特許第5973468号(P5973468)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5973468
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】スライド運動用の機構
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/10 20060101AFI20160809BHJP
【FI】
   E05D15/10
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-553878(P2013-553878)
(86)(22)【出願日】2012年2月10日
(65)【公表番号】特表2014-508870(P2014-508870A)
(43)【公表日】2014年4月10日
(86)【国際出願番号】EP2012052258
(87)【国際公開番号】WO2012110405
(87)【国際公開日】20120823
【審査請求日】2015年1月15日
(31)【優先権主張番号】202011002810.0
(32)【優先日】2011年2月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504308626
【氏名又は名称】インター イケア システムズ ベー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】アンデション ベニー
(72)【発明者】
【氏名】パーション ホーカン
【審査官】 仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−198657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 15/00−15/58
E06B 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1位置から第2位置にドア(1)を動かす機構であって、この動きはスライド運動を含み、
前記機構は、ハウジング(2)と、引き出しガイドレール(4)と、第1レバーアーム(27)と、第2レバーアーム(30)と、を備え、
前記引き出しガイドレール(4)は、前記ドア(1)に取り付けられる第1部材を有し、前記第1部材(5)と第2部材(6)とは、互いに関しスライド可能に配置され、
前記第1レバーアーム(27)の一端は、前記引き出しガイドレール(4)における旋回点(29)に受けられ、前記第1レバーアーム(27)の反対側の端は、前記機構のハウジング(2)における旋回点(28)に受けられ、前記引き出しガイドレール(4)における旋回点(29)は、前記引き出しガイドレール(4)の第1端に位置し、
前記第2レバーアーム(30)の第1端は、前記引き出しガイドレール(4)の第3の旋回点(31)に受けられ、前記第2レバーアーム(30)の第2端は、ガイド手段(38)の手段によりハウジングの溝(32)に受けられ、第3レバーアーム(33)の第1端は、前記第2レバーアーム(30)の第4の旋回点(34)に受けられ、前記第3レバーアーム(33)の第2端は、ハウジングの第5の旋回点(35)に受けられる、機構。
【請求項2】
前記引き出しガイドレール(4)における前記第3の旋回点(31)は、前記引き出しガイドレール(4)の第1端とは反対側の、前記引き出しガイドレール(4)の第2端から隔てて位置している、請求項1に記載の機構。
【請求項3】
ハウジングの溝(32)は、第1部分(36)を有し、前記第1部分(36)は、ハウジングの内側の位置から前方に、前記第3レバーアーム(33)が位置する、ハウジングの端に向かって傾き、
ハウジングの溝(32)は、第2部分(37)を有し、前記第2部分(37)は、エレメントに垂直である全体的な伸長を有し、溝(32)の前記第2部分(37)は、前記第3レバーアーム(33)が位置する、ハウジングの端に向かってわずかに曲がった形状を有する、請求項1または2に記載の機構。
【請求項4】
前記引き出しガイドレール(4)に関するドアのスライド運動のロックとリリースとをそれぞれ行うため、ロックリリース機構が配置されている、請求項1〜3のいずれかに記載の機構。
【請求項5】
前記ロックリリース機構が、ドア用の機構のレバーアーム(14,46,53,58)の動きによって制御される、請求項4に記載の機構。
【請求項6】
