【実施例】
【0057】
以下、本発明を実施例を挙げて詳述する。これらの実施例は単に本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に制限されないことは当業者において通常の知識を有する者にとって自明である。
【0058】
実施例1:留紅草から新規化合物分離
済州(チェジュ)西帰浦(ソギポ)市安徳面西広里で採集された丸葉留紅草51gを水を溶媒として50℃で熱水抽出或は水、アルコール、有機溶媒及びそれらの混合溶液で構成された群から選択される溶媒を利用して、室温で音波抽出機で2時間毎に15分ずつ2〜3日抽出した。抽出後、抽出物を真空回転濃縮器で常温で減圧濃縮した後、抽出された残渣を真空凍結乾燥器で乾燥した後、乾燥された丸葉留紅草抽出物を得た。前記濃縮液を水に懸濁して活性炭が装填されたカラムクロマトグラフィに通過させて、丸葉留紅草の有効成分を吸着させて、活性炭が装填されたカラムを蒸留水で洗浄して非吸着成分を除去した。前記非吸着成分が除去された活性炭装填カラムに10〜50(v/v)エタノールなどの有機溶媒を連続的または段階的に濃度を高めながら供給して活性炭に吸着された丸葉留紅草の有効成分を溶出させて、分離及び精製した後、丸葉留紅草抽出物を得た。前記分離及び精製された丸葉留紅草抽出物5gに水を加えて、丸葉留紅草抽出物の濃度が20mg/mLになるように溶解させた。この水抽出物を蒸留水に懸濁した後、ノルマルヘキサン(n-hexane)、エチルアセテート(EtOAc)及びブタノール(BuOH)で順次分画して、ノルマルヘキサン分画、エチルアセテート分画、ブタノール分画及び水分画を各々得た。
【0059】
前記それぞれの溶媒分画物のVEGF抑制実験を実施し、その中で最も優れた効能を表す水分画を、C18逆相シリカゲルを固定相としてアセトニトリル−水混合溶媒(1:9→9:1 v/v)を移動相とするクロマトグラフィを実施して10個の分画に分けた。その中分画物ACN20[MeOH−水(1:9 v/v)に溶出]に対してSephadexカラムクロマトグラフィ(5.0x65cm、MeOH)を実施して新規化合物を精製した(
図1)。使用した条件及び結果は以下のとおりである:
高速液体クロマトグラフィ(HPLC)]分析(Shimadzuモデル)
カラム:C18逆相カラム
移動溶媒:90%メタノール
流速:1mL/分
滞留時間:1.29分
【0060】
実施例2:留紅草由来新規化合物の構造確認
実施例1から分離した新規化合物は微黄色の粉末でLC−MSにより分子イオンm/z1059.4、916.4(1052.4−145)、786.9(916.4−136)、514.8(786.9−136)、378.9(514.8−136)、232.9(378.9−146)を得ることができて(
図2)、これは分子式C
49H
88O
24と一致する。
【0061】
1D−NMR(H−NMR,C−NMR)を通じて明確なNMR配置を完成した。
【0062】
デューテリウム(D
2O)で置換された水を溶媒とし、テトラメチルシラン(TMS)を標準物質として測定したH−NMR結果を
図3に表した。
【0063】
デューテリウム(D
2O)で置換された水を溶媒とし、テトラメチルシラン(TMS)を標準物質として測定したC−NMR結果を
図4に表した。
【0064】
前記結果より実施例1から分離した丸葉留紅草由来新規化合物はC
49H
88O
24の分子式を有し、「化学式2」の構造を有する新規化合物であることを確認した。
【化5】
【0065】
前記化合物は配糖体の一種でベータD−フコピラノースに糖構造が連結されていて、KRIBB−BH−Pと命名した。
【0066】
実施例3:留紅草由来新規化合物のVEGF抑制能確認
実施例1で製造された丸葉留紅草から分離した新規化合物の血管内皮細胞成長因子(VEGF)の抑制能を確認するため、ヒト網膜色素上皮細胞株であるARPE19細胞株に前記新規化合物を処理して、糖尿病性網膜症などの糖尿病合併症を誘発する血管内皮細胞成長因子(VEGF)タンパク質の発現を確認した。
【0067】
ARPE19細胞株(ATCC、USA)は、DMEM;F12培地に10%FBS(Fetal bovine serum)を添加して培養した。ARPE19細胞株でVEGFの蛋白質の発現を誘導するために、60Φプレートに1×10
