特許第5973313号(P5973313)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5973313
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】アンモニア除去装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/76 20060101AFI20160809BHJP
   C02F 1/20 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   C02F1/76 C
   C02F1/20 B
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-227962(P2012-227962)
(22)【出願日】2012年10月15日
(65)【公開番号】特開2014-79672(P2014-79672A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2015年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000245531
【氏名又は名称】野村マイクロ・サイエンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】特許業務法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米原 崇広
(72)【発明者】
【氏名】徳安 政彦
(72)【発明者】
【氏名】小島 成隆
(72)【発明者】
【氏名】大西 彬聰
(72)【発明者】
【氏名】松浪 豊和
【審査官】 富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−066465(JP,A)
【文献】 特開昭59−130595(JP,A)
【文献】 特開昭59−062387(JP,A)
【文献】 特開2004−050105(JP,A)
【文献】 特開2001−113265(JP,A)
【文献】 特開2003−071492(JP,A)
【文献】 特開2001−221720(JP,A)
【文献】 米国特許第04435291(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/76
C02F 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不連続点塩素添加法により水中のアンモニア態窒素を除去するアンモニア除去装置であって、
前記廃水を収容する反応槽に塩素剤を添加する塩素剤添加手段と、
前記反応槽から採取した前記廃水中のガス成分を分離する気液分離手段と、
前記気液分離手段で分離されたガス成分中のアンモニアガス量を検知するアンモニアガス検知手段と、
前記アンモニアガス検知手段の検出値に基づいて前記塩素剤添加手段の添加量を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とするアンモニア除去装置。
【請求項2】
前記気液分離手段は、曝気装置を備えることを特徴とする請求項1記載のアンモニア除去装置。
【請求項3】
前記気液分離手段は、前記廃水を45〜80℃に加熱する加熱手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載のアンモニア除去装置。
【請求項4】
前記気液分離手段は、アルカリ剤を添加して前記廃水のpHを10.5以上とするpH調節手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のアンモニア除去装置。
【請求項5】
前記アンモニアガス検知手段は、複数基のアンモニアガス検知器を備えてなることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載のアンモニア除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は不連続点塩素添加法により廃水中のアンモニア態窒素を除去するアンモニア除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アンモニア態窒素(NH−N、以下同じ。)を含有する廃水の処理方法として、微生物処理方法である硝化脱窒素法や、物理化学的処理方法である不連続点塩素添加法、アンモニアストリッピング法、湿式触媒法が知られており、例えば、廃水中のアンモニア態窒素濃度に応じていずれかの方法が選択して用いられている。
