特許第5973764号(P5973764)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5973764
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】容器蓋
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/36 20060101AFI20160809BHJP
   B65D 41/34 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   B65D47/36 N
   B65D41/34
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-75557(P2012-75557)
(22)【出願日】2012年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-203448(P2013-203448A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2015年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】杉 麻実子
【審査官】 谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−520725(JP,A)
【文献】 特開2010−260570(JP,A)
【文献】 特開2006−143308(JP,A)
【文献】 実開昭53−142162(JP,U)
【文献】 特開2003−292009(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/36
B65D 51/22
B65D 51/20
B65D 41/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に装着される本体と該本体に装着される外蓋とを具備し、該本体は容器の口部を閉塞する円形閉塞壁及び該閉塞壁の外周縁から上方に延出する円筒形装着壁を有し、該閉塞壁には除去領域を規定する破断可能な円形薄肉ラインが形成されており、該装着壁の外周面には雄螺条が形成されており、該外蓋は天面壁及び該天面壁から垂下するスカート壁を有し、該スカート壁の内周面には該雄螺条と協働する雌螺条が形成されており、更に、該本体と該外蓋とには、該本体に対して該外蓋が該雄螺条と該雌螺条との螺合を解除する開回転方向に所定角度位置を超えて回転するのを協働して阻止する回転阻止手段と、該本体に対して該外蓋が相対的に所定位置を超えて上方に移動するのを協働して阻止する上昇阻止手段とが配設されている容器蓋において、
該本体の該閉塞壁には、該円形薄肉ラインが形成されている環状領域において、少なくとも1個の弧状没入部が配設されており、
該外蓋には該弧状没入部に進入せしめられる切断片が付設されており、該切断片の該回転方向に見て下流端には鋭い切断縁が形成されている、
ことを特徴とする容器蓋。
【請求項2】
該円形薄肉ラインの、該弧状没入部以外の部位における幅は、該弧状没入部における幅よりも大きい、請求項1記載の容器蓋。
【請求項3】
該弧状没入部の、該開回転方向上流側端壁には両者間の間隙が、該弧状没入部における薄肉ラインの幅に整合する一対のリブが配設されている、請求項2記載の容器蓋。
【請求項4】
該弧状没入部は周方向に等間隔をおいて2乃至6個配設されており、これに対応して該切断片も周方向に等間隔をおいて2乃至6個配設されている、請求項1から3までのいずれかに記載の容器蓋。
【請求項5】
該本体の該閉塞壁の上面には該除去領域から上方に延出する円筒形延出壁が配設されており、該外蓋の該天面壁の内面には下方に垂下する円筒形垂下壁が配設されており、該垂下壁の内径は該延出壁の外径よりも大きく、該上昇阻止手段は該延出壁の外周面に形成された環状突条と該垂下壁の内周面に形成された環状突条とから構成されており、該切断片は該垂下壁の下端縁から下方に突出している、請求項1から4までのいずれかに記載の容器蓋。
【請求項6】
該回転阻止手段は、該延出壁の外周面に周方向に間隔をおいて配設された複数個の当接片と該垂下壁の内周面に周方向に間隔をおいて配設された複数個の当接片とから構成されている、請求項5記載の容器蓋。
【請求項7】
