【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 四国化成工業株式会社、四国化成工業株式会社製品パンフレット「アルミシステム塀 アートウォール」、発行日2012年4月1日 「物件名」四国化成工業株式会社製品パンフレット「アルミシステム塀 アートウォール」の表紙および裏表紙のコピー 「刊行物等」四国化成工業株式会社、四国化成工業株式会社製品カタログ「エクステリア総合カタログ 2012年度版」、発行日2012年4月1日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、軽量で、美的外観に富み、施工性がよく、建物内のデザインに合致した意匠性を発揮することができるパネル
壁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明のパネル壁は、壁用パネルを複数枚連結して壁を構築したパネル壁であって、前記壁用パネルは、枠体に金属製の外板を貼付したパネルであって、他のパネルと連結するための連結部を有しており、前記壁用パネルは、その縦、横、厚さが同一の基準寸法に仕上げられており、前記壁用パネルは、下地塗装として金属表面への付着性の高い下地調整材を塗布し、該下地塗装の表面に合成樹脂と砂とパルプを含む上塗り化粧材が塗布されていることを特徴とする。
第2発明のパネル壁は、第1発明において、前記壁用パネルは、その内部に軽量発泡材を充填したものであり、前記壁用パネルの一部
が任意の形状に切断
されており、その切断された断面に軽金属薄板
が貼り付けられており、該壁用パネルの外表面および前記
軽金属薄板に、上塗り化粧材
が塗布
されていることを特徴とする。
第3発明のパネル壁は、第1発明において、支柱を介して前記壁用パネルを連結して壁を構築したパネル壁であって、前記支柱と前記壁用パネルを連結する連結部分に、その連結部分の隙間を覆うカバーが取付けられており、該カバーの外表面は、前記支柱の外表面および前記壁用パネルの外表面と面一になっており、該カバーとその側方に位置する支柱のカバー側近傍および該カバーの他方に位置する壁用パネルのカバー側近傍からなる領域に薄膜テープが貼付されており、該薄膜テープの外表面から、上塗り化粧材が塗布されていることを特徴とする。
第4発明のパネル壁は、第3発明において、前記カバーが、前記連結部分に弾性係止片によって嵌合係止されていることを特徴とする。
第5発明のパネル壁は、第1発明において、コーナー柱を介して前記壁用パネルを連結して壁を構築したパネル壁であって、該コーナー柱は、前記壁用パネルと前記壁用パネルの連結角度を変えて連結する可変連結部を備え、前記壁用パネルは、その端縁に前記可変連結部の相手部材である被連結部を備えており、前記可変連結部が、前記コーナー柱の柱本体に設けられる、凸形円弧面を有する柱状部材であり、前記被連結部が、前記壁用パネルの端縁に設けられる、凹形円弧面を有する端部材であり、前記柱状部材と前記端部材は、前記凸形円孤面と前記凹形円孤面を面接触させた状態で、互いに結合可能であり、前記パネル壁の一側面において、前記可変連結部の外表面と前記壁用パネルの外表面が面一であり、前記被連結部の外表面と前記壁用パネルの外表面が面一であり、前記可変連結部の外表面と前記被連結部の外表面が面一となるように、前記可変連結部と前記被連結部が配置されていることを特徴とする。
第6発明のパネル壁は、第5発明において、前記可変連結部の外面と前記被連結部の外面とにわたって薄膜テープが貼付されており、該薄膜テープの外表面から上塗り化粧材が塗布されていることを特徴とする。
第7発明のパネル壁は、第1、第2、第3、第4、第5または第6発明において、前記壁用パネルの全部または一部が、湾曲した表外板および湾曲した裏外板と、これら表裏外板を固定する枠体とからなる湾曲単位パネルを任意数連結したものであることを特徴とする。