前記ロックリリース機構は、2つのアームを有するレバーを備え、前記2つのアームを有するレバーは、前記引き出しガイドレール(4)の旋回点(20)周りに旋回可能に配置され、
前記2つのアームを有するレバーの第1アーム(21)は、レバーアーム(14)により作用され、ばねの力に抗して旋回点(20)で回り、第2アーム(22)は、前記引き出しガイドレール(4)の部材上のピン(45)から外される、請求項5に記載の機構。
【請求項7】
前記ロックリリース機構は、ロッキングアーム(47)を備え、前記ロッキングアーム(47)は、レバーアーム(46)の端における旋回点(48)に受けられ、
前記ロッキングアーム(47)は、前記引き出しガイドレール(4)の部材をロックする部分を一端に有し、
前記ロッキングアーム(47)は、前記レバーアーム(46)のエッジ(49)により、リリース位置に動かされ、前記レバーアーム(46)のエッジ(49)は、ばねの力に抗して作用し、前記ロッキングアーム(47)を前記レバーアーム(46)の端における旋回点(47)で回す、請求項5に記載の機構。
【請求項8】
前記ロックリリース機構は、レバーアーム(53)の端部(55)を備え、前記端部(55)は、前記レバーアーム(53)に固定され、溝(57)を有し、溝(57)には、前記引き出しガイドレール(4)の部材のピン(56)がロッキング位置において受けられ、溝(57)は、前記レバーアーム(53)が旋回点(54)で回るときに、前記ピン(56)をリリースするようになっている、請求項5に記載の機構。
【請求項9】
前記ロックリリース機構は、ロッキングピン(61)を備え、前記ロッキングピン(61)は、前記引き出しガイドレール(4)のガイド溝(63)にスライドし、前記ロッキングピン(61)は、ばねの力に抗してレバーアーム(58)の端(60)により作用され、ガイド溝(63)は、前記引き出しガイドレールの2つの部材に位置し、
前記ロッキングピン(61)は突出部(62)を有し、前記突出部(62)は、ガイド溝(63)のリセスに受けられ、リセスは、前記引き出しガイドレール(4)の1つの部材に位置し、前記突出部(62)は、旋回点(59)で旋回する前記レバーアーム(58)の手段によりリセスを出ていき、前記引き出しガイドレール(4)の2つの部材は、前記ロッキングピン(61)の前記突出部(62)がリセスを出たときに、互いに自由に動く、請求項5に記載の機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、第1の配置から第2の配置にエレメントを動かす方法に関するものであり、この動きにはスライド運動が含まれる。本発明はまた、エレメントを動かす方法を行うための機構に関する。
【背景技術】
【0002】
動かされるエレメントは、隣り合うエレメントの間または壁等のフレームにおける開口部から、その開口部からずれた位置まで動くあらゆる種類のエレメントであってもよく、動きの最後の部分において、エレメントが隣り合うエレメント等と平行な位置にスライドする。エレメントは、様々な種類の家具のドア、建物の一部、ルーフハッチのようなハッチ等であってもよい。
【0003】
この種の運きにおける一つの問題は、スムーズな動く動作を得ることである。スライド運動が行われる前に、エレメントが隣り合うエレメントから自由に最初に動かされなければならないからである。
【0004】
例えば家具、すなわちキャビネット、ロッカー等用のスライドドアは、設計オプション、必要な空間、家具のアイテムにアクセスする能力という点で、通常不利であることが暗示される。従って、例えばキャビネット用のスライドドアを開閉する改良された方法を提供することが望ましい。また、例えばスライドドアに望ましい動きを与える機構を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、少なくとも上記の問題を緩和することである。引き出しガイドレールとともに適切なリンク機構を提供することにより、例えばキャビネットのスライドドアが閉じられたときに平らな外観にすることができ、開いた状態に向かったり反対の閉じた状態に向かったりする滑らかな動きをもたらすことができる、という理解に本発明は基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの重要な部分は、スライド運動を含む滑らかな運動が、外側に向けられるように隣り合うエレメント間に置かれたエレメントの一端に最初に力を加えることによって行われる。その後エレメントの反対の端が外側に向けられ、エレメントは開いた位置と平行な位置にあることになる。到達する前の、前記平行な位置では、エレメントはスライド運動をすることができる。
