(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5973445
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】ガイド中を伝搬する単一マイクロ波フォトンの検出器
(51)【国際特許分類】
H01L 39/22 20060101AFI20160809BHJP
G01J 1/02 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
H01L39/22 D
G01J1/02 RZAA
G01J1/02 C
【請求項の数】26
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-529689(P2013-529689)
(86)(22)【出願日】2011年9月20日
(65)【公表番号】特表2013-545261(P2013-545261A)
(43)【公表日】2013年12月19日
(86)【国際出願番号】FI2011050805
(87)【国際公開番号】WO2012038596
(87)【国際公開日】20120329
【審査請求日】2014年8月28日
(31)【優先権主張番号】20105965
(32)【優先日】2010年9月20日
(33)【優先権主張国】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】513068425
【氏名又は名称】アールト コルケアコウルスエーティ
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】モットネン ミッコ
(72)【発明者】
【氏名】ペコラ ユッカ
【審査官】
棚田 一也
(56)【参考文献】
【文献】
特開平01−293674(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/101257(WO,A1)
【文献】
GUILLERMO ROMERO et al.,Photodetection of propagating quantum microwaves in circuit QED,PHYSICA SCRIPTA,スウェーデン,The Royal Swedish Academy of Sciences,2009年,Vol.2009,No.137,1004/1-13
【文献】
M.NAHUM et al.,Ultrasensitive-hot-electron microbolometer,APPLIED PHYSICS LETTERS,米国,American Institute of Physics,1993年,Vol.63,No.22,P.3075-3077
【文献】
D.R.Schmidt et al.,Nanoscale radio-frequency thermometry,APPLIED PHYSICS LETTERS,米国,American Institute of Physics,2003年,Vol.83,No.5,P.1002-1004
【文献】
J.AUMENTADO et al,Proximity effect thermometer for local electron temperature measurements on mesoscopic samples,APPLIED PHYSICS LETTERS,米国,American Institute of Physics,1999年,Vol.75,No.22,P.3554-3556
【文献】
G.S.BULLER et al.,Single-photon generation and detection,MEASUREMENT SCIENCE AND TECHNOLOGY,2010年,Vol.21,No.1,12002/1-28
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 39/00−24
G01J 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属導波路(10)において単一マイクロ波フォトンを検出する方法であって、
前記導波路(10)は、接地面(10a)と中間配線(10b)とを備え、前記導波路の(10)の内部ではなく、前記導波路の一方の端部における、前記接地面(10a)と中間配線(10b)との間に抵抗素子(11)が配置されており、
前記方法は、
超伝導状態で配置される前記導波路(10)に少なくとも1つのマイクロ波フォトンを生成するステップを含み、前記方法は、さらに、
できるだけ損失の無い手法で前記導波路(10)から前記抵抗素子(11)へ少なくとも1つのマイクロ波フォトンを方向付けるステップと、
