特許第5973325号(P5973325)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5973325
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】タイヤ部材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 9/00 20060101AFI20160809BHJP
   C08K 3/00 20060101ALI20160809BHJP
   C08K 5/41 20060101ALI20160809BHJP
   C08K 3/06 20060101ALI20160809BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20160809BHJP
   C08J 3/20 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   C08L9/00
   C08K3/00
   C08K5/41
   C08K3/06
   B60C1/00 A
   B60C1/00 B
   C08J3/20 Z
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-245623(P2012-245623)
(22)【出願日】2012年11月7日
(65)【公開番号】特開2014-94988(P2014-94988A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2015年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】東洋ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100124707
【弁理士】
【氏名又は名称】夫 世進
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 真也
【審査官】 上前 明梨
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−202138(JP,A)
【文献】 特開2009−001681(JP,A)
【文献】 特開2011−162627(JP,A)
【文献】 特開2007−191677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/00
C08K 3/00−13/08
C08J 3/00−3/28
C08J 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともジエン系ゴム成分と、無機充填剤と、しゃく解剤と、アミノ基を含んだチオ硫酸化合物とを含有する混合物を製造する(A)工程と、前記混合物と、硫黄成分と、加硫促進剤とを混合する(B)工程とを有する、タイヤ部材の製造方法であって、
ジエン系ゴム成分100質量部に対して、しゃく解剤0.1〜0.5質量部及びアミノ基を含んだチオ硫酸化合物0.2質量部以上を少なくとも含有し、混合中の温度が145〜170℃の範囲内に20秒間以上120秒以内保持され、混合終了時の温度が170℃以下とされてなる予備混合物を、前記(A)工程で製造する混合物の全ジエン系ゴム成分中で、前記予備混合物に由来するジエン系ゴム成分の割合が40質量%以上となる割合で使用する
ことを特徴とする、タイヤ部材の製造方法。
【請求項2】
前記予備混合物が、予備混合物中のジエン系ゴム成分100質量部に対して、無機充填剤10〜35質量部をさらに含有してなることを特徴とする、請求項1に記載のタイヤ部材の製造方法。
【請求項3】
前記予備混合物が、混合中の温度がx±5℃(x=150〜165℃)の範囲内に20秒間以上保持されたものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のタイヤ部材の製造方法。
【請求項4】
前記アミノ基を含んだチオ硫酸化合物が、下記式(1)〜(3)のいずれかで表されるチオ硫酸化合物及びその塩のうちの1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ部材の製造方法。
【化1】
式(1)において、nは2〜9の整数を示す。
【化2】
式(2)において、Rは炭素数3〜12のアルカンジイル基を示し、nは2〜5の整数を示す。
【化3】
式(3)において、Rは炭素数1〜6のアルカンジイル基を示し、nは1〜2の整数を示す。
【請求項5】
