特許第5973241号(P5973241)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5973241
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】警報システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20160809BHJP
   G08B 23/00 20060101ALI20160809BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20160809BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   G08B17/00 C
   G08B23/00 520C
   G08B25/00 510L
   G08B25/10 A
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-124274(P2012-124274)
(22)【出願日】2012年5月31日
(65)【公開番号】特開2013-250717(P2013-250717A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2015年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】茨木 博
(72)【発明者】
【氏名】景山 久義
(72)【発明者】
【氏名】岡安 克也
(72)【発明者】
【氏名】中島 悟史
(72)【発明者】
【氏名】山本 知也
【審査官】 北元 健太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−14119(JP,A)
【文献】 特開2010−61423(JP,A)
【文献】 特開2008−84309(JP,A)
【文献】 特開平6−98045(JP,A)
【文献】 特開2010−73044(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0250236(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0238668(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0289787(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00 − 17/12
G08B 23/00 − 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1監視領域に複数の第1警報手段配置され、前記複数の第1警報手段の何れかで異常を検知した場合に異常警報を出力すると共に第1異常連動信号を送信して他の第1警報手段から異常警報を出力させる第1警報システムと、
第2監視領域に前記第1警報手段と互換性がなく、親機と子機の間で連動可能な複数の第2警報手段配置され、前記複数の第2警報手段の何れかで異常を検知した場合に異常警報を出力すると共に、異常を検知した第2警報手段が親機である場合は他の第2警報手段へ第2異常連動信号を送信して異常警報を出力させ、異常を検知した第2警報手段が子機である場合は親機へ及び親機を中継して他の子機へ第2異常連動信号を送信して異常警報を出力させる第2警報システムと、を連動させる警報システムであって、
前記複数の第1警報手段の何れかの近傍に配置され当該第1警報手段から出力された異常警報音を検知した場合に、第2異常連動信号を前記第2警報手段へ送信して異常警報を出力させる第1連動警報手段と、
前記第2警報手段の親機の近傍に配置され当該第2警報手段の親機から出力された異常警報音を検知した場合に、第1異常連動信号を前記第1警報手段へ送信して異常警報を出力させる第2連動警報手段と、
を備えたことを特徴とする警報システム。
【請求項2】
第1監視領域に、複数の第1警報手段が配置され、前記複数の第1警報手段の何れかで異常を検知した場合に異常警報を出力すると共に、第1異常連動信号を送信して他の第1警報手段から異常警報を出力させる第1警報システムと、
第2監視領域に、前記第1警報手段と互換性がなく、親機と子機の間で連動可能な複数の第2警報手段が配置され、前記複数の第2警報手段の何れかで異常を検知した場合に異常警報を出力すると共に、異常を検知した第2警報手段が親機である場合は他の第2警報手段へ第2異常連動信号を送信して異常警報を出力させ、異常を検知した第2警報手段が子機である場合は親機へ及び親機を中継して他の子機へ第2異常連動信号を送信して異常警報を出力させる第2警報システムと、を連動させる警報システムであって、
前記第2警報手段の親機に最も近い第1警報手段の近傍に配置され、当該第1警報手段から出力された異常警報音を検知した場合に、第2異常連動信号を前記第2警報手段へ送信して異常警報を出力させる第1連動警報手段と、
前記複数の第2警報手段の何れかの近傍に配置され、当該第2警報手段から出力された異常警報音を検知した場合に、第1異常連動信号を前記第1警報手段へ送信して異常警報を出力させる第2連動警報手段と、
を備えたことを特徴とする警報システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の警報システムに於いて、
前記第1連動警報手段は、前記第1警報手段が出力する前記異常警報音の内、音量が略一定で周波数が所定範囲で変化するスイープ音を検知して前記第2異常連動信号を送信し、
前記第2連動警報手段は、前記第2警報手段が出力する前記異常警報音の内、音量が略一定で周波数が所定範囲で変化するスイープ音を検知して前記第1異常連動信号を送信することを特徴とする警報システム。
【請求項4】
請求項1又は2記載の警報システムに於いて、
前記第1連動警報手段は、前記第1警報手段が出力する前記異常警報音の音圧が所定レベル以上となる所定範囲内に配置され
