特許第5973310号(P5973310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5973310
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 16/04 20060101AFI20160809BHJP
   H02K 21/16 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   H02K16/04
   H02K21/16 M
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-227124(P2012-227124)
(22)【出願日】2012年10月12日
(65)【公開番号】特開2014-82806(P2014-82806A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2015年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】512264884
【氏名又は名称】花井 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】花井 道明
【審査官】 三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−194086(JP,A)
【文献】 特開昭61−218355(JP,A)
【文献】 実開昭62−061171(JP,U)
【文献】 特開2005−278291(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0248231(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0171451(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 16/04
H02K 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円周方向に間隔を空けて配置した複数の外周側マグネットと、外周側マグネットの内周側で円周方向に間隔を空けて配置した複数の内周側マグネットと、外周側マグネットと内周側マグネットとの間に設けた外周側ロータと、内周側マグネットの内周側に設けた内周側ロータと、各ロータの回転中心に設けて各ロータに固定したシャフトとを備え、
各外周側マグネットは内周面と外周面とで磁極を異にしてあり且つ内周面には円周方向に間隔をあけて配置した少なくとも2つの第1層電磁石が設けてあり、
各内周側マグネットは、内周面と外周面とで磁極を異にしてあり且つ外周面には円周方向に間隔をあけて配置した少なくとも2つの第2層電磁石が設けてあり、内周面には円周方向に間隔をあけて配置した少なくとも2つの第3層電磁石が設けてあり、
外周側ロータには第1層電磁石に対向する磁性体製の複数の第1層突起部と、第2層電磁石に対向する磁性体製の複数の第2層突起部とが円周方向に間隔をあけて設けてあり、
内周側ロータには第3層電磁石に対向する磁性体製の複数の第3層突起部が円周方向に間隔をあけて設けてあり、
各マグネットに設けた電磁石には円周方向に隣り合う電磁石が異なる磁極となるように電流を流すと共に円周方向に沿って配置したマグネットの各電磁石に順次電流を流すことを特徴とするモータ。
【請求項2】
各第1層電磁石、第2層電磁石及び第3層電磁石は、半径方向に並んで設けてあることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
第1層突起部と、第2層突起部と、第3層突起部とは、各々円周方向の寸法が対向する電磁石の円周方向の寸法の略半分にしてあり、且つ第1層電磁石、第2層電磁石及び第3層電磁石において各々、円周方向で隣合う電磁石間の間隔の少なくとも一つは他の隣合う電磁石間の間隔と異なることを特徴とする請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