5cell/プレート濃度で細胞を播種して、DMEM低グルコース培地に10%FBS無血清を添加して24時間培養した後、DMEM 低グルコース培地に30mMのグルコースを添加した培養液に変えて、新規化合物KRIBB−BH−Pの終濃度が0.5μg/mLなるように添加した後、VEGF蛋白質産生を確認するために72時間培養した。この時、対照群として5.5mMグルコースを処理してVEGFが発現しない細胞自体を基準として、30mMのグルコースを処理した時VEGF発現程度を確認して、丸葉留紅草由来化合物のVEGF発現抑制能を比較した。本実験に用いられる30mMのグルコース濃度は、各実験でVEGFの発現誘導を最適にする条件の濃度である。
【0068】
前記方法で培養されたARPE19細胞の培養液を取得して、VEGF ELISA kit(R&D、UK)を利用して分泌されるVEGFの量を測定した。
その結果、
図5に示したように、新規化合物KRIBB−BH−Pを処理した実験群でVEGF発現が減少することを確認した。
【0069】
実施例4:留紅草由来新規化合物のインスリン分泌促進確認
丸葉留紅草から分離した新規化合物KRIBB−BH−Pのインスリン分泌促進能をマウス膵臓β細胞株であるMin6細胞株において確認した。
【0070】
Min6(ATCC、USA)は、HDMEM培地に15%FBS(fetal bovine serum)を添加して培養した。Min6細胞株でインスリン発現を誘導するために、96wellプレートに1×10
4cell/プレート濃度で細胞を播種して、DMEM高グルコース培地に15%FBS無血清を添加して72時間培養後、PBS緩衝溶液で洗浄して、HBSS緩衝溶液に2時間培養後、25mMのグルコースを添加したHBSS緩衝溶液に変えて、新規化合物KRIBB−BH−Pを終濃度が0.5ng/mLになるように添加した後、インスリン発現促進の可否を確認するために2時間培養した。この時、対照群として、5.5mMのグルコースを処理してインスリン発現が誘導されない細胞自体のインスリン発現量を基準点とし、陽性対照群として、アミノグアニヂン1μM、アカボス1μM、グリメピリド1mMとなるように添加した。陰性対照群として、25mMのグルコースを処理した時インスリンが発現される程度を確認して、丸葉留紅草由来新規化合物がインスリン発現を促進するかを比較分析した。前記方法で培養されたMin6細胞の培養液を取得して、インスリンELISA kit(R&D、UK)を利用して分泌されるインスリン量を測定した。
【0071】
その結果、
図6に示したように、新規化合物KRIBB−BH−Pが処理された膵臓β細胞株からインスリン発現が増加することが確認できた。
【0072】
実施例5:マウスのレンズ培養実験
糖尿患者の場合には白内障が早く起きて、悪化も速く、視力が急速に低下する。糖尿病にかかると、水晶体が混濁する現象が促進される。そこで、レンズ培養実験を介して、糖尿病性白内障生成抑制効能を調べた。
【0073】
マウスの眼球を摘出して、ヨード溶液に入れてしばらく消毒した後、レンズだけを摘出した。M199培地に入れて、細胞培養器で培養した。培地に20mMのキシロースを入れて培養すると、水晶体の混濁を誘発し、CCDカメラを利用して水晶体の混濁度を測定した。
【0074】
その結果、
図7に示したように、白内障誘発を抑制する物質として知らされたケルセチン(quercetin)を処理した陽性対照群よりも本発明による新規化合物KRIBB−BH−P投与群で水晶体混濁度がさらに抑制されることが確認された。
【0075】
実施例6:留紅草由来新規化合物の処理によるマウス糖尿指標分析
6−1:血糖分析
正常マウスと実際糖尿病マウスに丸葉留紅草由来新規化合物を処理することによって、糖尿指標の血糖、糖化血色素及び尿蛋白の変化を確認した。
【0076】
6週齢のマウス(Male C57BL/6J mouse、20g、中央実験動物、ソウル)と6週齢の糖尿病マウス(Male C57BL/Ks DB/DB mouse、20g、中央実験動物、ソウル)を購入して、一定温度(25℃)と湿度(50%)下1週間適応させた後、実験に用いた。
