特許第5973712号(P5973712)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5973712
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】車両のルーフエアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/213 20110101AFI20160809BHJP
   B60R 21/231 20110101ALI20160809BHJP
   B60R 21/239 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   B60R21/213
   B60R21/231
   B60R21/239
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-265697(P2011-265697)
(22)【出願日】2011年12月5日
(65)【公開番号】特開2013-82418(P2013-82418A)
(43)【公開日】2013年5月9日
【審査請求日】2014年11月28日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0100993
(32)【優先日】2011年10月5日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 昌 ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】崔 ジュン 烈
(72)【発明者】
【氏名】李 彦 求
【審査官】 神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−241241(JP,A)
【文献】 特開2005−145225(JP,A)
【文献】 特開2008−149965(JP,A)
【文献】 米国特許第05599041(US,A)
【文献】 特表2002−508273(JP,A)
【文献】 特開2007−216825(JP,A)
【文献】 特開2010−201980(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3035691(JP,U)
【文献】 国際公開第2011/099158(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16 − 21/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフに装着されたハウジング(3)と、
前記ハウジング(3)に内蔵され、膨張ガスが供給されると前記ハウジング(3)の下側、乗客の肩前方の位置で膨張するアウタークッション(7)と、
前記ハウジング(3)に内蔵され膨張ガスが供給されると前記ハウジング(3)の下側、乗客の頭前方の位置で膨張し膨張した状態では、前記アウタークッション(7)の内側に配置されるインナークッション(9)と、
前記アウタークッション(7)及びインナークッション(9)に膨張ガスを提供するように具備されたインフレート(11)と、
を含み、
前記アウタークッション(7)は、膨張した状態で、U字形に形成されて、前記インフレート(11)から膨張ガスの供給を受けるように連結され、前記インナークッション(9)に膨張ガスを伝達する供給ベントホール(13)を具備し、
前記インナークッション(9)は、前記アウタークッション(7)のU字形の内側に結合されて、前記アウタークッション(7)から膨張ガスの伝達を受けるための需給ベントホール(15)と膨張ガスを外部に排出させるための排出ベントホール(17)を具備し、
前記アウタークッション(7)は、U字形の一側をなす左側羽部(7−L)と、他側をなす右側羽部(7−R)及び前記左側羽部(7−L)と右側羽部(7−R)の前方側を連結するアウト前方部(7−F)からなり、前記左側羽部(7−L)及び右側羽部(7−R)が、乗客の肩部分前方への移動を制限するように形成され、
前記インナークッション(9)は、
前記左側羽部(7−L)と右側羽部(7−R)の上側を水平方向に連結するインナー上側部(9−T)と、
前記左側羽部(7−L)と右側羽部(7−R)の下側を水平方向に連結するインナー下側部(9−B)と、
前記アウト前方部(7−F)に接しながら前記インナー上側部(9−T)とインナー下側部(9−B)を上下方向に連結するインナー前方部(9−F)と、
前記インナー前方部(9−F)の後側で前記インナー下側部(9−B)から前記インナー上側部(9−T)に向けて突出形成されるインナー中間部(9−M)と、からなり、