タイヤのトレッド部材又はサイドウォール部材を製造することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のタイヤ部材の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のタイヤ部材の製造方法によりタイヤ部材を製造し、このタイヤ部材を用いてタイヤを製造する、タイヤの製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノ基を含んだチオ硫酸化合物をゴム組成物に配合する工程を含むタイヤ部材の製造方法、及びその製造方法により得られるタイヤ部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤを構成するタイヤ部材には、例えばトレッド部では耐摩耗性や引裂強さ等の向上、サイドウォール部では引裂強さや耐屈曲疲労性等の向上が求められている。
【0003】
S−(2−アミノエチル)チオ硫酸化合物等のようなアミノ基を含んだチオ硫酸化合物は、化粧料、プラスチック、記録材料等用の抗酸化剤等として使用できることが知られているが(特許文献1)、近年はタイヤ用途での使用も検討され、例えば加硫ゴムの粘弾特性等の向上のために使用することが提案されている(特許文献2,3等)。
【0004】
しかし、上記のような化合物を使用しても、その使用の方法によっては期待される効果が得られないことが多い。また、これらの化合物を使用して、ゴムの耐摩耗性、引裂強さ、耐屈曲疲労性等を向上させることについては未だ開示されていない。
【0005】
また、タイヤ用ゴム製品の製造においては、従来から素練りの促進のためにしゃく解剤が使用される場合がある。しかし、アミノ基を含んだチオ硫酸化合物としゃく解剤との併用に関しては、これまでには特段の知見は示されていない。上記特許文献2ではしゃく解剤の使用について言及されてはいるが、具体的な使用方法や効能については記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−202138号公報
【特許文献2】特開2003−146828号公報
【特許文献3】特開2012−107232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、上記アミノ基を含んだチオ硫酸化合物を配合する工程を含むタイヤ部材の製造において、しゃく解剤を使用して、耐摩耗性、引裂強さ、耐屈曲疲労性をより向上させたタイヤ部材が得られる製造方法及びそのタイヤ部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のタイヤ部材の製造方法は、少なくともジエン系ゴム成分と、無機充填剤と、しゃく解剤と、アミノ基を含んだチオ硫酸化合物とを含有する混合物を製造する(A)工程と、その混合物と、硫黄成分と、加硫促進剤とを混合する(B)工程とを有する、タイヤ部材の製造方法であって、上記の課題を解決するために、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、しゃく解剤0.1〜0.5質量部及びアミノ基を含んだチオ硫酸化合物0.2質量部以上を少なくとも含有し、混合中の温度が145〜170℃の範囲内に20秒間以上120秒以内保持され、混合終了時の温度が170℃以下とされてなる予備混合物を、(A)工程で製造する混合物の全ジエン系ゴム成分中で、予備混合物に由来するジエン系ゴム成分の割合が40質量%以上となる割合で使用するものとする。
【0009】
上記において、予備混合物は、予備混合物中のジエン系ゴム成分100質量部に対して、無機充填剤10〜35質量部をさらに含有してなるものとすることができる。
【0010】
また、予備混合物は、混合中の温度がx±5℃(x=150〜165℃)の範囲内に20秒間以上保持されたものであることが好ましい。
【0011】
また、アミノ基を含んだチオ硫酸化合物としては、下記式(1)〜(3)のいずれかで表されるチオ硫酸化合物及びその塩のうちの1種又は2種以上を用いることができる。
【化1】
【0012】
式(1)において、nは2〜9の整数を示す。
【化2】
【0013】
式(2)において、Rは炭素数3〜12のアルカンジイル基を示し、nは2〜5の整数を示す。
【化3】
【0014】
式(3)において、Rは炭素数1〜6のアルカンジイル基を示し、nは1〜2の整数を示す。
【0016】
また本発明のタイヤの製造方法は、上記本発明のタイヤ部材の製造方法によりタイヤ部材を製造し、このタイヤ部材を用いてタイヤを製造する方法とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上記の通り、ジエン系ゴム成分、しゃく解剤及びアミノ基を含んだチオ硫酸化合物を所定の割合で含有し、所定の条件で混合して得られた予備混合物を所定量用いることにより、耐摩耗性や引裂強さ、耐屈曲疲労性がより向上したタイヤ部材が得られる。これらの物性の向上は、アミノ基を含んだチオ硫酸化合物としゃく解剤との混合によりラジカルの生成が促進され、ジエン系ゴムとの反応性が向上することに起因すると考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0019】
