(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5973422
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】ナビゲーション装置、航続可能距離表示システム
(51)【国際特許分類】
B60L 3/00 20060101AFI20160809BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20160809BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20160809BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
B60L3/00 S
G01C21/26
G08G1/0969
B60R16/02 640J
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-507732(P2013-507732)
(86)(22)【出願日】2012年3月29日
(86)【国際出願番号】JP2012058408
(87)【国際公開番号】WO2012133670
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2015年2月27日
(31)【優先権主張番号】特願2011-72588(P2011-72588)
(32)【優先日】2011年3月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】クラリオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084412
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 冬紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121360
【弁理士】
【氏名又は名称】粟田 照久
(74)【代理人】
【識別番号】100149157
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 創史
(72)【発明者】
【氏名】江越 康夫
【審査官】
清水 康
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−278624(JP,A)
【文献】
特開平07−085397(JP,A)
【文献】
特開2003−164006(JP,A)
【文献】
特開平07−169510(JP,A)
【文献】
特開2003−153452(JP,A)
【文献】
特開2010−139386(JP,A)
【文献】
特開2004−317952(JP,A)
【文献】
特開2011−217509(JP,A)
【文献】
特開2002−202013(JP,A)
【文献】
特開2008−024124(JP,A)
【文献】
特開2007−195312(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0225904(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00 − 3/12
B60L 7/00 − 13/00
B60L 15/00 − 15/42
B60R 16/02
G01C 21/26
G08G 1/0969
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に駆動用の電力を供給するバッテリの劣化により低下する満充電容量の信ぴょう性を表す劣化係数を決定する劣化係数決定部と、
前記車両の現在位置を算出する現在位置算出部と、
前記車両の現在位置周辺の周辺地図を表示画面に表示する周辺地図表示部と、
前記バッテリを備えたバッテリユニットから受信する充電情報に含まれる前記バッテリの残容量及び前記バッテリの満充電のときの充電容量である満充電容量に基づいて、前記車両の第1の航続可能距離を算出する航続可能距離算出部と、
前記劣化係数と、前記第1の航続可能距離とに基づいて、前記第1の航続可能距離よりも小さい第2の航続可能距離を算出する第2の航続可能距離算出部と、
前記周辺地図の上に前記第2の航続可能距離を表す所定の表示を行う航続可能距離表示部とを備え、
前記航続可能距離表示部は、前記周辺地図の上に前記第1の航続可能距離に応じた半径の第1の円と、前記第2の航続可能距離に応じた半径の第2の円と、を前記所定の表示として表示するナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記第1の円と前記第2の円の中心はともに前記車両の現在位置であるナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置において、
