(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5973437
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】フィルターフィードスラリーにおける水のパーセントを制御することによるテレフタル酸パージろ過速度の向上
(51)【国際特許分類】
C07C 51/42 20060101AFI20160809BHJP
C07C 63/26 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
C07C51/42
C07C63/26 H
【請求項の数】23
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-524875(P2013-524875)
(86)(22)【出願日】2011年8月11日
(65)【公表番号】特表2013-536197(P2013-536197A)
(43)【公表日】2013年9月19日
(86)【国際出願番号】US2011047373
(87)【国際公開番号】WO2012024153
(87)【国際公開日】20120223
【審査請求日】2014年8月5日
(31)【優先権主張番号】12/860,131
(32)【優先日】2010年8月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511182596
【氏名又は名称】グルーポ ペトロテメックス,ソシエダ アノニマ デ カピタル バリアブレ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100186370
【弁理士】
【氏名又は名称】小久保 菜里
(72)【発明者】
【氏名】ケニー ランドルフ パーカー
(72)【発明者】
【氏名】ラリー ウェイン ブレア
【審査官】
瀬下 浩一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−126455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 51/42
C07C 63/26
CAplus(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) カルボン酸、金属触媒、不純物、水及び酢酸を含む溶媒を含むテレフタル酸工程において形成される酸化剤パージの流れを、第1のエバポレーター帯域における蒸発に供し、蒸気の流れ及び濃縮パージスラリーを生成するステップ、
(b) 第1の混合帯域において、水を前記濃縮パージスラリーに添加し、高含水の濃縮パージスラリーを生成するステップ、
(c) 第2のエバポレーター帯域において、前記高含水の濃縮パージスラリーを蒸発に供し、溶媒高含有の流れ及び高濃縮パージスラリーを生成するステップであって、前記第2のエバポレーター帯域が、約20℃から約70℃の温度で操作されるエバポレーターを含み、ステップ(b)において混合帯域に添加される水の質量が、底流高濃縮パージスラリーの流れに含まれる水のパーセントを5%から25%に制御するように操作される、ステップ、
(d) 固液分離帯域において、前記高濃縮パージスラリーをろ過し、フィルターケーク及び母液を形成するステップ、並びに
(e) 前記固液分離帯域において、洗浄フィードで前記フィルターケークを洗浄し、洗浄フィルターケークを形成するステップ
を含む、テレフタル酸パージの方法。
【請求項2】
前記高濃縮パージスラリーから、前記金属触媒の少なくとも80%が、前記分離帯域を経て、前記母液及び前記累積する洗浄液中に回収される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(a)及びステップ(c)の組み合わせにおいて、約75wt%から約95wt%の前記溶媒及び水が、前記酸化剤パージの流れから蒸発により取り除かれる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記洗浄フィルターケークの少なくとも一部が酸化帯域のテレフタル酸の底流を含む流れに送られる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記高濃縮パージスラリーが、約8wt%から約23%の水を含有している、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記高濃縮パージスラリーが、約11wt%から約21%の水を含有している、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記高濃縮パージスラリーが、約13wt%から約18%の水を含有している、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記固液分離装置が、約25℃から約90℃の温度において作動する加圧ろ過装置である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記加圧ろ過装置が、少なくとも一つのフィルターセルを含み、少なくとも一つのフィルターセルが、少なくとも深さ0.25インチ(6.35mm)の前記フィルターケークを蓄積する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(d)で形成される前記母液の少なくとも一部が、テレフタル酸工程の酸化帯域に戻される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