特許第5973302号(P5973302)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5973302
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】積層体
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20160809BHJP
   H01L 21/683 20060101ALN20160809BHJP
【FI】
   B32B27/00 C
   B32B27/00 L
   B32B27/00 M
   !H01L21/68 N
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-214912(P2012-214912)
(22)【出願日】2012年9月27日
(65)【公開番号】特開2014-69344(P2014-69344A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年4月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉下 芳昭
【審査官】 増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−182815(JP,A)
【文献】 特開2007−039510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
C09J 7/00−7/04
H01L 21/683
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の形状の接着シートと、
前記接着シートの一方の面側に仮着された第1剥離シートと、
前記接着シートの他方の面側に仮着された第2剥離シートと
前記接着シートの面方向外側に設けられたスペーサ部とを備え、
前記スペーサ部の一方の面側および他方の面側に第1剥離シートおよび第2剥離シートが仮着され、
前記第1剥離シートと前記接着シートとの間には、それらの仮着力が前記第2剥離シートと当該接着シートとの仮着力に比べて大なる仮着力となる第1仮着力増大領域が設けられ
前記第2剥離シートと前記スペーサ部との間には、それらの仮着力が前記第1剥離シートと当該スペーサ部との仮着力に比べて大なる仮着力となる第2仮着力増大領域が設けられていることを特徴とする積層体。
【請求項2】
所定の形状の接着シートと、
前記接着シートの一方の面側に仮着された第1剥離シートと、
前記接着シートの他方の面側に仮着された第2剥離シートと
前記接着シートの面方向外側に設けられたスペーサ部とを備え、
スペーサ部の一方の面側および他方の面側に第1剥離シートおよび第2剥離シートが仮着され、
前記第2剥離シートと前記接着シートとの間には、それらの仮着力が前記第1剥離シートと当該接着シートとの仮着力に比べて小なる仮着力となる第1仮着力減少領域が設けられ
前記第1剥離シートと前記スペーサ部との間には、それらの仮着力が前記第2剥離シートと当該スペーサ部との仮着力に比べて小なる仮着力となる第2仮着力減少領域が設けられ、
前記接着シート、前記第1仮着力減少領域および第2仮着力減少領域は、それらの平面形状が前記第1剥離シートおよび前記第2剥離シートよりも小さく形成されていることを特徴とする積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
帯状のダイボンディングシートと、当該ダイボンディングシートの一方の面側に仮着された帯状のベースシートと、当該ダイボンディングシートの他方の面側に仮着された帯状のカバーシートとにより構成されたシート基材を用い、ダイボンディングシートをウェハに貼付するシート貼付装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
剥離シート上の接着シートとは異なる位置に保護材を積層した積層体は、例えば、特許文献2に開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−306516号公報
【特許文献2】特開2004−35836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたシート貼付装置に採用されるシート基材は、先ずカバーシートのみを剥離してから、その後、接着シートをウェハに貼付しなければならないので、接着シートがカバーシートと共に剥離してしまわないように、ベースシートと接着シートとの仮着力をカバーシートと接着シートとの仮着力よりも大きく設定しなければならない。また、特許文献1に記載されたシート貼付装置に、特許文献2に記載のような積層体が採用された場合は、各剥離シートと接着シートとの仮着力のみならず、各剥離シートと保護材との仮着力をも考慮しなければならない。つまり、このような積層体(少なくとも3層構造の積層体)は、当該積層体から一または複数の積層体構成物を剥離したときに、各積層体構成物をどこに仮着させて剥離するかという剥離後の層形態(以後「剥離後層形態」と言う)が明確になっていないためこのような不都合を招来する。
