(S4:YES)、大当たり信号入力中かを判定する(S5)。遊技者が会員カードを挿入してから遊技した場合は大当たり信号の入力中でないことから(S5:NO)、ステップS14に移行する。
【0018】
遊技機1で大当たりが発生すると、遊技機1から大当たり信号が出力されるので、会員カード受付中におけるイベント期間内であったときは(S9:YES、S10:YES)、大当たり信号の入力が開始したと判定し(S11:YES)、大当たり回数に1を加算してから(S12)、個人データ表示の大当たり回数を更新する(S13)。
図2は、貸出装置2の表示部14に表示された「個人データ」画面を示している。「個人データ」画面には、メッセージ14a、大当たり履歴データ14b、「戻る」ボタン14cが表示されている。大当たり履歴データ14bには、大当たり回数に対応して、時刻、通常大当たり/確変大当たり、大当たり間スタート回数が表示されている。従って、遊技者は、イベント期間における自分の大当たり履歴を確認することで特典が付与されることを期待して遊技すると共に遊技機1の良し悪しを判断することができる。
【0019】
遊技機1で発生した大当たりが終了すると、大当たり信号の出力が停止するので、貸出装置2は、大当たり信号の入力が終了したと判定し(S18:YES)、計数済みフラグを0とする(S19)。この場合、計数済みフラグは元々0であることから、0の状態が維持されることになる。
遊技者が台移動或いは遊技を終了するために排出ボタン18を押下げると、貸出装置2は、排出ボタン18が押下げられたと判定し(S14:YES)、大当たり信号の入力中かを判定する(S15)。遊技終了時は大当たり信号の入力中でないことから(S18:NO)、会員カードを排出する(S19)。
以上のようにして、会員の遊技者は、イベント期間中における大当たり回数を正しく更新してランキングに参加することができる。
【0020】
一方、遊技者の中には、イベント期間中に大当たり状態が発生してから、自分の大当たり回数を更新するために会員カードを貸出装置2に挿入する者がいる。このような場合、貸出装置2は、会員カードを受付けた場合に(S3:YES)、大当たり信号の入力中であることから(S5:YES)、計数済みフラグが0であるかを判定する(S6)。この場合、計数済みフラグは0であることから(S6:YES)、大当たり回数を1加算してから(S7)、個人データ表示の大当たり回数を更新する(S8)。
以上のようにして、遊技者が大当たりの発生状態で会員カードを挿入した場合であっても、イベント期間中の大当たり回数を正しく表示することができる。
【0021】
ところで、遊技者の中には、イベント期間中に大当たり状態で貸出装置2から会員カードを排出して再び挿入(抜き差し)することを繰返すことにより自分の大当たり回数を不正に高めようとする者がいる。このような不正を行うために遊技者が大当たり状態で排出ボタン18が押下げると、貸出装置2は、排出ボタン18が押下げられた場合に(S14:YES)、大当たり信号の入力中であることから(S15:YES)、計数済みフラグに1をセットしてから(S16)、会員カードを排出する(S17)。
【0022】
遊技者が、上述のようにして大当たり状態で排出された会員カードを貸出装置2に再び挿入すると、貸出装置2は、会員カードを受付けた場合に(S3:YES)、大当たり信号の入力中であることから(S5:YES)、計数済みフラグが0かを確認する(S6)。この場合、大当たり状態で会員カードを排出したことにより計数済みフラグは1となっているので(S6:NO)、大当たり回数を1加算することなく、ステップS14に移行する。そして、大当たり信号の入力が終了したところで(S18:YES)、計数済みフラグを0にセットして(S19)、リターンする。
以上のようにして、イベント期間中に大当たり状態中で遊技者が会員カードを抜き差しするにしても大当たり回数が加算されてしまうことを防止できる。
遊技者がイベント中のランキングを確認したい場合は、図示しないメニュー画面においてイベント途中経過の表示操作を行う。貸出装置2は、表示部14に「イベント途中経過」画面を表示する。
図3は「イベント途中経過」画面を示している。「イベント途中経過」画面には、イベント途中経過であることとイベント終了までの残り時間を報知するメッセージ14a、ランキングデータ14d、「戻る」ボタン14cが表示されている。ランキングデータ14dには、イベント対象機種と、ランク1〜3位に対応する遊技機番号及び大当たり回数とが表示されている。従って、遊技者は、イベントの途中経過における大当たり回数のランキングを確認することができるので、競争心を高めるようになる。
【0023】
このような実施形態によれば、次のような効果を奏することができる。
貸出装置2は、イベント期間中に1回の大当たり状態中に遊技者が複数回カード挿入口17に会員カードを抜き差しするにしても大当たり回数を1回しかカウントしないので、イベント期間中に大当たり信号入力中に大当たり状態の発生回数を実際の回数よりも多く計数させる不正を防止できる。
イベント期間中の大当たり回数を計数してランキング表示するので、イベント期間中の遊技者の競争心を高め、遊技の興趣を高めることができる。
【0024】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、次のように変形または拡張できる。
大当たり発生回数を計数した大当たり状態であること(計数済みフラグ=1)を貸出装置2が記憶するようにしたが、会員カードに記録しても良い。この場合、貸出装置2に会員カードが挿入されたときに大当たり状態であれば加算しないようにする。
大当たり状態の発生時刻が前回の大当たり状態発生から設定時間以内であれば大当たり発生回数を加算しないようにしても良い。
遊技機はスロットマシンでも良い。