【0003】
中でも、不連続点塩素添加法による廃水処理では、非定常的に排出されるアンモニア態窒素含有廃水を貯留した廃水槽から、廃水の一部を反応槽に移し、必要量の塩素剤、例えば次亜塩素酸ナトリウムを添加することで、廃水中のアンモニア態窒素を酸化分解させて窒素ガスとして除去している。
このとき、塩素剤の必要量は、廃水中のアンモニア濃度をアンモニア電極法や膜濃縮法、導電率法によって測定して決定している。
【0004】
次亜塩素酸でのアンモニア態窒素の酸化分解反応は、例えば次式のように行われる。
【0005】
【化1】
【0006】
(1)、(2)式に示されるように、廃水中のアンモニア態窒素1質量部を酸化するためには、化学量論的に7.6質量部の塩素が必要である。
【0007】
ところで、一般にアンモニアと塩素の反応には、不連続点(ブレークポイント)が存在することが知られている。
【0008】
例えば、pHが中性付近では、アンモニア態窒素に対する塩素の割合(質量比、以下同じ。)を0から徐々に増加させていくと、当初塩素の割合が増すに従って、残留塩素量が増加する。これは、アンモニアと塩素の反応生成物のほとんどがモノクロラミンとなっているためである。さらに塩素の割合を増やしていくと、残留塩素量は極大点を経て低下し、極小点、すなわち不連続点に至る。不連続点を超えて塩素の割合を増加させると、遊離塩素とトリクロラミンが増加する。このように、不連続点を超えるまでの塩素とアンモニアの反応は複雑であるだけでなく、pHによって反応生成物が変化することもある。
【0009】
また、廃水中のアンモニア態窒素濃度は変動しているため、実際には必要量より過剰の塩素剤が添加される。そして、塩素剤によるアンモニア態窒素の除去後、残留塩素を除去するため、処理水に亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム等の還元剤を添加する後工程が行われる。この反応は、例えば次式(3)により示される。
【0010】
【化2】
【0011】
しかしながら、塩素剤の過剰添加は、環境への負荷やコストを増大させるだけでなく、後工程における還元剤の添加量を増加させるという問題がある。
さらに、塩素剤の添加量が適切でないと、次式で示されるようにジクロラミン、トリクロラミン、硝酸等の副生成物が増加するおそれもある。
【0012】
【化3】
【0013】
そのため、不連続点塩素添加法による廃水処理では、塩素剤の過剰添加を防ぐために、必要量の塩素剤を分割して添加することや、酸化還元電位(ORP)を計測してアンモニアの酸化反応の終了を見極め、塩素剤の添加を終了すること、被処理水中のモノクロラミンやジクロラミンの濃度を測定することにより塩素剤の添加量を制御することが行われている。(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2001−225085号公報
【特許文献2】特開平10−28981号公報
【特許文献3】特開平10−28982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、従来の方法では、廃水中のアンモニア濃度等を分析で求め、その都度塩素剤の添加量を決定するため、多大な労力と時間を必要とする。酸化還元電位(ORP)を計測する場合においても、反応終了の目安として用いるのみで、塩素剤の添加量の適切な調節は困難である。さらに、分析に時間を要することから塩素剤の添加量を適量とすることが困難であるという問題もあった。
【0016】
本発明は前記したような問題を解決するためになされたものであり、比較的安価で簡素な装置構成で、廃水中のアンモニア態窒素の除去を効率よく行うことができ、塩素剤の過剰添加を抑制することができるアンモニア除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のアンモニア除去装置は、不連続点塩素添加法により水中のアンモニア態窒素を除去するアンモニア除去装置であって、水を収容する反応槽に塩素剤を添加する塩素剤添加手段と、前記反応槽から採取した水中のガス成分を分離する気液分離手段と、前記気液分離手段で分離されたガス成分中のアンモニアガス量を検知するアンモニアガス検知手段と、前記アンモニアガス検知手段の検出値に基づいて前記塩素剤添加手段の添加量を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0018】