前記航続可能距離表示部は、前記第1の円と前記第2の円の間の環状の領域の表示態様を、前記表示画面の他の領域と異なる表示態様で表示するナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項3に記載のナビゲーション装置において、
前記航続可能距離表示部は、前記第2の円の内側の表示態様を、前記環状の領域の表示態様と前記第1の円の外側の領域の表示態様とのいずれとも異なる表示態様で表示するナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記バッテリは、バッテリユニットに備わり、
前記満充電容量は、前記バッテリユニットが算出して、記録日時と共に記録しており、前記バッテリユニットが前記ナビゲーション装置へ送信し、
前記ナビゲーション装置は、前記バッテリユニットから前記満充電容量と前記記録日時とを受信する充電情報受信部をさらに備え、
前記劣化係数決定部は、前記記録日時と現在日時とに基づいて前記劣化係数を決定するナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項5に記載のナビゲーション装置において、
前記充電情報受信部により過去に受信した満充電容量と、前記充電情報受信部により現在受信した満充電容量とに基づいて、前記劣化係数を補正する劣化係数補正部をさらに備えるナビゲーション装置。
【請求項7】
ナビゲーション装置であって、
車両に駆動用の電力を供給するバッテリの劣化により低下する満充電容量の信ぴょう性を表す劣化係数を決定する劣化係数決定部と、
前記車両の現在位置を算出する現在位置算出部と、
前記車両の現在位置周辺の周辺地図を表示画面に表示する周辺地図表示部と、
前記バッテリを備えたバッテリユニットから受信する充電情報に含まれる前記バッテリの残容量及び前記バッテリの満充電のときの充電容量である満充電容量に基づいて、前記車両の第1の航続可能距離を算出する航続可能距離算出部と、
前記劣化係数と、前記第1の航続可能距離とに基づいて、前記第1の航続可能距離よりも小さい第2の航続可能距離を算出する第2の航続可能距離算出部と、
前記周辺地図の上に前記第2の航続可能距離を表す所定の表示を行う航続可能距離表示部とを備え
前記バッテリは、バッテリユニットに備わり、
前記満充電容量は、前記バッテリユニットが算出して、記録日時と共に記録しており、前記バッテリユニットが前記ナビゲーション装置へ送信し、
前記ナビゲーション装置は、前記バッテリユニットから前記満充電容量と前記記録日時とを受信する充電情報受信部をさらに備え、
前記劣化係数決定部は、前記記録日時と現在日時とに基づいて前記劣化係数を決定するナビゲーション装置。
【請求項8】
車両に駆動用の電力を供給するバッテリを備えるバッテリユニットと、前記車両に接続されるナビゲーション装置とを備える航続可能距離表示システムであって、
前記バッテリユニットまたは前記ナビゲーション装置は、
前記バッテリの劣化により低下する満充電容量の信ぴょう性を表す劣化係数を決定する劣化係数決定部を備え、
前記バッテリユニットは、
前記バッテリの残容量を算出する残容量算出部と、
前記バッテリの満充電容量を算出する満充電容量算出部と、
前記満充電容量算出部により算出した前記バッテリの満充電容量を記録する容量記録部と、
前記残容量算出部により算出された前記バッテリの残容量と、前記容量記録部により記録された前記満充電容量とを充電情報として前記ナビゲーション装置へ送信する充電情報送信部と、を備え、
前記ナビゲーション装置は、
前記車両の現在位置を算出する現在位置算出部と、
前記車両の現在位置周辺の周辺地図を表示画面に表示する周辺地図表示部と、
前記充電情報送信部により送信された充電情報を受信する充電情報受信部と、
前記充電情報受信部により受信した充電情報に含まれる残容量および満充電容量に基づいて、前記車両の第1の航続可能距離を算出する航続可能距離算出部と、
前記劣化係数と、前記第1の航続可能距離とに基づいて、前記第1の航続可能距離よりも小さい第2の航続可能距離を算出する第2の航続可能距離算出部と、
前記周辺地図の上に前記第2の航続可能距離を表す所定の表示を行う航続可能距離表示部とを備え、
前記航続可能距離表示部は、前記周辺地図の上に前記第1の航続可能距離に応じた半径の第1の円と、前記第2の航続可能距離に応じた半径の第2の円と、を前記所定の表示として表示する航続可能距離表示システム。
【請求項9】
請求項8に記載の航続可能距離表示システムにおいて、
前記第1の円と前記第2の円の中心はともに前記車両の現在位置である航続可能距離表示システム。
【請求項10】
請求項9に記載の航続可能距離表示システムにおいて、
前記航続可能距離表示部は、前記第1の円と前記第2の円の間の環状の領域の表示態様を、前記表示画面の他の領域と異なる表示態様で表示する航続可能距離表示システム。
【請求項11】