記加圧ろ過装置が回転圧力ドラム式フィルターである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の蒸発帯域から前記混合帯域に送られる前記濃縮パージの流れの温度が、80℃よりも高く維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の蒸発帯域における滞留時間が30分から180分である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記母液が抽出帯域に送られて、含水の流れ及び有機の流れを生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記有機の流れが蒸留塔に送られて、抽出溶媒と、酸化副生物不純物を含む廃棄スラッジの流れとが回収される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記高濃縮パージスラリーの水含有量の範囲が8%から23%である場合について、前記固液分離帯域における前記高濃縮パージスラリーのろ過速度が、前記範囲外のいかなる水濃度のものよりも高い、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記高濃縮パージスラリーの水含有量の範囲が11%から21%である場合について、前記固液分離帯域における前記高濃縮パージスラリーのろ過速度が、前記範囲外のいかなる水濃度のものよりも高い、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記高濃縮パージスラリーの水含有量の範囲が13%から19%である場合について、前記固液分離帯域における前記高濃縮パージスラリーのろ過速度が、前記範囲外のいかなる水濃度のものよりも高い、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
溶媒が酢酸であり、8:1から約20:1の比率で水と混合されている、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
混合帯域において添加される水の質量が、底流高濃縮パージスラリーの流れに含まれる水のパーセントを11%から21%に制御するように操作される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
混合帯域において添加される水の質量が、底流高濃縮パージスラリーの流れに含まれる水のパーセントを13%から19%に制御するように操作される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
混合帯域において添加される水の質量が、底流高濃縮パージスラリーの流れに含まれる水のパーセントを8%から23%に制御するように操作される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
溶媒が酢酸であり、11:1から20:1の比率で水と混合されている、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2010年8月20日に出願された、米国特許出願第12/860,131号の優先権を主張し、その内容の全体は、参照することにより本願の一部となる。
【0002】
本発明は、フィルターフィードスラリーにおける水の質量パーセントを制御することによるテレフタル酸パージろ過速度の向上、及び加圧ろ過を利用しながらの、カルボン酸、通常はテレフタル酸の合成において生成する酸化剤パージの流れからの金属触媒の回収に関する。
【背景技術】
【0003】
テレフタル酸は、例えばCo、Mn、Brのような触媒と溶媒の存在下で、パラキシレンの酸化により商業的に製造される。ポリエステル繊維、フィルム及び樹脂の製造に用いられるテレフタル酸は、パラキシレンの酸化の結果形成される不純物を取り除くために、さらに処理されなければならない。
【0004】
テレフタル酸(TPA)は、プラスチック及び繊維用途のポリエステル製造における中間体である。TPA製造の商業的な工程は、重金属で触媒されたp-キシレンの酸化に基づいていることが多く、一般には、酢酸溶媒中で臭化物の促進剤を用いる。実際の酸化条件下では、酢酸に対するTPAの溶解性が限られているため、TPA結晶のスラリーは大抵酸化反応器の中で形成される。通常は、TPA酸化剤スラリーは反応器から引き抜かれ、TPAの固体が、従来の固液分離技術を用いて、酸化剤の母液から分離される。この酸化剤の母液は、この工程で使用された触媒及び促進剤の多くを含有しており、酸化反応器に再循環される。触媒及び促進剤だけでなく、酸化剤の母液の流れもまた、溶解TPA並びに多くの副生物及び不純物を含有している。これらの副生物及び不純物は、p-キシレンフィードの流れ中に存在する微量の不純物から部分的に生成する。他の不純物は、p-キシレンの不完全な酸化により生成し、部分的に酸化された生成物となる。さらに他の副生物は、p-キシレンのテレフタル酸への酸化の結果として形成される競合副反応によって生じる。米国特許第4,158,738号及び第3,996,271号などの、テレフタル酸の製造を開示している特許は、それらが本明細書中の記述と矛盾しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書の一部となっている。
【0005】
TPAの固体は固液分離され、そこでは、新しい溶媒が、酸化剤の母液の液体成分の大部分を置換するのに利用される。
【0006】