前記抵抗素子(11)の加熱による前記抵抗素子(11)と反射測定回路(18)との接合におけるインピーダンスの変化を、前記反射測定回路(18)により測定するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記方法は、さらに、前記接地面(10a)からの前記中間配線(10b)の距離に対する前記導波路内の前記中間配線(10b)の厚さを変化させることにより、前記導波路(10)のインピーダンスを前記抵抗素子(11)のインピーダンスにマッチングするステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、さらに、前記抵抗素子(11)の体積を変化させずに、前記抵抗素子(11)の異なる寸法間での比を変化させることにより、前記導波路(10)のインピーダンスを前記抵抗素子(11)のインピーダンスにマッチングするステップを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、さらに、前記抵抗素子(11)の超伝導−絶縁体−常伝導金属接合におけるインピーダンスの変化をRF反射測定により測定するステップを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、さらに、前記抵抗素子(11)として常伝導金属ピース、半導体ナノワイヤ、グラファイトピース又はカーボンナノチューブを用いるステップを含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、さらに、超伝導の近接効果を除去又は緩和するために、前記抵抗素子(11)に磁性不純物原子を混合するステップを含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、さらに、超伝導の近接効果を除去又は緩和するために、前記抵抗素子(11)の領域内に外部磁場を生成するステップを含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、さらに、前記抵抗素子(11)の温度を独立に制御し、かつ少なくとも1つの超伝導−絶縁体−常伝導金属接合におけるバイアス電流の存在下での電圧及び電流を測定するために、少なくとも1つの測定ヘッド(12)を前記抵抗素子(11)に接合するステップを含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、さらに、前記抵抗素子(11)で観測される温度ピークの回復時間よりも実質的に短いサンプリングポイント間の期間で得られる周波数で、前記抵抗素子(11)と前記反射測定回路(18)との接合のインピーダンスを測定するステップを含むことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、さらに、前記反射測定回路(18)の反射された信号の振幅及び位相の変化を測定するステップを含み、前記変化は、前記反射測定回路−抵抗素子界面の反射係数の変化によって得られ、前記抵抗素子(11)の加熱による前記抵抗素子(11)と前記反射測定回路(18)との接合におけるインピーダンスの前記変化からさらに得られることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、さらに、
測定された前記変化に基づいて前記検出器に入力する単一のフォトンを決定するステップと、
到来した単一のフォトンを記憶媒体に登録することにより、量子演算を行うステップと、を含むことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記方法で用いられる前記周波数の範囲は、前記マイクロ波の周波数範囲で約10GHzであり、前記抵抗素子の寸法は、5nmから800nmの範囲であることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
真空中又は空気中に伝搬する自由フォトンは、一体化されたアンテナによりさらに検出されることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
金属導波路(10)における単一マイクロ波フォトンを検出する装置であって、
少なくとも1つのフォトンが吸収される、超伝導状態の金属導波路(10)を備え、
前記導波路(10)は、接地面(10a)と中間配線(10b)とを備え、
前記装置は、さらに、
できるだけ損失の無い手法で前記導波路(10)から抵抗素子(11)へ少なくとも1つのマイクロ波フォトンを方向付ける前記抵抗素子(11)と、
前記抵抗素子(11)の加熱による前記抵抗素子(11)と反射測定回路(18)との接合におけるインピーダンスの変化を反射測定により測定する前記反射測定回路(18)と、を備え、
前記抵抗素子(11)は、前記導波路の(10)の内部ではなく、前記導波路の一方の端部における、前記接地面(10a)と前記中間配線(10b)との間に配置されていることを特徴とする装置。
【請求項15】
前記装置は、さらに、前記接地面(10a)からの前記中間配線(10b)の距離に対する前記導波路内の前記中間配線(10b)の厚さを変化させることにより、前記導波路(10)のインピーダンスを前記抵抗素子(11)のインピーダンスにマッチングするインピーダンスマッチング手段を備えることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記装置は、さらに、前記抵抗素子(11)の体積を変化させずに、前記抵抗素子(11)の異なる寸法間での比を変化させることにより、前記導波路(10)のインピーダンスを前記抵抗素子(11)のインピーダンスにマッチングする前記インピーダンスマッチング手段を備えることを特徴とする請求項14又は15に記載の装置。