前記インナー中間部(9−M)が、乗客の頭部前方への移動を制限するように形成されることを特徴とする車両のルーフエアバッグ装置。
【請求項2】
前記インナークッション(9)のインナー中間部(9−M)は、前記アウタークッション(7)の左側羽部(7−L)に隣接した左側インナー中間部(9−M)と右側羽部(7−R)に隣接した右側インナー中間部(9−M)に分割形成されることを特徴とする請求項1に記載の車両のルーフエアバッグ装置。
【請求項3】
前記インナークッション(9)のインナー前方部(9−F)は、前記インナー上側部(9−T)とインナー下側部(9−B)と共に前方に向けて凹状に陷沒するS字形状の湾曲部を形成することを特徴とする請求項1に記載の車両のルーフエアバッグ装置。
【請求項4】
前記供給ベントホール(13)は、前記アウタークッション(7)の左側羽部(7−L)及び右側羽部(7−R)の下側内側面に形成され、
前記需給ベントホール(15)は、前記インナークッション(9)のインナー下側部(9−B)両側の前記供給ベントホール(13)に相応する位置に形成され、
前記排出ベントホール(17)は、前記インナー下側部(9−B)の下側面に形成されることを特徴とする請求項1に記載の車両のルーフエアバッグ装置。
【請求項5】
前記インフレート(11)は、一つのインフレート(11)から供給される膨張ガスを前記アウタークッション(7)の左側羽部(7−L)及び右側羽部(7−R)の上側にそれぞれ供給できるように連結されたことを特徴とする請求項1に記載の車両のルーフエアバッグ装置。
【請求項6】
車両のルーフに装着されたハウジング(3)と、
前記ハウジング(3)に内蔵され、膨張ガスが供給されると前記ハウジング(3)の下側、乗客の肩前方の位置で膨張するアウタークッション(7)と、
前記ハウジング(3)に内蔵され膨張ガスが供給されると前記ハウジング(3)の下側、乗客の頭前方の位置で膨張し膨張した状態では、前記アウタークッション(7)の内側に配置されるインナークッション(9)と、
前記アウタークッション(7)及びインナークッション(9)に膨張ガスを提供するように具備されたインフレート(11)と、
を含み、
前記アウタークッション(7)は、膨張した状態で、乗客の頭を中心に両方へ分割されて壁面を形成する左側羽部(7−L)及び右側羽部(7−R)からなり、前記インフレート(11)から膨張ガスの供給を受けるように連結されて、前記インナークッション(9)に膨張ガスを伝達する供給ベントホール(13)を具備し、
前記インナークッション(9)は、前記左側羽部(7−L)と右側羽部(7−R)との間の内側空間に具備されて、前記アウタークッション(7)から膨張ガスの伝達を受けるための需給ベントホール(15)と膨張ガスを外部に排出させるための排出ベントホール(17)を具備し、
前記アウタークッション(7)は、前記左側羽部(7−L)及び右側羽部7−Rが、乗客の肩部分の前方への移動を制限するように形成され、
前記インナークッション(9)は、前記左側羽部(7−L)と右側羽部(7−R)の上側を水平方向に連結するインナー上側部(9−T)と、前記左側羽部(7−L)と右側羽部(7−R)の下側を水平方向に連結するインナー下側部(9−B)と、前方側で前記インナー上側部(9−T)とインナー下側部(9−B)を上下方向に連結するインナー前方部(9−F)と、前記インナー前方部(9−F)の後側で前記インナー下側部(9−B)から前記インナー上側部(9−T)に向けて突出形成されるインナー中間部(9−M)からなり、前記インナー中間部(9−M)が、乗客の頭部の前方への移動を制限するように形成され、
前記インナークッション(9)のインナー中間部(9−M)は、前記アウタークッション(7)の左側羽部(7−L)に隣接した左側インナー中間部(9−M)と右側羽部(7−R)に隣接した右側インナー中間部(9−M)に分割されて形成されることを特徴とする車両のルーフエアバッグ装置。
【請求項7】
前記供給ベントホール(13)は、前記アウタークッション(7)の左側羽部(7−L)及び右側羽部(7−R)の上側内側面に形成されて、
前記需給ベントホール(15)は、前記インナークッション(9)のインナー上側部(9−T)両側の前記供給ベントホール(13)に相応する位置に形成されて、
前記排出ベントホール(17)は、前記インナー下側部(9−B)の下側面に形成されることを特徴とする請求項6に記載の車両のルーフエアバッグ装置。
【請求項8】
前記インフレート(11)は、一つのインフレート(11)から供給される膨張ガスを前記アウタークッション(7)の左側羽部(7−L)及び右側羽部(7−R)の上側にそれぞれ供給できるように連結されたことを特徴とする請求項6に記載の車両のルーフエアバッグ装置。