【0005】
本発明の目的は、剥離後層形態を明確にできる積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の積層体は、所定の形状の接着シートと、前記接着シートの一方の面側に仮着された第1剥離シートと、前記接着シートの他方の面側に仮着された第2剥離シートと、前記接着シートの面方向外側に設けられたスペーサ部とを備え、前記スペーサ部の一方の面側および他方の面側に第1剥離シートおよび第2剥離シートが仮着され、前記第1剥離シートと前記接着シートとの間には、それらの仮着力が前記第2剥離シートと当該接着シートとの仮着力に比べて大なる仮着力となる第1仮着力増大領域が設けられ、前記第2剥離シートと前記スペーサ部との間には、それらの仮着力が前記第1剥離シートと当該スペーサ部との仮着力に比べて大なる仮着力となる第2仮着力増大領域が設けられている、という構成を採用している。
【0008】
一方、本発明の別の積層体は、所定の形状の接着シートと、前記接着シートの一方の面側に仮着された第1剥離シートと、前記接着シートの他方の面側に仮着された第2剥離シートと、前記接着シートの面方向外側に設けられたスペーサ部とを備え、スペーサ部の一方の面側および他方の面側に第1剥離シートおよび第2剥離シートが仮着され、前記第2剥離シートと前記接着シートとの間には、それらの仮着力が前記第1剥離シートと当該接着シートとの仮着力に比べて小なる仮着力となる第1仮着力減少領域が設けられ、前記第1剥離シートと前記スペーサ部との間には、それらの仮着力が前記第2剥離シートと当該スペーサ部との仮着力に比べて小なる仮着力となる第2仮着力減少領域が設けられ、前記接着シート、前記第1仮着力減少領域および第2仮着力減少領域は、それらの平面形状が前記第1剥離シートおよび前記第2剥離シートよりも小さく形成されている、という構成を採用している。
【発明の効果】
【0010】
以上のような本発明の積層体によれば、第1剥離シートと接着シートとの間に第1仮着力増大領域を設け、また、本発明の別の積層体によれば、第2剥離シートと接着シートとの間に第1仮着力減少領域を設けたので、いずれの積層体においても、第2剥離シートを剥離するときに、接着シートが当該第2剥離シートと共に第1剥離シートから剥離してしまうことを防止でき、剥離後層形態を明確にできる。
【0011】
また、本発明の積層体において、第2剥離シートとスペーサ部との間に第2仮着力増大領域を設け、また、本発明の別の積層体において、第1剥離シートとスペーサ部との間に第2仮着力減少領域を設ければ、いずれの積層体においても、第2剥離シートを剥離するときに、スペーサ部が第1剥離シート上に仮着された状態のまま第2剥離シートだけが剥離してしまうことを防止でき、剥離後層形態を明確にできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(A)は本発明の第1実施形態に係る積層体の斜視図、(B)は(A)の断面図。
図2】第1実施形態および第2実施形態に係るシート貼付装置の正面図。
図3】(A)は本発明の第2実施形態に係る積層体の斜視図、(B)は(A)の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
第1実施形態における積層体LS1は、図1に示すように、所定の形状の接着シートASと、接着シートASの面方向外側に設けられたスペーサ部SPと、接着シートASの一方の面(図1(B)中上面)側およびスペーサ部SPの一方の面(図1(B)中上面)側に仮着された第1剥離シートRL1と、接着シートASの他方の面(図1(B)中下面)側およびスペーサ部SPの他方の面(図1(B)中下面)側に仮着された第2剥離シートRL2と、第1剥離シートRL1と接着シートASとの間に設けられ、それらの仮着力が第2剥離シートRL2と接着シートASとの仮着力に比べて大なる仮着力となる第1仮着力増大領域PR1と、第2剥離シートRL2とスペーサ部SPとの間に設けられ、それらの仮着力が第1剥離シートRL1と当該スペーサ部SPとの仮着力に比べて大なる仮着力となる第2仮着力増大領域PR2とを備えて構成されている。
【0014】
接着シートASは、単体の接着剤層からなり、1μm〜5000μm程度の厚みを有するものが例示でき、それ以上の厚みでもよいしそれ以下の厚みのものでもよく、第1仮着力増大領域PR1と第2剥離シートRL2との間に所定の間隔で設けられている。