【請求項17】
前記装置は、さらに、前記抵抗素子(11)の超伝導−絶縁体−常伝導金属接合におけるインピーダンスの変化を測定することによりRF反射測定を行う前記反射測定回路(18)を備えることを特徴とする請求項14から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記装置は、さらに、前記抵抗素子(11)としての常伝導金属ピース、半導体ナノワイヤ、グラファイトピース又はカーボンナノチューブを備えることを特徴とする請求項14から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記装置は、さらに、超伝導の近接効果を除去又は緩和するために、前記抵抗素子(11)に混合される磁性不純物原子を備えることを特徴とする請求項14から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記装置は、さらに、超伝導の近接効果を除去又は緩和するために、前記抵抗素子(11)の領域内に外部磁場を生成する手段を備えることを特徴とする請求項14から19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記装置は、さらに、前記抵抗素子(11)の温度を独立に制御し、かつ少なくとも1つの超伝導−絶縁体−常伝導金属接合におけるバイアス電流の存在下での電圧及び電流を測定するように構成され、前記抵抗素子(11)に接合される少なくとも1つの測定ヘッド(12)を備えることを特徴とする請求項14から20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記装置は、さらに、前記抵抗素子(11)で観測される温度ピークの回復時間よりも実質的に短いサンプリングポイント間の期間で得られる周波数で、前記抵抗素子(11)と前記反射測定回路(18)との接合のインピーダンスを測定するように構成される前記反射測定回路(18)を備えることを特徴とする請求項14から21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記装置は、さらに、前記反射測定回路(18)の反射された信号の振幅及び位相の変化を測定するように構成され、前記変化は、前記反射測定回路−抵抗素子界面の反射係数の変化によって得られ、前記抵抗素子(11)の加熱による前記抵抗素子(11)と前記反射測定回路(18)との接合におけるインピーダンスの前記変化からさらに得られる前記反射測定回路(18)を備えることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項24】
前記装置は、さらに、測定された前記変化に基づいて単一のフォトンの存在を決定する制御ロジックを備え、
前記制御ロジックは、さらに、到来した単一のフォトンを記憶媒体に登録することにより量子演算を行うように構成されることを特徴とする請求項14から23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記装置は、前記周波数の範囲は、前記マイクロ波の周波数範囲で約10GHzである周波数範囲、及び5nmから800nmの範囲である前記抵抗素子(11)の寸法を用いるように構成されることを特徴とする請求項14から24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記装置は、さらに、前記装置に一体化されたアンテナを備え、前記装置は、真空中又は空気中に伝搬する自由フォトンを検出するように構成されることを特徴とする請求項14から25のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気工学及び量子力学の分野に関するものであり、より詳細には、マイクロ波レンジでの単一フォトンの検出に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁放射の高感度検出器は、長く研究されてきているが、多くのチャレンジも包含する領域を構成する。マイクロ波周波数における単一フォトンの形成及び検出は、チャレンジであることが証明されている技術分野である。従来技術では、高感度検出器は、電磁放射、特に光学周波数帯で構築されてきたものであり、ここで、放射の周波数は、少なくとも数十テラヘルツである。光学レンジのこのような光検出器、つまり、高感度検出器は、フォトダイオード又はCCD技術のような各種の技術で実行されうるが、放射を行うフォトンが自由空間で伝搬するフォトンであることが、光学レンジの検出器のための動作環境の必須事項である。
【0003】