該本体の該閉塞壁の上面には該除去領域から上方に延出する円筒形延出壁が配設されており、該外蓋の該天面壁の内面には下方に垂下する円筒形垂下壁が配設されていると共に該垂下壁よりも半径方向外側において下方に垂下する付加壁が配設されており、該切断片は該付加壁に付設されており、該上昇阻止手段は該延出壁の内周面又は外周面に形成された環状突条と該垂下壁の外周面又は内周面に形成された環状突条とから構成されている、請求項1から4までのいずれかに記載の容器蓋。
【請求項8】
該回転阻止手段は、該延出壁の内周面又は外周面に周方向に間隔をおいて配設された複数個の当接片と該垂下壁の外周面又は内周面に周方向に間隔をおいて配設された複数個の当接片とから構成されている、請求項7記載の容器蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に装着される本体とこの本体に装着される外蓋とを具備し、容器の口部を閉塞する本体の閉塞壁には除去領域を規定する円形薄肉ラインが形成されている形態の容器蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
液体飲料或いは醤油、食用油及びドレッシングの如き液体調味料のための容器蓋として、下記特許文献1には、容器に装着される本体とこの本体に装着される外蓋とを具備する容器蓋が開示されている。本体は容器の口部を閉塞する円形閉塞壁及びこの閉塞壁の外周縁から上方に延出する円筒形装着壁を有し、閉塞壁には除去領域を規定する破断可能な円形薄肉ラインが形成されており、装着壁の外周面には雄螺条が形成されている。外蓋は天面壁及びこの天面壁から垂下する円筒形スカート壁を有し、スカート壁の内周面には上記雄螺条と協働する雌螺条が形成されている。更に、本体と外蓋とには、協働して本体に対して外蓋が雄螺条と雌螺条との螺合を解除する開回転方向に所定角度位置を超えて回転するのを阻止する回転阻止手段と、協働して本体に対して外蓋が相対的に所定位置を超えて上方に移動するのを阻止する上昇阻止手段とが配設されている。更に詳しくは、本体の閉塞壁の上面には除去領域から上方に延出する円筒形延出壁が配設され、外蓋の天面壁の内面には下方に垂下する円筒形垂下壁が配設されている。延出壁の内径は垂下壁の外面よりも幾分大きく、垂下壁は延出壁内に位置せしめられる。上記回転阻止手段は延出壁の内周面に形成されたラチェット爪と垂下壁の外周面に形成されたラチェット爪とから構成され、上記上昇阻止手段は延出壁の内周面に形成された環状突条と垂下壁の内周面に形成された環状突条とから構成されている。外蓋が所要とおりに装着された本体を容器に所要とおりに装着した状態において、外蓋を開回転方向に幾分回転せしめると、外蓋に形成されているラチェット爪が本体に形成されているラチェット爪に当接し、本体に対して外蓋が更に開回転方向に回転することが阻止されるが、更に外蓋を強制的に開回転方向に回転せしめると、回転阻止手段を構成するラチェットを介して本体の閉塞壁に形成されている円形薄肉ラインに力が加えられ、これによって円形薄肉ラインが破断され閉塞壁から除去領域が除去されて排出開口が生成される。そして、外蓋の開回転方向への回転を続けて本体から外蓋を離脱せしめると、上昇阻止手段の作用によって除去領域も外蓋に付随して本体から離脱され、かくして排出開口を通して容器の内容物を排出することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−308218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
而して、上述したとおりの従来の容器蓋には、本体に対する外蓋の開回転方向への回転が阻止された直後に円形薄肉ラインの全体を実質上同時に破断することになる故に、円形薄肉ラインの破断に過大な力を必要とする、という解決すべき問題がある。
【0005】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、過大な力を必要とすることなく充分容易に円形薄肉ラインを破断することができる、新規且つ改良された容器蓋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意検討の結果、外蓋に切断片を付設し、回転阻止手段によって本体に対する外蓋の回転が阻止されるまでの外蓋の回転の際に切断片の作用によって円形薄肉ラインを部分的に切断し、本体に対する外蓋の回転が阻止された後に外蓋を強制的に回転することによって円形薄肉ラインの残部を破断する形態にせしめることによって、上記主たる技術的課題を達成することができることを見出した。
