特許第5973430号(P5973430)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5973430自動マシーンの制御装置の設定の変更をモニタリングする方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5973430
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】自動マシーンの制御装置の設定の変更をモニタリングする方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/05 20060101AFI20160809BHJP
【FI】
   G05B19/05 A
【請求項の数】18
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-517577(P2013-517577)
(86)(22)【出願日】2011年7月11日
(65)【公表番号】特表2013-534672(P2013-534672A)
(43)【公表日】2013年9月5日
(86)【国際出願番号】IB2011001607
(87)【国際公開番号】WO2012004662
(87)【国際公開日】20120112
【審査請求日】2014年6月23日
(31)【優先権主張番号】BO2010A000434
(32)【優先日】2010年7月9日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】508087572
【氏名又は名称】カンパテンツ ベー フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】マルテリー,デビッド
【審査官】 川東 孝至
(56)【参考文献】
【文献】 特表2000−513842(JP,A)
【文献】 特開2001−125608(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0178757(US,A1)
【文献】 特開2003−280913(JP,A)
【文献】 特開2000−242309(JP,A)
【文献】 特開2001−209413(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/04−19/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動マシーンの制御装置の設定の変更をモニタリングする方法であって、
前記制御装置は、前記自動マシーンを制御するプログラムがインストール可能な不揮発性メモリ手段と、前記インストールされた制御プログラムを実行する少なくとも1つの処理モジュールとを有し、
当該方法は、
前記メモリ手段のリザーブされたメモリ部分に所定のプライオリティ制御プログラムをインストールするステップと、
前記メモリ手段における新たな制御プログラムの各インストールイベントを検出するステップと、
最後にインストールされた前記制御プログラムの実行を有効にするステップと、
前記メモリ手段の少なくとも1つのアーカイブメモリ部分に、インストールされた新たな各制御プログラムと前記新たな制御プログラムのインストールのデータとを保存するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記制御装置は、前記処理モジュールにより制御される少なくとも1つの追加的なモジュール及び/又は前記処理モジュールとインタフェースがとられた少なくとも1つの周辺装置を有し、
当該方法は、
新たな追加的な各モジュールによる前記少なくとも1つの追加的なモジュールの各置換イベント、新たな周辺装置による前記少なくとも1つの周辺装置の各置換イベント、及び/又は新たな処理モジュールによる前記処理モジュールの各置換イベントを検出するステップと、
新たな追加的な各モジュール、新たな各周辺装置及び/又は新たな各処理モジュールに関する置換データを前記アーカイブメモリ部分に保存するステップと、
を有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記制御装置は、外部ユニットから前記メモリ手段にインストールされる前記新たな制御プログラムを受信する通信手段を有し、
前記メモリ手段における新たな制御プログラムの各インストールイベントを検出するステップは、前記通信手段のアクティビティをモニタリングすることを含む、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記メモリ手段は、前記制御装置に固定される各ベースから着脱可能なメモリモジュールを有し、