第8発明のパネル壁は、第1、第2、第3、第4、第5または第6発明において、前記壁用パネルの全部または一部が、意匠性加工を施したものであることを特徴とする。
第9発明のパネル壁は、第1、第2、第3、第4、第5または第6発明において、前記壁用パネルの全部または一部が、機能性部材を取付けたものであることを特徴とする。
第10発明のパネル壁は、第1、第2、第3、第4、第5、第6または第7発明において、前記壁用パネルの全部または一部が、アルミニウム材を用いたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
第1発明によれば、下地調整材は金属表面への付着性が高いので上塗り化粧材を確実に付着させ、剥離等が生じないようにできる。上塗り化粧材は砂とパルプを含むので、自然の風合いと嵩高感を演出できる。
第2発明によれば、壁用パネルの一部を任意の形状に切断することにより変化のあるデザインの壁となる。また、壁用パネルの一部を切断しても壁用パネルの内部に軽量発泡材が充填されているので、目地処理が可能であり、上塗り化粧材を塗布して美麗な外観に仕上げることができる。
第3発明によれば、支柱と壁用パネルの間はカバーで塞がれるので目地処理が簡便に行える。そして、カバーが支柱と壁用パネルに対し、外表面において面一なので段差を無くして目地溝を小さくでき、その小さな目地溝の上から薄膜テープが貼付されているので、目地溝は外観的には見えないものとなる。そして、その上面から上塗り化粧材が塗布されているので、他の平坦部分の仕上がりと全く同様の仕上りとなって、美麗な外観が得られる。
第4発明によれば、カバーが弾性係止片によって嵌合係止するものなので、手で押し込むだけで連結部分に固定できる。このため、パネル壁の施工性が高くなる。
第5発明によれば、コーナー柱の可変連結部に対しパネルの被連結部の連結角度を変えることにより、隣接するパネル同士を一直線につなぐだけでなく、任意の角度に折れ曲がった状態でつなぐことができる。このため、建物の形状に合わせてパネル壁を構築することができる。また、コーナー柱の外表面と壁用パネルの外表面とが面一になり、コーナー柱と壁用パネルの間で段差が生じない。
第6発明によれば、コーナー柱の可変連結部と壁用パネルの被連結部における外面に薄膜テープを貼付すると、可変連結部と被連結部の間の溝が埋められ平坦となる。このため、その上面から上塗り化粧材を塗布すると、他の平坦部分の仕上がりと全く同様の仕上りとなって、美麗な外観が得られる。
第7発明によれば、湾曲単位パネルが湾曲しているので、これを連結すると湾曲した曲面パネルが得られる。また、連結する湾曲単位パネルの数を変えることにより曲面パネルの幅寸法、すなわち湾曲角度を任意に変更できる。
第8発明によれば、意匠性加工によって種々の美的外観を壁に与えることができるので、建物内のデザインにマッチした壁を実現できる。
第9発明によれば、機能性部材を取付けることによって照明装置や手摺などを付加して従来同様のインテリア機能を発揮できる。
第10発明によれば、アルミニウム材は押出し成形が可能なので、低コストで壁用パネルを製造でき、かつ軽量化も達成できる
。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本発明の特徴)
本発明の特徴は、壁を構築するのにモジュール化された壁用パネルを用いた点にある。このモジュール化の意味は、統一化された基準寸法の縦、横、厚さ寸法をもつように各壁用パネルが構成され、互いに連結して、高さを変え、かつ左右方向に長さを延ばすことが可能となっていることにある。
【0010】
基準寸法は一つでもよく、二つ以上でもよい。ただし、基準寸法が余り多数にわたると施工の容易さが失われるので、施工性の面からは少ない方がよいが、とくに制限があるわけではない。
【0011】
各壁用パネルの連結は、パネルとは別部材である支柱を介して行ってもよく、パネル同士を直接結合してもよく、両方を組み合わせてもよい。
