(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5973732
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】制振装置を備えた風力発電装置及びタワー状建造物の制振装置
(51)【国際特許分類】
F03D 13/20 20160101AFI20160809BHJP
F03D 80/80 20160101ALI20160809BHJP
E04H 12/00 20060101ALI20160809BHJP
E04H 9/14 20060101ALI20160809BHJP
E04H 9/02 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
F03D13/20
F03D80/80
E04H12/00 B
E04H9/14 G
E04H9/02 341A
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-12183(P2012-12183)
(22)【出願日】2012年1月24日
(65)【公開番号】特開2013-151883(P2013-151883A)
(43)【公開日】2013年8月8日
【審査請求日】2014年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000224994
【氏名又は名称】特許機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(72)【発明者】
【氏名】洞 宏一
(72)【発明者】
【氏名】山方 啓司
【審査官】
新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−114977(JP,A)
【文献】
特開2000−205108(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0150631(US,A1)
【文献】
特許第4831847(JP,B1)
【文献】
特開平11−201022(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0142178(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 13/20
E04H 9/02
E04H 9/14
E04H 12/00
F03D 80/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎上に設置されたタワーと、前記タワーの頂部に支持されたナセルと、前記ナセルの正面に支持されたロータヘッドと、前記タワーの上部又は前記ナセルに設置されたマスダンパー型の制振装置とを備えた風力発電装置であって、
前記制振装置が、前記タワーの軸心を横断するように配置されたウェイトを有し、前記ウェイトに、前記ナセル内の発電機から前記制振装置よりも下方に配置された下段電気設備に向けて延びる送電ケーブルを挿通する開口が形成され、
前記制振装置が、前記タワーの上部又は前記ナセルに取り付けられた上段支持板と中段支持板と下段支持板を有し、前記下段支持板の下に前記ウェイトが取り付けられ、前記送電ケーブルを挿通する開口が前記上段支持板と中段支持板と下段支持板に形成されるとともに、
前記上段支持板と前記中段支持板との間にX軸直動レールとX軸移動脚が設けられ、前記X軸直動レールに沿って前記X軸移動脚を移動可能に支持させることで前記上段支持板に対し前記中段支持板が前記X軸方向に移動自在に支持され、
前記中段支持板と前記下段支持板との間にY軸直動レールとY軸移動脚が設けられ、前記Y軸直動レールに沿って前記Y軸移動脚を移動可能に支持させることで前記中段支持板に対し前記下段支持板が前記Y軸方向に移動自在に支持され、
前記上段支持板に前記中段支持板の前記X軸方向への移動限界位置を規制するX軸ストッパが設けられ、前記中段支持板に前記下段支持板の前記Y軸方向への移動限界位置を規制するY軸ストッパが設けられる一方、
前記上段支持板の開口と前記中段支持板の開口と前記下段支持板の開口と前記ウェイトの開口の重なる領域が前記送電ケーブルの挿通領域とされ、前記X軸ストッパによる移動限界位置と前記Y軸ストッパによる移動限界位置において前記上段支持板の開口と前記中段支持板の開口と前記下段支持板の開口と前記ウェイトの開口の重なる領域が、間隙をもって前記送電ケーブルを挿通可能な領域であることを特徴とする制振装置とを備えた風力発電装置。
【請求項2】
基礎上に設置されたタワーと、前記タワーの頂部に支持された上段電気設備とを備えるタワー状建造物の上部に設けられるマスダンパー型の制振装置であって、
前記タワーの軸心を横断するように配置されたウェイトを有し、前記ウェイトに、前記上段電気設備から当該制振装置よりも下方に配置された下段電気設備に向けて延びる送電ケーブルを挿通する開口が形成され、
前記タワーの上部又は前記ナセルに取り付けられた上段支持板と中段支持板と下段支持板を有し、前記下段支持板の下に前記ウェイトが取り付けられ、前記送電ケーブルを挿通する開口が前記上段支持板と中段支持板と下段支持板に形成されるとともに、