前記最後にインストールされた制御プログラムは、前記メモリモジュールにインストールされ、
前記メモリ手段における新たな制御プログラムの各インストールイベントを検出するステップは、前記ベースにおける新たなメモリモジュールの有無を検出することを含む、請求項1又は2記載の方法。
【請求項5】
前記メモリ手段における新たな制御プログラムの各インストールイベントを検出するステップは、前記インストールされる新たな制御プログラムと最後にインストールされた制御プログラムとを比較することを含む、請求項1乃至4何れか一項記載の方法。
【請求項6】
インストールされる各制御プログラムは、実行可能なコードを有し、
前記最後にインストールされる制御プログラムの実行可能なコードは、最後の前にインストールされた制御プログラムの実行可能なコードにキューされる、請求項1乃至5何れか一項記載の方法。
【請求項7】
インストールされる各制御プログラムは、前記実行可能なコードの最初のバイトと最後のバイトとをそれぞれ示す2つのポインタを有し、
前記最後にインストールされる制御プログラムのインストールデータとポイントは、最後の前にインストールされた制御プログラムのインストールデータとポインタとにキューされる、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記メモリ手段は、少なくとも2つのアーカイブメモリ部分を有し、
第1のアーカイブメモリ部分は、前記処理モジュールに搭載され、
第2のアーカイブメモリ部分は、前記少なくとも1つの追加的なモジュール又は前記少なくとも1つの周辺装置に搭載され、
前記置換データは、前記アーカイブメモリ部分に保存される、請求項2乃至7何れか一項記載の方法。
【請求項9】
前記メモリ手段は、前記処理モジュールに搭載され、
第2のアーカイブメモリ部分は、前記少なくとも1つの追加的なモジュール又は前記少なくとも1つの周辺装置に搭載され、
前記インストールされた新たな各制御プログラムと対応するインストールデータとは、前記アーカイブメモリ部分に保存される、請求項2乃至8何れか一項記載の方法。
【請求項10】
前記プライオリティ制御プログラムは、前記リザーブされたメモリ部分に保存される対応するプライオリティ設定パラメータを有し、
新たな各制御プログラムは、対応する設定パラメータを有する、請求項1乃至9何れか一項記載の方法。
【請求項11】
前記最後にインストールされた制御プログラムを実行するステップと、
前記最後にインストールされた制御プログラムのパフォーマンスの指標を測定するステップと、
前記パフォーマンスの指標の測定値が所定の条件を充足していることを検証するステップと、
前記所定の条件が充足されていない場合、前記最後にインストールされた制御プログラムの実行を阻止するステップと、
を有する請求項1乃至10何れか一項記載の方法。
【請求項12】
前記自動マシーンの処理に関する情報を前記少なくとも1つのアーカイブメモリ部分に保存するステップをさらに有し、
前記処理の情報は、処理の時間、実行時間、前記自動マシーンにより製造されたの個数及び/又は前記自動マシーンにより拒絶されたの個数を有する、請求項1乃至11何れか一項記載の方法。
【請求項13】
前記自動マシーンの製造に関するデータを前記少なくとも1つのアーカイブメモリ部分に保存するステップをさらに有し、
前記製造のデータは、各製造ロットの製造又は処理の開始及び終了時刻、及び前記自動マシーンが各製造ロットを製造又は処理した前記制御装置の設定パラメータを有する、請求項1乃至12何れか一項記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つのアーカイブメモリ部分のコンテンツをオフラインで解析可能にするため、前記コンテンツを外部の処理ユニットに転送するステップをさらに有する、請求項1乃至13何れか一項記載の方法。
【請求項15】
ヒューマンマシーンインタフェース手段を介しリストアコマンドのエントリを取得するステップと、
前記リストアコマンドが入力された場合、前記プライオリティ制御プログラムの実行を排他的に有効にするステップと、
をさらに有する、請求項1乃至14何れか一項記載の方法。
【請求項16】
自動マシーンのための制御装置であって、
