(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1回転部材と、該第1回転部材と対向する第2回転部材と、前記第1回転部材に前記第2回転部材を圧接させて前記第1回転部材と前記第2回転部材の間に定着ニップを形成する定着ニップ形成手段と、前記第1回転部材及び前記第2回転部材を収容する定着フレームと、を有する定着ユニットと、
該定着ユニットが着脱可能に装着される装置本体と、を備え、
該装置本体には、前記定着ニップ形成手段を押圧して前記定着ニップの圧力を2段階以上に切り替える楕円状のカムを備えたニップ圧切り替え手段が設けられ、
前記定着ニップ形成手段は、
前記定着フレームと係合する係合部と、前記第2回転部材を保持する保持部と、該保持部を挟んで前記係合部の反対側に配置される第1バネ受部及び第2バネ受部と、を有する加圧部材と、
前記第1バネ受部と前記定着フレームの間に介装される第1バネと、
前記第2バネ受部との近接離間方向に進退可能なバネフォルダーと、
前記第2バネ受部と前記バネフォルダーの間に介装される第2バネと、を備え、
前記ニップ圧切り替え手段の回転に伴って前記カムが前記バネフォルダーを押圧すると、該バネフォルダーが前記第2バネ受部との近接方向に移動して前記第2バネを介して前記第2バネ受部を押圧し、前記加圧部材が前記係合部側を中心に回転し、
前記ニップ圧切り替え手段に接続される操作レバーを更に備え、
前記操作レバーが操作されて回転すると、この回転が前記ニップ圧切り替え手段に伝達され、前記ニップ圧切り替え手段が回転することを特徴とする画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1の実施形態>
まず、
図1を用いて、画像形成装置としてのプリンター1の全体の構成について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るプリンターの概略を示す模式図である。以下、
図1における紙面左側を、プリンター1の正面側(前側)とする。
【0017】
プリンター1は、装置本体としての箱型形状のプリンター本体2を備えており、プリンター本体2の下部には用紙(図示せず)を収納する給紙カセット3が収容され、プリンター本体2の上面には排紙トレイ4が設けられている。プリンター本体2の上面には、排紙トレイ4の前方に上カバー5が開閉可能に取り付けられ、上カバー5の下方にはトナーコンテナ6が収納されている。
【0018】
プリンター本体2の上部には、排紙トレイ4の下方にレーザー・スキャニング・ユニット(LSU)で構成される露光器7が配置され、露光器7の下方には、画像形成部8が設けられている。画像形成部8には、像担持体である感光体ドラム10が回転可能に設けられており、感光体ドラム10の周囲には、帯電器11と、現像器12と、転写ローラー13と、クリーニング装置14とが、感光体ドラム10の回転方向(
図1の矢印X参照)に沿って配置されている。
【0019】
プリンター本体2の内部には、用紙の搬送経路15が設けられている。搬送経路15の上流端には給紙部16が設けられ、搬送経路15の中流部には、感光体ドラム10と転写ローラー13によって構成される転写部17が設けられ、搬送経路15の下流部には定着ユニット18が設けられ、搬送経路15の下流端には排紙部20が設けられている。搬送経路15の下方には、両面印刷用の反転経路21が形成されている。
【0020】
次に、このような構成を備えたプリンター1の画像形成動作について説明する。
【0021】
プリンター1に電源が投入されると、各種パラメーターが初期化され、定着ユニット18の温度設定等の初期設定が実行される。そして、プリンター1に接続されたコンピューター等から画像データが入力され、印刷開始の指示がなされると、以下のようにして画像形成動作が実行される。
【0022】
まず、帯電器11によって感光体ドラム10の表面が帯電された後、露光器7からのレーザー光(
図1の二点鎖線P参照)により感光体ドラム10に対して画像データに対応した露光が行われ、感光体ドラム10の表面に静電潜像が形成される。次に、この静電潜像を、現像器12がトナーによりトナー像に現像する。
【0023】
一方、給紙部16によって給紙カセット3から取り出された用紙は、上記した画像形成動作とタイミングを合わせて転写部17へと搬送され、転写部17において感光体ドラム10上のトナー像が用紙に転写される。トナー像を転写された用紙は、搬送経路15を下流側へと搬送されて定着ユニット18に進入し、この定着ユニット18において用紙にトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙は、排紙部20から排紙トレイ4に排出される。なお、感光体ドラム10上に残留したトナーは、クリーニング装置14によって回収される。