前記第2連動警報手段は、前記第2警報手段が出力する前記異常警報音の音圧が所定レベル以上となる所定範囲内に配置されることを特徴とする警報システム。
【請求項5】
請求項1又は2記載の警報システムに於いて、
前記第1連動警報手段は、
監視領域の異常を検知した第1警報手段から出力された異常警報音を検知して警報音検知信号を出力する警報音検知部と、
第2異常連動信号を外部へ無線送信する通信部と、
前記警報音検部による警報音検知信号の出力を判別した場合に、前記通信部に指示して前記2異常連動信号を前記第2警報手段へ無線送信して連動警報を出力させる制御部と、
を備え、
前記第2連動警報手段は、
監視領域の異常を検知した第2警報手段から出力された異常警報音を検知して警報音検知信号を出力する警報音検知部と、
第1異常連動信号を外部へ無線送信する通信部と、
前記警報音検部による警報音検知信号の出力を判別した場合に、前記通信部に指示して前記第1異常連動信号を前記第1警報手段へ無線送信して連動警報を出力させる制御部と、
を備えたことを特徴とする警報システム。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれかに記載の警報システムに於いて、
前記第1連動警報手段は、前記第1警報手段から出力される異常警報音を内部メモリに予め記憶できる手段を持ち、前記異常警報音の音圧が所定レベル以上となった場合に、予め記憶された異常警報音と前記第1警報手段から出力される異常警報音の周波数変動を比較し、前記周波数変動が一致した場合に、警報音検知信号を出力する手段を備え、
前記第2連動警報手段は、前記第2警報手段から出力される異常警報音を内部メモリに予め記憶できる手段を持ち、前記異常警報音の音圧が所定レベル以上となった場合に、予め記憶された異常警報音と前記第2警報手段から出力される異常警報音の周波数変動を比較し、前記周波数変動が一致した場合に、警報音検知信号を出力する手段を備えたことを特徴とする、警報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互換性のない警報器で構成した複数の警報システムを連動して相互に警報音を出力させる警報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅等における火災を検知して警報する警報器が普及している。このうち、住宅用火災警報器を住警器と言う。
【0003】
例えば、このような住警器にあっては、電池電源で動作し、住警器内に火災を検知するセンサ部と火災を警報する警報部を一体に備え、センサ部の検出信号に基づき火災を検知すると警報部から所定パターンの火災警報音を出力するようにしており、所謂自動火災報知設備のように受信機等を必要とせず住警器単体で火災監視と警報報知ができることから、設置が簡単でコスト的にも安価であり、一般住宅での設置義務化に伴い広く普及している。
【0004】
また、複数の住警器間で無線通信を行うことによって、任意の住警器で火災警報音が出力されると、他の住警器でも連動して火災警報音を出力させる無線連動型の住警器も実用化され、普及している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−094719号公報
【特許文献2】実用新案登録第3143139号公報
【特許文献3】特開2009−140236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
無線連動型の住警器を設置した警報システムにあっては、基本的に、住宅単位に設置して火災を監視しているが、例えば同じ敷地内に親兄弟の住宅を別々に建てて暮らしているような場合、各住宅に設置した警報システムを連動して、相互に火災を監視できるような使い方が考えられる。
【0007】
このように複数の住宅に設置した警報システムを連動する場合、同じメーカの住警器であれば、住警器に互換性があり、例えば2つの住宅に設置している住警器に同じグループ符号を設定するといった対応をすれば、火災警報を連動させることができる。
【0008】
しかし、2つの住宅に、メーカが異なるなどして、互換性のない住警器を設置していた場合には、火災警報を連動させることは基本的にできない。この問題を解決するためには、互換性のない住警器の間で、火災連動信号を送受信可能とする警報連動アダプタを準備し、警報連動アダプタの機能をそれぞれの住警器に実装するか、外付けのアダプタとして信号線接続することで、火災警報を連動させめることが可能となる。
【0009】
しかし、警報連動アダプタの機能を住警器に実装することは、大幅な住警器の変更を伴うことからコストが上昇し、またアダプタを信号線接続する外付けとした場合にも、住警器にアダプタ接続用のコネクタやインタフェース回路を設ける必要があり、互換性のない住警器で構成した警報システムを連動させることは、簡単にはできないという問題がある。
【0010】
本発明は、互換性のない無線連動型の警報器で構成した複数の警報システムを簡単に連動可能とする警報システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(警報システム)
本発明は
第1監視領域に複数の第1警報手段配置され、複数の第1警報手段の何れかで異常を検知した場合に異常警報を出力すると共に第1異常連動信号を送信して他の第1警報手段から異常警報を出力させる第1警報システムと、
第2監視領域に第1警報手段と互換性がなく、親機と子機の間で連動可能な複数の第2警報手段配置され、複数の第2警報手段の何れかで異常を検知した場合に異常警報を出力すると共に、異常を検知した第2警報手段が親機である場合は他の第2警報手段へ第2異常連動信号を送信して異常警報を出力させ、異常を検知した第2警報手段が子機である場合は親機へ及び親機を中継して他の子機へ第2異常連動信号を送信して異常警報を出力させる第2警報システムと、を連動させる警報システムであって、
(第1形態)
複数の第1警報手段の何れかの近傍に配置され当該第1警報手段から出力された異常警報音を検知した場合に、第2異常連動信号第2警報手段へ送信して異常警報を出力させる第1連動警報手段と、