前記制御装置は、前記自動マシーンを制御するプログラムがインストール可能な不揮発性メモリ手段、前記インストールされた制御プログラムを実行する少なくとも1つの処理モジュール、前記処理モジュールにより制御される少なくとも1つの入出力モジュール、及び/又は前記処理モジュールとインタフェースがとられる少なくとも1つの周辺装置を有し、
前記制御装置は、前記メモリ手段にインストールされるオペレーティングシステムを有し、前記処理モジュール上で実行されると、請求項1乃至14何れか一項記載の方法を実現するよう設計される制御装置。
【請求項17】
ヒューマンマシーンインタフェース手段を有し、
前記オペレーティングシステムは、前記処理モジュール上で実行されると、請求項15記載の方法を実現するよう設計される、請求項16記載の制御装置。
【請求項18】
請求項16又は17記載の制御装置を有する自動マシーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動マシーンの制御装置の設定の変更をモニタリングする方法に関する。
【0002】
特に、本発明は、一般性を失うことを意味することなく、以下の説明が明示的に参照する、箱詰めマシーン、パッケージングマシーン、ブリスタパッキングマシーンなど、包装業界に利用される自動マシーンにおける排他的でなく効果的な応用を見出す。
【背景技術】
【0003】
包装業界に用いられる自動マシーンの大多数は、自動マシーンの動作を制御するための電子的な制御ユニットを通常有する。電子的な制御ユニットは、自動マシーンを制御するためのプログラムを実行するよう構成されるPLC(Programmable−Logic Controller)などのプログラム可能なコントローラに搭載された電子カードを有する。電子カードは、制御プログラムを格納するためのメモリモジュールを有する。大部分の現代の電子カードは、シリアル通信ポートなどの1以上の通信ポートを介し、適切にプログラムされたパーソナルコンピュータなどの外部コンピュータとインタフェースをとることが可能である。
【0004】
自動マシーンを制御するためのプログラムを、例えば、制御プログラムの更新されたバージョンや全く新しい制御プログラムに置換することが所望されるときはいつでも、メモリモジュールが、当該新たな又は更新された制御プログラムを含む新たなメモリモジュールと置換されるか、又はより通常には、新たな制御プログラムが通信ポートを用いて電子カードとインタフェースがとられる外部コンピュータによって、メモリモジュールに直接インストールされる。自動マシーンの再プログラミングが、典型的には、自動マシーンの製造業者により認可された技術者など、自動マシーンの制御ロジックの適切な知識を有した専門的なスタッフによって実行されることが適切である。あるいは、再プログラミングは、認可された技術者の代わりに、自動マシーンの詳細な動作をしばしば十分には認識せず、誤った方法により自動マシーンを再プログラムし得るエンドユーザによって実行されることがしばしば発生し、認可された技術者によってでさえ特定困難な自動マシーンの結果としての不具合又は故障のリスクを増大させる。さらに、エンドユーザが十分な知識を有していない自動マシーンを再プログラムしているとき、当該ユーザは、自動マシーン及び/又は制御ユニットをもはや保証に従わないものにしたり、さらにより悪いことには、自動マシーンをオペレータにとってもはや安全なものにせず、及び/又は消費者の安全要求に従って製品を提供することがもはや不可能にするなど、プログラムの実行時間全体及び/又は全体的な動作ロジックなどのプログラムの基本特性を無意識的に変更しうる。
【0005】
この結果、不具合がハードウェアに由来(自動マシーン自体)又はソフトウェアに由来(制御装置のプログラミング)するか理解するため、認可された技術者はしばしば、電子カードを新たなものにまず置換する。すなわち、マシーンが良好に機能し続けない場合、故障がマシーンにあり、そうでない場合、それは、不具合が制御プログラムによって生じたことを意味し、その原因は、すなわち、それをいつインストールした人ということは、しばしば知られない。
【0006】
