(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1移動部は、前記第1配管の長手方向と略垂直な方向の断面の周囲を囲むように配設された接続バネを有する車輪を介して、その周囲を挟持しながら、前記第1配管の長手方向に沿って移動し、
前記第2移動部は、前記第2配管の長手方向と略垂直な方向の断面の周囲を囲むように配設された接続バネを有する車輪を介して、その周囲を挟持しながら、前記第2配管の長手方向に沿って移動する
ことを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
前記測定部は、前記第1移動部の側から前記測定対象配管の外径と外形の少なくとも一方を測定する第1の測定部と、前記第2移動部の側から、前記第1の測定部の測定位置と一部が重複するように前記測定対象配管の外径と外形の少なくとも一方を測定する第2の測定部と、を有し、
前記測定装置は、前記第1の測定部の測定結果と、前記第2の測定部の測定結果と、に基づいて、前記第1の測定部の測定結果よりも広範囲に亘る、前記測定対象配管の外径と外形の少なくとも一方の測定結果を算出する演算装置、を更に備える
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の測定装置。
前記支持部材は、前記第1移動部と前記第2移動部との位置関係が、前記測定対象配管の長手方向に対して略垂直な方向の位置に一定に維持されるように、前記第1移動部と前記第2移動部とを接続する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の測定装置。
前記測定対象配管は、互いに略平行に配置された3本以上の配管のうちの何れか1本の配管であり、前記第1配管及び前記第2配管は、前記3本以上の配管のうち、前記測定対象配管に隣接する配管である
ことを特徴とする請求項9に記載の測定方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
<第1実施形態>
===測定装置の構成===
本実施形態では、測定装置を用いて、ボイラーに用いられる配管(以下、「ボイラーチューブ」又は単に「配管」と言う)の膨出量を長手方向に、連続的に測定する態様について説明する。
【0012】
図1に、本実施形態に係る測定対象である配管Pの一例を示す。ボイラーに用いられる配管Pは、多数の略平行に伸延する細い配管(例えば、直径50mm)から構成され、夫々の配管同士の間隔も配管の径と同程度で、配管が密集した状態となっている。配管Pは、例えば、低合金鋼等の材料から構成され、クリープ損傷が生じた場合、長手方向と略垂直な方向の断面の径が広がる(以下、「膨出」と言う)という特性を有する。本実施形態に係る測定装置は、これらの測定対象の配管の周囲(例えば、隣接位置)の配管をガイドとして利用して、配管の膨出量を、連続的に測定する。尚、本実施形態に係る測定装置が測定する「外径」とは、配管の膨出量を測定するための配管の長手方向と略垂直な方向の断面の周囲(以下、「配管の周囲」と言う)の径の一部又は全部を意味する。
【0013】
以下、
図2A〜
図2Cを参照して、本実施形態に係る測定装置の構成の一例を示す。尚、
図2Aは測定装置の側面図、
図2Bは測定装置の平面図、
図2Cは測定装置の有する車輪を示す図である。
図2A〜
図2Cにおいて、Z軸は、測定対象の配管P3の長手方向に沿う軸である。又、X軸は、測定対象の配管P3の長手方向と垂直な方向のうち、測定対象の配管P3と、測定装置がガイドとする配管P1及び配管P2とが隣接する方向に沿う軸である。又、Y軸は、X軸及びZ軸に対して直交する軸を示すものである。以下の説明では、夫々、単に「X方向」、「Y方向」、「Z方向」と表し、矢印の示す方向を+方向、矢印と逆の方向を−方向を表す。又、
図2B中の矢印Mは、測定装置の移動方向を表す。
【0014】
本実施形態に係る測定装置は、測定対象の配管P3の両側に配設された配管P1、配管P2
の長手方向に沿って移動する第1台車R
及び第2台車Lと、第1台車Rと第2台車Lとを接続する支持部材Sと、支持部材Sに取り付けられ配管P3の外径を測定する測定部T1、T2とを備えて構成される。
【0015】
測定対象の配管P3は、
図1で示した密集したボイラーに用いられる配管Pのいずれか一であり、配管P1、配管P2は、測定対象の配管P3の周囲の配管、例えば、隣接して配設された配管である。配管P1、配管P2は、配管P3と略平行(Z方向)に伸延するように配設されている。そして、これらの配管の位置関係は、測定対象の配管P3を跨いで、配管P1と配管P2とが反対側に配設されたものとなっている。尚、「測定対象の配管P3を跨いで、配管P1と配管P2とが反対側に配設された」とは、配管P1、配管P2、測定対象の配管P3が、X方向に沿って一直線上に配設される態様のみならず、配管P1が測定対象の配管P3に対して+X方向の側に配設され、配管P2が測定対象の配管P3に対して−X方向の側に配設された種々の位置関係の態様を含む語義である。例えば、配管P1及び配管P2が、測定対象の配管P3に対して手前位置(−Y方向)に配設されていてもよい。
【0016】
第1台車R(第1移動部)は、配管P1に取り付けられたガイド機構である。第1台車Rは、配管P1の長手方向に沿って、前側(+Z方向)の移動体R10と、後側(−Z方向)の移動体R20と、これらを接続する接続部材R30と、により構成される(