本発明のタイヤ部材の製造方法は、上記の通り、少なくともジエン系ゴム成分、しゃく解剤及びアミノ基を含んだチオ硫酸化合物を所定の割合で含有し、必要に応じてさらに無機充填剤を含有し、混合中の温度を制御して得られた予備混合物を所定量用いることを特徴とする。この予備混合物を、(A)工程において、必要に応じてさらに添加されるジエン系ゴム成分、アミノ基を含んだチオ硫酸化合物、及び無機充填剤、並びにその他の配合成分や添加剤と混合する。本明細書においては、(A)工程において、予備混合物にジエン系ゴム成分、アミノ基を含んだチオ硫酸化合物、又は無機充填剤をさらに添加することを「後添加」と称するものとする。予備混合物に含まれるこれらの成分と後添加されるこれらの成分とは、同じ種類でも異なる種類でもよい。
【0020】
本発明で使用可能なジエン系ゴム成分(以下、単に「ゴム成分」と称する場合もある)としては、各種天然ゴム(NR)、各種ポリブタジエンゴム(BR)、各種スチレンブタジエンゴム(SBR)等が挙げられ、これらはいずれか1種を用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。機械的強度特性の保持のためには、全ジエン系ゴム成分100質量部中、天然ゴムを40質量部以上用いるのが好ましい。また、これらのゴムとしては、アミノ基、アルコキシシラン基、ヒドロキシ基、エポキシ基、カルボキシル基、シアノ基、ハロゲン等を導入した変性ジエン系ゴムも必要に応じて用いることができる。また、例えば、シンジオタクティック結晶を含むブタジエンゴム(例えば、宇部興産(株)製 VCR412)も用いることができる。
【0021】
無機充填剤としては、ゴム分野で通常使用されているカーボンブラック、シリカ、タルク、クレイ、水酸化アルミニウム、酸化チタン等が例示され、通常はカーボンブラック又はシリカが好ましく用いられる。
【0022】
上記無機充填剤の配合量は特に限定されず、タイヤ部材の用途等によって適宜調整されるものであるが、カーボンブラックのみを使用する場合は、通常は全ゴム成分100質量部あたり30〜80質量部の範囲が好ましく、シリカを配合する場合は、通常はゴム成分100質量部あたり10〜120質量部の範囲が好ましい。またシリカを配合する場合、ゴム成分100質量部あたりカーボンブラックを5〜50質量部配合することが好ましく、シリカ/カーボンブラックの配合比率は0.7/1〜1/0.1が特に好ましい。
【0023】
上記充填剤としてシリカを使用する場合は、シランカップリング剤を併用するのが好ましい。シランカップリング剤の種類は特に限定されず、タイヤ用ゴム組成物において一般に使用されるものを使用することができ、例としてはスルフィドシラン、メルカプトシラン等が挙げられる。シランカップリング剤の含有量はシリカに対して5〜15質量%が好ましい。
【0024】
次に、本発明で用いるしゃく解剤は、素練り促進剤とも呼ばれ、有機溶剤中で天然ゴム分子を化学的に切断しうる試薬であり、従来から使用されているものを特に限定なく使用することができる。しゃく解剤の例としては、o,o−ジベンズアミドジフェニルジスルフィド、2−ベンズアミドチオフェノール亜鉛塩、2−チオナフトール、チオキシレノール、ペンタクロロチオフェノールなどのジスルフィド類やメルカプタン類が挙げられ、これらに金属触媒を加えたものも用いられる。また、2−メルカプトベンゾチアゾールなどのチアゾール類;ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド類、ジクミルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド類、その他の有機過酸化物等を用いることもできる。その他の例としては、キシレンチオール、ペンタクロロチオフェノール、ペンタクロロチオフェノールの亜鉛塩、4−第三−ブチル−o−チオクレゾール、4−第三−ブチル−o−チオクレゾールの亜鉛塩、混合ジキシリル・ジスルフィド、チオ安息香酸亜鉛、ジベンズアミドチオフェニルジスルフィド、ジベンズアミドチオフェニルジスルフィドとステアリン酸の混合物、アルキル化フェノール・スルフィド、芳香族硫黄化合物、有機錯化合物、ジニトロソ・レゾルシノール、高分子量の油溶性スルホン酸等が挙げられるが、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン塩、ジベンズアミドジフェニルジスルフィドとステアリン酸との混合物も挙げられる。また、加硫促進剤として知られる2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、およびN−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミンを使用することができる。