第2警報手段の親機の近傍に配置され当該第2警報手段の親機から出力された異常警報音を検知した場合に、第1異常連動信号第1警報手段へ送信して異常警報を出力させる第2連動警報手段と、
を備え、又は、
(第2形態)
第2警報手段の親機に最も近い第1警報手段の近傍に配置され、当該第1警報手段から出力された異常警報音を検知した場合に、第2異常連動信号を第2警報手段へ送信して異常警報を出力させる第1連動警報手段と、
複数の第2警報手段の何れかの近傍に配置され、当該第2警報手段から出力された異常警報音を検知した場合に、第1異常連動信号を第1警報手段へ送信して異常警報を出力させる第2連動警報手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
(警報スイープ音の検知)
第1連動警報手段は、第1警報手段が出力する異常警報音の内、音量が略一定で周波数が所定範囲で変化するスイープ音を検知して第1異常連動信号を送信し、
第2連動警報手段は、第2警報手段が出力する異常警報音の内、音量が略一定で周波数が所定範囲で変化するスイープ音を検知して前記第2異常連動信号を送信する。
【0013】
(連動警報手段の配置)
第1連動警報手段は、第1警報手段が出力する異常警報音の音圧が所定レベル以上となる所定範囲内に配置され
第2連動警報手段は、第2警報手段が出力する異常警報音の音圧が所定レベル以上となる所定範囲内に配置される。
【0014】
(連動警報手段)
第1連動警報手段は、
監視領域の異常を検知した第1警報手段から出力された異常警報音を検知して警報音検知信号を出力する警報音検知部と、
第2異常連動信号を外部へ無線送信する通信部と、
警報音検部による警報音検知信号の出力を判別した場合に、通信部に指示して第2異常連動信号を第2警報手段へ無線送信して連動警報を出力させる制御部と、
を備え、
第2連動警報手段は、
監視領域の異常を検知した第2警報手段から出力された異常警報音を検知して警報音検知信号を出力する警報音検知部と、
第1異常連動信号を外部へ無線送信する通信部と、
警報音検部による警報音検知信号の出力を判別した場合に、通信部に指示して第1異常連動信号を第1警報手段へ無線送信して連動警報を出力させる制御部と、
を備える。
【0015】
(異常警報音の記憶と比較検知)
第1連動警報手段は、第1警報手段から出力される異常警報音を内部メモリに予め記憶できる手段を持ち、異常警報音の音圧が所定レベル以上となった場合に、予め記憶された異常警報音と第1警報手段から出力される異常警報音の周波数変動を比較し、周波数変動が一致した場合に、警報音検知信号を出力する手段を備え、
第2連動警報手段は、第2警報手段から出力される異常警報音を内部メモリに予め記憶できる手段を持ち、異常警報音の音圧が所定レベル以上となった場合に、予め記憶された異常警報音と第2警報手段から出力される異常警報音の周波数変動を比較し、周波数変動が一致した場合に、警報音検知信号を出力する手段を備える。
【発明の効果】
【0016】
(基本的な効果)
本発明の警報システムによれば、互換性のない第1警報手段と第2警報手段により構成した第1警報システムと第2警報システムに、第1連動警報手段と第2警報連動手段を設け、第1連動警報手段は、第1警報システムの第1警報手段から出力した火災警報音を検知した場合に、第2異常連動信号を第2警報システムの第2住警器へ送信して火災警報を出力させ、また、第2警報連動手段は、第2警報システムの第2警報手段から出力された火災警報音を検知した場合に、第1異常連動信号を第1警報システムの第1警報へ送信して火災警報を出力させるようにしたため、例えば通信可能な距離に立っている2つの住宅に設置した互換性のない既設の警報システムを、第1連動警報手段と第2警報連動手段を設けるだけで、相互に異常警報を出力するように簡単に連動させることができる。
【0017】
また、第1連動警報手段および第2警報連動手段は、それぞれ対応する第1警報手段又は第2警報手段の近くの異常警報音を検知可能な位置に配置するだけでよく、第1警報手段や第2警報手段に新たにインタフェース回路を設けて信号線接続する必要はなく、利用者は専門的な知識がなくとも、簡単に第1連動警報手段及び第2警報連動手段を配置して、互換性のなかった警報システムの異常警報を相互に連動することができる。
【0018】
また第1連動警報手段及び第2警報連動手段は、第1警報手段又は第2警報手段の異常警報音を検知して異常連動信号を送信するため、メーカが異なる場合であっても、火災警報音は規格上決まっていることから、メーカの相違に係らず、確実に第1警報手段又は第2警報手段の異常警報音を検知して連動することができ、第1警報手段及び第2警報手段のメーカに依存しないオープンな連動警報システムを構築することができる。この点は、同一メーカのバージョンが異なる場合にも同様である。
【0019】
(警報スイープ音の検知による効果)
第1連動警報手段及び第2連動警報手段は、第1警報手段又は第2警報手段が出力する異常警報音の内、音量が略一定で周波数が所定範囲で変化するスイープ音、例えば約2KHzから約3KHzまでの周波数範囲で変化するスイープ音を検知して異常連動信号を送信ようにしたため、第1警報手段及び第2警報手段が火災警報音以外に出力する電池電圧低下を示すローバッテリー警報音や障害警報音を誤って検知して火災を連動警報することを確実に防止できる。また第1警報手段及び第2警報手段から出力する火災警報音以外の音、例えばテレビやラジオなどの音による誤動作を確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明による警報システムの設置例を示した説明図
図2】第1警報システムに設けた第1住警器の概略構成を示した説明図
図3】第2警報システムに設けた第2住警器の概略構成を示した説明図
図4】第1警報システムに設けた第1連動警報アダプタの機能構成の概略を示したブロック図
図5】第2警報システムに設けた第2連動警報アダプタの機能構成の概略を示したブロック図
【発明を実施するための形態】
【0021】
[警報システムの構成]
(システム構成の概略)