【0007】
下記の詳細な説明では、エレメントはスライドドアであるが、本発明が、上記に示されたように、多くの様々な種類のエレメントに用いられることは、当業者に理解されるだろう。スライドドアは通常ある種の木製製品から作られるが、本発明があらゆる物質のエレメントに利用されることは、当業者に理解されるだろう。
【0008】
第1の側面では、開口の内部である第1の位置から、開口から離れ外部である第2の位置に、エレメントを動かす方法が提供される。動きにはスライド運動が含まれ、トータルな動きには多くの別々のステップが含まれる。第1ステップでは、エレメントの一端は第1の端位置まで外側に向けられる。第2ステップでは、エレメントがもとの位置と平行な位置になるまで、エレメントの他端は外側に向けられる。前記第2ステップの終わりでは、ロッキング手段はリリースされる。第3ステップでは、エレメントが受容される引き出しガイドレールを延ばすことにより、エレメントは第2の位置にスライドする。逆の順に動きの上記ステップが繰り返され、エレメントを第2の位置から開口の内部である第1の位置に動かす。
【0009】
第2の側面によると、上記の運動を行うための機構が提供される。機構はハウジングを有している。機構は引き出しガイドレールも有し、引き出しガイドレールは、動かされるエレメントに取り付けられる第1部材を有している。第1部材と第2部材とは、互いにスライドできるように配置されている。機構は、さらに少なくとも2つのレバーアームを備えている。第1レバーアームの一端は、引き出しガイドレールでの旋回点に受けられ、前記レバーアームの反対側の端は、機構のハウジングでの旋回点に受けられる。引き出しガイドレールにおける旋回点は、引き出しガイドレールの第1の端に位置する。
【0010】
動かされるエレメントには、通常1つの機構がエレメントの対向する2つの端にある。
【0011】
引き出しガイドレールは第3部材を有してもよく、第3部材は、第1部材と第2部材との間に配置され、引き出しガイドレールがスライドできる範囲を増加させるようになっている。
【0012】
機構はさらにロックリリース機構を備えてもよく、ロックリリース機構は、第1の位置にあるときに、引き出しガイドレールの第1部材と第2部材との間の相互の移動をロックするように配置され、第2の位置にあるときに、ロックをリリースするように配置される。
【0013】
本発明の他の目的、特徴、利点は、下記の詳細な開示から、添付された従属クレームから、また図面からも明らかになるであろう。概ね、特許請求の範囲に記載される全ての用語は、ここに明確に定義されていない限り、技術分野における通常の意味で解されるべきである。冠詞(“a/an/the”)が付されたエレメント、デバイス、コンポーネント、手段等についての言及の全ては、別に明確に述べられていない限り、前記エレメント、デバイス、コンポーネント、手段等の少なくとも一例を率直に指していると解されるべきである。 ここに開示されるあらゆる方法のステップは、明確に述べられていない限り、開示されている正確な順番通りに行われる必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明のさらなる目的、特徴、利点と同様に、上記については、付された図面を参照して、下記の本発明の異なる実施形態の、例示のための非限定的な詳細な説明を通じて、より良く理解されるであろう。
図1】スライドドアの形態におけるエレメント用の機構の第1実施形態を示す。
図2】別の視点からの図1の機構を示す。
図3】ロックリリース機構の第1実施形態とともに、図1の機構の拡大図を示す。
図4】別の位置にあるときの図1の機構を示す。
図5】機構の第1実施形態の一連の開く動きを示し、ドアは閉じられている。
図6】機構の第1実施形態の一連の開く動きを示す。
図7】機構の第1実施形態の一連の開く動きを示す。
図8】機構の第1実施形態の一連の開く動きを示す。
図9】機構の第1実施形態の一連の開く動きを示す。
図10】機構の第1実施形態の一連の開く動きを示し、ドアは完全に開いている。
図11】一連の開く動きにおける、図3のロックリリース機構を示している。
図12】連の開く動きにおける、図3のロックリリース機構を示している。
図13】一連の開く動きにおける、図3のロックリリース機構を示している。
図14】一連の開く動きにおける、図3のロックリリース機構を示している。