支柱を介する連結では、横方向には、隣接するパネルの間に一本ずつ支柱を立て、支柱を介して各パネルを連結することにより、横方向には無限に延ばしていくことができる。また、高さ方向にはパネルを上に積み重ね、かつ同じ支柱に連結することでよい。そして、支柱に連結するための連結部は公知の構造の連結構造を任意に採用することができる。
支柱を用いない連結では、各壁用パネルに直接連結用の連結部を設けておけばよく、その構造は任意である。
【0012】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本明細書では、第1基準寸法と第2基準寸法をもつ二つのパネル群からなる実施形態を説明する。
【0013】
(壁用パネル)
壁用パネルの基本構造を、
図1に示す基本パネル1を例にとって説明する。
図示のパネル1は、第1基準寸法に属するもので、四角形の枠体11と、その表裏両面に貼付した2枚の外板12とからなる。
枠体11は左右の縦桟11aと上下の横桟11bを個別に製作した後で互いに結合したものでもよく、初めから一体に製作したものでもよい。枠体11の大きさに併せて、補強用の桟13を用いることは任意である。
外板12は、枠体11の縦横寸法と同じ板材であり、枠体11への取付けは、ビス止めや溶接など任意の手段をとりうる。
【0014】
枠体11の左右の縦桟11aには、連結部14が形成されている。
連結部14の詳細を
図2に基づき説明する。
図2は支柱20を用いて隣接するパネル1,1を連結した状態の拡大図である。パネル1,1は端部のみ示されている。
連結部14は、縦桟11aから外側に突出した2枚の突片で、縦桟11aとほぼ同じ上下長さを有している。また、その適所、たとえば上下両端部と中間部にはビス孔が形成され、ビスの螺合が可能となっている。
【0015】
支柱20には、連結板21がネジ止めされており、この連結板21には前記連結部14の相手部材となる被連結部22が形成されている。そして、ビス23を連結部14と被連結部22に共に螺合することにより、パネル1,1を支柱20を介して連結できるようになっている。
なお、上記の連結構造は一例であって、他の任意の構造をとくに制限なく採用できる。
【0016】
上記パネルの構成素材には、とくに制限がなく、金属や合成樹脂、セメント成形板などを利用できる。金属には、鉄や銅、マグネシウム、アルミニウムなどの利用が可能であり、合成樹脂には、ポリエチレン板、ポリプロピレン板などが利用可能である。
【0017】
地震等による耐倒壊性を高めるためには、軽量素材を用いるのが好ましく、強度と軽量性を共に満足するためには、軽金属、とくにアルミニウムが好ましい。枠体11はアルミニウム押出形材であると、製造が容易であり、任意の断面形状が可能であって、かつ連結部14も同時に成形できる。
外板12は、アルミニウム板、もしくはアルミニウム板に合成樹脂層を積層したものが好適である。
なお、アルミニウム材料は、軽量性と耐腐食性を兼ね備えている。
また、支柱20もパネルと同様の種々の材料を用いることができるが、強度と軽量性を共に満足するには軽金属、とくにアルミニウム製の押出形材が好ましい。
【0018】
本発明では、上記基本パネル1以外にも後述する種々のパネルが用いられるが、基本構造は実質同様である。なお、各パネルの相違点については、後述するとおりである。
【0019】
(壁用パネル群)
図3には、第1基準寸法のパネル群に属する各種パネル1〜4が示されている。これらの概要は、以下のとおりである。
【0020】
1:基本パネル
壁構築の基本部材となるパネルであって、外板12は特別の孔加工などは施されておらず、平坦な形状のままである。パネルの内部は空洞であり、最も軽量なタイプである。
2:角開口パネル
基本パネルに角形の開口2aを形成したものである。図示の例では、開口2aは2個所であるが、開口の数や位置は任意である。
【0021】