本発明のアンモニア除去装置では、反応槽において廃水に塩素剤を添加してアンモニアを酸化分解する際に未反応の液中アンモニアを気液分離手段によりガス化して、このガス化したアンモニアガス量をアンモニアガス検知手段により検知する。液中アンモニアはガス化することで体積が大幅に増加するから、アンモニアガス量を精密に検知することができる。そして、該検出値に基づいて制御手段により塩素剤の添加量を比例制御する。このとき、アンモニアガス量が精密に検知されているから、比較的簡素な装置構成で、液中のアンモニア量に応じて塩素剤の添加量を連続的かつ適量に調節することができる。
【0019】
本発明のアンモニア除去装置によれば、塩素剤の添加量を適量とすることができるから、残留塩素を還元処理するための設備を簡素化又は省略することができる。
【0020】
本発明において、前記気液分離手段は曝気装置を備えることが好ましい。この場合、液中アンモニアを十分にガス化することができる。また、前記気液分離手段は、水を45〜80℃に加熱する加熱手段を備えることが好ましく、アルカリ剤を添加して水のpHを10.5以上とするpH調節手段を備えることが好ましい。この場合、安定にアンモニアガス量を検知することができるとともに、液中アンモニアを十分にガス化して検出されるアンモニアガス量と液中アンモニア態窒素濃度の相関をより高め、適時適量の塩素剤を添加することができる。
【0021】
さらに、前記アンモニアガス検知手段は複数基のアンモニアガス検知器を備えてなることが好ましい。これにより、安定にアンモニアガス量を検知することができる。
【0022】
なお、本明細書における気体量は、25℃、1気圧に換算した値である。
【発明の効果】
【0023】
本発明のアンモニア除去装置によれば、比較的安価で簡素な装置構成で、廃水中のアンモニア態窒素を効率よく除去することができ、塩素剤の過剰添加を大幅に抑制することができる。
そのため、アンモニア態窒素含有廃水の廃水処理装置を簡素化するとともに廃水処理コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態のアンモニア除去装置を用いた廃水処理のフロー図である。
図2】実施形態のアンモニア除去装置の概略構成図である。
図3】実施例における次亜塩素酸ナトリウム添加後の経過時間と残留塩素濃度、液中アンモニア態窒素濃度の関係を示すグラフである。
図4】実施例における液中アンモニア態窒素濃度とアンモニアガス検知濃度の相関関係を示すグラフである。
図5】比較例における次亜塩素酸ナトリウムの添加量と液中アンモニア態窒素濃度、残留塩素濃度、全窒素濃度の関係を示すグラフである。
図6】比較例における次亜塩素酸ナトリウムの添加量と残留塩素濃度、pHの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明によるアンモニア除去装置の一実施形態について以下に図面を参照して説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、図面中同一の機能を持つ装置は同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0026】
図1は本実施形態のアンモニア除去装置1を用いた廃水処理のフロー図である。廃水槽10に貯留されたアンモニア態窒素含有廃水は、反応槽11に流入されて塩素剤添加手段12により塩素剤が添加されるとともに撹拌され、アンモニア態窒素が酸化除去される。また、反応槽11には被処理水のpHや残留塩素濃度をそれぞれ測定するpH測定手段やORP測定手段が備えられており、不連続点塩素添加法により処理された処理水は、必要に応じて備えられる還元槽13に供給され、ここで還元処理されて系外に放流するようになっている。
【0027】
本実施形態では、アンモニア除去装置1は、反応槽11において塩素剤添加手段12による塩素剤の添加量を制御するように構成されている。
【0028】
図2に示されるアンモニア除去装置1は、反応槽11で処理された被処理水の少なくとも一部からガス成分を分離する気液分離手段(気化器21)を備えている。さらに、塩素剤添加手段12として塩素剤タンク22及び塩素剤供給ポンプ23を備えている。
【0029】
また、気化器21で分離されたガス成分中のアンモニアガス量を検出するアンモニアガス検知手段24と、アンモニアガス検知手段24の検出値により塩素剤供給ポンプ23の供給量を制御する制御手段25を備えている。