請求項10に記載の航続可能距離表示システムにおいて、
前記航続可能距離表示部は、前記第2の円の内側の表示態様を、前記環状の領域の表示態様と前記第1の円の外側の領域の表示態様とのいずれとも異なる表示態様で表示する航続可能距離表示システム。
【請求項12】
請求項8から11のいずれか一項に記載の航続可能距離表示システムにおいて、
前記容量記録部は、前記満充電容量算出部により算出した前記満充電容量とともにその記録日時を記録し、
前記充電情報送信部は、前記記録日時を含む充電情報を前記ナビゲーション装置へ送信し、
前記劣化係数決定部は、前記ナビゲーション装置に備わり、前記記録日時と現在日時とに基づいて前記劣化係数を決定する航続可能距離表示システム。
【請求項13】
請求項12に記載の航続可能距離表示システムにおいて、
前記充電情報受信部により過去に受信した充電情報に含まれる満充電容量と、前記充電情報受信部により現在受信した充電情報に含まれる満充電容量とに基づいて、前記劣化係数を補正する劣化係数補正部をさらに備える航続可能距離表示システム。
【請求項14】
車両に駆動用の電力を供給するバッテリを備えるバッテリユニットと、前記車両に接続されるナビゲーション装置とを備える航続可能距離表示システムであって、
前記バッテリユニットまたは前記ナビゲーション装置は、
前記バッテリの劣化により低下する満充電容量の信ぴょう性を表す劣化係数を決定する劣化係数決定部を備え、
前記バッテリユニットは、
前記バッテリの残容量を算出する残容量算出部と、
前記バッテリの満充電容量を算出する満充電容量算出部と、
前記満充電容量算出部により算出した前記バッテリの満充電容量を記録する容量記録部と、
前記残容量算出部により算出された前記バッテリの残容量と、前記容量記録部により記録された前記満充電容量とを充電情報として前記ナビゲーション装置へ送信する充電情報送信部と、を備え、
前記ナビゲーション装置は、
前記車両の現在位置を算出する現在位置算出部と、
前記車両の現在位置周辺の周辺地図を表示画面に表示する周辺地図表示部と、
前記充電情報送信部により送信された充電情報を受信する充電情報受信部と、
前記充電情報受信部により受信した充電情報に含まれる残容量および満充電容量に基づいて、前記車両の第1の航続可能距離を算出する航続可能距離算出部と、
前記劣化係数と、前記第1の航続可能距離とに基づいて、前記第1の航続可能距離よりも小さい第2の航続可能距離を算出する第2の航続可能距離算出部と、
前記周辺地図の上に前記第2の航続可能距離を表す所定の表示を行う航続可能距離表示部とを備え、
前記容量記録部は、前記満充電容量算出部により算出した前記満充電容量とともにその記録日時を記録し、
前記充電情報送信部は、前記記録日時を含む充電情報を前記ナビゲーション装置へ送信し、
前記劣化係数決定部は、前記ナビゲーション装置に備わり、前記記録日時と現在日時とに基づいて前記劣化係数を決定する航続可能距離表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置と、それを含む車両の航続可能距離を表示画面に表示する航続可能距離表示システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電気自動車等に搭載されるバッテリを充電しているときの内部抵抗値に基づいてそのバッテリの劣化度を把握し、その劣化度を考慮してバッテリの残容量を検出する残容量検出装置に関する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本国特開平7−169510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発明では、バッテリの劣化を考慮して算出された航続可能距離を、電気自動車などの運転者へ容易に視認させることができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によると、ナビゲーション装置は、車両に駆動用の電力を供給するバッテリの劣化状態を表す劣化係数を決定する劣化係数決定部と、前記車両の現在位置を算出する現在位置算出部と、前記車両の現在位置周辺の地図を表示画面に表示する周辺地図表示部と、前記バッテリに受信した充電情報に含まれる前記バッテリの残容量及び前記バッテリの満充電のときの充電容量である満充電容量に基づいて、前記車両の第1の航続可能距離を算出する航続可能距離算出部と、前記劣化係数と、前記第1の航続可能距離とに基づいて、前記第1の航続可能距離よりも小さい第2の航続可能距離を算出する第2の航続可能距離算出部と、前記周辺地図の上に前記第2の航続可能距離を表す所定の表示を行う航続可能距離表示部と、を備える。
本発明の第2の態様によると、第1の態様のナビゲーション装置において、第1の態様の航続可能距離表示システムにおいて、航続可能距離表示部は、周辺地図の上に第2の航続可能距離に応じた半径の円を所定の表示として表示するのが好ましい。