図2Aを参照)。前側の移動体R10と後側の移動体R20は、同様の構成を有しており、いずれも、配管P1の周囲を、弾性部材(例えば、バネ部材)を囲むように配設して、弾性部材を介して挟持しながら、配管P1の長手方向に沿って移動する(詳細は後述する)。
【0017】
接続部材R30は、前側の移動体R10と後側の移動体R20の位置関係(相対的な座標及び方向を表す。以下同じ。)を一定に維持するように、これらを接続する。接続部材R30は、棒状の部材であり、例えば、その一端を前側の移動体R10に螺子で固定し、他端を後側の移動体R20に螺子で固定することにより、これらを接続する。このため、前側の移動体R10と後側の移動体R20とは、移動の前後で、略同一の位置関係に維持される。
【0018】
第2台車L(第2移動部)は、配管P2に取り付けられたガイド機構である。配管P2の長手方向に沿って、前側(+Z方向)の移動体L10と、後側(−Z方向)の移動体L20と、前側の移動体L10と後側の移動体L20とを接続する接続部材L30と、により構成される(
図2Aを参照)。前側の移動体L10と後側の移動体L20は、第1台車Rの前側の移動体R10と後側の移動体R20と同様に、いずれも、配管P2の周囲を、弾性部材(例えば、バネ部材)を囲むように配設して、弾性部材を介して挟持しながら、配管P2の長手方向に沿って移動する。又、接続部材L30は、接続部材R30と同様に、前側の移動体L10と後側の移動体L20の位置関係を固定するように、これらを接続し、これらが移動の前後で、同一の位置関係となるように維持する。
【0019】
尚、第1台車R、第2台車Lは、測定対象の配管P3の測定位置を把握するため、それらを構成する車輪(後述するR13等)の一にロータリーエンコーダを有し、Z方向の位置を検出することができる構成となっている(図示せず)。尚、第1台車R、第2台車Lは、配管に沿って移動する移動機構(移動部)の一例である。
【0020】
支持部材Sは、第1台車Rと第2台車Lとを、それらの位置関係が一定に維持されるように接続する部材である。支持部材Sは、例えば、X方向に伸延する棒状の部材であり、その一端を第1台車Rの接続部材R30に螺子で固定し、他端を第2台車Lの接続部材L30に螺子で固定することにより、これらを接続する。そして、第1台車Rと第2台車Lが測定対象の配管P3の長手方向に対して略垂直な方向(X方向)の位置に維持されるようにしている。尚、支持部材S、接続部材R30、接続部材L30を構成する材料は、外形が変形しにくい材料であれば、任意である。
【0021】
第1台車Rと第2台車Lの位置関係は、支持部材Sに接続されることにより、第1台車R及び第2台車Lの移動の前後で、一定に維持される。即ち、当該構成により、第1台車R、第2台車L、支持部材Sは、位置関係を一定に維持しながら、配管P3の長手方向に沿って移動する。尚、「位置関係が一定に維持される」とは、複数の構成要素の、構成要素同士を結ぶ線分の距離が一定の範囲内にあり、構成要素同士を結ぶ線分間で形成される角度が一定の範囲内であることを意味する(以下同じ)。
【0022】
測定部T1、T2は、支持部材Sに支持され、測定対象の配管P3の測定箇所の外径を、レーザ光を用いて測定する装置である。より詳細には、測定部T1、T2は、夫々、支持部材Sの第1台車Rの側に取り付けられた3Dレーザースキャナ装置T1と、支持部材Sの第2台車Lの側に取り付けられた3Dレーザースキャナ装置T2である。即ち、測定部T1、T2は、測定対象の配管P3を+X方向側と−X方向側から挟むように配設される。そして、測定部T1、T2は、第1台車R、第2台車L、支持部材Sとともに、一体となって、位置関係を一定に維持しながら配管P3の長手方向に沿って移動する。当該構成により、測定部T1、T2の、配管P3の測定位置に対する基準とする座標(以下、測定基準位置TC1、TC2と言う)、及び、配管P3の測定位置に対する基準とする方向(以下、測定基準方向TB1、TB2と言う)は、移動の前後で一定に維持される(詳細は後述する)。尚、測定基準位置TC1、TC2とは、例えば、3Dレーザースキャナ装置T1、T2が、配管P3を測定する際の、配管P3の測定位置に対するレーザの出射位置を表す。又、測定基準方向TB1、TB2とは、例えば、3Dレーザースキャナ装置T1、T2の測定基準位置TC1、TC2から、配管P3の測定位置に対して出射するレーザの方向(中心となる方向)を表す。
【0023】
本実施形態に係る測定装置は、第1台車R、第2台車L、支持部材S、及び測定部T1、T2を一体として移動させ、測定対象の配管P3の長手方向の各地点で、測定部T1、T2を用いて当該配管P3の外径を測定する。そして、最終的に、これらの測定結果を合成(画像合成等)することにより、測定対象の配管P3の周囲の外径について、測定部T1、T2のいずれか一を用いた場合よりも広い周囲(例えば、配管の全周囲)に亘って算出する。
【0024】
=移動体の構成=
第1台車R、第2台車Lの移動体R10、R20、L10、L20は、夫々、同様の構成を有する。そのため、移動体R10について、一例として説明する。移動体R10は、第1枠部材R11、第2枠部材R12、第1車輪R13、第2車輪R14、第3車輪R15、第4車輪R16、ヒンジR17、枠体結合部R18を備えて、構成される。
【0025】
