(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年の電気自動車やハイブリッドカーには、高電力、高出力で、且つ、コンパクトな電源としてバッテリ集合体が搭載されている。このバッテリ集合体の複数のバッテリ(セル)間を例えば直列接続するのにバッテリ接続部材が用いられている。
【0003】
バッテリ接続部材として、たとえば、
図10〜
図15に示すのものが提案されている。
【0004】
バッテリ集合体は、プラス電極とマイナス電極を有する複数のバッテリから構成されている。複数のバッテリは、隣り合うバッテリ同士では、プラス電極とマイナス電極がほぼ同一面内で交互配列となるよう配置されている。このように配置された複数のバッテリを直列接続するのに、バッテリ接続部材が用いられる。
【0005】
バッテリ接続部材1は、バッテリの各電極(図示せず)にそれぞれ接続する複数の端子2,3,4と、各端子2,3,4に一部重ね合うよう配置された複数の電圧検出用端子5と、複数の端子2,3,4及び電圧検出用端子5を収容するケース10とを備えている。
【0006】
複数の端子2,3,4は、バスバーより形成されている。複数の端子2,3,4は、2つのエンド用の端子2と、4つの短寸法の電極連結用の端子3と、7つの長寸法の電極連結用の端子4とから成る。2つのエンド用の端子2は、一つのボルト用穴2aを有し、直列接続のバッテリの最端電極(図示せず)にそれぞれナット締めされる。一方のエンド用の端子2には、パワー用端子(図示せず)が電圧検出用端子5と共に共締めされる。他方のエンド用の端子2には、パワー用端子(図示せず)のみが共締めされる。二種類の各電極連結用の端子3,4は、それぞれ二つのボルト用穴3a,4aを有し、隣接するバッテリの各電極(図示せず)にナット締めで接続される。各電極連結用の端子3,4には、電圧検出用端子5がそれぞれ共締めされる。複数の電圧検出用端子5は、各端子2,3,4に重なり合う位置にボルト用穴5aを有する。
【0007】
ケース10は、絶縁性の合成樹脂より射出成形によって形成されている。ケース10は、上記した複数の端子2,3,4及び電圧検出用端子5を嵌合する端子固定部11を有する。端子固定部11は、
図10及び
図11等で示すように、右ブロック11Aと左ブロック11Bとこれらを連結する中央連結部11Cから構成されている。右ブロック11Aでは、1つのエンド用の端子2と、3つの短寸法の電極連結用の端子3と、4つの長寸法の電極連結用の端子4と、8つの電圧検出用端子5が嵌合されている。左ブロック11Bでは、1つのエンド用の端子2と、1つの短寸法の電極連結用の端子3と、2つの長寸法の電極連結用の端子4と、4つの電圧検出用端子5が嵌合されている。中央連結部11Cでは、1つの長寸法の電極連結用の端子4が嵌合されている。
【0008】
図12及び
図13等で示すように、端子固定部11の中央連結部11Cには、絶縁カバー部12と一対の仮係止カバー部13と本係止カバー部14が一体に設けられている。
【0009】
絶縁カバー部12は、端子固定部11の下縁部よりヒンジ部12aを介して連結されている。絶縁カバー部12は、端子固定部11の開放面を被う閉位置と開放面を被わない開位置との間で回転自在に変移する。絶縁カバー部12は、係止アーム爪12bを有する。絶縁カバー部12が閉位置まで回転されると、係止アーム爪12bが端子固定部11の第1被係止部11aに係止される。
【0010】
絶縁カバー部12は、閉位置にあって外面となる側に電線ガイド部20を有する。電線ガイド部20は、一面が開放された樋状である。電線ガイド部20には、電圧検出用端子5やパワー用端子(図示せず)に接続される電線Wが配策される。これにより、電線Wは、所定経路に沿って整然と端子固定部11より引き出される。
【0011】
