特許第5973485号(P5973485)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5973485
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】熱電発電装置および熱電発電方法
(51)【国際特許分類】
   H02N 11/00 20060101AFI20160809BHJP
   H01L 35/30 20060101ALI20160809BHJP
   H01L 35/32 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   H02N11/00 A
   H01L35/30
   H01L35/32 Z
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-71250(P2014-71250)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-195643(P2015-195643A)
(43)【公開日】2015年11月5日
【審査請求日】2015年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】590000835
【氏名又は名称】株式会社KELK
(74)【代理人】
【識別番号】100099944
【弁理士】
【氏名又は名称】高山 宏志
(72)【発明者】
【氏名】壁矢 和久
(72)【発明者】
【氏名】黒木 高志
(72)【発明者】
【氏名】海部 宏昌
(72)【発明者】
【氏名】梶原 健
(72)【発明者】
【氏名】牧野 一也
(72)【発明者】
【氏名】八馬 弘邦
【審査官】 三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−204930(JP,A)
【文献】 特開2006−210568(JP,A)
【文献】 特開2013−151023(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/114854(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 11/00
H01L 35/30
H01L 35/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱エネルギーを電気エネルギーに変換する一または複数の熱電発電モジュールを有する複数の熱電発電ユニットを備え、温度変動を生じる熱源からの熱エネルギーを用いて熱電発電を行う熱電発電装置あって、
前記複数の熱電発電ユニットが前記熱源に対峙して設けられ、前記複数の熱電発電ユニットのうち少なくとも一部は、前記熱源に正対した場合に、その温度が当該熱電発電ユニットの許容温度を超える位置において、熱流束を低減させて許容温度を超えないように、水平方向に対して所定の角度をつけて配置され、角度をつけたことによって前記熱源に正対するよりも設置面積が減少した分、前記熱源に正対する場合よりも熱電発電ユニットの数を増加させたことを特徴とする熱電発電装置。
【請求項2】
前記熱源は搬送される高温材であり、前記複数の熱電発電ユニットは、前記高温材の幅方向に沿って対峙され、これらの複数の熱電発電ユニットのうち前記高温材の幅方向中央部分に対応するものは、前記高温材に正対した場合に、その温度が当該熱電発電ユニットの許容温度を超える位置において、熱流束を低減させて許容温度を超えないように、水平方向に対して所定の角度をつけて配置され、角度をつけたことによって前記高温材に正対するよりも設置面積が減少した分、前記高温材に正対する場合よりも熱電発電ユニットの数を増加させたことを特徴とする請求項1に記載の熱電発電装置。
【請求項3】
前記複数の熱電発電ユニットのうち前記高温材の幅方向端部に対応するものは、その温度が当該熱電発電ユニットの許容温度を超えない範囲で、水平方向に対して前記高温材の幅方向中心を向くような角度を有するように配置することを特徴とする請求項2に記載の熱電発電装置。
【請求項4】
前記熱源は搬送される高温材であり、前記複数の熱電発電ユニットは、前記高温材の搬送方向に沿って対峙され、これらの複数の熱電発電ユニットのうち前記高温材の搬送方向上流側の温度が高い部分に対応するものは、前記高温材に正対した場合に、その温度が当該熱電発電ユニットの許容温度を超える位置において、熱流束を低減させて許容温度を超えないように、水平方向に対して所定の角度をつけて配置され、角度をつけたことによって前記高温材に正対するよりも設置面積が減少した分、前記高温材に正対する場合よりも熱電発電ユニットの数を増加させたことを特徴とする請求項1に記載の熱電発電装置。