3:丸開口パネル
基本パネルに丸形の開口3aを形成したものである。図示の例では、開口3aは4個であるが、開口の数や位置は任意である。
4:現場加工用パネル
基本パネルのパネル内部に発泡材、たとえば低発泡ポリスチレンを充填したものである。内部が密に充填されているので、強度が向上する外、現場で任意の形状に切断しても、内部の充填物を介して切断部分のシールが容易に行えるという利点がある。このパネルの構造の詳細は後述する。
【0022】
第1基準寸法のパネル群は、上記の4種類に限られない。たとえば、縦格子を形成したものや、ルーバーを形成したものなど、その他種々のタイプをとくに制限なく用いることができる。
【0023】
第1基準寸法としては、とくに制限なく、施工性などの面から任意の寸法を採用できるが、縦600mm、横910mm、厚さ60mmなどを例示できる。支柱の高さは、パネルの高さに根入れ寸法200〜300mmを足した高さとするのが代表的であるが、これに限られることはない。
【0024】
第2基準寸法のパネル群を
図4に基づき説明する。
5:基本パネル
構造は、第1基準寸法の基本パネル1と実質同一であるが、横寸法が小さくなっている。
6:丸開口パネル
構造は、第1基準寸法の丸開口パネル3と実質同一であるが、横寸法が小さくなっている。
【0025】
7:照明用パネル
基本パネル5に照明装置を結合したものである。壁の照明部分に用いられる。
8:曲面パネル
曲面に形成したパネルであり、壁のコーナー部分などの構築に用いられる。
この曲面パネル8は
図5に示すように、湾曲断面を有する湾曲単位パネル8aを雄雌形の連結部14を用いて複数枚連結して大きな面積の曲面パネルに形成したものである。図示の例では、6枚の湾曲単位パネル8aを連結している。
各湾曲単位パネル8aは、湾曲した表外板81と湾曲した裏外板82を枠体に結合したもので、枠体は左右両側の側板83と中央の補強用隔壁84からなる。また両側板83には既述の連結部14が形成されている。
各湾曲単位パネル8aは断面が湾曲しているので、これらを結合すると湾曲した大きな曲面パネルにすることができる。
【0026】
第2基準寸法に属するパネルは上記の種類に限られない。上記の外、丸開口や縦格子、ルーバーセットを形成したものも、用いることができ、さらには、例示してない種々のものも用いることができる。
【0027】
第2基準寸法は、第1基準寸法と異なっており、図示のものは横寸法が第1基準寸法より短い510mmであるが、この寸法に限られない。図示の例では高さが第1基準寸法と同じであるが、異なっていてもよい。
【0028】
第1基寸法のパネルと第2基準寸法のパネルは、混在させて連結して、壁の高さや長さに変化を付けることに技術的意義があるので、組合せ可能な寸法と形状をもつことが必要である。
【0029】
第1基準寸法および第2基準寸法に属す各パネルは上記1〜7のパネルのような四角形平板状のものに限らず、各種の形状のものを任意に用いることができる。曲面パネル8もその例である。
【0030】
上記に示した各種パネルのうち、角開口パネル2と丸開口パネル3、6は外板に意匠性加工を施したものであり、照明用パネル7は機能性部材を取付けたものである。
本発明において、意匠性加工は種々のものを任意に採用でき、角開口や丸開口の外、角開口と丸開口の組み合わせ、縦格子、横格子、ガラスブロック埋め込みなどの加工、その他任意のものを付加することができる。
また、機能性部材は、照明装置のほか、壁スイッチや壁コンセント、手摺などを付加し、さらにその他任意のものを付加することができる。また、防音性などパネル自体の機能を高めることもできる。
【0031】
(パネル壁)
つぎに、上記壁用パネルを用いた壁の構築方法を説明する。
図6はパネル壁の構築方法の一例を示している。図中の(2)〜(5)の符号は、下記(2)〜(5)の工程に対応している。
【0032】
(1)支柱立設工程
