(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記自動接続機構が先端保護具取外し部を含み、(i)前記先端保護具取外し部を前記複数の使い捨てカセット供給接続部に向かって第1の方向に移動させ、(ii)前記先端保護具取外し部を前記複数の使い捨てカセット供給接続部に接続された複数の供給接続部先端保護具のそれぞれにロックし、(iii)前記先端保護具取外し部を前記複数の供給接続部から離れるように第2の方向に移動させて、前記複数の供給接続部先端保護具を前記供給接続部から取り外し、かつ、(iv)前記複数の透析溶液ラインの複数の透析溶液ラインコネクタを前記供給接続部に向かって移動させて、前記複数の透析溶液ラインコネクタを前記供給接続部にそれぞれ接続するように、前記自動接続機構が構成される、請求項1に記載の透析システム。
前記複数の透析溶液ラインのそれぞれの端部がコードを含み、前記自動識別システムが、前記コードを読み取って、(i)透析溶液の種類、(ii)透析溶液の容量、および、(iii)複数の前記透析溶液供給容器の数のうちの前記少なくとも1つを判断するように構成される、請求項1に記載の透析システム。
前記自動識別システムが、(i)複数の溶液ラインコネクタのそれぞれの幾何学的形状を識別し、かつ、(ii)格納された幾何学的形状の範囲と前記識別された形状とを比較して、前記複数の溶液ラインコネクタが(a)不適切に配置されているか、および(b)変形しているかのうちの少なくとも1つを判断するようにさらに構成される、請求項1に記載の透析システム。
前記自動識別システムが、前記複数の透析溶液ラインのうちの1つが不適切に配置されているか、または変形している場合に、アラームが作動されるようにさらに構成される、請求項9に記載の透析システム。
前記複数の透析溶液ラインを前記使い捨て透析ポンプカセット供給接続部に自動的に接続することが、前記複数の透析溶液ラインを保持するように構成され配置される溶液ラインホルダを移動させることを含む、請求項13に記載の透析システムの方法。
前記複数の透析溶液ラインに関連する情報を識別することが、前記溶液ラインに接続された複数の溶液ラインコネクタのそれぞれの幾何学的形状を識別し、格納された幾何学的形状と前記識別された幾何学的形状とを比較して、前記溶液ラインコネクタが(i)不適切に配置されているか、および(ii)変形しているかのうちの少なくとも1つを判断することを含む、請求項13に記載の透析システムの方法。
前記透析システムが、前記溶液ラインコネクタが(i)不適切に配置されているか、または(ii)変形していると判断される場合に、アラームを作動することを含む、請求項20に記載の透析システムの方法。
前記透析システムが複数の供給ラインによって前記透析ポンプカセット供給接続部を透析ポンプカセットに接続することを含む、請求項13に記載の透析システムの方法。
前記複数の透析溶液ラインのそれぞれの端部がコードを含み、前記自動識別機構が、前記コードを読み取って、(i)前記透析溶液の種類、(ii)前記透析溶液の容量、および(iii)複数の前記透析溶液供給容器の数のそれぞれを判断するように構成される、請求項23に記載の透析システム。
前記自動識別機構が、(i)複数の溶液ラインコネクタのそれぞれの幾何学的形状を識別し、(ii)格納された幾何学的形状の範囲と前記識別された幾何学的形状とを比較して、前記複数の溶液ラインコネクタが(a)不適切に配置されているか、(b)変形しているか、または(c)特定の療養処方と一致していないかのうちの少なくとも1つを判断するようにさらに構成される、請求項23に記載の透析システム。
前記自動識別機構が、前記複数の透析溶液ラインのうちの1つが不適切に配置されているか、または変形している場合に、アラームが作動されるようにさらに構成される、請求項31に記載の透析システム。
前記複数の透析溶液ラインに関連する前記マーキングを自動的に識別することが、前記複数の透析溶液ラインに関連する情報を視覚的に識別することを含む、請求項35に記載の透析方法。
前記複数の透析溶液ラインに関連する前記マーキングを自動的に識別することが、前記溶液ラインに接続された複数の溶液ラインコネクタのそれぞれの幾何学的形状を識別することを含み、前記処理が、格納された幾何学的形状と前記識別された幾何学的形状とを比較して、前記溶液ラインコネクタが(i)不適切に配置されているか、(ii)変形しているか、または(iii)特定の療養処方と一致していないかのうちの少なくとも1つを判断することを含む、請求項35に記載の透析方法。
前記溶液ラインコネクタが(i)不適切に配置されているか、(ii)変形しているか、または(iii)特定の療養処方と一致していないと判断された場合に、アラームが作動されることを含む、請求項41に記載の透析方法。
前記複数の透析溶液ラインが前記複数の使い捨てポンプカセット供給接続部に接続されるときに、透析流体が漏れているかを識別することを含む、請求項35に記載の透析方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以下のシステムは、上述の薬液治療に関する種々の欠点に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示は、改良型自動腹膜透析(APD)システムについて説明するが、しかしながら、本明細書における教示の多くは、他の薬液治療、特に、血液透析(HD)、血液ろ過(HF)、血液透析ろ過法(HDF)、および持続的腎代替療法療法(CRRT)等の他の腎不全療法治療に適用可能である。
【0013】
システムは、治療の改良および使用特徴の容易化を提供する。システムは、一実施形態では、患者が、例えば、家族部屋で療法を開始し、同じ階の寝室にシステムを移動させることが可能であるように可動式である。システムは、供給バックを管理し、供給バックは、患者が機器を移動する際にデバイスまたは機器とともに搬送される。また、システムは、バック管理システムを用い、バック管理システムは、プライミング順序および通常の操作中に、重力によって流体をバックから流出させ、空気を残すように供給バックを傾斜させる。流体をポンプで送る間に空気が適切に除去されなかったという懸念がほとんど無いため、供給バックにおける重力による空気の分離によって、システムは、高流量をポンプで送ることが可能になる。
【0014】
システムは、機器を支持し、かつ動作を便利にするために機器を回転可能にする回転軸受板または「回転盆」を有するカートを提供することによって、システム特徴の少なくとも大部分を容易にアクセス可能にする。これによって、患者は、ベッドから起き上がらずに大部分のアラームを訂正することが可能になる。「回転盆」板は、任意により、90度毎等に戻り止め位置を有することが可能である。
【0015】
システムは、2重管腔を有する患者ラインを使用する改良型プライミング手順を含む。患者ラインのプライミング中、流体は、使い捨てカセットから離隔して1つの管腔を下方に流動し、他方の管腔をカセットに向かって上方に戻り、プライミング完了時を標示する閉ループフィードバックを形成する。本フィードバックは、患者ライン延長部を含む場合であっても動作可能である。本開示の最終的な譲受人が所有する米国特許出願第2004/0019312Al号の
図2は、本プライミング技術に適合する2重管腔型患者ラインの先端保護具を示す。また、2重管腔型ラインは、機器が排液から充填にサイクルする際に、押し戻される(再循環する)使用済み廃液流体の体積を排除する。さらに、2重管腔型ラインは、米国特許第6,497,676号に説明するように、腹腔圧(IPP)を検知して、患者の充填体積および排液体積を最適化することに対応し、米国特許第6,497,676号は、本開示の最終的な譲受人が所有し、その全体の内容は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。またさらに、2重管腔型患者ラインによって、再循環体積がほぼゼロになるため、大柄および小柄の両方の患者に同一の使い捨てセットを使用することが可能になる。
【0016】
また、システムは、供給バックからのコネクタをカセット供給ラインのコネクタに接続する自動接続機構も提供する。一実施形態では、システムは、最大4つの供給バックを提供し、供給バックは、自動接続機構のマニホールドに接続可能である。各溶液バックは、同一または異なることが可能である。自動接続機構は、同一の溶液バック(例えば、既存の設備および工程を用い既存のスパイクおよびスパイク隔膜を有して作製される)を使用することが有利に可能である。供給バックのピグテールのコネクタを保護する先端保護具は、自動接続機構に適合するように修正される。
【0017】
以下に詳述するように、本開示のシステムは、大容量療法に容易に適合可能である。一実装では、システムは、4−1マニホールドを使用し、4−1マニホールドによって、使い捨てカセットへの4つの供給バックの注入口のうちの任意の1つ以上が、治療のために最大4つのバックに増加することが可能である。4−1マニホールドは、本明細書に説明する自動接続システムおよび自動識別システムを併用して機能する。最大4つの、例えば、同一溶液の供給バックに接続可能である最大4つの4−1マニホールドの各々は、例えば、最大96リットルの療法体積に対応することが可能である。
【0018】
4−1マニホールドにおけるマニホールドラインの各々は、使い捨てカセットに接続される供給ラインへの接続のために、自動接続機構に位置する。ここで、使い捨てカセットの単一の供給ラインは、最大4つの溶液バックに接続可能である。管理システムは、4−1コネクタと、4−1マニホールドのマニホールド(1つのライン)端部への取り付けの種類とを認識する。
【0019】
また、自動接続システムは、自動クランプシステムも含み、自動クランプシステムによって、ユーザは、接続工程中またはアラーム状態の発生時に、溶液ラインをクランプまたはクランプ解除する必要がなくなる。
【0020】
撮像システムまたは溶液識別システムは、バックの接続前に、体積、消費期限、組成、および構成(例えば、単一のバック溶液、多重チャンババック溶液、または混合を必要とする多重バック溶液)を検証する。溶液識別システムは、溶液の組成および体積が、接続前に療法処方と一致するかを検証する。また、溶液識別システムは、(i)正確な溶液バックの装填時に、正確な順序で溶液を自動的に引き込み、(ii)誤った溶液バックが装填される場合にユーザに報告し、(iii)溶液バックコネクタが変形し、潜在的に不適切な接続を引き起こす場合にユーザに警告する。
【0021】
システムの使い捨てセット(カセット、バック、およびライン)は、使用が比較的単純かつ容易であり、全ての地理的領域が小児患者および成人患者の両患者に同一の使い捨てカセットを使用することが可能であるため、必要とされる製品コードが少なく、療法体積は、最大96リットルである。使い捨てセットのラインは、編成具に接続され(例えば、カセット供給ラインは第1の編成具に接続され、患者および排液ラインは第2の編成具に接続される)、これによって、ラインのもつれが防止され、自動接続システムへのラインの装着が容易になる。
【0022】
使い捨てセットによって、本開示の最終的な譲受人が所有し、その全体の内容が参照により本明細書に明示的に組み込まれる米国特許第5,925,011号に説明するように混合することが可能になるか、または単一部分溶液の送達もしくは単一パックに含まれる2重部分溶液の送達が可能になる。剥離密封部または壊れ易い密封部を使用前に破壊する必要がある場合、システムは、溶液が患者に送達される前に、密封部が破壊されたことを検証することが可能である。バック管理棚に位置する容量センサを使用して、密封部が破壊されたこと、ならびに溶液バックの両チャンバ(両側)に同一の溶液が存在することを検証する。
【0023】
代替実施形態では、センサは、誘導的センサであり、(i)エミッタチャンババックがバック管理棚のうちの1つに適切に装填されているか否かを検出し、(ii)患者へ送達するために濃縮液が適切に混合可能になるように、2つのチャンババック間の壊れ易い密封部が破壊されているか否かを検出することが可能である。誘導的検知装置および方法は、腎臓用途に限定されず、2重または多重チャンババック型溶液を使用する任意の薬液システムのための位置、混合等を確認するために使用可能である。
【0024】
システムは、非侵襲性温度測定特徴または技術をさらに提供する。熱検知技術は、非侵襲性赤外線温度センサおよび電磁石を使用する。電磁石は、温度センサの配向を制御する。使い捨てカセットは、黒色または不透明範囲を含むシートを有する。赤外線センサの第1の配向は、黒色または不透明範囲に向けられ、結果的に、シートの温度を測定する。赤外線センサの第2の配向は、黒色または不透明ではない範囲に向けられるため、シートを介してシートの後方の流体を確認することが可能である。この第2の赤外線センサ読み取りは、フィルムおよび流体の温度の組み合わせを測定する。2つの赤外線温度読み取りからの流体の温度を計算するためのアルゴリズムについて本明細書において説明する。
【0025】
本開示の最終的な譲受人により市販されるHomeChoice(登録商標)APDシステムは、米国特許第4,826,482号(以下、「特許第’482号」)に説明する方法を使用して、患者または排液管へポンプで送られる流体の体積を判断する。本方法は、本質的に、ポンプストローク後に後進的に観察し、患者に対してポンプで送られた流体の量を確認する。本システムは大成功であったが、一方、ポンプストローク中またはリアルタイムにポンプで送られる流体の体積を把握したい種々の理由が存在する。その理由については、以下に詳述するが、概して、(i)ポンプストロークの全数に同等ではない体積が患者に充填/患者から排出可能であること、(ii)排出の終了時における痛みを低減するために、患者から排出されて空または実質的に空になる時を即時に把握可能であること、(iv)溶液の混合に必要な精度を提供すること、ならびに(v)部分的に満たされたポンプチャンバが、空気および流体を含むポンプチャンバと区別可能であるように、流体の代替源を提供しなければならない必要性の排除に役立つことが挙げられる。
【0026】
一実施形態におけるリアルタイムシステムおよび方法は、使い捨てカセットのポンプチャンバに流体連通する加圧タンクにおける圧力減衰を監視する。システムは、タンクに対して弁を開放する前に、ポンプチャンバにおける空気または気体の体積(V
gas)を把握している。次いで、タンクに対して弁が開放すると、システムは、所望の間隔で圧力読み取りを行ない、各読み取り後に計算を実行する。タンクにおける初期圧力(Pl)は既知である。任意の所定点における圧力をPl'とすると、比率は、数式において以下のように表現可能である。
(Pl/Pl'−1)
この比率は、気体体積V
gasをタンクV
tankの既知の体積V
tankに加算して乗算されて、ポンプで送られた流体のリアルタイム体積V
fluid=(Pl/Pl'−1)(V
tank+V
gas)を生成する。Plは、最初は、Pl'に同等であるため、ポンプで送られた流体の初期リアルタイム体積は、ゼロに等しくなる。Pl'は、経時的にP1よりも徐々に小さくなるため、(Pl/Pl'−1)は、経時的に徐々に大きくなり、V
fluidも同様に大きくなる。
【0027】
リアルタイム体積は、上述のような多くの目的に有用である。例えば、(i)フルポンプストロークの発生、(ii)ラインの閉塞の発生、(iii)漏出の発生、および(iv)複数の濃縮液の適切な混合等の特徴を判断するために、リアルタイム体積を使用するアルゴリズムについて以下に説明する。
【0028】
一実施形態におけるカセットは、米国特許第5,401,342号、第5,540,808号、第5,782,575号、および第6,001,201号に説明するように、成型プラスチック片に溶接されるシートを有する。代替実施形態では、成型プラスチック片は、溶接されるシートに包囲されるが、シートに溶接されない。一実施形態におけるシートは、それ自体に溶接され、およびカセットに取り付けられる管に溶接され、これによって、成型プラスチック片を含むシートの内部が環境から隔離可能になる。成型プラスチックに対するシートの密封が排除されるため、このカセットアセンブリは、成型プラスチック、シート、および管の材料選択に柔軟性を提供する。ゆえに、シート材料は、溶接または接着の観点から、硬質カセット材料に適合する必要はない。
【0029】
3つのポンプチャンバを有する使い捨てカセットについても以下に図示および説明される。3つのチャンバカセットは、標準的な療法、例えば、バッチ療法の実行時であってもポンプの入口および出口の両方における連続流を可能にする等の、多数の利点を提供する。2つのポンプチャンバでは、患者流を本質的に連続させるように流体測定が実行される。例えば、流体測定を一方のポンプチャンバで行なうことが可能であるが、他方のポンプチャンバは、そのポンプストロークの途中であり、その逆も同様である。それにもかかわらず、未使用の供給流量および排液流量は、他の時間よりも特定の時間に多くの流体が流動するため、拍動的である。また、3つのポンプカセットは、2つの溶液をオンラインで混合する場合にも、患者への連続流を可能にする。
【0030】
また、システムは、改良型カセット/マニホールド膜アセンブリまたはシステムも含む。アセンブリまたはシステムは、作動ポートを含むポンプ作動範囲を有するインターフェース板を含み、作動ポートによって、ポンプ作動範囲内において膜ガスケットに印加される陽圧または陰圧が、対応するように、並置される使い捨てカセットの可撓性シート上に陽圧または陰圧を印加することが可能になる。同様に、インターフェース板は、作動ポートを含む弁作動範囲を含み、作動ポートによって、弁作動範囲内において膜ガスケットに印加される陽圧または陰圧が、対応するように、並置される使い捨てカセットの可撓性シート上に陽圧または陰圧を印加することが可能になる。作動ポートに加え、カセットインターフェースは、排出ポートを含み、各ポンプおよび各弁に隣接する膜ガスケットとカセットとの間の空気を排出させる。
【0031】
ガスケットは、弁チャンバまたはポンプチャンバの作動ポートの側壁の周囲を密封するブラインド穴を含む。ブラインド穴は、弁またはポンプ作動ポートの上に延出するシースまたは薄い部分を含む。ゆえに、作動ポートに印加される陽圧または陰圧は、部材のブラインド穴のシース部分に同様に印加される。したがって、シース部分に印加される陽圧または陰圧によって、シース部分の湾曲およびカセットシートの対応する湾曲がもたらされる。
【0032】
また、膜は、インターフェース板の排出ポート毎に貫通穴も提供する。貫通穴は、突出する排出ポートの側壁の周囲に密封し、排出ポートに印加される陰圧が、ポンプ範囲または弁範囲を形成する膜ガスケットのシース部分に対してカセットシートを吸引することが可能になる。このように、所定のポンプまたは弁範囲では、膜ガスケットおよびカセットシートは、まとめて前後に湾曲する。
【0033】
膜ガスケットまたはカセットシートのいずれかに穴が形成される場合、漏出部における排出ポートにおける真空レベルが低下し、漏出を標示する。したがって、排出ポートは、カセット上の複数の場所に位置する漏出検出器としての役割も果たし、カセットシートまたは膜ガスケット上のどこで漏出が発生しているかを標示する能力を有する優れた漏出検出を提供する。この漏出検出能力は、療法の開始前ならびに療法中に存在する。
【0034】
また、システムは、膜ガスケットおよびカセットシートのどちらが漏出を引き起こしているかを区別することも可能である。膜ガスケットとシートとの間に流体が引き込まれる場合、漏出は、膜ガスケットに存在する。膜ガスケットとシートとの間に流体が引き込まれる場合、漏出は、カセットシートに存在する。これは、例えば、故障していると考えられる機械を診断する際に、有益なツールであることが可能である。
【0035】
また、カセットインターフェースは、ある実施形態では、空気圧マニホールドをカセットインターフェースに一体化させて、使い捨てカセットのポンプチャンバの裏側から、空気圧マニホールドの体積参照チャンバ(ポンプチャンバ毎に1つであり、体積精度計算および空気に使用する)に移動する空気が、遠くに移動する必要が無くなるようにする。また、近接離間によって、通路、参照チャンバ、およびポンプチャンバにおける空気の温度が同等になる傾向がある。これは、体積参照チャンバにおける空気と、使い捨てカセットを通ってポンプで送られる薬液または透析液との間の一定の温度を仮定する空気圧ポンプ技術に有用である。透析液は、空気圧源および体積参照チャンバと連通する空気からはカセットシートの他方の側に位置する。流体温度は、ほぼ体温、例えば、約37℃である必要がある。ゆえに、参照チャンバにおける空気は、約37°Cであるべきである。
【0036】
一実施形態におけるシステムは、カセットインターフェースにおいて加熱器を提供し、加熱器は、インターフェース板、体積参照チャンバ、および空気圧通路を単一の温度に加熱して、空気圧回路全体を所望の温度に安定化させる。また、加熱されたインターフェース板によって、特に寒い日に、参照チャンバをより迅速に温度に到達させることが可能になる。また、迅速なウォームアップは、システム較正中に相当な時間を節約する。一実施形態におけるインターフェース板は、加熱可能である金属から全体的に作製される。代替として、流体弁への圧力を制御する空気圧制御弁が取り付けられるマニホールドのカセットインターフェース分は、プラスチックである。参照チャンバは、金属であり、抵抗加熱要素等の加熱要素を含むモジュールに提供される。モジュールは、プラスチックのインターフェースに取り付けられる。インターフェースは、金属または熱伝導性の区間を有するポンプチャンバ壁を含む。これによって、熱は、その中の空気を加熱するポンプチャンバインターフェース壁に移動する。
【0037】
ゆえに、本開示の利点は、APD、HD、HF、HDF、およびCRRT等のための改良型薬液システムを提供することにある。
【0038】
本開示の別の利点は、回転可能な基部を有することで、デバイス特徴に容易にアクセス可能な薬液システムを提供することにある。
【0039】
さらに、本開示の利点は、比較的可動であり、かつシステムの移動時に供給バックを搬送する薬液システムを提供することにある。
【0040】
本開示のさらなる利点は、バックに空気を閉じ込める傾向があるように、流体供給バックを配置する薬液システムを提供することにある。
【0041】
本開示の別の利点は、非侵襲性温度検知装置および方法を提供することにある。
【0042】