第1層電磁石、第2層電磁石及び第3層電磁石において各々、円周方向に隣合う電磁石は互い逆向きにコイルを巻いて形成してあることを特徴とする請求項3に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定子となるマグネットに電磁石を設けて、ロータに作用する磁力を増幅したり、弱めたりすることにより駆動するいわゆるソーヤー(Sawyer)の原理を利用したモータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、多数の磁性歯(磁性体製の突設部)を円方向に間隔をあけて配置した歯列を備えるステータと、ステータの各磁性歯に対向する多数の磁性歯を円周方向に間隔をあけて配置した歯列を備えるロータを設け、ステータ歯列とロータ歯列を対向して設けると共にステータ歯列とロータ歯列との間に環状のコイルを配置し、コイルに通電したときの電磁力によりロータを回転することが開示されている(従来技術1)。
更に、特許文献1には、ロータの磁性歯列にマグネットを用いてトルクを高めることが開示されている(従来技術2)。
【0003】
一方、固定子となるマグネットに複数の電磁石を並べて設け、電磁石の磁極を順次変えることにより、対向して設けた移動体の突起部(歯部)を水平移動させるソーヤーの原理を用いた平面リニアモータが公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−259309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のモータにおいて、上述した従来技術1では、環状のコイルに電流を流すことにより生じる磁力のみで駆動しているので、得られるトルクが小さいという不都合がある。
これに対して、従来技術2では、マグネットの磁力とコイルで生じた磁力で駆動しているが、ロータの各磁性歯にマグネットを用いているので、多数のマグネットが必要になり、構成が複雑になると共に得られるトルクにも限界があり、トルクを高くしようとすれば、大型になるという問題がある。
また、ソーヤーの原理を用いたモータは移動体を水平移動させるものであり、シャフトが回転するモータに利用したものは、従来なかった。
【0006】
そこで、本発明は、簡易な構成で且つ小型で、高いトルクを得ることができるモータの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、円周方向に間隔を空けて配置した複数の外周側マグネットと、外周側マグネットの内周側で円周方向に間隔を空けて配置した複数の内周側マグネットと、外周側マグネットと内周側マグネットとの間に設けた外周側ロータと、内周側マグネットの内周側に設けた内周側ロータと、各ロータの回転中心に設けて各ロータに固定したシャフトとを備え、各外周側マグネットは内周面と外周面とで磁極を異にしてあり且つ内周面には円周方向に間隔をあけて配置した少なくとも2つの第1層電磁石が設けてあり、各内周側マグネットは、内周面と外周面とで磁極を異にしてあり且つ外周面には円周方向に間隔をあけて配置した少なくとも2つの第2層電磁石が設けてあり、内周面には円周方向に間隔をあけて配置した少なくとも2つの第3層電磁石が設けてあり、外周側ロータには第1層電磁石に対向する磁性体製の複数の第1層突起部と、第2層電磁石に対向する磁性体製の複数の第2層突起部とが円周方向に間隔をあけて設けてあり、内周側ロータには第3層電磁石に対向する磁性体製の複数の第3層突起部が円周方向に間隔をあけて設けてあり、各マグネットに設けた電磁石には円周方向に隣り合う電磁石が異なる磁極となるように電流を流すと共に円周方向に沿って配置したマグネットの各電磁石に順次電流を流すことを特徴とするモータである。
【0008】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、各第1層電磁石、第2層電磁石及び第3層電磁石は、半径方向に並んで設けてあることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載された発明は、請求項2に記載の発明において、第1層突起部と、第2層突起部と、第3層突起部とは、各々円周方向の寸法が対向する電磁石の円周方向の寸法の略半分にしてあり、且つ第1層電磁石、第2層電磁石及び第3層電磁石において各々、円周方向で隣合う電磁石間の間隔の少なくとも一つは他の隣合う電磁石間の間隔と異なることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載された発明は、請求項3に記載の発明において、第1層電磁石、第2層電磁石及び第3層電磁石において各々、円周方向に隣合う電磁石は互い逆向きにコイルを巻いて形成してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明では、第1層電磁石と、第2層電磁石と、第3層電磁石とにおいて、各円周方向に隣り合う電磁石を交互に異なる磁極に励磁することにより、一方の電磁石はマグネットの磁力と同じ磁極にして磁力を高め、他方の電磁石はマグネットの磁力を打ち消すように作用する。このように、各電磁石の励磁を円周方向で順次行うことにより、対向する突起部をマグネットと同じ磁極の電磁石に順次引き付けて、各ロータに回転力が作用し、少なくとも3層で生じる回転力によりシャフトを回転する。