再循環される酸化剤の母液の流れ中の不純物の多くは、さらなる酸化に対して比較的不活性である。このような不純物は、例えば、イソフタル酸、フタル酸及びトリメリット酸を含む。例えば、4-カルボキシベンズアルデヒド、p-トルイル酸及びp-トルアルデヒドなど、さらなる酸化を受けうる不純物もまた存在する。酸化不活性不純物は、再循環下で酸化剤の母液中に蓄積しがちである。これらの不活性不純物の濃度は、平衡に達するまで酸化剤の母液中で増加し、TPA生成物による各不純物の除去速度が、生成速度及び酸化工程への添加速度と平衡になる。商業用の粗TPA中の不純物の通常のレベルは、そのTPAを、多くのポリマー用途に直接使用するのに適さないものにしている。
【0007】
従来、粗TPAは、ジメチルエステルへの変換又は水へ溶解したのち標準の水素化触媒により水素化することによって精製されている。より近年では、二次酸化処理がポリマーグレードのTPAを製造するのに用いられている。母液中の不純物の濃度を最小限にし、それによって後に続くTPA精製を容易にすることが望まれている。いくつかの場合においては、酸化剤の母液の流れから不純物を除去するためのいくつかの方法を用いない限り、ポリマーグレードの精製TPAを製造することができない。
【0008】
化学処理工業において一般に用いられている、再循環の流れから不純物を除去するための一つの技術は、再循環の流れのある部分を引き抜く又は「パージする」ことである。通常、このパージの流れはただ捨てられるか、もし経済的に妥当であれば、価値のある成分を回収しながら望ましくない不純物を取り除く、様々な処理に供される。一つの例は、米国特許第4,939,297号であり、それらが本明細書中の記述と矛盾しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書の一部となっている。不純物をコントロールするのに必要なパージの量は、工程に依存する。しかしながら、酸化剤の母液の流れの全量の10-40%に等しいパージ量は、商業的なポリマー製造のための原材料として適切なTPAを製造するのに大抵は十分な量である。TPAの製造において、許容可能な不純物濃度を維持するのに必要な、酸化剤の母液の流れのパージのパーセンテージは、酸化剤パージの流れ中の金属触媒及び溶媒成分の経済的価値と相まって、単に酸化剤パージの流れを廃棄することを経済的に魅力のないものとしている。このように、酸化剤パージの流れ中に存在する不純物の大部分を取り除きながら、酸化剤パージの流れに含まれる貴重な金属触媒及び酢酸を基本的に全て回収する工程に対する需要がある。この金属触媒は、p-キシレン酸化のステップに直接再循環させることによって、再利用に適した活性のある形で回収することができる。
【0009】
多数の特許が、濃縮、ろ過、それに引き続く抽出を含むパージ工程を含むテレフタル酸工程を開示している。
【0010】
酢酸及び水を含むパージフィードの蒸発濃縮は、水の沸点が酢酸よりも低いため、供給されたパージと比較するとより低い質量%の水含有量の高濃縮パージスラリーをもたらす。例えば、約94%の酢酸及び約6%の水を含むパージスラリーフィードは、パージスラリーフィード質量の約92%を蒸発させた後、たった約2.5%の水を含むことになる。
【0011】
テレフタル酸パージ工程における前記高濃縮パージスラリーのろ過速度が、前記高濃縮パージスラリー中の水のパーセントに依存して大きく変化しうるということが分かってきた。高濃縮パージスラリーろ過速度の可変性は、本スラリーの特質であり、スラリー中の固体の粒子サイズ分布に関連している。本開示においては、前記高濃縮パージスラリーのろ過速度を向上させる、高濃縮パージスラリー中の水のパーセントを制御するための方法を開示する、本発明の実施形態を示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、カルボン酸、通常はテレフタル酸の合成において生成する酸化剤パージの流れからの、不純物の除去と金属触媒の回収に関するものであり、本方法は、以下の工程を含む。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(a) カルボン酸、金属触媒、不純物、水及び酢酸を含む溶媒を含むテレフタル酸工程において形成される酸化剤パージの流れを、第1のエバポレーター帯域における蒸発に供し、第1の蒸気の流れ及び濃縮パージの流れを生成する工程。
(b) 混合帯域において、前記濃縮パージの流れに水を添加し、高含水の濃縮パージの流れを生成する工程。
(c) 前記高含水の濃縮パージスラリーを、第2のエバポレーター帯域における蒸発に供し、第2の溶媒高含有の流れ及び高濃縮パージスラリーを生成する工程。ここで、前記第2のエバポレーター帯域は約20℃から約70℃の温度で操作されるエバポレーターを含み、またここで、前記高濃縮パージスラリーは約5wt%から約25%の水含有量を有している。
(d) 固液分離帯域において、前記高濃縮パージスラリーのろ過を行い、フィルターケーク及び母液を形成する工程。
(e) 前記固液分離帯域において、洗浄フィードを用いて前記フィルターケークを洗浄し、洗浄フィルターケーク及び洗浄ろ液を形成する工程。ここで、前記高濃縮パージスラリーから得られる前記金属触媒の少なくとも80%が、前記分離帯域を経て、前記母液及び前記累積する洗浄液中に回収される。
(f) 任意に、前記固液分離帯域において、前記洗浄フィルターケークを脱水し、脱水フィルターケークを形成する工程。
(g) 母液と水を合わせて金属触媒を回収し、その後にそのように形成された含水混合物を、抽出溶媒を用いた抽出に供し、抽出の流れ及び金属触媒を含むラフィネートの流れを生成する工程。