【0025】
また、特殊なしゃく解剤として、上記のしゃく解剤の分子中に、水酸基、カルボキシル基などの反応性官能基を含有させた化合物(以下、「官能基導入性しゃく解剤」と称する)を用いることもできる。これらは単独で用いてもよいし、上記一般的なしゃく解剤と任意の混合比で併用することもできる。このような官能基導入性しゃく解剤を用いて天然ゴムをしゃく解することにより、天然ゴム分子鎖中に反応性官能基を導入することができる。
【0026】
官能基導入性しゃく解剤のうち、水酸基を含有するものの例としては、2−ヒドロキシジフェニルジスルフィド、2−ヒドロキシエチルジスルフィド、メルカプトフェノール、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール等が挙げられる。カルボキシル基を含有するものの例としては、メルカプト安息香酸、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸等が挙げられる。また、無水マレイン酸等のカルボン酸無水物も官能基導入性しゃく解剤として用いることができる。無水マレイン酸等と上記しゃく解剤とを任意の混合比で併用することで、天然ゴム分子鎖中に無水酸基を導入することができる。
【0027】
本発明で用いる予備混合物中のしゃく解剤の配合量は、予備混合物中のジエン系ゴム100質量部に対して0.1〜0.5質量部が好ましく、0.1〜0.3質量部がより好ましい。添加量が、0.1質量部より少ないと本発明で目的とする効果が得られにくく、また、0.5質量部を超えると加硫阻害を起こすおそれが生じる。これらのしゃく解剤は、1種類単独で使用することも2種以上を併用することもできる。
【0028】
次に、本発明で使用するアミノ基を含んだチオ硫酸化合物としては、上記の式(1)〜(3)のいずれかで表されるチオ硫酸化合物又はその塩を好適に用いることができ、これらのうちの1種又は2種以上を用いることができる。塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩等のアルカリ金属塩;コバルト塩、銅塩等の遷移金属塩;亜鉛塩等の典型金属塩;アンモニウム塩、トリメチルアンモニウム塩等の置換又は無置換のアンモニウム塩等が挙げられる。これらの中では、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、コバルト、銅又は亜鉛等の金属塩が好ましく、中でもリチウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩が好ましい。また、本発明でチオ硫酸化合物とその塩をそれらの混合物として用いる場合、かかる混合物は、例えば、チオ硫酸化合物とその塩とを混合する方法、金属アルカリを用いてチオ硫酸化合物の一部を金属塩化する方法、プロトン酸を用いてチオ硫酸化合物の金属塩の一部を中和する方法等により得られたものを用いることができる。なお、以下においては、「式(1)〜(3)のいずれかで表されるチオ硫酸化合物又はその塩のうちの1種又は2種以上」を「チオ硫酸化合物及び/又はその塩」と略記する場合がある。
【0029】
式(1)で表される化合物の好ましい例としては、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸、S−(3−アミノブチル)チオ硫酸、S−(3−アミノペンチル)チオ硫酸、S−(3−アミノヘキシル)チオ硫酸が挙げられる。
【0030】
式(1)で表される化合物は任意の公知の方法によって製造することができ、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸の塩は、例えば、3−ハロプロピルアミンとチオ硫酸ナトリウムとを反応させる方法や、フタルイミドカリウム塩と1,3−ジハロプロパンとを反応させ、得られた化合物とチオ硫酸ナトリウムとを反応させ、次いで、得られた化合物を加水分解する方法等により製造することができる。S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸は、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸の塩をプロトン酸を用いて中和することにより製造することができる。このようにして製造したS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸及び/又はその塩は、濃縮、晶析等の操作により単離することができ、単離されたS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸及び/又はその塩は、通常0.1%〜5%程度の水分を含む。