本発明によれば、外側ロータが第1層突起部と第2層突起部とで回転力を受け、内側ロータは第3層突起部で回転力を受けるので、少なくとも3層で回転力を受けることができるから、シャフトは高いトルクで回転できる。
シャフトに固定した外側ロータと、内側ロータと、外周側マグネットと、内周側マグネットとは、同心円状に配置しているので、シャフトの軸線方向の寸法が大きくならないで、小型にできる。
各突起部は磁性体でできているだけなので、上述した従来技術2のように突起部や突起に対応して多数のマグネットを必要としないので、構成が簡易である。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様な効果を奏すると共に、位置決めが容易にできると共に構成が簡易であり、製造し易い。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明と同様な効果を奏すると共に、任意の停止位置から駆動するときに、各第1層突起部、第2層突起部及び第3層突起部において、少なくとも一つの突起部が電磁石から円周方向にずれて位置するので、駆動時に死点となるのを防止できる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明と同様な効果を奏すると共に、直列にして電流を流すことができるので、電流の制御が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態に係るモータの横断面図であり、駆動時の作用を説明する図である。
図2】本発明の実施の形態に係るモータの横断面図であり、駆動時の作用を説明する図である。
図3】本発明の実施の形態に係るモータの横断面図であり、駆動時の作用を説明する図である。
図4】本発明の実施の形態に係るモータの横断面図であり、駆動時の作用を説明する図である。
図5】本発明の実施の形態に係るモータを図1のA−A位置で切断して示す縦断面図である。
図6】本発明の実施の形態に係るモータを図1のB−B位置で切断して示す縦断面図である。
図7】本発明の実施の形態に係るモータにおいて、組み付け前の状態を示す縦断面図である。
図8】本発明の実施の形態に係るモータに流す電流の波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1図5及び図6に示すように、本発明の実施の形態に係るモータ1は、ファンモータ等としても用いられるモータであって、ケーシング3、ケーシング3の内周面に固定された2つの外周側マグネット5a、5b及び2つの内周側マグネット7a、7bで構成されるステータと、シャフト9に固定された外側ロータ11及び内側ロータ13で構成されるロータとを備えている。
ケーシング3は磁性体でできており、円筒形状の側板3aと、対向する端板3b、3cとで構成されており、端板3b、3cに各々シャフト9がベアリング15により回転自在に支持されている。
【0017】
図1に示すように、外周側マグネット5a、5bは、円周方向に間隔をあけて設けてあり、円周方向で対応する端部間の間隔M1、M2(図2参照)は異なる寸法にしてある。
一方の外周側マグネット5aは内周側をN極に外周側をS極にしてあり、他方の外周側マグネット5bは内周側をS極に外周側をN極にしてあり、一方の外周側マグネット5aと他方の外周側マグネット5bとは内周側と外周側とで互いに磁極を異にしている。
一方の外周側マグネット5aの内周面には第1電磁石17と第2電磁石19とが円周方向に間隔E1(図2参照)をあけて設けてあり、他方の外周側マグネット5bの内周面には第3電磁石21と第4電磁石23とが間隔E2(図2参照)をあけて設けてある。E1及びE2は略同じ寸法である。尚、第2電磁石19と第3電磁石21との間隔E3(図2参照)及び第4電磁石23と第1電磁石17との間の間隔E4(図2参照)は、E1及びE2よりも広い寸法にしてある。各電磁石17、19、21、23は各々コア材25にコイルを巻回している。本実施の形態では、第1電磁石17〜第4電磁石23が第1層電磁石である。