スペーサ部SPは、帯状に構成されるとともに、接着シートASの外周に対応した円弧状の凹部SPAを備え、第2仮着力増大領域PR2と第1剥離シートRL1との間に設けられている。スペーサ部SPを構成するものとしては、接着シートASと同じ組成、構成のもの、紙、樹脂、ニス、印刷用インキ等で構成されるもの、また、それらを適宜組み合わせたもの等が例示でき、熱風、紫外線、赤外線、マイクロ波、冷風、自然風等の定着化エネルギーによって硬化可能なもの用いてもよい。
第1および第2剥離シートRL1、RL2は、1μm〜5000μm程度の厚みを有するものが例示でき、それ以上の厚みでもよいしそれ以下の厚みのものでもよく、紙、樹脂等で構成されるもの、また、それらを適宜組み合わせたもの等の帯状部材で構成され、少なくとも一方の面(図2(B)中向き合う双方の面)にシリコン処理等の剥離剤が積層されている。なお、第1または第2仮着力増大領域PR1、PR2が積層される部分には剥離剤がなくてもよい。
【0015】
第1および第2仮着力増大領域PR1、PR2は、0μm〜5000μm程度の厚みを有するものが例示でき、それ以上の厚みでもよい。第1および第2仮着力増大領域PR1、PR2は、第1および第2剥離シートRL1、RL2上に接着剤やプライマを塗布したり、第1および第2剥離シートRL1、RL2の剥離剤の表面に凹凸処理を施したり、接着シートASまたはスペーサ部SPを仮着した部分を加熱処理したりすることで形成でき、それらは同じ組成、構成のものでもよいし、異なる組成、構成のものでもよい。
第1仮着力増大領域PR1は、第1剥離シートRL1の中央において長手方向に沿って設けられ、当該第1仮着力増大領域PR1と接着シートASとの仮着力は、被着体としてのウェハWFと接着シートASとの接着力よりも小さく設定されている。
第2仮着力増大領域PR2は、スペーサ部SPに形成された凹部SPAに対応した凹部PR2Aを備え、第2剥離シートRL2の両側において長手方向に沿って設けられている。
【0016】
次に、積層体LS1の接着シートASを被着体としてのウェハWFに貼付するシート貼付装置について説明する。
なお、以下において、基準となる図を挙げることなく、例えば、上、下、左、右、または、前、後といった方向を示した場合は、全て図2を正規の方向(付した番号が適切な向きとなる方向)から観た場合を基準とし、上、下、左、右方向が紙面に平行な方向であり、前が紙面に直交する手前方向、後が紙面に直交する奥方向とする。
【0017】
シート貼付装置1は、積層体LS1を繰り出す繰出手段2と、積層体LS1を層間剥離する第1剥離手段3と、第1剥離手段3で層間剥離され、接着シートASが仮着された第1剥離シートRL1上から接着シートASをウェハWFに押圧して貼付する押圧手段7と、ウェハWFに貼付された接着シートASから第1剥離シートRL1を剥離する第2剥離手段8とを備え、図示しない減圧ポンプや真空エジェクタ等の吸引手段によってウェハWFを支持する支持面91を備えたテーブル92の上方においてその全体が図示しないフレームに支持されている。
【0018】
繰出手段2は、積層体LS1を支持する支持ローラ21と、ガイドローラ22と、駆動機器としての回動モータ23によって駆動する駆動ローラ24と、駆動機器としての回動モータ25によって駆動され、積層体LS1から第2剥離シートRL2上に第2仮着力増大領域PR2を介してスペーサ部SPが仮着された不要積層体LS8および、接着シートASが剥離された使用済み積層体LS9を巻き取る駆動ローラ26と、駆動ローラ26との間に使用済み積層体LS9を挟み込むピンチローラ27と、駆動機器としての回動モータ28によって駆動され、使用済み積層体LS9を回収する回収ローラ29とを備えている。
【0019】
第1剥離手段3は、不要積層体LS8が巻き掛けられた剥離ローラ31と、ガイドローラ32と、駆動機器としての回動モータ33によって駆動し、不要積層体LS8を回収する回収ローラ34とを備えている。
【0020】
押圧手段7は、駆動機器としてのリニアモータ71の第1スライダ72に支持された駆動機器としてのリニアモータ73と、リニアモータ73のスライダ74に回転可能に支持された押圧ローラ75とを備えている。
【0021】
第2剥離手段8は、リニアモータ71の第2スライダ76に支持された駆動機器としてのリニアモータ81と、リニアモータ81のスライダ82に駆動機器としての回動モータ83を介して支持された剥離ローラ84と、剥離ローラ84との間に使用済み積層体LS9を挟み込むピンチローラ85とを備えている。
【0022】
以上のシート貼付装置1において、ウェハWFに接着シートASを貼付する手順を説明する。