マイクロ波放射の分野において、Romeroらによる公開“Photodetection of propagating quantum microwaves in circuit QED, Phys . Scr. T137 014004, published on 14 December 2009”が従来技術として開示されている。Romeroは、小さな吸収体ピースが一群として又は等間隔で導波路に配置されるというような手法で、金属マイクロ波ガイドで動作する検出器、つまり、光検出器を開示する。Romeroの原理は、マイクロ波フォトンが導波路のピースに衝突して、吸収され、コヒーレント励起が生じ、吸収体の状態が変化されることである。Romeroは、特に、これらの状態の変化を検出する。Romeroの最大の課題は、一つずつ正確に測定される必要がある多数の吸収体を必要とすることである。したがって、検出器は、使用するために大きく、複雑になる。また、フォトンが、吸収体に吸収されず、吸収体から散乱することもあり、これは検出器のエラーを増加させる。
【0004】
概して、従来技術の主な課題は、マイクロ波レンジへの入力、つまり、テラヘルツから10GHzまでのオーダーからの周波数の演算において、単一フォトンでさえも正確に検出し、それによりマイクロ波レンジでの量子演算を可能にする正確なフォトン検出器を製造することができなかったことである。すなわち、量子コンピュータのような技術分野の過程の開発の観点から、マイクロ波フォトンの非常に高感度で動作する検出器に対する要求が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、金属導波路を伝搬する単一マイクロ波フォトンを効率良く検出可能なマイクロ波の範囲で動作する非常に高感度なフォトン検出器を導入することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、金属導波路内の単一マイクロ波フォトンを検出する方法を導入する。この方法を可能にするために、少なくとも1つのマイクロ波フォトンは、先ず、超伝導状態で配置された導波路に生成される。本発明の特徴的な機能は、できるだけ損失の無い手法で導波路から抵抗素子へ少なくとも1つのマイクロ波フォトンを方向付け、この後、抵抗素子の加熱による抵抗素子と反射測定回路との接合におけるインピーダンスの変化を反射測定回路により測定することを含む。
【0007】
本発明の一実施形態では、導波路のインピーダンスは、接地面からの中間配線(middle wire)の距離に対する導波路内の中間配線の厚さを変化させることにより、抵抗素子のインピーダンスにマッチングされる。
【0008】
本発明の一実施形態では、導波路のインピーダンスは、抵抗素子の体積を変化させずに、抵抗素子の異なる寸法間での比を変化させることにより、抵抗素子のインピーダンスにマッチングされる。
【0009】
本発明の一実施形態では、RF反射測定は、抵抗素子の超伝導−絶縁体−常伝導金属接合におけるインピーダンスの変化を測定するために用いられる。
【0010】
本発明の一実施形態では、抵抗素子として用いられるものは、常伝導金属ピース、半導体ナノワイヤ、グラファイトピース又はカーボンナノチューブである。
【0011】
本発明の一実施形態では、磁性不純物原子は、超伝導の近接効果を除去又は緩和するために、抵抗素子に混合される。
【0012】
本発明の一実施形態では、外部磁場は、超伝導の近接効果を除去又は緩和するために、抵抗素子の領域内に生成される。
【0013】
本発明の一実施形態では、抵抗素子の温度を独立に制御し、かつ少なくとも1つの超伝導−絶縁体−常伝導金属接合におけるバイアス電流の存在下での電圧及び電流を測定するために、少なくとも1つの測定ヘッドは、抵抗素子に接合される。
【0014】
本発明の一実施形態では、抵抗素子と反射測定回路との接合のインピーダンスは、抵抗素子で観測される温度ピークの回復時間よりも実質的に短いサンプリングポイント間の期間で得られる周波数で測定される。
【0015】
本発明の一実施形態では、反射測定回路の反射された信号の振幅及び位相の変化が測定され、当該変化は、反射測定回路−抵抗素子界面の反射係数の変化によって得られ、抵抗素子の加熱による抵抗素子と反射測定回路との接合におけるインピーダンスの前記変化からさらに得られる。
【0016】
本発明の一実施形態では、検出器に入力する単一のフォトンは、測定された変化に基づいて決定され、到来した単一のフォトンを記憶媒体に登録することにより量子演算が行われる。
【0017】
本発明の一実施形態では、本方法で用いられる周波数の範囲は、マイクロ波の周波数範囲で約10GHzであり、抵抗素子の寸法は、5nmから800nmの範囲である。
【0018】
本発明の一実施形態では、真空中又は空気中に伝搬する自由フォトンは、一体化された(integrated)アンテナによりさらに検出される。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、先進的なアイディアは、金属導波路内の単一マイクロ波フォトンを検出する方法に対応する装置を含む。前記装置は、少なくとも1つのフォトンが吸収される、超伝導状態の金属導波路を備える。特徴的な機能として、前記装置は、さらに、できるだけ損失の無い手法で導波路から抵抗素子へ少なくとも1つのマイクロ波フォトンを方向付ける抵抗素子と、抵抗素子の加熱による抵抗素子と反射測定回路との接合におけるインピーダンスの変化を反射測定により測定する反射測定回路と、を備える。
【0020】
本発明の一実施形態では、前記装置は、さらに、接地面からの中間配線の距離に対する導波路内の中間配線の厚さを変化させることにより、導波路のインピーダンスを抵抗素子のインピーダンスにマッチングするインピーダンスマッチング手段を備える。