本開示のまたさらなる利点は、使い捨てカセットを提供することにあり、(i)カセットが3つのポンプチャンバを有すること、および(ii)カセットの成型プラスチック部分が、シートに密封するおよび成型プラスチック部分に取り付けられる管に密封する可撓性シートから作製される袋の内部に提供されることの少なくとも1つを提供する。
【0043】
本開示のさらに別の利点は、ポンプで送られた流体体積のリアルタイム測定のための方法および装置を提供することにある。
【0044】
またさらに、本開示の利点は、理想気体の法則を利用して、流体体積測定システムの改良型温度制御を有する流体管理システム(FMS)を提供することにある。
【0045】
本開示のまた別の利点は、空気圧式作動型ポンプシステムにおいて改良型漏出検出を提供することにある。
【0046】
またさらに、本開示の利点は、改良型カセット/マニホールド膜ガスケットを提供することにある。
【0047】
本開示のまたさらなる利点は、溶液ラインのための自動接続機構と、特定の供給バックについて適切な体積で適切な溶液が患者に送達されることを確実にする自動識別機構とを提供することにある。
【0048】
本開示のまたさらなる利点は、2重管腔型患者ラインを使用する改良型プライミング技術と、2重管腔型患者ラインを2重ポート転送セットに自動的に接続するための装置および方法とを提供することにある。
【0049】
またさらに、本開示の利点は、溶液バックが療法のために装填されたか否かを自動的に検出するための装置および方法を提供することにある。
【0050】
関連の利点は、患者への送達のために内部の溶液を適切に混合するように多重チャンバ溶液バックが適切に開放されたか否かを自動的に検出するための上記バック検出装置および方法を使用することにある。
【0051】
さらなる関連の利点は、上記バック検出装置および方法が非侵襲性であり、濃縮液の無菌状態を維持し、使い捨てバックおよび他の溶液を保管することにある。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
少なくとも1つのポンプアクチュエータを含む透析機器と、
該少なくとも1つのポンプアクチュエータと動作可能である使い捨てカセットであって、複数の供給ラインが、該使い捨てカセットに接続され、各供給ラインは、供給ラインコネクタおよび供給ライン先端保護具を含む、使い捨てカセットと、
複数の透析液容器であって、該透析液容器の各々は、溶液ラインコネクタおよび溶液ライン先端保護具を有する溶液ラインを含む、複数の透析液容器と、
自動接続機構であって、
溶液ラインコネクタホルダと供給ラインコネクタホルダであって、該ホルダのうちの一方は固定され、該ホルダのうちの他方は可動である溶液ラインコネクタホルダと供給ラインコネクタホルダ、および
可動先端保護具取り外し部
を含む、自動接続機構と
を備える、透析システム。
(項目2)
前記先端保護具取り外し部は、前記溶液ラインコネクタおよび前記供給ラインコネクタの両方から先端保護具を取り外すために、前記溶液ラインコネクタホルダと前記供給ラインコネクタホルダとの間で並進可能である、項目1に記載の透析システム。
(項目3)
前記先端保護具取り外し部は、前記溶液ラインおよび供給ラインの先端保護具のうちの一方を保持するように構成され、該先端保護具の他方は、該先端保護具取り外し部により保持される該先端保護具による取り外しのために保持されるように構成される、項目1に記載の透析システム。
(項目4)
前記先端保護具取り外し部は、前記溶液ラインの先端保護具を把持および保持するように構成され、該溶液ラインの先端保護具は、前記供給ラインの先端保護具を把持および保持するように構成される、項目3に記載の透析システム。
(項目5)
前記先端保護具取り外し部は、前記溶液ラインコネクタホルダに向かって第1の方向に並進可能であり、前記供給ラインコネクタホルダに向かって第2の方向に並進可能である、項目1に記載の透析システム。
(項目6)
前記先端保護具取り外し部は、前記溶液ラインコネクタホルダと前記供給ラインコネクタホルダとの間の経路から離れるように並進可能であり、これによって、該コネクタホルダが嵌合可能になる、項目1に記載の透析システム。
(項目7)
前記溶液ラインコネクタホルダは固定され、前記供給ラインコネクタホルダは、該溶液ラインコネクタホルダに対して並進可能である、項目1に記載の透析システム。
(項目8)
前記溶液ラインコネクタまたは供給ラインコネクタからの先端保護具の取り外し前に閉鎖するドアと、該ドアの後方から露出したコネクタを飽和するように配置される超純空気源とを含む、項目1に記載の透析システム。
(項目9)
前記溶液ラインおよび前記供給ラインのうちの少なくとも1つを閉鎖するように配置されるピンチクランプを含む、項目1に記載の透析システム。
(項目10)
前記溶液ラインコネクタおよび前記供給ラインコネクタのうちの少なくとも1つは、編成具に保持され、該編成具によって、該コネクタは、前記溶液ラインコネクタホルダまたは前記供給ラインコネクタホルダに一度に装填可能になる、項目1に記載の透析システム。
(項目11)
前記自動接続機構は、機器制御部とともに、前記透析機器の正面に位置する、項目1に記載の透析システム。
(項目12)
前記溶液ラインコネクタが前記溶液ラインコネクタホルダに装填される際に、該溶液ラインコネクタのうちの少なくとも1つに配置された情報を読み取るように位置決めされるカメラを含む、項目1に記載の透析システム。
(項目13)
前記情報は、前記透析液容器のうちの1つにおける溶液の種類および体積のうちの少なくとも1つを標示する、項目12に記載の透析システム。
(項目14)
少なくとも1つのポンプアクチュエータを含む透析機器と、
該透析機器上に配置される第1の組のラインおよび第1のライン組ホルダと、
該透析機器上に配置される第2の組のラインおよび第2のライン組ホルダと、
該透析機器上に配置される先端保護具取り外し部と、
少なくとも1つのプロセッサであって、(i)該先端保護具取り外し部に、該第1の組のラインおよび該第2の組のラインから先端保護具を取り外させ、(ii)該先端保護具取り外し部に、該第1のライン組ホルダと該第2のライン組ホルダとの間の経路から離れるように移動させ、(iii)該第1のライン組ホルダおよび該第2のライン組ホルダに、該第1の組のラインおよび該第2の組のラインを接続するように該通路に沿って移動させる
ように構成される少なくとも1つのプロセッサと
を備える、透析システム。
(項目15)
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記先端保護具取り外し部および前記ライン組ホルダのうちの少なくとも1つを取り外すために、複数のステッピングモータと動作可能である、項目14に記載の透析システム。
(項目16)
前記第1のライン組ホルダおよび前記第2のライン組ホルダは、前記第1の組のラインの端部および前記第2の組のラインの端部においてコネクタを保持するように構成される、項目14に記載の透析システム。
(項目17)
前記プロセッサは、前記先端保護具取り外し部に、前記先端保護具の取り外しを容易にするために前記機器から離れるように延びさせるようにさらに構成される、項目14に記載の透析システム。
(項目18)
前記プロセッサは、前記先端保護具取り外し部に、前記第1のライン組ホルダおよび前記第2のライン組ホルダから前記組のラインを取り外す前に、該組のラインに前記先端保護具を再接続させるようにさらに構成される、項目14に記載の透析システム。
(項目19)
使い捨てカセットと、
該使い捨てカセットに接続される複数の供給ラインと、
各供給ラインの端部に位置する供給コネクタと、
複数の透析液容器と、
各透析液容器に接続される溶液ラインと、
各溶液ラインの端部に位置する溶液コネクタと、
供給コネクタホルダと、
溶液コネクタホルダと、
先端保護具取り外し部と、
複数のモータと
を備え、
該ホルダ、先端保護具取り外し部、およびモータは、(i)該ホルダのうちの少なくとも1つに向かって該先端保護具取り外し部を移動させ、(ii)互に向かいおよび互に離れるように該ホルダを移動させるように構成および配置される、
透析システム。
(項目20)
少なくとも1つのポンプアクチュエータを有する透析機器をさらに含み、前記ホルダおよび先端保護具取り外し部は、該透析機器に接続される、項目19に記載の透析システム。
【0052】
追加の特徴および利点は、本明細書に説明され、また、以下の発明を実施するための形態および図面より明白になるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0054】
(可動式カートシステム)
ここで、図面、具体的には
図1から
図3を参照すると、自動腹膜透析(APD)システム10等の透析システムが図示される。システム10が、上述のシステムのいずれか等の他の種類の腎不全療法システムと使用可能であることを理解されたい。
【0055】
図1は、システム10が可動式カート12を含むことを示し、可動式カート12によって、例えば、家族部屋から寝室まで、またその逆も同様に容易にシステムを移動することが可能になる。カート12は、回転盆型軸受14を含み、回転盆型軸受14は、機器20の制御部22およびバック管理システム30への十分なアクセスを常に提供する。バック管理システム30は、本明細書に詳細に示すように、療法の開始時に供給バックの装填を編成する。一実施形態における回転盆型軸受14は、操作中にシステムの回転を防止する戻り止めを装備する。回転盆型軸受14の中心にある切り抜きまたは穴によって、電源コードが、カート12の棚16へ貫通することが可能になる。また、回転盆型軸受14は、例えば、約360度の全回転限界も有し、過度な回転による電源コードへの損傷を防止することが可能である。
【0056】
機器20は、例えば、バック管理システム30のバック管理棚への容易なアクセスを提供するために、患者に対向するように回転可能である。次いで、機器20は、
図3に示すように、設定手順中に、制御部22、ディスプレイ24、自動接続機構26、およびカセット装填機構28へ最適なアクセスを提供するように回転可能である。また、機器20は、患者の睡眠時に、ディスプレイ24および制御部22が患者のベッドに対向するように回転可能である。この場合、アラームが鳴ると、患者は、ベッドから起き上がらずに、制御部22、排液ライン、供給バックライン等に潜在的にアクセスすることが可能になる。
【0057】
可動式カート12は、透析療法に必要な補助供給物を保持する棚または引き出し16を含む。システム10を移動するために、患者は、電源コードを抜く必要がある。可動式カート12は、例えば、下側の棚16に排液バックを収容する。自給式排液カートでは、カート12は、最初に排液バックを装填することを必要とせずに移動することが可能である。バックの代わりに家庭排液管につながる排液ラインが存在する場合、システム10の移動時に、排液ラインを排液管から取り外して、カート12上に配置しなければならないと考えられる。ハンドル18は、システム10の移動を容易にし、一実施形態では、カート12の移動のために上方に回転可能であり、必要のない時は、下方および邪魔にならない所に回転可能である。
【0058】
(バック管理システム)
次に
図4から
図9を参照すると、透析システム10のバック管理システム30のある実施形態が示される。図示するように、バック管理システム30は、機器または循環器20に接続されるか、またはそれと一体的に作製される。図示するバック管理システム30は、4つの、例えば、6リットル供給バック40aから40d(本明細書において総称して供給バック40と呼ぶか、または概して、個別に供給バック40と呼ぶ)のために構成される。システム30は、代替として、より多いまたは少ない6リットルバック40を保持するように構成される。また、
図4から
図9は、循環器20が、ヒンジ付きディスプレイ24を含むことを示し、ヒンジ付きディスプレイ24は、別個の制御部22および/またはタッチスクリーンオーバーレイで動作することが可能である。
【0059】
図4は、下方に回転し、かつ供給バック40が装填されていない棚32、34、36、および38の各々を含むバック管理システム30を示す。
図5は、底部棚32へのアクセスを提供するように、下側の棚32が下方に折り畳まれ、棚34、36、および38が上方にかつ邪魔にならない所に回転するバック管理システム30を示す。ある実施形態では、棚は、第3の棚36が上側の棚38に折り畳みまたは回転可能になるように、第2の棚34が第3の棚36に折り畳みまたは回転可能になるように、ならびに下側の棚32が第2の棚34に折り畳みまたは回転可能になるように、カスケード式または入れ子式に構成される。棚のヒンジは、取り外し可能に相互にロックする装置(例えば、嵌合するタブと戻り止め)を有することが可能であり、本装置は、上方に折り畳みまたは回転する際に、棚を取り外し可能に適所に保持する。代替的または付加的に、棚は、一方の棚から別の棚へ取り外し可能にロックすることが可能であり、例えば、第3の棚36は上側の棚38にロックし、第2の棚34は第3の棚36にロックし、他も同様である。例えば、相互にロックするタブと戻り止め、42および44のそれぞれは、ロック機構42および44が装填時にバック40を妨害しないように、棚の側面またはガセットに設けられる。
【0060】
図6は、下側の棚32が下方に折り畳まれ、第1の供給バック40aが下側の棚32に装填され、棚34、36、および38が上方におよび邪魔にならない所にヒンジ式に動かされたバック管理システム30を示す。
図7は、下側の棚32および第2の棚34が下方に折り畳まれ、第1の供給バック40aが下側の棚32に装填され、第2の供給バック40bが第2の棚34に装填され、棚36および38が上方におよび邪魔にならない所にヒンジ式に動かされたバック管理システム30を示す。
【0061】
図8は、下側の棚32、第2の棚34、および第3の棚36が下方に折り畳まれ、第1の供給バック40aが下側の棚32に装填され、第2の供給バック40bが第2の棚34に装填され、第3の供給バック40cが第3の棚36に装填され、棚38が上方におよび邪魔にならない所にヒンジ式に動かされたバック管理システム30を示す。
図9は、下側の棚32、第2の棚34、第3の棚36、最上部の棚38の全てが下方に折り畳まれ、第1の供給バック40aが下側の棚32に装填され、第2の供給バック40bが第2の棚34に装填され、第3の供給バック40cが第3の棚36に装填され、第4の供給バック40dが最上部の棚38に装填されるバック管理システム30を示す。
【0062】
バック管理システム30における各トレイは、上方に折り畳んで、下の棚へのアクセスを容易にする。上記のカート12と使用する場合、システム30は、患者が溶液バックを持ち上げなくてはならない高さを最小化する。棚は、機器12の底部に位置することが可能である加熱器より高度的に上に溶液バック40を保持し、例えば、バックの排水ポートがそのバックの他より下になるようにバックを配向する。本構成により、透析液は、空になるまでバックから流出し、いかなる空気も空のバックに閉じ込められて残るようにする。本棚構成、バック配置、および配向によって、空気が下方に、例えば、バック40からカセット28のポンプチャンバに流れないことから、供給バックから、例えば、インライン加熱器を通って患者に直接流体をポンプで送出する際に、容積ポンプ速度および流体送達ポンプの精度が強化可能になる。
【0063】
棚32から38のうちの1つ以上または全ては、メモリに格納される検知システムと動作可能であるセンサを用いることが可能である。センサおよび関連のシステムは、複数の機能を実行する。1つの機能として、2重チャンバまたは多重チャンババックが、2つ以上の濃縮液を混合して、患者にポンプで送出可能な透析液を生成可能にするように開放されているか否かを判断することが挙げられる。適切に開放されたバックを検知することは、ポンプおよび/または弁もしくは閉塞具の動作に必須条件であり得る。また、センサは、棚32から38のどれがバックを含むか、およびどれが含まないか、十分な流体が接続されているか、もしくは接続可能であるかを検出することも可能である。適切なセンサおよび関連システムの1つは、2007年7月5日に出願された、名称が「Apparatus and Method For Verifying A Seal Between Multiple Chambers」である、本開示の最終的な譲受人に譲渡された同時係属の米国特許出願第11/773,501号に記載されており、本出願は、参照により本明細書に組み込まれる。代替の誘導検知装置および方法は、
図35から以下に説明する。
【0064】
(使い捨てセット)
次に
図10および
図11を参照すると、システム10の使い捨てセット50のある実施形態が示される。
図10は、使い捨てセット50が、使い捨てカセット28および上述の供給バック40を含むことを示す。ある実施形態におけるバック40の各々は、溶液ラインまたはピグテール46aから46d(本明細書において総称してピグテール46と呼ぶか、または概して、個別にピグテール46と呼ぶ)であって、第1の組48aの供給ラインに接続する溶液ラインまたはピグテール46aから46dを含む。一実施形態における溶液ラインまたはピグテール46は、先端保護具66aによって保護される雌型コネクタ56で終端となる。一実施形態におけるコネクタ56は、穿刺可能なカバーにより保護される雌型コネクタである。使い捨てセット50は、後述する大容量療法のための第2の組の供給ライン48bを含むことが可能である。第1および第2の供給ライン組の各々は、先端保護具66bにより保護されるコネクタ58で終端となる複数のラインを含む。コネクタ58は、バックライン46の雌型コネクタ56の保護カバーを通ってスパイクする雄型のスパイク状コネクタであることが可能である。
【0065】
また、使い捨てセット50は、患者ライン52および排液ライン54も含む。患者ライン52は、2重管腔ラインであることが可能であり、一方のラインは、先端保護具66aにより保護される穿刺可能に密封される雌型コネクタ56において終端となり、他方のラインは、先端保護具66bにより保護されるスパイク状コネクタ58において終端となる(
図15Aから
図15D参照)。排液ラインは、一実施形態では、供給バックを排液ラインに接続不能にするように、隔膜を含まないスパイク状の収容部で終端となる。
【0066】
一実施形態におけるピグテール46は、先端保護具66aにより保護される雌型コネクタ56において終端となる。コネクタ56/先端保護具66aは、一実施形態では、単一の編成具にまとめて保持される。患者ライン52は、必要に応じて、単一管腔型患者ライン(バッチ透析用)または2重管腔型患者ライン(バッチ透析または連続透析用)であることが可能である。第1の組の供給ライン48a、患者ライン52、および排液ライン54の各々は、カセット28に接続される。
【0067】
図10は、大容量型使い捨てセット(例えば、8つのバック)のための一実施形態をさらに示し、大容量型使い捨てセットは、第1の組の供給ライン48a(カセット28に接続される)から分離した第2の組の供給ラインを載せて、かつ各供給ライン48aまたは48bの端部上の4つのスパイク状コネクタ58を保持するための編成具を設けることによって提供される。スパイクおよび編成具は、設定および操作中に束を把持および保持するためのスパイクおよび特徴を含む単一に成形されたスパイク状の束に一体化可能である。各供給ラインの各スパイク状コネクタ58は、各供給バックのピグテール46の端部における雌型コネクタ56と流体的かつ密封的に接続可能である。前述のように、各スパイク状コネクタ58は、それ自体の先端保護具66bによって保護される。ラインクランプ62は、第1の組の供給ライン48a上に設けられる。自動接続機構(後述する)が、ピグテール46の端部におけるコネクタ56から第1の組の供給ライン48aのコネクタ58を切断する前に、クランプを使用して第1の組の供給ライン48を閉塞することが可能である。次いで、自動接続機構は、第2の組の供給ライン48bを第2の組の供給バック40(図示せず)に接続することが可能である。
【0068】
図11は、大容量型使い捨てセット50を形成するための第2の実施形態を図示する。本図面において、第1の組の供給管48aは、4−1マニホールド60を介して大容量型セットに変換される。一実施形態における4−1マニホールド60は、供給ライン48aおよび48bについて上述したように、スパイク状コネクタ58/先端保護具66bにおいて終端となる4つのライン48cを保持する同一の編成具を一方の端部に有する。ゆえに、マニホールド60自体は、最大4つの供給バック40に接続可能である。次いで、4−1マニホールド60からの単一の入力ライン64のコネクタ56/先端保護具66aは、単一の供給バック40のピグテール46の端部におけるコネクタ56/先端保護具66aの代わりに、自動接続機構(以下に示す)に挿入される。以下に示す自動識別システムは、各4−1マニホールド60に接続されるバックの数と、接続された溶液の体積を自動的に追跡する。マニホールド60を使用する使い捨てセット50は、最大16個の、例えば、6リットルの溶液のバックで動作可能である。
【0069】
(自動接続)
次に
図12を参照すると、ある実施形態における機器20は、ピンチクランプまたはピンチ弁68aから68d(本明細書において総称して弁68と呼ぶか、または概して、個別に弁68と呼ぶ)を含み、供給バック40aから40dのそれぞれのピグテール46aから46d毎に、(または、4−1マニホールド60のマニホールドライン64のために)弁68が1つある。クランプ68aから68dは、(i)ピグテール46の端部におけるコネクタ56が、固定式コネクタホルダ70に取り付けられる場合、および(ii)各コネクタ56を保護する先端保護具66aが、自動接続機構の先端保護具取り外しキャリッジ72に最初に取り付けられる場合に、ピグテール46aから46dをそれぞれ保持および閉塞するために配置される。また、先端保護具取り外しキャリッジ72は、以下に示すように、スパイク状コネクタ58の先端保護具66bを取り外すようにも構成される。ピンチクランプまたは弁68は、流体が供給バック40から順に引き込み可能になるように、例えば、順に開放される。ある実施形態におけるクランプ68は、供給バック40の接続後にカセット28を再装填する必要がある場合に、自動的に閉鎖される。固定式ホルダ70は、供給バックのピグテールのコネクタ56を自動接続工程中に固定して保持する。
【0070】
また、
図12は、可動型接続キャリッジ74も示し、可動型接続キャリッジ74は、カセット28に接続される供給ライン48aの端部における編成型スパイク状コネクタ58/先端保護具66bを保持する。固定式ホルダ70ならびに可動キャリッジ72および74の個々のホルダは、