【0014】
これらの実施形態及び他の実施形態は、本開示内容を読んだ後、他の当業者にとって、より明らかとなるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の一つの実施形態を図示しており、酢酸、水、金属触媒、及び酸化不純物を含むテレフタル酸工程において形成される酸化剤パージの流れから不純物を取り除くための方法であって、以下(a)〜(g)による。(a)酸化剤パージの流れの一部を、第1のエバポレーター帯域において蒸発させ、濃縮パージの流れ及び酢酸と水を含む第1の蒸気の流れを生成する。(b)第1の混合帯域において、濃縮パージの流れに管理された方法で水を添加し、高含水の濃縮パージの流れを生成する。(c)高含水の濃縮パージの流れの一部を、第2のエバポレーター帯域において蒸発させ、5.8%から24.4%の水を含有する高濃縮パージスラリーの流れ及び酢酸と水を含む第2の蒸気の流れを形成する。(d)高濃縮パージスラリーから固体を分離し、その固体を固液分離帯域において洗浄フィードに供して、母液の流れ、洗浄液の流れ、及び洗浄フィルターケークの流れを形成する。(e)第2の混合帯域において、水に母液の流れ、及び任意で洗浄液の流れの一部を混合し、含水混合物を形成する。(f)抽出帯域において、含水混合物に抽出溶媒を添加し、抽出の流れ及びラフィネートの流れを形成する。(g)抽出の流れを、蒸留塔に供給し、抽出溶媒再循環の流れ及びスラッジの流れを形成する。
【0016】
【
図2】
図2は、高濃縮パージスラリーのろ過速度が流れ中の水のパーセントに依存して大きく変化する、本発明の異なる実施形態を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
後述の本明細書と請求項において、以下の意味を有すると定義される多数の用語について言及する。
【0018】
本明細書及び添付の請求項で用いられている通り、単数形「a」「an」及び「the」は、他に文脈で明確に定めていない限りは、複数の指示対象を含んでいる。したがって、例えば、「a pipe reactor」の言及は、1又は複数の管状反応器を含む。
【0019】
本願においては、「「約」一つの特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値まで」というように範囲を表すことがある。このような範囲が表されている場合は、別の実施形態は、「一つの特定の値から、及び/又は他の特定の値」を含む。同様に、先行詞「約」を使用して、概算として値が表されている場合は、特定の値が別の実施形態を形成すると理解される。さらに、それぞれの範囲の端点は、他方の端点に関連しているという意味があるとも、他方の端点とは独立しているという意味があるとも理解される。
【0020】
「任意の」又は「任意に」は、その後に記述される事象又は状況が起こっても起こらなくてもよいということ、並びにこの記述が、前記事象又は状況が起こる場合及び起こらない場合を含むということを意味する。例えば、「任意に加熱される」という表現は、この原料が加熱されてもされなくてもよいこと、並びにこのような表現が加熱及び非加熱の工程の両方を含むことを意味している。
【0021】
本発明の幅広い範囲を説明する数値範囲及びパラメーターが概算であるにも関わらず、ある特定の例において説明された数値は、可能な限り正確に報告している。しかしながら、いかなる数値も本質的に、個別の試験測定においてみられる標準偏差から必然的に生じる、ある程度の誤差を含む。
【0022】
本明細書及び添付の請求項で用いられている通り、「パーセント」又は「%」の使用は、質量パーセントに言及している。
【0023】
本発明の一つの実施形態においては、酸化副生物の不純物を酸化剤パージの流れ101から取り除く工程は、
図1に示されるように提供される。この工程は、以下のステップを含む。
【0024】
ステップ(a)は、酸化剤パージの流れ101を第1のエバポレーター帯域120における蒸発に供し、第1の蒸気の流れ121及び濃縮パージの流れ122を生成することを含む。
【0025】
この酸化剤パージの流れ101は、テレフタル酸を含むカルボン酸酸化合成工程から引き抜かれる。酸化剤パージの流れ101を生成する一つの方法は、テレフタル酸酸化剤スラリーをろ過し、フィルターから出て行く母液の一部をまとめ、それをパージ工程に送ることである。酸化剤パージの流れ101を生成するさらに別の方法は、テレフタル酸酸化スラリーに溶媒交換を実施し、酸化母液の一部を置き換えて、それをパージ工程に送ることである。テレフタル酸工程から得られる酸化母液を90℃から45℃の温度に冷却し、キャンドルフィルターのような清澄加圧フィルターにそれを送って、パージ工程の第1のエバポレーターにそれを送る前に存在するいかなる固体も取り除くことができる。
【0026】
酸化剤パージの流れ101は、本テレフタル酸パージ工程へのフィードの流れとして機能する。酸化剤パージの流れ101は、カルボン酸、水、溶媒、金属触媒及び不純物を含む。不純物は、有機臭化物、腐食金属、p-キシレン酸化副生物、及びp-キシレン中の不純物が原因で生じる不純物を含む。有機臭化物は、酸化反応において促進剤として用いてもよい。腐食金属の例は、鉄及びクロム化合物であり、これらは金属触媒の活性を阻害、低減、又は完全に損なう。触媒及び促進剤とは別に、酸化剤の母液の流れはまた、副生物及び不純物を含む。これらの副生物及び不純物は、p-キシレンフィードの流れ中に存在する微量の不純物より部分的に生成する。他の不純物は、p-キシレンの不完全酸化により生成し、部分的に酸化された生成物となる。さらに他の副生物は、p-キシレンのテレフタル酸への酸化における競合副反応によって生じる。