【0024】
次に、
図2〜
図8を用いて、プリンター本体2及び定着ユニット18について詳細に説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態に係るプリンターにおいて、定着ユニットを装着した状態のプリンター本体を示す後側からの斜視図である。
図3は、本発明の第1の実施形態に係るプリンターにおいて、プリンター本体を示す後側からの断面図である。
図4は、本発明の第1の実施形態に係るプリンターにおいて、定着ユニットを取り外した状態のプリンター本体を示す後側からの斜視図である。
図5は、本発明の第1の実施形態に係るプリンターにおいて、搬送ユニットを示す後側からの斜視図である。
図6は、本発明の第1の実施形態に係るプリンターにおいて、接続ギア及びニップ圧切り替え手段を示す後側からの斜視図である。
図7は、本発明の第1の実施形態に係るプリンターにおいて、カムがバネフォルダーを押圧している状態を示す右側からの断面図である。
図8は、本発明の第1の実施形態に係るプリンターにおいて、カムがバネフォルダーを押圧している状態を示す右前側からの斜視図である。各図に適宜付される矢印Frは、前側(正面側)を示している。
図2〜
図6は後側からの図であるため、図面上の左右関係と実際の左右関係が逆転している。
【0025】
まず、プリンター本体2について説明する。
図2に最も良く示されるように、プリンター本体2は、上下方向に延びる左右本体フレーム23、24と、この左右本体フレーム23、24間の上部に架設されるセンターフレーム25と、センターフレーム25の下方において左右本体フレーム23、24間に架設される搬送ユニット26と、を備えている。
【0026】
左本体フレーム23の後下隅部には左ガイドカセット27が取り付けられている。左ガイドカセット27には、駆動源である第1駆動モーター(
図2では図示せず)が収容されている。この第1駆動モーターは、左本体フレーム23又は左ガイドカセット27に回転可能に支持される接続ギア28の大径部30に接続されている。接続ギア28には、大径部30の内側に小径部31が設けられている。
【0027】
図3に示されるように、右本体フレーム24の後下隅部には右ガイドカセット32が取り付けられている。右ガイドカセット32には凹部状のシャフト支持部33が設けられている。
図4に示されるように、センターフレーム25の後部と搬送ユニット26の後部の間には、定着ユニット装着部34が形成されている。
【0028】
図5に示されるように、搬送ユニット26は、左右方向に長い扁平状を成している。
図3に示されるように、搬送ユニット26は、互いに接合される上側搬送フレーム35及び下側搬送フレーム(両面印刷用搬送フレーム)36と、上側搬送フレーム35と下側搬送フレーム36の間に配置されるニップ圧切り替え手段37と、を備えている。
【0029】
上側搬送フレーム35と下側搬送フレーム36の間には、左右方向にシャフト穴38が設けられている。シャフト穴38には、上側搬送フレーム35から複数個の上側リブ40が左右に所定の間隔をおいて突設されるとともに、下側搬送フレーム36から複数個の下側リブ41が左右に所定の間隔をおいて突設されている。
【0030】
シャフト穴38の左右方向中央には収容部42が設けられ、この収容部42には、上側搬送フレーム35に固定された検知手段43が収容されている。検知手段43は、例えばPIセンサー(Photo Interrupter Sensor)であり、所定の間隔を介して対向する発光部44と受光部45を備えている。上側搬送フレーム35の左端部には支持片47が設けられ、支持片47には軸受穴48が左右方向に穿設されている。
【0031】
ニップ圧切り替え手段37は、左右方向に長い直棒状のシャフト50を備えている。シャフト50は、例えば金属製である。シャフト50は、搬送ユニット26のシャフト穴38に挿通されており、その左右両端部が搬送ユニット26から露出している。シャフト50は、上側搬送フレーム35の上側リブ40と下側搬送フレーム36の下側リブ41によって挟み込まれるように設けられている。シャフト50の右端部は、右ガイドカセット32に設けられたシャフト支持部33に軸支され、シャフト50の左端部は、上側搬送フレーム35の支持片47に設けられた軸受穴48に軸支されている。これにより、シャフト50がプリンター本体2に回転可能に支持されている。
【0032】
図6に示されるように、シャフト50の左端部には、駆動ギア51が固定されている。駆動ギア51は、プリンター本体2に設けられた接続ギア28の小径部31に噛合している。シャフト50の左右方向略中央には、検知レバー52が固定されている。検知レバー52には、上側搬送フレーム35の検知手段43と対応する位置に、上下方向に延びる平板状の被検知部53が設けられている。