図12の座標系により示されるZ方向において整列される。
【0071】
可動キャリッジ72は、+X方向および−X方向に移動し、コネクタ56から先端保護具66aを取り外し、スパイク状コネクタ58から先端保護具66bを取り外す。また、可動キャリッジ72は、+Y方向および−Y方向に移動して、ライン接続に邪魔にならないように、および恐らくは先端保護具を再装填するために、取り外された先端保護具66aおよび66bを引く。ある実施形態における可動キャリッジ72は、ステッピングモータ等のモータにより各々が駆動される一対の主ネジを含むXYガントリシステムに使用する。例えば、可動キャリッジ72は、ネジ山付きであり、+X方向および−X方向に正確にキャリッジ72を前後移動させるように、軸受により2つの端部上で支持され、かつステッピングモータで駆動されるボールネジを収容することが可能である。次いで、そのX方向アセンブリは、例えば、軸受支持部においてネジ山付きであり、+Y方向および−Y方向に正確にX方向アセンブリ(キャリッジ72を含む)を前後移動させるように、軸受により2つの端部上で支持され、かつステッピングモータで駆動されるボールネジを収容することが可能である。
【0072】
可動キャリッジ74は、カセットの供給ライン48aのスパイク状コネクタ58を、バックのピグテール46の穿刺可能に密封された雌型コネクタ56との密封連通に押圧するように、+X方向および−X方向に移動する。ここで、可動キャリッジ74は、ネジ山付きであり、+X方向および−X方向に正確にキャリッジ74を前後移動させるように、軸受により2つの端部上で支持され、かつステッピングモータで駆動されるボールネジを収容することが可能である。
【0073】
システム10は、コンピュータ制御型であり、例えば、下位処理およびメモリを含む下位制御器と動作するマスター処理およびメモリを含むことが可能である。また、マスタープロセッサおよびメモリは、安全処理およびメモリを有する安全制御器とも動作可能である。一実施形態では、マスター処理およびメモリは、ステッピングモータに出力し、例えば、位置センサからの位置入力を受信する処理およびメモリを有する下位動作制御器と動作する(例えば、プログラム可能または特定用途向け集積回路(ASIC)を介して)。
【0074】
次に
図13Aから
図13Jを参照すると、供給バック40のピグテール46のコネクタ56をカセット28の組48a(代替として、上述の供給ライン組48bおよび48c)の供給ラインのスパイク状コネクタ58へ密封嵌合するための自動接続順序が示される。
図13Aでは、カセット28に接続されるカセットの供給ライン組48aの4つのスパイク状コネクタ58/先端保護具66bを保持する編成具は、可動キャリッジ74の群ホルダに装填される。代替として、コネクタ58/先端保護具66bを含む一体型の4つのスパイク状の束が、可動キャリッジ74の群ホルダに装填される。本ステップでは、カセット28も機器20に装填されている(
図2および
図3参照)。
【0075】
図13Bでは、4つの供給バックのピグテール46の端部に位置するコネクタ56/先端保護具66aが、固定式ホルダ70および可動キャリッジ72の個々のホルダに装填される。具体的には、コネクタ56は、固定式ホルダ70の個々のホルダに装填され、先端保護具66aは、可動キャリッジ72に装填される。したがって、
図13Bでは、先端保護具66aおよび66bは、コネクタ56から自動的に取り外されるように設定される。
【0076】
スパイク状コネクタ58/先端保護具66bおよびコネクタ56/先端保護具66aが自動接続機構に装填された後、カバーまたはドア(図示せず)が閉鎖され、ホルダ70、キャリッジ72および74、スパイク状コネクタ58/先端保護具66b、ならびに雌型コネクタ56/先端保護具66aは、環境から隔離される。次いで、システム10は、コネクタ56および58からの先端保護具の取り外し前に、フィルタリングされた高性能微粒子空気(HEPA)または超低浸透空気(ULPA)を、密封した区画に注入し、領域における生物的負荷を低減する。HEPAまたはULPA空気の空気圧制御は、上述の動作制御器またはマスター制御器と動作する別々の空気圧制御器上に位置することが可能である。
【0077】
撮像システムは、どの供給バックが装填されたか(量、サイズ、溶液の種類、消費期限、ロットコード等)を判断し、上記識別子のいずれかに関して問題が発生するとユーザに警告する。例えば、溶液体積が、選択された療法の実行に不十分である場合がある。代替として、コネクタが、適切に接続できないほど変形または損傷している場合がある。
【0078】
図13Cでは、可動キャリッジ72が−X方向に移動して(
図12の座標系に従う)、供給バックのコネクタ56から、事前に装填されていた先端保護具66aを取り外す。
【0079】
図13Dでは、可動キャリッジ72がさらに−X方向に移動して(
図12の座標系に従う)、保護するスパイク状コネクタ58に先端保護具66bをロックする。
【0080】
図13Eでは、可動キャリッジ72が+X方向に移動して(
図12の座標系に従う)、スパイク状コネクタ58から先端保護具66bを取り外す。
【0081】
図13Fでは、可動キャリッジ72が+Y方向に移動して(
図12の座標系に従う)、供給バックのコネクタ56およびスパイク状コネクタ58の邪魔にならない所に移動する。
【0082】
図13Gでは、可動キャリッジ74が、固定式ホルダ70に向かって+Y方向に移動して(
図12の座標系に従う)、スパイク状コネクタ58を穿刺可能に密封される供給バックのコネクタ56に押圧し、かつ供給バック40をカセット28へ密封接続する。スパイク状コネクタ58を供給バックのコネクタ56に接続した後に、後述する撮像システムは、適切に接続されたか、および漏出が存在しないかを検証する。
【0083】
図13H(a)は、1つの取り外し実施形態を示し、本実施形態において、接続された供給ラインの組48aおよび溶液ラインまたはピグテール46および関連の空の供給バック40ならびにカセット28が、キャリッジ74およびホルダ70からそれぞれまとめて取り外される。
図13lでは、次いで、可動キャリッジ72は、−Y方向(
図12)に移動して、使用済みの先端保護具66aおよび66bが回収されることを可能にする。
【0084】
図13H(b)は、別の取り外し実施形態を示し、本実施形態において、可動キャリッジ74は、−X方向に移動し、コネクタ56および58を引き離し、その後、可動キャリッジ72は、−Y方向(
図12の座標系に従う)に移動してから、+X方向および−X方向に前後に移動して、先端保護具66aおよび66bをコネクタ56および58のそれぞれに再び取り付け、供給ラインの組48a、ピグテール46および関連の供給バック40、ならびにカセット28が、キャリッジ72および74ならびにホルダ70からそれぞれ取り外されることを可能にする。この後者の取り外し方法は、よくある事であるが、バックを取り外さなければならない場合に供給バックが完全に空ではないことが普通である場合に好ましい。
【0085】
(自動識別)
図14は、自動識別システムの一実施形態を示す。システムは、カラーキャプチャ素子(CCD)カメラ80を含み、カメラ80は、電荷結合素子画像センサおよびリンクコンデンサ、結合コンデンサ、または感光性コンデンサの配列を含む集積回路を使用する。
図14に示す接続範囲の3次元画像を生成する他のカメラを、代替として使用し得る。自動識別システムは、カメラ80からの画像を使用して、溶液バック40の特徴を判断し、かつ正確で無傷のコネクタ56および58が機構に装填されるかを検証する。
【0086】
自動識別システムは、
文字認識ルーティン(例えば、動作制御器上または中央処理装置もしくはマスター制御器と動作可能である別々の映像制御器上に位置する)を介して溶液識別を達成し、
文字認識ルーティンは、供給バック40に接続されるピグテールのコネクタ56上に印刷されるコードを「読み取る」。「コード」は、(i)溶液の種類、例えば、グルコースもしくは重炭酸塩濃縮液または予混合透析液、(ii)バック体積、例えば、6リットル、および(iii)コネクタ56当たりのバックの数、例えば、単一のバックまたは4−1マニホールド60を介した複数のバックを提供する。各コネクタ56の画像は、コネクタ56の許容可能な幾何学的形状の範囲の格納された画像と比較される。変形したコネクタまたは誤って装填されたコネクタもしくは療養処方と一致しないコネクタは、許容可能な幾何学的形状の範囲外となり、システム10は、アラームを信号伝達し、他の適切な行為、例えば、クランプ68の閉鎖またはアラームの解除までクランプを開放不可能にする。また、撮像システムは、「接続後」の結合部が、良好な結合接続に許容可能な幾何学的形状の範囲内にあるかを検証する。結合部が漏出し、液滴を形成する場合、撮像システムは、液滴を確認し、アラームを発生させる。
【0087】
(プライミング)
ある実施形態では、2重管腔型患者ライン52(
図10)を使用する。一方の管腔は、使い捨てカセット28のポンプチャンバを介して、患者用排液ポートに接続される。他方の管腔は、使い捨てカセット28の異なるポンプチャンバを介して、患者用充填ポートに接続される。患者ラインのプライミング中、患者ラインの2つの管腔は、一緒に接続される。循環器20によって、カセット28の隔膜ポンプのうちの1つが、使い捨てカセット28上の患者用充填ポートから未使用の流体をポンプで送出するか押圧し、患者ラインの端部に到達するまで患者ライン52の管腔を下降する。次いで、未使用の流体は、患者用排液ポートを介してカセット28の別の隔膜ポンプまで、患者ライン52の他方の管腔を上昇して、カセット28に戻るようにポンプで送入され、これによって、患者ライン52を介して流体が押圧する空気が除去される。流体が第2のポンプチャンバを充填する場合に、患者ラインは完全にプライミングされている。
【0088】
(患者接続/切断)
プライミング済み2重管腔型患者ライン(充填用管腔52aおよび排液用管腔52bが接続されている)および移送セット82(充填ライン84および排液ライン86が接続される)は、
図15Aから
図15Eに示す患者ライン自動接続デバイス90に装填される。デバイス90は、機器20から分離可能であるか、または機器20に一体化可能である。ある実施形態における機器20またはカート12は、デバイス90を保管する範囲および装置を提供する。デバイス90は、手動操作または手動/自動操作のために電力供給されるかまたは構成されることが可能である。デバイス90は、固定部分92と、固定部分92に対して回転可能および並進可能な部分94とを含む。
【0089】
図15Eに示すように、デバイス90は、カバー91および基部93を含み、これらは、管腔52aおよび52bならびにライン84および86のコネクタ56(穿刺可能膜を含む)およびコネクタ58(スパイク状)が部分94および96へ装填されるときに、それらを包囲するように嵌合する(例えば、ヒンジ接続的に、または分離して)。カバー91および基部93は、必要に応じてプラスチックまたは金属であることが可能である。また、
図15Eは、デバイス90が、1つ以上のモータ95を含むことも示し、モータ95は、部分92に対して部分94を回転および/または並進するように部分94に協働可能に接続される出力軸97を有する。例えば、モータ95の出力軸97は、ボールネジを駆動し、次いで、ボールネジは、部分94にネジ山を使用して接続され、これによって、モータ95は、部分を並進することが可能になる。図示する実施形態では、モータ95の出力軸97は、モータ95が部分94を回転させることが可能であるように、部分94に連結される。レバー99は、患者またはケア提供者がレバー99を介して固定部分92に対して部分94を前後に並進可能であるように、モータ95の下位アセンブリおよび可動部分94に接続される。デバイス90は、代替として、完全に自動的(例えば、ACまたは電池式)であるか、または完全に手動的である。
【0090】
また、デバイス90は、管腔52aおよび52bならびにライン84および86から引き離されている場合に、無菌環境を維持するための装置も含む。例えば、デバイス90は、紫外線(UV)光または本出願の最終的な譲受人が所有する米国特許第4,412,834号および第4,503,333号に説明する放射体を用いることが可能であり、これらの特許の全体の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。また、デバイス90は、接続前に、HEPAまたはULPAフィルタした空気を、コネクタ周囲の体積に導入することも可能である。
【0091】
図15Aから
図15Dをさらに参照すると、2重管腔型患者ライン52および移送セット82がデバイス90に装填されると、充填管腔52a(上述のように、雌型コネクタ56において終端となる)および排液管腔52b(上述のように、スパイク状コネクタ58において終端となる)を有するように本図面において示される患者ラインを分離し、患者の移送セット82に接続する。移送セット82は、充填ライン84(スパイク状コネクタ58において終端となる)および排液ライン86(雌型コネクタ56において終端となる)を含む。
【0092】
図15Aでは、充填管腔52aは、プライミング順序を介して排液管腔52bに接続される。充填ライン84および排液ライン86または移送セット82も接続される。戻し管腔52bおよび充填ライン84(両方ともスパイク状コネクタ58を有する)が、デバイス90の固定部分92に装填され、充填管腔52aおよび排液ライン86(両方とも雌型コネクタ56を有する)が、デバイス90の回転可能部分94に装填されるように、各対の嵌合型コネクタ56および58がデバイス90に装填される。一実施形態では、部分92および94は、部分92がスパイク状コネクタ58のみを受け入れ可能であり、部分94が雌型コネクタ56のみを受け入れ可能であるように構造化される。デバイス90のカバーは閉鎖され、無菌装置は、起動または励起される。
【0093】
図15Bでは、部分94は、例えば、ボールネジ(図示せず)に連結される電気作動式ステッピングモータを介して、管腔52aおよび52bならびにライン84および86をそれぞれ引き離す。部分90は、管腔52aおよびライン86のコネクタ56を保持するキャリッジを含み、コネクタ56は、スパイク状コネクタ58から引き離される。並進可能部分94およびモータは、デバイス90内に完全に収容され、外部環境から密封されることが可能である。
【0094】
図示する実施形態では、並進器は、レバーを介して手動的に動作され、レバー99は、管腔52aおよびライン86のコネクタ56をスパイク状コネクタ58に接近/離隔させてコネクタ56を運ぶ部分94を並進するように、患者が把持および並進するものである。図示する実施形態では、レバー99の細い軸は、レバー99のハンドル部分がデバイス90の外部にあるようにデバイス90に密封され、患者が楽に把持および移動させるように構成される。レバー99の軸は、モータ95に接続され、次いで、モータ95は、管腔52aおよびライン86のコネクタ56を保持する部分94に連結される。
【0095】
図15Bでは、デバイス90の無菌装置は、引き続き励起され、コネクタ56および58の先端を汚染から防護する。
【0096】
図15Cでは、モータ95は、雌型コネクタ56を保持する回転可能部分94を、固定式スパイク状部分92に対して180度回転させて、2重管腔型患者ライン52の戻し管腔52bが、移送セット82の排液ライン86と整列するようにする。また、ここで、2重管腔型患者ライン52の充填管腔52aは、移送セット82の充填ライン84と整列する。デバイス90の無菌装置は、引き続き励起され、コネクタ56および58の先端を汚染から防護する。
【0097】
図15Dでは、並進可能部分94は、2重管腔型患者ライン52の充填管腔52aを移送セット82の充填ライン84に向かって押圧し(電気的または手動的)、スパイク状コネクタ58を雌型コネクタ56に接続する。同時に、2重管腔型患者ライン52の戻し管腔52bは、移送セット82の排液ライン86と密封的かつ協働可能に接続される。ここで、システム10は、先の手順の使用済みの最終バック充填を除去するために初期患者排液を実行し、本療法の最初の充填のために患者を準備の整った状態にすることが可能である。
【0098】
図15Aにおいて、デバイス90の側96または側98のどちらに、接続された管腔52aおよび52bならびに接続されたライン84および86が装填されても、
図15Aから
図15Dの順序が機能することを理解されたい。
【0099】
患者切断順序では、接続された流入ライン52aおよび84は、デバイス90の一方の側96または98に装填される。接続された流出ライン52bおよび86は、デバイス90の他方の側に装填される。次のステップにおいて、デバイス90は、カセット流入ライン52aを移送セット流入ライン84から切断し、カセット流出ライン52bを移送セット流出ライン86から切断する(手動的または自動的)。
【0100】
次に、雌型コネクタ56を保持する回転可能部分94は、固定式スパイク状部分92に対して180度回転し、2重管腔型患者ライン52の戻し管腔52bが、2重管腔型患者ライン52の充填管腔52aと整列し、移送セット52の排液ライン86が、移送セット82の充填ライン84と整列するようにする。
【0101】
次のステップにおいて、デバイス90は、カセット流入ライン52aをカセット流出ライン52bに接続し、移送セット流入ライン84を移送セット流出ライン86に接続する(電気的または手動的)。デバイス90は、上記4つのステップに無菌環境を提供する。次いで、患者は、接続された2重管腔型ライン52および移送セット82をデバイス90から取り外し、透析機器が無い状態になる。
【0102】
デバイス90が、上述した2重管腔型患者ライン52/移送セット82の接続/切断用途に限定されないこと、またはAPDにも限定されないことを理解されたい。例えば、雌型キャップ56により保護されるスパイク状コネクタ58を有する単一の患者ライン84を、デバイス90の側98に代わりに装填してもよく、一方、雌型穿刺可能コネクタ56およびキャップを有する供給バックのピグテール46を、デバイス90の側96に装填し得る。次に、雌型キャップ56は、雄型で終端する患者ライン84から取り外され、一方、キャップは、雌型で終端する供給ピグテール46とそのキャップから同時に取り外される(回転可能部分94をスパイク状部分92から引き離すことによって)。次に、回転可能部分94は、スパイク状部分92に対して回転する。その後、雌型部分94は、スパイク状部分92に向かって摺動され、患者ライン84のスパイク状コネクタ58を、供給バックのピグテール46の雌型コネクタ56に嵌合させることによって、例えば、CAPDのための供給バック40を患者に接続する。患者をポンプカセット28に接続する際に類似の接続が行なわれ得る。
【0103】
(患者の排液および充填)
患者の排液中、システム10は、2重管腔型患者ライン52の戻し管腔52bを介して、患者から廃液を除去する。排液が完了し、システム10が充填サイクルに進むと、システム10は、2重管腔型患者ライン52の充填管腔52aを介して未使用の流体を患者に送達する。ここで、患者に戻って「再循環」される廃液は、移送セット82の充填ライン82および患者のカテーテルにおける小量の廃液だけである。2重管腔型カテーテルおよび移送セットを使用する場合、この量ですら、患者に再循環される必要はない。さらに、2重管腔型カテーテルおよび2重管腔型移送セットをシステム10と使用する場合、システム10は、多重経路連続流腹膜透析(CFPD)療法を実行することが可能である。多重経路CFPD療法は、長い再循環流滞留を伴う単一充填を用いることが可能であるか、またはCFPD療法は、タイダルの類であって、滞留時間のうちの少なくとも1つの時間中に流れを再循環することが可能である。
【0104】
(カセット改良)
次に
図16を参照すると、カセット100は、カセットおよびそれを作製する方法に関する一実施形態を示し、カセット100において、カセットの硬質プラスチック部分110は、カセットシート102内に封入される。しかしながら、シート102は、剛体部分110の両側面に溶接されておらず、代わりに、シート102は、それ自体に溶接される。一実施形態におけるプラスチック部分110は、剛性であり、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、アクリル、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリエチレン、またはポリプロピレンから作製される。一実施形態におけるシート102は、例えば、液体をポンプで送るように湾曲し、かつ弁チャンバを開放および閉鎖するために可撓性である。シート102は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン、クレイトン、またはポリオレフィンから作製可能である。また、2つ以上の積層の異なるまたは同じ材料を使用することが可能であり、この場合、積層の粒子は、相互に垂直に流動し、強度を増加させ、スリット、穴、および断裂の可能性を最小化することが可能である。例えば、カセットの各外側は、優れた摩耗、穿刺、および裂傷抵抗を有し、中央の層は、優れた強度特性を有することが可能である。
【0105】
シート102は、図示するように、第1の側面104a、第2の側面104b、折り畳まれた上部106、および縁108aから108cを形成するように折り畳まれる。
図16に示すように、折り畳まれたシート102は、剛体部分110の上に摺動される。次に、側面104aおよび104bの側面縁108aは、供給ライン48、患者ライン52、または排液ライン54の周囲にまとめて溶接される。代替として、側面104aおよび104bの縁108aは、剛体部分110から延出するポート(
図16に図示せず)の周囲に溶接され、そのポートに、供給ライン48、患者ライン52、または排液ライン54が密封適合される。側面104aおよび104bの底部縁108bは、まとめて溶接結合される。側面104aおよび104bの側面縁108cは、まとめて溶接結合される。このように、可撓性シート102は、剛体部分110の周囲に密封袋を形成する。代替として、側面104aおよび104bは、4つの側面に沿ってまとめて溶接される別々のシートである。
【0106】
剛体部分110は、ポンプチャンバ112を含むか、または形成する。以下に示すように、代替カセットは、3つのポンプチャンバを含む。図示する実施形態における剛体部分110は、複数の弁チャンバ114も含む。ポンプチャンバ112および弁チャンバ114の各々は、ポンプチャンバまたは弁チャンバをそれぞれ画定する隆起116を含み、隆起116は、剛体部分110の基部壁118から外側に延出する。剛体部分の各側は、基部壁118から他方の方向に延出し、かつポンプチャンバ112および弁チャンバ114と連通する流路(図示せず)を画定する隆起116を含む。