一対の仮係止カバー部13は、端子固定部11の上縁部より各ヒンジ部13aを介してそれぞれ連結されている。一対の仮係止カバー部13は、閉位置の電線ガイド部20の開放面を被う閉位置と開放面を被わない開位置との間でそれぞれ回転自在に変移する。閉位置では、電線ガイド部20の開放面の一部のみを被う。各仮係止カバー部13は、係止爪13bを有する。仮係止カバー部13が閉位置まで回転されると、係止爪13bが絶縁カバー部12の被係止部12cに係止される。
【0012】
本係止カバー部14は、端子固定部11の中央連結部11Cの上縁部よりヒンジ部14aを介してそれぞれ連結されている。本係止カバー部14は、閉位置の電線ガイド部20の開放面を被う閉位置と開放面を被わない開位置との間で回転自在に変移する。閉位置では、電線ガイド部20の開放面のほぼ全域を被う。本係止カバー部14は、係止アーム爪14bを有する。本係止カバー部14が閉位置まで回転されると、係止アーム爪14bが端子固定部11の第2被係止部11bに係止される。
【0013】
次に、バッテリ接続部材1の組み付け手順を説明する。尚、バッテリ接続部材1のバッテリの各電極への固定作業は、省略する。
【0014】
先ず、射出成形により形成されたケース10の端子固定部11に端子2,3,4及び電圧検出用端子5をそれぞれ嵌合する。端子固定部11の中央連結部11Cには、
図13(a)、(b)に示すように、絶縁カバー部12、仮係止カバー部13及び本係止カバー部14を共に開位置として電極連結用の端子4を嵌合する。
【0015】
次に、
図14(a)、(b)に示すように、絶縁カバー部12を開位置から閉位置に回転する。すると、係止アーム爪12bが第1被係止部11aに係止され、絶縁カバー部12が閉位置にロックされる。これにより、絶縁カバー部12によって端子固定部11の開放面が被われる。
【0016】
次に、
図14(a)、(b)にて仮想線で示すように、電線ガイド部20内に電線Wを配策する。
【0017】
次に、
図15(a)、(b)に示すように、一対の仮係止カバー部13を開位置から閉位置に回転する。すると、係止爪13bが被係止部12cに係止され、各仮係止カバー部13が閉位置にロックされる。これにより、一対の仮係止カバー部13によって電線ガイド部20の開放面が一部だけ被われる。又、電線ガイド部20に配策された電線Wは、電線ガイド部20内より脱落することがないよう仮保持される。
【0018】
次に、
図12に示すように、本係止カバー部14を開位置から閉位置に回転する。すると、係止アーム爪14bが第2被係止部11bに係止され、本係止カバー部14が閉位置にロックされる。これで、完了する。
【0019】
以上説明したように、ケース10は、複数の端子2,3,4を固定する端子固定部11と、端子固定部11の開放面を被う閉位置に回転によって変移できるように支持され、且つ、閉位置の外面側に電線ガイド部20を有する絶縁カバー部12とを有する。従って、端子固定部11の上方に重なる位置に電線ガイド部20が配置されるため、電線ガイド箇所のバッテリ接続部材1の幅寸法D(
図12(a)に示す)を小さくできる。
【0020】
ケース10は、閉位置の電線ガイド部20の開放面を被う閉位置に回転によって変移できるように支持された本係止カバー部14を有する。従って、閉位置の絶縁カバー部12は、開位置方向への変移が本係止カバー部14によって規制されるため、絶縁カバー部12が開位置に変位することによる端子4の絶縁不良を防止できる。また、電線ガイド部20の開放面が本係止カバー部14で塞がれるため、電線Wの電線ガイド部20からの脱落を防止できる。つまり、本係止カバー部14は、絶縁ケース部12の本係止機能と、電線ガイド部20の蓋機能(電線Wの脱落防止機能)を有する。
【0021】