【0018】
第1電磁石17と第2電磁石19とはコイルの巻き方向を互いに逆向きにしてあり、第3電磁石21と第4電磁石23もコイルの巻き方向を互いに逆向きにしてある。
2つの内周側マグネット7a、7bは、外周側マグネット5a、5bの内周側に設けてあり且つ外周側マグネット5a、5bに対応して同じ角度の領域R1とR2(図2参照)に配置されている。内周側マグネット7a、7bは、円周方向に間隔をあけて設けてあり、円周方向で対応する端部間の間隔N1、N2(図2参照)は異なる寸法にしてある。
一方の内周側マグネット7aは外周側をS極とし内周側をN極としてあり、他方の内周側マグネット7bは外周側をN極とし内周側をS極として、内周側と外周側とで互いに異なる磁極としている。
【0019】
一方の内周側マグネット7aの外周面には第5電磁石25と第6電磁石27とが円周方向に間隔J1(図2参照)をあけて設けてあり、他方の内周側マグネット7bの外周面には第7磁石29と第8電磁石31とが間隔J2(図2参照)をあけて設けてある。J1及びJ2は略同じ寸法である。尚、第6電磁石27と第7電磁石29との間隔J3及び第8電磁石31と第5電磁石25との間の間隔J4は、J1及びJ2よりも広い寸法にしてある。各電磁石25、27、29、31は各々コア材24にコイルを巻回して構成されている。
第5電磁石25と第6電磁石27とはコイルの巻き方向を逆向きにしてあり、第5電磁石25と第6外層側電磁石27もコイルの巻き方向を逆向きにしてある。
【0020】
一方の内周側マグネット7aの内周面には、第9電磁石33と第10電磁石35とが円周方向に間隔K1(図2参照)をあけて設けてあり、他方の内周側マグネット7bの内周面には第11磁石37と第12電磁石39とが間隔K2(図2参照)をあけて設けてある。K1及びK2は略同じ寸法である。尚、第10電磁石35と第11電磁石37との間隔K3及び第12電磁石39と第9電磁石33との間の間隔K4は、K1及びK2よりも広い寸法にしてある。各電磁石25、27、29、31は各々コア材24にコイルを巻回して構成されている。
【0021】
次に、ロータについて説明する。ロータはシャフト9と、シャフト9に固定された外側ロータ11と、内側ロータ13とにより構成されている。
外側ロータ11は、円筒形状の外側ロータ本体11aと、外側ロータ本体11aから略等間隔で外周側に突設した7つの第1層突設部(歯)41a〜41gと、外側ロータ本体11aから略等間隔で内周側に突設した7つの第2層突設部(歯)43a〜43gとが設けてある。各第1層突設部41a〜41gと、第2層突設部43a〜43gとは円周方向において同位置に設けてある。また、各第1層突設部41a〜41gの各円周方向の寸法F(図2参照)は対向する電磁石の円周方向の寸法Gの略半分の寸法にしてある。例えば、第1層突設部41aの円周方向の寸法Fは、第1電磁石17の円周方向の寸法Gの略半分であり、第2層突設部43aの円周方向の寸法Fも、第5電磁石25の円周方向の寸法Gの略半分の寸法にしている。
【0022】
内側ロータ13は、円筒形状の内側ロータ本体13aと、内側ロータ本体13aから略等間隔で外周側に突設した7つの第3層突設部45a〜45gが設けてある。各第3層突設部45a〜45gは、各々対応する対向第1層突設部41a〜41g及び第2層突設部43a〜43gと円周方向に同じ角度位置に設けてある。また、各第3層突設部45a〜45gの各円周方向の寸法Fは、第1層及び第2層の場合と同様に、対向する第3層電磁石の円周方向の寸法Gの略半分の寸法にしてある。
各第1層突設部41a〜41g、第2層突設部43a〜43g、第3層突設部45a〜45gの半径方向への突出寸法は、対向する電磁石との間に隙間を形成する寸法としてある。
また、各電磁石には、図8に示すように、交流電流a、bが90度位相をずらして供給されるようになっている。
【0023】
次に、本実施の形態にかかるモータ1の組み立てについて説明する。
モータ1の組み立て前の状態では、図7に示すように、以下のように第1ユニット53と、第2ユニット55との2つのユニットに分割してある。
第1ユニット53では、外側ロータ11の一端が支持部材51を介してシャフト9に固定してあり、内側ロータ13はシャフト9の外周面に固定してあり、外側ロータ11及び内側ロータ13はシャフト9と一体に回転するようにしてある。シャフト9の一端は一方の端板3bにベアリング15を介して取り付けてある。
【0024】