【請求項9】
車両のルーフに装着されたハウジング(3)と、
前記ハウジング(3)に内蔵され、膨張ガスが供給されると前記ハウジング(3)の下側、乗客の肩前方の位置で膨張するアウタークッション(7)と、
前記ハウジング(3)に内蔵され膨張ガスが供給されると前記ハウジング(3)の下側、乗客の頭前方の位置で膨張し膨張した状態では、前記アウタークッション(7)の内側に配置されるインナークッション(9)と、
前記アウタークッション(7)及びインナークッション(9)に膨張ガスを提供するように具備されたインフレート(11)と、
を含み、
前記アウタークッション(7)は、膨張された状態で、乗客の頭を中心に両方へ分割されて壁面を形成する左側羽部(7−L)及び右側羽部(7−R)からなり、前記インフレート(11)から膨張ガスの供給を受けるように連結され、
前記インナークッション(9)は、前記左側羽部(7−L)と右側羽部(7−R)との間の内側空間に具備されて、前記インフレート(11)から膨張ガスの供給を受けるように連結されて、膨張ガスを外部に排出させるための排出ベントホール(17)を具備したことを特徴とする車両のルーフエアバッグ装置。
【請求項10】
前記アウタークッション(7)は、前記左側羽部(7−L)及び右側羽部(7−R)が、乗客の肩部分の前方への移動を制限するように形成され、
前記インナークッション(9)は、前記左側羽部(7−L)と右側羽部(7−R)の上側を水平方向に連結するインナー上側部(9−T)と、前記左側羽部(7−L)と右側羽部(7−R)の下側を水平方向に連結するインナー下側部(9−B)と、前方側で前記インナー上側部(9−T)とインナー下側部(9−B)を上下方向に連結するインナー前方部(9−F)と、前記インナー前方部(9−F)の後側で前記インナー下側部(9−B)から前記インナー上側部(9−T)に向けて突出形成されるインナー中間部(9−M)からなり、前記インナー中間部(9−M)が、乗客の頭部の前方への移動を制限するように形成されることを特徴とする請求項9に記載の車両のルーフエアバッグ装置。
【請求項11】
前記インナークッション(9)のインナー中間部(9−M)は、前記アウタークッション(7)の左側羽部(7−L)と右側羽部(7−R)との間の空間を満たす単一突出物形状で形成されることを特徴とする請求項10に記載の車両のルーフエアバッグ装置。
【請求項12】
前記インフレート(11)は、第1インフレート(11)と第2インフレート(11)からなり、
前記第1インフレート(11)は、前記アウタークッション(7)の左側羽部(7−L)及び右側羽部(7−R)の上側にそれぞれ膨張ガスを供給できるように連結され、
前記第2インフレート(11)は、前記インナークッション(9)のインナー上側部(9−T)に膨張ガスを供給できるように連結され、
前記排出ベントホール(17)は、前記インナー下側部(9−B)の下側面に形成されることを特徴とする請求項10に記載の車両のルーフエアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のルーフエアバッグ装置に係り、より詳しくは、車両の同乗者席ルーフなどに設置されて、車両の衝突事故時に乗客を保護できるようにするエアバッグ技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の同乗者席エアバッグ装置は、図1に示すようにクラッシュパッド500に内蔵され、車両衝突発生時にエアバッグクッション502がクラッシュパッド500の外部に膨張して乗客を保護するようになっている。エアバッグクッション502の膨張時にはウインドシールドガラス504とクラッシュパッド500上側部分によってガイドされながら展開するようになっている。
上記の通り、従来の同乗者席エアバッグ装置は、乗客とエアバッグ装置が内蔵された位置の間が相対的に遠く、大容量のエアバッグ装置を必要としていた。
そのため、重量大で、原価が相対的に高い問題があり、車両ごとにクラッシュパッド500及びウインドシールドガラス504のデザインを変更する必要があり、エアバッグクッション502の形状及び構造を変更する必要があるため、エアバッグ装置の標準化が困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−306377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記問題点を解決するためになされたものであって、エアバッグ装置の重量と原価の低減を計るとともに効果的に乗客の頭と首部分の傷害が防止でき、エアバッグ装置の標準化を容易にした車両のルーフエアバッグ装置を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による車両のルーフエアバッグ装置は、車両のルーフに装着されたハウジング(3)と、前記ハウジング(3)に内蔵され、膨張ガスが供給されると前記ハウジング(3)の下側、乗客の肩前方の位置で膨張するアウタークッション(7)と、前記ハウジング(3)に内蔵され膨張ガスが供給されると前記ハウジング(3)の下側、乗客の頭前方の位置で膨張し、膨張した状態では、前記アウタークッション(7)の内側に配置されるインナークッション(9)と、前記アウタークッション(7)及びインナークッション(9)に膨張ガスを提供するように具備されたインフレート(11)と、を含み、前記アウタークッション(7)は、膨張した状態で、U字形に形成されて、前記インフレート(11)から膨張ガスの供給を受けるように連結され、前記インナークッション(9)に膨張ガスを伝達する供給ベントホール(13)を具備し、前記インナークッション(9)は、前記アウタークッション(7)のU字形の内側に結合されて、前記アウタークッション(7)から膨張ガスの伝達を受けるための需給ベントホール(15)と膨張ガスを外部に排出させるための排出ベントホール(17)を具備し、前記アウタークッション(7)は、U字形の一側をなす左側羽部(7−L)と、他側をなす右側羽部(7−R)及び前記左側羽部(7−L)と右側羽部(7−R)の前方側を連結するアウト前方部(7−F)からなり、前記左側羽部(7−L)及び右側羽部(7−R)が、乗客の肩部分前方への移動を制限するように形成され、前記インナークッション(9)は、前記左側羽部(7−L)と右側羽部(7−R)の上側を水平方向に連結するインナー上側部(9−T)と、前記左側羽部(7−L)と右側羽部(7−R)の下側を水平方向に連結するインナー下側部(9−B)と、前記アウト前方部(7−F)に接しながら前記インナー上側部(9−T)とインナー下側部(9−B)を上下方向に連結するインナー前方部(9−F)と、前記インナー前方部(9−F)の後側で前記インナー下側部(9−B)から前記インナー上側部(9−T)に向けて突出形成されるインナー中間部(9−M)と、からなり、前記インナー中間部(9−M)が、乗客の頭部前方への移動を制限するように形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、乗客とエアバッグ装置が搭載された位置の間の距離が相対的に短くなるようにして、相対的に低容量のエアバッグ装置を使用できるようにすることで、エアバッグ装置の重量と原価を低減することができるようにしながらも、乗客の上体と頭部の差等化された支持作用で、より効果的に乗客の頭と首部分の傷害を防止できるようにし、クラッシュパッドとウインドシールドガラスの形状と無関係に構成されることで、エアバッグ装置の標準化を容易にする効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】従来技術による同乗席エアバッグ装置を説明する図面である。
図2】本発明によるルーフエアバッグ装置の概念を説明した概念図である。
図3】本発明の第1実施例を示した図面である。
図4図3アウタークッションを示した図面である。
図5図3のインナークッションを示した図面である。
図6図3のVI−VI断面図である。
図7図3のVII−VII断面図である。
図8】本発明の第2実施例を示した図面である。
図9図8アウタークッションを示した図面である。
図10図8のインナークッションを示した図面である。
図11図8のXI−XI断面図である。
図12図8のXII−XII断面図である。
図13】本発明の第3実施例を示した図面である。
図14図13アウタークッションを示した図面である。
図15図13のインナークッションを示した図面である。
図16図13のXVI−XVI断面図である。
図17図13のXVII−XVII断面図である。
図18】本発明の第4実施例を示した図面である。
図19図18の実施例を乗客側で見た状態を示した斜視図である。
図20図18の実施例を上側で見た図面である。
図21図18の右側面図である。
図22図18の乗客側で見た図面である。
図23】第1実施例を基準にして本発明の作用を従来技術と比べて示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図2に示す通り、本発明車両のルーフエアバッグ装置は、車両のルーフ1部分にハウジング3が装着されて、エアバッグクッション5の膨張時にはハウジング3から下側でエアバッグクッション5が展開されて、乗客の上体及び頭部分などを適切に拘束しながら緩衝するようにするものである。