【0033】
シャフト50の右端部及び左側部には、楕円状のカム54が固定されている。
図7に示されるように、カム54にはDカット状の固定穴55が形成されており、この固定穴55にシャフト50のDカット状の固定部56が挿入されることで、シャフト50に対するカム54の相対回転が規制されている。
【0034】
次に、定着ユニット18について説明する。
図2に示されるように、定着ユニット18は、プリンター本体2の定着ユニット装着部34(
図4参照)に着脱可能に装着されている。
【0035】
図7に示されるように、定着ユニット18は、箱型形状の定着フレーム57と、定着フレーム57に収容される第1回転部材としてのヒートローラー58と、定着フレーム57に収容されてヒートローラー58と対向する第2回転部材としてのプレスローラー60と、ヒートローラー58及びプレスローラー60の左右両端に配置される定着ニップ形成手段61と、を備えている。
【0036】
定着フレーム57の後端部の左右両端には、上方に向かって半円弧状に湾曲する被係合部63が設けられている。定着フレーム57の前端部の左右両端には上下方向に延びるフォルダー収容部64が設けられ、各フォルダー収容部64の下端には挿通穴65が上下方向に穿設されている。定着フレーム57には、各フォルダー収容部64の後側に定着フレーム側バネ受部66が設けられている。
【0037】
ヒートローラー58は、左右方向に長い形状を成している。ヒートローラー58は、例えば、アルミニウムや鉄等の金属から成る円筒状の芯材と、この芯材に周設されるシリコンゴム等から成る弾性層と、この弾性層を被覆するPFA等のフッ素樹脂からなる離型層と、を備えている。ヒートローラー58の左右両端部は、定着フレーム57に回転可能に支持されている。ヒートローラー58の内部空間には、熱源としてのヒーター67が収容されている。ヒーター67は、例えばハロゲンヒーターやセラミックヒーターによって構成されている。
【0038】
プレスローラー60は、左右方向に長い形状を成している。プレスローラー60は、例えば、アルミニウムや鉄等の金属から成る円筒状の芯材と、この芯材に周設されるシリコンゴム等から成る弾性層と、この弾性層を被覆するPFA等のフッ素樹脂からなる離型層と、を備えている。プレスローラー60の左右両端部には、軸受68が取り付けられている。
【0039】
各定着ニップ形成手段61は、定着フレーム57の左右両端部に収容される加圧部材70と、加圧部材70の前下方に配置されるバネフォルダー71と、を備えている。
【0040】
加圧部材70は、板金によって形成されており、前後方向中央に屈曲部72が設けられて略L字状を成している。加圧部材70の後端には半円弧状を成す係合部74が設けられている。係合部74は、定着フレーム57に設けられた被係合部63と係合しており、これにより、係合部74側(本実施形態では後側)を中心に回転可能な状態で加圧部材70が定着フレーム57に支持されている。加圧部材70の後部には保持部75が設けられ、保持部75にはプレスローラー60の左右両端部が軸受68を介して回転可能に保持されている。
【0041】
加圧部材70の前部には、第1バネ受部76が設けられている。第1バネ受部76は、保持部75を挟んで係合部74の反対側に配置されている。第1バネ受部76と定着フレーム57の定着フレーム側バネ受部66の間には、コイルスプリングによって構成される第1バネ77が介装されている。第1バネ77は、加圧部材70を上方に付勢しており、これに伴って、加圧部材70がプレスローラー60をヒートローラー58側に加圧している。これにより、プレスローラー60がヒートローラー58に圧接し、ヒートローラー58とプレスローラー60の間に定着ニップ78が形成されている。そして、この定着ニップ78を用紙が通過することで、用紙にトナー像が定着されるように構成されている。加圧部材70の前端部には、第2バネ受部80が設けられている。第2バネ受部80は、保持部75を挟んで係合部74の反対側に配置されており、第1バネ受部76よりも係合部74から離間した位置に設けられている。
【0042】
バネフォルダー71は、定着フレーム57に設けられたフォルダー収容部64に上下動可能な状態で収容されている。バネフォルダー71は、フォルダー収容部64に設けられた挿通穴65に挿通されている。バネフォルダー71の下端部は、プリンター本体2のニップ圧切り替え手段37に設けられたカム54の真上に配置されている。バネフォルダー71の上部外周には環状の係止突起81が設けられている。
【0043】
バネフォルダー71の上面側にはフォルダー側バネ受部82が上下方向に設けられ、フォルダー側バネ受部82と加圧部材70の第2バネ受部80の間には、コイルスプリングによって構成される第2バネ83が介装されている。