【0031】
次に式(2)で表される化合物の例としては、S−3−(ピペリジン−1−イル)プロピルチオ硫酸、S−4−(ピペリジン−1−イル)ブチルチオ硫酸、S−5−(ピペリジン−1−イル)ペンチルチオ硫酸、S−6−(ピペリジン−1−イル)ヘキシルチオ硫酸、S−7−(ピペリジン−1−イル)ヘプチルチオ硫酸、S−8−(ピペリジン−1−イル)オクチルチオ硫酸、S−10−(ピペリジン−1−イル)デシルチオ硫酸、S−12−(ピペリジン−1−イル)ドデシルチオ硫酸、S−3−(ピロリジン−1−イル)プロピルチオ硫酸、S−4−(ピロリジン−1−イル)ブチルチオ硫酸、S−5−(ピロリジン−1−イル)ペンチルチオ硫酸、S−6−(ピロリジン−1−イル)ヘキシルチオ硫酸、S−7−(ピロリジン−1−イル)ヘプチルチオ硫酸、S−8−(ピロリジン−1−イル)オクチルチオ硫酸、S−10−(ピロリジン−1−イル)デシルチオ硫酸、S−12−(ピロリジン−1−イル)ドデシルチオ硫酸が挙げられる。中でも、S−3−(ピペリジン−1−イル)プロピルチオ硫酸、S−3−(ピペリジン−1−イル)プロピルチオ硫酸ナトリウム、S−6−(ピペリジン−1−イル)ヘキシルチオ硫酸又はS−6−(ピペリジン−1−イル)ヘキシルチオ硫酸ナトリウムが好ましく、S−3−(ピペリジン−1−イル)プロピルチオ硫酸ナトリウムが特に好ましい。
【0032】
式(2)で表される化合物は、例えば次の式に示される方法により製造できる。
【化4】
【0033】
式中、R及びnは式(2)におけるのと同じであり、X及びXはそれぞれ独立に、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。
【0034】
かかる製法によれば、通常、ナトリウム塩が得られるが、必要に応じてカチオン交換し、所望の化合物を製造できる。得られる化合物は、通常0.1〜5質量%程度の水分を含む。
【0035】
次に、式(3)で表される化合物の例としては、S−(4−アミノフェニル)メチルチオ硫酸、S−[2−(4−アミノフェニル)エチル]チオ硫酸、S−[3−(4−アミノフェニル)プロピル]チオ硫酸、S−[4−(4−アミノフェニル)ブチル]チオ硫酸、S−[5−(4−アミノフェニル)ペンチル]チオ硫酸、S−[6−(4−アミノフェニル)ヘキシル]チオ硫酸、S−2−(3−アミノフェニル)メチルチオ硫酸、S−[2−(3−アミノフェニル)エチル]チオ硫酸、S−[3−(3−アミノフェニル)プロピル]チオ硫酸、S−[4−(3−アミノフェニル)ブチル]チオ硫酸、S−[5−(3−アミノフェニル)ペンチル]チオ硫酸、S−[6−(3−アミノフェニル)ヘキシル]チオ硫酸、S−(2−アミノフェニル)メチルチオ硫酸、S−[2−(2−アミノフェニル)エチル]チオ硫酸、S−[3−(2−アミノフェニル)プロピル]チオ硫酸、S−[4−(2−アミノフェニル)ブチル]チオ硫酸、S−[5−(2−アミノフェニル)ペンチル]チオ硫酸、S−[6−(2−アミノフェニル)ヘキシル]チオ硫酸、S−(3,5−ジアミノフェニル)メチルチオ硫酸、S−(3,4−ジアミノフェニル)メチルチオ硫酸、S−[2−(3,5−ジアミノフェニル)エチル]チオ硫酸、S−[2−(3,4−ジアミノフェニル)エチル]チオ硫酸等が挙げられる。中でも、S−[2−(4−アミノフェニル)エチル]チオ硫酸、S−[2−(4−アミノフェニル)エチル]チオ硫酸ナトリウムが好ましく、S−[2−(4−アミノフェニル)エチル]チオ硫酸ナトリウムが特に好ましい。
【0036】
式(3)で表される化合物は、例えば次の式に示される方法により製造できる。
【化5】
【0037】
式中、R及びnは上記式(3)におけるのと同じであり、Xはそれぞれ独立に、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。
【0038】
かかる製法によれば、通常、ナトリウム塩が得られるが、必要に応じてカチオン交換し、所望の化合物を製造できる。得られる化合物は、通常0.1〜5質量%程度の水分を含む。
【0039】
本発明の製造方法の(A)工程におけるチオ硫酸化合物及び/又はその塩の配合量は、予備混合物中のジエン系ゴム成分100質量部に対して0.2質量部(すなわち0.2phr)以上が好ましく、0.2〜2.0質量部がより好ましい。0.2質量部未満であると、所望の物性向上が得られないおそれがある。
【0040】
また、本発明における上記予備混合物の使用量は、(A)工程で製造する混合物の全ジエン系ゴム成分中で、予備混合物に由来するジエン系ゴム成分の割合が40質量%以上となる割合とする。予備混合物の使用量がこれより少なくと、本発明の目的とする効果が得られないおそれがある。
【0041】