第1枠部材R11は、配管P1の+X方向の側に配置された、配管P1の周囲の外形(円筒形状)に沿う形状を呈する枠部材であり、第2枠部材R12は、配管P1の−X方向の側に配置された、配管P1の周囲の外形(円筒形状)に沿う形状を呈する枠部材であり、配管P1は、第1枠部材R11と第2枠部材R12により、全周囲を囲繞される。より詳細には、第1枠部材R11及び第2枠部材R12は、配管P1の周囲の外形よりも大きい径を有する円筒を、円筒の高さ方向(Z方向)に沿って略二分割にしたうちの一方及び他方の形状をなす部材である。そして、第1枠部材R11と第2枠部材R12とにより配管P1の周囲を囲繞した状態で、第1枠部材R11のY方向における一端及び他端と、第2枠部材R12のY方向における一端及び他端とが、ヒンジR17及び枠体結合部R18により接続されて、配管P1の周囲の外形に沿う円筒形状を呈する枠体を形成する。即ち、当該枠体は、XY平面において、配管P1の周囲を囲んで、配管P1の周囲との間に一定の間隔が形成されるように構成される。尚、第1枠部材R11、第2枠部材R12は、外形が変形しにくい材料であれば、任意である。
【0026】
ヒンジR17は、第1枠部材R11の一端に高さ方向(Z方向)に沿って形成された穴と、第2枠部材R12の一端に高さ方向(Z方向)に沿って形成された穴とを、連結ピンにより連結することにより、それらを連結ピンの位置で回転自在に接続して、それらを配管P1に取り付け自在とする。
【0027】
又、枠体結合部R18は、第1枠部材R11と第2枠部材R12とにより配管P1の周囲を囲繞した状態で、第1枠部材R11の他端と第2枠部材R12の他端とを接続するための固定部材である。即ち、配管P1に移動体R10を取り付ける際は、ヒンジR17を中心として、第1枠部材R11と第2枠部材R12とを回転させる。そして、第1枠部材R11の他端と第2枠部材R12の他端とが接した状態で、枠体結合部R18を用いてこれらを固定することにより、これらが第1車輪R13、第2車輪R14、第3車輪R15、第4車輪R16を介して配管P1の周囲を押圧するように配管P1の周囲の外径に沿う円筒形状の枠体を形成する(以下、単に「枠体」と言う)。尚、本実施形態では、枠体の配管P1の周囲と対向する面(内周面)を、配管P1の周囲の外形に沿う形状を呈することにより、第1車輪R13、第2車輪R14、第3車輪R15、第4車輪R16が、配管P1の長手方向に沿って回転移動しやすいように配設されるとともに、枠体R11、R12がこれらを介して配管P1の周囲を挟持しやすい構成としている。尚、「挟持」とは、枠体R11、R12で配管P1の周囲を押圧して、移動体R10を配管P1の所定の位置に保持することを意味する。
【0028】
第1車輪R13、第2車輪R14、第3車輪R15及び第4車輪R16は、配管P1を囲むように、バネ機構を介して枠体R11、R12に取り付けられ、配管P1と接しながら枠体R11、R12をZ方向に移動させる。
【0029】
図2Cに、第1車輪R13の構成の一例を示す。尚、第1車輪R13、第2車輪R14、第3車輪R15及び第4車輪R16は、同様の構成を有するため、ここでは、第1車輪R13の構成についてのみ説明する。第1車輪R13は、車輪R131、車輪軸受R132、接続板R133、接続バネR134及び接続部R135により構成される。そして、車輪R131が配管P1に接しながら、配管P1の長手方向(Z方向)に沿って回転移動するように、これらは配設される。即ち、車輪軸受R132は、車輪R131が配管P1の長手方向(Z方向)に沿って当接するように車輪R131を支持し、これらは、接続板R133に固定され、接続板R133、接続バネR134を介して、接続部R135により枠体R11、R12に取り付けられる。そして、車輪R131、車輪軸受R132及び接続板R133は、接続バネR134を介して、枠体R11、R12に取り付けられることで、接続バネR134の伸縮にあわせて上下動する(
図2C中ではH方向で表す)。
【0030】
接続バネR134は、移動体R10が移動する前後で、配管P1に対して枠体R11、R12の位置を安定化させるとともに、第1台車Rと第2台車Lの位置関係を一定に維持する役割を有する。
【0031】
=測定装置の移動の動作=
図3に、測定装置の移動の動作の一例を示す。
図3中のM1、M2、M3は、測定装置がM1から順にM2、M3へと移動したときの測定装置の位置を時系列に表したものである。又、
図3中のPP1、PP2は、配管P1の途中の膨出している箇所を表す。
【0032】
測定装置は、配管P1の長手方向に沿って第1台車Rが移動し、配管P2の長手方向に沿って第2台車Lが移動し、支持部材Sにより、これらの位置関係が一定に維持されるように一体となって移動する。このとき、測定装置は、移動体R10、R20、L10、L20の車輪に設けられた接続バネにより、配管P1、配管P2の外形の変化に応ずる動作をし、測定部T1、T2の測定基準位置TC1、TC2及び測定基準方向TB1、TB2を一定に維持するように移動する。
【0033】
具体的には、測定装置は、配管の外径が一定の位置を移動するとき(M1の位置)、移動体(R10等)の枠体(R11、R12等)と配管の周囲との間の間隔を一定に維持した状態で移動する。このとき、測定装置の第1台車R、第2台車L、支持部材Sの配管P3に対する位置関係も同様に、一定に維持した状態となる。
【0034】