【請求項5】
前記複数の熱電発電ユニットは、その許容温度を超えない範囲で前記熱源に極力近接して配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の熱電発電装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の熱電発電装置により、熱源の熱を受熱して熱電発電を行うことを特徴とする熱電発電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される高温材のような熱源に対峙して配置された一または複数の熱電発電モジュールを有する複数の熱電発電ユニットを備えた熱電発電装置およびそれを用いた熱電発電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
異種の導体または半導体に温度差を与えると、高温部と低温部との間に起電力が生じることは、ゼーベック効果として古くから知られており、このような性質を利用し、熱電発電素子を用いて熱を直接電力に変換することも知られている。
【0003】
近年、製鉄工場等の製造設備では、例えば、上記のような熱電発電素子を用いた発電により、これまで廃熱として棄ててきたエネルギー、例えば、熱間スラブや熱間圧延材などの搬送される高温材(鋼材)の輻射による熱エネルギーを利用する取組みが推進されている。
【0004】
熱エネルギーを利用する方法としては、例えば、特許文献1には、受熱装置を高温物体に対峙して配置し、高温物体の熱エネルギーを電気エネルギーに変換し、回収する方法が記載されている。
【0005】
特許文献2には、廃熱として処理されている熱エネルギーに、熱電素子モジュールを接触させて電気エネルギーに変換し、回収する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭59−198883号公報
【特許文献2】特開昭60−34084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、板状のスラブ連鋳ラインに適用できる旨の記載があるものの、熱電発電装置の許容(耐熱)温度内での発電出力最大化については考慮されていない。
【0008】
具体的には、現在市場に流通している熱電素子モジュールはBiTe系のみで、その耐熱温度は300℃以下であるのに対して、連続鋳造設備内における熱間スラブの表面温度は800〜1000℃に達するため、熱電素子モジュールをスラブに正対させ、その輻射熱をまともに受けると耐熱温度を超えてしまう場合がある。そこで、通常は熱電素子モジュールをスラブから遠ざけることで熱流束を低減させる。しかし、その場合はスラブから放射されている輻射熱の一部を取り逃がしていることになるので、廃熱の有効利用の観点からは望ましくない。
【0009】
一方、特許文献2の技術は、モジュールを、熱源に対して固定する必要があるため、連続鋳造設備のように、移動する熱源に対しては適用することができないという問題がある。
【0010】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、温度変動が生じる熱源、特に搬送される高温材から輻射される熱エネルギーを効率よく電気エネルギーに変換し、より多くの電気エネルギーを回収することができる熱電発電装置およびそれを用いた熱電発電方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記従来技術の課題を解決すべく検討を重ねた結果、一または複数の熱電発電モジュールを有する複数の熱電発電ユニットを備えた熱電発電装置において、熱源からの熱流束が熱電発電ユニットの耐熱温度まで到達させるレベル以上の場合には、熱電発電ユニットを熱源と正対させずに角度をつけることで通過する熱流束を抑制して耐熱温度以下を保つとともに、角度をつけることで正対する場合よりも設置面積が小さくなった分、熱電発電ユニットを増加させることができ、熱源から放射される輻射熱を高効率で取り込めることを見出した。
【0012】
一方で、熱源が搬送される高温材である場合に、高温材のエッジ付近に配置され、耐熱温度まで到達することのない熱電発電ユニットについては、高温材の中心側を向くように角度をつけ、かつ、耐熱温度に達しない範囲で、できるだけ高温材に近づけることで、発電出力を最大化できることも見出した。