【0044】
次に、主に
図9を用いて、プリンター1の制御システムについて説明する。
図9は、本発明の第1の実施形態に係るプリンターの構成を示すブロック図である。
【0045】
プリンター1には、制御部(CPU)84が設けられている。制御部84は、ROM、RAM等の記憶装置で構成される記憶部85と接続されており、記憶部85に格納された制御プログラムや制御用データに基づいて、制御部84がプリンター1の各部の制御を行うように構成されている。
【0046】
制御部84は、プリンター本体2に設けられた操作表示部86と接続されている。操作表示部86には、例えば、スタートキー、ストップ/クリアキー、電源キー、テンキー、タッチパネル等の操作キーが設けられ、ユーザーが各操作キーを操作すると、その操作指示が制御部84に出力されるように構成されている。
【0047】
制御部84は、検知手段43と接続されており、検知手段43がニップ圧切り替え手段37の検知レバー52に設けられた被検知部53の位置を検知すると、検知手段43からの検知信号が制御部84に出力されるように構成されている。
【0048】
制御部84は、ヒーター67と接続されており、制御部84からの信号に基づいてヒーター67が通電し、ヒートローラー58を加熱するように構成されている。
【0049】
制御部84は、前述のように左ガイドカセット27に設けられる第1駆動モーター87と接続されており、制御部84からの駆動指令信号に基づいて第1駆動モーター87が回転するように構成されている。制御部84は、第2駆動モーター88を介してヒートローラー58と接続されており、制御部84からの駆動指令信号に基づいて、第2駆動モーター88がヒートローラー58を回転させるように構成されている。
【0050】
以上のように構成されたものにおけるニップ圧切り替え動作について、以下に説明する。
【0051】
プリンター1に電源が投入される前の状態では、
図10及び
図11に示されるように、カム54がバネフォルダー71の下端部と僅かな隙間を介して対向しており、カム54がバネフォルダー71を押圧していない。また、バネフォルダー71のフォルダー側バネ受部82の下端部から第2バネ受部80までの距離が第2バネ83の自然長よりも長い。そのため、第2バネ83の付勢力は加圧部材70に働いておらず、第1バネ77の付勢力のみによって加圧部材70がプレスローラー60をヒートローラー58側に加圧している。この時のニップ圧をP1とする。
【0052】
この状態で、操作表示部86の電源キーの操作によってプリンター1に電源が投入されると、制御部84からの駆動指令信号に基づいて第1駆動モーター87が回転する。この回転が接続ギア28及び駆動ギア51を介してシャフト50に伝達され、ニップ圧切り替え手段37が一方向に180度回転し、ニップ圧切り替え手段37のカム54がバネフォルダー71の下端部を上方に押圧する。
【0053】
この押圧により、
図7に示されるようにバネフォルダー71が第2バネ受部80との近接方向(本実施形態では上方)に移動し、バネフォルダー71が第2バネ83を介して第2バネ受部80を上方に押圧する。これに伴って、加圧部材70が係合部74側を中心に上方に回転し、プレスローラー60がヒートローラー58に接近し、加圧部材70からプレスローラー60への加圧力とプレスローラー60の弾性層の弾発力が釣り合った位置でプレスローラー60が停止する。これに伴って、ニップ圧がP1よりも大きなP2に移行する。この時、第1バネ77の付勢力も加圧部材70に働いている。
【0054】
また、上記のようにニップ圧切り替え手段37が180度回転すると、
図8に示されるように、ニップ圧切り替え手段37の検知レバー52に設けられた被検知部53が、プリンター本体2の検知手段43の発光部44と受光部45の間に進入する。これにより、検知手段43がニップ圧切り替え手段37の回転を検知し、検知信号を制御部84に出力する。
【0055】
このニップ圧P2の状態では、普通紙等の用紙に対してトナー像が定着される。その際には、制御部84の制御により、通常速度で用紙が定着ニップ78へと搬送される。
【0056】
一方で、封筒や薄紙等の用紙に対して上記したニップ圧P2で定着を行うと、ニップ圧が強すぎて用紙に皺が入ったり、用紙の搬送性が低下したりする虞が有る。そこで、この場合には、ニップ圧が通常圧から減圧されるように操作表示部86を操作する(例えば、用紙の種類として封筒や薄紙を選択する)。この操作指示が操作表示部86から制御部84に出力されると、制御部84が第1駆動モーター87に対して駆動指令信号を送る。この駆動指令信号に基づいて、第1駆動モーター87が回転し、この回転が接続ギア28及び駆動ギア51を介してシャフト50に伝達され、ニップ圧切り替え手段37が前記一方向又はこれとは逆方向に180度回転する。