上記予備混合物の製造は、例えば、バンバリーミキサー等の、撹拌ロータと、加熱冷却媒体が流れるジャケットと、加圧ラムとを少なくとも備えた公知の混合装置を用いて行うことができる。加熱冷却媒体は、所望の温度になるように必要に応じて加熱されて、ジャケットの中を流れ、混合容器の壁面の熱伝達により混合物を加熱又は冷却する。この加熱冷却媒体としては通常は水が使用される。加圧ラムはシリンダ内を昇降して、混合機内部の圧力を調整するようになされている。混合装置は、さらに、装置内の混合物の温度を検知する温度センサと、ロータの回転数を制御する制御部とを備えていることが好ましい。
【0042】
かかる混合は通常は発熱を伴うので、何ら制御を行わないと混合物の温度は急激に上昇するところ、本発明の製造方法では、予備混合物の温度が145〜170℃の範囲内に20秒間以上保持され、170℃以下で排出されるように混合条件等を調整する。温度制御の具体的手段は特に限定されないが、例えば混合装置のロータの回転速度、加熱冷却媒体の温度、及びラム圧のうちの1つ以上を制御することにより可能である。これら回転速度等はPID(Proportional/Integral/Differential:比例/積分/微分)制御により自動制御することにより、混合物の温度調節がより容易かつ確実となる。
【0043】
予備混合物の混合中の温度が上記温度範囲内に保持される時間が20秒間未満であると所望の物性が得られ難くなり、混合終了時の温度が170℃を超えると、ゴムの劣化により物性が低下するおそれが生じる。
【0044】
なお、上記温度範囲での保持時間が20秒間未満である場合としては、例えば、温度上昇が緩やかで排出時の温度が145℃未満の場合や、145℃に達しても、それから排出までの時間が20秒間未満であった場合、あるいは急激に温度上昇して、上記温度範囲を20秒間以内で通過した場合が想定される。
【0045】
上記温度範囲での保持時間の上限は、好ましくは120秒間以内とし、より好ましくは60秒間以内とする。高温での長時間の混合は、ゴムの分子量の低下やゲル化を生じ、耐摩耗性能や耐疲労性の低下を招くおそれがあり、また、混合時間の増加による生産性の悪化、混合に使用するエネルギーコストの増加を生じ、対費用効果が低下する。
【0046】
好ましくは、上記ロータの回転速度等の制御をより厳密に行い、混合物の温度をx±5℃(x=150〜165℃)の範囲内で20秒間以上保持する。すなわち、145〜155℃の範囲や、160〜170℃の範囲というように、150〜165℃の範囲内のある温度を基準温度xとして、最低温度が(x−5)℃以上、最高温度が(x+5)℃以下になるように制御する。このように温度変動をより小さくして一定時間保持することで、チオ硫酸化合物及び/又はその塩による作用がより高められ、上記各物性改良効果がより顕著となる。特に好ましくは、160℃±5℃、すなわち155〜165℃の範囲内で20〜120秒間保持する。
【0047】
次に、上記により得られた予備混合物を、必要に応じてさらに添加されるジエン系ゴム成分、アミノ基を含んだチオ硫酸化合物、及び無機充填剤、並びにその他の配合成分や添加剤と混合する(A)工程について説明する。その他の配合成分や添加剤としては、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、オイル等のタイヤゴム部材の製造に通常使用されるものを特に限定なく使用することができる。これらの配合量も限定されるものではなく、タイヤ部材の使用目的等により適宜調整されるが、通常は、酸化亜鉛の使用量は、全ゴム成分100質量部あたり1〜15質量部の範囲内であることが好ましく、3〜8質量部の範囲内であることがより好ましい。また、ステアリン酸の使用量は、全ゴム成分100質量部あたり0.5〜10質量部の範囲内であることが好ましく、1〜5質量部の範囲内であることがより好ましい。
【0048】
上記予備混合物と(A)工程における後添加物及びその他の配合成分や添加剤との混合は、一般に混練と称される操作であり、常法に従いバンバリーミキサー等の混合装置を用いて行うことができる。
【0049】
(A)工程全体を通しての混合物の温度は145〜170℃の範囲であることが好ましい。混合物の温度が145℃未満であると、混合が不十分となるおそれがあり、170℃を超えると、ゴムの劣化により物性が低下するおそれが生じる。また、(A)工程全体としての混合時間は、特に限定されないが、通常は1〜10分間程度である。
【0050】
次に、上記(A)工程で得られた混合物と硫黄成分と加硫促進剤とを混合する(B)工程について説明する。
【0051】