そして、測定装置は、配管P1の一部が周方向(+X、−X、+Y、−Y方向)に膨出している位置(膨出位置PP1)を移動するとき(M2の位置)、当該膨出位置PP1では、移動体R10の接続バネが上下動することにより、枠体R11、R12と配管P1の周囲との間の間隔を短くして、枠体R11、R12の位置は、一定に保持される。これにより、第1台車R、第2台車L、支持部材Sの配管P3に対する位置関係は、一定に維持され、測定部T1、T2の測定基準位置TC1、TC2及び測定基準方向TB1、TB2も一定に維持される。尚、
図3中の矢印N1、N2は、このときに測定装置に働く力を表す。
【0035】
そして、測定装置は、配管P1の一部が一方向(+X方向)に偏って膨出している位置(膨出位置PP2)を移動するとき(M3の位置)、当該膨出位置PP2では、移動体R10の接続バネが+X方向に動作し、第1台車Rが向く方向をずらすように力(N3)が働く。しかし、このとき、支持部材Sの抗力(N4)が働くことにより、第1台車R、第2台車L、支持部材Sの配管P3に対する位置関係は、一定に維持されることになる。そして、測定部T1、T2の測定基準位置TC1、TC2及び測定基準方向TB1、TB2も一定に維持される。尚、
図3中の矢印N3、N4は、このときに測定装置に働く力を表す。
【0036】
本実施形態に係る測定装置は、第1台車R及び第2台車Lが、夫々、配管P1及び配管P2の周囲を囲むように弾性部材(接続バネ)を配設して挟持する構成となっているため、測定部T1、T2、支持部材Sの配管P3に対する位置関係、及び測定部T1、T2の測定基準位置TC1、TC2、測定基準方向TB1、TB2を一定に維持した状態で、測定対象の配管P3の長手方向に沿って移動することが可能となる。尚、本実施形態に係る測定装置は、上記のような膨出した位置のみならず、配管が湾曲した箇所においても、第1台車R、第2台車L、支持部材Sの配管P3に対する位置関係を維持しながら、円滑に移動することができる。尚、本実施形態に係る測定装置は、第1台車R及び第2台車Lを、夫々、前側(+Z方向)の移動体R10、L10と、後側(−Z方向)の移動体R20、L20と、これらを接続する接続部材R30、L30とで構成することによりX軸回りに働くモーメント及びY軸回りに働くモーメントに対して、安定化させる構成としている。
【0037】
===測定装置の測定方法===
次に、
図4を参照して、測定装置の測定方法について説明する。
【0038】
本実施形態に係る測定装置は、3Dレーザースキャナ装置T1、T2により、測定対象の配管P3の外径を測定する。3Dレーザースキャナ装置T1、T2は、夫々、出射部TA、受光部TB、駆動部TCを有し、それらを用いて、測定対象の配管P3の座標位置、即ち、外径(及び外形)を測定する。
【0039】
具体的には、出射部TAは、例えば、変調信号発振器、半導体発光素子を含んで構成され、高周波で強度変調をかけたHe−Neレーザを出射する。そして、受光部TBは、例えば、光検出器、位相計を含んで構成され、レーザの反射光と内部の参照基準との間でのそれぞれの変調波の位相差を測定し、これにより、レーザを照射した地点と、3Dレーザースキャナ装置T1、T2の距離を算出する(位相差方式)。そして、駆動部TCが、出射部TAから出射するレーザの方向を回転させることにより、一定範囲の測定対象の座標位置、即ち、外形及び外径を測定する。
【0040】
ここで、測定装置は、上記したとおり、移動する各地点において、3Dレーザースキャナ装置T1、T2の出射部TAのレーザの出射方向の測定基準方向TB1、TB2、測定基準位置TC1、TC2が一定に維持されるように動作する。このため、3Dレーザースキャナ装置T1、T2の初期の座標軸が確定し、移動する各地点で較正作業(位置決め作業)を行うことなく、配管P3の長手方向の各地点に亘って、連続的に外形及び外径を測定することができる。尚、本実施形態では、測定対象の配管P3を長手方向に対して、10cm移動させるごとに、3Dレーザースキャナ装置T1、T2により、外径測定を行うものとする。
【0041】
又、本実施形態では、第1台車Rの側に設置された3Dレーザースキャナ装置T1から配管P3の+X側の外形を測定し、第2台車Lの側に設置された3Dレーザースキャナ装置T2から配管P3の−X側の外形を測定することにより、配管P3の略全周囲に亘って膨出量を測定する。即ち、本実施形態に係る測定装置は、3Dレーザースキャナ装置T1、T2の夫々の外形及び外径の測定結果に基づいて、配管P3の略全周囲に亘る膨出量の測定結果を算出する。
【0042】
図4に、配管P3の略全周囲に亘る外形及び外径の測定結果の算出方法の一例を示す。尚、
図4中のAT1は、ある地点における3Dレーザースキャナ装置T1の測定結果を表す。AT2は、AT1に対応する地点における3Dレーザースキャナ装置T2の測定結果を表す。AT3は、AT1とAT2とに基づいて算出した測定結果を表す。Z0は、配管P3の膨出が検出された位置を表す。
【0043】
3Dレーザースキャナ装置T1の測定結果AT1と、3Dレーザースキャナ装置T2の測定結果AT2は、夫々、配管P3の座標情報として取得される。又、3Dレーザースキャナ装置T1の測定と、3Dレーザースキャナ装置T2の測定は、配管P3の周囲に対して一部が重複するように行われ、3Dレーザースキャナ装置T1の測定結果AT1のAT1’領域と、3Dレーザースキャナ装置T2の測定結果AT2のAT2’領域とが重複した座標情報として取得される。このとき、配管P3の膨出が検出された位置Z0における、配管P3の形状は、配管P3の他の領域とは区別できる形状を呈することから、測定結果AT1のAT1’領域の形状と測定結果AT2のAT2’領域の形状とを比較して、両者が、配管P3の膨出の検出位置Z0において重なるように座標変換を行う。