【0030】
反応槽11には、被処理水を一定流量で気化器21に流入可能とする試料ポンプ26が備えられている。試料ポンプ26としては、定量供給が容易なチューブポンプを用いることが好ましい。
また、被処理水中にごみ等混入物がある場合には、被処理水を一時貯留するサンプル槽を設け、反応槽11の被処理水を、サンプル槽を経て気化器21に供給してもよい。
【0031】
本実施形態において、気化器21は、曝気装置27、加熱手段である温度センサー(図示せず)並びに加熱器28、気化器21へ空気を導入する空気供給管29を備えている。このように、気化器21は必要に応じて被処理水を昇温させるとともに、曝気することができるように構成されている。
【0032】
曝気装置27としては、空気中に液中のガス成分を拡散させる曝気装置を用いることができる。本実施形態の曝気装置27は、気化器の上部気相より吸気管27aを通じて散気ポンプ(エアーポンプ)27bで気相ガスを吸引し、散気管27cを通じて気化器21の液中下部に排出して循環曝気するように構成されている。
本実施形態では、気相ガスを用いて循環曝気するので、液中アンモニアをガス化して短時間で気液平衡状態にすることができる。さらに、アンモニアガス検知量を安定化させることができる。なお、曝気装置27としては、散気板を用いてもよい。
【0033】
加熱手段の態様は特に限定されないが、本実施形態は気化器21内の下部に加熱器28が配されており、気化器21内に配されるためシーズドヒータが用いられている。加熱器28は抵抗加熱によるものであることが、制御が容易であるため好ましい。
【0034】
さらに、気化器21には、pH調節手段としてアルカリ剤供給ポンプ30及びアルカリ剤タンク31を備えており、被処理水のpHを調節できるようになっている。
【0035】
気化器21の容量は、好ましくは100〜1,000mL、より好ましくは100〜500mLとする。気化器21の容量が小さすぎると、アンモニアガス検知量が変動し易くなるおそれがある。容量が大きすぎるとサンプリング量を多くしなければならず効率的ではない。
また、気化器21に流入した被処理水は、気化器21からオーバーフロー配管32により反応槽11に循環するようになっている。
【0036】
気化器21で分離されたガス成分は、オートドレーン33を経てガス供給管34からアンモニアガス検知手段24に流入する。これにより、例えば、アンモニアガス検知手段24での結露による不具合を抑制して、アンモニアガス検知量の精密性を確保することができる。
【0037】
アンモニアガス検知手段24は、ガス成分中のアンモニア量を測定できるものなら特に限定されず、例えば、定電位電解式によるアンモニアガス検知器を使用する。
アンモニアはガス化することにより体積が大幅に増加するから、液中アンモニアをガス化することで、アンモニア量を精密に測定することができる。さらに、近年、ガスセンサー技術の進歩が著しく、より精密なガスセンサーも知られているので、このようなガスセンサーを用いることで、アンモニアガス量をより精密に検知することができる。
【0038】
本実施形態では、アンモニアガス検知手段24は2基のアンモニアガス検知器が並列に接続されており、この2基を交互に使用してアンモニアガスを検知する。各アンモニアガス検知器には、空気を供給する空気供給管35とガス供給管34がそれぞれバルブ36、37を介して切替可能に接続されている。
【0039】
また、アンモニアガス検知器24の空気供給管35及び気化器21の空気供給管29の入気口側には、外部雰囲気中の微量なアンモニアガス等、アンモニアガス検知器に検出されるおそれのある成分を除去する装置、例えば、活性炭塔38が備えられ、外部の空気は活性炭塔38を経て供給されるようになっている。これにより、外部雰囲気中の、検知に影響を及ぼす成分が取り除かれてアンモニアガス検知器に供給されるから、アンモニアガス検知手段24のゼロベース値が変動することがない。
【0040】
そして、アンモニアガス検知手段24の検出値に基づいて制御手段25により塩素剤供給ポンプ23の吐出量が比例制御されるようになっている。塩素剤供給ポンプ23として、吐出量の制御可能なパルスポンプを用いることで、吐出量を適切に制御することができる。
制御手段25としては、PID制御によるものであることが、アンモニアガス検知量に応じて塩素剤の添加量を精密に制御することができるため好ましい。
【0041】