ケース10は、本係止カバー部14の開位置にあって、閉位置の電線ガイド部20の開放面側に位置し、且つ、電線ガイド部20をロックする閉位置に回転によって変移できるように支持された一対の仮係止カバー部13を有する。従って、本係止カバー部14を閉位置に変移させる前作業段階にあって、一対の仮係止カバー部13を閉位置に変移することにより、絶縁カバー部12が開位置方向に変移するのを防止できるため、作業性が向上する。また、組み付け作業過程にあって、電線ガイド部20に配策した電線Wの脱落を防止できる。つまり、仮係止カバー部13は、絶縁ケース部12の仮係止機能と、電線ガイド部20の仮蓋機能(電線Wの仮脱落防止機能)を有する。
【0022】
なお、上述した従来の技術文献に関連する文献としてたとえば特許文献1を掲げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の実施形態に係るバスバーモジュールの概略構成を三角法で示した図であり、(a)は上面図であり、(b)は正面図であり、(c)は下面図である。
【
図2】
図1と同様な、本発明の実施形態に係るバスバーモジュールの概略構成を示す図である。
【
図3】
図1と同様な、本発明の実施形態に係るバスバーモジュールの概略構成を示す図である。
【
図4】
図1と同様な、本発明の実施形態に係るバスバーモジュールの概略構成を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るバスバーモジュールの概略構成を示す斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るバスバーモジュールの概略構成を示す斜視図である。
【
図7】変形例に係るバスバーモジュールの概略構成を示す斜視図である。
【
図8】変形例に係るバスバーモジュールの概略構成を示す斜視図である。
【
図9】変形例に係るバスバーモジュールの概略構成を示す斜視図であって、
図5(b)に対応した図である。
【
図10】従来のバッテリ接続部材の概略構成を示す図である。
【
図11】従来のバッテリ接続部材の概略構成を示す図である。
【
図12】従来のバッテリ接続部材の概略構成を示す図である。
【
図13】従来のバッテリ接続部材の概略構成を示す図である。
【
図14】従来のバッテリ接続部材の概略構成を示す図である。
【
図15】従来のバッテリ接続部材の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
バスバーモジュール(たとえばバッテリ接続部材)51は、従来のものと同様に、たとえば、複数のバッテリを直列接続するために用いられるものであり、
図1や
図5等で示すように、絶縁性の合成樹脂製でありたとえば射出成形によって形成されたケース(ハウジング)53と、バスバー等の金属材(図示せず)とを備えて構成された本体部55を有する。
【0035】
なお、成形されたケース53に金属材を嵌合等させて設置することで、もしくは、ケース53を金属材にインサート成形すること等によって、ケース53と金属材とが一体化している。
【0036】
ここで金属材として、バッテリの各電極(図示せず)にそれぞれ接続する複数の端子と、これらの端子に一部重ね合うよう配置された複数の電圧検出用端子等を掲げることができる。これらの端子は、ケース53に設けられた端子固定部57に設置されている。
【0037】
本体部55には、カバーで覆うことが必要かもしくはカバーで覆うことが好ましい保護すべき第1の部位59と、カバーで覆うことが必要かもしくはカバーで覆うことが好ましい保護すべき第2の部位61とが設けられている。各部位59,61は、たとえばお互いが接近して配置されている。
【0038】
第1の部位59として、たとえば、電線等の配線配索路(電線等の配線を所定の経路に沿って設置するための部位)を掲げることにする。第2の部位61として、たとえば、カシメボルト付きバスバー部(バスバーと雄ネジがケース53から露出している部位)を掲げることにする。
【0039】
また、バッテリ接続部材51は、第1のヒンジカバー63と第2のヒンジカバー65と第3のヒンジカバー67とを備えて構成されている。
【0040】