図1は本発明による警報システムにおいて、2つの住宅を連動する場合の設置例であり、本発明の警報システムは、第1住警器10(10−1〜10−4)を備えた住宅H1の第1警報システムA1、第1住警器10と互換性のない第2住警器12(12−1〜12−4)を備えた住宅H2の第2警報システムA2、第1警報システムA1に設けた第1連動警報アダプタ14、及び第2警報システムA2に設けた第2連動警報アダプタ16で構成する。
【0022】
第1住警器10(10−1〜10−4)は第1警報手段であり、異常を検知した場合に異常警報を出力すると共に他の第1警報手段へ第1異常連動信号を送信して異常警報を出力させる。
【0023】
第2住警器12(12−1〜12−4)は第2警報手段であり、異常を検知した場合に異常警報を出力すると共に他の第2警報手段へ第2異常連動信号を送信して異常警報を出力させる。
【0024】
第1連動警報アダプタ14は第1連動警報手段であり、第1警報システムA1に配置し、第1警報手段から出力された異常警報音を検知した場合に、第2異常連動信号を第2警報システムA2の第2警報手段へ送信して異常警報を出力させる。
【0025】
第2連動警報アダプタ16は第2連動警報手段であり、第2警報システムA2に配置し、第2警報手段から出力された異常警報音を検知した場合に、第1異常連動信号を第1警報システムA1の第1警報手段へ送信して異常警報を出力させる。なお、以下の説明にあっては、異常警報として火災警報を出力する場合を例にとって説明する。また、以下、第1住警器10−1〜10−4及び第2住警器12−1〜12−4をそれぞれ区別しない場合は第1住警器10及び第2住警器12という。
【0026】
(第1住警器の配置)
図1において、住宅H1の台所、子供部屋、寝室、居間など各部屋に分けて、第1住警器10−1〜10−4を設置し、第1警報システムA1を構成している。第1住警器10−1〜10−4は、例えば相互監視方式により火災を監視する。
【0027】
相互監視方式は、第1住警器10−1〜10−4の火災監視機能及び通信機能は全て同じであり、火災を検知して連動元を示す火災警報を出力した場合に、他の全ての第1住警器へ第1火災連動信号を送信し、また各第1住警器10は、他の第1住警器から第1火災連動信号を受信した場合に、連動先を示す火災警報を出力すると共に、受信した第1火災連動信号を他の第1住警器に中継する。
【0028】
例えば第1住警器10−1を例にとると、第1住警器10−1は部屋の温度又は煙濃度を観測し、観測結果が示す温度又は煙濃度に基づいて火災を検知した場合に連動元を示す火災警報音出力と警報表示を行うと共に、第1火災連動信号を他の第1住警器10−2〜10−4へ送信し、連動先を示す火災警報音出力と警報表示を行わせる。また第1住警器10−1は、他の第1住警器10−2〜10−4の何れかから送信した第1火災連動信号を受信した場合、連動先を示す火災警報音出力と警報表示を行うと共に、他の第1住警器へ第1火災連動信号を中継する。
【0029】
第1住警器10の間は所定の第1通信プロトコルに従った通信経路11となり、第1住警器10はこの通信経路11を介して第1警報システムA1に固有なグループ符号を含めた火災連動信号を相互に送受信する。このため第1住警器10は通信プロトコルの異なる第2警報システムA2に設けた第2住警器12との間で信号を送受信することできず、互換性はない。
【0030】
(第2住警器の配置)
図1において、住宅H2の台所、子供部屋、寝室、居間など各部屋に分けて、第2住警器12−1〜12−4を設置し、第1警報システムA2を構成している。第2住警器12−1〜12−4は、メーカが異なるなどにより、例えば親子方式により火災を監視する。
【0031】
親子方式は、例えば第2住警器12−1を親機、第2住警器12−2〜12−4を子機としている。親子方式は、例えば親機12−1だけが中継機能や通信確認機能をもつ。
【0032】
住警器12−1〜12−4は部屋の温度又は煙濃度を観測している。例えば親機となる第2住警器12−1で観測結果が示す温度又は煙濃度に基づいて火災を検知した場合、連動元を示す火災警報音出力と警報表示を行うと共に、第2火災連動信号を子機となる第住警器12−2〜12−4へ送信し、連動先を示す火災警報音出力と警報表示を行わせる。また親機となる第2住警器12−1は、子機となる第1住警器12−2〜12−4の何れかから送信した第2火災連動信号を受信した場合、連動先を示す火災警報音出力と警報表示を行うと共に、電波の届かない子機となる第2住警器へ第2火災連動信号を中継する。
【0033】
また親機となる第2住警器12−1は、例えば1日1回、子機となる第2住警器12−2〜12−4との間で電波が届くことを確認する通信テストを行っている。
【0034】
第2住警器12の間は所定の第2通信プロトコルに従った通信経路13となり、第2住警器12はこの通信経路13を介して第2警報システムA2に固有なグループ符号を含めた火災連動信号を相互に送受信する。このため第2住警器12は、通信プロトコルの異なる第1警報システムA1に設けた第1住警器10との間で信号を送受信することできず、互換性はない。
【0035】
(第1連動警報アダプタの配置)
図1の第1警報システムA1に設けた第1住警器10−1に対応して第1連動警報アダプタ14を配置している。第1連動警報アダプタ14は、第1住警器10−1が出力する火災警報音を検知可能な近接した位置、例えば規格上、70dB以上の音圧が得られる1メートル以内の範囲に配置する。
【0036】
第1連動警報アダプタ14は、第1住警器10−1が火災を検知して火災警報音を出力した場合、この火災警報音を検知し、第2住警器12と同じ第2通信プロトコルに従った第2火災連動信号を送信する。第1連動警報アダプタ14から送信した第2火災連動信号は、通信可能距離にある住宅H2に設けた第2警報システムA2の例えば親機となる第2住警器12−1で受信し、連動先を示す火災警報を出力する。また親機となる第2住警器12−1は、第1連動警報アダプタ14から第2火災連動信号を受信して火災警報を出力した場合、火災連動信号を子機となる他の第2住警器12−2〜12−4へ送信し、同じく連動先を示す火災警報を出力させる。
【0037】