【0013】
本発明は、このような知見に基づくものであり、その要旨は以下のとおりである。
(1)熱エネルギーを電気エネルギーに変換する一または複数の熱電発電モジュールを有する複数の熱電発電ユニットを備え、温度変動を生じる熱源からの熱エネルギーを用いて熱電発電を行う熱電発電装置あって、
前記複数の熱電発電ユニットが前記熱源に対峙して設けられ、前記複数の熱電発電ユニットのうち少なくとも一部は、前記熱源に正対した場合に、その温度が当該熱電発電ユニットの許容温度を超える位置において、熱流束を低減させて許容温度を超えないように、水平方向に対して所定の角度をつけて配置され、角度をつけたことによって前記熱源に正対するよりも設置面積が減少した分、前記熱源に正対する場合よりも熱電発電ユニットの数を増加させたことを特徴とする熱電発電装置。
(2)前記熱源は搬送される高温材であり、前記複数の熱電発電ユニットは、前記高温材の幅方向に沿って対峙され、これらの複数の熱電発電ユニットのうち前記高温材の幅方向中央部分に対応するものは、前記高温材に正対した場合に、その温度が当該熱電発電ユニットの許容温度を超える位置において、熱流束を低減させて許容温度を超えないように、水平方向に対して所定の角度をつけて配置され、角度をつけたことによって前記高温材に正対するよりも設置面積が減少した分、前記高温材に正対する場合よりも熱電発電ユニットの数を増加させたことを特徴とする(1)に記載の熱電発電装置。
(3)前記複数の熱電発電ユニットのうち前記高温材の幅方向端部に対応するものは、その温度が当該熱電発電ユニットの許容温度を超えない範囲で、水平方向に対して前記高温材の幅方向中心を向くような角度を有するように配置することを特徴とする(2)に記載の熱電発電装置。
(4)前記熱源は搬送される高温材であり、前記複数の熱電発電ユニットは、前記高温材の搬送方向に沿って対峙され、これらの複数の熱電発電ユニットのうち前記高温材の搬送方向上流側の温度が高い部分に対応するものは、前記高温材に正対した場合に、その温度が当該熱電発電ユニットの許容温度を超える位置において、熱流束を低減させて許容温度を超えないように、水平方向に対して所定の角度をつけて配置され、角度をつけたことによって前記高温材に正対するよりも設置面積が減少した分、前記高温材に正対する場合よりも熱電発電ユニットの数を増加させたことを特徴とする(1)に記載の熱電発電装置。
(5)前記複数の熱電発電ユニットは、その許容温度を超えない範囲で前記熱源に極力近接して配置されていることを特徴とする(1)から(4)のいずれかに記載の熱電発電装置。
(6)上記(1)から(5)のいずれかに記載の熱電発電装置により、熱源の熱を受熱して熱電発電を行うことを特徴とする熱電発電方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、熱電発電ユニットの許容温度を超える場合でも、熱電発電ユニットを水平方向に対して角度をつけて配置したため、熱電発電ユニットを、より熱源に近付けられるようになり、また、熱電発電ユニットの枚数も増加させることができるので、熱源から放射される輻射熱を効率よく熱電発電ユニットに供給することができる。そして、その輻射熱を熱電発電ユニットにより電気エネルギーに変換するので、より多くの電気エネルギーを回収することができる。例えば、複数の熱電発電ユニットを搬送される高温材の幅方向に沿って対峙させる場合には、温度が高い幅方向中央部分に対応する熱電発電ユニットにこのような構成を適用することができる。また、複数の熱電発電ユニットを搬送される高温材の搬送方向に沿って対峙させる場合には、搬送方向上流側の温度が高い部分にこのような構成を適用することができる。
【0015】
また、高温材の端部に対応する熱電発電ユニットについては、当該熱電発電ユニットの許容温度を超えない範囲で、水平方向に対して高温材の幅方向中心側を向くように角度をつけるため、より多くの輻射熱エネルギーを供給することができ、一層多くの電気エネルギーを回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る熱電発電装置を備えた連続鋳造設備を示す模式図である。
図2図1の熱電発電装置の例を示す図である。
図3】搬送される高温材である熱間スラブの幅方向に熱電発電装置を配列した一例を示す図である。
図4】搬送される高温材である熱間スラブの幅方向に熱電発電装置を配列した他の例を示す図である。
図5】搬送される高温材である熱間スラブの搬送方向に熱電発電装置を配列した一例を示す図である。