【0007】
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成する容器蓋として、容器に装着される本体と該本体に装着される外蓋とを具備し、該本体は容器の口部を閉塞する円形閉塞壁及び該閉塞壁の外周縁から上方に延出する円筒形装着壁を有し、該閉塞壁には除去領域を規定する破断可能な円形薄肉ラインが形成されており、該装着壁の外周面には雄螺条が形成されており、該外蓋は天面壁及び該天面壁から垂下するスカート壁を有し、該スカート壁の内周面には該雄螺条と協働する雌螺条が形成されており、更に、該本体と該外蓋とには、該本体に対して該外蓋が該雄螺条と該雌螺条との螺合を解除する開回転方向に所定角度位置を超えて回転するのを協働して阻止する回転阻止手段と、該本体に対して該外蓋が相対的に所定位置を超えて上方に移動するのを協働して阻止する上昇阻止手段とが配設されている容器蓋において、
該本体の該閉塞壁には、該円形薄肉ラインが形成されている環状領域において、少なくとも1個の弧状没入部が配設されており、
該外蓋には該弧状没入部に進入せしめられる切断片が付設されており、該切断片の該回転方向に見て下流端には鋭い切断縁が形成されている、
ことを特徴とする容器蓋が提供される。
【0008】
好ましくは、該円形薄肉ラインの、該弧状没入部以外の部位における幅は、該弧状没入部における幅よりも大きい。この場合、該弧状没入部の、該開回転方向上流側端壁には両者間の間隙が、該弧状没入部における薄肉ラインの幅に整合する一対のリブが配設されているのが好都合である。該弧状没入部は周方向に等間隔をおいて2乃至6個配設されており、これに対応して該切断片も周方向に等間隔をおいて2乃至6個配設されているのが好適である。好適実施形態においては、該本体の該閉塞壁の上面には該除去領域から上方に延出する円筒形延出壁が配設されており、該外蓋の該天面壁の内面には下方に垂下する円筒形垂下壁が配設されており、該垂下壁の内径は該延出壁の外径よりも大きく、該上昇阻止手段は該延出壁の外周面に形成された環状突条と該垂下壁の内周面に形成された環状突条とから構成されており、該切断片は該垂下壁の下端縁から下方に突出している。この場合、該回転阻止手段は、該延出壁の外周面に周方向に間隔をおいて配設された複数個の当接片と該垂下壁の内周面に周方向に間隔をおいて配設された複数個の当接片とから構成されているのが好都合である。他の好適実施形態においては、該本体の該閉塞壁の上面には該除去領域から上方に延出する円筒形延出壁が配設されており、該外蓋の該天面壁の内面には下方に垂下する円筒形垂下壁が配設されていると共に該垂下壁よりも半径方向外側において下方に垂下する付加壁が配設されており、該切断片は該付加壁に付設されており、該上昇阻止手段は該延出壁の内周面又は外周面に形成された環状突条と該垂下壁の外周面又は内周面に形成された環状突条とから構成されている。この場合、該回転阻止手段は、該延出壁の内周面又は外周面に周方向に間隔をおいて配設された複数個の当接片と該垂下壁の外周面又は内周面に周方向に間隔をおいて配設された複数個の当接片とから構成されているのが好都合である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の容器蓋においては、円形薄肉ラインは、本体に対する外蓋の開回転方向への回転が阻止されるまでの切断片による第一段階の切断と本体に対する外蓋の開回転方向への回転が阻止された後の外蓋の強制的回転による第二段階の破断とによって切断乃至破断される故に、過大な力を必要とすることなく充分容易に切断乃至破断される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に従って構成された容器蓋の好適実施形態における本体の斜面図。
図2図1に示す本体の断面図。
図3】本発明に従って構成された容器蓋の好適実施形態における外蓋の断面図。
図4図3に示す外蓋の底面図。
図5図1及び図2に示す本体に図3及び図4に示す外蓋を組み合せた状態を示す断面図。
図6】本体の円形薄肉ラインの破断様式を説明するための部分斜面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に従って構成された容器蓋の好適実施形態を示している添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0012】