先ず、オペレータが積層体LS1を図2に示すようにセットする。その際、剥離ローラ31を境に積層体LS1を不要積層体LS8と接着シートASが仮着された使用済み積層体LS9とに分けるとき、第1仮着力増大領域PR1と接着シートASとの仮着力が第2剥離シートRL2と接着シートASとの仮着力よりも大きく、また、第2仮着力増大領域PR2とスペーサ部SPとの仮着力が第1剥離シートRL1とスペーサ部SPとの仮着力よりも大きいため、接着シートASは、簡単に第2剥離シートRL2から剥離される一方、スペーサ部SPは、簡単に第1剥離シートRL1から剥離され、オペレータに何の技術も強要することなく不要積層体LS8と、接着シートASが仮着された使用済み積層体LS9とが形成される。
そして、繰出手段2が各回動モータ23、25、28を駆動し、第2剥離手段8が回動モータ83を駆動するとともに、第1剥離手段3が回動モータ33を駆動し、積層体LS1を繰り出して接着シートASが所定の位置に到達したことが図示しない検知手段に検知されると、繰出手段2、第2剥離手段8、第1剥離手段3が各回動モータ23、25、28、83、33の駆動を停止する。
【0023】
その後、図示しない搬送手段によってテーブル92の支持面91上にウェハWFが載置されると、図示しない吸引手段が駆動し、当該ウェハWFを吸着保持する。これにより、図2に示すように、接着シートASの直下にウェハWFが位置することとなる。
そして、押圧手段7がリニアモータ73、71を駆動し、押圧ローラ75を下降させるとともに、当該押圧ローラ75を右方向に移動させることで、接着シートASが第1剥離シートRL1上から押圧されてウェハWFに貼付される。その後、押圧ローラ75が図2中二点鎖線で示す位置に到達したことが図示しない検知手段に検知されると、押圧手段7がリニアモータ71の駆動を停止する。
【0024】
次いで、第2剥離手段8がリニアモータ81を駆動し、剥離ローラ84およびピンチローラ85を下降させた後、回動モータ83を駆動し、剥離ローラ84を回転させると同時に、押圧手段7がリニアモータ71を駆動し、各ローラ84、85を右方向に移動させる。これにより、第1剥離シートRL1が接着シートASから剥離され、接着シートASがウェハWFに貼付される。その後、各ローラ84、85が図2中二点鎖線で示す位置に到達したことが図示しない検知手段に検知されると、押圧手段7および第2剥離手段8がリニアモータ71および回動モータ83の駆動を停止した後、リニアモータ73、81を駆動し、押圧ローラ75および各ローラ84、85を上昇させる。
次いで、図示しない吸引手段が停止し、ウェハWFの吸着保持を解除した後、図示しない搬送手段が接着シートが貼付されたウェハWFを保持して別の工程へと搬送する。
【0025】
そして、第2剥離手段8が回動モータ83を停止させた状態で、押圧手段7がリニアモータ71を駆動し、押圧ローラ75および各ローラ84、85を図2中実線で示す位置まで復帰させる。この移動に同期して繰出手段2が各回動モータ23、25、28を駆動し、支持ローラ21から積層体LS1を繰り出して回収ローラ29で使用済み積層体LS9を巻き取るとともに、第1剥離手段3が回動モータ33を駆動し、不要積層体LS8を回収ローラ34で巻き取る。このとき、積層体LS1の剥離後層形態が明確にされているので、新たな接着シートASが第2剥離シートRL2に接着した状態で第1剥離シートRL1から剥離されることなく、確実に第1剥離シートRL1に仮着された状態でウェハWFに対向可能な位置に搬送される。そして、以降上述と同様の動作が繰り返される。
【0026】
以上のような第1実施形態によれば、第1剥離シートRL1と接着シートASとの間に第1仮着力増大領域PR1を設けたので、第2剥離シートRL2を剥離するときに、接着シートASが当該第2剥離シートRL2に接着して第1剥離シートRL1から剥離することを防止でき、剥離後層形態を明確にできる積層体LS1を提供することができる。
【0027】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態の積層体LS2は、第1実施形態の積層体LS1に対し、第1仮着力増大領域PR1および第2仮着力増大領域PR2の代わりに、第1仮着力減少領域PL1および第2仮着力減少領域PL2を設けた点が相違する。
すなわち、積層体LS2は、図3に示すように、所定の形状の接着シートASと、接着シートASの面方向外側に設けられたスペーサ部SPと、接着シートASの一方の面(図3(B)中上面)側およびスペーサ部SPの一方の面(図3(B)中上面)側に仮着された第1剥離シートRL1と、接着シートASの他方の面(図3(B)中下面)側およびスペーサ部SPの他方の面(図3(B)中下面)側に仮着された第2剥離シートRL2と、第2剥離シートRL2と接着シートASとの間に設けられ、それらの仮着力が第1剥離シートRL1と接着シートASとの仮着力に比べて小なる仮着力となる第1仮着力減少領域PL1と、第1剥離シートRL1とスペーサ部SPとの間に設けられ、それらの仮着力が第2剥離シートRL2と当該スペーサ部SPとの仮着力に比べて小なる仮着力となる第2仮着力減少領域PL2とを備えて構成されている。
【0028】