第1のヒンジカバー63は、第1のヒンジ部(たとえば他の部分よりも薄いセルフヒンジで構成されたヒンジ部)69を介して本体部55のケース53に直接的もしは間接的につながっている。第2のヒンジカバー65は、第2のヒンジ部(たとえば他の部分よりも薄いセルフヒンジで構成されたヒンジ部)71を介して本体部55のケース53に直接的もしは間接的につながっている。第3のヒンジカバー67は、第3のヒンジ部(たとえば他の部分よりも薄いセルフヒンジで構成されたヒンジ部)73を介して本体部55のケース53に直接的もしは間接的につながっている。
【0041】
また、各ヒンジカバー63,65,67と各ヒンジ部69,71,73とは、ケース53と同じ合成樹脂製であり(合成樹脂で構成されており)、本体部55のケース53と一体成形されている。
【0042】
例を掲げてさらに詳しく説明すると、各ヒンジ部69,71,73のうちの1つのヒンジ部(第2のヒンジ部71)を介して各ヒンジカバー63,65,67のうちの1つのヒンジカバー(第2のヒンジカバー65)が、本体部55のケース53に直接つながっている。
【0043】
また、各ヒンジ部69,71,73のうちの他の1つのヒンジ部(第1のヒンジ部69)を介して各ヒンジカバー63,65,67のうちの他の1つのヒンジカバー(第1のヒンジカバー63)が、第2のヒンジカバー65に直接つながっており、各ヒンジ部69,71,73のうちのさらなる他の1つのヒンジ部(第3のヒンジ部73)を介して各ヒンジカバー63,65,67のうちのさらなる他の1つのヒンジカバー(第3のヒンジカバー67)が、第1のヒンジカバー63に直接つながっている。すなわち、各ヒンジ部69,71,73と各ヒンジカバー63,65,67のそれぞれが、第2のヒンジ部71、第2のヒンジカバー65、第1のヒンジ部69、第1のヒンジカバー63、第3のヒンジ部73、第3のヒンジカバー67の順に直列的につながって本体部55のケース53から突出している。
【0044】
一体成形がされたままの初期状態(各ヒンジ部69,71,73での曲げが一切なされていない状態)では、本体部55のケース53(少なくともケース53におけるヒンジ部71近傍の部位)と各ヒンジカバー63,65,67と各ヒンジ部69,71,73とにアンダーカット部が非存在になっている。
【0045】
すなわち、本体部55のケース53と各ヒンジカバー63,65,67と各ヒンジ部69,71,73とをたとえばモールド成形で一体成形するための金型には、アンギュラピン等を用いたスライド構造が設けられていない。また、上記金型は、パーティングラインのところでお互いが接触し離反する単純な構成の上型と下型とで構成されている。
【0046】
さらに説明すると、
図1(b)の紙面の奥に下型が存在し、
図1(b)の紙面の手前に上型が存在し、上型が下型に対して相対的に、
図1(b)の紙面に直交する方向に移動するだけで、ケース53と各ヒンジカバー63,65,67と各ヒンジ部69,71,73とが成形されるようになっている。
【0047】
バッテリ接続部材51では、第2のヒンジカバー65を第2のヒンジ部71で所定の角度(たとえば180°)だけ曲げることで、第2のヒンジカバー65の少なくとも一部の部位が第1の部位59を覆うように構成されている。
【0048】
また、バッテリ接続部材51では、第1のヒンジカバー63を第1のヒンジ部69で所定の角度(たとえば90°)だけ曲げ、第3のヒンジカバー67を第3のヒンジ部73で所定の角度(たとえば180°)だけ曲げることで、第3のヒンジカバー67の少なくとも一部の部位が第2の部位61を覆うように構成されている。
【0049】
ここで、バッテリ接続部材51についてさらに詳しく説明する。
【0050】
説明の便宜のために、空間におけるお互いが直交する3つの方向を、縦方向、横方向、高さ方向とする。
【0051】
一体成形がされたままの初期状態では、