マウスを各群当たり5匹にして、正常マウス対照群、糖尿病マウス対照群、糖尿病マウス薬物処理(グリメピリド、アカボス)処理群、丸葉留紅草由来新規化合物と薬物の併用処理群に分けて、丸葉留紅草由来新規化合物投与群の場合は各々0.1mg/kg、1mg/kg、10mg/kgの濃度で各群に経口投与して12週間飼育した。各群のマウスは2週毎に血糖の変化を測定し、さらに、6週毎に尿を採取して、尿蛋白濃度を測定し、12週間飼育した後、血液を採取して糖化血色素の濃度を測定した。
【0077】
その結果、血糖変化においては、
図8に示したように、糖尿病マウス対照群は、正常マウス対照群と比較して血糖が上昇しているが、糖尿病マウスに薬物併用投与群と丸葉留紅草由来新規化合物を0.1mg/kg、1mg/kg、10mg/kgの濃度で経口投与した各群では有意な降下効果を示した。
【0078】
6−2:糖負荷検査
経口糖負荷検査は5週齢のマウス(Male C57BL/6J、19g、コアテク、平沢(ピョンテク))を購入して、一定温度(25℃)と湿度(50%)下1週間適応させた後、実験に用いた。マウスを各群当たり5匹にし、対照群では一般飼料を餌にする一般食餌群、高脂肪飼料を餌にする高脂肪食餌群に分けて、2週間飼育した。高脂肪食餌飼育2週目に実験動物を16時間絶食させた後、空腹時の血糖を測定し、試料は経口で24時間、16時間、8時間、4時間、2時間、1時間前投与し、以降30分毎に血糖を測定した。
【0079】
その結果、
図9のように試料を経口投与して24時間後が最も高い効能を示した。
【0080】
6−3:糖化血色素(HbA1c)分析
糖尿病治療を受ける患者に発生する合併症を低減するためには、血糖数値を適切な水準に維持することが重要である。一時点で測定する血糖数値は、種々の要因によって変動が生じうることから、長期間の血糖調節推移を把握する目的で最も広く用いられる検査が、糖化血色素(HbA1c)である。糖化血色素は、赤血球に正常に存在する血色素に糖が結合した形態で血糖が高く維持された場合に糖化血色素数値も高くなる。糖化血色素は、2〜4ヶ月の間の平均血糖数値を反映するので、長期間の血糖調節程度を把握するのに役立つ。
【0081】
丸葉留紅草由来新規化合物の糖化血色素に対する影響を確認するために、6週に一回ずつ正常マウス対照群、糖尿病マウス対照群及び丸葉留紅草由来新規化合物を0.1mg/kg、1mg/kg、10mg/kgの濃度で経口投与した群の血液を採取してELISAキット(Cusabio biotech、Japan)を利用して測定した。
【0082】
その結果、
図10に示したように、糖化血色素の数値で正常マウス対照群と比較して糖尿病マウスに丸葉留紅草由来新規化合物10mg/mL濃度で経口投与した群で有意に降下効果を示した。
【0083】
6−4:クレアチニン測定
糖尿病患者の場合、腎臓と心臓合併症が伴う場合が多い。糖尿病は体の老廃物をろ過して出す腎臓を損う。クレアチニン検査は血液中にあるクレアチニンの濃度を測定して腎臓の機能を評価することができる。クレアチニンはタンパク質が筋肉から使用された後、作られるクレアチン脱水物であって、極少量だけが血液に存在する。腎臓の機能が下がると、クレアチニンが排泄されない。各群の糖尿病マウスに12週間経口投与したマウスの尿と血液を採取してELISAキット(Exocell、America)を利用して測定した。
【0084】
その結果、
図11に示したように、併用投与群、丸葉留紅草由来新規化合物投与群から血液中のクレアチニン濃度は低くなる反面、尿のクレアチニンの濃度は高くなることが確認され、これはクレアチニン排泄が円滑に起こることを示すものである。
【0085】
実施例7:留紅草由来新規化合物の処理による糖尿病マウスの肝毒性及び肝機能検査
7−1:アラニントランスアミナーゼ濃度分析
実施例5で使用したものと同一な6週齢のマウスと6週齢の糖尿病マウスを一定温度(25℃)と湿度(50%)下1週間適応させた後、肝毒性検査に用いた。
【0086】
マウスを各群当たり5匹にして、正常マウス対照群、糖尿病マウス対照群、丸葉留紅草由来新規化合物を0.1mg/kg、1mg/kg、10mg/kgの濃度で経口投与した群に分けて、12週間飼育した。12週間飼育した後、血液を採取してアラニントランスアミナーゼ濃度を測定した。
【0087】
アラニントランスアミナーゼは、アミノ酸の代謝酵素であり、診断及び経過観察の代表的な検査で活用される。アラニントランスアミナーゼの濃度が維持されたことは、肝の損傷がないことを示唆する。
【0088】