硫黄成分としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、及び高分散性硫黄等が挙げられる。通常は粉末硫黄が好ましく、ベルト用部材等の硫黄量が多いタイヤ部材に用いる場合には不溶性硫黄が好ましい。なお、本明細書でいう硫黄成分には、上記式(1)〜(3)で表されるチオ硫酸化合物及びその塩は含まれないものとする。硫黄成分の使用量は、全ゴム成分100質量部あたり0.3〜5質量部の範囲内であることが好ましく、0.5〜3質量部の範囲内であることがより好ましい。
【0052】
加硫促進剤としては、特に限定されるものではないが、チアゾール系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が挙げられる。
【0053】
硫黄成分と加硫促進剤との比率は特に制限されないが、質量比で硫黄成分/加硫促進剤=2/1〜1/2の範囲が好ましい。また天然ゴムを主とするゴム成分において耐熱性を向上させる方法である硫黄/加硫促進剤の比を1以下にする、いわゆるEV加硫は、耐熱性向上が特に必要な用途においては、本発明でも好ましく用いられる。
【0054】
上記(A)工程で得られた混合物と硫黄成分と加硫促進剤と混合する(B)工程の操作も一般に混練と称され、例えば、オープンロールやバンバリーミキサー等の混練装置を用いて常法に従い行うことができる。
【0055】
(B)工程の混練時間は、通常は1〜10分間が好ましく、より好ましくは2〜8分間の範囲である。混練時間が1分間以上であれば、硫黄成分や加硫促進剤のゴム成分への分散性が向上する傾向にあり、10分間以下であれば、ゴム成分の劣化が抑制される傾向にあり、最終的に得られる加硫ゴムの粘弾性特性を改善させる点において、それぞれ好ましい。
【0056】
上記により得られた混合物を、一般に加硫と称される熱処理に供する。熱処理は、常圧下又は加圧下で行われ、処理温度は通常は120℃〜180℃程度である。
【0057】
上記により得られる本発明のタイヤ部材は、耐摩耗性能、引裂強さ、耐疲労性等がバランスよく向上するため、各種タイヤのキャップトレッドやベーストレッド等のトレッド部材やサイドウォール部材として好適に用いることができる。
【0058】
具体的には、上記混合物をトレッド部材やサイドウォール部材等の目的とするタイヤ部材に対応した所定の断面形状に押出し成形したり、あるいは混合物からリボン状のゴムストリップを形成してドラム上で螺旋状に旋回して目的とするタイヤ部材に対応した断面形状に形成したりすることにより、タイヤ部材が得られる。かかるタイヤ部材を、インナーライナー、カーカス、ベルト、ビードコア、ビードフィラー等のタイヤを構成する他のタイヤ部材と共に、常法に従い加硫成形することにより、本発明のタイヤが得られる。
【実施例】
【0059】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下で示す配合割合は、特記しない限り質量基準(「質量部」、「質量%」等)とする。また、以下の実施例及び比較例で使用したS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩の製造方法は以下の通りである。
【0060】
〔S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩の製造〕
反応容器を窒素置換し、反応容器中に、3−ブロモプロピルアミン臭素酸塩25g(0.11mol)、チオ硫酸ナトリウム・5水和物28.42g(0.11mol)、メタノール125ml及び水125mlを仕込み、得られた混合物を70℃で4.5時間還流した。
【0061】
反応混合物を放冷し、減圧下でメタノールを除去した。メタノールを除去した反応混合物に水酸化ナトリウム4.56gを加え、室温で30分間攪拌した。その後、熱ろ過により副生成物である臭化ナトリウムを除去した。ろ液を減圧下で、結晶が析出するまで濃縮し、その後、静置した。結晶をろ取し、エタノール、ヘキサンで洗浄することにより得られた結晶を真空乾燥して、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩を得た。
【0062】
〔予備混合物の製造〕
下記表1〜3に示した割合で、天然ゴム、カーボンブラック、しゃく解剤、アミノ基含有チオ硫酸化合物を、各表に示した条件にて混合して予備混合物を得た。混合温度の調節は、混合機のローター回転数を制御することにより行った。例えば、予備混合物X1の場合、制御温度が150℃であるので、145℃(150℃−5℃)から制御を開始し、145〜155℃(150℃±5℃)の温度範囲内に25秒間保持されるように制御した。予備混合物X6のようにPID制御が「有」の場合は、この温度制御をPID制御により行った。予備混合物の各成分の詳細は以下の通りである。
【0063】
天然ゴム:RSS#3
カーボンブラック1:東海カーボン(株)製 シースト6
カーボンブラック2:東海カーボン(株)製 シーストKH
カーボンブラック3:東海カーボン(株)製 シースト3