図1等で示すように、第1のヒンジ部69における直線状の曲げ線(縦方向に延伸している第1の曲げ線)L1と第2のヒンジ部71における直線状の曲げ線と(縦方向に延伸している第2の曲げ線)L2はお互いが平行に延伸しており、第3のヒンジ部73における直線状の曲げ線(横方向に延伸している第3の曲げ線)L3が、第1のヒンジ部69における直線状の曲げ線(第1の曲げ線)L1と直交している。
【0052】
また、さらには、第1の曲げ線L1と第2の曲げ線L2と第3の曲げ線L3とは、たとえば、1つの平面上に存在しているか、もしくは、1つの平面から僅かに離れて存在している。
【0053】
第1の部位(樹脂製の配線配索路)59は、ケース53と一体成形されて、「L」字状で樋状に形成されており、縦方向で本体部55の一端側に配置され、横方向で本体部55の中間部に配置されている。また、配線配索路59は、高さ方向の上側(
図1(b)等では、紙面の手前側)に開口している(
図5(a)も併せて参照)。
【0054】
さらに、「L」字状の配線配索路59の一方の延伸部位は、縦方向に延伸しており、「L」字状の配線配索路59の他方の延伸部位は、横方向に延伸している。そして、一方の延伸部位の一端(縦方向における一端)と、他方の延伸部位に他端(横方向における他端)とがお互いにつながっている。
【0055】
これにより、電線(図示せず)は、配線配索路59の一方の延伸部位の縦方向の他端から配線配索路59に入り、配線配索路59内で延伸して「L」字状に曲がり、配線配索路59の他方の延伸部位の横方向の一端から出るようになっている。
【0056】
第2の部位(カシメボルト付きバスバー部)61は、バスバー75とバスバー75に一体的に設けられバスバー75から突出しているオスネジ77とを備えて構成されている(
図2(b)、
図5(b)等参照)。
【0057】
カシメボルト付きバスバー部61は、樹脂製の配線配索路59の近傍に配置されている。さらに説明すると、カシメボルト付きバスバー部61は、縦方向では、配線配索路59よりも他端側に配置されており、横方向では、配線配索路59よりも一端側に配置されている。オスネジ77は、横方向に延出している。
【0058】
カシメボルト付きバスバー部61は、ケース53の成形後にバスバー75をケース53の所定の部位に嵌合させることで、ケース53(本体部55)と一体化している。
【0059】
ここで、一体成形がされたままの初期状態における、各ヒンジカバー63,65,67と各ヒンジ部69,71,73との位置関係等について説明する。
【0060】
第2のヒンジ部71は、
図1(b)等で示すように、樋状の配線配索路59の一方の延伸部位の開口部の縁(横方向の他端側に位置している直線状の縁)に設けられている。第2のヒンジカバー65は、「L」字な平板状に形成されており、厚さ方向が高さ方向になっているとともに、第2のヒンジ部71を間にして、「L」字状の配線配索路59に対してほぼ対称になっている。
【0061】
第1のヒンジ部69は、
図1(b)等で示すように、第2のヒンジカバー65の端部(横方向の他端側に位置している直線状の端部)に設けられている。第1のヒンジカバー63は、矩形状の2枚の平板79,81を「L」字状に接続した形態になっている。
【0062】
一方の平板79は、この厚さ方向が高さ方向になっており、他方の平板81は、この厚さ方向が横方向になっている。各平板79,81がつながっている角部が、第2のヒンジ部71の位置とほぼ一致している。また、一方の平板79は、第2のヒンジ部71から、横方向他端側に突出しており、他方の平板81は、第2のヒンジ部71から、高さ方向上側に突出している(
図5(a)も併せて参照)。
【0063】
第3のヒンジ部73は、
図1(b)等で示すように、第1のヒンジカバー63の一方の平板79の端部(縦方向の一端側に位置している直線状の端部)に設けられている。第3のヒンジカバー67は、矩形状の開口部を備えた枡状に形成されており、高さ方向下側に開口している(