第1連動警報アダプタ14と第2住警器12の間は第2通信プロトコルに従った通信経路13となり、第1連動警報アダプタ14はこの通信経路13を介して第2住警器12へ第2警報システムA2に固有なグループ符号を含めた第2火災連動信号を送信する。
【0038】
(第2連動警報アダプタの配置)
図1の第2警報システムA2に設けた例えば第2住警器12−1に対応して第2連動警報アダプタ16を配置している。第2連動警報アダプタ16は、第2住警器12−1が出力する火災警報音を検知可能な近接した位置、例えば規格上、70dB以上の音圧が得られる1メートル以内の範囲に配置する。
【0039】
第2連動警報アダプタ16は、第2住警器12−1が火災を検知して火災警報音を出力した場合、この火災警報音を検知し、第1住警器10と同じ第1通信プロトコルに従った第1火災連動信号を送信する。第2連動警報アダプタ16から送信した第1火災連動信号は、通信可能距離にある住宅H1に設けた第1警報システムA1の例えば第1住警器10−3で受信し、連動先を示す火災警報を出力する。第1住警器10−3は、第2連動警報アダプタ16から第1火災連動信号を受信して火災警報を出力した場合、火災連動信号を他の第住警器10−1,10−2,10−4へ送信し、同じく連動先を示す火災警報を出力させる。
【0040】
第2連動警報アダプタ16と第1住警器10の間は第1通信プロトコルに従った通信経路11となり、第2連動警報アダプタ16はこの通信経路11を介して第1住警器10へ第1警報システムA1に固有なグループ符号を含めた第1火災連動信号を送信する。
【0041】
[第1住警器10の構成]
図2は第1住警器10−1の機能構成の概略を示したブロック図であり、他の第1住警器10−2〜10−4も同様となる。
【0042】
図2において、第1住警器10−1は、警報制御部20、センサ部22、アンテナ25を備えた第1通信部24、報知部26、操作部28を備え、図示しない電池電源により動作する。
【0043】
警報制御部20は、例えばプログラムの実行により実現される機能である。ハードウェアとしてはCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路又はワイヤードロジック回路等を使用する。
【0044】
センサ部22は温度検出部または検煙部である。センサ部22として温度検出部を設けた場合、温度検出素子として例えばサーミスタを使用し、この場合、温度による抵抗値の変化に対応した電圧検出信号を警報制御部20へ出力する。またセンサ部22として検煙部を設けた場合、公知の散乱光式検煙構造をもち、警報制御部20の指示により、所定周期で赤外LEDを用いた発光部を間欠的に発光駆動し、フォトダイオードなどの受光部で受光した散乱光の受光信号を増幅し、煙濃度検出信号を警報制御部20へ出力する。
【0045】
第1通信部24は、他の第1住警器10−2〜10−4との間で所定の第1通信プロトコルに従って信号を送受信すると共に、第2警報システムA2に設けた第2連動警報アダプタ16から第1通信プロトコルに従った信号を受信する。この第1通信プロトコルは、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30(小電力セキュリティシステム無線局の無線設備標準規格)又はSTD−T67(特定小電力無線局テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備の標準規格)に準拠する。この火災連動信号は、送信元を示す送信元符号、グループ符号、事象符号、制御コマンド等を含む形式とする。
【0046】
報知部26は、スピーカ、LED及びそれぞれの駆動回路を備え、必要に応じ警報制御部20の指示によりスピーカから警報音を出力すると共にLEDにより警報表示を行う。操作部28は警報音及び又は警報表示を停止するための操作を受け付ける警報停止スイッチなどの各種スイッチを備える。
【0047】
警報制御部20は、CPUのプログラム実行などにより実現する機能であり、次の火災警報制御、火災復旧制御、及び警報停止制御等を行う。
【0048】
(火災警報制御)
警報制御部20は、センサ部22から出力した温度又は煙濃度の検知信号をAD変換により読み込み、所定の閾値以上の場合に火災を検知し、報知部26から連動元を示す火災警報を出力させる制御を行う。この場合の火災警報として例えば「ピー ピー ピー 火事です 火事です」といった音声メッセージをスピーカから繰り返し出力すると共にLEDを例えば点灯して行う。
【0049】
また、警報制御部20は、報知部26から災警報を出力させた場合、第1通信プロトコルに従った第1火災連動信号を生成し、第1通信部24に指示し、他の第1住警器10−2〜10−4へ第1火災連動信号を送信させる制御を行い、当該第1火災連動信号を受信した他の住警器10−2〜10−4で連動先を示す火災警報を出力させる。
【0050】
この場合の連動先を示す火災警報としては例えば「ピー ピー ピー 別の警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージをスピーカから繰り返し出力すると共にLEDを例えば点灯して行う。
【0051】
また、警報制御部20は、第1通信部24を介して他の第1住警器10−2〜10−4の何れかが送信した第1火災連動信号の有効受信を検知した場合、報知部26からの連動先を示す火災警報を出力させる制御を行う。この場合の連動先を示す火災警報も例えば「ピー ピー ピー 別の警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージをスピーカから繰り返し出力すると共にLEDを例えば点灯して行う。
【0052】
ここで、火災警報音の内の「ピー ピー ピー」の部分は例えば約2KHzから約3KHzまでの範囲で周波数を変化させるスイープ音としている。また火災警報音の音圧は規格上定められた所定の音圧以上であり、例えば90dB/mの音圧とする。
【0053】