【0021】
本発明の一実施形態では、前記装置は、さらに、抵抗素子の体積を変化させずに、抵抗素子の異なる寸法間での比を変化させることにより、導波路のインピーダンスを抵抗素子のインピーダンスにマッチングするインピーダンスマッチング手段を備える。
【0022】
本発明の一実施形態では、前記装置は、さらに、抵抗素子の超伝導−絶縁体−常伝導金属接合におけるインピーダンスの変化を測定することによりRF反射測定を行う反射測定回路を備える。
【0023】
本発明の一実施形態では、前記装置は、さらに、抵抗素子としての常伝導金属ピース、半導体ナノワイヤ、グラファイトピース又はカーボンナノチューブを備える。
【0024】
本発明の一実施形態では、前記装置は、さらに、超伝導の近接効果を除去又は緩和するために、抵抗素子に混合される磁性不純物原子を備える。
【0025】
本発明の一実施形態では、前記装置は、さらに、超伝導の近接効果を除去又は緩和するために、抵抗素子の領域内に外部磁場を生成するように構成される外部磁場を生成する手段を備える。
【0026】
本発明の一実施形態では、前記装置は、さらに、抵抗素子の温度を独立に制御し、かつ少なくとも1つの超伝導−絶縁体−常伝導金属接合におけるバイアス電流の存在下での電圧及び電流を測定するように構成され、抵抗素子に接合される少なくとも1つの測定ヘッドを備える。
【0027】
本発明の一実施形態では、前記装置は、さらに、抵抗素子で観測される温度ピークの回復時間よりも実質的に短いサンプリングポイント間の期間で得られる周波数で、抵抗素子と反射測定回路との接合のインピーダンスを測定するように構成される反射測定回路を備える。
【0028】
本発明の一実施形態では、前記装置は、さらに、反射測定回路の反射された信号の振幅及び位相の変化を測定するように構成され、当該変化は、反射測定回路−抵抗素子界面の反射係数の変化によって得られ、抵抗素子の加熱による抵抗素子と反射測定回路との接合におけるインピーダンスの前記変化からさらに得られる反射測定回路を備える。
【0029】
本発明の一実施形態では、前記装置は、さらに、測定された前記変化に基づいて単一のフォトンの存在を決定する制御ロジックを備え、制御ロジックは、さらに、到来した単一のフォトンを記憶媒体に登録することにより量子演算を行うように構成される。
【0030】
本発明の一実施形態では、前記装置は、周波数の範囲がマイクロ波の周波数範囲で約10GHzである周波数範囲、及び5nmから800nmの範囲である抵抗素子の寸法を用いるように構成される。
【0031】
本発明の一実施形態では、前記装置は、さらに、前記装置に一体化されたアンテナを備え、前記装置は、真空中又は空気中に伝搬する自由フォトンを検出するように構成される。
【0032】
本発明の特有の効果は、上記で示された感度を有するような、これまで全く開示されていない非常に高感度なフォトン検出器を導入することである。この装置は、単一マイクロ波フォトンの検出に好適であると同時に、10GHz以上のマイクロ波周波数における非常に高感度なスペクトラムアナライザーとして動作してもよい。本発明の利点は、従来技術で開示される任意の対応する検出器よりも明らかに優れた検出器の非常に良好な感度を含む。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、導波路、常伝導金属ピース及びRFで動作する反射測定回路を含む、本発明に係る検出器の構造を示す。
【
図2a】
図2aは、異なる温度での電圧の関数としてのいわゆるSIN接合を通じた、算出された電流を示す。
【
図2b】
図2bは、バイアス電流の異なる値による温度の関数としての対応する電圧を示す。
【
図2c】
図2cは、いわゆるSIN接合の電圧測定の配置の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、特に、10GHz以上の範囲の周波数、つまり、マイクロ波周波数の範囲に関するものである。この周波数範囲で単一フォトンの正確な検出をするための適切な検出器は存在していない。
【0035】
先ず、適切なフォトン源が要求する、フォトンが生成される必要がある。この後、導波路において制御された形態でそれらを伝搬させるように、好ましくはフォトン源からの単一フォトンの放出の瞬間を知ることが可能となるように、生成されたフォトンを操作可能にする必要がある。量子演算用にフォトンを使用することを目的とする場合、十分な程度のフォトン−フォトン間の相互作用を生成可能にするように、これらのフォトンを操作することも重要となる。フォトン源それ自体は既に存在するが、重要な要素は、制御された手法、すなわち、単一のフォトンが生成されるときに、その伝搬する方向が既知である手法でフォトンが生成されうることである。例えば、配線又は導波路を一次元でカットしたものである超伝導キャビティは、放出されたフォトンの方向を良好に決定することが可能である。
【0036】
一方、マイクロ波フォトンの動きは、局所的に方向付けられうる、すなわち、SQUIDs又はクーパー対トランジスタのような既知の超伝導部品での電場又は磁場を変更することにより、量子演算用に1ビットのオペレーションを行うことができる。以前は、光学フォトンの位相変位は、フォトンの伝搬経路上に材料のピースを提供し、このピースがその後別々に加熱されることにより、行われてきた。