本発明に従って構成された容器蓋の好適実施形態は、図1及び図2に示す本体2と図3及び図4に示す外蓋4とから構成されている。
【0013】
図1及び図2を参照して説明すると、ポリエチレン又はポリプロピレンの如き適宜の合成樹脂から射出又は圧縮成形することができる本体2は、円形閉塞壁6を含んでいる。閉塞壁6の外周縁には上方に延出する円筒形装着壁8が配設されている。この装着壁8の外周面には雄螺条10が形成されている。閉塞壁6の上面には、更に、装着壁8よりも若干半径方向内側に位置する略円筒形状の案内壁12も配設されている。この案内壁12の上端には断面形状が略半円形状であるリップが設置されている。閉塞壁6の外周縁には下方に垂下する略円筒形状のシール片14も配設されている。更に、装着壁8とシール片14との境界領域から半径方向外方に延びる環状フランジ16、この環状フランジ16の外周縁から下方に略円筒形状の外側壁18も配設されている。この外側壁18の内周面下部には環状突条20が形成されており、外周面下部には下方を向いた係止肩面21が形成されている。
【0014】
上記閉塞壁6には円形薄肉ライン22が配設されていて、円形の除去領域24が規定されている。閉塞壁6における円形薄肉ライン22が形成されている環状領域において、閉塞壁6には少なくとも1個、好ましくは2乃至6個、の弧状没入部26が形成されていることが重要である。図1を参照することによって明確に理解される如く、図示の実施形態においては、周方向に等間隔をおいて3個の弧状没入部26が形成されている。弧状没入部26以外の領域においては、閉塞壁6の下面に比較的幅広の溝28が形成されていて薄肉ラインが生成されており、弧状没入部26においては没入部底面の下面に比較的幅狭の溝30が形成されていて薄肉ラインが生成されており、そしてまた弧状没入部26の周方向両端壁は薄肉であり、かくして平面図において全体として円形である破断可能な円形薄肉ライン22が形成されている。弧状没入部26の開回転方向(図2において上方から見て反時計方向)上流側に位置する端壁には幾分かの間隔をおいて一対のリブ32(図1及び図6)が形成されている。かかる一対のリブ32間の間隔は上記溝30の幅と実質上同一であり、半径方向において上記溝30に整合して位置せしめられている。弧状没入部26の各々の周方向延在角度αは40乃至70度程度でよい。
【0015】
上記除去領域24の上面外周縁部は、上方に延出する円筒形延出壁34が配設されている。この延出壁34の外周面上端部には環状突条36が形成されている(後の説明から明らかになるとおり、かかる環状突条36は上昇阻止手段を構成する)。延出壁34の外周面下端部には周方向に等間隔をおいて3個の当接片38(図)が形成されている(後の説明からあきらかになるとおり、かかる当接片38は回転阻止手段を構成する)。当接片38の各々は、上記開回転方向上流側に切り立った当接面を有するラチェット爪形態でよい。
【0016】
図3及び図4を参照して説明を続けると、本体2と同様にポリエチレン又はポリプロピレンの如き適宜の合成樹脂から射出又は圧縮成形することができる外蓋4は、円形天面壁40及びこの天面壁40の外周縁から垂下する全体として略円筒形状のスカート壁42を有する。図示の実施形態においては、スカート壁42は天面壁40の外周縁から垂下する円筒形状の上部44、上部44に続いて下方に向かって半径方向外方に傾斜して延びる略円錐台形状の中間部46、及び中間部46に続いて垂下する円筒形状の下部48を有する。中間部46の内周面には実質上水平に延在する下方を向いた環状肩面47が形成されている。上部44の外周面にはそこに掛けられる指の滑りを防止するための凹凸形状50が形成されている。上部44の内周面には雌螺条52が形成されている。下部48の軸線方向中間部には周方向に延びる破断ライン54が形成されており、下部48の下半部にはタンパーエビデント裾部56が規定されている。破断ライン54は周方向に間隔をおいて周方向に延びる弧状スコア58と弧状スコア58間に存在する橋絡部60とから構成されている。タンパーエビデント裾部56の内周面下部には半径方向内方に向かって上方に延出する環状係止片62が配設されている。
【0017】