自動マシーンを制御するのに利用されるPLCデバイスは、通常はモジュールタイプであり、すなわち、それらは、制御プログラムがインストール可能なプロセッサとメモリとを有する少なくとも1つの処理モジュールと、フィールド信号を取得し、自動マシーン、通信モジュール及び補完的な処理モジュールの各種電子機械アクチュエータを駆動するため、処理モジュールにより制御されるデジタル又はアナログ入出力モジュールなどの複数の追加的なモジュールとを有する。当該モジュール構成は、以下の効果を提供する。すなわち、自動マシーンの要求に従って処理モジュール又は入出力モジュールを追加することによって任意に拡張可能であり、モジュールが故障により個別に置換可能である限りにおいて、容易なメンテナンスを可能にする。しかしながら、モジュールの置換の容易さは、自動マシーンの信頼性のリストを構成しうる。実際、自動マシーンのエンドユーザ、又は一般には認可されていないスタッフは、自動マシーン及び/又は制御ユニットをもはや保証に従わないものにしたり、あるいは、より悪いことには、自動マシーンをオペレータにとってもはや安全にせず、及び/又は消費者の安全の要求に従った製品を提供できないようにするなど、自動マシーンの設計及び動作の要求を充足しない特性を有する他のモジュールに当初のモジュールを容易に置換可能である。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、上述した問題点を解決する方法を実現するよう構成される自動マシーンのプログラマブル制御装置の設定の変更をモニタリングする方法と、当該方法を実現し、同時に容易かつ安価に製造されるプログラマブル制御装置とを提供することである。すなわち、本発明の目的は、制御装置自体のリペア、置換又は交信の後の制御装置のハードウェア、ファームウェア及びソフトウェアの変更の追跡可能性を保証するプログラマブル制御装置の設定の変更をモニタリングする方法を提供することである。
【0008】
本発明によると、自動マシーンの制御装置の設定の変更をモニタリングする方法、自動マシーンの制御装置及び自動マシーンが、添付した請求項に規定されるものに従って提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明は、実施例の非限定的な具体例を示す添付した図面を参照して説明される。
図1図1は、側面概略図による自動マシーンを示し、特に本発明により構成される制御装置が備えられる箱詰め装置を示す。
図2図2は、図1の制御装置の構成をブロック図により示す。
図3図3は、格納されている情報と、本発明により備えられる制御装置の設定の変更をモニタリングする方法による制御装置のモジュールのメモリエリアへの当該情報の格納モードとを示す。
図4図4は、格納されている情報と、本発明により備えられる制御装置の設定の変更をモニタリングする方法による制御装置のモジュールのメモリエリアへの当該情報の格納モードとを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1では、自動マシーン、特に段ボールのそれぞれの未加工の部分から始めて箱を製造する箱詰めマシーンが、1により全体表示される。自動マシーン1は、図1において2により示され、自動マシーン1の動作を制御するプログラム可能な電子制御装置を有する。制御装置2は、各電子カードが電子コンポーネントの各セットを搭載する1以上の電子カードなどの形態により製造される。簡単化のため、以降には、制御装置2は単一の電子カードの形態により製造されるとみなされる。
【0011】
図2を参照して、制御装置2は、少なくとも1つの処理モジュール4と、自動マシーン1の動作パラメータの値を取得するため、処理モジュール4により制御される入出力(I/O)モジュール5などによって構成される少なくとも1つの追加的なモジュールとを有するPLC装置3を有し、それ自体は既知であり、ここでは説明されない自動マシーン1の各種電子機械アクチュエータにコマンド信号を供給する。図2の具体例では、既知のタイプのバス4aを介し処理モジュール4に接続される3つの入出力モジュール5が示される。
【0012】
処理モジュール4は、プロセッサ6と、プロセッサ6上で実行されるプログラムをロードするための揮発性メモリ7と、プロセッサ6上で実行されると、自動マシーン1の制御用のロジック又はアルゴリズムを実現するよう設計される制御プログラムがインストール可能な少なくとも1つの不揮発性メモリ8とを有する。PLC装置3は、PLC装置3をスイッチオンすると、プロセッサ6上で実行されるメモリ7にロード可能なメモリ8にインストールされるオペレーティングシステムOSを有する。メモリ7は、例えば、DRAMメモリモジュールなどによって構成される。メモリ8は、例えば、フラッシュメモリモジュールなどによって構成される。
【0013】
制御装置2はさらに、パーソナルコンピュータ10などの外部の処理及びプログラミングユニットから、メモリ8にインストールされる新たな制御プログラムを受信するため、RS232シリアル通信ポートなどの通信ポート9を有する。通信ポート9は、処理モジュール4と通信する。
【0014】