【0037】
加熱された材料ピースを介して伝搬されたフォトンは、ピースの温度に応じた位相変位にさらされる。しかしながら、これは、フォトンの処理を遅くする遅延による加熱を常に伴うという問題、及び材料が加熱されるとき、フォトンが容易に吸収されるという問題をもたらす。
【0038】
本発明は、マイクロ波の周波数領域において動作し、単一フォトンの正確な検出及び演算に好適な検出器を導入する。
図1は、本発明に係る検出器の例示的な構造図を示す。本発明の構成は、マイクロ波の範囲で動作する導波路10により実行され、この構成の温度が十分に低温に設定されたとき、導波路の金属パーツ10aは、超伝導である。通常、この場合、絶対零度から10ケルビン以下で行われ、本実施形態では、装置の温度のオーダーは、数十ミリケルビンから数百ミリケルビンの範囲である。導波路10は、2つの平行な接地面(ground planes)10aと、それらの間にある中間配線10bと、からなる。導波路10のインピーダンス特性は、中間配線10bと接地面10aとの距離に対する中間配線10bの幅の比に従う。
【0039】
本発明では、小さな抵抗素子11がこのような導波路の端部に配置され、本発明の一実施形態において、この素子は、常伝導金属ピース(normal metal piece)と呼ばれる。常伝導金属とは、電気伝導性に関して、電気抵抗がゼロとなる超伝導とは明確に異なる古典的な手法で機能する金属を意味する。本発明の一実施形態では、抵抗素子11は、よって、完全な常伝導であり、超伝導ではない。金属ピースの材料、すなわち、抵抗素子11それ自体は、多くの異なる代替物から選択されうる。好ましい実施形態では、抵抗素子11の大きさは、製造技術の点から可能な限り小さく、通常、ピースは5...30nm*10...30nm*100...300nmのオーダーであり、直方体形状を有する。常伝導金属ピース11は、中間配線10bと接地面10aの一方側との間の導波路10の端部に配置され、この接続の目的は、マイクロ波のアブソーバーとして動作するためである。なお、この構造は、超伝導体と常伝導体との接合又は界面を形成する。
【0040】
この場合、導波路10に沿って伝搬するフォトン(
図1に波として示される)は、常伝導金属ピース11に、できるだけ高い確率で、吸収されうる。これは、不完全な吸収が検出器のエラーを直接的にもたらすためである。光学的な吸収から、導波路10の特性インピーダンスは、常伝導金属ピース11のインピーダンスと非常に近く、ほとんど同じになる。したがって、この場合、できるだけ高い確率で、界面の異なる側での素子のインピーダンスが非常に近く、ほとんど同じなるとき、できるだけ高い確率で、界面で反射せずに、フォトンのエネルギーが転送されることにより、インピーダンスマッチングの一般的な原理が適用される。
【0041】
本発明では、常伝導金属ピース11が非常に小さければ、小さな熱容量を有することとなり、その温度がわずかに上昇するが、その一方で、単一マイクロ波フォトンのエネルギー量が吸収されるときでさえも観察可能であることが発見された。常伝導金属ピース11に衝突するフォトンのエネルギーは、具体的には材料の電子に吸収され、微視的にそれらの動きをわずかに増加させ、さらに材料において非常に小さな温度上昇を示すことがわかる。理論的には、温度上昇ΔTは、以下の式で表されうる:
【数1】
ここで、AQはフォトンのエネルギーであり、Cは吸収材料の熱容量であり、hはプランク定数であり、fはフォトンの周波数である。
【0042】
温度の上昇は、測定される温度のピークとして現れ、時間と共に回復する。温度が非常に低温であるとき、わずかな格子振動、つまり、フォトンは、通常、常伝導金属に存在する。これは、いわゆる電子−フォトン接合が弱いこととなる。これは、さらに、常伝導金属におけるフォトン吸収の結果による温度ピークは、相対的にゆっくりと回復するという結果になる。温度ピークが現れた後にできるだけ早く測定が行われうるのであれば、これは、温度ピークを測定するための良い機会を提供する。
【0043】
次に、常伝導金属ピース11の温度を測定する構造の理論的な背景について説明する。一又はそれ以上の超伝導体の非常に小さな測定ヘッドは、常伝導金属ピース11に接合されることができ(以下の詳細な説明と共に
図2cを参照)、また、絶縁体の薄い層は、さらに、いわゆるSIN又はNIS接合、つまり、超伝導−絶縁体−常伝導接合、が前記界面に亘って形成されるいわゆるSN構造間に配置される。例えば、酸化アルミニウムが絶縁体として使用されうる。この構造の原理は、この接続において、電子のトンネル効果が超伝導体と常伝導体との間で用いられうることである。この場合、電流−電圧特性曲線がSIN接合で観察されうる。通常、このような接合では、高いオーダーでのトンネル効果は存在せず、このような理由により、接合において伝搬する電流は、単一電子の連続的な(sequential)トンネル効果からなり、超伝導体内の準粒子の励起によりさらに形成される。BCS理論(Bardeen−Cooper−Schrieffer)によれば、励起された状態間での最小のエネルギー差は2Δであり、これは、いわゆるクーパー対をブレイク(break)するために必要とされる。近似値として、T=0Kの温度では:
【数2】
ここで、K
Bはボルツマン定数であり、T
cは、試験される材料の臨界温度である(以下超伝導が可能)。多くの材料におけるこのエネルギーの大きさのオーダーは、1000分の1エレクトロンボルトのオーダーである。よって、熱エネルギーは、クーパー対を非常に容易にブレイクし、この場合の超伝導材料は、いわゆる常伝導金属となる。
【0044】
理想的な条件では、T=0Kの温度では、電流は、電圧がΔ/e以下のときに、SIN接合を通じて伝搬しない。温度が0≦T<<Δ/k
Bの間であるとき、界面において伝搬する電流は、常伝導金属の温度に依存する。
【0045】
図2aは、入力電圧の関数として異なる温度における(x−軸)一のSIN接合を通じて伝搬する電流(y−軸)の振る舞いを示す。最も上側の曲線は、温度T=0.3*T
Cを示し、最も下側の曲線は、T=0.05*T
Cを示す。この図は、温度が上昇すると、電流が増加することを示す。バイアス電流がこのような構造に入力され、かつ電圧がさらに測定された場合、サーモメーターとして機能するこのようなソリューション(solution)の感度が明らかに向上する。次に、バイアスにより補完されるこのような構成の測定結果が
図2bに示され、ここで、上記とは反対に、x−軸が温度を示し、y−軸が電流を示し、異なる曲線が電圧を示す。これらの図は、“F. Giazotto et al., Rev. Mod. Phys . 78, 217 (2006)”及び“O.−P. Saira et al., Phys. Rev. Lett. 99, 027203 (2007)”にも示されており、本発明の発明者らが著者として含まれる。
【0046】
SN接触及びSIN接合による温度測定構成の原理の一例が
図2cに示されており、ここで、1つの常伝導金属ピース(N)は、常伝導金属ピースの電圧−電流作用が測定される4つの超伝導測定ヘッド(S)と結合される。
図2cの構成では、最も外側の常伝導金属−超伝導体接合は、常伝導金属ピースと導波路との結合に対応する。常伝導金属ピースの温度は、所望するような(V
DS21を用いる)、2つの最も内側のSIN接合を通じて制御され、電圧が測定され、バイアス電流は、2つの最も外側のSIN接合(V
probe 20)を通じて入力する。一方、本発明では、本構成は、また、別の手段でも実行されることができ、例えば、この例の素子の大きさのオーダーを示す
図1及び
図2cに示すような1つのSIN接合のみを用いて実行されることができる。
【0047】
単一フォトンが常伝導金属ピースに吸収されると、温度の一時的な上昇が生じ、後に、前記した“弱い結合(weak coupling)”により相対的にゆっくりと温度が下がる。10Ghzのフォトン及び200nm*30nm*20nmの大きさを有する常伝導金属としての銅を用いたとき、11Kの温度上昇が1つのフォトンの吸収から観察されることができる。この結果は式(1)により得られる:
【数3】
ここで、γはゾンマーフェルト定数(低温での銅に対するこの定数は〜100J/(m
3K
2))であり、Vは常伝導金属ピースの体積である。
【0048】
この温度の上昇は、十分に正確であり、かつ素早く測定可能である必要がある。上述した電子−フォトン結合及びその熱伝導の検査は、
【数4】
を与え、ここで、Σは材料依存パラメータである(例えば、銅では、〜2*10
9W/(m
3K
5))。これは、さらに熱−パルス固有減衰期間を与える。
【数5】
これは、上述したパラメータにより、80年(80ys)の回復期を与える。温度測定のデータポイントインターバルは、例えば、0.1μεとなるように選択されることができ、10MHzの測定帯域幅に対応する。
【0049】
温度変化の測定における別の重要な機能は、本実施形態において必須である温度測定回路の感度であり、上記のパラメータの例としては、〜10μΚ/Ηζ
1/2又はそれよりも小さいオーダーである。測定において常に存在するノイズのレベルは、どれほどの良好な感度まで到達しうるかの限界を決定する。
【0050】
また、温度変化の観察において、フォトンが常伝導金属に吸収され、かつ連続的な加熱が得られたとき、SINの抵抗は、減少することが必須となる。この効果は、あたかも、温度が連続的に測定されることができ、単一フォトンが導波路から出現する瞬間を表すために用いられる温度計のような構成を提供することを可能にする。
【0051】
この段階において、
図1に図示された構成を再度説明する。本発明では、上述した温度の測定は、いわゆるタンク回路、すなわち、コイル14及びキャパシタ13により形成されるLC回路に接続された無線周波数反射測定18により行われうる。一方、形成された最も簡素なタンク回路に替えて、より複雑な他の型のタンク回路も使用されうる。この例では、特に、
図1の右側半分に示される回路を参照する。反射測定回路18は、RF信号源15と、エネルギーを蓄積するキャパシタ13及びコイル14と、アイソレータ16と、ミキサ17と、“out”として示されたミキサとは別の単一の出力ポートと、を含む。常伝導金属ピース11と反射測定回路18との間に超伝導金属12が配置され、11及び12の界面に上述したSIN接合を形成する。反射測定回路18それ自体は、完全に異なるタイプの測定アプリケーションに接続されることが知られているが、しかし、本発明のように単一のフォトンの検出には全く用いられていなかった。このような測定構成は、常伝導金属11におけるSIN接合のコンダクタンスを測定可能にし、測定は、必要に応じて、連続的に行われうる。SIN接合のコンダクタンスが変化するとき、そこから戻る(