図15】家具のフレームとドアにそれぞれ取り付けられた機構と、機構に取り付けられたカバープレートの斜視図を示す。
図16】スライドドア用の機構の第2実施形態の開く動きを示す。
図17】スライドドア用の機構の第2実施形態の開く動きを示す。
図18】スライドドア用の機構の第2実施形態の開く動きを示す。
図19】スライドドア用の機構の第2実施形態の開く動きを示す。
図20】スライドドア用の機構の第2実施形態の開く動きを示す。
図21】スライドドア用の機構の第3実施形態の開く動きを示す。
図22】スライドドア用の機構の第3実施形態の開く動きを示す。
図23】スライドドア用の機構の第3実施形態の開く動きを示す。
図24】スライドドア用の機構の第3実施形態の開く動きを示す。
図25】スライドドア用のロックリリース機構の第2実施形態を示す。
図26】ライドドア用のロックリリース機構の第2実施形態を示す。
図27】スライドドア用のロックリリース機構の第2実施形態を示す。
図28】スライドドア用のロックリリース機構の第2実施形態を示す。
図29】スライドドア用のロックリリース機構の第3実施形態を示す。
図30】スライドドア用のロックリリース機構の第3実施形態を示す。
図31】スライドドア用のロックリリース機構の第3実施形態を示す。
図32】スライドドア用のロックリリース機構の第4実施形態を示す。
図33】スライドドア用のロックリリース機構の第4実施形態を示す。
図34】スライドドア用のロックリリース機構の第4実施形態を示す。
図35】スライドドア用のロックリリース機構の第4実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、第1実施形態のスライドドア1用の機構を示している。機構は、ハウジング2を備え、ハウジング2は、ドア1を有する家具のフレーム3に取り付けられて配置されている。家具は例えばクローゼット、キャビネット、ロッカー、ドアの付いた本棚などであってもよい。フレーム3は、木、ポリマー、ボード材、金属などで作られてもよく、サイドピース、トップピース、ボトムピース、好ましくはさらにバックピースを備えている。ドア1とともに、フレーム3は、衣類、ギア、本などを保管するスペースを定めていると好ましい。機構のハウジング2がフレームのトップピースに取り付けられ、追加の同様な機構がボトムピースに取り付けられてもよく、ドアに安定した取り付けと運動パターンが提供されると好ましい。これは以下の説明から理解されるであろう。
【0016】
機構は、さらに引き出しガイドレール4を備えている。引き出しガイドレール4は、引き出し機能を実行するため互いにスライドする、第1部材5と第2部材6とを備えている。このような引き出しガイドレールは、例えば欧州特許出願公開公報第2114206号に記載されるように、引き出しの技術分野において公知である。この欧州特許出願にも示されるように、引き出しガイドレールは第3部材7を有することができ、第3部材は、引き出しガイドレール4がスライドできる範囲を増大させるよう、第1部材5と第2部材6との間でスライドできるように配置されている。引き出しガイドレール4は、いわゆる完全拡張タイプであり、家具内のアイテムへのアクセスのため、ドアが完全に開くようになっている。さらに、この欧州特許出願にも記載されているように、部材間の摩擦の減少のためのボールやローラによって、スライドを強化することができる。引き出しガイドレールには、その端点においてスライド運動を弱めるためのダンピングエレメントを設けることもできる。
【0017】
以下に記載されるように、引き出しガイドレール4の第1部材5はドア1に取り付けられ、第2部材6は機構のレバーアームに取り付けられる。
【0018】
引き出しガイドレール4は、ドアが閉じられたときに、ガイドレールがドアの背後に隠れることができ、言い換えればユーザーに対し隠すことができるという利点を与える。これにより、改良された設計オプションが可能になる。
【0019】
以下の説明では、レバーアームと旋回点に、それぞれ、第1、第2等の識別が与えられ、レバーアームと旋回点が、それぞれ、互いに区別できるようになっている。この識別は、タイミングや重要性の差を定めるものと解されるべきではない。
【0020】