本発明の第3の態様によると、第2の態様のナビゲーション装置において、航続可能距離表示部は、周辺地図の上に第1の航続可能距離に応じた半径の第1の円と、第2の航続可能距離に応じた半径の第2の円と、を所定の表示として表示するのが好ましい。
本発明の第4の態様によると、第3の態様のナビゲーション装置において、第1の円と第2の円の中心はともに車両の現在位置であるのが好ましい。
本発明の第5の態様によると、第4の態様のナビゲーション装置において、航続可能距離表示部は、第1の円と第2の円の間の環状の領域の表示態様を、表示画面の他の領域と異なる表示態様で表示するのが好ましい。
本発明の第6の態様によると、第5の態様のナビゲーション装置において、航続可能距離表示部は、第2の円の内側の表示態様を、環状の領域の表示態様と第1の円の外側の領域の表示態様とのいずれとも異なる表示態様で表示するのが好ましい。
本発明の第7の態様によると、第1から第6のいずれかの態様のナビゲーション装置において、バッテリは、バッテリユニットに備わり、満充電容量は、バッテリユニットが算出して、記録日時と共に記録しており、バッテリユニットがナビゲーション装置へ送信し、ナビゲーション装置は、バッテリユニットから満充電容量と記録日時とを受信する充電情報受信部をさらに備え、劣化係数決定部は、記録日時と現在日時とに基づいて劣化係数を決定するのが好ましい。
本発明の第8の態様によると、第7の態様のナビゲーション装置において、充電情報受信部により過去に受信した満充電容量と、充電情報受信部により現在受信した満充電容量とに基づいて、劣化係数を補正する劣化係数補正部をさらに備えるのが好ましい。
本発明の第9の態様によると、航続可能距離表示システムは、車両に駆動用の電力を供給するバッテリを備えるバッテリユニットと、車両に接続されるナビゲーション装置とを備える航続可能距離表示システムであって、バッテリユニットまたはナビゲーション装置は、バッテリの劣化状態を表す劣化係数を決定する劣化係数決定部を備え、バッテリユニットは、バッテリの残容量を算出する残容量算出部と、バッテリの満充電容量を算出する満充電容量算出部と、満充電容量算出部により算出したバッテリの満充電容量を記録する容量記録部と、残容量算出部により算出されたバッテリの残容量と、容量記録部により記録された満充電容量とを充電情報としてナビゲーション装置へ送信する充電情報送信部と、を備え、ナビゲーション装置は、車両の現在位置を算出する現在位置算出部と、車両の現在位置周辺の地図を表示画面に表示する周辺地図表示部と、充電情報送信部により送信された充電情報を受信する充電情報受信部と、充電情報受信部により受信した充電情報に含まれる残容量および満充電容量に基づいて、車両の第1の航続可能距離を算出する航続可能距離算出部と、劣化係数と、第1の航続可能距離とに基づいて、第1の航続可能距離よりも小さい第2の航続可能距離を算出する第2の航続可能距離算出部と、周辺地図の上に第2の航続可能距離を表す所定の表示を行う航続可能距離表示部と、を備える。
本発明の第10の態様によると、第9の態様の航続可能距離表示システムにおいて、航続可能距離表示部は、周辺地図の上に第2の航続可能距離に応じた半径の円を所定の表示として表示するのが好ましい。
本発明の第11の態様によると、第10の態様の航続可能距離表示システムにおいて、航続可能距離表示部は、周辺地図の上に第1の航続可能距離に応じた半径の第1の円と、第2の航続可能距離に応じた半径の第2の円と、を所定の表示として表示するのが好ましい。
本発明の第12の態様によると、第11の態様の航続可能距離表示システムにおいて、第1の円と第2の円の中心はともに車両の現在位置であるのが好ましい。
本発明の第13の態様によると、第12の態様の航続可能距離表示システムにおいて、航続可能距離表示部は、第1の円と第2の円の間の環状の領域の表示態様を、表示画面の他の領域と異なる表示態様で表示するのが好ましい。
本発明の第14の態様によると、第13の態様の航続可能距離表示システムにおいて、航続可能距離表示部は、第2の円の内側の表示態様を、環状の領域の表示態様と第1の円の外側の領域の表示態様とのいずれとも異なる表示態様で表示するのが好ましい。
本発明の第15の態様によると、第9から第14のいずれかの態様の航続可能距離表示システムにおいて、容量記録部は、満充電容量算出部により算出した満充電容量とともにその記録日時を記録し、充電情報送信部は、記録日時を含む充電情報をナビゲーション装置へ送信し、劣化係数決定部は、ナビゲーション装置に備わり、記録日時と現在日時とに基づいて劣化係数を決定するのが好ましい。
本発明の第16の態様によると、第15の態様の航続可能距離表示システムにおいて、充電情報受信部により過去に受信した充電情報に含まれる満充電容量と、充電情報受信部により現在受信した充電情報に含まれる満充電容量とに基づいて、劣化係数を補正する劣化係数補正部をさらに備えるのが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