前記上段支持板と前記中段支持板との間にX軸直動レールとX軸移動脚が設けられ、前記X軸直動レールに沿って前記X軸移動脚を移動可能に支持させることで前記上段支持板に対し前記中段支持板が前記X軸方向に移動自在に支持され、
前記中段支持板と前記下段支持板との間にY軸直動レールとY軸移動脚が設けられ、前記Y軸直動レールに沿って前記Y軸移動脚を移動可能に支持させることで前記中段支持板に対し前記下段支持板が前記Y軸方向に移動自在に支持され、
前記上段支持板に前記中段支持板の前記X軸方向への移動限界位置を規制するX軸ストッパが設けられ、前記中段支持板に前記下段支持板の前記Y軸方向への移動限界位置を規制するY軸ストッパが設けられる一方、
前記上段支持板の開口と前記中段支持板の開口と前記下段支持板の開口と前記ウェイトの開口の重なる領域が前記送電ケーブルの挿通領域とされ、前記X軸ストッパによる移動限界位置と前記Y軸ストッパによる移動限界位置において前記上段支持板の開口と前記中段支持板の開口と前記下段支持板の開口と前記ウェイトの開口の重なる領域が、間隙をもって前記送電ケーブルを挿通可能な領域であることを特徴とするタワー状建造物の制振装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制振装置を備えた風力発電装置、及びタワー状建造物の制振装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基礎上に設置されたタワーと、前記タワーの頂部に支持されたナセルと、前記ナセルの正面に支持されたロータヘッドとを備える風力発電装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。ナセル内の発電機からは、基礎上の電気設備に向けて送電ケーブルが延出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−286422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、風力発電装置のようなタワー状建造物において、当該建造物の上部にマスダンパー型の制振装置を備えることがある。この制振装置は簡易な構造ながら、建造物に載せるウェイトの重量を考慮すると小さな振動の制振に適しており、風力発電装置の如く風に因る振動を生じ易いタワー状建造物の制振には好適である。他方、風力発電装置のナセル周辺には制振装置の配置スペースが少なく、かつ前記送電ケーブルも配索されていることから、如何にして制振装置を設置するかが課題となる。
【0005】
そこで本発明は、制振装置を備えた風力発電装置、及びタワー状建造物の制振装置において、マスダンパー型の制振装置を効率よく設置可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、
基礎上に設置されたタワーと、前記タワーの頂部に支持されたナセルと、前記ナセルの正面に支持されたロータヘッドと、前記タワーの上部又は前記ナセルに設置されたマスダンパー型の制振装置とを備えた風力発電装置であって、前記制振装置が、前記タワーの軸心を横断するように配置されたウェイトを有し、前記ウェイトに、前記ナセル内の発電機から前記制振装置よりも下方に配置された下段電気設備に向けて延びる送電ケーブルを挿通する開口が形成され
、前記制振装置が、前記タワーの上部又は前記ナセルに取り付けられた上段支持板と中段支持板と下段支持板を有し、前記下段支持板の下に前記ウェイトが取り付けられ、前記送電ケーブルを挿通する開口が前記上段支持板と中段支持板と下段支持板に形成されるとともに、前記上段支持板と前記中段支持板との間にX軸直動レールとX軸移動脚が設けられ、前記X軸直動レールに沿って前記X軸移動脚を移動可能に支持させることで前記上段支持板に対し前記中段支持板が前記X軸方向に移動自在に支持され、前記中段支持板と前記下段支持板との間にY軸直動レールとY軸移動脚が設けられ、前記Y軸直動レールに沿って前記Y軸移動脚を移動可能に支持させることで前記中段支持板に対し前記下段支持板が前記Y軸方向に移動自在に支持され、前記上段支持板に前記中段支持板の前記X軸方向への移動限界位置を規制するX軸ストッパが設けられ、前記中段支持板に前記下段支持板の前記Y軸方向への移動限界位置を規制するY軸ストッパが設けられる一方、前記上段支持板の開口と前記中段支持板の開口と前記下段支持板の開口と前記ウェイトの開口の重なる領域が前記送電ケーブルの挿通領域とされ、前記X軸ストッパによる移動限界位置と前記Y軸ストッパによる移動限界位置において前記上段支持板の開口と前記中段支持板の開口と前記下段支持板の開口と前記ウェイトの開口の重なる領域が、間隙をもって前記送電ケーブルを挿通可能な領域であることを特徴とする。
請求項2に記載した発明は、基礎上に設置されたタワーと、前記タワーの頂部に支持された上段電気設備とを備えるタワー状建造物の上部に設けられるマスダンパー型の制振装置であって、前記タワーの軸心を横断するように配置されたウェイトを有し、前記ウェイトに、前記上段電気設備から当該制振装置よりも下方に配置された下段電気設備に向けて延びる送電ケーブルを挿通する開口が形成され、