また、警報制御部20は、第1通信部24を介して第2警報システムA2に設けた第2連動警報アダプタ16が送信した第1火災連動信号の有効受信を検知した場合、報知部26からの連動先を示す火災警報を出力させる制御を行う。この場合の連動先を示す火災警報も例えば「ピー ピー ピー 別の警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージをスピーカから繰り返し出力すると共にLEDを例えば点灯して行う。
【0054】
また、報知制御部20は、第1通信部24を介して第2連動警報アダプタ16が送信した第1火災連動信号の有効受信を検知した場合の火災連動警報として、例えば「ピー ピー ピー 別の住宅で火災を検知しました 確認してください」といった音声メッセージをスピーカから繰り返し出力すると共にLEDを例えば点灯する制御を行うこともできる。ここで「別の住宅」は火災を検知した第2警報システムA2の場所を特定する情報である。
【0055】
即ち、第2住警器12の火災警報音を検知して第2連動警報アダプタ16から第1住警器10へ送信する第1火災連動信号には、送信元の第2連動警報アダプタ16を特定するための符号(送信元符号)が含まれている。そして、第2連動警報アダプタ16を特定する符号と火災警報の音声メッセージ内容とは、初期設定等によって第1住警器10のメモリ内で関連付けておく。このため、上記のように火災警報を出力した住警器を認識し、これに対応して、火災連動警報の音声メッセージは例えばその設置場所を示す情報を含めた内容とすることができる。
【0056】
なお、「信号の有効受信を検知」とは、受信した信号に含まれるグループ符号が、受信装置である自己のメモリに予め登録したグループ符号に一致して自己に宛てた信号と認識し、更に、信号内容としても異常が無いことを認識したことを意味する。
【0057】
(火災復旧制御)
警報制御部20は、センサ部22の検出信号に基づき温度又は煙濃度が閾値を下回る状態が例えば所定時間継続した場合或いは例えば所定回数連続した場合、火災の復旧(火災検知状態が解消したこと)を検知し、報知部26からの連動先を示す火災警報出力を停止させると共に、火災復旧連動信号を生成し、第1通信部24に指示し、当該火災復旧連動信号を他の第1住警器10−2〜10−4へ送信させる制御を行い、これを受信した他の第2住警器に、連動先を示す火災警報出力を停止させる。
【0058】
また警報制御部20は、第1通信部24を介して他の第1住警器10−2〜10−4の何れかが送信した火災復旧連動信号の有効受信を検知した場合に、報知部26からの連動先を示す火災警報出力を停止させる制御を行う。
【0059】
(警報停止制御)
警報制御部20は、連動元として火災警報の出力中に操作部28の警報停止スイッチで受け付けた警報停止操作を検知した場合、報知部26からの連動元を示す火災警報出力を停止させると共に、警報停止連動信号を生成し、第1通信部24に指示し、当該警報停止連動信号を他の第1住警器10−2〜10−4へ送信させる制御を行い、これを受信した他の第1住警器10−2〜10−4に、連動先を示す火災警報出力を停止させる。
【0060】
また警報制御部20は、第1通信部24を介して他の第1住警器10−2〜10−4の何れかが送信した警報停止連動信号の有効受信を検知した場合に、報知部26からの連動先を示す火災警報出力を停止させる制御を行う。
【0061】
(中継制御)
警報制御部20は、他の第1住警器10−2〜10−4の何れかから火災、復旧、警報停止等の連動信号の有効受信を検知した場合、例えば当該連動信号に含まれる中継回数符号の数から中継回数を取得し、所定の閾値中継回数未満であれば中継回数を1つ増加して中継し、閾値中継回数に一致したら中継を終了する制御を行う。
【0062】
[第2住警器12の構成]
図3は親機となる第2住警器12−1の機能構成の概略を示したブロック図であり、他の第2住警器12−2〜12−4も同様となる。
【0063】
図3において、第2住警器12−1は、警報制御部30、センサ部32、アンテナ35を備えた第2通信部34、報知部36、操作部38を備え、図示しない電池電源により動作する。
【0064】
第2住警器12−1の警報制御部30、センサ部32、第2通信部34、報知部36、操作部38は、図2の第1住警器10−1に設けた警報制御部20、センサ部22、第1通信部24、報知部26、操作部28の場合と基本的に同様であるが、第2通信部が第1通信プロトコルとは異なる所定の第2通信プロトコルに従って信号を送受信する点、警報制御部30による異なるメッセージ内容の火災警報音を出力する点、及び親子方式に従った通信制御を行う点などで相違する。
【0065】
第2通信部34は、他の第2住警器12−2〜12−4との間で所定の第2通信プロトコルに従って信号を送受信すると共に、第1警報システムA1に設けた第1連動警報アダプタ14から第2通信プロトコルに従った第2火災連動信号を受信する。この第2通信プロトコルは、第1通信プロトコルの場合と同様、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30(小電力セキュリティシステム無線局の無線設備標準規格)又はSTD−T67(特定小電力無線局テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備の標準規格)に準拠する。この第2火災連動信号は、送信元を示す送信元符号、グループ符号、事象符号、制御コマンド等を含むが、第1連動信号とは形式が相違し、互換性はない。
【0066】
警報制御部30は、CPUのプログラム実行などにより実現する機能であり、次の火災警報制御、火災復旧制御、及び警報停止制御等を行う。
【0067】
(火災警報制御)
警報制御部30は、センサ部32から出力した温度又は煙濃度の検知信号をAD変換により読み込み、所定の閾値以上の場合に火災を検知し、報知部36から連動元を示す火災警報を出力させる制御を行う。この場合の火災警報として例えば「ピュー ピュー 火事です 火事です」や「ピー ヒュー ヒュー 火事です 火事です」といった音声メッセージをスピーカから繰り返し出力すると共にLEDを例えば点灯して行う。
【0068】