【0107】
動作の際、シート102の側面104aは、流体の空気圧式移動および制御のために、ポンプチャンバおよび弁チャンバの隆起116に密封される必要がある。シート102が剛体部分110の周囲において袋型カセット100自体に(および上述のように管に)密封されるが、突出した隆起116に密封されない袋型カセット100と動作する透析機器は、剛体部分110に対して表面104aにおいて陽圧を印加する。陽圧は、動作中、表面104aを突出した隆起116に対して一時的に密封し、その結果、ポンプ112および弁114が適切に機能することが可能になる。また、陽圧は、流路(図示せず)の突出した隆起116に対して表面104bを圧縮するように、シート102の反対面104b上にも提供される。陽圧は、例えば、膨張式袋を介して空気圧によって提供可能であり、ならびに/あるいは、例えば、バネ付勢、ソレノイド作動、および/またはカセット100が装填されるドアの閉鎖を介して機械的に提供可能である。
【0108】
また、
図16は、基部壁118が、機器の装填および位置決め穴120を含むことが可能であることを示し、この穴120によって、シート102がそれ自体にならびに管48、52、および54に溶接された後に、位置決めガイド122を適所にスナップすることが可能になる。ある実施形態では、シート102は、金型を使用する加熱密封工程を介して溶接される。また、その同一の金型は、装填/位置決めガイド122の設置を容易にするために、シート102を抜ける整列穴124を穿孔することも可能である。
【0109】
カセット100は、一体型弁ポート114を含む。
図1から
図3のシステム10および
図12の機器20は、関連の管を閉塞するカセットの外部にあるライン用クランプ68を示す。ピンチ弁68によって、システム10は、供給ラインの各々に独立的にアクセスすることが可能になり、また、典型的にはカセット供給ライン48上に存在する手動クランプの必要性を排除することが可能になる。ユーザではなく機械20が、その必要時、例えば、バックが接続されて療法実行のために開放される場合に、供給ライン48を閉塞する。また、多数のアラーム/失敗状態の後、または電源異常の場合に、供給ライン48を閉塞する必要がある。
【0110】
また、ピンチ弁68は、溶液ライン46からの流体の引き込みも支援する。例えば、最上部棚38のみに対するピンチ弁68が開放可能になることによって、バック40dは、部分的、例えば、50%を上回って排液することが可能になり、その後、上から2番目の棚36上の供給バック40cに対する弁68を開放することによって、バック40cは、部分的、例えば、50%を上回って排液することが可能になり、その後、上から3番目の棚34上の供給バック40bに対する弁68を開放することによって、バック40bは、部分的、例えば、50%を上回って排液することが可能になり、その後、底部棚32上の供給バック40aに対する弁68を開放する。流体は、重力によってポンプに流入し、空気は、各バック40の後部に浮遊する傾向がある。この順序を使用して、供給バック40の全ては、溶液ライン46にいかなる空気も吸引せずに空になることが可能である。全ての供給ライン48が一度に開放される場合、下側バック40aおよび40bは、上側供給バック40cおよび40dからの流体の重みにより膨張する。
【0111】
可撓性袋型カセット100が、弁チャンバ114を含むか、または上述のピンチクランプ68を代わりに使用する場合に、弁チャンバ114を含まなくてもよいことを理解されたい。さらに、システム10および機器20に関連して開示する装置および方法が、ピンチクランプ68との使用に限定されず、代わりに上述の弁チャンバ114と使用可能であることを理解されたい。さらに、代替として、システム10は、弁チャンバ114およびピンチクランプ68の組み合わせにより、例えば、治療中にカセットベースの弁チャンバ114を使用し、設定状態およびアラーム状態中にピンチクランプ68を使用して動作することが可能である。
【0112】
次に
図17A、
図17Bを参照すると、カセット130は、3つのポンプチャンバの使い捨てポンプおよび弁カセットの一実施形態を示す。
図18Aから
図18Cは、所望の出力を達成するために、3つのポンプチャンバを動作するための3つの方法を示す。
【0113】
図示する実施形態におけるカセット130は、ポンプチャンバ112aから112c(本明細書において総称してチャンバ112と呼ぶか、または概して、個別にチャンバ112と呼ぶ)を形成するように、基部壁118から延出する隆起116を含む基部壁118を有する剛体部分110等、カセット100と同一の構造または同一の種類の構造を多く含む。また、隆起116は、上述のように弁チャンバ114を画定する。代替として、3つの弁チャンバ112を含むカセット130は、ピンチクランプ68と動作し、弁チャンバ114を使用または提供しない。
【0114】
図17Bは、カセット130の裏側を示す。ここで、基部壁118から延出する隆起116は、流路132を画定する。流路132は、マニホールド区間134aおよび134bと、マニホールド区間134aおよび134b間で延出するバッフル区間136aから136fとを含む。流路132のマニホールド区間134aおよび134bならびにバッフル区間136aから136によって、ポンプチャンバ112間のクロストークが可能になり、その結果、
図18Aから
図18Cに関連して後述する流動パターンが、
図17Cに関連してより詳細に以下に示すように達成可能になる。
【0115】
カセット130は、上述のように可撓性シート104aおよび104bを含む。シート104aおよび104bは、剛体部分110の両側面ならびにポンプチャンバ112および弁チャンバ114の隆起116に溶接または接着される別々のシートであることが可能である。代替として、シート104aおよび104bは、上述に示す単一のシート102bによって提供され、シート102bは、
図16に関連して図示および上述したように、折り畳み縁106および溶接縁もしくは接着縁108aから108cを含む。
【0116】
図17Cは、
図17Aおよび
図17Bの3ポンプのカセット130に関する1つの可能な弁配置を示す。
図17Cは、カセット130の底部から延出するポートを示し、これは、カセット中のいかなる空気もカセットの上部に上昇し、流体のみがカセットの底部から出る傾向にあるため、空気対処に関する1つの好適な配置である。「A」で表示するボックスは、機器20内に位置する空気センサと相互作用するカセット130の領域である。「T」で表示するボックスは、機器20内に位置する温度センサと相互作用するカセット130の領域である。「C」で表示するボックスは、機器20内に位置する伝導性センサと相互作用するカセット130の領域である。
【0117】
図示するように、カセット130は、6つの供給ポートと、専用の患者へのポートと、患者へ/からのポートと、排液ポートと、さらなる供給を混合するため、またはバッチ加熱器からの流体を送るもしくは受けるための追加のポートとを含む。カセット130は、上述の3つのポンプチャンバ112aから112cを含む。
図17Aおよび
図17Bにおける弁114は、弁VlからV28によって区別される。以下の弁状態は、カセット130を介して達成可能である異なる流動形態を示す単なる例である。
【0118】
患者の予混合溶液による充填は、例えば、未使用の混合溶液を弁V16を介してカセット130に流入可能にし、加熱器から弁1を介してポンプチャンバ112cに流入することによって発生可能である。同時に、ポンプチャンバ112bは、開放弁V10、V15、V27、および患者へ/からのポート弁を介して、同じ流体を患者に押圧する。本様態では、患者へのポートおよび弁は必要ない。同時に、ポンプチャンバ112cは、後述するような体積測定判断を実行することが可能である。代替実施形態では、専用の患者へのポートおよび弁を、患者への第2の出口として使用する。
【0119】
患者からの廃液排出は、例えば、患者へ/からの弁およびポートを介して廃液をカセット130に流入可能にし、弁V26およびV12からポンプチャンバ112aに流入することによって発生可能である。同時に、ポンプチャンバ112bは、開放弁V4および排液弁を介して排出するように廃液を押圧する。本様態では、専用の患者へのポートおよび弁は必要ない。同時に、ポンプチャンバ112cは、後述するような体積測定判断を実行することが可能である。代替実施形態では、温度センサアクセス弁V15が、チャンバ112aに入る廃液の温度を検知可能にするように、同時に開放可能である。
【0120】
濃縮混合液の様態では、チャンバ112cは、弁Vl7およびV7を介して濃縮液供給1から充填可能である。チャンバ112bは、弁V20およびV9を介して濃縮液供給2から充填可能である。
図18Cにおいて後述するアキュムレータとして本図面において作動するチャンバ112aは、弁V5およびV16を介して濃縮混合液を、例えば混合器へ送出する。代替実施形態では、別々の混合器を使用せず、患者ラインの長さが、濃縮液の混合に十分であり、代替として、チャンバ112aが、弁V5、V28、V27、および患者へ/からの弁を介して、まとめて患者に送出する。
【0121】
図18Cにおいて後述するような第2のストロークでは、チャンバ112cおよび112bは、そのそれぞれの濃縮液の半分を弁V1およびV3のそれぞれを介して空にし、V5を介してまとめてチャンバ112aに流入させる。同時に、チャンバ112cおよび112bは、そのそれぞれの濃縮液の残りを弁VlおよびV3のそれぞれを介して空にし、弁V16を介してまとめて混合器に流入させる。代替実施形態では、別個の混合器を使用せず、患者ラインの長さが、濃縮液の混合に十分であり、代替として、チャンバ112aおよび112bは、弁V1およびV3のそれぞれ、弁V28、V27、および患者へ/からの弁を介して、そのそれぞれの濃縮液の残りをまとめて患者に流入させる。
【0122】
多重路流動様態では、チャンバ112cは、未使用の、例えば、予混合溶液を、V17およびV7を介して供給1から充填する。同時に、チャンバ112bは、弁V3、V28、および患者への弁を介して、患者への未使用の液を患者に送出する。同時に、チャンバ112aは、患者へ/からの弁ならびに弁V26およびV12を介して、患者から廃液を充填する。ここで、流体は、正味流体損失がないかまたは限外ろ過(UF)が行なわれるため、再循環可能である。
【0123】
UFから排液へのモードの多重路流動例では、チャンバ112cは、弁Vl、V28、および患者への弁を介して、患者への未使用の液を患者に送出する。同時に、チャンバ112bは、患者へ/からの弁ならびに弁V26およびV10を介して、患者から廃液を充填する。同時に、チャンバ112aは、廃液を、弁V6および排液弁を介して排出に送出する。代替のUFからバックからバックの多重路モードでは、チャンバ112aは、代替として、廃液を、供給バック、例えば、供給3に、弁V11、V24、およびV25を介して移す。
【0124】
UFバックからバックへの多重路モードの第2の状態では、チャンバ112cは、未使用の、例えば、予混合溶液を、弁V17およびV7を介して供給1から充填する。同時に、チャンバ112bは、弁V3、V28、および患者への弁を介して、患者への未使用の液を患者に送出する。同時に、チャンバ112aは、患者へ/からの弁ならびに弁V26およびV12を介して患者から廃液を充填する。
【0125】
2重または多重チャンババックが適切に開放しているかを確認する試験を実行することが可能である。ここで、ポンプチャンバのうちの1つは、流体を排出に送出し、伝導性センサ(「C」)に流体を通過させて、測定された伝導性が適切に混合した溶液を標示するかを確認し、適切に混合した溶液である場合、療法を進行することが可能であり、不適切に混合された場合では、アラームが発生する。
【0126】
図18Aは、ポンプチャンバ112のための1つのポンプ順序を示し、この順序では、チャンバ充填ストローク(黒色部分)が、チャンバ送出ストローク(斜線部分)よりも持続時間が若干短く、これらのストロークは、比較的短い流体測定時間(点状部分)によって分離される。流体測定(ポンプで送られる流体の量)方法については、以下に詳述する。また、チャンバ送出ストローク(斜線部分)の後に発生する流体測定時間(点状部分)を排除する方法についても以下に説明する。
【0127】
一実施形態では、空気圧式アクチュエータは、ポンプチャンバ112のうちの1つに流体をポンプで送出またはポンプに送入するために、陰圧および陽圧をシート104aに印加する。ポンプ制御器、例えば、マイクロプロセッサおよびコンピュータプログラムメモリは、空気圧式アクチュエータを制御して、適切な時に適切なチャンバ112に陽圧もしくは陰圧を印加するか、または圧力を印加しないようにする。プロセッサは、任意の所定の時間において、各ポンプアクチュエータがどの状態にあるべきかをプロセッサに伝えるプログラムによってサイクルする。プロセッサは、そのサイクルに基づいて各アクチュエータを制御する。
【0128】
3ポンプのカセット130は、充填中に連続流を患者に提供し、また、例えば、インライン加熱器を介して供給バックから連続的に流体を引き込む。
図18Aに示すように、任意の所定時に、少なくとも1つのポンプチャンバ112aから112cは、患者またはアキュムレータに流体を送達している(アキュムレータの一目的は、
図18Cに関連して後述する)。任意の所定時に、少なくとも1つのポンプチャンバ112aから112cは、加熱済の透析液で患者を充填している。
【0129】
図18Aに示すように、時間Tlにおいて、ポンプチャンバ112aは、前の送出ストロークから測定計算のために休止しており、ポンプチャンバ112bは、流体を患者へ送出しており、ポンプチャンバ112cは、流体を充填している。時間T2において、ポンプチャンバ112は、流体を充填しており、ポンプチャンバ112bは、依然として流体を患者に送出しており、ポンプチャンバ112cは、前の充填ストロークから測定計算のために休止している。時間T3において、ポンプチャンバ112aは、依然として充填しており、ポンプチャンバ112bは、充填ストロークを開始しており、ポンプチャンバ112cは、送出している。時間T4において、ポンプチャンバ112aは送出しており、ポンプチャンバ112bは、充填しており、ポンプチャンバ112cは、測定計算のための休止時間を開始している。時間T5において、ポンプチャンバ112aは、依然として送出しており、ポンプチャンバ112bは、送出することを開始しており、ポンプチャンバ112cは、充填している。時間T6において、ポンプチャンバ112aは、充填しており、ポンプチャンバ112bは、送出しており、ポンプチャンバ112cは、充填している。時間T7において、ポンプチャンバ112aは、依然として充填しており、ポンプチャンバ112bは、測定計算のための休止時間を開始しており、ポンプチャンバ112cは、送出している。時間T8において、ポンプチャンバ112aは、送出ストロークを開始しており、ポンプチャンバ112bは、充填しており、ポンプチャンバ112cは、送出している。時間T9において、ポンプチャンバ112aは、送出しており、ポンプチャンバ112bは、充填しており、ポンプチャンバ112cは、充填ストロークを開始している。
【0130】
上記順序は、ポンプチャンバ112aから112cを充填するか、またはチャンバ112を患者に送出させる未使用の流体に関連して説明しているが、同一の順序を、ポンプチャンバ112aから112cを充填するか、またはチャンバ112を排出へ送出する使用済み流体に用いることが可能である。いずれの場合でも、充填および送出ポンプチャンバ112は、3つのチャンバ112の動作が重なる場合に連続的である。
【0131】
図18Bは、
図18Aの順序と類似する順序を示す。しかしながら、本図面において、充填ストロークと送出ストロークの重複は同一である。
図18Bは、充填ストロークと送出ストロークとの相対的持続時間が、特定のポンプチャンバおよび作動構成に適合するように修正可能であることを示す。また、
図18Aおよび
図18Bは、送出ストロークが開始しようとする度に、例えば、流体の送出の連続性を中断させずに開始しようとするチャンバから少量の空気を排出するために、送出ストロークの開始が短時間遅延可能であるように、既に進行中である別の送出ストロークが十分長く進行中のままでいることを示す。例えば、
図18Bにおける時間Tにおいて、ポンプチャンバ112aは、未使用の流体の患者への送出か、使用済み流体の排出への送出のいずれかを開始することになっている。ポンプ送出ストロークの開始は、ポンプチャンバ112cが、その残りの送出ストロークの一部を依然として有することから、例えば、連続流を中断せずに、空気を排出するために短時間遅延し得る。
【0132】
図18Cは、患者のための安定透析液を生成するために、例えば、2つの供給源からの流体が混合される順序を示す。これは、PDまたはHDのいずれか、オンラインまたはバックもしくは容器からのいずれかに対して実行可能である。本図面において、ポンプチャンバ112aおよび112bは、同期される。ポンプチャンバ112aおよび112bは、一実施形態において既に混合した未使用の流体を受ける。代替として、ポンプチャンバ112aは、1つの流体をポンプで送り、一方、ポンプチャンバ112bは、第2の流体をポンプで送り、各々の流体は、同一のラインに流入し、そのラインにおいて2つの流体が適切に混合される。ポンプチャンバ112cは、ポンプチャンバ112aおよび112bから混合流体を受けるアキュムレータである。ポンプチャンバ112cは、患者に送出する。
【0133】
図18Cの順序を動作するシステムは、システムの流路が、患者への送出ストローク流れ中にポンプチャンバ112aおよび112bに混合流体の半分が残り、一方、残りの半分の流れが充填ポンプチャンバもしくはアキュムレータ112cを充填するように、弁を操作されるかまたは構造化される。ポンプチャンバ112aおよび112bが充填している際に、アキュムレータまたはポンプチャンバ112cは、その混合流体を患者に送る。アキュムレータ112cへ、およびアキュムレータ112cからの全流体は、ポンプチャンバ112aおよび112bの測定時間において考慮されているため、アキュムレータ112cにポンプで送るための別の測定時間が必要とされない。ここで、患者への流入は連続的である。濃縮液源からの充填は断続的である。類似のルーティンを使用して、廃液を患者から除去し得る。アキュムレータ112cは、常に、このルーティンで患者からの廃液を充填することを試行する。ポンプ112aまたは112bが充填する際、ポンプは、アキュムレータ112cならびに患者から一部の流体を引き込む。
図18Aまたは
図18Bのうちの1つ等のルーティンを代わりに使用して、患者からの流出が連続的かつ平滑的であるように、廃液を引き込み得る。
【0134】
(カセットインターフェース改善)
次に
図19から
図22を参照すると、空気圧システム150は、本開示の使い捨てカセットポンプインターフェースの一実施形態を示す。システム150は、使い捨てカセット140を含む。使い捨てカセット140は、上述のカセット100および130と類似し、同一の番号を有する多くの同一構成要素を含む。カセット140は、剛体ハウジングまたは部分110を含む。可撓性シート104aおよび104b(
図19には図示されない)は、剛体部分110に溶接または接着される。代替として、シート104aおよび104bは、カセット100に関連して上述したように、単一の折り畳まれたシート102から形成される。カセット140は、カセット100について
図16に示した側の裏側から示される。本図面において、ポンプチャンバ112aおよび112bは、外側に膨張し、
図16に示すポンプチャンバ112の裏側を示す。カセット140は、代替として、カセット130に関連して上述したように、第3のポンプチャンバ112cを含むことが可能である。
【0135】
カセット140は、上述のように基部壁118を含む。隆起116は、基部壁118から外側に延出し、複数の流路132を形成する。カセットシートと相互作用する弁チャンバ114およびポンプチャンバ112の表面は、
図19に示す側とは反対の側のカセット140上に設けられる。カセット140は、流路132と流体連通し、かつ例えば
図16に関連して上記に示す供給管48、患者ライン52、および排液ライン54等の管に密封接続する複数の弁ポート126をさらに含む。
【0136】
空気圧システム150は、
図20および
図22に関連して詳細に示す膜ガスケット145を含む。膜ガスケット145は、複数の場所において、
図20および
図21に関連して詳細に示すカセットマニホールド180に対してプレス嵌めおよび密封する。具体的には、カセットマニホールド180は、膜ガスケット145が取り付けおよび密封されるインターフェース板185を含む。
【0137】
次に
図20および
図22を参照すると、膜ガスケット145について詳細に説明する。膜ガスケット145は、シリコーンゴム、エチレンプロピレンジエン単量体(EPDM)ゴム、バイトン、または優れた疲労寿命を有する他のエラストマー等の、適切な圧縮性で水密性の材料から作製される。一実施形態では、膜ガスケット145は、圧縮成形シリコーンゴムから作製される。膜ガスケット145は、カセット140のシート104aとインターフェースし、かつ当然ながらそれとともに動作する側面146を含む。膜ガスケット145は、種々の場所においてインターフェース板185とさまざまな位置でインターフェースし、密封する反対側面154を含む。
【0138】
膜ガスケット145のカセット側146は、突出したポンプ隆起148aおよび148bを含み、この隆起は、ある実施形態では、例えば、ポンプチャンバ112の形状の形成として
図16および17Aで示す突出した隆起116に嵌合し圧力密封する。例えば機器20のドアに含まれる空気圧袋は、カセット145に対してガスケット板(図示せず)を圧迫するように、ドアの閉鎖時に膨張可能であり、次いで、カセット145のシート104aが、突出した隆起148aおよび148bに対して圧縮され、その結果、隆起148aおよび148bは、使い捨てカセット140のポンプチャンバ112の突出した隆起116の周囲にOリング状の密封を形成する。この密封は、名称が「Systems, Methods and Apparatus for Pumping Cassette Based Therapies」である米国特許出願第2004/019313 Al号および名称が「Systems and Methods for Control of Pumps Employing Electrical Field Sensing」である米国特許第6,261,065号において説明され、この両方は、参照により本明細書に組み込まれ、本開示の最終的な譲受人に譲渡されている。
【0139】
膜ガスケット145のカセット対向面146は、包囲された経路を形成する突出した隆起152をさらに含み、同様に、使い捨てカセット140の弁チャンバ114の突出した隆起116の周囲を密封する。
図16は、10個の弁チャンバ114を示し、これらは、概して、膜ガスケット145のカセット面146の10個の包囲型隆起152と整列し、かつそれらと同一の形状を有する。前述のように、ある実施形態では、包囲型隆起152は、使い捨てカセット140の弁チャンバ114の隆起116と嵌合および圧力密封する。
【0140】
図22は、カセットマニホールド180のインターフェース板185と対向およびインターフェースする膜ガスケット145の反対表面154を示す。突出した縁156は、ガスケットがその形状を保持するように、表面154の外側に沿って存在する。また、内側平坦部158も、表面154から外側に延出する。平坦部158と突出したリム156との間の材料の除去によって、機器のドアの閉鎖時に、2つの構造が独立して動作することが可能になり、カセット140は、機器のドアと、インターフェース板185により保持される膜ガスケット145との間で圧迫される。突出したリム156は、任意により、インターフェース板185の突出した縁202の周囲に密封し、膜ガスケット145がインターフェース板へ密封し、水または粒子の侵入を防止することに役立つ。
【0141】
平坦部158は、一対のブラインドポンプウェル160aおよび160bを画定する。ブラインドポンプウェルは、膜ガスケット145の厚さの全てを貫通しない。代わりに、ポンプウェル160aおよび160bの各々は、膜ガスケット145の厚さの大部分を貫通するが、薄壁168を残す側壁162を含む。以下に詳述するように、薄壁168は、カセットのポンプチャンバ112aおよび112b内に存在するカセット140のシート104とともに動作する。
【0142】
同様に、平坦部158は、複数のブラインド弁ウェル164を画定する。ブラインド弁ウェル164は、同様に、膜ガスケット145の平坦部158の全てを貫通しない。代わりに、ブラインド弁ウェルは、平坦部158の大部分を貫通するが、ブラインド壁168で終端となる側壁166を含む。ブラインド弁ウェル164のブラインド壁168は、次いで、弁チャンバ114におけるシートカセット104aとともに動作する。
【0143】
膜ガスケット145は、膜ガスケット145の平坦部158を完全に貫通するポートまたは開口部170を画定する。したがって、開口部170は、
図22の表面154および
図20の表面146の両方において確認される。
図20にさらに示すように、膜ガスケット145の表面146上の突出したポンプ隆起148aおよび148bならびに突出した弁隆起152は、空気圧ポート170を包囲および取り囲む。以下に詳述するように、空気圧ポート170によって、膜ガスケット145を通って印加される陰圧が、ブラインドポンプウェル160aおよび160bの表面168ならびに弁ウェル164の表面168を、カセット140のシート104aとともに引き込むことが可能になる。本構成によって、壁168およびシート104aは、使い捨てカセットの個々のポンプチャンバ112および弁チャンバ114の各々について、単一の膜として動作する。
【0144】
膜ガスケット145は、平坦部158を完全に貫通しないだけのデッドスペース172も含む。したがって、デッドスペース172は、
図22のバルク表面154においてのみ確認される。デッドスペース172は、必要のない材料を膜ガスケットから除去するため、膜ガスケット145の費用効率が良くなる。
【0145】
図20および
図21は、インターフェース板185を示す。インターフェース板185は、アルミニウム等の金属またはプラスチックから作製可能である。インターフェース板185およびカセットインターフェース180の種々の構成については、
図23から
図30に関連して後述する。インターフェース板185は、側壁186、上部壁188、および上部壁188から延出する包囲型縁202を含む。上述のように、縁202は、2つの構造間の密封環境の保持に役立てるように、膜ガスケット145のリム156内に摩擦的に適合する。
【0146】
ポンプチャンバウェル190aおよび190bは、膜板185において画定されるか、膜板185よって提供される。ポンプウェル190aおよび190bは、使い捨てカセット140のポンプチャンバ112aおよび112bのそれぞれと協働する。具体的には、ポンプウェル190aおよび190bは、空気圧式作動ポート198を含む。空気陰圧がポート198を介して供給されると、陰圧は、ブラインド壁168およびポンプチャンバに関連するシート104aの組み合わせを、ウェル190aまたは190bの壁に向かって引き込む。これにより、シート104aと、カセット140の剛体部分110のポンプチャンバ112との間の体積が膨張し、陰圧がカセット内に生成され、次いで、流体の体積(未使用または使用済み)がポンプチャンバ112に引き込まれる。同様に、陽圧が開口部198を介して印加されると、陽圧は、ポンプウェル190/ポンプチャンバ112インターフェースにおけるブラインド壁168およびカセットシート104aの組み合わせを押圧し、これによって、壁168およびシート104aが剛体部分110のポンプチャンバ112内またはそれに向けて押圧され、次いで、それぞれのポンプチャンバ112から患者または排液管へ流体を一掃または押圧する。
【0147】
ポンプウェル190aおよび190bの各々は、壁192を含む。壁192は、膜ガスケット145のそれぞれのブラインドウェル160aまたは160bの壁162内に密封して隙間無く適合する。インターフェース板185の壁192とポンプウェル160aおよび160bの壁162の間の密封インターフェースによって、システム150内の種々のポンプおよび弁の密封および分離された動作がさらに強化される。
【0148】
また、インターフェース板185は、複数の突出した弁座部194も含む。具体的には、弁座部194は、膜ガスケット145のブラインド弁ウェル164毎に設けられる。各弁座部194およびブラインド弁ウェル164は、使い捨てカセット140の弁チャンバ114のうちの1つに対応する。弁座部194は、インターフェース板185の上面188から外側に延出する突出した側壁196を含む。膜ガスケット145の弁ウェル164は、弁壁164の壁166が弁座部194の壁196に対して密封するように、弁座部194の周囲に隙間無く適合する。
【0149】
弁作動ポート198は、座部194の少なくとも実質的に中心に画定される。ある実施形態では、弁座部194の上面は、作動ポート198に向かって下方に傾斜する。これによって、嵌合するブラインド面168およびカセットシート104aが、カセット140の弁チャンバ114から引き込まれて離れ、それぞれの弁が開放可能になり、そこから流体が流動可能になる。
【0150】
図16に示すように、各弁チャンバ114は、比較的中心に位置する突出する火山型ポートを含む。カセット140をシステム150と使用する場合、火山型ポートの各々は、作動ポート198のうちの1つに整列される。作動ポート198のうちの1つに陽圧が印加されると、陽圧は、それぞれの弁座部194およびカセット140の弁チャンバ114において、協働するブラインド壁168およびカセットシート104aを押圧して、火山型ポートを被覆または閉鎖し、それぞれの弁チャンバ114を閉鎖する。
【0151】
図21において最もよく分かるように、インターフェース板185は、複数のガスケット密封ポート200を含む。ガスケット密封ポート200は、ポンプウェル190aおよび190b毎ならびに弁座部194毎に設けられる。
図21および
図22の図から、密封ポート200が膜ガスケット145の開口部170と嵌合することを理解されたい。密封ポート200は、開口部170の一部または全部を貫通することが可能である。ある実施形態では、開口部170は、ポート200の周囲にプレス嵌めして、ポートと開口部170を画定する壁との間に密封適合を形成する。
【0152】
突出する弁座部194の垂直面196、ポンプウェル190aおよび190bの壁192、ならびに真空ポート200の上の密封膜ガスケット145が、カセットインターフェースのポンプ範囲および弁範囲に複数の密封を提供する。すなわち、膜ガスケット側の密封に加え、インターフェース板185と膜ガスケット145との間、ならびにガスケット145とカセットシート104aとの間に追加の圧力密封が存在する。
【0153】
一実施形態では、カセット140のポンプチャンバおよび弁チャンバ上のシート104aに対向する薄い可撓区間における膜ガスケット145の対向面は、テクスチャ加工される。薄めの区間における膜ガスケット145のその同一側面の表面であって、カセット140のポンプチャンバ、弁チャンバ、および流路セパレータのカセットリブに対して圧縮および密封するより厚い表面は、テクスチャ加工ではなく、カセットシート104aと、ガスケット隆起148a、148b、および152との間の良好な密封を形成するために、繊細な平滑表面仕上げを有する。
【0154】
膜ガスケット145の薄い区間のテクスチャ加工によって、カセット140の弁チャンバおよびポンプチャンバの各々の対向面を横切って移動する、真空ポートからの空気のための流路が提供される。また、テクスチャ加工は、カセットをシステムから取り外す際に、膜ガスケット145とカセットシート104との密着を防止する傾向にある。また、カセット140をインターフェース板185から取り出すために、療法終了時に、ポート200を介して小陽圧を導入することも想定される。代替として、陽圧は、弁作動ポート198を介して印加可能である(カセットの取り外し時に、カセット140のカセット弁チャンバを閉鎖するために使用する)。この動作によって、ポンプチャンバ112および弁チャンバ114の上で膜ガスケット145が膨張し、インターフェース板185からカセット140を押圧して離す。
【0155】
操作中、ポート200および開口部170を介して陰圧が印加され、所定のポンプチャンバまたは弁チャンバのための膜ガスケット156のブラインド壁168に対して密着するようにカセットシート104aを引き込む。ポンプウェル190aおよび190bならびに弁座部194の作動ポート198を介して印加されるのが陽圧または陰圧であるかにかかわらず、治療中にこの陰圧が印加される。
【0156】
上述のように、カセット140に対する陽圧および陰圧の印加に関する動作は、コンピュータにより制御される。また、このような作動を制御するプロセッサは、圧力センサ入力等の入力を受信および処理することも可能である。例えば、弁密封ポート200の各々にリンクするマニホールド内の圧力を検知するために、圧力センサを装備および適用することが可能である。
【0157】
圧力センサを使用すると、コンピュータプログラムと組み合わせたプロセッサは、前に可能ではなかった精度を有する完全な試験を実行することが可能になる。上述の装置を考慮すると、膜ガスケット145またはカセットシート104aのいずれかに穴が形成される場合に、センサが検知するマニホールドにおける真空レベルは低下し始める。プロセッサまたは論理実装部へのセンサ出力は、陰圧低下を標示する。プロセッサおよびコンピュータプログラムは、低下信号検出し、漏出が存在することを出力する。出力によって、(i)療法の停止、(ii)アラームの鳴動、(iii)視覚的メッセージの表示、および(iv)患者またはケア提供者への漏出の存在に関する音声説明のうちのいずれかが促されることが可能である。
【0158】
また、プロセッサは、伝導性センサ等の任意のまたはさらなる湿度センサからの1つ以上の信号も受け入れる。1つ以上のセンサは、カセット140の下の機器に、例えば、カセット140の下のチャネル型ウェルに位置する。伝導性センサの出力は、圧力センサの出力と論理的に組み合わせられる。
【0159】
圧力センサおよび伝導性センサからの論理的に組み合わせられた信号により、以下の診断能力がもたらされる。漏出が検出される場合、例えば、陰圧低下が検出されるが、湿度が検出されない場合、漏出は、膜ガスケット145からのものであると論理的に判断される。すなわち、カセット140は、伝導性センサに流体を漏出していない。漏出が検出され、かつ流体が検出される場合、漏出は、カセット140からのものであると論理的に判断される。
【0160】
個々のポンプ壁190aおよび190bおよび弁座部194とともに複数の圧力センサを使用すること、または1つ以上の圧力センサを多重化することが実現可能である範囲内において、システム150の診断能力は、どの構成要素が漏出しているかだけでなく、その構成要素のどの範囲が漏出しているかを特定可能であるように使用することが可能である。例えば、ポート200に及ぶ管は、ポンプ管と弁管とに分離され得る。第1の圧力センサは、第1のポンプまたは第2のポンプのいずれかにおける漏出を特定するために、異なるポンプに通じる管の間で多重化し得る。次いで、伝導性センサは、カセットポンプの漏出またはガスケットポンプの漏出についてシステムに報告する。第2の圧力センサは、異なる弁における漏出を探索するために多重化し得る。弁1から弁5は、例えば、圧力を維持するように全て正しく作動する一方で、弁6は、漏出を示し、これは、弁6と動作するカセットシートまたはガスケットの一部分が漏出していることを意味する。伝導性センサは、漏出しているのが弁6の位置におけるカセットシートまたはガスケットであることをシステムに報告する。
【0161】
本開示のカセットインターフェースの別の利点について、
図23、
図24、
図25Aおよび
図25B、
図26Aおよび
図26Bによって示す。一実施形態におけるシステム10は、米国特許第4,826,482号(以下「特許’482号」)に教示されるボイルの法則ベースの流体測定方法を使用し、この特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。本方法は、ポンプ作動ポート198に注入(またはポート198から排出)される空気が、カセット140を流動する流体と同一の温度であり、体温または約37°Cに加熱される参照チャンバ210aおよび210b内の空気と同一温度であることを前提として動作する。透析液と動作空気温度との間に温度差が存在する場合、体積精度が含まれる。
【0162】
温度センサを装着する構成要素が、測定する空気と同一の温度でない場合、空気の温度を迅速かつ正確に測定することは難しい。また、現時点において、HomeChoice(登録商標)Pro APDシステムにおける体積較正を実行する前に、最低2時間のウォームアップ時間が必要とされ、これによって、インターフェース板185、参照チャンバ210aおよび210b、ポンプカセット110におけるにポンプチャンバ112、ならびにポンプで送られる流体の全てが約37°Cに暖められる。
【0163】
図19および
図20は、空気圧ソレノイド弁202が、板182に直接装着されることを示す。
図23は、既知の体積の空気を保持する体積参照チャンバ210aおよび210bが、一実施形態においてインターフェース板185の裏側204上に位置することを示す。体積参照チャンバ210aおよび210bの目的および動作については、特許第’482号に説明され、また、特許第’482号に対する改善を開示する
図27、
図28Aから
図28F、および
図29に関連して後述する。ここで、チャンバ210aおよび210bを使用して、カセットからポンプで送られる流体の体積を計算することが理解される。ここでの利点は、弁202および体積参照チャンバ210aおよび210bが、相互に、および膜ガスケット145への空気圧式経路に近接して配置されることにある。
【0164】
参考までに、
図23におけるインターフェース板185の側面204は、
図20および
図21に関連して上述するように、作動ポート198およびガスケット密封ポート200を示す。図示する実施形態では、参照チャンバ210aおよび210bは、固定かつ既知の体積を有するようにインターフェース板185に正確に形成されるブラインドウェルである。ある実施形態では、銅製メッシュ等の、制御された体積(計られた量)の高度に熱伝導性の材料が、体積参照チャンバ210aおよび210bに位置し、この材料は、ポンプチャンバから低圧の参照チャンバ210aおよび210bへ高圧空気が戻る際に生成される冷却効果に対抗する傾向がある。圧力参照チャンバ210aおよび210b内の空気は、銅製メッシュおよび参照チャンバの壁の温度に迅速に平衡化する。
【0165】
図23では、インターフェース板185は、金属等の熱伝導性材料、例えば、アルミニウム、銅、鉄、またはステンレス鋼から作製される。本システムでは、熱伝導性のインターフェース板185は、例えば、インターフェース板185内に流れる電流を誘導的に生成し、そのバルク抵抗により板を加熱させることによって加熱される。代替として、抵抗加熱器が、例えば、加熱帯208を介して、板185に伝導的に連結される。
【0166】
図示されないが、サーミスタまたは熱電温度計等の温度検知機器が、例えば、参照チャンバ210aおよび210b付近のマニホールドに取り付けられる。温度センサは、プロセッサまたは論理実装部に信号を返送し、プロセッサまたは論理実装部は、抵抗加熱器または電流提供機器に電力を供給する電力供給部を制御し、インターフェース板185の温度を所望の温度に一定に維持する。一実施形態では、インターフェース板185は、約36°または37°Cに加熱される。
【0167】
次に
図24、
図25A、
図25B、
図26A、および
図26Bを参照すると、システム210は、HomeChoice(登録商標)Pro APDシステムに使用するような、遠隔的に位置する弁マニホールドに接続する代替の加熱式カセットインターフェースの実施形態を示す。システム210は、代替のインターフェース板215および別々の加熱式参照チャンバモジュール220を含む。
図24は、代替のインターフェース板215に取り付けられるモジュール220を示す。
図25Aおよび
図25Bは、正面および裏面のそれぞれから代替のインターフェース板215を示す。
図26Aおよび
図26Bは正面および裏面のそれぞれから参照チャンバモジュール220を示す。
【0168】
一実施形態における代替のインターフェース板215は、射出成形のABS、Delrin(登録商標)、Noryl(登録商標)、ポリカーボネート、または任意の他の適切なプラスチック等のプラスチックから作製される。板215の前面212は、カセットインターフェースを提供し、インターフェース板185のカセットインターフェースと大部分は同一の形状を有する。インターフェース板215は、複数の弁座部214を含み、その各々は、突出した平坦部216を含む。平坦部216の各々は、下方に傾斜状または円錐状の差し込み部218を形成し、これは、作動ポート222を画定する。図示する実施形態では、ガスケット密封ポート200は図示されない。しかしながら、ガスケット密封ポート200を追加し得ること、ならびに上記に示す膜ガスケット145を代替のインターフェース板215とともに用いることが可能であることを理解されたい。
【0169】
代替のインターフェース板215は、代替のポンプウェル230aおよび230bを含み、その各々は、複数の作動ポート232および伝導性金属、例えば、アルミニウムまたは銅のインターフェース234を含む。インターフェース234は、ポンプウェル230aおよび230bの裏における開口部236を貫通するものとして、
図25Bにおいて板215の背面図において示される。伝導性インターフェース234は、加熱式参照チャンバモジュール220の加熱式参照チャンバに接触し、その結果、加熱式参照チャンバからの熱が、次いで、伝導性インターフェース234を加熱する。次いで、加熱式伝導性インターフェース234は、ポンプウェル230aおよび230bと、嵌合した膜ガスケットとの間に存在する空気を加熱する。
【0170】
図24および
図25Bは、空気圧継ぎ手238を示し、これは、一実施形態では、遠隔的に位置する弁マニホールドと、成形プラスチックインターフェース板215とに連結される。継ぎ手238は、流入する陽圧空気および陰圧空気を、弁座部214(
図25A)または194(
図21)と、膜ガスケット145の弁ウェル164とに向けるため、この空気の温度は、体積ポンプ精度に関連しない。すなわち、カセット140のポンプチャンバ112に流入する空気のみを加熱する必要がある。したがって、モジュール220は、インターフェース215に適合する比較的小さいパッケージで作製可能である。
【0171】
図26Aおよび
図26Bは、加熱式体積参照チャンバモジュール220を示す。
図26Aに示すように、体積参照チャンバ240aおよび240bは、側壁244、装着板246、およびカバー248を有するケーシング242に適合される。側壁244、装着板246、およびカバー248は、金属または熱伝導性のプラスチックにより作製可能である。体積参照チャンバ240aおよび240bは、装着板246の一部として一体的に形成可能であるか、または装着板に取り付けられる別々のものとして形成可能である。加熱ワイヤ250は、Watlow Electric Manufacturing Company(St. Louis、Missouri)、Chromalox Corporation(Pittsburgh、Pennsylvania)、またはTempco Electric Heater Corporation(Wood Dale、Illinois)により製造されるもの等の、カートリッジ型の加熱要素に及び、例えば、円形の装着開口部に適合する。また、加熱ワイヤ250は、抵抗加熱要素に及ぶことが可能であり、抵抗加熱要素は、例えば、体積参照チャンバ240aおよび240bの周りに巻くかまたはそれらに接触し、体積参照チャンバを伝導的、対流的、または輻射エネルギーを介して加熱することが可能である。前述のように、温度センサは、加熱制御器にフィードバックを提供するように、加熱式モジュール220に組み込まれ、加熱制御器は、体積参照チャンバを36°℃または37°C等の一定かつ所望の温度に維持するか、または代替として、透析液をポンプで送る際に、対応する使い捨てカセットが到達する平衡または平均動作温度に維持する。
【0172】
体積参照チャンバ240aおよび240bの各々は、伝導性インターフェース252を含み、伝導性インターフェース252は、