【0057】
これに伴って、
図10に示されるように、ニップ圧切り替え手段37のカム54によるバネフォルダー71に対する押圧が解除され、バネフォルダー71が自重により下降し、バネフォルダー71の係止突起81が挿通穴65の周囲においてフォルダー収容部64に当接する。これにより、第2バネ83の付勢力が加圧部材70に働かなくなり、ニップ圧がP2からP1に減圧される。
【0058】
このようにニップ圧がP2からP1に減圧されると、ニップ幅も狭くなるため、ニップ圧P2の場合と同一の速度で用紙が定着ニップ78へと搬送されると、用紙へのトナー像の定着が不十分になる虞が有る。そこで、この場合には、制御部84による制御により、通常速度よりも低速で用紙を定着ニップ78へと搬送する。これにより、定着ニップ78を用紙が通過する時間を長くすることができ、用紙へのトナー像の定着を確実に行うことが可能となる。
【0059】
また、上記のようにニップ圧切り替え手段37が180度回転すると、
図11に示されるように、ニップ圧切り替え手段37の検知レバー52に設けられた被検知部53が、プリンター本体2の検知手段43の発光部44と受光部45の間から離脱する。これに伴って、検知手段43がニップ圧切り替え手段37の回転を検知し、検知信号を制御部84に出力する。
【0060】
本実施形態では、ニップ圧切り替え手段37を定着ユニット18ではなくプリンター本体2に設けている。そのため、定着ユニット18の構成を簡素化して部品点数及び製造コストの削減を図ることができるとともに、定着ユニット18のコンパクト化を図ることができる。また、プリンター本体2にニップ圧切り替え手段37を設けることで、ニップ圧の切り替え時に発生する大きな負荷を、プリンター本体2によって受けることができる。そのため、定着ユニット18に過大な負荷が掛かるのを防止することが可能となり、ニップ圧切り替え動作の安定性を高めることが可能となる。
【0061】
また、定着ユニット18の外部にニップ圧切り替え手段37を設けることで、定着ユニット18内にレイアウト上の余裕が生じ、その分、係合部74から第1バネ受部76及び第2バネ受部80までの距離を長くすることができる(テコ比を大きくすることができる)。これに伴って、第1バネ77及び第2バネ83に必要とされるバネ圧を小さくすることができる。
【0062】
また、第1バネ77及び第2バネ83のバネ圧によってヒートローラー58とプレスローラー60の距離を規制しているため、単一のバネのみを用いる場合と比較して、ヒートローラー58とプレスローラー60の距離を柔軟に変化させることが可能となる。
【0063】
また、第2バネ受部80が第1バネ受部76よりも係合部74から離間した位置に設けられているため、第1バネ受部76よりも係合部74に接近した位置に第2バネ受部80を配置する場合と比較して、第2バネ受部80から係合部74までの距離を長くすることができる。これに伴って、第2バネ83に必要とされるバネ圧を一層小さくすることが可能となる。
【0064】
また、本実施形態では、操作表示部86の操作により自動でニップ圧の切り替えを行うことが可能となっている。そのため、手動でニップ圧の切り替えを行う場合と比較してユーザーやサービスマン等の作業者の負担を軽減することが可能となる。
【0065】
また、上側搬送フレーム35と下側搬送フレーム36の間にシャフト穴38を設けているため、上側搬送フレーム35と下側搬送フレーム36によってシャフト50を挟み込むことになり、シャフト50の撓みを防止することができる。
【0066】
本実施形態では金属製のシャフト50を用いたが、他の異なる実施形態では樹脂製のシャフト50を用いても良い。このシャフト50の材質は、例えば、シャフト50に大きな荷重が掛かる上位機(高速機)では金属製とし、シャフト50に掛かる荷重が上位機よりも小さな下位機(低速機)では樹脂製とするといったように、機種ごとに変えても良い。本実施形態では、シャフト50が定着ユニット18では無くプリンター本体2に設けられているため、シャフト50の材質を機種ごとに変えたとしても定着ユニット18は各機種について共通のものを使用することが可能である。
【0067】
本実施形態では、シャフト50の右端部をプリンター本体2の右本体フレーム24に設けられた右ガイドカセット32で軸支し、シャフト50の左端部を搬送ガイド26の上側搬送フレーム35で軸支する構成について説明したが、他の異なる実施形態では、シャフト50の両端をプリンター本体2の左右本体フレーム23、24で軸支したり、シャフト50の両端を搬送ガイド26で軸支する構成を採用したりしても良い。
【0068】