制御装置2は、制御装置2を構成する電子カードのサポート要素(図示せず)に固定される各自のベース12から着脱可能な不揮発性メモリモジュール11を有する。ベース12と、ベース12に挿入されるときのメモリモジュール11とは、処理モジュール4に接続される。メモリモジュール11は、例えば、EPROMメモリモジュールなどによって構成される。制御プログラムは、メモリ8の代わりにメモリモジュール11にインストール可能である。この場合、新たな制御プログラムのインストールは、新たな制御プログラムが正確にインストールされる新たなアナログメモリモジュールによりメモリモジュール11を置換することから構成される。
【0015】
制御装置2はさらに、自動マシーン1のオペレータによるデータ及びコマンドのエントリを可能にするヒューマンマシーンインタフェース手段を有する。ヒューマンマシーンインタフェース手段は、キーボード13とスモールディスプレイ14とを有する。
【0016】
本発明によると、各入出力モジュール5は、特に、入出力モジュール5の特定のデータなどを格納するため、メモリ8と同じタイプのメモリなどの各自の不揮発性メモリ15を有する。当該特定のデータは、例えば、モジュール5のモデル、タイプ及びシリアル番号と、モジュール5のインストール日時、及びモジュール5において実行される可能な修復又はメンテナンス処理に関するデータなどを有する。
【0017】
制御装置2は、後述される方法により本発明による装置2の設定の変更をモニタリングする方法を実現するよう構成される。
【0018】
図3を参照して、処理モジュール4のメモリ8は、モジュールのモデル、タイプ、シリアル番号、モジュールのインストールの日時、及びモジュールにおいて実行される可能なリペア又はメンテナンス処理に関するデータなど、処理モジュール4の特定データMODが格納されるメモリ部分16を有する。メモリ8は、自動マシーン1のメーカーにより定義及び検証されたプライオリティ制御プログラム、すなわち、工場制御プログラムがインストールされるリザーブされたメモリ部分17を有する。プライオリティ制御プログラムは、実行可能なコードECPと、実行可能なコードECPの最初と最後のバイトをそれぞれ表す2つのポインタSTART及びSTOPとを有する。リザーブされたメモリ部分17はまた、プライオリティ制御プログラムのインストールのデータを有する。これらのインストールデータは、インストールのオーサ(author)AUPと、インストールの日時DATPとを有する。リザーブされたメモリ部分17へのアクセスはプロテクトされる。このように、新たな制御プログラムの何れか可能な以降のインストールは、プライオリティ制御プログラムを上書きする。
【0019】
制御装置2のオペレーティングシステムOSは、メモリ8のメモリ部分18にインストールされる。オペレーティングシステムOSは、プロセッサ6上で実行されると、後述される各ステップを有する本発明の方法を実現するよう設計される。
【0020】
まず、新たな制御プログラムのインストールの各イベントが検出される。新たな制御プログラムが通信ポート9を介し外部から受信され、メモリ8にインストールされる場合、インストールイベントは、通信ポート9の活動をモニタリングすることによって検出される。代わりに、新たな制御プログラムが新たなメモリモジュール11から来た場合、インストールイベントは、ベース12において新たなメモリモジュール11の有無を検出することによって検出される。インストール前、新たな制御プログラムが、プライオリティ制御プログラム又は以前にインストールされた他の制御プログラムでありうる、最後にインストールされた制御プログラムと比較される。新たな制御プログラムは、最後にインストールされた制御プログラムと異なっている場合、有効にインストールされる。さらに、新たな制御プログラムが新たなメモリモジュール11から来た場合、インストールイベントは、制御装置2の各スイッチオンに応答して、メモリモジュール11に格納されている制御プログラムと最後にインストールされた制御プログラムとを単に比較し、それらが異なっているか検証することによって検出される。従って、制御装置2をスイッチオンすると、インストールイベントが、ベース12における新たなメモリモジュール11の有無を検出することなく検出される。
【0021】