図25Aおよび
図25Bに示すポンプウェル230aおよび230bの伝導性インターフェース234と嵌合する。伝導性インターフェース252は、銅またはアルミニウム等の熱伝導性材料から作製される。したがって、加熱要素からの熱が、一実施形態において伝導性アルミニウムまたは銅である参照チャンバに移動することを理解されたい。熱は、伝導性インターフェース252、伝導性インターフェース234、および作動空気に伝導し、作動空気は、弁254を介して参照チャンバ240aおよび240bから、インターフェース板215のポンプウェル230aおよび230bの作動ポート232を通って、膜およびガスケットにポンプで送られ戻される。
【0173】
図示しないが、伝導性参照チャンバ240aおよび240bとモジュール220のハウジング242の周囲に適切な絶縁材料を分散することが可能である。絶縁材料は、例えば、絶縁ウールまたは繊維ガラスであることが可能である。また、継ぎ手254から遠隔的に位置する弁マニホールドまで及ぶ管から、比較的短い管経路上のポンプポート232に戻って及ぶ管にまで絶縁材料を適用し、大気への熱損失をさらに最小化することが可能である。また、空気圧構成要素が近接することによっても本構成が加熱され、これによって、構成要素は、所望の安定温度に維持可能になる。これらの特徴は、特許第482号の方法と、後述する改良された方法との両方を使用してポンプで送られる流体の測定体積における温度関連の誤差を低減させる。また、遠隔に位置する弁マニホールドを加熱して、体積精度をさらに改善することが可能である。
図24から
図26に示す実施形態は、
図19から
図23の実施形態よりもより複雑である。しかしながら、後者の実施形態は、カセットインターフェースから弁を移動させて離し、弁を適切なエンクロージャ内に包み込むことが可能になる。
【0174】
(リアルタイム体積測定)
次に
図27を参照すると、システム250は、本明細書に説明する透析システム10の空気圧式制御に関する一実施形態を示す。システム250の上部は、
図19から
図24、
図25A、
図25B、
図26Aおよび
図26Bに関連して上述した構成要素を表す。LP、LS、LH、LF、LD、RP、RS、RH、RF、RDは、膜ガスケットの弁ウェルおよび使い捨てカセットの弁チャンバを表す。10個の弁について本図面および
図19から
図24、
図25A、
図25B、
図26Aおよび
図26Bにおいて説明しているが、混合に対応するか否か、またはインラインもしくはバッチ加熱を使用するか否かに関わらず、供給バック能力等の多くの要因に基づいて設けられる弁の数は増減し得る。
【0175】
ガスケット密封ポート200の弁および空気圧ラインは、
図27に図示されない。上述のように、ポート200の各々にまで及ぶマニホールドと組み合わせる弁の1つまたはいくつかが、全てのガスケット密封ポート200aを制御可能であるように、ポート200をまとめて加圧することが可能である。
【0176】
左側および右側ポンプチャンバは、マニホールドのポンプウェルおよび使い捨てカセットのポンプチャンバ112を表す。VSLおよびVSRは、上述の体積参照チャンバである。図示するように、圧力変換器X−VSLは、参照チャンバVSLにおける圧力を監視する。圧力変換器X−VSRは、参照チャンバVSRにおける圧力を監視する。
【0177】
弁C0からC4およびD1からD5は、
図24および
図25Bに示す3方弁である。A0およびB4は、
図26Aに示すポンプ制御弁254である。残りの弁A、C、およびDは、機器20の他の場所に位置する。
【0178】
また、システム250は、複数の陽圧タンクおよび陰圧タンクであるNEG T(陰圧、チャンバVSLおよびVSRと連通する)、POS T(陽圧、チャンバVSLおよびVSRと連通する)、NEG P−L(陰圧、左側ポンプチャンバと連通する)、NEG
P−R(陰圧、右側ポンプチャンパと連通する)、POS P−L(陽圧、左側ポンプチャンバと連通する)、およびPOS P−R(陽圧、右側ポンプチャンパと連通する)も含む。別々の圧力変換器X−NEG T、X−POS T、X−NEG P−L、X−NEG P−R、X−POS P−L、X−POS P−Rは、それぞれの圧力タンクにおける圧力を監視する。
【0179】
別々の圧力および真空容器NEG P−L、NEG P−R、POS P−L、およびPOS P−Rによって、以下に詳述するポンプチャンバ112から流体が押圧される(ポンプチャンバ112に引き込まれる)際に、圧力(真空)減衰を測定することが可能になる。
【0180】
参考までに、機器20のドアに位置することが可能であり、インターフェース板に対してカセットを押圧するピストンベローズと、全てのラインをクランプ解除可能である閉塞具ベローズが示される。ベローズおよび閉塞具の両方は、一実施形態では、空気圧によって作動される。
【0181】
また、システム250は、後述するリアルタイム方法を実行するように構成されるプログラムコードを有するコンピュータメモリと動作するプロセッサまたは論理実装部も含む。システム250は、上述のような加熱式マニホールドと動作可能であり、加熱式マニホールドは、一定温度の仮定をより正確な仮定にする。
【0182】
次に
図28A〜
図28Fを参照すると、空気圧式作動を介してポンプで送る流体の体積を測定するための改良された方法が示される。
図28Aから
図28Dは、移動する流体の体積を移動後に計算する方法について例示的に示す。黒色で示す弁は閉鎖され、影無しの弁は開放している。
図28Aおよび
図28Bに示す動作は、
図18Aから
図18Cに関連して上記に示すポンプ送出ストロークの直前の、比較的短い休止測定時間中に発生する。
図28Cおよび
図28Dに示す動作は、
図18Aから
図18Cのポンプ送出ストローク直後の、比較的短い休止測定時間中に発生する。
【0183】
チャンバは、
図28Aおよび
図28Bにおいて流体で満たされている。
図28Aでは、チャンバPOS Tとポンプチャンバ(例えば、左側ポンプチャンバ)との間の弁(または複数の弁)は、開放している。チャンバPOS Tと関連の体積参照チャンバ(例えば、VSL)との間の弁(または複数の弁)は、閉鎖している。これによって、ポンプチャンバは、POS Tの圧力、例えば、7psigに加圧可能になる。通気弁(例えば、
図27におけるA1)は、体積参照チャンバ(例えば、VSL)における圧力がゼロになるように開放する。体積参照チャンバ(例えば、VSL)は、図示する実施形態において、16.5ミリリットルの既知の体積を有する。
【0184】
図28Bでは、弁状態は、チャンバPOS Tとポンプチャンバ(例えば、左側ポンプチャンバ)との間の弁(または複数の弁)が閉鎖するように切り替わる。チャンバPOS
Tと関連の体積参照チャンバ(例えば、VSL)との間の弁(または複数の弁)は、開放している。通気弁(例えば、A1)は、閉鎖している。これによって、ポンプチャンバは、体積参照チャンバ(例えば、VSL)を2.4psigに加圧することが可能になり、ポンプ圧力が7psigから2.4psigに降下する。
【0185】
プロセッサは、満たされている場合の流体ポンプチャンバの後方の空気または気体V
gasの体積を、以下のように計算するように構成される。
【0186】
V
gas,full=(P
ref,final−P
ref,initial)/(P
pressl,initial−P
pressl,final)*V
ref
式中、P
ref,finalは、薬液ポンプが体積参照チャンバ(例えば、VSL)を加圧可能になった後の、体積参照チャンバ(例えば、VSL)における最終圧力であり、本例では2.4psig。
【0187】
P
ref,initialは、薬液ポンプが体積参照チャンバ(例えば、VSL)を加圧可能になる前の、参照チャンバにおける初期圧力であり、本例ではゼロpsig。
【0188】
P
pump,initialは、薬液ポンプが体積参照チャンバ(例えば、VSL)を加圧可能になる前の、圧力チャンバにおける初期圧力であり、本例では7psig。P
pressl,finalは、薬液ポンプが体積参照チャンバ(例えば、VSL)加圧可能になった後の、圧力チャンバにおける最終圧力であり、を、本例では2.4psig。
【0189】
V
refは、参照チャンバの体積であり、本例では16.5ミリリットルである。
【0190】
したがって、V
gas,full=(2.4−0)/(7−2.4)*16.5ミリリットル=8.6ミリリットルである。
【0191】
次に、使い捨てカセットの弁チャンバ114は、ポンプストロークタンクPOS P−LおよびPOS P−R(
図28Eおよび
図28Fに示す)のうちの1つからの陽圧が、ポンプチャンバから患者または排液管に流体を押圧するように変更される。ポンプ送出ストロークは、
図28Eおよび
図28Fに関連して下に示すリアルタイム流体体積測定と組み合わせて実行される。これについては、リアルタイム圧力減衰方法とともに後述する。
【0192】
次に、
図28Cに示すように、チャンバは、既に空になっている。チャンバX−POS
Tとポンプチャンバ(例えば、左側ポンプチャンバ)との間の弁(または複数の弁)は、開放している。チャンバX−POS Tと関連の体積参照チャンバ(例えば、VSL)との間の弁(または複数の弁)は、閉鎖している。これにより、ポンプチャンバがX−POS Tの圧力、例えば、7psigに加圧可能になる。通気弁(例えば、
図27におけるA1)は、体積参照チャンバ(例えば、VSL)における圧力がゼロになるように開放する。体積参照チャンバ(例えば、VSL)は、16.5ミリリットルの既知の体積を有する。
【0193】
図28Dでは、弁状態は、チャンバPOS Tとポンプチャンバ(例えば、左側ポンプチャンバ)との間の弁(または複数の弁)が閉鎖するように切り替わる。チャンバPOS
Tと関連する体積参照チャンバ(例えば、VSL)との間の弁(または複数の弁)は、開放している。通気弁(例えば、A1)は、閉鎖している。これによって、ポンプチャンバは、体積参照チャンバ(例えば、VSL)を4.2psigに加圧することが可能になり、ポンプ圧力が7psigから4.2psigに降下する。
【0194】
プロセッサは、上記に示す同一の計算を実行するように構成され、今回は、空の場合の流体ポンプチャンバの後方の空気または気体V
gasの体積を計算するように構成される。
【0195】
V
gas,empty=(4.2−0)/(7−4.2)*16.5ミリリットル=24.75ミリリットル
次いで、
図28Bおよび
図28Cの測定時間の間にポンプで送られた体積は、移動した流体V
fluid=空のチャンバの空気体積V
gas,empty−充填したチャンバの空気体積V
gas,fullであり、これは、24.75ミリリットル−8.6ミリリットル=16.15ミリリットルになる。
【0196】
次に
図28Eおよび
図28Fを参照すると、ポンプで送られた流体のリアルタイム計算を実行するための装置が示される。本図面において、ポンプ送出ストローク中にポンプチャンバを駆動する圧力タンク(POS P−LおよびPOS P−R)における圧力減衰は、リアルタイムに監視される。プロセッサは、数式:V
fluid.t=(P
POS P,initial/P
POS p,t−1)(V
POS P+V
gas,full)に従って、リアルタイムでポンプにより送られた体積を計算する。
【0197】
式中、P
POS P,initialは、ポンプ送出ストローク前の圧力タンクPOS
P−LおよびPOS P−Rの初期圧力である。
【0198】
P
POS P,tは、ポンプ送出ストローク中の時間tにおける、第2の圧力チャンバの圧力である。
【0199】
V
POS Pは、第2の圧力チャンバの既知の体積である。
【0200】
V
gas,fullは、
図28Aおよび
図28Bに関連して上述した、満たされている場合のポンプチャンバにおける気体について計算された体積である。
【0201】
図28Eおよび
図28Fのステップは、上述の計算前と計算後との間、すなわち、
図28Bおよび
図28Cのステップの間に行なわれる。
図28Eでは、ポンプ送出ストロークの開始時に、チャンバPOS Tとポンプチャンバ(例えば、左側ポンプチャンバ)との間の弁(または複数の弁)は、閉鎖している。チャンバPOS Tと関連の体積参照チャンバ(例えば、VSL)との間の弁(または複数の弁)は、閉鎖している。通気弁(例えば、
図27におけるA1)も閉鎖している。ポンプチャンバV
gas,fullにおける空気の体積は、
図28Bに関連して上述するように、8.6ミリリットルであることが既知である。固定体積タンクPOS P−LまたはPOS P−Rの体積は既知であり、例えば、500ミリリットルである。初期圧力P
POS P,initialは、既知であり、例えば、1.5psigである。
【0202】
チャンバPOS P−LまたはPOS P−Rの間の弁(または複数の弁)は、ポンプ送出ストロークの開始時に開放している。この時点で、圧力は、減衰し始める。プロセッサは、圧力変換器X−POS P−LまたはX−POS P−Rから、例えば20ミリ秒毎に、圧力読み取り(P
POS P,t)をサンプリングするように構成される。また、プロセッサは、上記数式およびP
POS P,tの測定を使用して、ポンプで送られた流体のリアルタイム量も計算する。
図28Fは、ポンプ送出ストロークの終了および対応する圧力減衰の終了を示す。
【0203】
図29は、減衰(P
POS P,t)と、上記数式に従って計算された結果として生じる流体体積(ミリリットル)とが、ポンプ送出ストロークにおけるものと類似し得るかに関するチャートを示す。図を容易にするために、数個のデータ点のみが示される。圧力は、ポンプ送出ストロークの開始時に開始する。ここで、その比率が1であるようにP
POS P,t=P
POS P,t,initialであり、これによって、数式の第一項および結果として生じるポンプで送られる流体体積はゼロになる。
【0204】
図29における第2のポンプストローク時間において、P
POS P,tは、16.1psi(絶対圧)に降下し、上記数式の第1項が0.0062になり、これを、タンクPOS P−LまたはPOS P−Rの体積(500ミリリットル)とポンプチャンバにおける空気の初期体積(8.6ミリリットル)との組み合わせで乗算すると、(0.0062)*508.6=3.16ミリリットルのポンプで送られる絶対体積がもたらされる。
【0205】
図29における第3のポンプストローク時間において、P
POS P,tは、16.00psiaに降下し、上記数式の第1項が0.0125になり、これを、タンクPOS P−LまたはPOS P−Rの体積(500ミリリットル)とポンプチャンバにおける空気の初期体積(8.6ミリリットル)との組み合わせで乗算すると、(0.0125)*508.6=6.35ミリリットルのポンプで送られる絶対体積がもたらされる。
【0206】
図29における第4のポンプストローク時間において、P
POS P,tは、15.90psiaに降下し、上記数式の第1項が0.0189になり、これを、タンクPOS
P−LまたはPOS P−Rの体積(500ミリリットル)とポンプチャンバにおける空気の初期体積(8.6ミリリットル)との組み合わせで乗算すると、(0.0189)*508.6=9.59ミリリットルのポンプで送られる絶対体積がもたらされる。
【0207】
図29における第5のポンプストローク時間において、P
POS P,tは、15.80psiaに降下し、上記数式の第1項が0.0253になり、これを、タンクPOS P−LまたはPOS P−Rの体積(500ミリリットル)とポンプチャンバにおける空気の初期体積(8.6ミリリットル)との組み合わせで乗算すると、(0.0253)*508.6=12.87ミリリットルのポンプで送られる絶対体積がもたらされる。
【0208】
図28Fにも示される、
図29における第6および最終のポンプストローク時間において、P
POS P,tは、15.70psia(1.0psig)に降下し、上記数式の第1項が0.0318になり、これを、タンクPOS P−LまたはPOS P−Rの体積(500ミリリットル)とポンプチャンバにおける空気の初期体積(8.6ミリリットル)との組み合わせで乗算すると、(0.0318)*508.6=16.19ミリリットルのポンプで送られる絶対体積がもたらされる。
【0209】
リアルタイムアルゴリズムを介して移動またはポンプで送られた最終絶対流体体積は、16.19ミリリットルであり、
図28Aから
図28Dの事前および事後アルゴリズムを介して計算した流体体積、16.15ミリリットルと実質的に同じである(0.25%の差)。しかしながら、リアルタイム方法によって、ポンプストローク中の体積を把握することが可能になる。上述のように、また以下に示すように、中間体積は多くの用途に使用され、例えば、(i)フルポンプストロークの発生、(ii)ラインの閉塞の発生、(iii)漏出の発生、および(iv)複数の濃縮液の適切な混合の判断を含むが、これらに限定されない。
【0210】
上述のように、リアルタイム流体体積計算は、事前および事後の流体体積計算と併用することが可能である。しかしながら、リアルタイム流体体積計算の事前および事後の流体体積計算との併用が必須ではないことを理解されたい。すなわち、
図28BにおけるV
gas,fullの判断の後、システムは、ストローク後参照チャンバ加圧および計算を行なわずに、
図28E、
図28F、および
図29に示すリアルタイム計算を実行することが可能である。ゆえに、ストローク後参照チャンバ加圧および計算を使用しないことが明示的に想定され、例えば、充填および送出ストロークの両方について
図18Aおよび
図18Bに関連して示すストローク後流体測定の必要性が無くなる。ストローク後流体測定時間は、任意の数のポンプチャンバ、例えば、1つ、2つ、または3つのポンプチャンバを有するシステムでは排除可能である。
【0211】
図28Aから
図28Fおよび
図29は、ポンプ送出ストロークおよび関連の流体体積測定を示す。上述の方法論が、ポンプ流入または充填ストロークにも適用することを理解されたい。ここで、同一のポンプチャンバ(左側または右側)および参照チャンバ(VSLまたはVSR)を使用する。主な違いは、陰圧を使用してカセットシートを湾曲させて、供給部または患者からポンプチャンバに流体を引き込むことである。したがって、
図27を参照すると、
図28Eおよび
図28Fにおいて、陰圧タンクNEG P−LまたはNEG P−Rが、陽圧タンクPos P−LまたはPos P−Rに取って代わる。陰圧は、例えば、未使用の流体および排液流体の充填段階において使用され、これは、次に説明する
図30および
図31に関連して下に示す。POS Tタンクは、リアルタイム流体測定ではなく、事後流体測定(28Aから28D)に使用する際に、
図28Eおよび
図28Fに示すようになる。
【0212】
次に
図30を参照すると、上記のリアルタイム方法は、患者の生体適合性透析液を生成するために、デキストロースおよび重炭酸塩の濃縮液のオンライン混合を用いる透析システムにおいて、両方のポンプチャンバ(左側および右側)の充填のための充填方法300に関連して使用され、これは、患者に生理的に有利である。図を容易にするために、左側ポンプチャンバ、参照チャンバVSL、および陰性ポンプタンクNEG P−Lが、デキストロースをポンプにより送ることを制御することが仮定される。右側ポンプチャンパ、参照チャンバVSR、および陰性ポンプタンクNEG P−Rは、重炭酸塩をポンプにより送ることを制御する。POS Tは、両方のポンプチャンバについて使用される。
【0213】
ステップ302aおよび302bにおいて、
図27のシステム250は、左側ポンプチャンをデキストロースで充填し、右側ポンプチャンパを重炭酸塩で充填する。ここで、充填前のポンプチャンバにおける空気または気体の体積が
図28Aおよび
図28Bの方法によって判断されていると仮定する。
【0214】
ステップ304aおよび304bでは、
図28Aから
図28Fに関連して上述した方法を使用して、デキストロースおよび重炭酸塩のリアルタイム計算が行なわれる。リアルタイム計算を行なうための目的は、流量を判断することにある。つまり、プロセッサは、測定と測定との間の時間を把握してリアルタイム流量を判断するために、その瞬間体積と前に計算した体積との間の差異を計算するようにさらに構成可能である。例えば、
図29では、体積デルタは、3.16ミリリットル、3.19ミリリットル、3.24ミリリットル、3.28ミリリットル、および3.32ミリリットルである。圧力読み取り間の時間またはサンプル時間が、各サンプルの間で同一であると仮定すると、上記デルタは、ポンプ送出ストローク中の、徐々に増加する流体の流量を示す(瞬間流量=体積デルタ/サンプル時間)。これは、空気圧ポンプシステムの構成または特定のポンプストロークの変則性により標準的であり得る。
【0215】
リアルタイム流量情報は、多数の目的に使用可能である。1つの使用として、加熱器の制御が挙げられる。2007年7月5日に出願された、名称が「Dialysis Fluid Heating Systems」である同時係属の特許出願、代理人整理番号第SMDI−6376(112713−1499)号は、流体加熱要素に対する電力を制御するために流量フィードバックを使用する透析液加熱制御アルゴリズムを開示する。ステップ304aおよび304bのリアルタイム体積計算に関連して判断された流量情報は、参照される加熱制御アルゴリズムに流量フィードバックを提供する1つの方式である。
【0216】
ステップ306aおよび306bでは、
図28Aから
図28Dのポンプストローク前および後の方法を使用するデキストロースおよび重炭酸塩の体積測定が実行される。ステップ308aおよび308bでは、最終リアルタイム体積が、最終の事前および事後体積と比較される。2つの差異が特定の量(例えば、1ミリリットル)を超える場合、方法300は、空気が関連のポンプチャンバに存在することを仮定する。リアルタイム流体流動測定は、ポンプチャンバシートの動作を本質的に測定する。事後体積計算は、ポンプチャンバ内に空気が存在しない場合にリアルタイム測定に同等である。リアルタイムおよび事後測定が異なる場合、空気が存在すると仮定することが可能である。空気が存在する場合、方法300は、空気の除去を試行するが、いくつかの試行が必要となり得る。方法300は、計数器を介して試行の数を追跡し、最終的に、空気が継続して存在する場合にアラームを提示する。
【0217】