バッテリの劣化を考慮して算出された航続可能距離を、電気自動車などの運転者が容易に視認できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による航続可能距離表示システムのブロック構成図の一例である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の一構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態によるバッテリユニットの一構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、バッテリユニットが満充電容量の計測値を記録した日時と、劣化係数との対応関係の一例を示す対応表である。
【
図5】
図5は、周辺地図と共に航続可能距離を表示した表示画面の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、航続可能距離を表示する処理に関するフローチャートの一例である。
【
図7】
図7は、周辺地図と共に航続可能距離を表示した表示画面の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、周辺地図と共に航続可能距離を表示した表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の一実施の形態による航続可能距離表示システムの一構成例を示すブロック図である。
図1に示す航続可能距離表示システム1は、ナビゲーション装置2と一または複数のバッテリユニット3とを備える。ナビゲーション装置2は、車両5のCAN(Controller Area Network)4に接続している。一または複数のバッテリユニット3は、車両5に搭載されたものであって、CAN4に接続している。ナビゲーション装置2と一または複数のバッテリユニット3とは、CAN4を介して通信することができる。
【0009】
図2は、ナビゲーション装置2の一構成例を示すブロック構成図である。ナビゲーション装置2は、制御部20と、記憶部21と、表示モニタ22と、スピーカ23と、GPS受信部24と、入力装置25と、通信部26とを備える。
【0010】
制御部20は、マイクロプロセッサ、各種周辺回路、RAM、ROMなどによって構成される。制御部20は、ナビゲーション装置2の各構成を制御して公知の経路探索処理や、経路案内処理などの処理を実行する。
【0011】
記憶部21は、ハードディスクドライブやソリッドステートドライブなどであって、不揮発性の記憶領域を有する。記憶部21には、地図データや、アイコン等の各種画像データ、音声データなどが記憶されている。
【0012】
表示モニタ22は、液晶モニタなどで構成され、制御部20の制御にしたがって各種操作メニューや周辺地図などを表示する。スピーカ23は、経路案内処理における音声案内や、各種楽曲などを音声出力する。
【0013】
GPS受信部24は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信し制御部20へ出力する。GPS信号には、GPS衛星に搭載された原子時計からの時刻データなどが含まれている。制御部20は、GPS信号に含まれる時刻データを利用して、車両5の現在位置や現在時刻を算出し、車両5の走行距離を算出することができる。
【0014】
入力装置25は、各種スイッチ類や、操作パネル、リモコン、表示モニタ22と一体化されたタッチパネルなどで構成される。ユーザは、入力装置25を用いてナビゲーション装置2を操作したり、各種情報を入力することができる。
【0015】
通信部26は、CAN4と接続することができる。通信部26は、複数のバッテリユニット3から送信される情報を受信し、制御部20へ転送する。
【0016】
図3は、バッテリユニット3の一構成例を示すブロック構成図である。バッテリユニット3は、バッテリ31と、マイコン32と、通信部33と、記録媒体34とを備える。バッテリ31は、バッテリユニット3を搭載する車両5の電気エネルギー供給源である。バッテリユニット3は、バッテリ31の電力を車両5に供給する。マイコン32は、バッテリ31の出力電流と出力電圧を検出し、それらに基づいてバッテリ31の充電容量に関する情報を生成する。通信部33は、マイコン32が生成したバッテリ31の充電容量に関する情報を、CAN4を介してナビゲーション装置2へ送信する。記録媒体34は、フラッシュメモリ等の不揮発性の記録媒体であり、バッテリ31の充電容量に関する情報を記憶する。
【0017】
マイコン32は、バッテリ31の出力電圧を検出し、その検出結果に基づいてバッテリ31が放電完了状態に達したか否かを判定する。たとえば、バッテリ31の出力電圧が1V未満となったとき、マイコン32が放電完了状態に達したと判定することにすればよい。また、マイコン32は、公知の定電流定電圧充電方式などにより、バッテリ31が満充電状態に達したと判定する。