【0027】
カルボン酸は、有機基質の制御された酸化によって生成する芳香族カルボン酸を含む。このような芳香族カルボン酸は、好ましくは少なくとも6個の炭素原子を有し、さらにより好ましくは炭素原子のみを有する芳香環の一部を成している炭素原子に結合した少なくとも一つのカルボン酸基を有する化合物を含む。このような芳香環の適切な例は、ベンゼン、ビフェニル、テルフェニル、ナフタレン、及び他の炭素系縮合芳香環を含むがこれらに限定されない。適切なカルボン酸の例は、テレフタル酸、安息香酸、p-トルイル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、2,5-ジフェニル-テレフタル酸及びこれらの混合物を含むがこれらに限定されない。
【0028】
適切な溶媒は、好ましくは2から6個の炭素原子を含む脂肪族モノ-カルボン酸、又は安息香酸及びこれらの混合物並びにこれらの化合物と水との混合物を含むが、これらに限定されない。好ましくは、この溶媒は水と混合した酢酸であり、比が約5:1から約25:1、好ましくは約8:1から約20:1、最も好ましくは約11:1から20:1である。本明細書全体にわたって、酢酸は溶媒として言及される。しかしながら、前に開示したような他の適切な溶媒もまた利用してよいと理解されるべきである。
【0029】
本工程の第1のステップにおいて、酸化剤パージの流れ101はエバポレーターを含む第1のエバポレーター帯域120において、従来の方法により濃縮され、第1の蒸気の流れ121及び濃縮パージの流れ122を生成する。このエバポレーターは、大気条件下又はわずかに高気圧条件下、一般に約1気圧から約10気圧で操作される。蒸気の流れ121は、大部分の水及び溶媒を含み、濃縮パージの流れ122は、酸化剤パージの流れ101から取り除かれなかった残りの水及び溶媒を含む。蒸発によって、酸化剤パージの流れ101中に存在する溶媒質量の約50wt%から約85wt%が取り除かれる。
【0030】
濃縮パージの流れ122及び水を含む流れ131を混合帯域130に供し、高含水の濃縮パージの流れ132を生成する、ステップ(b)。この高含水の濃縮パージの流れ132は、高含水の濃縮パージの流れ132における水のパーセントが濃縮パージの流れ122よりも大きいという点で、水について富化されている。内部静的ミキサーを備えたパイプの中で2つの流れを混合することを含めて、本技術分野において知られている2種類の液体の流れを混合するためのいかなる装置も利用することができる。本発明の一つの実施形態において、混合帯域130において添加される流れ131の供給速度(質量/時間)は、下流の高濃縮パージスラリーの流れ142に含まれる水の質量パーセント(wt%)が、約5.0wt%から約25.0wt%に制御されるように操作される。流れ142の水含有量の別の制御範囲は、約8.0wt%から約23.0wt%である。流れ142の水含有量のまた別の制御範囲は、約11.0wt%から約21.0wt%である。第1のエバポレーター120と混合帯域130との間の導管は、導管中の溶液からの固体の生成を妨げるために、90℃かそれよりも高い温度に維持されるべきである。
【0031】
前記高含水の濃縮パージの流れ132を、第2のエバポレーター帯域140における蒸発に供し、第2の蒸気の流れ141及び前記高濃縮パージスラリーの流れ142を生成する、ステップ(c)。混合帯域130と、第2のエバポレーター140との間の導管は、導管中の溶液から生じる固体の量を最小限にするために、80℃かそれよりも高い温度に維持されるべきである。
【0032】
第2のエバポレーター帯域140は、真空下で操作される少なくとも一つのエバポレーターを含む。蒸発は、約20℃から約70℃の温度で実施することができ、別の範囲は約30℃から約60℃である。エバポレーター120及び140の組み合わせが、酸化剤パージの流れ101を、流れ101の質量の約75wt%から約97wt%が蒸発によって取り除かれるような条件にまで濃縮するように操作される。流れ101によって代表される酸化剤パージの流れを、流れ101の質量の約85wt%から約94wt%が蒸発によって取り除かれるような条件にまで濃縮する、エバポレーター120及び140の組み合わせの、別の操作範囲。流れ101によって代表される酸化剤パージの流れを、流れ101の質量の約87wt%から約93wt%が蒸発によって取り除かれるような条件にまで濃縮する、エバポレーター120及び140の組み合わせの、さらに別の操作範囲。
【0033】
本発明の一つの実施形態において、高濃縮パージスラリー142の条件は、ポンプ能力を提供するのに必要なだけの溶媒を含んだ固液混合状態が可能である。
【0034】
高濃縮パージスラリー142をろ過帯域160においてろ過し、フィルターケーク164及び母液163を形成することを含む、ステップ(d)。
【0035】
前記フィルターケーク164を、洗浄帯域161において洗浄フィード166で洗浄し、洗浄ケーク165及び洗浄液167を形成し、任意に前記洗浄ケーク165を、任意の脱水帯域162においてガスフィード168を用いて脱水し、脱水ケーク169を形成する、ステップ(e)。本発明の一つの実施形態において、洗浄の流れ166は水を含む。
【0036】