図6】搬送される高温材である熱間スラブの搬送方向に熱電発電装置を配列した他の例を示す図である。
図7】従来例における熱電発電ユニットの配置を示す図である。
図8】本発明例における熱電発電ユニットの配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
本実施形態では、搬送される高温材である熱間スラブを熱源として用いる熱電発電装置を例にとって説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る熱電発電装置を備えた連続鋳造設備の概略構成を示す模式図である。
【0018】
図1に示すように、連続鋳造設備1は、取鍋(図示せず)からの溶鋼Lを一旦貯留する中間容器であるタンディッシュ2と、タンディッシュ2から溶鋼が供給されて溶鋼を凝固させる鋳型(モールド)3と、鋳型3の下方に設けられた複数のセグメント4と、熱間スラブを切断する切断機5と、熱エネルギーを電気エネルギーに変換するための熱電発電装置6とを有している。
【0019】
鋳型3は水冷構造を有しており、鋳型3内に注入された溶鋼Lは鋳型3の壁部で冷却されて凝固シェル11を形成し、内部が未凝固のスラブ12が得られ、そのスラブ12が下方に引き抜かれる。
【0020】
セグメント4は、スラブ12を支持するように対向して設けられたサポートロール13と冷却水をスプレーするスプレーノズル14からなり、複数のセグメント4の対向するサポートロール13の間に前段の湾曲部と後段の水平部を有する鋳片通路が形成される。サポートロール13のうちいくつかは駆動ロールとなっており、鋳型3で形成された内部が未凝固のスラブ12は、スプレーノズル14から供給された冷却水により冷却されつつ駆動ロールによって連続的に引き抜かれ、その際に内部の未凝固部分が徐々に固化され、位置Aで完全に凝固する。
【0021】
最終のセグメント4から搬出された熱間スラブ15は、搬送用ロール16上を搬送され、切断機5により切断される。切断機5は、例えばトーチカッターからなる。切断機5で切断された熱間スラブ15は圧延工程へ搬送される。また、最終のセグメント4の後段側には、熱間スラブ15の表面温度を測定するための温度計17が設けられている。熱間スラブ15の表面温度は通常800〜1000℃程度である。
【0022】
熱電発電装置6は、搬送用ロール16上を搬送されている熱間スラブ15の上方に設けられている。ただし、熱電発電装置6の位置は限定されず、熱間スラブ15の熱エネルギーが有効に供給される位置であればよい。
【0023】
図2に示すように、熱電発電装置6は、複数枚の熱電発電ユニット20を有している。熱電発電ユニット20は、特に限定されず、従来から用いられているものを用いることができる。熱電発電ユニット20は、両側に電極を備えたP型およびN型の半導体を接合した半導体である熱電素子を複数対接合してなる熱電発電モジュールを一または複数有している。熱電発電ユニット20は、このような一または複数の熱電発電モジュールの熱源側に受熱板を設け、受熱板と反対側に冷却板を設けた構成であってもよいし、このような構成のものを複数有するものであってもよい。熱電発電ユニット20は、例えば板状に構成される。
【0024】
熱電発電装置6は、具体的には図2に示すように、複数の熱電発電ユニット20を熱源である熱間スラブに対峙させて構成されており、複数の熱電発電ユニット20の少なくとも一部は、熱間スラブ15に正対(水平に配置)した場合に、その温度が当該熱電発電ユニット20の許容温度を超える基準位置Pにおいて、熱流束を低減させて許容温度を超えないように、水平方向に対して所定の角度θを有するように配置されている。そして、角度をつけたことによって熱間スラブに正対するよりも設置面積が減少した分、熱間スラブに正対する場合に配置可能な数よりも熱電発電ユニット20の数を増加させている。角度をつけた熱電発電ユニット20は連続するようにジグザグ状に配置されている。
【0025】
これにより、熱電発電ユニット20を、より熱間スラブ15に近付けられるようになり、また、熱電発電ユニット20の枚数も増加させることができるので、熱間スラブ15から放射される輻射熱を効率よく熱電発電ユニット20に供給することができる。そして、その輻射熱を熱電発電ユニット20により電気エネルギーに変換するので、より多くの電気エネルギーを回収することができる。
【0026】