以上のように、本実施形態では、不連続点塩素添加法を用いて廃水中のアンモニア態窒素を除去するに際し、液中の未反応のアンモニア濃度に応じて、塩素剤の添加量を制御して適量とすることができる。
【0042】
次に、アンモニア除去方法の実施形態について、主として図2に基づいて説明をする。
【0043】
まず、反応槽11の撹拌機39、反応槽11へ廃水を供給する廃水ポンプ40、試料ポンプ26及び塩素剤供給ポンプ23を運転状態としておく。
【0044】
反応槽11に廃水を導入して、散気ポンプ(エアーポンプ)27bを始動させる。曝気装置27としてガス成分を空気中に拡散させる方法を用いる場合、散気ポンプ27bによる曝気量は、曝気流量/被処理水流量で示される比(G/L)の値が好ましくは10〜100となるようにする。曝気量が小さすぎるとアンモニアの気化量が十分でなく、曝気量が大きすぎると、安定したアンモニアガス量の検知が困難となる。
【0045】
また、加熱器28をオンとするとともに、気化器21内の温度センサーからの信号により加熱器28の加熱出力を制御可能にする。気化器21内の被処理水の液性がpH10.5以上、好ましくはpHが11〜13となるようにアルカリ剤供給ポンプ30でアルカリ剤を添加する。これにより、被処理水中に溶解している未反応のアンモニアを十分にガス化することができるから、精密なアンモニアガス量の測定が可能となる。
【0046】
この状態で、反応槽11から試料ポンプ26を介して被処理水を気化器21に一定流量で供給し、循環させる。加熱器28を制御して気化器21内の被処理水の温度を好ましくは45〜80℃、より好ましくは55〜70℃の範囲でほぼ一定の温度(±1℃程度)とする。被処理水の温度が低すぎるとアンモニアが十分に気化せず安定したアンモニアガス量の検知が困難となる。また、温度が高すぎると、例えばガス成分中に水蒸気が混入することにより、ガス成分中のアンモニアガス比率が変動するため、適切なアンモニアガス量の検知が困難となる。
【0047】
そして、気化器21内の被処理水の温度が安定してからアンモニアガス検知手段24を作動させてガス成分を採取しつつ、ガス成分中のアンモニアガス量を検知する。このアンモニアガス検知手段24の検出値を制御手段であるPID制御装置25に入力する。PID制御装置は、アンモニアガス検出値に基づき、4〜20mAで信号を出力して塩素剤供給ポンプ23の吐出量を比例制御する。
【0048】
本実施形態では、気化器21で分離されたガス成分は、バルブ37の切替えによりアンモニアガス検知器のいずれか一方で、例えば1時間ごとに交互に採取するようにするとともに、バルブ36を切替えてガス成分を採取していない方のアンモニアガス検知器には、空気供給管35から新鮮空気が採取されるようにする。これにより、アンモニアガス検知器の検知部を清浄に保つことができるから、アンモニアガス量の検知をより精密に行うことができる。
【0049】
このように、本実施形態のアンモニア除去装置では、反応槽11の液中アンモニア態窒素濃度を連続的に精密に検知することができる。そのため、反応槽11への塩素剤の添加量を液中アンモニア態窒素濃度に応じて適量にすることができる。その結果、塩素剤の過剰添加を抑制することができ、図1の還元槽13の構成を簡素化又は省略することができる。
【実施例】
【0050】
次に図2に示される装置を用いた実施例について説明する。
実施例において用いた各装置の仕様及び実験条件は次のようである。
反応槽容量:2,000mL、
気化器容量:100mL、
アンモニアガス検知器:定電位電解式アンモニアガス検知器((株)アクアテック社製、AQAM式アンモニアガス検知器)、
pH測定器:TOA−DKK社製、HM−21P、
液中アンモニア態窒素(NH−N)濃度、残留塩素濃度測定、全窒素濃度測定:HACH社製、DR−5000。
【0051】
(実施例1)
上記した実施形態を用いた例について説明する。
まず、図2に示される装置の反応槽11内に、初期アンモニア態窒素濃度74mg/Lの原水を2,000mL/時で連続導入した。PID制御装置のアンモニアガス濃度を5mg/Lに設定して次亜塩素酸ナトリウムを供給するパルスポンプ(塩素剤供給ポンプ23)の吐出量を制御装置25でPID制御した。
【0052】
散気ポンプ27bによる曝気量は60L/時(G/L=30)とし、気化器内の被処理水の温度を55℃のほぼ一定となるようにした。また、アルカリ剤タンク31より、水酸化ナトリウムを添加して、気化器内21の被処理水のpHをおおよそ12.5となるようにした。
【0053】