また、警報制御部30は、報知部36から災警報を出力させた場合、第2通信プロトコルに従った第2火災連動信号を生成し、第2通信部34に指示し、他の第2住警器12−2〜12−4へ第2火災連動信号を送信させる制御を行い、当該第2火災連動信号を受信した他の住警器で連動先を示す火災警報を出力させる。
【0069】
この場合の連動先を示す火災警報としては例えば「ピュー ピュー 別の警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージをスピーカから繰り返し出力すると共にLEDを例えば点灯して行う。
【0070】
また、警報制御部30は、第2通信部34を介して他の第2住警器12−2〜12−4の何れかが送信した第2火災連動信号の有効受信を検知した場合、報知部36からの連動先を示す火災警報を出力させる制御を行う。この場合の連動先を示す火災警報も例えば「ピュー ピュー 別の警報器が作動しました 確認してください」や「ピー ヒュー ヒュー 別の警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージをスピーカから繰り返し出力すると共にLEDを例えば点灯して行う。
【0071】
ここで、火災警報音の内の「ピュー ピュー」や「ピー ヒュー ヒュー」の部分は例えば約2KHzから約3KHzまでの範囲で周波数を変化させるスイープ音としている。また火災警報音の音圧は規格上定められた所定の音圧以上であり、例えば90dB/mの音圧とする。
【0072】
また、警報制御部30は、第2通信部34を介して第1警報システムA1に設けた第1連動警報アダプタ14が送信した第2火災連動信号の有効受信を検知した場合、報知部36からの連動先を示す火災警報を出力させる制御を行う。この場合の連動先を示す火災警報も例えば「ピュー ピュー 別の警報器が作動しました 確認してください」や「ピー ヒュー ヒュー 別の警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージをスピーカから繰り返し出力すると共にLEDを例えば点灯して行う。
【0073】
また、報知制御部30は、第2通信部34を介して第1連動警報アダプタ14が送信した第2火災連動信号の有効受信を検知した場合の火災連動警報として、例えば「ピュー ピュー 別の住宅で火災を検知しました 確認してください」や「ピー ヒュー ヒュー 別の住宅で火災を検知しました 確認してください」といった音声メッセージをスピーカから繰り返し出力すると共にLEDを例えば点灯する制御を行うこともできる。ここで「別の住宅」は火災を検知した第1警報システムA1を特定する情報である。
【0074】
(火災復旧制御)
警報制御部30は、センサ部32の検出信号に基づき温度又は煙濃度が閾値を下回る状態が例えば所定時間継続した場合或いは例えば所定回数連続した場合、火災の復旧を検知し、報知部36からの連動先を示す火災警報出力を停止させると共に、火災復旧連動信号を生成し、第2通信部34に指示し、当該火災復旧連動信号を他の第2住警器12−2〜12−4へ送信させる制御を行い、これを受信した他の第2住警器に、連動先を示す火災警報出力を停止させる。
【0075】
また警報制御部30は、第2通信部34を介して他の第2住警器12−2〜12−4の何れかが送信した火災復旧連動信号の有効受信を検知した場合に、報知部36からの連動先を示す火災警報出力を停止させる制御を行う。
【0076】
(警報停止制御)
警報制御部30は、連動元として火災警報の出力中に操作部38の警報停止スイッチで受け付けた警報停止操作を検知した場合、報知部36からの連動元を示す火災警報出力を停止させると共に、警報停止連動信号を生成し、第2通信部34に指示し、当該警報停止連動信号を他の第2住警器12−2〜12−4へ送信させる制御を行い、これを受信した他の第2住警器12−2〜12−4に、連動先を示す火災警報出力を停止させる。
【0077】
また警報制御部30は、第2通信部34を介して他の第2住警器12−2〜12−4の何れかが送信した警報停止連動信号の有効受信を検知した場合に、報知部36からの連動先を示す火災警報出力を停止させる制御を行う。
【0078】
(中継制御)
警報制御部30は、子機となる他の第2住警器12−2〜12−4の何れかから火災、復旧、警報停止等の連動信号の有効受信を検知した場合、当該連動信号を他の第2住警器へ中継送信する。一方、子機となる第2住警器12−2〜12−4の警報制御部30は、他の第2住警器から送信した連動信号の有効受信を検知しても、中継は行わない。
【0079】
[第1連動警報アダプタ14の構成]
図4図1の第1警報システムA1に配置した第1住警器10−1の近傍に設けた第1連動警報アダプタ14の機能構成の概略を示したブロック図である。
【0080】
図4において、第1連動警報アダプタ14は、警報音検知部40、連動制御部42及びアンテナ46を接続した第2通信部44を備え、図示しない電池電源により動作する。連動制御部42は、例えばプログラムの実行により実現される機能である。ハードウェアとしてはCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路又はワイヤードロジック回路等を使用する。
【0081】
第2通信部44は、図3に示した第2住警器12−1の第2通信部34の場合と同様であり、所定の第2通信プロトコルに従って第2警報システムA2の第2住警器12との間で信号を送受信する。
【0082】
警報音検知部40は、第1住警器10−1が出力する火災警報音を検知するが、特に、火災警報音の内、音量が略一定で周波数が例えば約2KHz〜約3KHzの範囲で変化するスイープ音を検知して警報音検知信号を連動制御部42へ出力する。このため警報音検知部40には、警報音を音声信号に変換するマイク、マイクからの音声信号の内のスイープ音に対応した例えば約2KHz〜約3KHzの通過帯域周波数をもつ帯域フィルタ、帯域フィルタで抽出した信号を増幅する増幅器、増幅した音声信号の所定閾値レベルを超えた場合に出力する比較器などの回路を備え、スイープ音に対応した音声信号に基づく警報音検知信号を出力する。
【0083】