このとき、熱電発電ユニット20の角度θは、熱流束を低減させる効果と電気エネルギーの回収効率の両方を加味して決定される。すなわち、θは5〜60°であることが好ましい。θが5°よりも小さいと熱流束を低減する効果が小さく、一方、60°よりも大きいと電気エネルギーの回収効率が低下する。また、熱電発電ユニット20と熱間スラブ15との距離が近づくほど温度が上昇するので、角度θを大きくすることが好ましい。熱電発電ユニット20と熱間スラブ15との距離と角度θとの関係は、熱間スラブ15の温度等に応じて予め求めておくことが好ましい。熱電発電ユニット20は、最大のエネルギー回収効率が得られるように、熱間スラブ15に極力近付けることが好ましい。また、熱間スラブ15の温度変化に応じて角度θを変化させてもよい。
【0027】
次に、熱電発電装置6における熱電発電ユニット20のより具体的な配置例について説明する。
図3は、熱間スラブ15の幅方向に熱電発電ユニット20を配列した一例を示す図である。熱間スラブ15の温度は幅方向中央部が最も高くなり、幅方向端部に行くに従って、温度が低くなる。本例では、温度の最も高い熱間スラブ15の幅方向中央部Aに対応する部分において、熱電発電ユニット20は、熱間スラブ15に正対(水平に配置)した場合に、その温度が当該熱電発電ユニット20の許容温度を超える基準位置Pにおいて、熱流束を低減させて許容温度を超えないように、水平方向に対して所定の角度θをつけて配置されている。そして、角度をつけたことによって熱間スラブに正対するよりも設置面積が減少した分、熱間スラブに正対する場合に配置可能な数よりも熱電発電ユニット20の数を増加させている。本例では、角度をつけた熱電発電ユニット20は連続するようにジグザグ状に配置されている。
【0028】
なお、幅方向中央部Aにおいて、熱間スラブ15の幅方向の温度分布に応じて熱電発電ユニット20の角度θの値を変えてもよい。例えば、幅方向中央部Aの中でも温度が高いと考えられる幅方向中心付近の角度θを大きくし、その外側では角度θを小さくしてもよい。
【0029】
熱間スラブ15の幅方向端部Cおよび中間部Bに対応する部分では、基準位置Pにおいて熱電発電ユニット20を熱間スラブ15に正対させても熱電発電ユニット20の許容温度を超えない。このため、これらの部分では、基準位置Pにおいて熱電発電ユニット20を熱間スラブに正対させることができる。また、熱間スラブ15の幅方向端部では、むしろ、熱間スラブ15の温度が低く、放射熱エネルギーが小さいため、熱電発電ユニット20に極力多くの放射熱が供給されるように、熱間スラブ15の幅方向中心側を向くように角度をつけることが好ましい。本例では、熱間スラブ15の中間部Bに対応する部分では、基準位置Pにおいて熱電発電ユニット20を熱間スラブ15に正対させ、幅方向端部Cに対応する部分では、熱電発電ユニット20を熱間スラブ15の幅方向中心側を向くように角度をつけている。
【0030】
熱電発電ユニット20をこのように配置することにより、熱間スラブ15の幅方向中央部Aに対応する部分では、図2の場合と同様、熱電発電ユニット20を水平方向に対して角度をつけて配置したため、熱電発電ユニット20を、より熱間スラブ15に近付けられるようになり、また、熱電発電ユニット20の枚数も増加させることができるので、熱間スラブ15から放射される輻射熱を効率よく熱電発電ユニット20に供給することができる。また、幅方向端部Cに対応する部分では、輻射熱エネルギーが大きい熱間スラブの幅方向中央を向くように角度をつけるため、より多くの輻射熱エネルギーを供給することができる。そして、これらの輻射熱を熱電ユニット20により電気エネルギーに変換するので、一層多くの電気エネルギーを回収することができる。幅方向端部Cに対応する部分における熱電発電ユニット20の角度は、それが受ける輻射熱エネルギーが最大化するように適宜設定すればよい。また、この例の場合にも、熱電発電ユニット20は、最大のエネルギー回収効率が得られるように、熱間スラブ15に極力近付けることが好ましい。
【0031】
図4は、熱間スラブ15の幅方向に熱電発電ユニット20を配列した他の例を示す図である。この例では、熱間スラブ15の幅方向中央部Aの熱電発電ユニット20の角度をつける向きが図3の例とは異なっている。すなわち、この例では、幅方向中央部Aにおいて熱電発電ユニット20の受熱板側の面が熱間スラブ15の幅方向端部側を向くように角度がつけられている。この場合でも、図3の例と同様の効果を得ることができる。
【0032】