【0044】
これにより、3Dレーザースキャナ装置T1の測定結果AT1と、3Dレーザースキャナ装置T2の測定結果AT2とを合成し、配管P3の膨出が検出された位置Z0の付近の外形AT3を算出することができる。即ち、配管P3の略全周囲に亘っての膨出量を算出することができる。本実施形態に係る測定装置は、以上の工程を繰り返すことにより、配管P3の長手方向の各地点の膨出が検出される位置で、膨出量を算出する。
【0045】
尚、配管P3の膨出量は、配管P3の外径が設計規格上、長さ方向に亘って一定である場合は、上記の配管P3から当該一定値を減算することにより算出することができる。又、一定でない場合は、配管P3の外径を、膨出が生じる前に長さ方向(Z方向)の各地点において予め測定し、当該地点と対応付けて記憶しておき、予め測定した配管P3の当該地点と対応付けられた外径と、膨出後の外径とを比較することにより、膨出量を算出することができる。このとき、配管P3の長手方向の各地点におけるZ座標の位置は、例えば、第1台車R、第2台車Lのロータリーエンコーダに基づいて算出する。
【0046】
ここで、当該演算処理を行う構成(演算装置)は、3Dレーザースキャナ装置T1、又は3Dレーザースキャナ装置T2が備えていても、他の装置が備えていてもよい。例えば、配管P3の長手方向の各地点について測定を行った後に、演算装置が、配管P3の長手方向の各地点の測定結果AT1と、測定結果AT2とを合成して、当該算出結果に基づいて、画像の再構成を行って、表示出力する構成としてもよい。又、3Dレーザースキャナ装置T1の測定結果AT1と、3Dレーザースキャナ装置T2の測定結果AT2とを合成する際に基準とする形状は、他の領域とは区別できる形状であれば、膨出された位置に代えて、他の位置であってもよい。
【0047】
===余寿命予測===
本実施形態では、上記したとおり、配管P3の膨出量に基づいて、配管P3の余寿命を算出する。
図5に、配管の膨出量と余寿命の関係の一例を示す。配管の膨出量と余寿命の関係は、例えば、予め、測定対象の配管P3と同一種類(例えば、同一の材料、同一の膜厚)の配管について実験を行うことにより算出しておく。このときに基準とする配管の膨出量は、例えば、設計規格の配管の外径に対して膨出した量、設計規格の配管の外径に対する膨出の度合い(比率)である。又、余寿命は、例えば、当該配管を使用可能な年数である(破断するまでの年数)。
【0048】
そして、配管P3の長手方向の各地点における、配管の膨出量の測定結果と、配管の膨出量と余寿命の関係に基づいて、各地点の余寿命を算出して、交換・修繕の時期を判断する。尚、当該演算処理は、作業者が行ってもよいし、3Dレーザースキャナ装置T1、3Dレーザースキャナ装置T2、又は、他の装置がその機能構成として備えていてもよい。例えば、測定装置は、配管の膨出量の測定結果と、配管の膨出量と余寿命の関係を示すデータに基づいて、配管の長手方向の各地点における配管の余寿命を識別可能に表示する構成を備えていてもよい。
【0049】
又、測定装置は、配管の膨出量と余寿命の関係を示すデータに基づいて、交換、修繕の時期を示す閾値となる膨出量を設定し、測定対象の位置の膨出量が当該膨出量を超えていると判断した場合、音等により警告を発する機能(警告部)を備えていてもよい。これによって、作業者は、極めて簡易な作業により、余寿命を判断することができる。尚、配管のクリープ損傷は、
図5に示すように、その進行に伴い、進行度合いが速くなり、又、膨出が急激に増加し破断するに至る。そのため、例えば、進行度合いが速くなる時期の膨出量を、警告を発する閾値として設定しておくことにより、配管の破断を確実に防止することができる。
【0050】
以上、本実施形態に係る測定装置によれば、配管の長手方向の各地点における外径又は外形を、連続的、かつ、定量的に測定することができる。特に、本実施形態に係る測定装置は、測定対象の配管P3の両側に配設された配管P1、P2をガイドとして、配管P3の周囲を囲むように配設された弾性部材(接続バネR134等)を介して配管P1、P2を挟持しながら移動する構成となっている。そのため、測定装置は、一部に膨出による形状変化が生じていたり、湾曲する部分を有する配管P1、P2においても、第1台車R、第2台車L、支持部材Sの配管P3に対する位置関係を維持しながら、円滑に移動することができる。即ち、測定装置は、特に配管が密集するような環境下において、配管そのものを利用して、測定位置に対する測定基準位置、測定基準方向(例えば、3Dレーザースキャナ装置T1、T2のレーザの出射位置、出射するレーザの中心となる方向)が一定に維持されるように移動することができ、移動の前後で、測定前の較正が不要(又は極めて少ない較正量)となり、作業効率が大幅に改善される。
【0051】
特に、配管P3の外径又は外形の測定に、3Dレーザースキャナ装置を用いた場合は、3Dレーザースキャナ装置自体が、測定対象の一定領域を測定することを可能とするため、上記のガイド機構と相まって、測定前の較正は不要となる。
【0052】