ここで第1住警器10−1の火災警報音は、「ピー ピー ピー 火事です 火事です」となり、火災警報音の内の「ピー ピー ピー」のスイープ音を警報音検知部40は検知して警報音検知信号を連動制御部42に出力する。
【0084】
また警報音検知部40は、スイープ音を含まない火災警報音以外の例えば障害警報音については、警報音検知信号を出力せず、障害警報音を検知対象から除外することができる。
【0085】
連動制御部42は、警報音検知部40から出力する警報音検知信号を読み込んで火災警報音を判別した場合、第2通信プロトコルに従った第2火災連動信号を生成し、第2通信部44に指示し、第2住警器12へ送信させる制御を行う。
【0086】
なお、第1住警器10から出力される警報音は、日常生活では発生することのない大音量の警報音であることから、警報音検知部40は、火災警報音の中のスイープ音の検知に限らず、火災警報音そのものを検知して警報音検知信号を出力するようにして良い。この場合の警報音検知部40は、警報音を音声信号に変換するマイク、マイクからの音声信号を増幅する増幅器、増幅した音声信号の所定閾値レベルを超えた場合に出力する比較器とを備えた回路とし、スイープ音を抽出する帯域フィルタは設けなくとも良い。また、マイクは、火災警報音が大音量であることから、低感度のマイクで良い。
【0087】
また、住警器10は所定の試験操作を行った場合に音量を少し下げた試験用の火災警報音を出力するが、警報音検知部40は、この試験用の火災警報音を検知して警報音検知信号を出力するようにし、これにより住警器10の試験操作に伴い連動試験を行うことができる。
【0088】
[第2連動警報アダプタ16の構成]
図5図1の第2警報システムA2に配置した第2住警器12−1の近傍に設けた第1連動警報アダプタ16の機能構成の概略を示したブロック図である。
【0089】
図5において、第2連動警報アダプタ16は、警報音検知部50、連動制御部52及びアンテナ56を接続した第1通信部54を備え、図示しない電池電源により動作する。連動制御部52は、例えばプログラムの実行により実現される機能である。ハードウェアとしてはCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路又はワイヤードロジック回路等を使用する。
【0090】
第1通信部54は、図2に示した第1住警器10−1の第1通信部24場合と同様であり、所定の第1通信プロトコルに従って第1警報システムA1の第1住警器10との間で
信号を送受信する。
【0091】
警報音検知部50は、図4の警報音検知部40の場合と同様であり、第2住警器12−1が出力する火災警報音を検知し、特に、火災警報音の内、音量が略一定で周波数が例えば約2KHz〜約3KHzの範囲で変化するスイープ音を検知して警報音検知信号を連動制御部52へ出力する。
【0092】
ここで第2住警器12−1の火災警報音は、「ピュー ピュー 火事です 火事です」や「ピー ヒュー ヒュー 火事です 火事です」となり、火災警報音の内の「ピュー ピュー」や「ピー ヒュー ヒュー」のスイープ音を警報音検知部50は検知して警報音検知信号を連動制御部52に出力する。
【0093】
連動制御部52は、警報音検知部50から出力する警報音検知信号を読み込んで火災警報音を判別した場合、第1通信プロトコルに従った第1火災連動信号を生成し、第1通信部54に指示し、第1住警器10へ送信させる制御を行う。
【0094】
それ以外の構成は、図5の第1連動警報アダプタ14の場合と同様であることから、その説明を省略する。
【0095】
[本発明の変形例]
なお、第1連動警報手段としての第1連動警報アダプタ14は、第1警報手段となる第1住警器10から出力される異常警報音を内部メモリに予め記憶できる手段を持ち、異常警報音の音圧が所定レベル以上となった場合に、予め記憶された異常警報音と第1住警器10から出力される異常警報音の周波数変動を比較し、周波数変動が一致した場合に、警報音検知信号を出力する手段を備えるようにしても良い。
【0096】
この点は第2連動警報手段としての第2連動警報アダプタ16の場合も同様であり、第2連動アダプタ16は、第2警報手段となる第2住警器12から出力される異常警報音を内部メモリに予め記憶できる手段を持ち、異常警報音の音圧が所定レベル以上となった場合に、予め記憶された異常警報音と第2住警器12から出力される異常警報音の周波数変動を比較し、周波数変動が一致した場合に、警報音検知信号を出力する手段を備えるようにしても良い。
【0097】
また、上記の実施形態は、通信可能距離にある2つの住宅に、互換性のない警報システムを配置した場合の連動を例にとるものであったが、3つ以上の住宅に異なる警報システムを配置していた場合にも、同様にして連動することができる。
【0098】
また、上記の実施形態は、第1警報システムA1と第2警報システムA2を相互に連動する双方向連動としているが、例えば第1警報システムA1の火災警報を第2警報システムA2から出力させる一方向連動としても良い。この場合の一方向連動は、第1警報システムA1に第1連動警報アダプタ14を設けるだけで良い。
【0099】
上記の実施形態は火災を検知して警報する住警器を例にとるものであったが、ガス漏れ警報器、CO警報器、各種の防犯用警報器を配置した警報システムやそれら各種の警報器を混在させて配置した警報システムについても同様に適用できる。
【0100】
また、上記の実施形態では、電池電源によって動作する住警器(警報器)を例に取ったが、電池電源以外の電源で動作するものにも本発明を適用できる。
【0101】
また、上記の実施形態は住宅用に限らずビルやオフィス用など各種用途の警報器にも適用できる。
【0102】
また本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0103】
10−1〜10−4:第1住警器
12−1〜12−4:第2住警器
14第1連動警報アダプタ
16第2連動警報アダプタ
20,30:警報制御部
22,32:センサ部
24,54:第1通信部
26,36:報知部
28,38:操作部
34,44:第2通信部
40,50:警報音検知
42,52:連動制御部
図1
図2
図3
図4
図5