図5は、熱間スラブ15の搬送方向に熱電発電ユニット20を配列した一例を示す図である。熱間スラブ15の温度は搬送方向上流側の温度が高く、下流に行くに従って低くなる。本例では、熱間スラブ15の温度が相対的に高い搬送方向上流側の上流側部分Dにおいて、熱電発電ユニット20は、熱間スラブ15に正対(水平に配置)した場合に、その温度が当該熱電発電ユニット20の許容温度を超える基準位置において、熱流束を低減させて許容温度を超えないように、水平方向に対して所定の角度θをつけて配置されている。そして、角度をつけたことによって熱間スラブに正対するよりも設置面積が減少した分、熱間スラブに正対する場合に配置可能な数よりも熱電発電ユニット20の数を増加させている。また、本例では、角度をつけた熱電発電ユニット20は連続するようにジグザグ状に配置されている。また、熱電発電ユニット20が角度をつけて配置されている上流側部分Dにおいて、熱電発電ユニット20の角度を、搬送方向下流側になるに従って小さくなるようにしている。
【0033】
熱間スラブ15の上流側部分Dよりも搬送方向下流側で、より温度が低い下流側部分Eでは、基準位置において熱電発電ユニット20を熱間スラブ15に正対させても熱電発電ユニット20の許容温度を超えない。このため、下流側部分Eでは、基準位置Pにおいて熱電発電ユニット20を熱間スラブに正対させている。また、さらに温度が低い部分では、極力多くの放射熱が供給されるように、熱間スラブ15の熱電発電ユニット20を熱間スラブ15の上流側を向くように角度をつけてもよい。
【0034】
本例の場合にも、熱間スラブ15の温度が高い上流側部分Dでは、熱電発電ユニット20を水平方向に対して角度をつけて配置したため、熱電発電ユニット20を、より熱間スラブ15に近付けられるようになり、また、熱電発電ユニット20の枚数も増加させることができるので、熱間スラブ15から放射される輻射熱を効率よく熱電発電ユニット20に供給することができる。
【0035】
図6は、熱間スラブ15の搬送方向に熱電発電ユニット20を配列した他の例を示す図である。この例では、熱間スラブ15の上流側部分Dの熱電発電ユニット20の角度をつける向きが図5の例とは異なっている。すなわち、この例では、上流側部分Dにおいて熱電発電ユニット20の受熱板側の面が熱間スラブ15の搬送方向上流側を向くように角度がつけられている。この場合でも、図5の例と同様の効果を得ることができる。
【0036】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、連続鋳造設備において得られる熱間スラブを熱源として用いた例を示したが、これに限らず、熱間圧延材等の他の搬送される鋼材であってもよく、また、鋼材に限らず他の高温材であってもよい。また、搬送される高温材に限らず、温度変動が生じる熱源であれば適用可能である。また、熱電発電装置の配置位置は、上記実施形態に示す位置に限らず、例えば、熱源である熱間スラブの下方位置であってもよい。さらに、熱電発電ユニットはマトリックス状に配置する等、配置形態は限定されない。
【実施例】
【0037】
以下、本発明の実施例について説明する。
ここでは、図7に示すような、熱電発電ユニットを熱間スラブの上方に幅方向に沿って、全てが熱間スラブに正対するように配置し、その熱間スラブからの距離を、最も温度が高くなる幅方向中央部において、熱電発電ユニットが許容温度(耐熱温度)を超えないようにした従来例と、図8に示すような、熱間スラブの幅方向中央部に対応する部分では、熱間スラブに正対した場合にその温度が当該熱電発電ユニットの許容温度を超える基準位置において、許容温度を超えないように熱電発電ユニットに角度をつけるとともに、中央部における熱電発電ユニットの枚数を従来の約3枚から6枚に増やし、かつ幅方向端部に対応する熱電発電ユニットについては熱間スラブの幅方向中心側を向くように角度をつけた本発明例とについて、熱間スラブの表面温度が900℃の場合の各熱電発電ユニットの発電出力を求めた。その結果を表1に示す。なお、表1の数字の単位はワット(W)である。なお、図7、8中の熱電発電ユニットの数字は、表1の番号に対応する。
【0038】
表1に示すように、両者の熱間スラブへの投射面積が等しいにもかかわらず、従来例の1260Wに対し、本発明例では2220Wとなり、本発明により従来の2倍近い発電出力が得られることが確認された。
【0039】
【表1】
【符号の説明】
【0040】
1 連続鋳造設備
2 タンディッシュ
3 鋳型(モールド)
4 セグメント
5 切断機
6 熱電発電装置
11 凝固シェル
12 内部が未凝固のスラブ
13 サポートロール
14 スプレーノズル
15 熱間スラブ(熱源)
20 熱電発電ユニット
P 基準位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8