機構はさらに第1レバーアーム8を備え、第1レバーアームは、ハウジング2の第1の旋回点9と、引き出しガイドレール4の第2部材6の第2の旋回点10との間に、旋回可能に配置されている。機構はさらに第2レバーアーム11を備え、第2レバーアーム11は、ハウジングの第3の旋回点12と、第3レバーアーム14の第4の旋回点13との間に、旋回可能に配置され、第3レバーアーム14は、引き出しガイドレール4の第2部材6の第5の旋回点15に旋回可能に配置されている。機構はさらに第4レバーアーム16を備え、第4レバーアーム16は、第1レバーアーム8の第6の旋回点17と、第3レバーアーム14の第7の旋回点18との間に、旋回可能に配置されている。ハウジング2、レバーアーム8、11、14、16、および第2部材6の配置は一種の半平行四辺形を形成することが見て取れ、平行な性質は、図1〜3に示されるような第1の位置と、図4に示されるような第2の位置とにのみ当てはまり、一方その間で、第2部材6は、以下で図5〜8を参照して記載されるように、非平行に移動する。
【0021】
ドアが閉じられている、第1の位置または配置では、第2レバーアーム11の大体の方向は、引き出しガイドレール4の大体の方向とほぼ平行である。第2レバーアーム11の大体の方向の、引き出しガイドレール4の大体の方向に対し“ほぼ平行な方向”とは、引き出しガイドレール4の大体の方向に対し5度〜15度の間の角度であり、ここで正の角度は、第3の旋回点12が、第4の旋回点13より、引き出しガイドレール4に近いことを意味する。角度が0度〜10度の間であると好ましく、約5度であるとより好ましい。ほぼ平行な方向は、例えばスライドドアと同じ平面に取り付けられる隣接するドアなどのすぐ近くにあるアイテムに干渉することなく、ドアのエッジが出て行けるといった利点をもたらし、これにより改良された設計オプションが可能になる。ここで、第3レバーアーム14は、引き出しガイドレール4に本質的に垂直であり、下記により詳細に示されるように、動くことでドアを近くのアイテムから、第2の位置または配置に向けて押し出す。角度により、ドアの臨界端、すなわち第1から第2の位置に動くときに最初に移動する端、が隣接するドアやアイテムに干渉することなく外側を向くようになる。これは、第1の位置から第2の位置へ向かう動きの初めの部分の間、引き出しガイドレールの大体の方向に本質的に垂直に動く、第4の旋回点13によりもたらされる。
【0022】
第2の位置では、引き出しガイドレール4は、第3の旋回点12周りに第2レバーアーム11を回転させることにより、第1の位置にあるときに照らし平行に移動する。第1、第3、第4レバーアーム8、14、16は、引き出しガイドレール4が第1の位置にあるときに照らし本質的に平行に移動するようにし、引き出しガイドレール4を延ばすことにより、ドア1が開位置にスライドできる。 平行な移動により、スライドドアと同じ平面に取り付けられる、例えば隣接するドアなどのすぐ近くにあるアイテムに干渉することなく、ドア1は、引き出しガイドレールにより開かれることができる位置に置かれ、これにより改良された設計オプションが可能になる。
【0023】
旋回軸の配置により、機構は第1と第2の位置との間でまっすぐ動くことができ、言い換えれば、ドアは、他の2つの方向に望ましいパターンに応じて動くものの、動く間に同じ高さが保たれる。これを可能にするため、第1〜第7の旋回点9、10、12、13、15、17、18の全ての旋回の軸は、相互に本質的に平行であり、引き出しガイドレール4の大体の方向に垂直であり、第1の位置と第2の位置との間の平行な移動の方向に垂直である。
【0024】
機構がその第2の位置にあるときにのみ、スライド運動が望まれる。従って、機構はさらにロックリリース機構19を備えることができ、ロックリリース機構19は、第1の位置にあるときに、引き出しガイドレール4の第1部材5と第2部材6との間の相互移動をロックするよう配置され、第2の位置にあるときに、ロックをリリースするように配置される。ロックリリース機構は、スライドオープンの動きがなされるまで、ドアを所定位置に保持する。扱いやすさとより一層の品質感に加え、この特徴により、閉じられたドアと同じ平面に取り付けられた隣接するドアや他のアイテムが、開かれるドアがスライドすることによる摩耗やダメージにさらされることが防がれる。図3に拡大して示されてもある、ロックリリース機構19は、2つのアームを有するレバーを備えることができ、2つのアームを有するレバーは、引き出しガイドレール4の第2部材6の第8の旋回点20周りに、旋回可能に配置される。ばねは、レバーに作用し、レバーを図3に示される位置に向かわせる。2つのアームを有するレバーの第1アーム21は、第2の位置にあるときに、第3レバーアーム14と接するように配置され、2つのアームを有するレバーの第2アーム22は、第2アーム22が引き出しガイドレール4上のピン45から外されることにより、2つのアームを有するレバーが第8旋回点20周りを回ってロックを外す。ロックリリース機構のこの構成は、複雑でなくかつ自動的に動く機構を兼ね備える。