丸葉留紅草由来新規化合物の肝臓に対する影響を確認するために、12週間飼育した後、正常マウス対照群、糖尿病マウス対照群、丸葉留紅草由来新規化合物を0.1mg/kg、1mg/kg、10mg/kgの濃度で経口投与した群の血液を採取して、ELISAキット(Cusabio biotech、Japan)を利用してアラニントランスアミナーゼ濃度変化を測定した。
【0089】
その結果、
図12に示したように糖尿病マウスに丸葉留紅草由来新規化合物0.1mg/kg、1mg/kg、10mg/kgの濃度で経口投与した群が、正常マウス対照群と類似の数値を示して、この化合物による肝毒性がないと確認された。
【0090】
7−2:ビリルビン分析
丸葉留紅草由来新規化合物を投与した群の肝機能異常有無を確認するため、前記実施例から採取された血液を利用してビリルビン数値をELISAキット(Cusabio biotech、Japan)で測定した。ビリルビン数値の分析結果は
図13に示したように、丸葉留紅草由来新規化合物を投与した群のビリルビン数値は正常範囲の中に含まれる数値であった。したがって、本発明の組成物は肝機能の異常を誘発させない安全な組成物であることがわかる。
【0091】
実施例8:留紅草由来新規化合物の処理による糖尿病マウスのインシュリン抵抗性及びβ細胞の機能性分析
実施例7の条件で飼育した糖尿病マウス群の空腹血液検査または糖負荷検査を通じてインシュリン感受性指数を計算した。
【0092】
インシュリン感受性指数とはHOMA(Homeostasis assessment)−IRを使用してインシュリン感受性指数によってインシュリン抵抗性を評価し、HOMA−betaによってβ細胞の機能性を評価した。
【0093】
その結果、
図14に示したように丸葉留紅草由来新規化合物投与群から有意な結果が表した。
HOMA−IR=(Fasiting insulin(μIU/mL)×Fasting glucose(nmol/L))/22.5
HOMA−beta=20×Fasting insulin(U/mL)/Fasting glucose(mmol/L)−3.5
【0094】
実施例9:留紅草由来新規化合物の処理による糖尿病マウスの血中アディポネクチン濃度分析
アディポネクチンは脂肪細胞から分泌され血液内に非常に豊富に存在し、肥満又は第2型糖尿病患者において減少していることが一貫して証明されている。また、低アディポネクチン血症は、動脈硬化疾患の新たな危険因子として注目されていて、糖尿病患者らの中でも特に、大血管合併症を伴っている患者においてアディポネクチン濃度が減少していた。即ち、アディポネクチンは抗肥満作用、抗糖尿作用、抗動脈硬化作用及び活性酸素生成の抑制作用などがある。実施例7の条件で飼育した糖尿病マウス群の血中アディポネクチンの濃度をELISAキット(R&D、Japan)で測定した。
【0095】
その結果、
図15に示したように、糖尿マウス対照群ではアディポネクチンの発現が減少したが、その他の群、特に丸葉留紅草由来新規化合物投与群でインシュリン抵抗性の改善を表す数値であるアディポネクチンの発現が増加していることが確認された。
【0096】
実施例10:留紅草由来新規化合物の処理による糖尿病マウスのグルカゴン濃度分析
適当な血糖数値を維持することに中心的な役割をするものに、糖を除去するインシュリンだけではなく糖を増やすグルカゴンというホルモンもある。
【0097】
第2型糖尿病患者において血糖が増加し、葡萄糖摂取に対するインシュリン分泌が遅延されグルカゴンが増加する。一般的に血漿グルカゴンに対するインシュリン比の減少は糖尿病悪化と関連していると知られている。したがって、実施例7の条件で飼育した糖尿病マウス群の血中グルカゴン濃度を確認した。
【0098】
その結果、
図16に示したように、血漿グルカゴン濃度は糖尿対照群の場合、正常群に比べて有意に高かったが、本発明の化合物の投与に対照群より対照群に比べて顕著に低くなって薬物投与群よりもっと低かった。糖尿対照群の場合グルカゴンに対するインシュリンの比は正常群に比べて有意に低かった。従って、留紅草由来単一化合物投与によりグルカゴンの濃度に対するインシュリンの比が糖尿対照群に比べて顕著に増加し、留紅草由来単一化合物は糖尿病による異常なインシュリン及びグルカゴン濃度を正常化させて糖尿病の悪化を抑制できることがわかる。