【0018】
マイコン32は、満充電容量算出部321と残容量算出部322とを備える。満充電容量算出部321は、バッテリ31が放電完了電圧に達したときに、満充電容量とみなす充電容量を算出する。満充電容量算出部321は、バッテリ31が満充電である状態から放電完了状態となるまでの間にバッテリ31が出力した電流を積算する。このバッテリ31の出力電流の積算値を現在消費容量と称する。満充電容量算出部321は、バッテリ31が放電完了状態となったときの現在消費容量をバッテリ31の満充電容量として記録媒体34へ記録する。このとき、満充電容量は、記録媒体34にその記録日時と共に記録される。なお、満充電容量算出部321は、バッテリ31が満充電となったときに満充電容量を算出し、記録媒体34に記録することにしてもよい。この場合は、バッテリ31が放電完了状態から満充電状態となるまでの期間、電流を積算する。
【0019】
満充電容量算出部321は、記録媒体34に満充電容量が既に記録されている場合は、その値を更新する。満充電容量算出部321は、バッテリ31が満充電まで充電された場合、現在消費容量の算出をはじめからやり直す。満充電容量算出部321は、バッテリ31が放電完了状態となる前に充電された場合も、現在消費容量の算出をはじめからやり直す。
【0020】
満充電容量算出部321は、バッテリ31が放電完了状態になる前に満充電状態まで充電された場合、記録媒体34に記録されている満充電容量を更新しない。一方で充放電を繰り返すことによりバッテリ31は劣化するため、満充電容量が更新されずに時間が経過するほど記録媒体34に記録されている満充電容量の信ぴょう性は低くなる。
【0021】
残容量算出部322は、バッテリ31の現在消費容量と、記録媒体34に記憶されている満充電容量とに基づいて、バッテリ31の残容量を算出する。たとえば、バッテリ31の満充電容量から現在消費容量を減じ、さらにその結果を満充電容量で除し、百分率の値として算出すればよい。
【0022】
マイコン32は、バッテリ31の残容量を算出するたびに、記録媒体34に記録されたバッテリ31の満充電容量およびその記録日時と、マイコン32により算出された残容量とを含む情報を、通信部33を介してナビゲーション装置2へ送信する。バッテリユニット3のマイコン32がナビゲーション装置2へ送信するこれらの情報を充電情報と称する。ナビゲーション装置2の制御部20は、通信部26を介して充電情報を受信する。制御部20は、受信した充電情報を記憶部21へ記憶する。
【0023】
ナビゲーション装置2の制御部20は、受信した充電情報に含まれるバッテリ31の残容量と満充電容量とに基づいて、車両5の航続可能距離を算出する。また制御部20は、受信した充電情報に含まれる記録日時に関する情報に基づいた劣化係数をさらに航続可能距離に乗ずることにより、バッテリ31の補正航続可能距離を算出する。
【0024】
バッテリ31は、充電と放電とを繰り返すとその満充電容量が小さくなり、航続可能距離が小さくなる。記録媒体34にバッテリ31の満充電容量を記憶した記録日時が昔の日時であればあるほど、充電情報に含まれる満充電容量の値の信ぴょう性は低い。劣化係数は、充電情報に含まれるバッテリ31の満充電容量の信ぴょう性が低いときに、充分に高い確率で走行可能であると推定される距離を算出するための数値であって、その値は1より小さい。
【0025】
図4は、バッテリユニット3が満充電情報を記録媒体34へ記録した記録日時と、劣化係数との対応関係を示す対応表の一例である。
図4に例示する対応表は、ナビゲーション装置2の記憶部21にルックアップテーブルとして記憶されており、受信した充電情報に含まれる記録日時に対応する劣化係数が制御部20の制御により読み出される。
【0026】
図4には、ナビゲーション装置2が受信した充電情報に含まれる記録日時を分類した項目で構成される列41と、列41の各項目に対応する劣化係数で構成される列42とからなる。受信した充電情報に含まれる記録日時がたとえば現在日時の3日前の日時であった場合、列41の「現在日時の2日〜5日前」の項目に対応する列42の劣化係数「0.95」が制御部20により読み出される。
【0027】
図4の劣化係数は、現在受信した充電情報と、過去に記憶部21に記憶した充電情報とに基づいて算出した劣化係数に更新してもよい。たとえば、現在受信した充電情報に含まれる満充電容量b1(たとえば、60Ah)を、過去に記憶部21に記憶している満充電容量b2(たとえば、65Ah)で除した値b1/b2を制御部20が劣化係数として算出する。そして、制御部20は、現在受信した充電情報に含まれる記録日時と、過去に記憶部21に記憶している充電情報の記録日時との差を算出し、その差に対応する
図4の劣化係数を算出した劣化係数b1/b2で更新する補正を行う。
【0028】