インストールされる新たな各制御プログラムは、制御プログラムの全ての変更をファイルするため、メモリのアーカイブメモリ部分19に、対応するインストールデータと一緒に保存されることによって記録される。インストールデータは、インストール者及びインストール日時を有する。図3は、制御プログラムが2回変更された、すなわち、第1の新たな制御プログラムがインストールされ、その後に第2の新たな制御プログラムがインストールされた具体例を示す。第2制御プログラム、すなわち、最後にインストールされた制御プログラムは、第1制御プログラム、すなわち、最後の前にインストールされた制御プログラムにキューされる。特に、第2制御プログラムの実行可能コードEC2は、アーカイブメモリ部分19の第1メモリエリア20の第1制御プログラムの実行可能コードEC1にすぐにキューされる。第2制御プログラムのポインタSTART2及びSTOP2とインストールデータ、すなわち、インストールのオーサAU2及び日時DAT2とが、アーカイブメモリ部分19の21により示される他のメモリエリアの第1制御プログラムのポインタSTART1及びSTOP1と、インストールデータ、すなわち、インストールのオーサAU1及び日時DAT1に即座にキューされる。各制御プログラムの2つのポインタはそれぞれ、実行可能コードEC1,EC2のそれぞれの最初のバイトと最後のバイトとを指し示す。
【0022】
新たな制御プログラムが新たなメモリモジュール11に含まれているものである場合、インストールデータのオーサは、メモリモジュール11の特定データにより置換される。当該特性データは、例えば、モジュール11のモデル、タイプ及びシリアル番号、モジュール11のインストール日時、及びモジュール11上で実行される可能性のあるリペア又はメンテナンス処理に関するデータなどを有する。
【0023】
オペレーティングシステムOSは、最後にインストールされた制御プログラムの実行を通常は有効にする。自動マシーン1が新しいとき、すなわち、それが再プログラミングを受けていないとき、最後にインストールされた制御プログラムは、プライオリティ制御プログラムに一致する。最後にインストールされた制御プログラムは、アーカイブメモリ部分19にキューされる。特に、オペレーティングシステムOSは、メモリエリア21のテール位置でポインタを読む。当該ポインタは、メモリエリア20において実行可能コードを特定する。図3の具体例を参照して、テールポインタは、ポインタSTART2及びSTOP2である。再プログラミングがメモリモジュール11の置換を介し実行される場合、最後にインストールされた制御プログラムは、メモリモジュール11自体に格納されている制御プログラムのコピーである。
【0024】
自動マシーン1のオペレータは、何れかの時点において、制御装置2にリストアコマンドを入力することによって、プライオリティ制御プログラムをリストアすることができる。特に、オペレーティングシステムOSは、キーボード13を介しリストアコマンドのエントリを取得する。リストアコマンドが入力された場合、オペレーティングシステムOSは、リザーブされたメモリ部分17に格納されているポインタSTART及びSTOPにより特定されるプライオリティ制御プログラムの実行を排他的に有効にする。
【0025】
新たな制御プログラムの各インストールイベントに加えて、オペレーティングシステムOSは、新たな各入出力モジュールによる入出力モジュール5のすべての置換イベント、及び/又は新たな処理モジュールによる処理モジュール4のすべての置換イベントを検出する。
【0026】
入出力モジュール5の1つの置換イベントが検出されると、新たな入出力モジュールに関する置換データが、アーカイブメモリ部分19の22により示される他の入出力モジュールに保存されることによって記録される。置換データは、置換の日時と新たな入出力モジュールの特定データとを有する。図3は、2つの置換イベントがあった具体例を示す。第2置換イベント、すなわち、最後の置換イベントのデータが、最後の前の第1置換イベントのものにキューされる。特に、第2置換データ、すなわち、新たなモジュールMOD2の日時DATS2及び特定データは、第2置換データ、すなわち、DATS1及びMOD1に即座にキューされる。
【0027】
図4を参照して、各入出力モジュール5のメモリ15は、上述された入出力モジュール5の特定データMODが格納される各メモリ部分23を有する。さらに、メモリ15は、処理ユニット4のメモリ8のアーカイブメモリ部分19の当該部分のコピーとなるように管理されるアーカイブメモリ部分24を有する。すなわち、アーカイブメモリ部分19について採用されたものと同じモダリティによって、制御装置2にインストールされたすべての新たな制御プログラム、対応するインストールデータ及び入出力モジュール5の1つを置換した新たな各モジュールに関する置換データが、アーカイブメモリ部分24に保存される。入出力モジュール5が類似するタイプのモジュールと置換されるときはいつでも、オペレーティングシステムOSは、新たなモジュールのメモリ15において、アーカイブメモリ部分19をコピーすることによって、アーカイブメモリ部分24を生成する。