【0025】
機構は、第3レバーアーム14上で、第3レバーアーム14の大体の方向で考えて第5の旋回点15と第7の旋回点18との間に、第4の旋回点13が配置されるように構成可能である。さらに、構成は、第1レバーアーム8上で、第1レバーアーム8の大体の方向で考えて第1の旋回点9と第2の旋回点10との間に、第6の旋回点17が配置されるようにすることができる。旋回点の構成は、第1から第2の位置までおよびその逆の、ドアと引き出しガイドレールの特に適切な動きを提供する。
【0026】
レバーアーム上の負荷は、ドアの重量に応じて、そして特に第2の位置と引き出しガイドレールが延びた位置にあるときに、大きくなることがある。もし全体の負荷がハウジングにおいて旋回点にかかるならば、このピボット用の寸法は、重いドアの場合には大きくなければならない。ドアの様々なサイズや材質用の多用途の機構という観点からは、機構はその用途の多くに経済的に実行可能ではないだろう。これを解決するためのアプローチが、ピボットから隔ててサポートを設けることにより発見された。ハウジング2は、例えばアーク形状のスロットを備えることができ、アーク形状のスロットは旋回点に対し一定の半径を有するアークを形成し、レバーアームはガイドノブを備えることができ、ガイドノブは、ハウジング2からレバーアームを行き来する向かうのと離れるのとの両方の力をとることができ、アーク形状のスロットと係合するように配置されている。ピボットのより経済的な寸法を可能にすることに加えて、この解決策は、旋回点の旋回軸に平行な方向における動きを制限することができる。このような配置は、第1レバーアームか第2レバーアームのいずれかに、または両方に、設けることができる。上記のドアがスライドして開くときの考察を参照し、第2レバーアーム上でのノブアプローチの適用は、機構が家具のフレームのトップピース上に設けられたときに、特に有利であり、第1レバーアーム上でのノブアプローチの適用は、機構が家具のフレームのボトムピース上に設けられたときに、特に有利である。
【0027】
従って、それぞれ第1および第2位置に関する図2および図4に見られるように、ハウジング2は、さらに第1アーク形状スロット23を備えることができ、第1アーク形状スロット23は、第1旋回点9に対し一定の半径を有するアークを形成し、第1レバーアーム8は第1ガイドノブ24を備え、第1ガイドノブ24は、第1アーク形状スロット23と係合するように配置され、第1旋回点9の旋回軸に平行な方向の移動を制限し、および/またはハウジング2は、さらに第2アーク形状スロット25を備え、第2アーク形状スロット25は、第3旋回点12に対し一定の半径を有するアークを形成し、第2レバーアーム11は第2ガイドノブ26を備え、第2ガイドノブ26は、第2アーク形状スロット25と係合するように配置され、第3旋回点12の旋回軸に平行な方向の移動を制限する。 スロットおよびノブは、構成を強化し、移動の間にドアからの負荷が変化するにつれて、ドアに不測の高度変化やねじりが生じないようにする。
【0028】
スロットアプローチの代替は、アーク形状のスロットと同様の形状であるサポート面を有すること、すなわちピボットから隔ててサポートを提供することである。 サポート面は、従ってこの面とレバーアームとの間の力をとることのみができる。 しかしながら、もし、機構が家具のフレームのトップピースおよびボトムピースの両方に設けられ、サポート面が第1および第2のレバーアーム8、11の両方に設けられていると、この解決策は、ノブアプローチと同様の利点をもたらす。
【0029】
図5〜10は、開く動きを順に示し、図5ではドアは閉じられ、図10では完全に開いている。閉じる動きが、逆、すなわち図10〜5の順に続く。図11〜14は、オープニングシークエンスのオプションのロックリリース機構19を順に示し、図14は、ロックリリース機構19が、図10に示されるようなドアが開いた状態にスライドできる、リリース位置にあるときを示している。開く動きにおいて示されたように、第3レバーアーム14は、2つのアームを有するレバーの第1アーム21と接触し、そのアーム21を下方に押す。第1レバーアーム21の動きにより、2つのアームを有するレバーは、2つのアームを有するレバーの第2アーム22を持ち上げる第8の旋回点20で、回転する。第2アーム22がピン45から外れたときに、ドア1はスライドして開くことができる。2つのアームを有するレバーは、ばねの手段により、第2アーム22が引き出しガイドレール4の部材に接する位置に予め張力が与えられている。従って、ロックリリース機構をリリースするときに、第3レバーアーム14の動きが、ばねの力に打ち勝たなければならない。