本発明の一つの実施形態において、ろ過帯域160は、少なくとも一つの固液分離装置を含む。本発明の別の実施形態においては、ろ過帯域160及び洗浄帯域161並びに任意で脱水帯域162は、一つの固液分離装置又は複式の装置で、固液分離帯域200において達成することができる。このような装置の例は、連続加圧フィルター、連続真空フィルター、バッチ式加圧フィルター、遠心分離機、及び同様の装置を含むが、これらに限定されない。本発明の別の実施形態においては、固液分離帯域及び洗浄帯域並びに任意の脱水帯域は、一つの装置で達成することができる。このような装置の例は、連続加圧フィルター、連続真空フィルター、バッチ式加圧フィルター、遠心分離機、及び同様の装置を含むが、これらに限定されない。
【0037】
本発明工程の要件に適合できる、適した加圧フィルターは、BHS-FEST.(登録商標)の回転ドラム式加圧フィルターであるが、要求される操作を達成できる他の加圧フィルターを使用することもできる。ろ過帯域160において使用することのできる他の装置の例は、真空ベルト式フィルター、フィルタープレス、遠心分離機、加圧リーフフィルター、加圧ドラム式フィルター及び真空ドラム式フィルターを含むが、これらに限定されない。この加圧フィルターは母液163の溶質から、金属触媒の少なくとも80%の回収率を得るのに十分な温度と圧力で操作することができる。好ましくは、加圧フィルターは、約25℃から約80℃の温度で、2バールから6バールゲージ圧で操作することができる。
【0038】
ステップ(f)は、第2の混合帯域170において、水の流れ171と母液の流れ163、及び任意に洗浄液の流れ167の一部を混合し、含水混合物172を形成することを含む。本発明の一つの実施形態において、混合帯域170は、従来のミキサーを含む。もし必要があれば、水171は、含水混合物の流れ172中の金属触媒を溶解するのに十分な量で、混合帯域170に添加することができる。
【0039】
水の流れ171は、混合帯域170に、触媒を溶解するのに十分な量で添加され、酢酸と水との比率が約0.7:1から1.4:1、好ましくは約0.8:1から1.3:1、最も好ましくは約0.9:1から1.2:1である含水混合物172をもたらす。この含水混合物172を、外部の循環ループで循環させ続けることが望ましい。少量の抽出溶媒181を、一般に約1から約10質量%、好ましくは5質量%よりも少なく、混合帯域170に添加し、容器の側面への固体の付着を減らすことによってスラリーのハンドリングを強化してもよい。これは
図1において、流れ181から出る破線矢印により表されている。含水混合物172を抽出の前に、約60℃から約95℃で、別の範囲は約80℃から約90℃で約0.5から約4時間、好ましくは約1から約2時間、加熱処理に供することが望ましいが、必須ではない。この処理によって、有機臭化物が反応し、ラフィネートの流れ183中に優先的に保持される無機臭化物が生成する。系よりパージされる臭素含有化合物の量が、不要な不純物とともに、これにより最小限にされる。この加熱処理は、臭化物を保護し、有機不純物の廃棄を容易にする。
【0040】
ステップ(g)は、抽出溶媒181を、抽出帯域180中の含水混合物172と接触させ、抽出の流れ182及びラフィネートの流れ183を形成することを含む。
【0041】
含水混合物172は、抽出帯域180に送られ、含水混合物172及び抽出溶媒181が抽出帯域180において接触する。含水混合物172及び抽出溶媒181は混合され、溶媒、水、有機不純物、及びより軽い相を形成する抽出溶媒を含む抽出の流れ182、並びに金属触媒、腐食金属、及び水を含むラフィネートの流れ183を形成する。抽出の流れ182は、オーバーヘッドの流れとして引き抜かれ、ラフィネートの流れ183は、抽出帯域180の抽出器の底部から引き抜かれる。本発明においては、抽出帯域180の一つの実施形態は、一段式抽出器である。
【0042】
抽出器において用いられる抽出溶媒181は、含水画分中に溶解している有機溶媒の量を最小限にするために、実質的に水と不混和性にすべきである。加えて、この抽出溶媒181は、好ましくは有機抽出物からの溶媒回収を助ける役割を果たす共沸剤である。特に有用だと証明されている溶媒は、C1からC6のアルキルアセテート、特にn-プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、イソブチルアセテート、sec-ブチルアセテート、エチルアセテート及びn-ブチルアセテートであるが、他の実質的に水と不混和性の、適切な密度と十分に低い沸点を有する、例えばp-キシレンのような有機溶媒もまた使用してよい。n-プロピルアセテート及びイソプロピルアセテートは、その比較的低い水との混和性と、優れた共沸挙動のため、特に好ましい。
【0043】
抽出は、抽出溶媒が含水混合物1質量部あたり約1-4質量部という溶媒比率を用いて達成することができる。抽出は常温常圧下で操作することができるが、溶媒及び抽出器を約30℃から約70℃、別の範囲として約40℃から約60℃に加熱することも可能である。抽出の流れ109は少量の金属触媒及び腐食金属を含んでいる一方で、本質的にすべての金属触媒及び残存腐食金属の大部分が、より重い相であるラフィネートの流れ183に含まれている。
【0044】
ステップ(h)は、分離帯域190において抽出の流れ182を分離し、高沸点有機不純物の流れ192及び回収された抽出溶媒の流れ191を形成することを含む。
【0045】
抽出の流れ182は、有機溶媒及び有機不純物を含む。抽出の流れ182はさらに、酢酸及び水を含むことができ、通常は微量である。抽出の流れ182は、従来の蒸留機器を含む分離帯域190において蒸留してもよい。従来の蒸留機器は、例えば、蒸留塔を含む。
【0046】