第2ユニット55では、他方の端板3cに側板3aが固定してあり、側板3aの内周面には、一方及び他方の外周側マグネット5a、5bが固定されている。また、他方の端板3cには、外側ロータ11の端部に設けたベアリング50を取り付けるベアリング保持部52が形成されている。ベアリング保持部52の内周側には内周側マグネット7a、7bの一端が固定してあり、内周側マグネット7a、7bの他端にはベアリング49が取り付けてある。
【0025】
モータ1の組み立ては、第1ユニット53と第2ユニット55とを嵌合する。これにより、外側ロータ11のベアリング50は第2ユニット55のベアリング保持部52に嵌合し、内側マグネット7a、7bのべアリング49は支持部材51に形成されているベアリング保持部54に嵌合して保持される。
【0026】
次に、図1図4を参照して、本実施の形態に係るモータ1の駆動、作用及び効果について説明する。
(1)図1に示すように、第1層の第1磁石17と第2磁石19、第2層の第5電磁石25と第6電磁石27、第3層の第9電磁石33と第10電磁石35とに、図8に示す交流電流aを流す。まず、交流電流aは図8に示すように正の電流が流れる。
第1層において、第1電磁石17では、内周側がN極となる磁束が生じて外周側マグネット5aの内周側でN極の磁束が加わって磁力が増幅し、第2電磁石19では、内周側がS極となる磁束が生じて外周側マグネット5aの磁束と相殺して磁力が低減される。尚、第3電磁石21及び第4電磁石23には電流は流れていない。
第1層では、第1層突起部41aは第1電磁石17の磁力に引かれて第1電磁石17に対面するように位置する。
第2層において、第5電磁石25では、外周側がS極となる磁束が生じて内周側マグネット7aの外周側にS極の磁束が加わって磁力が増幅し、第6電磁石27では、外周側がN極となる磁束が生じて内周側マグネット7aの磁束と相殺して磁力が低減される。尚、第7電磁石29及び第8電磁石31には電流は流れていない。
第2層では、第2層突起部43aは第5電磁石25の磁力に引かれて第5電磁石17に対面するように位置する。
【0027】
第3層において、第9電磁石33では、内周側がN極となる磁束が生じて内周側マグネット7aの内周側にN極の磁束が加わって磁力が増幅し、第10電磁石35では、内周側がS極となる磁束が生じて内周側マグネット7aの磁束と相殺して磁力が低減される。尚、第11電磁石37及び第12電磁石39には電流は流れていない。
第3層では、第3層突起部45aは第9電磁石33の磁力に引かれて第9電磁石33に対面するように位置する。
このように、第1層では第1層突起部41aが第1電磁石17に、第2層では第2層突起部43aが第5電磁石25、第3層では第3層突起部45aが第9電磁石33に引かれて位置しており、第1層〜第3層に至る3箇所で発生したトルクを受けてシャフト9を回転することができる。
尚、図1図4において、所定の電磁石に示す矢印は、電流の流れる方向を示している。
また、このとき、図1に示すように、第1層突起部41fは第4電磁石23から回転方向手前に少しずれた位置にあり、同様に第2層突起部43fは第8電磁石31から、第3層突起部45fは第12電磁石39から回転方向手前に少しずれた位置にある。
【0028】
(2)次に、図2に示すように、第1層の第3磁石21と第4磁石23、第2層の第7電磁石29と第8電磁石31、第3層の第11電磁石37と第12電磁石39とに、図8に示す交流電流b(交流電流aから90度ずれた交流電流)を流す。最初は交流電流bのうちの正の電流が流れる。
第1層において、第4電磁石23は、内周側がS極となる磁束が生じて外周側マグネット5bの内周側でS極の磁束が加わって磁力が増幅し、第3電磁石21では、内周側がN極となる磁束が生じて外周側マグネット5bの磁束と相殺して磁界力が低減される。尚、第1電磁石21及び第2電磁石23に流れる電流aは低減し又は流れていない。
第1層では、第1層突起部41fは第4電磁石23に引かれて第4電磁石23に対面するように位置する。
【0029】
第2層において、第8電磁石31では、外周側がN極となる磁束が生じて内周側マグネット7bの外周側にN極の磁束が加わって磁力が増幅し、第7電磁石29では、外周側がS極となる磁束が生じて内周側マグネット7bの磁束と相殺して磁力が低減される。尚、第5電磁石25及び第6電磁石27に流れる電流aは低減し又は流れていない。
第2層では、第2層突起部43fは第8電磁石31に引かれて第8電磁石31に対面するように位置する。
【0030】