しゃく解剤1:大内新興化学(株)製 ノクタイザーSS(o,o−ジベンズアミドジフェニルジスルフィド)
しゃく解剤2:ストラクトール社製 ストラクトールA82(有機物及び無機物を担体とする金属化合物の複合品)
しゃく解剤3:ラインケミー社製 アクチプラスト6(混合ジアリル・ジスルフィド)
アミノ基含有チオ硫酸化合物1:S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩
アミノ基含有チオ硫酸化合物2:和光純薬工業(株)製 S−(3−アミノエチル)チオ硫酸
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
〔キャップトレッド用タイヤ部材の製造〕
下記表4に示した配合に従い、上記予備混合物と(A)工程で混合する各成分をバンバリーミキサーに投入して160℃で排出するように混合した。次いで(B)工程の加硫促進剤と硫黄を添加混合したのち、150℃にて30分間加熱することにより加硫を行い、キャップトレッド用タイヤ部材を得た。得られたタイヤ部材につき、耐摩耗性、引裂強さ、耐屈曲疲労性を下記方法にて評価した。結果を表4に示す。
【0068】
〔ベーストレッド用タイヤ部材の製造〕
下記表5に示した配合に従い、上記予備混合物と(A)工程で混合する各成分をバンバリーミキサーに投入して160℃で排出するように混合した。次いで(B)工程の加硫促進剤と硫黄を添加混合したのち、150℃にて30分間加熱することにより加硫を行い、ベーストレッド用タイヤ部材を得た。得られたタイヤ部材につき、耐摩耗性、引裂強さ、耐屈曲疲労性を下記方法にて評価した。結果を表5に示す。
【0069】
〔サイドウォール用タイヤ部材の製造〕
下記表6に示した配合に従い、上記予備混合物と(A)工程で混合する各成分をバンバリーミキサーに投入して160℃で排出するように混合した。次いで(B)工程の加硫促進剤と硫黄を添加混合したのち、150℃にて30分間加熱することにより加硫を行い、サイドウォール用タイヤ部材を得た。得られたタイヤ部材につき、引裂強さ、耐屈曲疲労性を下記方法にて評価した。結果を表6に示す。
【0070】
表4〜6に示す各配合物の詳細は以下の通りである。
天然ゴム:RSS#3
BR1:宇部興産(株)製 BR150L
BR2:ランクセス社製 CB22
カーボンブラック1:東海カーボン(株)製 シースト6
カーボンブラック2:東海カーボン(株)製 シーストKH
カーボンブラック3:東海カーボン(株)製 シースト3
シリカ:東ソー・シリカ(株)製 ニップシールAQ
シランカップリング剤:デグサ社製 Si69
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製 亜鉛華1号
ステアリン酸:日本油脂(株)製 ビーズステアリン酸
老化防止剤:住友化学(株)製 アンチゲン6C
硫黄:鶴見化学(株)製 粉末硫黄
加硫促進剤:三新化学工業(株)製 サンセラーCM−G
アミノ基含有チオ硫酸化合物1:S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩
アミノ基含有チオ硫酸化合物2:和光純薬工業(株)製 S−(3−アミノエチル)チオ硫酸
【0071】
〔耐摩耗性〕
JIS K6264に準拠して、スリップ率30%、負荷荷重40N、落砂量20g/分の条件にて測定し、比較例1の値を100とした指数で表示した。値が大きいほど耐摩耗性に優れることを示す。
【0072】
〔引裂強さ〕
JIS K6252 に準拠して測定し、比較例1を100とした指数で示した。値が大きいほど引裂強さが優れることを示す。
【0073】
〔耐屈曲疲労性〕
JIS K6260(デマチャ屈曲亀裂試験)に準拠し、屈曲亀裂成長試験を行った。試験は温度23℃の条件下で行い、亀裂成長が2mmになるまでの回数を求め、比較例1を100とした指数で示した。数値が大きいほど耐屈曲疲労性が優れることを示す。
【0074】
【表4】
【0075】
【表5】
【0076】
【表6】
【0077】
表4〜6に示された結果から、本発明の実施例の製造方法では、ジエン系ゴム成分、しゃく解剤及びアミノ基を含んだチオ硫酸化合物を所定の割合で含有し、混合中の温度を制御して得られた予備混合物を用いることにより、耐摩耗性や引裂強さ、耐屈曲疲労性が向上していることがわかる。これに対し、しゃく解剤及びアミノ基含有チオ硫酸化合物のいずれか一方を使用しない予備混合物を用いた比較例、及び両者を使用しても本願発明で規定する条件で混合しなかった予備混合物を用いた比較例では、これらの物性が劣るか、向上の程度が不十分であった。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明により得られるタイヤ部材は、乗用車用ラジアルタイヤや、トラックやバス等の重荷重用タイヤ等の各種タイヤに用いることができる。