図1の右側)RF信号の振幅は、同様に変化する。この反射及びその変化は、出力ポート“out”で直接検出されうる。例えば、測定用の帯域幅として上述した10MHzが選択されたとき、サンプルポイントは、単一吸収が測定前に大きく弱められることにより温度変化のピークを生じる時間の関数としてこのような周波数で提供されうる。
【0052】
上述したフォトン検出器の構造は、単一フォトンの吸収により生じる温度の上昇を効果的に検出可能とし、フォトンの量子力学的状態の射影測定を構成し、これは、さらに将来のマイクロ波分野で行われる可能性を秘める量子演算で不可欠である。上述した手法で動作するフォトン検出器は、また、約10GHzのマイクロ波範囲の周波数における非常に高感度なスペクトラムアナライザーとして機能しうる。
【0053】
超伝導及び提示された構造の近接効果は、図示されたソリューション(例えば、常伝導金属のピース)における抵抗素子自体が、そのアプリケーション状態、つまり、極低温かつ超伝導体に接触した状態で、超伝導材料へ変化する、これに対する感受性は、材料ピースの非常に小さな体積に部分的に依存する。本発明の機能性に対する近接効果は、通常、有害であり、近接効果の進展を防ぐ一つの手段は、常伝導金属へ磁性不純物原子を加えることである。近接効果を防ぐ別の手段は、常伝導金属ピースの領域へ局所的な外部磁場を結合することを用いることであり、ここで、常伝導体は、ゼロ場と同じくらい容易に超伝導にならない。実際の超伝導体でのこの場の効果は最小限であり、これは、その臨界場が、近接効果によって生じる超伝導を防ぐように要求される場よりも大きいためである。近接効果を制御する一つの可能性は、また、外部磁場と共に、常伝導金属に磁性不純物を同時に用いることである。
【0054】
一方で、いくつかの状況では、超伝導性の近接効果は、本発明の検出器の動作に関して、有益な現象となってもよい。これは、常伝導金属ピースがわずかに超伝導性を示すときに、温度の測定は、より高い感度となることを証明する場合である。これらの状況において、本発明の一実施形態では、超伝導の近接効果は、常伝導金属ピースをわずかに、つまり、非常に弱い超伝導状態となるように、検出器の常伝導金属ピースに影響を与えることが可能となってもよい。すなわち、上述した手段では、超伝導の近接効果は、必要に応じて、常伝導金属ピースにおいて非常に弱い超伝導性を発生しうるこのような手段で管理及び制御されうる。
【0055】
本発明の一実施形態では、常伝導金属11は、カーボンナノチューブ又はグラフェン溶液に置き換えられうる。別の可能性としては、常伝導金属11を半導体ナノワイヤと置き換えることがある。ナノチューブ及びグラフェン溶液では、この場合、特に好ましくは、フォトン吸収が前よりも小さくなりうる特定の抵抗素子であることが好ましい。これは、測定の感度をさらに向上させ、単一フォトンの取りうる周波数が低いオーダーでも検出器により検出されるようにしうる。
【0056】
導波路10のインピーダンスは、事実上、二つの方法で常伝導金属11のインピーダンスとマッチングしうる。導波路の特性インピーダンスは、接地面10aから導波路の中間配線10bの距離を変化させることにより調整されうる。一方、常伝導金属11のインピーダンスは、その体積を変化させずに維持するが、その厚さ又は幅を調整し、ピースの長さを変化させることによりそれぞれこの変化を補償することによって、変化されうる。また、常伝導金属11のインピーダンスは、近接効果が完全に無くなっていない範囲で動作するとき、局所的な磁場により調整されうる。有益な大きさの一例は、約50Ωの標準抵抗が実現される800*30*5(nm)
3の大きさを有する銅ピースを用いることである。別の例は、同様に約50Ωの標準抵抗が実現される200*30*20(nm)
3の大きさを有する金パラジウム、より詳細には、Au
0.75Pd
0.25を用いることである。
【0057】
本発明の機能性のために、導波路10と抵抗素子11との間のインピーダンスを抵抗素子11又は導波路10の大きさに対する正確な絶対測定値を提供することよりも、より実質的に近づけてマッチングすることが明らかであることが留意される。
【0058】
本発明の一実施形態では、検出器は、アンテナが検出器に一体化される(integrated)場合に、真空中又は空気中で伝搬する自由フォトンを検出するためにも用いられうる。
【0059】
本発明の一実施形態では、要求される測定のステップは、コンピュータプログラムにより、規定通りに、実行されるように構成される。コンピュータプログラムは、実行されるプログラムコードを含み、制御ロジック可読媒体に記憶される。この記憶媒体は、また、本発明及び/又は本発明により得られる成果物のために要求される入力パラメータを記憶するために用いられうる。
【0060】
本発明は、上記に示される例示した実施形態に限定されず、それに替えて、多くの変形が特許請求の範囲により規定される独創的なアイディアの範囲内で可能である。