【0030】
図15は、それぞれカバープレートが取り付けられた、家具のフレームおよびドアに取り付けられた組立機構を示している。
【0031】
以下では、スライドドアの機構のさらなる実施形態と、ロックリリース機構のさらなる実施形態とが、様々な実施形態を示す図面を参照して記載される。他の実施形態の部品に対応する部品には、同じ参照番号が与えられ、通常は実施形態ごとに詳細に言及されない。
【0032】
上述したように、スライドドアのようなエレメントの一端に取り付けられた1つの機構があることが望ましく、エレメントに安定した取り付けと下記の動きのパターンを提供するように、追加の同様な機構がエレメントの反対側の端に取り付けられてもよい。
【0033】
図16〜20の実施形態では、機構は第1レバーアーム27を備え、第1レバーアーム27は、ハウジング2の第1の旋回点28と、引き出しガイドレール4の第2部材6の第2の旋回点29との間に、旋回可能に配置されている。機構は、さらに第2レバーアーム30を備え、第2レバーアーム30は、その一端が引き出しガイドレール4の第2部材6の第3の旋回点31に位置し、旋回可能に配置されている。第2レバーアーム30の他端は、ハウジング2の溝32に沿って移動できるように配置される。第3レバーアーム33は、第2レバーアーム30上の第4の旋回点34と、ハウジング2の第5の旋回点35との間に、旋回可能に配置されている。引き出しガイドレール4の第2部材6と第1レバーアーム27の第2の旋回点29は、前記第2部材6の一端に位置している。引き出しガイドレール2の第2部材6と第2レバーアーム30の第3の旋回点31は、前記第2部材6の他端から少し離れて位置している。第2レバーアーム30の一端を受けるハウジング2の溝32は、第1部分36を有し、第1部分36は、ハウジング2の内側の位置から前方に、第3レバーアーム33が位置する、ハウジング2の端に向かって、傾いている。ハウジング2の前記端は、そこでスライドドア1の一端に最初の外側に向かう動きが与えられる、端である。溝32の第1傾斜部分36には、スライドドアに垂直な大体の伸長を有する第2部分37が続く。溝32の前記第2部分37は、やや曲がった形状を有し、溝32の端は、第1部分36から第2部分37を通る溝32の領域よりも、第3レバーアーム33が位置している、ハウジング2の端に近づいて位置している。第2レバーアーム30は、ガイドホイール38の手段により、溝32に沿って移動可能である。第2レバーアーム30は、曲がった形状を有し、第5の旋回点35は、第2レバーアーム30の湾曲の内側に位置している。
【0034】
この実施形態のスライドドア1の開口部では、スライドドア1の一端が外に向かって引っ張られ、第2レバーアーム30のガイドホイール38は、溝32の第1部分36に沿って進む。第3レバーアーム33は、第2レバーアーム30が溝32に沿って進むにつれて、外側へ回転する。第2レバーアーム30のガイドホイール38が、第1部分36から第2部分37を通る溝32の領域に到達すると、第1レバーアーム27は、外側に向き始める。第1レバーアーム27は、スライドドア1にほぼ垂直になるまで回転する。第1レバーアーム27がスライドドア1に垂直な位置まで外側に向くと、第2レバーアーム30のガイドホイール38は、溝32の第2部分37の端に到達する。第3レバーアーム33は、スライドドア1に垂直になるまで外側に向かう。第1レバーアーム27と第3レバーアーム33の両方がスライドドア1に垂直な位置では、スライドドア1は、スライドして開く。
【0035】
図21〜24の実施形態では、機構は第1レバーアーム39を備え、第1レバーアーム39は、ハウジング2の第1の旋回点40と、引き出しガイドレール4の第2部材6の第2の旋回点41との間に、旋回可能に配置されている。機構はさらに、第2レバーアーム42を備え、第2レバーアーム42は、引き出しガイドレール4の第2部材6の第3の旋回点43と、ハウジング2の第4の旋回点44との間に、旋回可能に配置されている。引き出しガイドレール4の第2部材6と第1レバーアーム39の第2の旋回点41は、前記第2部材6の一端に位置している。引き出しガイドレール2の第2部材6と第2レバーアーム42の第3の旋回点43は、前記第2部材6の他端から隔てて位置している。第2レバーアーム42は、曲がった形状を有し、第2レバーアーム42の下方部分は、開位置では前方に向けられる。