加えて、本実施形態に係る測定装置は、第1台車Rの側から配管の外径を測定する3Dレーザースキャナ装置T1と、第2台車Lの側から配管の外径を測定する3Dレーザースキャナ装置T2とにより、測定部T1、T2を構成したため、一方向のみから外径を測定する場合に比して、広範囲(例えば、略全周囲)に配管の外径を測定することが可能となる。配管の膨出は、配管の外部の付着物や配管の内部の酸化被膜の状態に応じて、配管の一方向(+X方向、−X方向、+Y方向、−Y方向等)に対してのみ膨出が進行する場合があるが、当該構成により、その場合における膨出をも検出することが可能となる。
【0053】
又、本実施形態に係る測定装置は、測定対象の配管P3に対して、非接触で測定を行うことができるため、測定対象の配管P3の強度が小さい場合であっても、測定対象の配管P3に歪を生じさせることなく、精度の高い測定を行うことができる。
【0054】
<第2実施形態>
本実施形態では、測定部T1、T2の構成として、3Dレーザースキャナ装置を用いる態様に代えて、デジタルノギスを用いる点で、第1実施形態と異なっている。尚、第1実施形態と共通する構成については説明を省略する(以下、第1実施形態に係る測定装置と異なる構成については、「’」を付して表す)。
【0055】
以下、
図6A、
図6Bを参照して、本実施形態に係る測定装置の構成の一例を示す。尚、
図6Aは測定装置の側面図、
図6Bは測定装置の平面図を示す図である。X軸、Y軸、Z軸は、夫々、
図2A、
図2Bと同様の定義である。
【0056】
本実施形態に係る測定部は、第1基準部材T1’、第2基準部材T2’、距離測定装置T3’、第1付勢バネT4’、第2付勢バネT5’を備えて構成される。そして、これらは、支持部材Sに支持され、支持部材Sと一体となって移動する。又、測定部T1、T2の構成と同様、第1台車R、第2台車L、支持部材Sの配管P3に対する位置関係は、一定に維持されることから、測定対象の位置に対する第1基準部材T1’及び第2基準部材T2’の位置(測定基準位置TC1’、TC2’)、並びに方向(測定基準方向TB’)は一定に維持される。尚、本実施形態では、測定基準位置TC1 ‘、TC2’は、配管P3の測定対象の位置に対する第1基準部材T1’、第2基準部材T2’の位置を表し、測定基準方向TB’は、配管P3の測定対象の位置に対する第1基準部材T1’、第2基準部材T2’の当接する面がなす角度を表す。
【0057】
第1基準部材T1’、第2基準部材T2’は、距離測定装置T3’に取り付けられ、これらのX方向の間隔に基づいて、距離測定装置T3’に測定対象の配管P3のX方向の外径を測定させるための部材である。又、第1基準部材T1’及び第2基準部材T2’は、X方向に対向するように配置され、これらが対向する側の面が略平行となるような形状を呈する、ステンレス等の剛性が高い材料で構成された部材である。
【0058】
又、第1基準部材T1’、第2基準部材T2’は、その一部が、X方向に沿って距離測定装置T3’の内部に挿入されるように取り付けられ、X方向に沿って自由に移動が可能な構成となっている。そして、第1基準部材T1’及び第2基準部材T2’は、夫々、支持部材Sに取り付けられた第1付勢バネT4’、第2付勢バネT5’により、測定対象の配管P3に当接する方向(X方向)に付勢され、第1基準部材T1’及び第2基準部材T2’が対向する側の面は、移動の前後で、測定対象の配管P3に当接するように維持される。
【0059】
距離測定装置T3’は、内部に挿入されるように取り付けられた第1基準部材T1’及び第2基準部材T2’の間隔を測定する装置である。距離測定装置T3’は、例えば、距離測定装置T3’の内部に備える一の電極と、第1基準部材T1’の挿入された部分を他の電極とにより第1コンデンサを形成し、第1コンデンサの容量に基づいて、第1基準部材T1’のX方向の座標を確定する。又、同様に、距離測定装置T3’の内部に備える一の電極と、第2基準部材T2’の挿入された部分を他の電極とにより第2コンデンサを形成し、第2コンデンサの容量に基づいて、第2基準部材T2’のX方向の座標を確定する。距離測定装置T3’は、これにより、第1基準部材T1’及び第2基準部材T2’の間隔を測定して、測定対象の配管P3の外径を測定する。
【0060】
以上のように、本実施形態に係る測定装置によれば、第1実施形態に係る測定装置と同様に、測定位置に対する測定基準位置、測定基準方向を一定に維持しながら移動することができ、配管の長手方向の各地点における外径を、連続的、かつ、定量的に測定することができる。
【0061】
<その他の実施形態>
尚、上記各実施形態に係る測定装置は、測定対象の配管P3に隣接する配管P1、P2をガイドとして利用した。しかし、ガイドとして利用する配管は、必ずしも隣接する配管でなくともよく、多数の略平行に伸延する周囲の配管のうち、測定対象の配管P3の両側に配設された配管であればよい。
【0062】
又、多数の略平行に伸延する配管がある場合、測定装置は、複数の配管を一括して測定を行ってもよい。
図7に、複数の配管を一括して測定する態様の一例を示す。