また、15分ごとに反応槽11の底部から被処理水をサンプリングし、液中アンモニア態窒素濃度をサリチル酸法(比色法)、残留塩素濃度をDPD法(比色法)によりそれぞれ測定した。
このときの経過時間と残留塩素濃度(Cl mg/L)、液中アンモニア態窒素濃度の関係を図3に示す。
【0054】
図3より、75分経過後には反応槽の液中アンモニア態窒素濃度は20mg/L程度となりその後徐々に低下した。そして、140分経過後には不連続点に至り、アンモニア態窒素濃度は6.3mg/L、残留塩素濃度は6.4mgCl/Lに低減された。さらに、不連続点を超えても、残留塩素濃度は10mgCl/L以下で安定しており、塩素剤の過剰添加を大幅に抑制できたことが分かる。なお、図3において黒丸は液中の残留塩素濃度、黒三角はアンモニア態窒素濃度をそれぞれ示している。
【0055】
また、このときの液中アンモニア態窒素濃度と、アンモニアガス検知器により検知されたアンモニアガス濃度との相関関係を図4に示す。
図4より、本実施例において液中アンモニア態窒素濃度とアンモニアガス濃度の間には、r(相関係数)=0.8976の高い相関関係が得られていることが分かる。
【0056】
(比較例1)
まず、アンモニア態窒素(NH−N)濃度41mg/Lの原水1,000mLを反応槽に導入し、次亜塩素酸ナトリウム5%溶液を塩素剤供給ポンプにより2mLずつ10分ごとに加えていった。このとき、液中アンモニア態窒素濃度と残留塩素濃度を実施例1と同様に測定し、全窒素濃度をペルオキソ二硫酸カリウムで硝酸態窒素に酸化後、紫外線吸光法により測定した。
【0057】
次亜塩素酸ナトリウムの添加量(Cl/(NH−N)、(質量比)、以下同じ。)と液中アンモニア態窒素濃度、残留塩素濃度の関係を図5に示す。なお、図5において黒丸は液中の残留塩素濃度、白三角はアンモニア態窒素濃度、黒四角は全窒素濃度をそれぞれ示している。
【0058】
図5に示されるように、次亜塩素酸ナトリウムの添加量を徐々に増加させていくと、当初塩素の割合が増すに従って、残留塩素濃度が増加している。これは、塩素とアンモニアの反応生成物のほとんどがモノクロラミンとなっているためである。そして、Cl/(NH−N)=6を超えると残留塩素濃度は低下していき、Cl/(NH−N)=7.5で残留塩素濃度が最低、すなわち不連続点となっている。
【0059】
このときの、次亜塩素酸ナトリウムの添加量と残留塩素濃度、pHの関係を図6に示す。
図6に示されるように、pHはCl/(NH−N)=4.6となるまでは上昇し、その後低下している。そして、Cl/(NH−N)=7.5でpH=9.4となりその後一定となっている。なお、図6において黒丸は液中の残留塩素濃度、黒三角はpHをそれぞれ示している。
【0060】
pHの上昇は、アンモニアと次亜塩素酸ナトリウムの反応で生成した水酸化ナトリウムによるものであり、モノクロラミンが生成していることを示す。また、その後のpHの低下は、モノクロラミンが窒素ガスとなるとともに、塩酸が生成したことを示す。そのため、図5のように液中アンモニア態窒素濃度も低減されている。このように、不連続点塩素添加法における、モノクロラミンの生成及びアンモニアと塩素の反応機構が確認された。
【0061】
また、図5、6から、回分式においては、不連続点を超えて塩素剤を添加すると残留塩素濃度は急激に上昇し、Cl/(NH−N)=8では18mgCl/L、Cl/(NH−N)=8.3では27mgCl/Lまで増加していることがわかる。
【0062】
以上に示されるように、本実施形態によれば、液中アンモニア態窒素濃度に応じて連続的に適量の塩素剤を添加することができるから、塩素剤の過剰添加を大幅に抑制することができる。さらに、比較的安価で構成の簡易なアンモニア除去装置とし、廃水中のアンモニア態窒素を効率よく除去することができる。そのため、処理水を還元処理するための装置や操作を簡素化又は省略することができ、廃水処理コストを削減することが可能である。
【符号の説明】
【0063】
1…アンモニア除去装置、10…廃水槽、11…反応槽、12…塩素剤添加手段、13…還元槽、21…気化器、22…塩素剤タンク、23…塩素剤供給ポンプ、24…アンモニアガス検知手段、25…制御手段、26…試料ポンプ、27…曝気装置、28…加熱器、29…空気供給管、30…アルカリ剤供給ポンプ、31…アルカリ剤タンク、32…オーバーフロー配管、33…オートドレーン、34…ガス供給管、35…空気供給管、36,37…バルブ、38…活性炭塔、39…撹拌機、40…廃水ポンプ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6