【0036】
1つのレバーアームと引き出しガイドとの間の旋回点が引き出しガイドの一端に位置し、1つのレバーアームの旋回点が引き出しガイドの他端から隔てて位置することは、全ての実施形態に共通である。
【0037】
図25〜28では、ロックリリース機構のさらなる実施形態が示される。レバーアーム46は、ロッキングアーム47に作用し、スライド運動をするようスライドドア1をリリースする。ロッキングアーム47は、レバーアーム46の手段により、旋回点48周りを回る。ロッキングアーム47は、ロッキング位置に向かってばねで留められている。レバーアーム46は、エッジ49を有し、エッジ49は、閉位置でロッキングアーム47から離れて配置される。ロッキングアーム47は、一端に戻り止め50を有し、戻り止めは閉位置で引き出しガイドレール4の部材のエクステンション51のエッジ52に接する。レバーアーム46のエッジ49は、ロッキングアーム47の端でロッキングアーム47に作用し、この端は、戻り止め50を有する端とは旋回点48に関し反対側に位置する。従って、ロッキングアーム47の戻り止め50は、ロッキングアーム47がレバーアーム46の動きにより回転するとき、引き出しガイドレール4のエクステンション51のエッジ52から外される。ロッキングアーム47の回転運動は、レバーアーム46のエッジ49により作動され、ロッキングアーム47のばね荷重に対し作用する。戻り止め50は、スライドドア用の開閉機構の開位置で、エッジ52から外される。
【0038】
図29〜31では、ロックリリース機構のさらなる実施形態が示される。レバーアーム53は、引き出しガイドレール4の旋回点54で受けられる。レバーアーム53の端部55は、溝57を有し、溝57は、引き出しガイドレール4の部材に置かれたピン56を受ける。端部55は、レバーアーム53の結合部品またはレバーアーム53に固定された別部品である。開く動きの間、レバーアーム53は旋回点54で回転し、端部55も回転し、ピン56と、レバーアーム53の端部55の溝57との間の相対運動が起きるであろう。溝57の形状は、スライドドア1用の開閉機構の開位置で、ピン56が溝57から離れるようになっている。従って、前記開位置において、スライドドア1がスライドして開くことができる。
【0039】
図32〜35においても、ロックリリース機構のさらなる実施形態が示される。レバーアーム58は、引き出しガイドレール4の旋回点59で受けられる。レバーアーム58の端部60は、ロッキングピン61の一端に作用する。ロッキングピン61は、レバーアーム58の作用を受ける、ロッキングピン61の端と反対の端に、突出部62を有している。ロッキングピン61は、ばねの手段により、レバーアーム58に向かって押される。ロッキングピン61は、引き出しガイドレール4上でガイド溝63内を動いてもよい。ロッキングピン61は、レバーアーム58が作用する端とは反対の端に、突出部62を有している。閉位置では、ロッキングピン61の突出部62は、引き出しガイドレール4のガイド溝63でリセス64に受けられる。ロッキングピン61の突出部62がガイド溝63のリセスに受けられるとき、引き出しガイドレール4の2つの部材は、互いに相対的に動くのを妨げられる。開く動きの間、レバーアーム58は旋回点59周りを回転する。レバーアーム58の端部60は、その後ロッキングピン61に向かって動く。レバーアーム58の端部60がロッキングピン61を押し始めるとき、ロッキングピン61の突出部62は、リセス64から離れる方向に移動する。開位置では、突出部62はリセスから離れており、引き出しガイドレール4の2つの部材は互いに相対的に移動し、スライドドア1は開位置にスライドする。
【0040】
ロックリリース機構の異なる実施形態が、スライドドア用の開閉機構のあらゆる異なる実施形態とともに用いられる場合がある。
【0041】
本発明は、主に数例の実施形態に関し上記で述べられた。しかしながら、当業者には容易に理解されるように、上記で開示された以外の他の実施形態も、付された特許請求の範囲により定められた本発明の範囲内で、同じように可能である。
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