前記タワーの上部又は前記ナセルに取り付けられた上段支持板と中段支持板と下段支持板を有し、前記下段支持板の下に前記ウェイトが取り付けられ、前記送電ケーブルを挿通する開口が前記上段支持板と中段支持板と下段支持板に形成されるとともに、前記上段支持板と前記中段支持板との間にX軸直動レールとX軸移動脚が設けられ、前記X軸直動レールに沿って前記X軸移動脚を移動可能に支持させることで前記上段支持板に対し前記中段支持板が前記X軸方向に移動自在に支持され、前記中段支持板と前記下段支持板との間にY軸直動レールとY軸移動脚が設けられ、前記Y軸直動レールに沿って前記Y軸移動脚を移動可能に支持させることで前記中段支持板に対し前記下段支持板が前記Y軸方向に移動自在に支持され、前記上段支持板に前記中段支持板の前記X軸方向への移動限界位置を規制するX軸ストッパが設けられ、前記中段支持板に前記下段支持板の前記Y軸方向への移動限界位置を規制するY軸ストッパが設けられる一方、前記上段支持板の開口と前記中段支持板の開口と前記下段支持板の開口と前記ウェイトの開口の重なる領域が前記送電ケーブルの挿通領域とされ、前記X軸ストッパによる移動限界位置と前記Y軸ストッパによる移動限界位置において前記上段支持板の開口と前記中段支持板の開口と前記下段支持板の開口と前記ウェイトの開口の重なる領域が、間隙をもって前記送電ケーブルを挿通可能な領域であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、制振装置の配置スペースの少ない風力発電装置のようなタワー状建造物において、制振装置のウェイトをタワーの軸心を横断するように配置したプレート状としてその容量を確保できると共に、タワー頂部に支持した上段電気設備から制振装置よりも下方に配置した下段電気設備に向けて延びる送電ケーブルを避けて前記ウェイトを配置でき、もってタワー状建造物にマスダンパー型の制振装置を効率よく設置することができる。
また、X軸ストッパとY軸ストッパにより上段支持板と中段支持板と下段支持板とウェイトの開口が移動限界位置まで移動したとして重なる領域に間隙をもって送電ケーブルを挿通可能なので、送電ケーブルを無理なく避けつつ制振装置を設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態における風力発電装置の側面図である。
【
図2】(a)は上記風力発電装置に設置した制振装置の側面図、(b)は前記制振装置の下面図である。
【
図5】上記制振装置のウェイトの最大移動状態を示す下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、風力発電装置(タワー状建造物)1は、地上又は洋上に設けた基礎2上に設置された円筒状のタワー3と、タワー3の頂部3aにタワー3の軸心(軸線)Cを中心に左右回動可能に支持されたナセル(風車本体)4と、ナセル4の正面側に支持されたロータヘッド5とを備える。ナセル4内には増速機6及び発電機(上段電気設備)7が収容される。ロータヘッド5はハブ8の外周に複数の風車翼9を有してなる。ハブ8からナセル4内に延びる主軸5aは増速機6に接続され、増速機6から延びる出力軸6aは発電機7に接続される。
【0010】
ロータヘッド5の回転動力は、増速機6を介して発電機7に入力されて、この発電機7に電力を発生させる。発電機7が発生した電力は、タワー3の下部内で基礎2上に設置された発電制御盤(下段電気設備)11に送られる。タワー3内には、発電機7から発電制御盤11に向けて延びる高圧ケーブル(送電ケーブル)12が挿通される。タワー3の上部内(あるいはナセル4内)には、マスダンパー型の制振装置13が設置される。
【0011】
以下、
図2〜4を参照して制振装置13について説明する。なお、図中矢印UPが上方、矢印FRが前方、矢印LHが左方を示すものとする。
制振装置13は、タワー3の頂部内フレーム3bの下面側に固定される円盤状の上段支持板14と、上段支持板14の下面側に固定される前後一対のX軸直動レール15と、前後X軸直動レール15にそれぞれ左右移動可能に支持される左右一対のX軸移動脚16と、上段支持板14の下面側に固定的に支持されるX軸サーボモータ17と、X軸サーボモータ17によりカップリング17aを介して駆動されるX軸ボールネジ機構18と、X軸ボールネジ機構18の可動子(ボールナット18a)が固定されると共に各X軸移動脚16がそれぞれ固定される円盤状の中段支持板21とを有する。
【0012】
また、制振装置13は、中段支持板21の下面側に固定される左右一対のY軸直動レール22と、左右Y軸直動レール22にそれぞれ前後移動可能に支持される前後一対のY軸移動脚23と、中段支持板21の下面側に固定的に支持されるY軸サーボモータ24と、Y軸サーボモータ24によりカップリング24aを介して駆動されるY軸ボールネジ機構25と、Y軸ボールネジ機構25の可動子(ボールナット25a)が固定されると共に各Y軸直動レール22がそれぞれ固定される円盤状の下段支持板26とを有する。
【0013】