【0028】
各入出力モジュール5において、処理モジュール4に搭載されたアーカイブメモリ部分19の実質的にコピーであるアーカイブメモリ部分24は、処理モジュール4自体の置換イベントの保存を有効にすることに留意すべきである。このため、新たな処理モジュール4が最初にスイッチオンされると、オペレーティングシステムOSは、アーカイブメモリ部分24をコピーすることによって、アーカイブメモリ部分19を新たな処理モジュール4のメモリ8に生成する。
【0029】
効果的には、新たな制御プログラムがインストールされるときは常に、及び入出力モジュール5及び/又は処理モジュール4のすべての置換イベントに応答して、オペレーティングシステムOSは、自動マシーン1のメーカーにより予め確立された処理の要求との準拠性を検証するため、1以上のテストを即座に実行する。特に、最後にインストールされた制御プログラムがプロセッサ6上で実行されると、制御プログラムのパフォーマンスの特定の指標が測定され、測定されたパフォーマンス指標の値が、参照値又は参照範囲と比較され、測定された値が所定の条件を順守していることを検証する。所定の条件が充足されていない場合、オペレーティングシステムOSは、最後にインストールされたプログラムの実行を阻止する。パフォーマンス指標は、例えば、制御プログラムのスキャン時間を有する。測定されたスキャン時間は、最大スキャン時間を超過してはならない。そうでない場合、それは、フィールド信号の適切なサンプリングを入出力モジュール5により保証できず、自動マシーン1の不具合を生じさせる可能性がある。パフォーマンス指標の他の具体例は、入出力モジュール5を介した入出力信号の伝搬遅延である。特に、入力信号の伝搬遅延は、入出力モジュール5の入力フィルタの設定パラメータである最大入力伝搬遅延を超過してはならない。
【0030】
本発明のさらなる実施例(図示せず)によると、制御装置2は、処理モジュール4とインタフェースをとり、それぞれが特に周辺装置の各不揮発性メモリを有する1以上の周辺装置を有する。当該周辺装置は、例えば、図2に示されるディスプレイ14を有する。各周辺装置のメモリは同一タイプであり、入出力モジュール5のメモリ15と同じ方法により管理される。すなわち、それは、処理ユニット4のメモリ8のアーカイブメモリ部分19のコピーとなるように、周辺装置の特定データを格納するメモリ部分と、アーカイブメモリ部分24として管理されるアーカイブメモリ部分とを有する。さらに、オペレーティングシステムOSは、新たな周辺装置によるある周辺装置の各置換イベントを検出する。
【0031】
本発明のさらなる実施例(図示せず)によると、メモリ8に予めインストールされている、又は以降にインストールされる各制御プログラムは、対応する設定パラメータを有する。より正確には、プライオリティ制御プログラムは、自動マシーン1のメーカーにより定義及び検証され、実行可能コードECPと共にリザーブされたメモリ部分17に保存されるプライオリティ設定パラメータを有する。メモリ8にインストールされる新たな各制御プログラムは、制御プログラムの実行可能なコピーとと共に、アーカイブメモリ部分19に保存される対応する設定パラメータを有する。制御プログラムの設定パラメータは、例えば、制御プログラムの最大スキャン時間と、入出力モジュール5の入力フィルタのパラメータなどを有する。入力フィルタのパラメータは、最大入力伝搬時間を有する。
【0032】
本発明のさらなる実施例(図示せず)によると、PLC装置3は、一体型タイプであり、すなわち、図2の入出力モジュール5を有さず、オペレーティングシステムOSが、プロセッサ6上で実行されるとき、制御装置2の設定の変更をモニタリングする方法の簡略化されたバージョンを実現するよう設計される。当該モニタリング方法の簡略化されたバージョンは、新たな各モジュールに関する置換のデータの保存と、新たな各モジュールによるPLC装置3のモジュールの各置換イベントとを検出する上述されたステップを実行しない。
【0033】
本発明のさらなる実施例(図示せず)によると、例えば、処理時間、実行時間、生成される部分の個数、拒絶される部分の個数などの自動マシーン1の処理に関する重要な情報が、アーカイブメモリ部分19,24に保存される。この情報は、例えば、直近の24時間、直近の週又は年、又は自動マシーン1のスタートアップから始まる無制限の期間などのプログラム可能な限定的な期間において保存される。各モジュール4,5上への自動マシーン1の処理の情報のコピーを有するという事実は、他の何れかのモジュール5,4の損傷又は置換イベントにおける当該情報のリカバリを可能にする。