図7では、配管P3に加えて、配管P4も測定対象としている。この場合、測定装置は、配管P4を跨いで配管P1と反対側に配設され、配管P4と略平行に伸延する配管P5を更にガイドとする。そして、配管P5に上記と同様の構成を有する第3台車Qを設置し、第1台車Rと第3台車Qとの位置関係が一定に維持されるように、支持部材S2により接続するとともに、支持部材S2により、測定部T3、T4を支持する構成とすればよい。この場合であっても、上記と同様に、測定装置がレーザの出射部等の測定位置に対する測定基準位置及び測定基準方向が一定に維持されるように、移動する構成とすることができる。これによって、余寿命検査の作業効率をより改善することができる。
【0063】
又、上記各実施形態では、配管の周囲を囲むように配設された接続バネ(R134等)により、配管P1に対して移動体(R10等)の位置を安定化させるとともに、第1台車Rと第2台車Lとの位置関係を一定に維持する構成としたが、当該機能を確保することができれば、他の構成であってもよい。例えば、車輪(R131等)をゴム材料で構成したり、クッション材を配管の周囲と枠体(R11、R12等)の間に介在させる構成であってもよい。
【0064】
又、上記各実施形態では、第1台車Rと第2台車Lの車輪(R131等)は、円筒形状を呈する部材としたが、第1台車Rと第2台車Lを配管に沿って円滑に移動させることができればよく、球形状を呈する部材を用いてもよい。この場合、車輪(R131等)は、ボール軸受に接続することで回転可能とする構成とすればよい。 又、上記各実施形態では、移動体を構成する枠体(R11、R12等)を配管の周囲の外形に沿って配管の周囲の全周を囲む形状としたが、配管の周囲を挟持することができる構成であれば、他の構成であってもよい。例えば、一方向(例えば、+Y方向)に開口を有する矩形の形状として、接続バネ(R134等)により配管を挟持するものであってもよい。
【0065】
又、上記各実施形態では、支持部材Sを、一端を第1台車Rの接続部材R30に螺子で固定し、他端を第2台車Lの接続部材L30に螺子で固定する構成としたが、第1台車Rと第2台車Lを接続するための構成は、それらの位置関係が一定に維持されるようにすることができる構成であれば、他の構成であってもよい。例えば、配管P1と配管P2のX方向の距離に応じて、X方向の長さを伸縮できる構成を備えるものとしてもよいし、第1台車Rと第2台車Lとの接続部分に付勢機構を設けて、それらの位置関係が一定に維持される機能を高めるような構成としてもよい。
【0066】
又、上記各実施形態では、作業者が手作業により、第1台車Rと第2台車Lとを夫々、配管P1、配管P2に沿って移動させる構成としたが、モータにより移動させる構成としてもよい。例えば、モータにより、第1台車Rと第2台車Lの枠体(R11、R12等)に対して、配管P1、配管P2に沿う方向に駆動力を働かせて、Z方向に移動させる構成としてもよい。その場合、Z方向の位置の測定は、モータの駆動量により行うこともできる。
【0067】
又、上記各実施形態では、配管の膨出量を測定するため、測定部T1、T2により配管の外径を測定する構成としたが、3Dレーザースキャナ装置等により、配管の一側面の外形のみを測定する構成としてもよい。この場合であっても、他の領域との外形の変化から、配管が一部で膨出していることを検出することができる。
【0068】
又、上記各実施形態では、支持部材Sは、第1台車Rと第2台車Lとの位置関係が、測定対象の配管P3の長手方向に対して略垂直な方向の位置に一定に維持されるように、第1台車Rと第2台車Lとを接続する構成とした。しかし、第1台車Rと第2台車Lとの位置関係は、支持部材Sにより一定に維持されさえすれば、測定対象の配管P3の長手方向に対して略垂直な方向の位置でない場合であっても、上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0069】
上記各実施形態は、以下の記載により特定される発明を開示するものである。
【0070】
前述した課題を解決する主たる本発明は、
測定対象配管P3と略平行に伸延する第1配管P1により案内され、第1配管P1の長手方向に沿って移動可能な第1移動部Rと、
測定対象配管P3を跨いで第1配管P1と反対側に、測定対象配管P3と略平行に伸延する第2配管P2により案内され、第2配管P2の長手方向に沿って移動可能な第2移動部Lと、第1移動部Rと第2移動部Lとの位置関係が一定に維持されるように、第1移動部Rと第2移動部Lとを接続する支持部材Sと、支持部材Sに支持されて、第1移動部R、第2移動部L及び支持部材Sとともに移動し、測定対象配管P3の長手方向の各地点で、測定対象配管P3の外径と外形の少なくとも一方を測定する測定部(T1、T2、T1’、T2’、T3’、T4、T5等)と、を備え
、第1移動部Rは、第1配管P1の長手方向に沿って前側と後側とに配置され、第1配管P1の長手方向と略垂直な方向の断面の周囲を囲むように配設された弾性部材(R134等)を介して、その周囲を挟持しながら、第1配管P1の長手方向に沿って移動する第1の前側移動体R10及び後側移動体R20と、第1の前側移動体R10及び後側移動体R20の位置関係が一定に維持されるようにそれらを接続する第1の接続部材R30と、を備え、第2移動部Lは、第2配管P2の長手方向に沿って前側と後側とに配置された第2配管P2の長手方向と略垂直な方向の断面の周囲を囲むように配設された弾性部材(R134等)を介して、その周囲を挟持しながら、第2配管P2の長手方向に沿って移動する第2の前側移動体L10及び後側移動体L20と、第2の前側移動体L10及び後側移動体L20の位置関係が一定に維持されるようにそれらを接続する第2の接続部材L30と、を備え、支持部材Sは、第1移動部Rと第2移動部Lとの位置関係が一定に維持されるように、第1の接続部材R30と第2の接続部材L30とを接続することを特徴とする測定装置である。これによって、配管の長手方向の各地点における外径又は外形を、連続的、かつ、定量的に測定することができる。そして、配管が密集するような環境下において、配管そのものを利用して、測定位置に対する測定基準位置、測定基準方向が一定に維持されるように移動することができ、移動の前後で、測定前の較正が不要となり、作業効率が大幅に改善される。又、測定対象の配管P3に対して、非接触で測定を行うことができるため、測定対象の配管P3の強度が小さい場合であっても、測定対象の配管P3に歪を生じさせることなく、精度の高い測定を行うことができる。