図5(a)も併せて参照)。また、第3のヒンジ部73は、第3のヒンジカバー67の開口部の1つの辺(縦方向で他端側に存在している1つの辺)のところに位置している。
【0064】
また、第2のヒンジカバー65には、被係止部83が設けられており、本体部55のケースには、第2のヒンジカバー65の被係止部83を係止する係止部85が設けられている。そして、第2のヒンジ部71のところ(第2の曲げ線L2)で、第2のヒンジカバー65をたとえば180°曲げ、係止部85で被係止部83を係止することで、第2のヒンジカバー65が固定され、配線配索路59の開口部が第2のヒンジカバー65で蓋されるようになっている。
【0065】
第3のヒンジカバー67には、被係止部87が設けられており、本体部55のケースには、第3のヒンジカバー67の被係止部87を係止する係止部89が設けられている。そして、第1のヒンジ部69のところ(第1の曲げ線L1)で、第1のヒンジカバー63をたとえば90°曲げ、第3のヒンジ部73のところ(第3の曲げ線L3)で、第3のヒンジカバー67をたとえば90°曲げ、係止部89で被係止部87を係止することで、第3のヒンジカバー67が固定され、カシメボルト付きバスバー部61が第3のヒンジカバー67で覆われるようになっている。
【0066】
カシメボルト付きバスバー部61が第3のヒンジカバー67で覆われていても、第3のヒンジカバー67に設けられている切り欠き91を電線が通ることで、カシメボルト付きバスバー部61から第3のヒンジカバー67の外部に電線を延ばすことができるようになっている。
【0067】
なお、第1のヒンジカバー63に被係止部(図示せず)を設け、第2のヒンジカバー65に係止部(図示せず)を設け、第1のヒンジ部69のところで、第1のヒンジカバー63をたとえば90°曲げたときに、第1のヒンジカバー63の被係止部が第2のヒンジカバー65の係止部に係止され、第1のヒンジカバー63が第2のヒンジカバー65に固定されるようにしてもよい。
【0068】
さらに詳しく説明すると、
図5(a)に示すものでは、平板81が、第1のヒンジ部69から、高さ方向上側に突出しているが(
図1では紙面の手前側突出しているが)、平板81を、第1のヒンジ部69(平板79)から、高さ方向下側に突出させてもよい(
図1の紙面の奥側に突出させてもよい)。
【0069】
ここで、第1のヒンジカバー63の被係止部を、平板79から高さ方向下側に突出した平板81に設けてもよい。
【0070】
そして、第1のヒンジ部69のところで、第1のヒンジカバー63をたとえば90°曲げたとき、
図9で示すように、平板81が第2のヒンジカバ−65に重なり、平板81に設けられている被係止部が第2のヒンジカバ−65に設けられている係止部に係止されるように構成してもよい。
【0071】
次に、各ヒンジカバー63,65,67によって配線配索路59、カシメボルト付きバスバー部61を覆う手順について説明する。
【0072】
まず、
図1、
図5(a)、
図6(a)で示す初期状態で、本体部55のケース53にバスバー75とオスネジ77を設置し(カシメボルト付きバスバー部61を生成し)、第1の曲げ線L1で第1のヒンジカバー63(第3のヒンジ部73、第3のヒンジカバー67を含む)を90°曲げると
図2、
図5(b)、
図6(b)で示すようになる。この状態では、第3のヒンジカバ−67は、横方向の一端側に開口している。
【0073】
続いて、第2の曲げ線L2で第2のヒンジカバー65(第1のヒンジ部69、第1のヒンジカバー63、第3のヒンジ部73、第3のヒンジカバー67を含む)を180°曲げると
図3、
図5(c)、
図6(c)で示すようになる。この状態では、被係止部83が係止部85に係止されて、第2のヒンジカバー65が固定され第2のヒンジカバー65で配線配索路59にカバーがされており、第3のヒンジカバ−67は、横方向他端側に開口している。
【0074】