本発明の第1実施例は、図3ないし図7に示すように、ハウジング3内に内蔵していながら下側で乗客の肩前方を向けて膨張されるアウタークッション7と、ハウジング3に内蔵していながら下側で乗客の頭前方を向けて膨張されてアウタークッション7の内側に位置するようになるインナークッション9と、アウタークッション7及びインナークッション9に供給される膨張ガスを提供するように具備されたインフレート11を含んで構成される。
【0009】
すなわち、本実施例でエアバッグクッション5は、アウタークッション7とインナークッション9からなり膨張時に図3のような形状に膨張し、乗客の肩部分と頭及び首部分を選別的に緩衝及び支持するようにするものである。
アウタークッション7は膨張した状態で、前方から後方の乗客を向けて開放されたU字形断面が上下方向に延長された形状で形成されて、インフレート11から膨張ガスの供給を受けるように連結されて、インナークッション9に膨張ガスを伝達する供給ベントホール13を具備する。
インナークッション9は、アウタークッション7のU字形に開口された内側に結合されて、アウタークッション7から膨張ガスの伝達を受けるための需給ベントホール15と膨張ガスを外部に排出させるための排出ベントホール17を具備する。
【0010】
図4図5の点線は、アウタークッション7とインナークッション9をお互いに裁縫して接合させる部位を表現したものである。
アウタークッション7は、U字形断面の開放された左側の方をなす左側羽部7−Lと、右側の方をなす右側羽部7−R及び前記左側羽部7−Lと右側羽部7−Rの前方側を連結するアウト前方部7−Fからなり、左側羽部7−L及び右側羽部7−Rが乗客の肩部分が前方に移動することを支持するように形成される。
【0011】
インナークッション9は、左側羽部7−Lと右側羽部7−Rの上側を水平方向に連結するインナー上側部9−Tと、左側羽部7−Lと右側羽部7−Rの下側を水平方向に連結するインナー下側部9−Bと、アウト前方部7−Fに接しながらインナー上側部9−Tとインナー下側部9−Bを上下方向に連結するインナー前方部9−Fと、インナー前方部9−Fの後側でインナー下側部9−Bからインナー上側部9−Tに向けて突出形成されるインナー中間部9−Mからなり、インナー中間部9−Mが乗客の頭部が前方に移動することを支持するように形成される。
【0012】
インナークッション9のインナー中間部9−Mは、アウタークッション7の左側羽部7−Lに隣接した左側インナー中間部9−M−Lと右側羽部7−Rに隣接した右側インナー中間部9−M−Rに分割形成される。
インナークッション9のインナー前方部9−Fは、インナー上側部9−Tとインナー下側部9−Bと共に前方を向けて凹に陷沒されるS字形状の湾曲部を形成する構造である。図7の点線はS字形湾曲部輪郭を表現したものである。
供給ベントホール13は、アウタークッション7の左側羽部7−L及び右側羽部7−Rの下側内側面に形成されて、需給ベントホール15はインナークッション9のインナー下側部9−B両側の供給ベントホール13に相応する位置に形成されて、排出ベントホール17はインナー下側部9−Bの下側面に形成される。
【0013】
インフレート11は、一つのインフレート11から供給される膨張ガスをアウタークッション7の左側羽部7−L及び右側羽部7−Rの上側にそれぞれ供給できるように連結された構造である。
したがって、エアバッグ装置の作動によってインフレート11で発生された膨張ガスは、アウタークッション7に先ず供給されて、アウタークッション7から供給ベントホール13と需給ベントホール15を通じてインナークッション9に供給されて、排出ベントホール17を通じて外部に排出される。
【0014】
図23は、第1実施例のルーフエアバッグ装置の作用を従来技術と比べて説明したものであり、左側から時間の経過による作動上の変化を示し、下側にはアウタークッション7とインナークッション9に対する乗客頭の挙動を水平断面図で例示している。
図23に示す通り、従来技術の場合乗客の前方移動量が相対的に多くて、乗客の頭や首を上体と分離して支持して選別的に保護することができないが、本発明の場合上体の肩部分はアウタークッション7が迅速で相対的に強く支持して乗客の前方移動量を相対的に少なくして、頭はインナークッション9の左側インナー中間部9−M−Lと右側インナー中間部9−M−Rとの間に挙動しながら、相対的に柔らかくて緩く緩衝作用をして、頭と首の自然で安定した挙動を形成し、乗客の頭や首の折れなどの傷害を防止する。
【0015】