第1および仮着力減少領域PL1、PL2は、例えば第1および第2仮着力増大領域PR1、PR2と同様の厚みおよび形状の帯状に形成することができ、シリコン樹脂、フッ素樹脂、長鎖アルキル樹脂等の剥離剤の種類によってコントロールしたり、剥離剤の重合のさせ方や剥離剤の組成を異ならせることによってコントロールして形成できる。
【0029】
このような積層体LS2を図2に示すシート貼付装置1に採用した場合にでも、剥離ローラ31を境にして、積層体LS2を第2剥離シートRL2上にスペーサ部SPおよび第1仮着力減少領域PL1が仮着された不要積層体と、接着シートASが仮着され第1剥離シートRL1上に第2仮着力減少領域PL2が仮着された使用済み積層体とに分けるとき、更には、図2に示すシート貼付装置1の自動運転中において、接着シートASは、簡単に第2剥離シートRL2から剥離され、スペーサ部SPは、簡単に第1剥離シートRL1から剥離され、不要積層体と使用済み積層体とが形成される。
【0030】
以上のような第2実施形態によれば、第2剥離シートRL2と接着シートASとの間に第2仮着力減少領域PL1を設けたので、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0031】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0032】
積層体LS1、LS2において、第1仮着力増大領域PR1、第1仮着力減少領域PL1を第1剥離シートRL1の長手方向に沿って帯状に設けたが、接着シートASと同じ形状あるいは接着シートASより若干大きい円形や多角形の枚葉状として、点在させてもよい。
また、第2仮着力増大領域PR2に形成した凹部SPAに対応した凹部PR2Aや、第2仮着力減少領域PL2に形成した凹部SPAに対応した凹部PL2A(説明省略図示のみ)を備えることなく直線的な帯状に形成してもよい。
さらには、積層体LS1、LS2を複数枚の接着シートASが仮着された帯状としたが、1枚の積層体LS1、LS2に1枚の接着シートASが仮着された枚葉状としてもよい。
また、上記実施形態では、シート貼付装置1を用いて積層体LS1、LS2の接着シートASをウェハWFに貼付したが、オペレータが手作業で接着シートASをウェハWFに貼付してもよい。
さらに、上述の第1実施形態において、第2剥離シートRL2と接着シートASとの間に、それらの仮着力が第1剥離シートRL1と接着シートASとの仮着力に比べて小なる仮着力となる第2実施形態と同等の第1仮着力減少領域PL1を設けてもよいし、第1剥離シートRL1とスペーサ部SPとの間に、それらの仮着力が第2剥離シートRL2とスペーサ部SPとの仮着力に比べて小なる仮着力となる第2実施形態と同等の第2仮着力減少領域PL2を設けてもよい。
また、上述の第2実施形態において、第1剥離シートRL1と接着シートASとの間に、それらの仮着力が第2剥離シートRL2と接着シートASとの仮着力に比べて大なる仮着力となる第1実施形態と同等の第1仮着力増大領域PR1を設けてもよいし、第2剥離シートRL2とスペーサ部SPとの間に、それらの仮着力が第1剥離シートRL1とスペーサ部SPとの仮着力に比べて大なる仮着力となる第1実施形態と同等の第2仮着力増大領域PR2を設けてもよい。
【0033】
また、本発明における接着シートASの種別や材質などは、特に限定されず、例えば、前記実施形態のように、単体の接着剤層からなるもの以外に、基材シートと接着剤層とからなる2層のものや、基材シートと接着剤層との間に中間層を有するものや、他の層を有する等3層以上のものでもよい。また、半導体ウェハは、シリコン半導体ウェハや化合物半導体ウェハ等が例示でき、このような半導体ウェハに貼付する接着シートは、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルムに限らず、その他の任意のシート、フィルム、テープ等、任意の用途、形状のシート等が適用できる。さらに、被着体が光ディスクの基板であって、接着シートが記録層を構成する樹脂層を有したものであってもよい。また、被着体としては、ガラス板、鋼板、樹脂板、基板等や、その他の部材のみならず、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。さらに、ウェハの表面にパターン回路が形成されたものも対象とすることができる。
【0034】
前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダおよびロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【符号の説明】
【0035】
AS…接着シート
LS1、LS2…積層体
PL1、PL2…第1および第2仮着力減少領域
PR1、PR2…第1および第2仮着力増大領域
RL1、RL2…第1および第2剥離シート
SP…スペーサ部
図1
図2
図3