第3層において、第12電磁石39では、内周側がS極となる磁束が生じて内周側マグネット7bの内周側にS極の磁束が加わって磁力が増幅し、第11電磁石37では、内周側がN極となる磁束が生じて内周側マグネット7bの磁束と相殺して磁力が低減される。尚、第9電磁石33及び第10電磁石35に流れる電流aは低減し又は流れていない。
第3層では、第3層突起部45fは第12電磁石39に引かれて第12電磁石39に対面するように位置する。
このように、第1層では第1層突起部41fが第4電磁石23に、第2層では第2層突起部43fが第8電磁石31、第3層では第3層突起部45fが第12電磁石39に引かれて位置しており、第1層〜第3層に至る3箇所で発生したトルクを受けてシャフト9を回転することができる。
【0031】
(3)続いて、図3に示すように、第1層の第1磁石17と第2磁石19、第2層の第5電磁石25と第6電磁石27、第3層の第9電磁石33と第10電磁石35とに、図8に示す電流aの負の交流電流が流れる。
第1層において、第2電磁石19では、内周側がN極となる磁束が生じて外周側マグネット5aの内周側でN極の磁束が加わって磁力が増幅し、第1電磁石17では、内周側がS極となる磁束が生じて外周側マグネット5aの磁束と相殺して磁力が低減される。
第1層では、第1層突起部41bは第2電磁石19に引かれて第2電磁石19に対面するように位置する。
第2層において、第6電磁石27では、外周側がS極となる磁束が生じて内周側マグネット7aの外周側にS極の磁束が加わって磁力が増幅し、第5電磁石25では、外周側がN極となる磁束が生じて内周側マグネット7aの磁束と相殺して磁力が低減される。尚、第7電磁石29及び第8電磁石31に流れる電流bは低減し又は流れていない。
第2層では、第2層突起部43bは第6電磁石27に引かれて第6電磁石27に対面するように位置する。
【0032】
第3層において、第10電磁石35では、内周側がN極となる磁束が生じて内周側マグネット7aの内周側にN極の磁束が加わって磁力が増幅し、第9電磁石33では、内周側がS極となる磁束が生じて内周側マグネット7aの磁束と相殺して磁力が低減される。尚、第11電磁石37及び第12電磁石39に流れる電流bは低減し又は流れていない。
第3層では、第3層突起部45bは第10電磁石33に引かれて第10電磁石35に対面するように位置する。
このとき、図3に示すように、第1層突起部41dは第3電磁石21から回転方向手前に少しずれた位置にあり、同様に第2層突起部43dは第7電磁石29から、第3層突起部45dは第11電磁石37から、各々回転方向手前に少しずれた位置にある。
このように、第1層では第1層突起部41bが第2電磁石19に、第2層では第2層突起部43bが第6電磁石27、第3層では第3層突起部45bが第10電磁石35に引かれて位置しており、第1層〜第3層に至る3箇所で発生したトルクを受けてシャフト9を回転することができる。
【0033】
(4)次に、図4に示すように、第1層の第3磁石21と第4磁石23、第2層の第7電磁石29と第8電磁石31、第3層の第11電磁石37と第12電磁石39とに、図8に示す電流bの負の電流が流れる。
第1層において、第3電磁石21では、内周側がS極となる磁束が生じて外周側マグネット5bの内周側でS極の磁束が加わって磁力が増幅し、第4電磁石23では、内周側がN極となる磁束が生じて外周側マグネット5bの磁束と相殺して磁力が低減される。
第1層では、第1層突起部41dは第3電磁石21に引かれて第3電磁石21に対面するように位置する。
第2層において、第7電磁石29では、外周側がN極となる磁束が生じて内周側マグネット7bの外周側にN極の磁束が加わって磁力が増幅し、第8電磁石31では、外周側がS極となる磁束が生じて内周側マグネット7bの磁束と相殺して磁界強度が低減される。尚、第5電磁石25及び第6電磁石27に流れる電流aは低減し又は流れていない。
第2層では、第2層突起部43dは第7電磁石29に引かれて第7電磁石29に対面するように位置する。
【0034】
第3層において、第11電磁石37では、内周側がS極となる磁束が生じて内周側マグネット7bの内周側にS極の磁束が加わって磁力が増幅し、第12電磁石39では、内周側がN極となる磁束が生じて内周側マグネット7bの磁束と相殺して磁力が低減される。尚、第9電磁石33及び第10電磁石35に流れる電流aは低減し又は流れていない。
第3層では、第3層突起部45dは第11電磁石37に引かれて第11電磁石37に対面するように位置する。