建物の床下に基礎Bを構築して、支柱20を必要本数だけ立設する。
(2)連結工程
4本の支柱20の間に、各パネルを連結する。この連結には
図2に示す連結部14へのビス止めにより行われる。用いたパネルは、第1基準寸法の基本パネル1と丸開口パネル3、第2基準寸法の丸開口パネル6と照明用パネル7および曲面パネル8である。
【0033】
(3)下地塗装
連絡された各パネル1,3,6,7,8の表面に下地調整材31を施す。この下地調整材31は、次工程で行う上塗り化粧材が確実に付着し、剥落等が生じないようにするため行われる。
代表的には、合成樹脂(たとえば、エポキシ樹脂)や防錆顔料を主成分とするプライマーが用いられる。これらの下地調整材31は金属表面への付着性の高いのが特徴である。なお、下地塗装の前に連結部分の目地を平滑にする目地処理も必要に応じて行われる。この目地処理の詳細は後述する。
【0034】
(4)上塗り化粧材塗布
下地層の表面に上塗り化粧材32を塗布する。上塗り化粧材の代表的なものは、バインダーとしての合成樹脂と砂とパルプを主成分とするものなどが用いられ、鏝仕上げ、ローラー塗装、吹付け仕上げ等の手法で塗布される。この上塗り化粧材は砂とパルプを含むことから自然の風合いと嵩高感を有する点に特徴がある。
特別の用途を有しない壁としてなら、上塗り化粧材32の乾燥固定により、施工は完了する。
【0035】
なお、下地調整材31を塗布したうえで上塗り化粧材32を塗布する以外に、下地調整材31を塗布しないで上塗り化粧材32を直接パネルの表面に塗布してもよい。すなわち、上塗り化粧材32がパネルの表面に直接塗布しても剥落等の可能性が生じないものであれば、下地調整材31は不要であり、たとえば樹脂系(エポキシ樹脂系塗料など)の上塗り化粧材であれば、直接塗布が可能となる。
【0036】
さらになお、上塗り化粧材32の代りに壁紙などのシートを貼り付けてもよく、タイルなどを貼り付けてもよい。
【0037】
(5)仕上げ加工
完成したパネル壁に手摺を取り付けたり、壁スイッチや壁コンセントを取付け、更にはデザイン仕上げを目的とした表面塗装を行ってもよい。手摺を取付けるには、
図3に示す現場加工用パネル4を用いて希望する大きさと形状の手摺を取付けることができる。
【0038】
(可動式のパネル壁)
前述した壁の構築方法の支柱立設工程では、基礎Bに立設した支柱20を用いて固定壁を施工したが、支持脚を用いて基礎Bを構築しない可動式の壁(たとえば、パーティション)の施工も可能である。
図7に示す符号25は支持脚であり、ベースプレート26とその中央部に立設された挿入柱27とからなる。挿入柱27の基端はベースプレート26に溶接等で固定されている。
図8に示すように、支持脚25は角筒状の支柱20の内部に挿入され、ベースプレート26は床面に載置される。
【0039】
図9はパーティションとしての使用例を示している。
Dは応接セットであり、Wは支持脚25を用いて構築したパーテーションである。軽量で、美的外観に富み、建物内のデザインに合致したパーテーションとなる。
上記の外、建物内の部屋を仕切る固定壁なども、任意に構築することができる。固定壁とする場合、天井まで達する高さとしてもよいし、天井との間に隙間を有する高さとしてもよい。
【0040】
(曲面パネル)
図10は曲面パネル8の他の実施形態を示している。
(A)は2本の支柱20,20の間に1本の湾曲単位パネル8aを取付けたものである。この実施形態の湾曲角度θは15°である。
(B)は、2本の支柱20,20の間に3本の湾曲単位パネル8aを取付けたものであり、湾曲角度θは45°である。
(C)は、2本の支柱20,20の間に5本の湾曲単位パネル8aを取付けたものであり、湾曲角度θは75°である。
各湾曲単位パネルの寸法を同一とした場合、連結されて出来た曲面パネル8の幅Wは、たとえば、(A)が286mm、(B)が534mm、(C)が657mmとなる。