【0099】
実施例11:留紅草由来新規化合物の処理による糖尿病マウスのジペプチルジペプチジルぺプチダーゼ4抑制効能分析
インクレティンにはGIP(glucose dependent insulinotropic peptide)とGLP−1(glucagon like peptide)の2種類があって、二つのホルモンすべてが小腸の上皮細胞層内の内分泌細胞(endocrine cell)で分泌され、小腸内血糖が増加し、膵臓β細胞を刺激してインシュリン分泌を促進し、α細胞からのグルカゴン分泌を抑制する。
【0100】
したがって、インクレティンは経口で摂取されたブドウ糖の濃度に依存的に血糖を降下させ、低血糖を殆ど誘発しない。GIPとGLP−1両方ともセリンプロテアーゼ系であるジペプチジルぺプチダーゼ−4(DPP−4)により早く分解される。このような事実を基にして実施例7の条件で飼育した糖尿病マウス群のDDP−4抑制効能を確認した。
【0101】
その結果、
図17に表したように、丸葉留紅草由来新規化合物投与群からDDP−4活性が抑制されることが確認できた。新たな糖尿病治療の標的として注目されているDDP−4の活性抑制を通じて血糖と糖化血色素の上昇を抑制し、糖尿病の予防または治療に優れた効果を有する。
【0102】
実施例12:丸葉留紅草由来新規化合物で治療された糖尿病マウスのαグルコシダーゼ活性阻害率の測定
αグルコシダーゼ阻害剤は、腸粘膜に分布しているαグルコシダーゼの機能を阻害し、それによって増加した食後に血糖を減少させる。すなわち、αグルコシダーゼは多糖を単糖に分解する役割を有し、小腸での単糖の吸収を促進する。ここで、新規化合物はそのような役割を阻害し、そして単糖の吸収を抑制し、消化及び摂取した食物の炭水化物の吸収を遅らせ、食後の血糖及び血中のインシュリンの上昇を減少させ、糖尿病の治療効果を示す。αグルコシダーゼ阻害剤は、高インシュリン血症、又は低血糖症を誘導しないが、小腸におけるインシュリン分泌を促進し、グルカゴン分泌を阻害するグルカゴン様ペプチド−1の分泌を促進する。
【0103】
前記実施例7の条件で飼育した糖尿病マウス群のαグルコシダーゼ活性は、前記の記載に従って、測定した。
【0104】
その結果、
図18に示すように、本発明の新規化合物で処理された群のαグルコシダーゼ活性は抑制された。
【0105】
実施例13:留紅草由来新規化合物の処理による糖尿病マウスの腫瘍壊死因子−α(TNF−α)
腫瘍壊死因子−α(TNF−α)は脂肪細胞から主に発現され、このサイトカインの上昇レベルは肥満及びインシュリン抵抗性と関連している。脂肪組織は腫瘍壊死因子−α、レジスチンとインターロイキン−6(IL−6)のようなサイトカインを生成するが、これらサイトカインはインシュリンの作用を抑制することが確認された。肥満人において交感神経活性が増加するがこれは脂肪分解を増加させ、筋肉の血流を減少させて(ブドウ糖の運搬)インシュリン作用に直接的な影響を与える。腫瘍壊死因子−αは血糖を高め、糖尿病を誘発させたり、血管に流れて炎症形成を防ぐ、コレステロールが蓄積することを抑制するアディポネクチンの分泌を抑制し血管内皮細胞のNF−kB信号伝達を阻害し、大食細胞の貪食作用の活性を抑制する。
【0106】
このような事実を基にして、実施例7の条件で飼育した糖尿病マウス群のTNF−α濃度を測定した。その結果、
図19に示したように、丸葉留紅草由来新規化合物投与群からTNF−α濃度が減少することが確認できた。
【0107】
実施例14:留紅草由来新規化合物の処理による糖尿病マウスの抗白内障効果
実施例7の条件で飼育した糖尿病マウス群から摘出した眼球から水晶体を分離してウェルプレートに移した後LAS3000イメージ分析装備で写真を撮った。混濁度は撮った写真をLAS3000イメージ分析プログラムを用いて分析して水晶体の混濁度を測定した。
【0108】
その結果、
図20に示したように丸葉留紅草由来新規化合物投与群において混濁度が減少したことが確認できた。
【0109】
以上、本発明の内容の特定の部分を詳細に記述したが、当業界の通常の知識を有する者にとっては、このような具体的な記術は単に望ましい実施様態であるだけであり、これによって本発明の範囲が制限されないことは明らかである。従って、本発明の実質的な範囲は添付された請求の範囲及びその等価物によって定義される。