このとき、図4に示すように、第1層突起部41gは第1電磁石17から回転方向手前に少しずれた位置にあり、同様に第2層突起部43gは第5電磁石25から、第3層突起部45gは第9電磁石33から回転方向手前に少しずれた位置にある。
このように、第1層では第1層突起部41dが第3電磁石21に、第2層では第2層突起部43dが第7電磁石29、第3層では第3層突起部45dが第11電磁石37に引かれて位置しており、第1層〜第3層に至る3箇所で発生したトルクを受けてシャフト9を回転することができる。
以上のように、図1図4に示す上述した動作を繰り返してシャフト9が回転する。
【0035】
本実施の形態によれば、シャフト9は第1層から第3層の3つの層でトルクを受けて回転するので、高いトルクで回転することができる。
シャフト9に固定した外側ロータ11と、内側ロータ13と、外周側マグネット5a、5bと、内周側マグネット7a、7bとは、同心円状に配置しているので、シャフトの軸線方向の寸法を大きくすることなく、小型にできる。
第1層突起41a〜41g、第2層突起43a〜43g、第3層突起45a〜45gは各々磁性体でできておりマグネットを用いていないので、従来技術のように突起部や突起に対応して多数のマグネットを必要としないので、構成が簡易で且つ安価に製造できる。
第1層の第1電磁石17〜第4電磁石23、第2層の第5電磁石25〜第8電磁石31、第3層の第9電磁石33〜第12電磁石39は、半径方向に並んで設けてあるので位置決めが容易にできると共に構成が簡易であり、製造し易い。
【0036】
第1層突起部41a〜41g、第2層突起部43a〜43g、第3層突起部45a〜45gは、各々円周方向の寸法Fを、対向する電磁石17〜39の円周方向の寸法Gの略半分としてあり、且つ各第1層の第1電磁石17〜第4電磁石23において、円周方向で隣合う電磁石間の間隔E1、E2、E3、E4のうちE3、E4は他の円周方向で隣合う電磁石の間隔E1、E2と異なっているので、任意の停止位置から駆動するときに、各第1層突起部41a〜41g少なくとも一つの突起部が電磁石から円周方向にずれて位置することができ、駆動時に死点となるのを防止できる。同様に第2層の第5電磁石25〜第8電磁石31でも、電磁石間の間隔J1、J2に対してJ3、J4が異なっており、第3層の第9電磁石33〜第12電磁石39でも、電磁石間の間隔K1、K2に対してK3、K4が異なっているので、駆動時に死点となるのを防止できる。
【0037】
第1層の第1電磁石17〜第4電磁石23、第2層の第5電磁石25〜第8電磁石31、第3層の第9電磁石33〜第12電磁石39において、円周方向に隣合う電磁石は互い逆向きにコイルを巻いて形成しているので、隣合う2つの電磁石17及び19、21及び23と、25及び27、29及び31、33及び35、37及び39を各々直列にして電流を流すことができるので、電流の制御が容易にできる。
【0038】
本発明は、前述した実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
例えば、外周側マグネット5a、5bや内周側マグネット7a、7bは各々2つに限らず、3つや4つでも良く数は限定されない。同様に、第1電磁石17〜第12電磁石39も、各層において、円周方向に4つづつ配置したがこれに限らず、各層において円周方向に5つや6つ配置しても良く、数は限定されない。
また、電磁石は、外層電磁石(第1電磁石17〜第4電磁石23)、内層電磁石(第5電磁石25〜第8電磁石31)、中間電磁石(第9電磁石33〜第12電磁石39)の3層にすることに限らず、4層や5層に設けても良い。
モータ1は、ステッピングモータとして用いるものであっても良い。
【符号の説明】
【0039】
1 モータ
5a 一方の外周側マグネット
5b 他方の外周側マグネット
11 外側ロータ
13 内側ロータ
17 第1電磁石(第1層電磁石)
19 第2電磁石(第1層電磁石)
21 第3電磁石(第1層電磁石)
23 第4電磁石(第1層電磁石)
25 第5電磁石(第2層電磁石)
27 第6電磁石(第2層電磁石)
29 第7電磁石(第2層電磁石)
31 第8電磁石(第2層電磁石)
33 第9電磁石(第3層電磁石)
35 第10電磁石(第3層電磁石)
37 第11電磁石(第3層電磁石)
39 第12電磁石(第3層電磁石)
41a〜41g 第1層突起部(外層側突起部)
43a〜43g 第2層突起部(中間層側突起部)
45a〜45g 第3層突起部(内層側突起部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8