有機不純物の多くは、抽出帯域180において、有機溶媒により抽出される。これは、有機不純物が、有機溶媒に対して高く、酢酸に対してはより少ない程度の溶解度を示すために起こる。抽出器からのより軽い相を蒸留することによって、有機溶媒が蒸発し、有機不純物を塔底流中に濃縮することができる。
【0047】
回収された抽出溶媒の流れ191は、抽出帯域180の抽出器に再循環してもよい。高沸点有機不純物の流れ192は、蒸留塔の底部からスラッジとして、廃棄のために取り除かれる。
【0048】
本発明の一つの実施形態において、エバポレーター帯域120及び140は、バッチ操作ではなく連続式で操作される。この発明の一つの実施形態において、パージ工程は、バッチ操作ではなく連続式で操作される。
【実施例】
【0049】
本発明はさらに、以下の他のその実施形態の例によって説明することができるが、これらの例は単に説明の目的のために含まれており、他に特別に示されていない限りは、本発明の範囲を限定することを意図するものではないと理解される。
【0050】
例1から9のデータは、表1にまとめられており、
図2は実験室にて作成した。これらの例の目的は、高濃縮パージスラリーの流れ142中の水のパーセントと、加圧フィルターにおける高濃縮パージスラリーの流れ142のろ過速度との間の関係を説明することである。様々な水含有量の高濃縮パージスラリーの流れ142をどのように生成するのかを説明することもまた、これらの例の目的である。高濃縮パージスラリーの流れ142の水のパーセントは、2.5%から25%であり、高濃縮パージスラリーの流れ142のろ過速度は、30kgろ液/分平方メートルから1110kgろ液/分平方メートルである。
【0051】
各実験室実験について、酸化剤パージフィード101は、約6%の水と94%の酢酸を含む商業プラントから得た。酸化剤パージフィードの質量の75%は、第1のエバポレーター帯域において、120℃で蒸発させて取り除き、約4.6%の水を含む濃縮パージの流れ122を生じた。
【0052】
例1及び2において、濃縮パージの流れ122を、約55℃の最終温度で付加的な蒸発濃縮に供したところ、約2.5%の水を含む高濃縮パージスラリー142が得られ、全体の蒸発損失は初めの酸化剤パージフィードの約92%になった。
【0053】
結果として得られる高濃縮パージスラリーを、3バールのゲージ圧かつ20cm
2のろ過面積で操作される実験室スケールの加圧フィルターでろ過し、水で洗浄し、N
2で脱水した。ろ過速度は、液体全体の質量(母液+洗浄液)を、ろ過面積20cm
2及びろ過時間と洗浄時間の合計で割ることにより計算した。例えば、例1のろ過速度は、=(507グラム/20cm
2/(345秒+165秒)=0.0497グラム/cm
2秒又は29.8kg/平方メートル分である。
【0054】
例3から9では、混合帯域において120℃の濃縮パージの流れ122を様々な量の室温水と連続して混ぜ合わせ、次に約55℃の最終温度において付加的な蒸発濃縮に供し、約8質量パーセント(wt%)から25wt%の水を含む高濃縮パージの流れ142を得た。酸化剤パージフィードの初めの質量の約92wt%が蒸発濃縮中に失われる。結果として得られる高濃縮パージの流れ142を、3バールのゲージ圧かつ20cm
2のろ過面積で操作される実験室スケールの加圧フィルターでろ過し、水で洗浄し、N
2で脱水した。
【0055】
濃縮パージの流れ122への水の添加が、結果として得られるそれぞれの高濃縮パージの流れ142のろ過速度に、どのようにして大きな影響を及ぼすのかを確かめるために、例1及び5を比較することは有益である。両方の例において、酸化剤パージフィードの約92%を沸騰させて取り除く。例1においては、濃縮パージの流れ122に水を添加せず、結果、フィルターへの高濃縮パージの流れ142フィードは2.5%の水を含み、ろ過速度は約30kg/平方メートル分になる。例5においては、フィルターに送られる底流高濃縮パージの流れ142が14%の水を含むくらい十分な水を濃縮パージの流れ122に添加し、この高濃縮パージの流れ142スラリーのろ過速度は、1,059kg/平方メートル分である。例5において濃縮パージの流れ122に水を添加することにより、結果として得られる底流高濃縮パージの流れ142のろ過速度は、30kg/平方メートル分から1,059kg/平方メートル分に向上することは明らかである。これは、ろ過速度の3,530%の向上である。
【0056】
上記で示された通り、水の添加は、単純に希釈効果ではなく、蒸発濃縮中の固体の結晶成長に影響を与え、その結果、フィルターに送られるスラリー中の小さい粒子がより少なくなる。本技術分野においては、微細な、特に10マイクロメートルかそれより小さい粒子の存在は、スラリーのろ過速度に悪影響を及ぼすことがよく知られている。上記で示された通り、濃縮パージスラリー122への水の添加は、前記高濃縮パージスラリー中の10マイクロメートルよりも小さい粒子の質量%を減少させることによって、フィルターに送られる底流高濃縮パージスラリーのろ過速度にプラスの影響を及ぼす。水がろ過の直前に高濃縮パージスラリー142に添加された場合は、ろ過速度における実質的向上は確認できない。水の添加は、最終蒸発濃縮帯域より前のパージ工程におけるポイントで行わなければならない。例えば、水の添加ステップは、第1の蒸発濃縮帯域の後、2つの蒸発濃縮帯域を有するパージ工程において行うことができる。この水の添加はまた、第1のエバポレーター帯域よりも前に行うことができるが、蒸発濃縮と関連するより高いエネルギーコストのため、ろ過帯域200より前は望ましくない。
【0057】
下の