このように曲面パネル8は、連結する湾曲単位パネル8aの数を任意に選択することによって、曲面パネル8の湾曲角度θ、すなわちその幅寸法Wを変えることができる。
【0041】
(意匠性加工を施したパネル)
図11は、角開口パネル2に意匠性加工を付与した例であり、角開口2aにガラス調部材2Bを嵌合したものである。ガラス調部材2Bは2組一対を用い、1個の角開口2aに表裏両面から嵌合させるのが好ましい。
ガラス調部材2Bは、透明のものでも、着色したものでもよい。素材には透明性や着色可能性を有するガラス、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
図12は、丸開口パネル3に意匠性加工を付与した例であり、丸開口3aにガラス調部材3Bを嵌合したものである。ガラス調部材3Bは2組一対を用い、1個の丸開口3aに表裏両面から嵌合させるのが好ましい。
ガラス調部材3Bは、透明のものでも、着色したものでもよい。素材には透明性や着色可能性を有するガラス、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
図11および
図12の実施形態では、角開口2aや丸開口3aにガラス調部材2B,3Bを嵌合させたが、この代りにタイル等のサイディング材を開口2a,3a内に嵌合させてもよい。この場合、タイル調のデザインが可能となる。
【0044】
(機能性をもたせたパネル)
前記した各種パネル1〜8は、内部が空洞であるものが基本であるが、これに各種の機能を付与することもできる。
付与する機能としては、防音や蓄光などを例示できるが、これらに限られることはない。
防音機能を果たすには、パネル1〜8の内部に吸音材を封入することで実現できる。
蓄光機能を果たすには、蓄光塗料を塗布することで実現できる。
【0045】
(現場加工用パネル)
図3の符号4で示した現場加工用パネルの詳細を
図13〜
図15に基づき説明する。
図示のパネル4は、枠体11と、その表裏両面に貼付した2枚の外板12とからなる。枠体11は左右2本の縦桟11aからなる。なお、上下の横桟は用いられていない。これは、施工現場での切断加工の都合による。
外板12は、枠体11の縦横寸法と同じ板材であり、枠体11への取付けは、ビス止めや溶接など任意の手段をとりうる。
【0046】
2本の縦桟11a、11aと2枚の外板12で囲まれたパネル内部には、軽量発泡材15が密に充填されている。軽量発泡材15としては、自己消火性を有する低発泡ポリスチレンなどの軽量で切断加工の容易なものが用いられている。
【0047】
パネル4の左右の縦桟11aには、外向きに突出した連結部14が形成されている。連結部14を介して支柱20に連結できるようになっている。
【0048】
つぎに、本発明の現場加工用パネル4を用いて構築したパネル壁の一例を
図16に基づき説明する。
(1)図に示すように、現場加工用パネル4に施したいデザインに合わせた罫書線Lを入れる。
(2)図に示すように、ジグソーなどの任意のハンド工具で切断する。切断面には自己消火性を有する低発泡ポリスチレンなどの軽量発泡材15の切断面が見えている。
(3)図に示すように、切断面に同形状のアルミニウム薄板51を当てて、接着その他の手段で貼付する。アルミニウム薄板としては、0.2〜0.5mm厚のものが、加工の容易さと外板の一種としての強度を兼ね備えるので好ましい。図示の実施例では0.3mm厚のものを使用した。このアルミニウム薄板51が特許請求の範囲にいう軽金属薄板である。
【0049】
なお、アルミニウム薄板51と外板12との境目には、目地処理として、薄いアルミニウムテープを貼り付けてもよい。その後は、(4)図に示すように、他のパネル(たとえば、基本パネル1や丸開口パネル3など)と共に2本の支柱20、20に連結する。
【0050】