下段支持板26の下面側には、制振装置13のマス(質量体)たる円盤状のウェイト27が固定支持される。このウェイト27をY軸サーボモータ24により前後に変位させると共にX軸サーボモータ17により左右に変位させることで、制振装置13のマス(質量体)の移動反力により風力発電装置1の振動を低減させる。すなわち、制振装置13は、アクチュエータ(各サーボモータ17,24)から付与された外力によってマスに制振に適した動きをさせるアクティブ制振を行う。
【0014】
なお、図中符号28は上段支持板14の下面側の左右端部で前後一対に設けられたX軸ストッパを、符号28aは上段支持板14の下面側の左右で各X軸ストッパ28の左右方向内方に離間して設けられたX軸ストッパ片をそれぞれ示す。また、図中符号29は中段支持板21の下面側の前後端部で左右一対に設けられたY軸ストッパを、符号29aは中段支持板21の下面側の前後で各Y軸ストッパ29の前後方向内方に離間して設けられたY軸ストッパ片をそれぞれ示す。
【0015】
ここで、ウェイト27及び各支持板14,21,26の上下方向から見た中央部分には、上下方向から見て矩形状をなす開口31,32,33,34がそれぞれ形成される。各開口31,32,33,34は、上下方向から見て各直動レール15,22に囲まれた範囲(前後方向では前後X軸直動レール15に挟まれ、かつ左右方向では左右Y軸直動レール22に挟まれた範囲)に形成される。これら各開口31,32,33,34により、制振装置13の中央部分には、前記高圧ケーブル12を上下に挿通可能なケーブル挿通路が形成される。なお、頂部内フレーム3bにも上下方向から見て前記各開口31,32,33,34と重なる範囲に開口が形成されている。
【0016】
図5を参照し、ウェイト27の開口31(及び下段支持板26の開口34)は、ウェイト27がX軸ストッパ28により規定される左右方向の移動限界位置に達し、かつY軸ストッパ29により規定される前後方向の移動限界位置に達した場合でも、上段支持板14の開口32及び中段支持板21の開口33と重なる領域Rを残す。この領域Rにより、高圧ケーブル12を十分な間隙をもって挿通可能であり、したがって、タワー3の頂部3aに支持した電気設備からタワー3内を下方に延びる高圧ケーブル12を無理なく避けつつ制振装置13を設置することができる。
【0017】
以上説明したように、上記実施形態における風力発電装置1は、基礎2上に設置されたタワー3と、前記タワー3の頂部3aに支持されたナセル4と、前記ナセル4の正面に支持されたロータヘッド5と、前記タワー3の上部又は前記ナセル4に設置されたマスダンパー型の制振装置13とを備えるものであって、前記制振装置13が、前記タワー3の軸心Cを横断するように配置されたウェイト27を有し、前記ウェイト27に、前記ナセル4内の発電機7から前記制振装置13よりも下方に配置された発電制御盤11に向けて延びる高圧ケーブル12を挿通する開口31が形成されるものである。
【0018】
また、上記実施形態における制振装置13は、基礎2上に設置されたタワー3と、前記タワー3の頂部3aに支持された発電機7とを備える風力発電装置1の上部に設けられるマスダンパー型のものであって、前記タワー3の軸心Cを横断するように配置されたウェイト27を有し、前記ウェイト27に、前記発電機7から当該制振装置13よりも下方に配置された発電制御盤11に向けて延びる高圧ケーブル12を挿通する開口31が形成されるものである。
【0019】
上記構成によれば、制振装置13の配置スペースの少ない風力発電装置のようなタワー状建造物において、制振装置13のウェイト27をタワー3の軸心Cを横断するように配置したプレート状としてその容量を確保できると共に、タワー3の頂部3aに支持した発電機7から制振装置13よりも下方に配置した発電制御盤11に向けて延びる高圧ケーブル12を避けて前記ウェイト27を配置でき、もってタワー状建造物にマスダンパー型の制振装置13を効率よく設置することができる。
【0020】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、外力(アクチュエータ)を用いずにマスに制振に適した動きをさせるパッシブ制振を行う制振装置を採用してもよい。
これは、例えば前記上段支持板14と中段支持板21とを、左右に揺動自在なX軸振り子を介して連結すると共に、前記X軸振り子の振動周期を調節するX軸ダンパー手段を設け、かつ前記中段支持板21と下段支持板26とを、前後に揺動自在なY軸振り子を介して連結すると共に、前記Y軸振り子の振動周期を調節するY軸ダンパー手段を設けたものが考えられる。
また、上記実施形態の構成から各サーボモータ17,24及びボールネジ機構18,25を無くし、各移動脚16,23にスプリング等による付勢手段及びダンパー手段を連結したものも考えられる。
上記構成により、ウェイトに制振対象物の制振に適した動きをさせる(制振対象物の固有振動数に振り子の振動の周期が同調するように設定する)と共に、振動エネルギを吸収する(振動を減衰する)ことが可能となる。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0021】
1 風力発電装置(タワー状建造物)
2 基礎
3 タワー
3a 頂部
C 軸心
4 ナセル
5 ロータヘッド
7 発電機(上段電気設備)
11 発電制御盤(下段電気設備)
12 高圧ケーブル(送電ケーブル)
13 制振装置
27 ウェイト
31 開口