【0034】
本発明のさらなる実施例(図示せず)によると、各製造ロットの製造開始及び終了時間、自動マシーン1が各製造ロットを製造又は処理した制御装置2の設定パラメータなど、自動マシーン1の製造に関するデータがまた、アーカイブメモリ部分19,24に保存される。このように、製造ロットの非準拠性が制御装置2の誤った設定に依存するか確認し、制御装置2をおそらく誤って設定したオペレータを特定することができるように、必要な要求に準拠しない製造ロットが検出された場合、当該製造ロットが製造又は処理された時間と、当該時点における自動マシーン1の制御装置2の設定とを確実にトレースバックすることが可能である。
【0035】
本発明のさらなる実施例(図示せず)によると、アーカイブメモリ部分19,24のコンテンツは、通信ポート9を用いてPLC装置3とインタフェースがとられた外部の処理ユニット10に転送される。このようにして、アーカイブメモリ部分19,24のコンテンツは、例えば、自動マシーン1に関する問題の原因をより高い精度によって決定するため、オフラインに順番に解析可能である。実際、外部処理ユニットには、PLC装置3により直接利用可能とすることができるものよりもはるかに効率的な解析ツール及びインタフェースが備えることができる。
【0036】
上述された自動マシーン1の制御装置2の設定の変更をモニタリングする方法の主要な効果は、各種モジュール4,5に含まれるアーカイブメモリ部分19,24の管理を用いて、制御プログラム、対応する設定パラメータ及び制御装置2のモジュールの各置換の何れかの変更を追跡することである。すなわち、上述された制御装置2の設定の変更をモニタリングする方法は、制御装置2自体のリペア又は更新による以降の制御装置2のハードウェア、ファームウェア及びソフトウェアの変更の追跡可能性を保証する。これは、制御プログラム及びモジュールの変更の追跡可能性が自動マシーン1の不具合又は故障の多くのケースの原因により容易に戻ることを可能にする限り、自動マシーン1の診断及び修復ステップ中に極めて有用である。これらの変更の追跡可能性は、それの処理及び当該処理の安全性の観点から、自動マシーン1の信頼性の向上を可能にし、自動マシーン1により実行される製造プロセスの正しいパラメータの考慮を可能にし、従って、自動マシーン1により処理される製品の適切さと品質、及び経時的に要求される連続性を有する必要な要求との対応関係とを保証する。
【0037】
本明細書の各種具体例及び詳細により説明されたように、PCL装置3の各モジュール4,5は、すべての制御プログラムの履歴と対応する設定パラメータと共に、最後にインストールされた制御プログラム、及び同様のモジュールを置換したPLC装置2のすべての新しいモジュール4,5の置換のデータと以前にインストールされた対応する設定パラメータとを、各自のアーカイブメモリ部分19,24に格納する。冗長であって、モジュール4,5の間に分散されるアーカイブメモリ19,24の特定の構造は、制御装置2のハードウェア、ファームウェア及びソフトウェアのインストール及び/又は置換の履歴のすべてのモジュール4,5における複製を可能にし、これにより、PLC装置3が処理モジュール4などのちょうど1つのモジュールしか有さない場合でも、制御装置2をその全体でリストアすることを可能にする。従って、アーカイブメモリ19,24の冗長で分散された構成は、故障したモジュール4,5の置換イベントにおいて、専門スタッフの介入を必要とすることなく、新たなモジュール4,5の自動的かつセキュアな設定を可能にする。
【0038】
上述された自動マシーンの設定の変更をモニタリングする方法の他の効果は、新たな制御プログラムがインストールされるか、又はPLC装置3のモジュールが置換されるときは常に、セルフチェックを実行可能な機能である。当該セルフチェックは、自動マシーン1の不具合を生じさせる可能性のある新たなプログラム又はモジュールの何れか可能性のある非互換性を予防的に通知することによって、制御装置2が効果的に利用される前にインストールされた可能性のある新たなモジュールの準拠性、新たな制御プログラム及び対応する設定パラメータの適切な処理をモニタリングすることを可能にする。当該不具合は、おそらく自動マシーンの故障又はさらに悪いのはオペレータの危険を生じさせる。
図1
図2
図3
図4