このようにして、パネル壁の物理構造が出来上がると、各パネル3,4の表面に下地調整材31を塗装する。つぎに、下地層の表面に上塗り化粧材32を塗布する。上塗り化粧材32は前記実施形態と同様のものを使用できる。なお、上塗り化粧材32が剥落しにくい樹脂系(たとえばエポキシ樹脂系)であれば、下地調整材31を用いることなく塗布しても、剥落等が生ずることはない。
【0051】
このように構成することで、モジュール化されたパネルを用いるパネル壁にも、任意のデザインの採用が可能となっている。また、パネルの内部に軽量発泡材が充填されているので強度が高く、上塗り化粧材32を塗布して美麗な外観に仕上げることができる。
【0052】
なお、現場加工用パネル4の切断面に同形状のアルミニウム薄板を接着し、目地処理してから塗布工程に移る以外に、目地処理をすることなく塗布工程を行ってもよい。すなわち、パネル4の外板と切断面に上塗り化粧材32を直接塗布してもよい。
【0053】
(目地処理)
つぎに、目地処理の詳細を説明する。
図17は端柱としての支柱20にパネル1を連結した状態の拡大図である。パネル1は端部のみ示されている。
図18は主柱としての支柱20の両側にパネル1,1を結合した状態を示しており、
図19は角柱としての支柱20に対し2枚のパネル1,1が直交して結合された状態を示している。
図17〜
図19のいずれの場合も、目地処理方法は同様である。
【0054】
目地処理には、カバー41が用いられるが、そのカバー41の取付構造は、つぎのとおりである。
前記連結板21の両端部には断面視で凹状となる被連結部22が形成され、その両先端部には内側に向け突出した係止突起24,24が形成されている。
一方、カバー41は、支柱20とパネル1の間の上下長さを有する帯状部材であり、その内面には2ヵ所の係止片42、42が形成されている。この係止片42、42は弾力性を有し、それが撓みながら前記係止突起24、24の間を通過し、通過後は元の形状に復帰して、外れないように係合するというものである。このような弾性型係止片を用いると、手で押し込むだけで、カバー41を取付けることができる。
【0055】
取付けた状態でのカバー41の外表面は、支柱20の外表面およびパネル1の外表面(外板12の外表面)と面一になっている。すなわち、外表面の高さは全く同一であり、支柱20やパネル1との間で段差は生じていない。カバー41と支柱20との間、およびカバー41とパネル1との間には、わずかな線状の溝が生ずるが、これが目地となっている。
【0056】
上記の目地を平坦に整形する目地処理する際は、薄膜テープ、たとえばアルミニウムテープ(厚さ0.05〜0.10mm)を目地部分に貼付する。具体的には、アルミニウムテープ52をカバー41とその側方に位置する支柱20のカバー側近傍およびカバー41の他方に位置するパネル1のカバー側近傍からなる領域に貼付する。この結果、カバー41とその両サイドの領域はアルミニウムテープ52で覆われて、目地溝は全く現われなくなる。因みに本実施例において、カバー41の幅は14mm、アルミニウムテープ52は厚さ0.08mm、幅50mmであり、アルミニウムテープ52によって、外板12を枠体11に取付けるビスの頭部も覆い隠している。
【0057】
以上のようにして、目地処理を終えると、アルミニウムテープ52の外表面から、下地調整材と上塗り化粧材をその順で塗布する。その塗布の詳細は既述のとおりである。なお、上塗り化粧材32が剥落しにくい樹脂系(たとえばエポキシ樹脂系)であれば、下地調整材31を用いることなく塗布しても、剥落等が生ずることはない。
【0058】
上記のように目地処理を実行した結果、アルミニウムテープ52は、パネル1と同質素材であるので、同一の下地材で下地処理ができ、後工程での上塗り化粧材を塗布しても剥落は生じにくい。そして、下地塗装し上塗り化粧材を塗布すると、他の平坦部分の仕上がりと全く同様の仕上りとなって、美麗な外観が得られる。
また、このように仕上げたパネル壁は、自然の風合いや嵩高感を有するものとなる。
【0059】
(折り曲げて連結したパネル壁)