ナビゲーション装置2の制御部20は、航続可能距離と、補正航続可能距離とを算出したらそれらの距離に対応する円表示を表示モニタ22に表示する。円表示は、表示モニタ22に表示した車両5の現在位置周辺の周辺地図の上に表示する。
図5は、表示モニタ22に表示される航続可能距離および補正航続可能距離を示す円表示の一例である。
【0029】
図5では、表示モニタ22に車両5の現在位置周辺の周辺地
図500が表示されている。表示モニタ22の中心には、車両5の現在位置を示す車両マーク501が表示されている。そして、車両5の現在位置を中心として、航続可能距離を半径とする第1円表示502と、補正航続可能距離を半径とする第2円表示503と、が表示されている。車両5の現在位置から補正航続距離以上航続可能距離以下の環状の表示領域504は、表示モニタ22の他の表示領域とは異なる表示態様で表示されている。なお、
図5では環状の表示領域504をハッチングを用いて表示しているが、半透明の赤色で塗りつぶす等の表示をすることにしてもよい。
【0030】
充電情報に含まれる記録日時が昔の日時であればあるほど、補正航続可能距離は小さくなり、第1円表示の半径は小さくなり、環状の表示領域504が拡大する。また、バッテリ31が劣化して満充電容量が小さくなると、第2円表示の半径は小さくなる。また、充電情報に最新の満充電容量が含まれている場合、補正航続可能距離と航続可能距離とは略等しくなり、環状の表示領域404は、略無くなる。
【0031】
図6は、ナビゲーション装置2が周辺地図と共に航続可能距離と補正航続可能距離とに基づいた円表示を行う処理の流れを示すフローチャートの一例である。
【0032】
ステップS10では、制御部20は、バッテリユニット3から受信した充電情報を記憶部21へ記憶する。ステップS20では、制御部20は、受信した充電情報に含まれる満充電容量の値と、残容量の値とに基づいて、航続可能距離を算出する。
【0033】
ステップS30では、制御部20は、受信した充電情報に含まれる記録日時に基づいて、
図4の表に基づいて劣化係数を決定する。ステップS40では、制御部20は、ステップS20で算出した航続可能距離と、ステップS30で決定した劣化係数とに基づいて、補正航続可能距離を算出する。
【0034】
ステップS50では、制御部20は、GPS信号に基づいて車両5の現在位置を算出する。ステップS60では、制御部20は、車両5の現在位置周辺の周辺地図を地図データに基づいて表示し、その周辺地図の上に補正航続可能距離に基づいた第1円表示502と、航続可能距離に基づいた第2円表示503とを表示する。
【0035】
以上で説明した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
ナビゲーション装置2の制御部20は、GPS受信部24が受信したGPS信号に基づいて、ナビゲーション装置2を搭載する車両5の現在位置を算出する(ステップS50)。制御部20は、車両5の現在位置の周辺地
図500を表示モニタ22に表示する。制御部20は、車両5に駆動用の電力を供給するバッテリ31の劣化状態を表す劣化係数を決定する(ステップS30)。制御部20は、バッテリ31の残容量および満充電容量に基づいて、車両5の航続可能距離を算出する(ステップS20)。制御部20は、その劣化係数とその航続可能距離とに基づいて、補正航続可能距離を算出する(ステップS40)。制御部20は、その補正航続可能距離に基づく第2円表示503を、周辺地
図500の上に表示する(
図5)。これにより、電気自動車などの車両の運転者は、バッテリ31の劣化を考慮して算出された補正航続可能距離を、容易に視認することができる。
航続可能距離表示システム1は、車両5に駆動用の電力を供給するバッテリ31を備えるバッテリユニット3と、車両5に接続されるナビゲーション装置2とを備える。バッテリユニット3のマイコン32は、バッテリ31の残容量を算出する残容量算出部322とバッテリ31の満充電容量を算出する満充電容量算出部311とを有する。そして、バッテリユニット3は、満充電容量算出部311が算出した満充電容量を記録媒体34へ記録する。そして、バッテリユニット3は、通信部33を介して、マイコン32が算出したバッテリ31の残容量と、記録媒体34に記録された満充電容量と、その記録日時とを、充電情報としてナビゲーション装置2へ送信する。一方、ナビゲーション装置2の制御部20は、通信部26を介してバッテリユニット3が送信した充電情報を受信する。そして、制御部20は、受信した充電情報に含まれるバッテリ31の残容量および満充電容量とに基づいて、車両の航続可能距離を算出する(ステップS20)。そして、制御部20は、受信した充電情報に含まれる記録日時に対応する劣化係数を決定し(ステップS30)、決定した劣化係数と算出した航続可能距離とに基づいて、補正航続可能距離を算出する(ステップS40)。制御部20は、GPS受信部24が受信したGPS信号に基づいて、ナビゲーション装置2を搭載する車両5の現在位置を算出し、地図データに基づいて車両5の現在位置の周辺地
