特許第5973446号(P5973446)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシーの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5973446
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】潤滑剤用の非芳香族系酸化防止剤
(51)【国際特許分類】
   C10M 169/04 20060101AFI20160809BHJP
   C10M 133/10 20060101ALN20160809BHJP
   C10M 107/34 20060101ALN20160809BHJP
   C10M 107/02 20060101ALN20160809BHJP
   C10M 101/02 20060101ALN20160809BHJP
   C10M 105/04 20060101ALN20160809BHJP
   C10N 20/02 20060101ALN20160809BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20160809BHJP
   C10N 30/10 20060101ALN20160809BHJP
   C10N 40/04 20060101ALN20160809BHJP
   C10N 40/08 20060101ALN20160809BHJP
   C10N 40/30 20060101ALN20160809BHJP
【FI】
   C10M169/04
   !C10M133/10
   !C10M107/34
   !C10M107/02
   !C10M101/02
   !C10M105/04
   C10N20:02
   C10N30:00 A
   C10N30:10
   C10N40:04
   C10N40:08
   C10N40:30
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-530224(P2013-530224)
(86)(22)【出願日】2011年9月20日
(65)【公表番号】特表2013-537931(P2013-537931A)
(43)【公表日】2013年10月7日
(86)【国際出願番号】US2011052312
(87)【国際公開番号】WO2012040174
(87)【国際公開日】20120329
【審査請求日】2014年9月19日
(31)【優先権主張番号】61/386,149
(32)【優先日】2010年9月24日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(72)【発明者】
【氏名】マーティン アール.グリーブス
(72)【発明者】
【氏名】エブリン アー.ツァウグ−ホーツェマンス
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー モーリー
【審査官】 馬籠 朋広
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭53−148669(JP,A)
【文献】 特開2006−083378(JP,A)
【文献】 特開2007−154035(JP,A)
【文献】 特開2006−257335(JP,A)
【文献】 特開2006−143937(JP,A)
【文献】 特開2008−127444(JP,A)
【文献】 特開2006−022281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M 101/00−177/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂環式アミンアルコキシレートと、(a)ポリアルキレングリコール;(b)ポリアルファオレフィン;(c)ナフテン系化合物;および(d)それらの組合せから選択される基油とを含む潤滑剤組成物において、脂環式アミンアルコキシレートと基油が混和性であることを条件とし、
脂環式アミンアルコキシレートは:式IまたはIIに対応するアミノシクロヘキサンアルキルアミン、式IIIに対応するシクロヘキサンジアミンまたはそのジアステレオマー形態、式IVに対応するメチレンビス(シクロヘキシルアミン)、式VまたはVIに対応する1,3−または1,4−ビス(アミノ−メチル)シクロヘキサン、およびそれらの組合せから選択される開始剤と;プロピレンオキシド、ブチレンオキシドおよびそれらの組合せから選択されるアルコキシドと;の脂環式アミンアルコキシレートであり、
潤滑剤組成物は、ASTM D7042に基づいて40℃で実施した粘度試験にしたがって、乾燥空気中120℃で13日間の後5パーセント(%)未満の粘度変化を示す、潤滑剤組成物。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
(上記式中、R1はC1−C4アルキルであり、各Rは独立して水素またはC1−C4アルキルであり、mは1〜8の整数であり、各R2は独立して水素または不活性置換基である。)