図20は、折り曲げて連結したパネル壁の一例を示している。
左側のパネル壁は、基本パネル1と丸開口パネル3と基本パネル1を端柱としての支柱20とコーナー柱60で保持したものであり、右側のパネル壁は右端の支柱20と中央のコーナー柱60とで同一構成のパネル1,3,1を保持したものである。
図示のパネル1,1は、コーナー柱60を境にして、左側のパネル1と右側のパネル1が角度70°〜180°の範囲で連結角度θを変えることができる。
【0060】
図21および
図22に基づき、本発明に係るコーナー柱60とパネル1との間の連結構造を説明する。
コーナー柱60の柱本体20aは支柱20と同一構成の柱部材である。
柱本体20aには、可変連結部61が設けられている。可変連結部61は、凸形円弧面62を有する柱状部材であり、円弧面62は角度にして約270°にわたっている。円弧でない部分はL形に形成された取付部63となっており、柱本体20aの角部にぴったり合わさってビス64で固定されている。
上記の可変連結部61は、柱本体20aと別体のものを取り付けてもよく、柱本体20aに一体に成形したものであってもよい。
【0061】
一方、パネル側に設けられる被連結部65は、凹形円弧面66を有する柱状部材であり、円弧面66は角度にして140°位にわたっている。凹形円弧面66は、面状に形成された面接触部66aと線状に形成された線接触部66bからなるが、線接触部66bはビス67を通すために形成されている。
円弧面66の背面側には、パネル1側の連結部14と連結するための連結板68が形成されている。
【0062】
前記連結板68の両端部は断面視で凹状に形成され、その両先端部には内側に向け突出した係止突起69,69が形成されている。そして、係止突起69、69には、カバー41が嵌められている。
このカバー41は、支柱20とパネル1の間の被連結部22に嵌められたものと実質同一部材である。このカバー41は、手で押し込むだけで、連結板68の外側面に嵌め込むことができる。
【0063】
図21に示すように、コーナー柱60の可変連結部61における凸形円弧面62に対しパネル1の被連結部65における凹形円弧面66を沿わせ、かつ円弧方向にズラせると、連結角度を変えることができる。そして、その状態でビス67で結合すると、任意の連結角でパネル1をつなぎ、パネル壁を構築できる。
図23は、コーナー柱60を挟んで隣接するパネル1,1を直列に連結した状態を示している。
図24は、コーナー柱60を挟んで、隣接するパネル1,1を70°の角度で交差するように連結した状態を示している。
このように、本発明によれば、パネル1,1を任意の連結角度で連結することができる。
【0064】
つぎに、可変連結部61と被連結部65の間の目地処理の詳細を、
図23に基づき説明する。
可変連結部61と被連結部65の間には、小さな隙間があるが、この隙間の周辺を覆うように薄膜テープ、たとえばアルミニウムテープ52(厚さ0.05〜0.10mm)を貼付する。アルミニウムテープ52の貼付によって隙間は覆い隠され、その部分は平坦となる。
なお、目地処理の要領は、連結角度を変えた
図21や
図24の場合も同様である。
【0065】
以上のようにして、目地処理を終えると、アルミニウムテープ52の外表面から、下地調整材と上塗り化粧材をその順で塗布する。その塗布の詳細は既述のとおりである。なお、上塗り化粧材32が剥落しにくい樹脂系(たとえばエポキシ樹脂系)であれば、下地調整材31を用いることなく塗布しても、剥落等が生ずることはない。
【0066】
上記のように目地処理を実行した結果、アルミニウムテープ52は、パネル1と同質素材であるので、同一の下地材で下地処理ができ、後工程での上塗り化粧材を塗布しても剥落は生じにくい。そして、下地塗装し上塗り化粧材を塗布すると、他の平坦部分の仕上がりと全く同様の仕上りとなって、美麗な外観が得られる。
また、このように仕上げたパネル壁は、自然の風合いや嵩高感を有するものとなる。