空気パージサブルーティンの第1のステップは、計数器が空気除去試行の最大量Nを上回るかを判断することであり、Nは、ステップ310aおよび310bに関連して示すように、アラームを提示すべきであることを判断する前に方法300が行う用意のある回数である。計数器がNを上回り(試験は、代替として、計数器がNに等しいか否かであり得る)、割り当て数の空気除去手順を上回る場合、方法300は、ステップ312aおよび312bにおいて計数器をリセットし、ステップ314aおよび314bにおいてアラーム、例えば、「システムにおける空気のアラーム」を提示し、このアラームは、音声アラーム、視覚的アラーム、視聴覚アラーム、看護師、操作者、ポケットベル、または制御センターに送信される信号のうちの少なくとも1つであることが可能である。ユーザは、アラームを解除し、療法を再開することが可能である。次いで、ステップ302aおよび302bで開始する手順が繰り返される。アラームは、再現してもよく、または再現しなくてもよい。
【0218】
計数器がN以下であり(試験は、代替として、計数器がN未満であるか否かであり得る)、空気除去手順の割り当て数を上回らなかった場合、方法300は、ステップ316aおよび316bにおいて1つ分カウントを増やし、ステップ318aおよび318bにおいて機器20に「空気パージ」手順を実行させ、これは、例えば、排液ライン弁の開放およびポンプチャンバのポート外および排液ラインへの空気の吐出を伴うことが可能である。次いで、ステップ302aおよび302bで開始する手順が繰り返される。
【0219】
ステップ308aおよび308bのリアルタイム体積と、事前および事後体積との比較に戻って、2つの差異が特定の範囲内(例えば、0から1ミリリットル)である場合、方法300は、次に、ステップ320aおよび320bにおいて充填が完全な充填であったか否かを判断する。例えば、嵌合時のカセットポンプチャンバ112とインターフェース板のポンプウェルとの間の体積が16.5ミリリットルである場合、方法300は、送達された全体積が、規定の体積、例えば、15ミリリットルに一致するか、またはその規定の体積に近似していくらかの量を上回るか否かを確認することが可能である。本ステップを実行するために、方法300は、リアルタイム全体積、事前および事後体積、またはその両方を確認することが可能である。
【0220】
十分な流体がポンプチャンバに引き込まれなかった場合、例えば、体積が15ミリリットル未満であり、試行の数が、最大数の試行を上回った場合(ステップ322aまたは322b)、方法300は、ラインのねじれまたは他の流体流動障害物が存在するか否かを確認し、ラインのねじれを直すか、または閉塞物を除去することを試行する。そうするために、再び、いくつか試行を行なってもよい。方法300は、ステップ324aおよび324bにおいて、閉塞物除去試行の数を追跡する。ねじれまたは閉塞物が存在しない場合、流体源は、空であると判断可能である。
【0221】
閉塞物除去サブルーティンの第1のステップは、ステップ324aおよび324bにおいてカウントを増分することである。次のステップは、カウントが閉塞物除去試行の最大量Nを上回るか否かを判断することであり、Nは、アラームを提示すべきであることを判断する前に方法300が行なう用意のある回数である。計数器がNを上回り(試験は、代替として、計数器がNに等しいか否かであり得る)、割り当て数の閉塞物除去手順を上回る場合、方法300は、療法を継続可能にする前に、操作者が訂正する必要のある継続的アラームを提示する。
【0222】
計数器がN以下であり(試験は、代替として、計数器がN未満であるか否かであり得る)、閉塞物除去手順の割り当て数を上回らなかった場合、方法300は、ステップ326aおよび326bにおいて、機器20に「閉塞物除去」手順を実行させ、これは、ラインまたはバックのポートのねじれを直そうとして、ステップ326aおよび326bにおいてその流体源またはバックに流体を押し戻すことを伴うことが可能である。押し戻しは、ポンプチャンバを流体で充填できない溶液源バックに向かって流体のポンプチャンバを押圧することである。流体源に流体が戻らない場合、押圧して戻すことはできず、流体源のラインがねじれているか、または閉塞されていることが示される。リアルタイム圧力減衰またはその欠如を使用して、押圧して戻す流動またはその欠如を監視することが可能である。
【0223】
ステップ328aおよび328bに関連して判断するように、押し戻しが成功しない場合、システム300は、ステップ330aおよび330bにおいて流体源が閉塞されていることを判断する。ステップ328aおよび328bに関連して判断するように、押し戻しが成功する場合、ステップ332aおよび332bにおいて、流体源が空であることが判断される。閉塞された流体源または空の流体源が検出されると、システム300は、可聴アラームまたは視覚的アラームを提示することが可能である。システム300は、ユーザ介入を必要とする非回復可能アラームを提示する前に、充填を自動的に1回または2回再開させることが可能である。ステップ322aおよび322bにおける計数器は、押し戻し試行が行なわれる回数を追跡する。
【0224】
ステップ334aおよび334bでは、左側および右側ポンプチャンパは、そのそれぞれの濃縮液を患者に接続するラインに送出するが、このラインは、透析液の患者への送達前に濃縮液を十分混合するのに十分長い。ステップ336aおよび336bでは、方法300は、
図28Aから
図28Fのリアルタイム流体体積方法を使用して、送達される全デキストロース体積が、送達される標的デキストロースポンプストローク体積に到達したか否か、および送達される全重炭酸塩体積が、送達される標的重炭酸塩ポンプストローク体積に到達したか否かを判断する。
【0225】
送達された標的デキストロース体積が、ステップ336aにおいて一致しなかった場合、流体送達は継続し、方法330は「リアルタイム」(デキストロース−重炭酸塩)体積差異が、ステップ338aにおいて1/2ミリリットルを上回るか否かを判断する。上回らない場合、左側ポンプチャンバは、ステップ334aにおいて、デキストロースのその送出を継続し、ステップ336aのリアルタイム評価を再び行なう。リアルタイム(デキストロース−重炭酸塩)体積差異が、ステップ338aにおいて1/2ミリリットルを上回る場合、左側患者弁(
図27におけるLP)を一瞬閉鎖し、左側ポンプチャンバが、ステップ340aにおいて送達される右側ポンプストロークよりあまりにも先に進みすぎることを防止する。左側および右側ポンプチャンパにより送達される体積が1/2ミリリットル以内になると、左側ポンプチャンバは、ステップ334aにおいてデキストロースのその送出を再開し、ステップ336aのリアルタイム評価を再び行なう。左側ポンプからの流体の送達は、標的ポンプストローク体積が送達されるように、左側ポンプチャンバが送出したときに停止する。
【0226】
送達された標的重炭酸塩体積が、ステップ336bにおいて一致しなかった場合、方法330は「リアルタイム」(重炭酸塩−デキストロース)体積差異が、ステップ338bにおいて1/2ミリリットルを上回るか否かを判断する。上回らない場合、右側ポンプチャンバは、ステップ334bにおいて、再び重炭酸塩の送出を継続し、ステップ336bのリアルタイム評価を再び行なう。リアルタイム(重炭酸塩−デキストロース)体積差異が、ステップ338bにおいて1/2ミリリットルを上回る場合、右側患者弁(
図27におけるRP)を一瞬閉鎖し、右側ポンプチャンバが、ステップ340bにおいて、左側ポンプストロークよりあまりにも先に進みすぎることを防止する。左側および右側ポンプチャンパにより送達される体積が1/2ミリリットル以内になると、右側ポンプチャンバは、ステップ334bにおいて重炭酸塩のその送出を再開し、ステップ336bのリアルタイム評価を再び行なう。右側ポンプからの流体の送達は、標的ポンプストローク体積が送達されるように、右側ポンプチャンバが送出したときに停止する。
【0227】
デキストロースおよび重炭酸塩の標的ポンプ送出体積が、ステップ336aおよび336bのそれぞれにおいて一致すると、プロセッサは、ステップ342aおよび342bのそれぞれにおいて、デキストロースおよび重炭酸塩の
図28Aから
図28Dの事前および事後順序を使用して、送達された全体積を測定する。ステップ344では、プロセッサは、累積的測定デキストロース−重炭酸塩体積が、閾値差異、例えば、1ミリリットル未満であるか否かも判断する。また、プロセッサは、累積的測定重炭酸塩−デキストロースが、閾値、例えば、1ミリリットル未満であるか否かも判断する。本質的に、プロセッサは、デキストロースおよび重炭酸塩の累積的送達体積が1ミリリットル以内であるか否かを判断する。
【0228】
比較時の累積的送達体積が、閾値範囲外である場合、プロセッサは、ステップ346において補正因子を計算することによって、次のポンプストロークの体積を調整する。例えば、標準的なポンプストローク体積が15ミリリットルである場合、システム300は、デキストロースの補正因子を15から差し引いた体積を実際に送達する。累積的デキストロース送達体積が、累積的送達重炭酸塩体積を1.2ミリリットル分上回る場合、補正因子は、1.2ミリリットルであり、デキストロースの次の標的ストローク体積は、15−1.2ミリリットル=13.8ミリリットルになる。
【0229】
送達される重炭酸塩が、送達されるデキストロースを1ミリリットル以上分上回る場合に、補正因子は類似する。補正因子は、累積的送達デキストロースが、累積的送達重炭酸塩未満である場合に、補正因子はゼロである。
【0230】
ステップ346の後、または比較時の累積的ポンプ送出体積が閾値範囲内にある場合、プロセッサは、累積的デキストロースおよび重炭酸塩ポンプ送出体積の総量が、ステップ348において既定またはプログラム化された全デキストロースおよび重炭酸塩充填体積の範囲(例えば、1ミリリットル)内にあるか否かを判断する。測定された全体積が既定の全体積内である場合、充填段階は、ステップ350において完了する。
【0231】
測定された全体積が、既定された全体積の範囲外である場合、プロセッサは、累積的測定体積が、処方されたポンプ送出体積よりも、次の予定の組のポンプストローク、例えば、30ミリリットルを上回る分少ないか否かをステップ352において判断する。上回る場合、別の組のポンプストロークが送達され、ステップ352に再び到達する。ステップ354および356は、次の組のポンプストロークの標的充填体積を計算する。ステップ356は、ステップ346で計算された補正因子を15ミリリットルから差し引いて、各標的体積を計算する。ステップ354は、充填体積が、残りの体積(プログラム化された充填−累積的測定デキストロースおよび重炭酸塩)の1/2であるように計算する。残りの体積が20ミリリットルである場合、デキストロースの補正因子は1.2ミリリットルであり、ポンプストロークの最終組の次のストローク標的体積は、例えば、
デキストロースでは、(20ミリリットル+1.2ミリリットル)/2−1.2=9.4ミリリットル、
重炭酸塩では、(20ミリリットル+1.2ミリリットル)/2−0=10.6ミリリットル、
であるように計算される。標的組のポンプストローク体積は、最大20ミリリットルまで増加し、累積デキストロース体積が重炭酸塩の累積体積と同等になるように、デキストロースの累積体積を補正する。
【0232】
次に
図31を参照すると、上記リアルタイム方法は、ポンプチャンバ(左側または右側)のうちの1つを患者からの廃液で充填する排液方法400に関連して示す。図を容易にするために、左側ポンプチャンバ、参照チャンバVSL、および陰性ポンプタンクNEG
P−Lを本例において使用する。右側ポンプチャンパ、参照チャンバVSR、および陰性ポンプタンクNEG P−Rは、同一方法を同時に実行し得るが、左側ポンプシステムを送出する際に右側ポンプチャンバを廃液で充填するように、またはその逆も同様であるように非同期的に実行し得る。
【0233】
排液方法400は、排液が適切に流動するか、および空気が存在するかを判断する。ステップ402において、左側ポンプチャンバは、廃液で充填される。ステップ404において、プロセッサは、上述のように、リアルタイム廃液体積および充填の流動を判断する。ステップ406において、流量が、通常の最小流量閾値、例えば、50ミリリットル/分を上回る場合、方法400は、ステップ408において、廃液充填のリアルタイム体積計算が最小ポンプストローク体積閾値、例えば、12ミリリットルを上回るか否かを判断する。上回らない場合、左側ポンプチャンバは、ステップ402において排液の充填を継続し、ステップ408において、廃液充填のリアルタイム体積計算が閾値を上回るまで繰り返すループを形成する。
【0234】
廃液充填のリアルタイム体積計算が、ステップ408において閾値を上回る場合、
図28Aから
図28Dのポンプストローク前および後の方法を使用する廃液充填体積の測定が、ステップ410において実行される。移動したリアルタイム流体体積が、
図28Aから
図28Dのポンプストローク前および後の方法を上回る場合、チャンバが流体で充填される際にポンプチャンバに空気が引き込まれている可能性がある。
図28Aから
図28Dのポンプストローク前および後の方法は、空気が可撓性シートのどの側面に存在するかにかかわらず、空気が圧縮して同一の体積計算になることから、13ミリリットルの流体および2ミリリットルの空気を含むポンプチャンバを、13ミリリットルの流体しか含まないポンプチャンバと区別することは不可能である。しかしながら、可撓性シートは、13ミリリットルだけ受け入れた場合よりも、13ミリリットルの流体および2ミリリットルの空気の受け入れ時に多く移動する。本開示の最終的な譲受人により市販されるHomeChoice(登録商標)システムは、ポンプチャンバ充填体積が最大体積より3ミリリットル不足している場合に、代替流体源を使用してポンプチャンバの完全な充填を試行する。HomeChoice(登録商標)システムが、ポンプチャンバを完全に充填不可能である場合、空気が存在することが仮定される。次いで、ポンプチャンバの含有量は、空気を排除するために排液管にポンプで送られる。HomeChoice(登録商標)システムのよる療法は、このように、時間および流体を無駄にする。ステップ410の後に発生するポンプの空気検出および排出形態は、ステップ438が排除する際に後述する。
【0235】
ステップ406に戻ると、リアルタイム計算を介して計算した流量が、通常の最小流量閾値、例えば、50ミリリットル/分未満である場合、方法400は、ステップ412において、リアルタイム流量が、中間または下側流量閾値、例えば、30ミリリットル/分を上回るかを判断する。リアルタイム流量が、中間閾値を上回る場合、方法400は、ステップ414において、流量が中間閾値から上側閾値の間(例えば、30から50ミリリットル/分の間)にある時間T1が、事前設定時間、例えば、5:00分未満であることを判断する。流量が、事前設定時間よりも長い間、中間閾値から上側閾値の間にある場合、方法400は、患者ラインが部分的に閉塞され得ることを仮定し、患者側に未使用の透析液を押圧することによってラインを浄化することを試行する。押し戻しが成功しない場合、アラームが提示される(ステップ476)。押し戻しが成功する場合(ステップ416における
図28Aから
図28Dのポンプストローク前および後の方法を使用する体積を介して判断される)、方法は、充填(ステップ300)に進むかまたは低排液体積アラーム(ステップ482)を提示する。本ルーティンについては、以下に詳述する。
【0236】
流量が、事前設定時間よりも短い間、中間閾値から上側閾値の間にある場合、方法400は、ステップ418において、廃液充填のリアルタイム体積計算が、閾値、例えば、12ミリリットルを上回るか否かを判断する。上回らない場合、ゼロ秒で開始するタイマーT1は、ステップ420において始動し、左側ポンプチャンバは、ステップ402において廃液の充填を継続し、(i)ステップ414においてTlが事前設定時間(例えば、5分)に到達するか、または(ii)ステップ418において、廃液充填のリアルタイム体積計算が閾値(例えば、12ミリリットル)を上回るまで繰り返すループを形成する。
【0237】
廃液充填のリアルタイム体積計算が、ステップ418において閾値を上回る場合、
図28Aから
図28Dのポンプストローク前および後の方法を使用する廃液充填体積の測定が、ステップ410において実行される。ステップ410の後に発生するポンプ空気検出および排出形態は、ステップ438において後述する。
【0238】
ステップ412に戻ると、リアルタイム計算を介して計算した流量が、中間閾値、例えば、30ミリリットル/分未満である場合、方法400は、ステップ422において、リアルタイム流量が下側の非流動の流量閾値を上回るかを判断する。リアルタイム流量が下側閾値を上回る場合、方法400は、ステップ424において、流量が下側閾値から上側閾値の間(例えば、12から30ミリリットル/分の間)にある時間T2が、第2の事前設定時間、例えば、3:00分未満であることを判断する。図示する実施形態では、T2はTl未満であり、これは、下側流量において閉塞の可能性が高いことから、方法400が、ステップ416において、閉塞ルーティンを実行する前に下側流量で長い間待機しないことを意味する。
【0239】
流量が、第2の事前設定時間よりも長い間、下側閾値から中間閾値の間にある場合、方法400は、患者ラインが部分的に閉塞され得ることを仮定し、患者に向かって未使用の透析液を押圧することによってラインを浄化することを試行する。押し戻しが成功しない場合、ステップ476においてアラームが提示される。押し戻しが成功する場合(ステップ416における
図28Aから
図28Dのポンプストローク前および後の方法を使用する体積を介して判断される)、ポンプは、充填(ステップ300)に進むか、または低排液体積アラーム(ステップ482)を提示する。ルーティンについては、以下に詳述する。
【0240】
流量が、第2の事前設定時間T2よりも短い間、下側閾値から中間閾値の間にある場合、方法400は、ステップ426において、廃液充填のリアルタイム体積計算が、閾値、例えば、12ミリリットルを上回るか否かを判断する。上回らない場合、ゼロ秒で開始するタイマーT2は、ステップ428において始動し、左側ポンプチャンバは、ステップ402において廃液の充填を継続し、(i)ステップ424においてT2が事前設定時間(例えば、3分)に到達するか、または(ii)ステップ426において、廃液充填のリアルタイム体積計算が閾値(例えば、12ミリリットル)を上回るまで繰り返すループを形成する。
【0241】
廃液充填のリアルタイム体積計算が、ステップ426において閾値を上回る場合、
図28Aから
図28Dのポンプストローク前および後の方法を使用する廃液充填体積の測定が、ステップ410において実行される。ステップ410の後に発生するポンプ空気検出および排出形態は、ステップ438において後述する。
【0242】
ステップ422に戻ると、リアルタイム計算を介して計算した流量が、下側非流動閾値、例えば、12ミリリットル/分未満である場合、方法400は、ステップ430においてタイマーが始動していない場合に、第3のタイマーT3を始動する。リアルタイム流量が下側閾値未満である場合、方法400は、ステップ432において、流量が下側閾値未満にある時間T3が、第3の事前設定時間、例えば、1:00分未満であることを判断する。図示する実施形態では、T3はT2未満であり、これは、下側流量において閉塞または空の患者である可能性が高いことから、方法400が、ステップ416において、閉塞ルーティンを実行する前に下側流量で長い間待機しないことを意味する。
【0243】
流量が、第2の事前設定時間T3よりも短い間、下側閾値未満にある場合、方法400は、ステップ434において、廃液充填のリアルタイム体積計算が、閾値、例えば、12ミリリットルを上回るか否かを判断する。上回らず、かつT3がゼロ秒に等しくない場合、方法400は、左側ポンプチャンバに、ステップ436において吸引圧力を低減させる(例えば、
図27の空気圧システム250に示すように、NEG P−Lを−1.5psigから−1.2psigに変更することによって)。
【0244】
ステップ436において、患者は、ほぼ空または完全に廃液されている可能性が高い。患者から残りの廃液を引き込む際の不快感を低減するために、方法400は、ステップ436において、吸引圧力を低減させる。左側ポンプチャンバは、ステップ402において廃液の充填を継続し、(i)ステップ442において、T3が事前設定時間(例えば、1分)に到達するか、または(ii)ステップ434において、廃液充填のリアルタイム体積計算が閾値(例えば、12ミリリットル)を上回るまで繰り返すループを形成する。
【0245】
廃液充填のリアルタイム体積計算が、ステップ408、418、426、または434のいずれかにおいて閾値を上回る場合、
図28Aから
図28Dのポンプストローク前および後の方法を使用する廃液充填体積の測定が、ステップ410において実行され、ポンプ空気検出確認が実行される。ここで、方法400は、
図28Aから
図28Fの方法を介して、患者から除去した廃液と、
図28Aから
図28Dのポンプストローク前および後の方法を使用して計算された体積との間の差異を計算する。ステップ438において、体積差異が閾値差異(例えば、1ミリリットル)未満である場合、システムは、ほとんど空気が存在しないことと、存在し得る任意の空気がポンプを通過しないため、通常のポンプによる送りが継続可能であることを仮定する。
【0246】
ステップ438で判断された差異が閾値を上回る場合、方法400は、ステップ440において、タイマーが始動していない場合に、第4のタイマーT4を始動する。ステップ442において判断されたように、差異が第4の事前設定時間(例えば、3分)を上回る間、範囲外にある場合、方法400は、ステップ444において、システムにおける空気のアラームを提示する。(i)差異が、ステップ442において判断されたように第4の事前設定時間を上回る間に範囲外にない場合、または(ii)リアルタイム体積と事前/事後体積との差異が閾値未満である場合、方法400は、ステップ446において左側ポンプチャンバに廃液を排出管に送出させる。しかしながら、T4が3分を上回る場合、システムは、ポンプチャンバが、患者から空気を3分間吸い込んでいると仮定し、ステップ444においてアラームを提示する。
【0247】
ステップ448は、排液流が閾値、例えば、80ミリリットル/分を上回る限り、左側ポンプチャンバが継続して送出して排出するループを形成する。排液流が閾値を下回る場合、方法400は、排液管に送られる廃液のリアルタイム体積計算が、閾値体積、例えば、12ミリリットルを上回るかを判断する。ステップ450において、上回らない場合、方法400は、ステップ452において、排液流が、下側閾値、例えば12ミリリットル/分に降下するかを判断する。