【請求項2】
脂環式アミンアルコキシレートが、1,2−シクロヘキサンジアミン1モルあたり5〜10モルのプロピレンオキシド含有量を有する1,2−シクロヘキサンジアミンプロポキシレート;1,2−シクロヘキサンジアミン1モルあたり5〜10モルのブチレンオキシド含有量を有する1,2−シクロヘキサンジアミンブトキシレート;およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項3】
基油が、米国石油協会にしたがって分類された場合に、グループIIまたはIIIの基油である、請求項1または2に記載の潤滑剤組成物。
【請求項4】
脂環式アミンアルコキシレートと基油が混和性となるような条件下で、少なくとも、脂環式アミンアルコキシレートと(a)ポリアルキレングリコール;(b)ポリアルファオレフィン;(c)ナフテン系化合物;および(d)それらの組合せから選択される基油とを組合わせて潤滑剤組成物を形成するステップを含む、潤滑剤組成物の製造方法であって、
脂環式アミンアルコキシレートは:式IまたはIIに対応するアミノシクロヘキサンアルキルアミン、式IIIに対応するシクロヘキサンジアミンまたはそのジアステレオマー形態、式IVに対応するメチレンビス(シクロヘキシルアミン)、式VまたはVIに対応する1,3−または1,4−ビス(アミノ−メチル)シクロヘキサン、およびそれらの組合せから選択される開始剤と;プロピレンオキシド、ブチレンオキシドおよびそれらの組合せから選択されるアルコキシドと;の脂環式アミンアルコキシレートであり、
潤滑剤組成物は、ASTM D7042に基づいて40℃で実施した粘度試験にしたがって、乾燥空気中120℃で13日間の後5パーセント(%)未満の粘度変化を示す、潤滑剤組成物の製造方法。
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
(上記式中、R1はC1−C4アルキルであり、各Rは独立して水素またはC1−C4アルキルであり、mは1〜8の整数であり、各R2は独立して水素または不活性置換基である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書に援用される2010年9月24日付けの米国仮特許出願第61/386,149号からの優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、潤滑剤組成物そしてより具体的には酸化的分解反応に対するこのような組成物の耐性を増大させるための方法および手段に関する。本発明の潤滑剤組成物は特に、作動油、ギヤオイルおよびコンプレッサオイルとして、特に毒性に起因して芳香族化合物が問題となる場合に有用であることができる。
【背景技術】
【0003】
近年、潤滑剤業界は、溶剤精製および水素化処理された炭化水素基油を利用することがさらに多くなっている。これは、何十年にもわたって使用されてきた従来の炭化水素すなわち(米国石油協会(API)によってグループIの基油として分類されている)鉱油が、典型的に20重量パーセント(wt%)近辺という高い芳香族含有量を一般的に含んでいるからである。高い芳香族含有量は、基油の粘度指数を削減することによりその品質を低減させる傾向を有し、同様に毒性の問題も提起してこれらの油を一部の利用分野にとって望ましくないものにする。
【0004】
芳香族含有量に関する潜在的問題を考慮して、潤滑剤業界は現在、水素化処理方法を介して実質的に削減された芳香族含有量を達成する基油であるグループIIおよびIIIの基油をより大規模に使用する方向に向かって動きつつある。これらの基油は一般に、10wt%未満の芳香族化合物と300PPM未満の硫黄を含む。このレベルは次に、グループIIおよびIIIの基油を後処理プロセスに付すことによって、約1wt%の芳香族化合物そしてほぼ検出不可能な量の硫黄および窒素の量に至るまで、さらに一層削減されてよい。このようなプロセスとしては、水素化分解法およびイソ脱ロウ(iso-dewaxing)が含まれ得る。今後10年間にわたり、業界がグループIIおよびIII油というより高品質の基油へと移行するにつれて、これらの油の使用は急速に成長するものと期待されている。
【0005】
残念なことに、大部分の潤滑剤利用分野では、酸化的分解反応に対する一定の最低レベルの耐性が必要とされる。所望のレベルを達成するためには、酸化防止添加剤を使用してよくかつ/または天然に発生する酸化防止剤を含む補足的油を組成物中に含み入れてもよい。大部分の場合において、芳香族構造に基づく酸化防止剤、例えば芳香族アミンおよび/または芳香族フェノール誘導体が、性能、コスト、利便性またはそれらの組合せを理由として好ましい。しかしながら、グループIIまたはIIIの基油に対して芳香族アミンを添加することにより、なにもりもまず、グループIの基油の代りにグループIIまたはIIIの基油を選択することから導き出されるメリットが少なくとも或る程度は損なわれる。
【0006】
酸化的分解反応に対する適切な耐性を達成することと芳香族含有量を回避または削減することとの間には矛盾が発生することが多いことから、潤滑剤の分野の研究者は、芳香族含有量の増加無く熱酸化安定性を提供する新しい潤滑剤添加剤および/または調合物を追求し続けてきた。