本実施形態では、第1バネ77及び第2バネ83を用いた所謂「バネ圧規制」の定着ニップ形成手段61を使用しているが、他の異なる実施形態では、第1回転部材と第2回転部材の軸間距離を規制する所謂「軸間規制」の定着ニップ形成手段61を使用しても良い。
【0069】
本実施形態では、ニップ圧をP1とP2の2段階としたが、他の異なる実施形態では、ニップ圧を3段階以上に切り替えられるように構成しても良い。
【0070】
本実施形態では、第1回転部材をヒートローラー58によって構成し、第2回転部材をプレスローラー60によって構成する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、第1回転部材等をベルトによって構成しても良い。
【0071】
本実施形態では、熱源としてヒーターを用いる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、例えばIHコイル等の他の熱源を用いても良い。
【0072】
本実施形態では、プリンターに本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、複写機、ファクシミリ、複合機等の他の画像形成装置に本発明の構成を適用することも可能である。
【0073】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について
図12及び
図13を用いて説明する。
図12は、本発明の第2の実施形態に係るプリンターにおいて、搬送ユニットを示す後側からの斜視図である。
図13は、本発明の第2の実施形態に係るプリンターにおいて、接続ギア及びニップ圧切り替え手段を示す後側からの斜視図である。なお、第1の実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
【0074】
図12に示されるように、搬送ユニット26の左端側には、後方に向かって操作レバー91が設けられている。
図13に示されるように、操作レバー91の前部には軸穴92が左右方向に設けられており、この軸穴92にはプリンター本体2に固定された回転軸93が貫通している。これにより、操作レバー91がプリンター本体2に回転可能な状態で支持されている。操作レバー91の後端部には把持部94が設けられ、操作レバー91の前端部には扇形の伝達ギア95が設けられている。伝達ギア95は、ニップ圧切り替え手段37に設けられた駆動ギア51に接続されている。
【0075】
このように構成されたものにおいて、ユーザーやサービスマン等の作業者が操作レバー91の把持部94を上下に操作すると、操作レバー91が回転軸93を中心に回転する。この回転が伝達ギア95及び駆動ギア51を介してシャフト50に伝達され、ニップ圧切り替え手段37が回転する。これに伴ってカム54も回転し、カム54のバネフォルダー71(
図13では図示せず)に対する押圧状態と押圧解除状態が切り替わり、第1の実施形態と同様の作用によってニップ圧が切り替わる。本実施形態ではこのように、自動でニップ圧を切り替える場合よりも簡易な構成によって、手動でニップ圧を切り替えることが可能となっている。
【0076】
以上のように、第1の実施形態ではニップ圧切り替え手段37を自動で回転させていたのに対して第2の実施形態ではニップ圧切り替え手段37を手動で回転させており、これに伴って、第1の実施形態と第2の実施形態ではプリンター本体2の一部の構成が異なっている。一方で、定着ユニット18の構成は、第1の実施形態と第2の実施形態で共通である。このように、ニップ圧切り替え手段37をプリンター本体2に設けることで、ニップ圧切り替え手段37の回転方式(自動/手動)をユーザーの用途や使用環境に対応して変更しつつ、定着ユニット18は共通化することができる。従って、一の仕様の定着ユニット18のみによって上位機から下位機まで様々な機種に対応することができ、開発段階において市場の様々な要請にも対応しやすくなる。
【0077】
また、ニップ圧切り替え手段37を自動で回転させる場合(第1の実施形態参照)とニップ圧切り替え手段37を手動で回転させる場合(第2の実施形態参照)とを比べた場合に、異なっているのは、プリンター本体2の一部分に設けられた部材のみである。つまり、プリンター本体2の一部分のみを変更すれば、ニップ圧切り替え手段37を自動で回転させる機種と手動で回転させる機種の両方を製造することができ、複数の方式に対応することによる製造コストの上昇を最小限に抑制することができる。
【0078】
また、初期の状態ではプリンター本体2に接続ギア28(第1の実施形態参照)や操作レバー91(第2の実施形態参照)が無く、ニップ圧が一の設定値に限定されているような場合でも、オプションでシャフト50に操作レバー91を固定すれば、ニップ圧の切り替えが可能となる。