本発明の第2実施例は、図8ないし図12に示すように、車両のルーフ1に装着されたハウジング3と、ハウジング3内に内蔵していながら下側に乗客の肩前方を向けて膨張されるアウタークッション7と、ハウジング3に内蔵していながら下側に乗客の頭前方を向けて膨張して、アウタークッション7の内側に位置するインナークッション9と、アウタークッション7及びインナークッション9に供給される膨張ガスを提供するインフレート11を含んで構成される。
アウタークッション7は膨張した状態で、乗客の頭を中心に両方へ分割されて壁面を形成する左側羽部7−L及び右側羽部7−Rからなり、インフレート11から膨張ガスの供給を受けるように連結されて、インナークッション9に膨張ガスを伝達する供給ベントホール13を具備する。
【0016】
インナークッション9は、左側羽部7−Lと右側羽部7−Rとの間の内側空間に具備されて、アウタークッション7から膨張ガスの伝達を受けるための需給ベントホール15と膨張ガスを外部に排出させるための排出ベントホール17を具備する。
アウタークッション7は、左側羽部7−L及び右側羽部7−Rが乗客の肩部分が前方に移動することを支持するように形成されて、インナークッション9は左側羽部7−Lと右側羽部7−Rの上側を水平方向に連結するインナー上側部9−Tと、左側羽部7−Lと右側羽部7−Rの下側を水平方向に連結するインナー下側部9−Bと、前方側でインナー上側部9−Tとインナー下側部9−Bを上下方向に連結するインナー前方部9−Fと、インナー前方部9−Fの後側でインナー下側部9−Bからインナー上側部9−Tに向けて突出形成されるインナー中間部9−Mからなり、インナー中間部9−Mが乗客の頭部が前方に移動するのを支持するように形成される。
【0017】
インナークッション9のインナー中間部9−Mは、アウタークッション7の左側羽部7−Lに隣接した左側インナー中間部9−M−Lと右側羽部7−Rに隣接した右側インナー中間部9−M−Rに分割形成される。
供給ベントホール13は、アウタークッション7の左側羽部7−L及び右側羽部7−Rの上側内側面に形成されて、需給ベントホール15はインナークッション9のインナー上側部9−T両側の供給ベントホール13に相応する位置に形成され、排出ベントホール17はインナー下側部9−Bの下側面に形成される。
【0018】
インフレート11は、一つのインフレート11から供給される膨張ガスをアウタークッション7の左側羽部7−L及び右側羽部7−Rの上側にそれぞれ供給できるように連結される。
すなわち、第1実施例に比べて、アウタークッション7がU字形断面ではなく、第1実施例でのアウト前方部7−Fが排除された両方の左側羽部7−L及び右側羽部7−Rだけで構成されるものであり、供給ベントホール13と需給ベントホール15の位置が相対的に上側に位置した点が異なる。
【0019】
本発明の第3実施例は、図13ないし図17に示すように、車両のルーフ1に装着されたハウジング3と、ハウジング3内に内蔵していながら下側に乗客の肩前方を向けて膨張されるアウタークッション7と、ハウジング3に内蔵していながら下側に乗客の頭前方を向けて膨張して、アウタークッション7の内側に位置するインナークッション9と、アウタークッション7及びインナークッション9に膨張ガスを提供するインフレート11を含んで構成される。
アウタークッション7は膨張した状態で、乗客の頭を中心に両方へ分割されて壁面を形成する左側羽部7−L及び右側羽部7−Rからなり、インフレート11から膨張ガスの供給を受けるように連結される。
【0020】
インナークッション9は、左側羽部7−Lと右側羽部7−Rの間の内側空間に具備されて、インフレート11から膨張ガスの供給を受けるように連結されて、膨張ガスを外部に排出させるための排出ベントホール17を具備した構造である。
アウタークッション7は、左側羽部7−L及び右側羽部7−Rが乗客の肩部分が前方に移動するのを支持するように形成され、インナークッション9は左側羽部7−Lと右側羽部7−Rの上側を水平方向に連結するインナー上側部9−Tと、左側羽部7−Lと右側羽部7−Rの下側を水平方向に連結するインナー下側部9−Bと、前方側でインナー上側部9−Tとインナー下側部9−Bを上下方向に連結するインナー前方部9−Fと、インナー前方部9−Fの後側でインナー下側部9−Bからインナー上側部9−Tに向けて突出形成されるインナー中間部9−Mからなり、インナー中間部9−Mが乗客の頭部が前方に移動するのを支持するように形成される。
【0021】
インナークッション9のインナー中間部9−Mは、アウタークッション7の左側羽部7−Lと右側羽部7−Rとの間の空間を満たす単一突出物形状で形成される。インフレート11は、第1インフレート11−1と第2インフレート11−2からなり、第1インフレート11−1はアウタークッション7の左側羽部7−L及び右側羽部7−Rの上側にそれぞれ膨張ガスを供給するように連結され、第2インフレート11−2はインナークッション9のインナー上側部9−Tに膨張ガスを供給するように連結され、排出ベントホール17はインナー下側部9−Bの下側面に形成される。