【発明の概要】
【0007】
一態様において、本発明は、脂環式アミンアルコキシレートと、(a)ポリアルキレングリコール;(b)ポリアルファオレフィン;(c)ナフテン系化合物;および(d)それらの組合せから選択される基油とを含む潤滑剤組成物において、脂環式アミンアルコキシレートと基油が混和性であることを条件とする潤滑剤組成物を提供する。さまざまな実施形態において、基油はグループI、IIまたはIIIの基油であってよい。脂環式アミンアルコキシレートは、式IまたはIIに対応するアミノシクロヘキサンアルキルアミン;式IIIに対応するシクロヘキサンジアミンまたはそのジアステレオマー形態;式IVに対応するメチレンビス(シクロヘキシルアミン);式VまたはVIに対応する1,3−または1,4−ビス(アミノ−メチル)シクロヘキサン;またはそれらの組合せから選択される開始剤と、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドおよびそれらの組合せから選択されるアルコキシドとを、脂環式アミンアルコキシレートを形成するのに好適な条件下で反応させることによって調製されてよい。
【0008】
別の形態において、本発明は、脂環式アミンアルコキシレートおよび基油が混和性となるような条件下で、少なくとも、脂環式アミンアルコキシレートと(a)ポリアルキレングリコール;(b)ポリアルファオレフィン;(c)ナフテン系化合物;および(d)それらの組合せから選択される基油とを組合わせて潤滑剤組成物を形成するステップを含む、潤滑剤組成物の製造方法を提供する。好ましい実施形態において、潤滑剤組成物は、ASTM Internationalの試験方法、ASTM D7042にしたがって40℃で実施した粘度試験を用いて、乾燥空気中120℃で13日間の後5パーセント(%)未満の粘度変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、多様な用途のための望ましいおよび/または許容可能なレベルの熱酸化安定性を提供する潤滑剤組成物の設計および調製を可能にする。調合物は同様に、従来の芳香族系酸化防止剤を含む多くのグループIの基油の芳香族含有量と比べた場合、芳香族含有量が減少したかまたは芳香族含有量が除去されたグループIIまたはグループIIIの化合物をその基油として含むというさらなる利点も有していてよい。
【0010】
以下「酸化防止剤添加剤」と呼ぶ、発明の調合物の酸化防止剤構成成分は、少なくとも1つの脂環式アミンアルコキシレート、または脂環式アミンアルコキシレートの混合物である。このようなものは、考えられるさまざまな開始剤化合物のいずれかをアルコキシル化することによって調製されてよい。例えば、一つの好適な開始剤の群は、アミノシクロヘキサンアルキルアミン化合物である。これらの中には、下記式Iに対応する化合物がある:
【化1】
なお式中、R1は、C1−C4アルキルであり、各々のRは独立して、水素またはC1−C4アルキルであり、mは1〜8の整数である。式I中の各R基は、好ましくは独立して水素またはメチルであり、R1は好ましくはメチルである。式I中、−(CR2m−NH2基は、シクロヘキサン環に直接結合されたアミノ基に対してオルト、メタまたはパラであってよい。−NH2および−(CR2m−NH2基は、互いにシス−、またはトランス位にあってよく、シクロヘキサン炭素原子は、示されている−NH2、−R1および−(CR2m−NH2基に加えて不活性置換基を含んでいてよい。式Iに対応する好ましい開始剤化合物としては、シクロヘキサンメタンアミンまたは1,8−ジアミノ−p−メタンおよびそれらの組合せが含まれる。
【0011】
第2のタイプのアミノシクロヘキサンアルキルアミン開始剤は、下記式IIに対応する:
【化2】
なお式中、R、R1およびmは、式Iに関して定義された通りである。式Iの場合と同様に、各R基は好ましくは独立して水素またはメチルであり、R1は好ましくはメチルであり、−(CR2m−NH2基は、シクロヘキサン環に直接結合されたアミノ基に対してオルト、メタまたはパラであってよい。−NH2および−(CR2m−NH2基は、互いにシス−、またはトランス位にあってよく、シクロヘキサン炭素原子は、示された−NH2、−R1および−(CR2m−NH2基に加えて不活性置換基を含んでいてよい。式IIに対応する特に好ましい開始剤化合物は、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミンである。このアミノシクロヘキサンアルキルアミン群の生産は、例えば、全体が参照により本明細書に援用されている国際公開第2008/094239号(WO2008/094239)中に記載されている。
【0012】
開始剤には、例えば、全体が参照により本明細書に援用されている国際公開第2008/094963号(WO2008/094963)中で開示されたものなどのシクロヘキサンジアミンも含まれていてよい。これらの中には、例えば1,2−、1,3−および1,4−シクロヘキサンジアミン;2−および4−メチル−シクロヘキサン−1,3−ジアミン;そのジアステレオ異性体形態;およびそれらの組合せが含まれる。1,2−シクロヘキサンジアミンは、下記式IIIで表わされてよい:
【化3】
なお式中、各Rは独立して水素またはC1−C4アルキルであり;各Rは好ましくは水素またはメチルである。このような開始剤の例としては、InvistaTMからDYTEKTMDCH99として市販されている1,2−シクロヘキサンジアミンおよびduPont de Nemours社から1,4−DCHとして市販されている1,4−シクロヘキサンジアミンがある。
【0013】
本発明において有用である脂環式アミンアルコキシレートを生産するための別の開始剤は、メチレンビス(シクロヘキシルアミン)である。メチレンビス(シクロヘキシルアミン)開始剤化合物は、2つのシクロヘキシル基で置換されたメチレン基を含む化合物である。シクロヘキシル基は、それ自体未置換であるかまたは不活性置換されている。メチレンビス(シクロヘキシルアミン)開始剤化合物は、下記式IVにより表わされてよい:
【化4】
なお式中、各R2は水素または不活性置換基である。NH2基は、2、3または4位にあってよい。2つのNH2基は、中央メチレン基との関係において非対称に位置づけされてよい。好ましい異性体は2,2’−、4,4’−および2,4’−異性体である。各R2は、好ましくは水素であるが、任意の1つ以上のR2は不活性置換基であってよい。「不活性」置換基とは、(以下で記述されている)アルコキシル化条件の下でアルキレンオキシドと反応しない置換基である。不活性置換基は、非限定的な例において、ヒドロカルビル基、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリール置換アルキルおよびシクロアルキル:エーテル基;および第3級アミノ基を含んでいてよい。存在し得るあらゆる置換基がC1−C4アルキルであることが好ましい。これらの中には、メチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチルおよびイソブチル基が含まれ、メチルがさらに好ましい。不活性置換基が存在する場合、それは好ましくは、シクロヘキサン環1つあたり1つ以下のこのような基を有する。最も好ましくは、全てのR基は水素であり、化合物は未置換である。このような開始剤の一例としては、BASFからLAROMINTMC260として市販されている4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキサンアミン)がある。
【0014】
同様に脂環式アミンアルコキシレートのための開始剤化合物として好適であるのは、下記の式Vまたは式VIのいずれかによって表わされる1,3−または1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンである:
【化5】
なお式中、各R2は以上で定義された通りである。このような開始剤の一例として、例えば三菱ガス化学株式会社から、1,3−BACとして市販されている1,3−ビス(アミノ−メチル)シクロヘキサンがある。
【0015】
選択された開始剤のアルコキシル化は、所望の縮合を行なうことのできる当業者にとって公知のあらゆる方法または手段を用いて実施されてよい。一般に、アルコキシル化剤としては、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはそれらの組合せが好ましいが、エチレンオキシド、ペンチレンオキシドおよびこれらの一方または両方とプロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドとの組合せも同様に利用可能である。アルコキシル化条件は、摂氏60度(℃)〜200℃、好ましくは100℃〜150℃の範囲内の温度;およそ1標準大気圧(atm)〜5atm(約101kPa〜約505kPa)の範囲内の圧力:および1時間(h)〜12h、好ましくは4h〜8hの範囲内の時間であるのが好都合である。適切な酸性またはアルカリ性アルコキシル化触媒を、プロモータを伴ってまたは伴わずに使用して、反応を促進してもよい。例えばその全体が参照により本明細書に援用されている米国特許第5844115号(US Patent 5844115)を参照のこと。このようなものは、さらなる指示が無くても当業者にとっては周知である。所望されるアルコキシル化は、バッチ、セミバッチまたは連続運転として適切に実施され得る。
【0016】
結果として得られる脂環式アミンアルコキシレートは、特定の実施形態において、脂環式ジアミンプロポキシレートおよびブトキシレートから適切に選択され、ここでアルコキシレートと脂環式ジアミンのモル比は、2:1〜20:1;好ましくは3:1〜20:1;より好ましくは5:1〜20:1;そして最も好ましくは5:1〜10:1であってよい。好適な例としては、1,2−シクロヘキサンジアミン1モルあたり5〜10モルのプロピレンオキシド含有量を有する1,2−シクロヘキサンジアミンプロポキシレート;1,2−シクロヘキサンジアミン1モルあたり5〜10モルのブチレンオキシド含有量を有する1,2−シクロヘキサンジアミンブトキシレート;およびそれらの組合せが含まれてよいが、これらに限定されない。