続いて、第3の曲げ線L3で第3のヒンジカバー67を180°曲げると
図4で示すようになる。この状態では、被係止部87が係止部89に係止されて、第3のヒンジカバー67が固定され第3のヒンジカバー67でカシメボルト付きバスバー部61にカバーがされている。
【0075】
バッテリ接続部材51によれば、ヒンジカバーで覆う部位59,61の数に比べて、ヒンジカバー63,65,67やヒンジ部69,71,73の数が1つ多くなっているので、各ヒンジカバー63,65,67と各ヒンジ部69,71,73とのケース53に対する配置の形態(ヒンジカバー63,65,67やヒンジ部69,71,73の向き等)に制約が生じることが回避され、保護すべき部位59,61を覆うヒンジカバー63,65,67とヒンジ部69,71,73との設置の形態の自由度を高めることができる。
【0076】
また、バッテリ接続部材51によれば、ヒンジカバー63,65,67やヒンジ部69,71,73の数を多くし、本体部55のケース53とヒンジカバー63,65,67とヒンジ部69,71,73とにアンダーカット部が存在していない形態にしてあることで、バッテリ接続部材51(ケース53とヒンジカバー63,65,67とヒンジ部69,71,73)の成形に使用する金型の構造を簡素化することができる。
【0077】
また、バッテリ接続部材51によれば、電線等の配線配索路(配索経路)59をヒンジカバー65で覆うように構成されているので、配索経路内を通っている電線が配索経路から飛び出してしまうことを防ぐことができ、電線のかみこみやショート(短絡)を防止することができる。
【0078】
また、バッテリ接続部材51によれば、カシメボルト付きバスバー部61(電極)をヒンジカバー67で覆うように構成されているので、カシメボルト付きバスバー部61が保護されることは当然であるが、ヒンジカバー67をヒンジ部73で適宜曲げることで、カシメボルト付きバスバー部61を覆いもしくは露出させることができる。これにより、電極に外部機器を接続する作業やバッテリの整備作業がしやすくなっている。
【0079】
ところで、配線配索路59、カシメボルト付きバスバー部61、ヒンジカバー63,65,67、ヒンジ部69,71,73の、本体部55のケース53に対する位置を適宜変更してもよい。たとえば、
図7、
図8に示すように、縦方向の他端側に、配線配索路59、カシメボルト付きバスバー部61、ヒンジカバー63,65,67、ヒンジ部69,71,73を配置した構成であってもよい。また、各ヒンジ部、各ヒンジカバー部の配置の形態(接続順序等)や各ヒンジ部における曲げの形態(たとえば曲げ角度等)を適宜変更してもよい。
【0080】
なお、上述したバッテリ接続部材1は、金属材と合成樹脂製のケースとを備えて構成された本体部に、単数もしくは複数の部位(カバーで覆うことが必要かもしくはカバーで覆うことが好ましい保護すべき部位)が設けられているバスバーモジュールにおいて、前記部位の数よりに多い数の(たとえば1つ多い)ヒンジ部を介して、前記保護すべき部位の数よりも多い数の(たとえばヒンジ部と同数の)ヒンジカバーが前記本体部のケースに直接的もしは間接的につながっており(たとえば、前記各ヒンジ部と前記各ヒンジカバーのそれぞれが、直列的につながって前記本体部のケースから突出しており)、前記各ヒンジカバーと前記各ヒンジ部とは、ケースと同じ合成樹脂製であり前記本体部のケースと一体成形されており、前記各ヒンジ部のそれぞれで所定の角度だけ前記各ヒンジカバーのそれぞれを曲げることで、前記保護すべき部位が覆われるように構成されている(前記部位が複数の場合、各部位のそれぞれが、各ヒンジカバーのそれぞれで覆われるように構成されている)バスバーモジュールの例である。
【0081】
また、このバスバーモジュールでは、1つのヒンジカバーが余るのであるが、この余ったヒンジカバーは単なる接続部として機能するようになっており、前記部位を必ずしも覆っている必要は無い。