すなわち、本発明の第3実施例は、第2実施例と比べて、インナークッション9のインナー中間部9−Mが単一突出物形状で形成されて、インフレート11が二つ具備されて、それぞれインナークッション9とアウタークッション7に供給される点が異なる。
【0022】
本発明の第4実施例は、図18ないし図22に示すように、車両のルーフに装着されたハウジング3と、ハウジング3内に内蔵していながら下側に乗客の肩前方を向けて膨張されるアウタークッション7と、ハウジング3に内蔵していながら下側で乗客の頭前方を向けて膨張し、アウタークッション7の内側に位置するインナークッション9と、アウタークッション7及びインナークッション9に膨張ガスを提供するインフレート11を含んで構成される。
アウタークッション7は膨張した状態で、乗客の頭を中心に両方へ分割されて壁面を形成する左側羽部7−Lと右側羽部7−R及び左側羽部7−Lと右側羽部7−Rを連結する通路部7−Pからなり、インフレート11からの膨張ガスをインナークッション9に伝達する供給ベントホール13を具備する。
【0023】
インナークッション9は、左側羽部7−Lと右側羽部7−Rの間の内側空間に具備されて、アウタークッション7から膨張ガスの伝達を受けるための需給ベントホール15と膨張ガスを外部に排出させるための排出ベントホール17を具備する。
アウタークッション7は、左側羽部7−L及び右側羽部7−Rが乗客の肩部分が前方に移動するのを支持するように形成されて、インナークッション9はアウタークッション7の左側羽部7−Lと右側羽部7−Rとの間の空間を満たすように下側から上側に突出した単一突出物形状で形成される。
アウタークッション7の通路部7−Pは、左側羽部7−Lと右側羽部7−Rの前方上側部分を互いに連結するように形成され、通路部7−Pの内部にはインフレート11が内蔵された構造である。
【0024】
すなわち、インフレート11を通路部7−Pに内蔵することで、インフレート11で発生する膨張がスは、直接アウタークッション7の内部を満たし、引き続き供給ベントホール13と需給ベントホール15を経ってインナークッション9を満たす。
供給ベントホール13は、アウタークッション7の左側羽部7−L及び右側羽部7−Rの下側内側面に形成されて、需給ベントホール15は供給ベントホール13に相応するようにインナークッション9の下側両方に形成されて、排出ベントホール17はインナークッション9の前方側面に形成される。
【0025】
インナークッション9は、下側部分が左側羽部7−L及び右側羽部7−Rに固定されて、上側部分は左側羽部7−L及び右側羽部7−Rと分離するように形成される。
したがって、乗客の頭部がインナークッション9に衝突すれば、インナークッション9の上側部分がアウタークッション7とは別に前方ですこし撓みながら乗客の頭を緩衝して、延いては乗客の頭と首の自然な挙動を確保することができるようになる。アウタークッション7の左側羽部7−Lと右側羽部7−Rには、それぞれ中央部に閉空間が形成されないデッドゾーン19が具備され、膨張ガスで脹れるようにしなければならないアウタークッション7の空間を縮めることによって、相対的にインフレート11の容量を縮小できるようにする。
第2実施例ないし第3実施例の作用は、図23に示す第1実施例とほとんど類似であるので、詳細な説明は略する。
【0026】
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の属する技術分野を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0027】
1 ルーフ
3 ハウジング
5 エアバッグクッション
アウタークッション
7−F アウト前方部
7−L 左側羽部
7−P 通路部
7−R 右側羽部
9 インナークッション
9−T インナー上側部
9−B インナー下側部
9−F インナー前方部
9−M インナー中間部
9−M−L 左側インナー中間部
9−M−R 右側インナー中間部
11 インフレート
11−1 第1インフレート
11−2 第2インフレート
13 供給ベントホール
15 需給ベントホール
17 排出ベントホール
19 デッドゾーン


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図15
図16
図17
図18
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図20
図21
図22
図23