【0017】
有用な基油は、多様なポリアルキレングリコール、ポリアルファオレフィン、ナフテン系化合物およびそれらの組合せから選択されてよい。ポリアルキレングリコールが選択される場合、これは、酸化防止剤添加剤と混和性となりかつ好ましくは40℃で15〜100センチストークス(cSt)の範囲内の動粘性率を有するような形で選択されてよい。一部の特定の実施形態において、ポリアルキレングリコールは、モノール、ジオールまたは高級アルコール上で開始されるポリプロポキシレート(100パーセントプロピレンオキシド);モノール、ジオールまたは高級アルコール上で開始されるポリブトキシレート(100パーセントブチレンオキシド);プロピレンオキシドとブチレンオキシドとのランダムまたはブロックコポリマー;またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダムコポリマーである。一例としては、The Dow Chemical Companyから入手可能なSYNALOXTM100−20B、100−30B、100−40Bまたは100−50Bが含まれ得る。代替的選択肢としては、同じくThe Dow Chemical Companyから入手可能であるUCONTMLB−135、LB−165またはLB−285が含まれ得る。これらの製品は全て、基油が100個のプロピレンオキシドモノマー単位を含むような形でプロピレンオキシドを用いてプロポキシル化されたモノール開始剤(例えばブタノール)をベースとしている。一般に、比較的吸湿性のポリマーを回避することが望ましい場合がある。
【0018】
一部の実施形態においては、基油としてポリアルファオレフィンを選択してよい。ポリオレフィンは、典型的にC8〜C14オレフィンから製造され、結果は一般的にダイマー、トリマー、テトラマー、ペンタマーなどの組合せである。ポリアルファオレフィンは、15cSt(0.000015m2/秒)未満という100℃での動粘性率、100cSt(0.0001m2/秒)未満という40℃での動粘性率、120超の粘度指数そして−10℃未満の流動点を有する任意のものから選択されてよい。動粘性率は、ASTM Internationalの(ASTM)試験方法D−445にしたがって測定され、流動点はASTM D−97にしたがって測定される。一部の望ましい実施形態において、選択されたポリアルファオレフィンは−60℃未満の流動点を有する。例としては、ベルギーのNeste Oil N.V.から入手可能なイソパラフィン合成NEXBASETM2004ポリアルファオレフィン;Chevron Phillipsから入手可能なSYNFLUIDTMPAO−4、およびIneos Group Limitedから入手可能なDURASYNTM164が含まれ得る。SYNFLUIDTMPAO−4は、4cStという100℃の動粘性率と、−69℃の流動点とを有する。DURASYNTM164は、2cStという100℃での動粘性率と−55℃未満の流動点とを有する。
【0019】
ナフテン油を基油として選択してもよい。ナフテン油は、本明細書中では、環状炭化水素(すなわちシクロアルカン、あるいは標識付きナフテン)がその少なくとも40重量パーセントを形成するあらゆる油として定義される。こうして、それは、含まれる場合多くとも60重量パーセントのパラフィンすなわちn−アルカンを含む。原則として、ナフテン油はパラフィン油よりも低い流動点を有し、同様に、一般的に油に可溶な生成物へと分解するという利点をも提供し、これにより、スラッジや沈殿物などの形成に関する問題は削減される。シクロアルカンは、炭素(c)と水素(H)原子のみから成り水素化すべき(より多くの水素を添加すべき)多重C−C結合が全く存在しないことから、飽和している。本明細書中のシクロアルカンの一般化学式はCn2(n+1-g)であり、ここでnはC原子の数であり、g=分子中の環の数である。
【0020】
最も好都合には、ナフテン油を石油から得てもよい。例えば、ガソリンおよび他の石油関連製品を原油から生産するための石油蒸留の液体副産物である鉱油を精製して、パラフィンおよび芳香族画分からナフテン画分を分離してよい。単環を有するシクロアルカンは、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなど、同じ炭素数のその直鎖アルカン対応物と類似の要領で命名される。20個超の炭素原子を有するさらに大きいシクロアルカンは、典型的にシクロパラフィンと呼ばれる。シクロアルカンは、小、並(common)、中および大シクロアルカンに分類され、ここでシクロプロパンおよびシクロブタンが「小」カテゴリーを形成し;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンが「並(common)」カテゴリーの成員として分類され;シクロオクタンからシクロトリデカンまでは「中」カテゴリーに分類され;他の全てのシクロアルカンは「大」カテゴリーの成員として分類されている。一部の実施形態では、「並」として分類された、すなわち5〜7個の炭素原子を有するナフテン油を利用することが望ましく、一方他の実施形態では、「中」カテゴリのシクロアルカン、すなわち8〜13個の炭素原子を有するシクロアルカンが好ましい場合がある。