これによって、測定装置のX軸回りのモーメント、Y軸回りのモーメントに対する安定化をより向上することができる。
【0071】
このとき、第1移動部Rは、第1配管P1の長手方向と略垂直な方向の断面の周囲を囲むように配設された接続バネ(R134等)を有する車輪を介して、その周囲を挟持しながら、第1配管P1の長手方向に沿って移動し、第2移動部Lは、第2配管P2の長手方向と略垂直な方向の断面の周囲を囲むように配設された接続バネ(R134等)を有する車輪を介して、その周囲を挟持しながら、第2配管P2の長手方向に沿って移動するものであってもよい。
【0072】
又、測定部(T1、T2)は、3Dレーザースキャナ装置であってもよい。これによって、3Dレーザースキャナ装置自体が、測定対象の一定領域を測定することを可能とするため、上記のガイド機構と相まって、測定前の較正は不要となる。
【0073】
又、測定部は、第1移動部Rの側から測定対象配管P3の外径と外形の少なくとも一方を測定する第1の測定部T1と、第2移動部Lの側から、第1の測定部の測定位置と一部が重複するように測定対象配管P3の外径と外形の少なくとも一方を測定する第2の測定部T2と、を有し、測定装置は、第1の測定部T1の測定結果と、第2の測定部T2の測定結果と、に基づいて、第1の測定部T1の測定結果よりも広範囲に亘る、測定対象配管P3の外径と外形の少なくとも一方の測定結果を算出する演算装置、を更に備えるものであってもよい。これによって、一方向のみから外径を測定する場合に比して、広範囲(例えば、略全周囲)に配管の外径を測定することが可能となる。
【0074】
又、測定装置は、測定対象配管P3の外径と外形の少なくとも一方の測定結果に基づいて算出される余寿命に応じて警告を発する警告部を、更に備えるものであってもよい。これによって、作業者は、極めて簡易な作業により、余寿命を判断することができる。
【0076】
又、測定対象配管P3、第1配管P1及び第2配管P2は、ボイラー内部に設けられたボイラーチューブであってもよい。
【0077】
又、支持部材Sは、第1移動部Rと第2移動部Lとの位置関係が、測定対象配管P3の長手方向に対して略垂直な方向の位置に一定に維持されるように、第1移動部Rと第2移動部Lとを接続するものであってもよい。
【0078】
又、第1配管P1を跨いで測定対象配管P3と反対側に、測定対象配管P3と略平行に伸延する第2の測定対象配管P4と、第2の測定対象配管P4を跨いで第1配管P1と反対側に、第2の測定対象配管P4と略平行に伸延する第3配管P5と、第3配管P5の長手方向と略垂直な方向の断面の周囲を囲むように配設された弾性部材(R134等)を介して、その周囲を挟持しながら、第3配管P5の長手方向に沿って移動する第3移動部Qと、第1移動部R、第3移動部Qとの位置関係が一定に維持されるように、第1台車と第3台車とを接続する第2の支持部材Sと、第2の支持部材Sに支持されて、第1移動部R、第3移動部Q及び第2の支持部材Sとともに移動し、第2の測定対象配管P4の長手方向の各地点で、第2の測定対象配管P4の外径と外形の少なくとも一方を測定する第3の測定部と、を更に備えるものであってもよい。これによって、複数の配管を一括して余寿命検査することが可能となり作業効率をより改善することができる。
【0079】
前述した課題を解決する主たる本発明は、測定対象配管P3の外径と外形の少なくとも一方を測定する測定方法であって、測定対象配管P3と略平行に伸延する第1配管P1、及び、測定対象配管P3を跨いで第1配管P1と反対側において測定対象配管P3と略平行に伸延する第2配管P2に、夫々、第1配管P1により案内されて第1配管P1の長手方向に沿って移動可能な第1移動部R、及び、第2配管P2により案内されて第2配管P2の長手方向に沿って移動可能な第2移動部Lとを、第1移動部Rと第2移動部Lとの位置関係が一定に維持されるように設け、第1移動部R及び第2移動部Lとともに移動する測定部(T1、T2、T1’、T2’、T3’、 T4、T5等)により、測定対象配管P3の長手方向の各地点で、測定対象配管P3の外径と外形の少なくとも一方を測定することを特徴とする測定方法である。
【0080】
このとき、測定対象配管P3は、互いに略並行に配置された3本以上の配管のうちの何れか1本の配管であり、第1配管P1及び第2配管P2は、3本以上の配管のうち、測定対象配管P3に隣接する配管であってもよい。
【0081】
又、3本以上の配管は、ボイラー内部に設けられたボイラーチューブであってもよい。
【0082】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。