図2にプロットしたデータから、フィルターへ続く高濃縮パージスラリーの流れフィード142中に含まれる水のパーセントを、5.8%から24.4%に制御することが望ましいことは明らかである。流れ142の水含有量のより好ましい制御範囲は、7.9%から22.8%である。流れ142の水含有量のさらにより好ましい制御範囲は、10.5%から20.4%である。流れ142の水含有量の最も好ましい制御範囲は、12.5%から18.9%である。流れ142のろ過速度におけるこの向上を達成するために水が添加される、本パージ工程における物理的な位置は、本パージ工程において、最後の蒸発帯域よりも前に位置づけられることになることもまた明らかである。
【0058】
【表1】
本発明の実施態様の一部を以下の項目1−24に列記する。
[1]
(a) カルボン酸、金属触媒、不純物、水及び酢酸を含む溶媒を含むテレフタル酸工程において形成される酸化剤パージの流れを、第1のエバポレーター帯域における蒸発に供し、蒸気の流れ及び濃縮パージスラリーを生成するステップ、
(b) 第1の混合帯域において、水を前記濃縮パージスラリーに添加し、高含水の濃縮パージスラリーを生成するステップ、
(c) 第2のエバポレーター帯域において、前記高含水の濃縮パージスラリーを蒸発に供し、溶媒高含有の流れ及び高濃縮パージスラリーを生成するステップであって、前記第2のエバポレーター帯域が、約20℃から約70℃の温度で操作されるエバポレーターを含み、前記高濃縮パージスラリーが、約5wt%から約25wt%の水を含有している、ステップ、
(d) 固液分離帯域において、前記高濃縮パージスラリーをろ過し、フィルターケーク及び母液を形成するステップ、並びに
(e) 前記固液分離帯域において、洗浄フィードで前記フィルターケークを洗浄し、洗浄フィルターケークを形成するステップ
を含む、テレフタル酸パージの方法。
[2]
前記高濃縮パージスラリーから、前記金属触媒の少なくとも80%が、前記分離帯域を経て、前記母液及び前記累積する洗浄液中に回収される、項目1に記載の方法。
[3]
ステップ(a)及びステップ(c)の組み合わせにおいて、約75wt%から約95wt%の前記溶媒及び水が、前記酸化剤パージの流れから蒸発により取り除かれる、項目2に記載の方法。
[4]
前記洗浄フィルターケークの少なくとも一部が酸化帯域のテレフタル酸の底流を含む流れに送られる、項目3に記載の方法。
[5]
前記高濃縮パージスラリーが、約8wt%から約23%の水を含有している、項目1に記載の方法。
[6]
前記高濃縮パージスラリーが、約11wt%から約21%の水を含有している、項目1に記載の方法。
[7]
前記高濃縮パージスラリーが、約13wt%から約18%の水を含有している、項目1に記載の方法。
[8]
前記固液分離装置が、約25℃から約90℃の温度において作動する加圧ろ過装置である、項目1に記載の方法。
[9]
前記加圧ろ過装置が、少なくとも一つのフィルターセルを含み、少なくとも一つのフィルターセルが、少なくとも深さ0.25インチ(6.35mm)の前記フィルターケークを蓄積する、項目8に記載の方法。
[10]
ステップ(d)で形成される前記母液の少なくとも一部が、テレフタル酸工程の酸化帯域に戻される、項目1に記載の方法。
[11]
前記加圧ろ過装置が回転圧力ドラム式フィルターである、項目10に記載の方法。
[12]
前記第1の蒸発帯域から前記混合帯域に送られる前記濃縮パージの流れの温度が、80℃よりも高く維持される、項目1に記載の方法。
[13]
前記第2の蒸発帯域における滞留時間が30分から180分である、項目1に記載の方法。
[14]
前記母液が抽出帯域に送られて、含水の流れ及び有機の流れを生成する、項目1に記載の方法。
[15]
前記有機の流れが蒸留塔に送られて、抽出溶媒と、酸化副生物不純物を含む廃棄スラッジの流れとが回収される、項目14に記載の方法。
[16]
前記高濃縮パージスラリーの水含有量の範囲が8%から23%である場合について、前記固液分離帯域における前記高濃縮パージスラリーのろ過速度が、前記範囲外のいかなる水濃度のものよりも高い、項目15に記載の方法。
[17]
前記高濃縮パージスラリーの水含有量の範囲が11%から21%である場合について、前記固液分離帯域における前記高濃縮パージスラリーのろ過速度が、前記範囲外のいかなる水濃度のものよりも高い、項目15に記載の方法。
[18]
前記高濃縮パージスラリーの水含有量の範囲が13%から19%である場合について、前記固液分離帯域における前記高濃縮パージスラリーのろ過速度が、前記範囲外のいかなる水濃度のものよりも高い、項目1に記載の方法。
[19]
溶媒が酢酸であり、8:1から約20:1、好ましくは約11:1から20:1の比率で水と混合されている、項目1に記載の方法。
[20]
混合帯域において添加される水の質量が、底流高濃縮パージスラリーの流れに含まれる水のパーセントを5%から25%に制御するように操作される、項目19に記載の方法。
[21]
混合帯域において添加される水の質量が、底流高濃縮パージスラリーの流れに含まれる水のパーセントを5%から25%に制御するように操作される、項目1に記載の方法。
[22]
混合帯域において添加される水の質量が、底流高濃縮パージスラリーの流れに含まれる水のパーセントを11%から21%に制御するように操作される、項目1に記載の方法。
[23]
混合帯域において添加される水の質量が、底流高濃縮パージスラリーの流れに含まれる水のパーセントを13%から19%に制御するように操作される、項目1に記載の方法。
[24]
混合帯域において添加される水の質量が、底流高濃縮パージスラリーの流れに含まれる水のパーセントを8%から23%に制御するように操作される、項目1に記載の方法。