【0021】
上述のタイプの油のうちの一部または全ての組合せも同様に、発明の組成物中で使用される基油として利用してよい。基油全体の50重量パーセント(wt%)を超えないことを条件として、追加の油も含み入れてよい。このような追加の油は、ポリチオ−エーテル−ポリオール、ポリエステル−アミド、ヒドロキシル含有ポリアセタールおよびヒドロキシル含有脂肪族ポリカーボネート、および好ましくはポリエステル−ポリオールおよびポリエーテル−ポリオールから選択されてよい。他の選択対象範囲としては、100未満のヒドロキシル価を有する上述のおよび他のポリヒドロキシル化合物の組合せが含まれていてよい。しかしながら、酸化防止剤添加剤として使用される脂環式アミンアルコキシレート(単複)が基油と完全に混和性であることが重要であり、したがって、それは、選択された任意の基油組合せと混和性でなければならない。本明細書中で使用する「混和性」という用語は、毎分100回転(rpm)〜200rpmのせん断速度で10〜20分(min)間混合し、それに続いて周囲温度および大気圧で少なくとも24時間放置した後、目視に基づき単相を示すものとして定義される。
【0022】
本発明において望ましい混和性を例証するために、例えば、1リットル入り(1−L)のPYREX(登録商標)TMビーカーに475gのUCONTMOSP−46を加え、それに25gのCHDA−10POを添加してよい。その後混合物を40℃まで加熱し、混合物が透明かつ均質になるまで10分間100rpmで撹拌する。次に生成物を周囲温度(25℃)まで冷却させ、24時間後に目視する。この時点では、生成物は、透明で均質な溶液であるように見える。以上で組合せた通りのUCONTMとCHDA−10POの組合せは、本明細書中で使用される通りに「混和性」であるとみなされる。
【0023】
潤滑剤組成物中の脂環式アミンアルコキシレートの量は変動してよいが、一部の特定の実施形態において、それは100PPM(ppm)から最高5wt%までの範囲内にあることが望ましい。より詳細には、それは、1wt%〜5wt%の範囲内にあってよい。一部の特に好ましい実施形態において、それは1wt%〜3wt%の範囲内にあってよい。
【0024】
発明の組成物は、組成物をその最終利用分野に合わせて調製するのに望まれる場合があるいくつかの追加の構成成分を含んでいてよい。例えば、潤滑剤ブレンド組成物は、同様に、以上で規定した基油選択対象範囲に加えて1つ以上の従来の潤滑剤添加剤も含み得る。このような添加剤としては、ポリメチルシロキサンなどの消泡剤;解乳化剤;他の酸化防止剤、例えばフェノール系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、追加の硫化オレフィン、第2級アミン酸化防止剤、硫化フェノール系酸化防止剤、油溶性銅化合物およびその混合物;銅腐食阻害剤;防錆剤;流動点降下剤;洗浄剤;染料;金属不活性化剤;補足的摩擦調整剤;希釈剤;それらの組合せなど、が含まれ得る。従来の潤滑剤添加剤が存在する場合、それらは典型的に潤滑剤組成物の合計重量に基づいて潤滑剤組成物の100重量PPMから最高5wt%までの範囲内にある。例えば、腐食阻害剤は、潤滑剤組成物とそれが接触する任意の金属との間のあらゆる分解相互作用を低減させるため、組成物合計重量に基づいて好ましくは0.05〜3wt%、より好ましくは0.1〜0.25wt%の範囲内の量で添加されてよい。
【0025】
発明の組成物の調製は、組合せが構成成分全般ならびに詳細には基油および脂環式アミンアルコキシレートの均質性を保証することを条件として、当業者にとって公知のまたは当業者が想定する任意の手段および/または方法を用いて実施され得る。組成物は、好ましくは、組成物を均質化して単相を確保するのに充分なせん断を加えることのできる混合用容器内で、バッチ、セミバッチまたは連続式で調製可能である。温度は20℃〜60℃、より好ましくは30℃〜50℃の範囲内にあり、圧力は適切には大気圧またはそれに近い(1atm、およそ101kPa)ものであることが望ましい。
【0026】
多くの利用分野について、混合完了直後の最終潤滑剤組成物が、ASTM D7042にしたがって10〜1000cSt、好ましくは20〜400cSt、そして最も好ましくは30〜100cStの範囲内の40℃での動粘性率を示すことが望ましい。これらの粘度範囲は、例えばトランスミッション液、作動油、コンプレッサ液、ギヤオイルなどを含めて広範囲の利用分野のために有用であり得る。
【0027】