【0248】
ステップ452において、排液流が下側閾値未満に降下しない場合、ステップ454において既に始動していない場合に、より長いタイマーT5が始動される。リアルタイム体積が、閾値、例えば12ミリリットル未満である限りループは形成され、ステップ456においてT5が第5の(より長い)事前設定時間(例えば、3分)に到達するまで、排液流は、下側閾値、例えば、12ミリリットル/分の上および上限閾値、例えば80ミリリットル/分の下にあり、この時、方法400は、アラーム(音声、視覚的、視聴覚的)を送信し、ステップ458において閉塞物について排液ラインを確認する。
【0249】
ステップ452において、下側閾値未満に排液流が降下した場合、より短いタイマーT6は、ステップ460において始動していない場合に、より短いタイマーT6が始動される。ステップ462において、リアルタイム体積が、閾値、例えば12ミリリットル未満であり、かつ排液流が下側閾値、例えば12ミリリットル/分の下にある限り、T6が第6の(より短い)事前設定時間(例えば、30秒)に到達するまで別のループが形成され、到達時、方法400は、アラームを送信し、ステップ458において閉塞物について排液ラインを確認する。
【0250】
排液流が、ステップ448において閾値未満に降下し、排液管に送られる廃液のリアルタイム体積計算が、ステップ450において、閾値体積、例えば12ミリリットルを上回る場合、方法400は、ステップ464に示すように
図28Aから
図28Dの事前および事後方法を介して排液するように送られる全廃液を計算し、その後、左側ポンプチャンバは、ステップ402において、廃液の別の充填を開始する。
【0251】
タイマーTl、T2、またはT3のいずれかが、ステップ414、424、または432においてそれぞれ時間切れする場合、例えば、フィブリン妨害物または部分的にねじれたラインに起因し得る閉塞物を患者ラインが有する可能性が高い。ステップ416では、方法400は、
図28Aから
図28Dの事前および事後方法を使用して、進行中のポンプストローク中に患者から引き込まれる全廃液を計算する。ステップ466では、左側ポンプチャンバは、廃液を排出管に送出する。ステップ468において、
図28Aから
図28Dの事前および事後方法を介して排液するように送られる全排液体積が計算され、その後、左側ポンプチャンバは、ステップ470において、供給バックから未使用の流体のボーラスを引き込む。
【0252】
ステップ472において、左側ポンプチャンバは、患者ラインを介して、未使用のボーラスを患者に押圧し、充填が実行可能であることを検証するか、任意のフィブリン妨害物を除去するか、またはねじれにより部分的に閉塞される場合に患者ラインのねじれを直す。押し戻し手順が成功しない場合、例えば、流体が、患者に到達できないか、またはリアルタイム流量が、ステップ474において判断したように閾値未満である場合、ステップ476における方法400は、上述の方式のいずれかを介して、患者ライン閉塞に関するアラームを提示する。手順が成功する場合、例えば、流体が患者に到達し、および/またはリアルタイム流量が、ステップ474において判断するように閾値を上回る場合、方法400は、患者がステップ478において空であることを仮定する。
【0253】
患者が、ステップ478において空であることが判断されると、患者から引き込まれた全廃液体積が計算され、かつステップ480において最小排液体積に比較される。全廃液体積が最小体積未満である場合、低排液アラームが、上述の技術のいずれかを介してステップ482において提示される。全廃液体積が最小体積に到達するか、またはそれを上回る場合、方法400を用いるシステム100は、
図30に関連して上述した充填段階300に進む。最小体積は、排液して送出する際のプログラム化された充填体積のある割合であることが可能である。例えばタイダル療法により、標的体積まで排出する場合、最小体積は、その標的体積である。また、方法400は、ステップ410の後に排液された排液の累積的体積を監視する。この累積的体積は、通常の流動状態下におけるタイダル排液が終了する際の排出された体積として報告される。あるいは、ステップ480からの累積的排液体積は、排出された体積として報告される。
【0254】
(温度センサ)
次に
図32および
図33を参照すると、システム500は、システム10の1つの可能な流体温度測定装置および方法を示す。温度測定システム500は、非侵襲性であるため有利である。システム500は、使い捨てセット50の一部分を流動する流体の温度を測定する。例えば、システム500は、使い捨てカセット28、100、130、140を流動する流体、例えば、インライン加熱とともに使用するカセットの流体加熱通路の上流、下流、またはその通路に直接の流体の温度を測定し得る。または、流体は、流体加熱器の上流および/または下流に直接等の、流体ラインのうちの1つを流動する間に検知され得る。さらに代替として、流体は、バッチ加熱とともに使用する温かいバック等の、バックまたは容器内に存在する間に検知され得る。
【0255】
図示する実施形態では、システム500は、ハウジング502を含み、ハウジング502は、システム10の機器20の一部である。例えば、ハウジング502は、
図19から
図21に関連して上述したインターフェース板185に一体型であることが可能である。カセット28、100、130、140が機器20に装着されると、カセットの一部分は、ハウジング502に対して押し付けられる。ハウジング502は、プラスチックまたは金属であることが可能であり、例えば、赤外線波長に対して少なくとも実質的に不透明である。カセット28、100、130、140がハウジング502に対して圧縮され、機器または機械20のドアがカセットカセット28、100、130、140の他方側に閉鎖されるため、周辺光は、システム500とインターフェースするカセット28、100、130、140の部分にほとんど到達しない。
【0256】
カセット28、100、130、140のシート102は、例えば、赤外線波長に対して透明性を有する部分504と、非透明性または不透明部分506とを含む。部分504および506は、ハウジング502に隣接して配置される。不透明部分506は、例えば、インク(例えば、インクジェット)、印刷または塗装(例えば、吹き付け塗装)プロセスを介して形成される。代替として、不透明部分506は、使い捨て可能なものに接着される不透明パッチを介して形成される。不透明部分506のサイズは、約1/4インチX1/4インチ(6.4mmX6.4mm)から、約1インチX1インチ(2.54cmX2.54cm)の範囲であることが可能であるか、または円形の場合、直径が同一のサイズである。透明部分504は、クリアシート102であることが可能であり、不透明部分506と少なくとも同じ大きさを有する赤外線標的範囲を有することが可能である。標的範囲のサイズは、選択される赤外線センサと、センサが標的範囲から離隔して装着される距離とに依存する。例えば、本用途に適切であるMIKRON M50赤外線センサは、標的に対して押し付けられる場合に、1/2インチ(1.27mm)標的直径を有する。標的直径は、センサが標的から6インチ(15.25cm)移動する際に1 1/4インチ(3.18cm)まで増加する。
【0257】
温度測定システム500は、温度センサ510を保持するアーム508を含む。アーム508は、旋回点512の前後で旋回することが可能であり、その結果、温度センサ510は、透明部分504または不透明部分506のいずれかにおいて選択的に指向される。一実施形態における温度センサ510は、赤外線温度センサである。適切な赤外線温度センサ510は、PerkinElmer(Walthen, Massachusetts)、Dexter Research(Dexter, MI)、Electro Optical Components(Santa Rosa, CA)によって提供される。
【0258】
図示する実施形態では、ハウジング502は、電磁石514を含む。励起されると、電磁石は、磁化旋回アーム516の金属部分上で押圧および/または引き込む。極性を逆にすることによって、極性配向が変わる。アーム508は、磁気部分、例えば、スチール部分516を含み、この部分は、電磁石514のうちの1つに向かって、その電磁石が励起されると引き込まれる。電磁石は、赤外線温度センサの配向を制御して、赤外線温度センサ510が、(i)
図32に示すように、第1の温度読み取り、つまりシート102の温度
wallのみを計るための不透明部分506か、または(ii)
図33に示すように、第2の温度読み取り、つまりシート102の(A*温度
wall+B*温度
fluid)とシート102内の流体33との組み合わせである温度
wall and fluidを計るためのクリア部分504において、選択的に指向することが可能であるようにする。AおよびBは、膜または管の厚さおよび組成に依存する定数であり、実験的に判断される。
【0259】
温度
wallが測定され、かつ既知であるため、測定された温度
wallおよび測定された温度
wall and fluidを使用して、以下の数式に従って、流体温度の温度
fluidを計算することが可能である。
【0260】
【数1】
温度制御器上または中央処理装置におけるプロセッサおよびメモリは、定数AおよびBを格納し、上記計算を実行する。温度検知システム500は、ほぼリアルタイムの非侵襲性の流体温度監査を提供する。
【0261】
センサ510は、前後に切り替わり、異なる温度測定が、例えば、2秒毎に行なわれる。代替として、2つの独立型赤外線温度センサを使用し、一方は赤外線エネルギー透過部分504、他方は、赤外線エネルギー非透過部分506に使用する。さらに、代替として、Perkinselmer(登録商標)TPS 2534の2要素熱電対列またはTPS−4339の4要素熱電対列等の2重または4重の赤外線センサパッケージを使用する。4要素システムは、冗長温度測定を提供する。複数のセンサは、較正の複雑性を取り除く。
【0262】
モータまたはソレノイドを電磁石の代わりに使用し得る。さらに、代替として、アーム508は、一方の旋回位置にバネによって押圧され、第2の旋回位置に空気圧で引き込まれてもよい。
【0263】
次に
図34を参照すると、流体検知システム500の精度を示すデータが示される。
図34のシステム500は、侵襲性温度センサの精度および応答時間に近似する温度読み取りを非侵襲的に提供すると考えられる。流体に浸漬する抵抗温度検出器(「RTD」)センサからの読み取りと、赤外線検知システム500からの計算読み取りとの相関は、温度読み取りが行なわれた10分の時間間隔中に20℃から50℃を超えるまでに流体温度が上昇することを特に考慮すると、良好である。本例では、定数Aは0.877985に設定され、定数Bは0.109635に設定されている。曲線適合線は、
T
CALC=1.047*T
RTD−0.0303
であることが分かる。
【0264】
(多重チャンババック式オープンセンサ)
次に
図35および
図36を参照すると、誘導的検知システム530は、(i)単一チャンバ供給バック40(概して、上述の供給バック40aから40dを言及する)または多重チャンバ供給バック540が、棚32、34、36、および38のうちの特定の棚上に存在するか否か、および(ii)供給バックが多重チャンバ供給バック540であれば、関連の壊れ易い密封部542が破壊されて、別々のチャンバ546aおよび546bからの2つ以上の濃縮液544aおよび544bがそれぞれ混合可能であるか否かを検出するための一実施形態を示す。
【0265】
多重チャンバ供給バック誘導的検知システム530は、完全に開放した容器では、電気伝導性または電気インピーダンスのいずれかを標示する電流を測定する。測定された電流は、多重チャンババック540のチャンバ546aおよび546b間の壊れ易い密封部542が破壊されて、前に分離していた溶液が患者への送達前に混合可能であるか否かを標示する。
【0266】
多重チャンババック540の別々のチャンバ546aおよび546b内の異なる濃縮液544aおよび544bは、異なるイオン濃度を有する。異なる濃度544aおよび544bの異なるイオン性質によって、混合溶液における測定電流を溶液の伝導性またはインピーダンスに相関させる機会が提供される。したがって、システム530は、判断された伝導性またはインピーダンスを、期待された伝導性またはインピーダンスと比較し、濃縮液が適切に混合されているかを確認することが可能である。システム530は、非侵襲的であり、これは、透析液等の無菌薬液を扱う場合に有利である。システム530が非無菌流体または非注入可能流体とも動作可能であることを理解されたい。
【0267】
システム530は、トレイまたは棚(例えば、棚32から38のうちの1つ)の範囲内の異なる位置に位置する第1のコイル532および第2のコイル534を含み、それに接して、多重チャンババックまたは容器540が治療のために位置する。例えば、コイル532および534は、トレイまたは棚(例えば、棚32から38のうちの1つ)の上または下に設置されるか、またはトレイまたは棚内に積層される。トレイの上に設置される場合、コイル532および534は、保護塗膜または層で被覆可能である。コイル532および534は、例えば、1重ワイヤまたはリッツワイヤ等の2重ワイヤから形成可能である。図示する実施形態では、コイル532および534は、パンケーキ型コイルまたは扁平コイルである。
【0268】
コイル532および534のうちの1つは、送信機機能を実行し、一方、他方のコイルは、受信機機能を実行する。コイルは、これらの機能のうちの1つに専用であることが可能であり、例えば、
図36および
図37に示すように、コイル532は送信し、コイル534は受信する。代替として、コイル532および534は、送信機機能および受信機機能間で入れ替わる。
【0269】
信号(電圧または電流)発生器536は、正弦波、方形波、鋸歯状波、または他の時間可変波等の経時的に変化する信号で送信機コイル532を励起する。発生器536は、例えば、(i)論理レベル発振器、(ii)発振器およびフィルタの組み合わせ、または(iii)波形発生器回路であることが可能である。1つの適切な電圧範囲は、4ボルトから20ボルトを含む。送信機コイル532は、透析液中に小電流を誘起し、受信機コイル534は、これらの電流を検知する。受信機コイル534が検知する電流の強度は、溶液の種類と、バックとコイル532および534との間の電気的結合の度合いに依存する。例えば、その設置面積が受信機コイルの上に投影しないような形状を供給バックまたは容器が有する場合、受信機コイルはいかなる電流も検知しない。その設置面積が送信機コイルの上に投影しないような形状を供給バックまたは容器が有する場合、送信機コイルは、溶液へ電流を誘起しないか、または比較的ほとんど電流を誘起しない。
【0270】
図35は、未開封の密封部542によって、容器540が、トレイまたは棚上に平坦に存在するチャンバ546aおよび546bの平坦範囲との効果的結合が少ないことを示す。したがって、センサまたは測定機器538が測定する受信機コイル534からの電流は少ない。
図35における本レベルの電流は「非混合」範囲に存在するように示される。一実施形態における電流測定機器538は、マルチメータまたはアンメータである。
【0271】
図36は、開封済みの密封部542が、バックまたは容器全体がトレイまたは棚上に平坦に存在するため、チャンバ546aおよび546bの平坦範囲と均一に効果的に結合することを示す。したがって、センサまたは測定機器538が測定する受信機コイル534からの電流は多くなる。
図36における本レベルの電流は「混合」範囲に存在するように示される。
【0272】
図37Aから
図37Dは、バック540がトレイまたは棚32、34、36、もしくは38上に正確に配置および配向されているか否かを判断することが可能である誘導的システム560を示す。
図37Aから
図37Dにおいて上から示すバック540は、チャンバ546aおよび546bを分離する壊れ易い密封部542を示す。システム560は、4つのコイル532a、532b、534a、および534bを含む。各コイルは、送信または受信のいずれかのために使用可能である。矢印は、コイル間の可能な結合のいくつかを示す。
【0273】
図37Aは、バック540の適切な装填を示し、本図面において、バック540のポートまたはピグテール548は、トレイまたは棚32、34、36、または38の開口部35と整列し、その中に存在する。ここで、密封部542は、コイル532aをコイル534aから分離し、532bを534bから分離する。密封部542は、コイル532aをコイル534aから分離せず、またはコイル534aをコイル534bから分離しない。ゆえに、
図37Aの適切な装填配置または配向は、(i)コイル532aからコイル532b−高結合、(ii)コイル534aからコイル534b−高結合、(iii)コイル532aからコイル534a−低結合、および(iv)コイル532bからコイル534b−低結合の特徴となる誘導的結合パターンをもたらす。
【0274】
一方、
図34Bの不適切に装填されたバック540は、全4つの結合コイルが壊れ易い密封部542の片側に位置するため、(i)高結合、(ii)高結合、(iii)高結合、および(iv)高結合の異なる誘導的結合パターンをもたらす。
図37Cの不適切に装填されたバック540は、
図37Cに示すコイルに対する密封部542の位置に起因して、(i)低結合、(ii)低結合、(iii)高結合、および(iv)高結合のさらに異なる誘導的結合パターンをもたらす。
図37Dの不適切に装填されたバック540は、
図37Dに示すコイルに対する密封部542の位置に起因して、
図37Cと同一の誘導結合パターン、つまり(i)低結合、(ii)低結合、(iii)高結合、および(iv)高結合をもたらす。
【0275】
システム制御器は、密封部542の破壊前に4つの測定を行ない、適切に装填された状態のバックまたは不適切に装填された状態のバックのいずれかに、結合特徴を分類する。一実施形態におけるシステム10の電子機器は、バックが装填されたことを検出するロードセルから信号を受信すると、または1つもしくは複数のバックが装填されたという入力をユーザから受信すると、送信機/受信機の対(i)から(iv)の各々を順に配列するマルチプレクサを含む。単一の信号ソース536は、検知される特定の対について、例えば、上に示す対(i)のコイル532a、対(ii)のコイル534a、対(iii)のコイル532a、および対(iv)のコイル534aについて、送信機として機能する所望のコイルに多重化可能である。また、マルチプレクサは、各対(i)から(iv)の適切なコイルをソース536およびセンサ538に適切な時に電気的に接続するために、複数の電気切り替え状態も順に配列する。
【0276】
また、バック540が適切に装填されたことを判断した後に、溶液毎の期待伝導性に従って、区画546aおよび546bにおける濃縮液544aおよび544bの組成が正確であるという誘導的結合特徴から、制御器が検証することも可能である。
図37Aの正確なバック配置について試験された対(iii)および(iv)によって、区画546aおよび546bの濃縮液544aおよび544bの伝導性が明らかになる。伝導性が期待範囲外である場合、エラーが発生可能である。また、制御器は、密封部542の完全性を検証することも可能である。また、治療を開始可能にする前に、システム560は、密封部542が開放して濃縮液544aおよび544bが混合可能になることも検証する。溶液が混合されると、混合透析液の伝導性も確認することが可能である。
【0277】
正確なバック配置は、治療操作のいずれかに重力を使用するシステムに有用である。個々の溶液の各々の検証によって、対象とする治療に濃度が適切であるかを判断することが可能になる。密封部の完全性の検証によって、機器12は、治療の開始前に溶液が混合されていないことを確認することが可能になる。溶液の早期混合は、製品の寿命を大幅に縮める。このような測定によって、溶液の分解が発生しないことが確実になる。
【0278】
上述の制御器は、中央処理装置と直接的または間接的に動作可能であり、次いで、中央処理装置は、映像制御器およびグラフィカルユーザインターフェース(GUI)と動作する。上記確認の全てが検証される場合、システム10は、「バック装填OK」または類似のメッセージをGUIに表示させ、療法を継続することが可能である。バック540のうちの1つが不正確に装填される場合、システム10は、「バック装填の確認」または類似のメッセージをGUIに表示させ、恐らく、例えば、「上から2番目のバック装填の確認」のようにバックを特定さえする。バック540が正確に装填されるが、システム560が異常な伝導性を検出する場合、システム10は、「装填バックの溶液の確認」または類似のメッセージをGUIに表示させ、恐らく、例えば、「上から2番目のバック装填の確認」のようにバックを特定さえする。バックの装填および濃度が検証されるが、ユーザがバック54の1つまたは全てを開放せずに療法を試行しようとする場合、システム10は、「治療前にバック密封部の開放」または類似のメッセージをGUIに表示させ、恐らく、例えば、「治療前に一番上のバックの密封部を開封」のようにバックを特定さえする。
【0279】
図4から
図9は、流体流動目的および空気処理目的のために、ある角度で複数の供給バックを保持するバック管理システム30を示す。誘導的検知システム530および560が、システム30のバック角度で、代替として、バック540が少なくとも実質的に水平に装填される状態で、またはさらに代替として、バック540が少なくとも実質的に垂直に装填される状態で動作可能であることを理解されたい。傾斜型システム30では、コイルは、各トレイの上面または下面に積層可能であるか、またはトレイに埋め込み可能である。垂直の管理器では、コイルは、バックのうちの1つの上方に垂直に存在し、かつ各バックに対してそれぞれのコイルを押し付ける1つ以上の垂直棒に連結可能である。コイルに対する信号は、垂直支持棒を介して供給される。バック管理システムは、ロードセルを介して、重さ情報等の追加の情報を供給することが可能である。
【0280】
本明細書に説明する好適な本実施形態に対する種々の変更および修正が、当業者に明らかになることを理解されたい。このような変更および修正は、本主題の精神および範囲から逸脱することなく、またその意図される利点を削減することなく加えることができる。したがって、このような変更および修正は、添付の請求項の対象であることが意図される。