図500と補正航続可能距離に基づく第2円表示503とを表示モニタ22に表示する(
図5)。これにより、電気自動車などの車両の運転者は、バッテリ31の劣化を考慮して算出された補正航続可能距離を、容易に視認することができる。
【0036】
制御部20は、周辺地
図500の上に第2円表示503だけでなく、第1円表示502をさらに表示する。第2円表示503と第1円表示502とは車両5の現在位置を中心にしている。第2円表示503と第1円表示502との間の環状の表示領域504の大きさは、バッテリ31の劣化状態を表す。第2円表示503は劣化状態(満充電容量学習不足)を考慮した円が描かれ、第1円表示502は劣化状態が考慮されていない円が描かれる。ユーザは、環状の表示領域504を走行する際にリスクを認識することができる。
【0037】
以上で説明した実施形態は、以下のように変形して実施できる。
〔1〕 上記の実施形態では、
図5に示すように周辺地
図500と共に車両マーク501や、第1円表示502、第2円表示503などを表示モニタ22へ表示した。航続可能距離や補正航続可能距離を表示モニタ22に円表示する方法は、
図5に例示した方法だけに限定しない。たとえば、周辺地
図500の上に第2円表示503のみを表示し、第1円表示502や環状の表示領域504などを表示しないことにしてもよい。また、充電スタンドなどの位置を示す施設アイコンなどを周辺地
図500と共に表示することにしてもよい。このとき、充電スタンドに関する施設アイコンのうち、第2円表示503内の施設アイコンを、表示色を変更する等の強調した表示態様で表示してもよい。
【0038】
また、
図5において、環状の表示領域504の表示態様を他の表示領域とは異なる表示態様とすることにしたが、
図7に示すように第2円表示503の内側の領域に関しても別の表示態様で表示することにしてもよい。また、第2円表示503の内側や、環状の表示領域504の内側に含まれる道路についても、表示色や線幅をそれぞれ変更して表示してもよい。
【0039】
〔2〕 上記の実施の形態では、後続可能距離と補正後続可能距離とを第1円表示502や第2円表示503を用いて円表示することとしたが、円表示以外の表示方法で航続可能距離と補正航続可能距離とを表示することにしてもよい。
図8は、航続可能距離と補正航続可能距離とを、車両の走行方向に延びる道路に沿って表示した一例である。
図8には、車両の現在位置周辺の周辺地
図700が表示されている。周辺地
図700は、車両の現在位置から延びる道路の道路網として表示されている。車両5の現在位置には、車両マーク701が表示されている。
図8において斜線でハッチングされた領域702は、車両5の現在位置から道路に沿った距離が補正航続可能距離以下の道路を強調している。また、
図8において格子でハッチングされた領域703は、車両5の現在位置から道路に沿った距離が補正航続可能距離以上航続可能距離以下の道路を強調している。これにより、運転手は航続可能距離をより正確に把握できる。各道路の長さは、記憶部21に記憶されている地図データに含まれる。
【0040】
〔3〕 バッテリユニット3の記録媒体34には、バッテリ31の定格の満充電容量b3が記録されていてもよい。これによりバッテリユニット3のマイコン32は、満充電容量算出部321が満充電容量b4を算出したとき、その満充電容量b4と定格の満充電容量b3との比b4/b3を算出して、その比b4/b3を劣化係数を決定することができる。バッテリユニット3は、その劣化係数を充電情報の一部としてさらにナビゲーション装置2へ送信することにしてもよい。また、バッテリユニット3は、充電容量の一部としてバッテリ31の定格の満充電容量b3を送信することにしてもよい。ナビゲーション装置2は、通信部26を介して劣化係数またはバッテリ31の定格の満充電容量b3を受信して、補正航続距離の算出に用いることができる。なお、バッテリ31の定格の満充電容量b3は、ナビゲーション装置2の記憶部21に記憶していてもよい。その場合は、制御部20が通信部26を介して受信した充電情報に含まれる満充電容量b1と定格の満充電容量b3とに基づいて劣化係数を算出することができる。バッテリ31の定格の満充電容量b3は、ユーザが入力装置25を用いて入力して記憶部21に予め記憶させることにしてもよいし、ナビゲーション装置2の製造時や販売時などに予め記憶させることにしてもよい。
【0041】
〔4〕 バッテリユニット3とナビゲーション装置2とは、CAN4を介さずに有線または無線で通信することにしてもよい。
【0042】
以上で説明した実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。
【0043】
次の優先権基礎出願の開示内容は引用文としてここに組み込まれる。
日本国特許出願2011年第072588号(2011年3月29日出願)