発明の組成物の特別な利点は、10L/hの流量で乾燥剤を通過させて乾燥された空気を含むASTM D2893B方法を用いて120℃で13日間の後に5パーセント未満の粘度変化を示すように調合され得るという点にある。この最低限の粘度変化は、酸化防止剤を含まない基油と比べてあるいは実際に同じく酸化防止剤を含む一部の基油と比べても、改善された熱酸化安定性を表わしている。例えば、この試験が酸化防止剤を含まないNEXBASETM2004などのポリアルファオレフィン基油を用いて実施された場合、174%の粘度変化が観察され(表2参照)、これは以下の実施例で記述されている修正済みASTM D−2893B試験プロトコルにしたがった「不合格」評定を構成するものである。植物油などの他の基油も一般に、フェノール系酸化防止剤が含まれている場合に「不合格」評定を受ける。例えば、1wt%のIRGANOXTML101を含むなたね油は、408%の粘度増加を示す。これとは対照的に、発明の組成物は、同じ温度、時間および湿度条件下で5パーセント未満の粘度変化を示し、こうして同じ試験プロトコルの下でその「合格」評定を得ることができる。こうして、発明の組成物は、比較的長時間にわたり比較的極限の条件下で有用であり得、したがって、休止時間、潤滑剤交換、設備のメンテナンスおよび修理などに関連するコストを削減する可能性を有している。
【実施例】
【0028】
実施例および比較例の中で使用されている市販の材料には、以下のものが含まれる:
・ TOTALTM150S.N.(天然溶剤):Total Corporationから入手でき、40℃で毎秒30平方ミリメートル(mm2/秒)の典型的な動粘性率を有する、グループIのパラフィン系溶剤中性基油。
・ SYNALOXTM100−30B:Dow Chemical Companyから入手可能で、40℃で46mm2/秒の典型的動粘性率を有するブタノール開始型プロポキシレート。
・ NYNASTMT22:40℃での22mm2/秒の典型的動粘性率および15℃で1ミリメートルあたり0.90グラム(g/mL)の密度を有する、Nynas Corporation製のナフテン基油。これは、42wt%のナフテン含有量;11wt%の芳香族含有量:および47wt%のパラフィン含有量を有する。
・ NEXBASETM2004:100℃で4mm2/秒の典型的動粘性率を有するNeste製のポリアルファオレフィン基油。
・ UCONTMOSP−46:The Dow Chemical Companyから入手可能なドデカノール開始型プロピレンオキシド/ブチレンオキシド(PO/BO)(50/50重量/重量、ww)。
・ IRGANOXTML57:BASFから入手可能な芳香族系アミン酸化防止剤。
・ IRGANOXTML101:BASFから入手可能な芳香族系フェノール酸化防止剤。
・ IRGANOXTML109:BASFから入手可能な芳香族系フェノール酸化防止剤。
脂環式アミンアルコキシレート化合物の調製
【0029】
同様に、実施例および比較例において使用されているのは、本明細書中でCHDA−5POと呼ばれている、1,2−シクロヘキサンジアミン1モルあたり5モルのプロピレンオキシド(PO)でプロポキシル化された1,2−シクロヘキサンジアミン;ならびに本明細書中でCHDA−10POと呼ばれている1,2−シクロヘキサンジアミン1モルあたり10モルのPOでプロポキシル化された1,2−シクロヘキサンジアミンを含む、2つのプロポキシル化脂環式アミン化合物である。これらは、以下の通りに、1,2−シクロヘキサンジアミン1モルあたり3モルのPOで1,2−シクロヘキサンジアミンがプロポキシル化されている生成物(CHDA−3PO)と共に調製される。
【0030】
窒素でパージした反応装置に対して、一定量の1,2−シクロヘキサンジアミン(4000グラム(g)、35.1モル(mol))を加える。POの補給(6,105g、105mol)に先立ち、反応容器を125℃まで加熱する。ひとたび補給ステップが完了した時点で、反応を120分(min)間消化させ、その後試料(CHDA−3POと呼称)を分析のために採取する。
【0031】
その後、水酸化カリウム(KOH、22.2g、45wt%)溶液を添加し、余剰の水を真空下で除去する。反応装置の温度を125℃まで上昇させ、PO(3,990g、69mol)を投入し、その後240分間消化させる。生成物の別の試料を採取し(7000g)(CHDA−5POと呼称)、酢酸溶液(70wt%)を添加することで中和させ、同時に、生産された生成物を、透明でわずかに黄色を帯びた高粘度の液体(ヒドロキシル価OH#は、生成物1グラムあたり502ミリグラムのKOH(mgKOH/g)である)を単離し、50℃での粘度は13,200ミリパスカル・秒(mPa・s)である。
【0032】
反応装置内の残留生成物に対し、さらなるPO添加(4,949g、85.2mol)を完了し、125℃で60分間消化させる。この時間の後、酢酸溶液(70wt%)を添加し、同時に、生産された生成物を、透明でわずかに黄色を帯びた粘性液体(OH#は313mgKOH/g、50℃での粘度は675mPa・s)として単離する。最終的試料を採取し、CHDA−10POと呼称する。下表1は、プロトン性核磁気(1H NMR)試験を用いて分析される3つの試料の特徴づけを示す。
【表1】
熱酸化安定性試験:
【0033】
ASTM D−2893B試験方法の改定版にしたがって試験を行なう。以下で応用する通り、ホウケイ酸ガラス管内に収納された各試料300mlを乾燥空気中120℃まで、312時間(13日間)加熱する。40℃での試料の動粘性率(KV40)を、ASTM D7042の方法にしたがって測定する。改訂されたASTM D−2893試験に基づき、試料が13日後に5%未満の粘度変化を示した場合、組成物に「合格」評定が付与される。
実施例1〜7および比較例A〜K
調合物の調製
【0034】
調製評価した調合物の組成を表2に示す。示した百分率は全て、重量百分率である。適切な混合を提供するため電動撹拌器が備わった1リットル(L)入りのビーカー内で、合計500gの各調合物を調製する。2つ以上の構成成分を含む調合物は、最初に最大量を占める構成成分すなわち最高の重量百分率で使用される構成成分をビーカーに投入し、次にそれに対し他の構成成分を添加することによって、調製される。調合物が透明かつ均質となるまで、周囲温度で撹拌を行ない、不均質であると判定された組成物を表2に示すが、これらの組成物は熱酸化安定性については評価されていない。IRGANOXTML101およびL109を含む調合物を、組成物が透明かつ均質になるまで60℃まで加熱し、その後周囲温度まで冷却する。
【0035】
表2中、一次(virgin)基油は「基準(Reference)」製品として、マーキングされている。基油と芳香族酸化防止剤を含む製品(IRGANOXTMという商標名)は、比較例としてマーキングされている。脂環式アミンアルコキシレートを含み「合格」評定が付与される基準を満たしている製品は、実施例としてマーキングされている。脂環式アミンアルコキシレートを含み「不合格」評定を受けた製品は、比較例としてマーキングされている。脂環式アミンアルコキシレートCHDA−5POおよびCHDA−10POは、1wt%および5wtとして示された濃度で組成物中に含まれている。
【表2】
比較例L〜Q
【0036】
実施例1〜7および比較例A〜Kで使用されたものと同じ選択対象範囲の基油と共に取込まれた、国際公開第00/23648号(WO00/23648)に記載のアミン開始型ポリアルキレングリコール1wt%および5wt量を用いて、溶解度研究を準備する。結果を表3に示す。これらの比較例L〜Qは、アミン開始ポリアルキレングリコールとこれらのグループIおよびグループIVの基油の組合せが、不溶性生成物を結果としてもたらし、さらなる試験を無意味なものにするということを例証している。
【表3】
以下もまた開示される。
[1] 脂環式アミンアルコキシレートと、(a)ポリアルキレングリコール;(b)ポリアルファオレフィン;(c)ナフテン系化合物;および(d)それらの組合せから選択される基油とを含む潤滑剤組成物において、脂環式アミンアルコキシレートと基油が混和性であることを条件とする、潤滑剤組成物。
[2] 潤滑剤組成物が、ASTM D7042に基づいて40℃で実施した粘度試験にしたがって、乾燥空気中120℃で13日間の後5パーセント(%)未満の粘度変化を示す、上記[1]に記載の潤滑剤組成物。
[3] 脂環式アミンアルコキシレートが、1,2−シクロヘキサンジアミン1モルあたり5〜10モルのプロピレンオキシド含有量を有する1,2−シクロヘキサンジアミンプロポキシレート;1,2−シクロヘキサンジアミン1モルあたり5〜10モルのブチレンオキシド含有量を有する1,2−シクロヘキサンジアミンブトキシレート;およびそれらの組合せからなる群から選択される、上記[1]〜[2]のいずれかに記載の潤滑剤組成物。
[4] 基油が、米国石油協会にしたがって分類された場合に、グループIIまたはIIIの基油である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の潤滑剤組成物。
[5] 脂環式アミンアルコキシレートが、100PPMから5重量パーセントまでの範囲内の量で存在する、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の潤滑剤組成物。
[6] 脂環式アミンアルコキシレートと基油が混和性となるような条件下で、少なくとも、脂環式アミンアルコキシレートと(a)ポリアルキレングリコール;(b)ポリアルファオレフィン;(c)ナフテン系化合物;および(d)それらの組合せから選択される基油とを組合わせて潤滑剤組成物を形成するステップを含む、潤滑剤組成物の製造方法。
[7] 脂環式アミンアルコキシレートが、式IまたはIIに対応するアミノシクロヘキサンアルキルアミン;式IIIに対応するシクロヘキサンジアミンまたはそのジアステレオマー形態;式IVに対応するメチレンビス(シクロヘキシルアミン);式VまたはVIに対応する1,3−または1,4−ビス(アミノ−メチル)シクロヘキサン;またはそれらの組合せから選択される開始剤と、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドおよびそれらの組合せから選択されるアルコキシドとを、脂環式アミンアルコキシレートを形成するのに好適な条件下で反応させることによって調製される、上記[6]に記載の方法。
[8] 脂環式アミンアルコキシレートが、100PPMから5重量パーセントの範囲内の量で潤滑剤組成物中に存在する、上記[6]〜[7]のいずれかに記載の方法。
[9] 脂環式アミンアルコキシレートが1重量パーセント〜5重量パーセントの範囲内の量で潤滑剤組成物内に存在する、上記[6]〜[8]のいずれかに記載の方法。