天面壁40の内面外周縁部には略円筒形状のシール片64が形成されている。天面壁40の内面には、更に、シール片64よりも半径方向内側において下方に垂下する円筒形垂下壁66が形成されている。かかる垂下壁66の内径は上述した本体2の延出壁34の外径よりも所定値だけ大きい。図示の実施形態においては、垂下壁66の上半部68の肉厚は比較的厚く、下半部70の肉厚は比較的薄く、下半部70の内径は上半部68の内径よりも大きい。上半部68の内周面下端には環状突状72が形成されている。この環状突状72は上述した本体2の環状突状36と協働する上昇阻止手段を構成する。下半部70の内周面には周方向に間隔をおいて複数個、図示の場合は3個、の当接片74が形成されている。当接片74の各々は開回転方向下流側に切り立った当接面を有するラチェット爪形態でよい。垂下壁66の下半部70の下端には複数個、図示の場合は3個、の切断片76が付設されている。図3及び図4と共に図6を参照することによって明確に理解される如く、切断片76の各々は、下半部70から更に下方に延出する弧状片形態であり、上記開回転方向下流に向かって漸次低減せしめられており、下流端部は鋭い切断縁を有する。切断片76の厚さは、本体2における上述した溝28の幅よりも幾分小さいのが好都合である。切断片76の切断縁は上方に向かって上記開回転方向に30乃至60度程度の傾斜角度で傾斜せしめられているのが好都合である。切断片76の周方向長さは、上述した本体2の弧状没入部26の周方向長さより若干短い。
【0018】
上述したとおりの本体2と外蓋4とは、外蓋4に配設されている3個の切断片76の各々を本体2に配設されている3個の弧状没入部26の各々に整合せしめて、図5に図示する如く外蓋4の環状肩面47が本体2の環状フランジ16に当接する位置まで、本体2に対して外蓋4を強制的に下降せしめることによって組み合わせられる。かくすると、図5に図示する如く、外蓋4の雌螺条52は本体2の雄螺条10を弾性的に乗り越えてこれに螺合される。外蓋4のタンパーエビデント裾部56の内周面に形成されている係止片62は本体2の外側壁18の外周面に形成されている係止肩面21の下方に位置せしめられる。外蓋4のシール片64は本体2の案内壁12内に進入して案内壁12の内面に密接せしめられる。外蓋4の垂下壁66は本体2の延出壁34の外側に進入し、垂下壁66に形成されている環状突状72は延出壁34に形成されている環状突状36を弾性的に乗り越えて環状突状36の下方に位置せしめられる。垂下壁66の内周面に形成されている当接片74と延出壁34の外周面に形成されている当接片38とは上記開回転方向に見て所要角度、更に詳細には本体2に配設されている複数個の弧状没入部26間の周方向間隔に対応した角度間隔、離隔して位置せしめられる(図4を参照されたい)。垂下壁66から下方に延出する切断片76は本体2の弧状没入部26内に位置せしめられる。切断片76は、弧状没入部26内のリブ32よりも高い位置の近傍まで延出する。
【0019】
図5には本発明に従って構成された容器蓋が適用される容器の口部78も図示されている。全体として円筒形状である口部78の外周面上部には半径方向外方に膨出せしめられた係止突条80が形成されている。図5に図示するとおりの状態に組み合わされた容器蓋は、口部78に被嵌して図5に図示する位置まで強制的に下降せしめることによって口頸部78に装着される。この際には、本体2の外側壁18の内周面に形成されている環状突状20が口部78の係止突条80を弾性的に乗り越えてこれに係止される。
【0020】
容器の内容物を消費する際には、外蓋4を開回転方向(図5において上方から見て反時計方向)に回転せしめる。かくすると、外蓋4に配設されている切断片76が弧状没入部26から周方向に前進して進行し、弧状没入部26の下流側端壁を越えて弧状没入部26以外の領域における薄肉ライン22を漸次切断する。本体2に対して外蓋4が所定角度回転せしめられると、本体2の当接片38の当接面に外蓋4の当接片74の当接面が当接せしめられ、外蓋4の開回転方向への回転に抵抗が生成せしめられる。この時点において、図6に図示する如く、切断片76の切断縁は弧状没入部26以外の領域から弧状没入部26の上流側端壁を越えて上流側端壁の上部(一対のリブ32よりも上方の部分)をも切断している。外蓋4を更に開回転方向に強制すると、外蓋4の当接片74及び本体2の当接片38を介して弧状没入部26の底面壁及び周方向両側端壁に応力が生成され、これによって薄肉ライン22における、切断片76によって切断されていない部分、即ち弧状没入部26の底面壁及び周方向両側端壁、が破断される。弧状没入部26の、開回転方向上流側に位置する端壁においては破断が一対のリブ32間で発生し、切断片76で切断された薄肉ライン部分と外蓋4を強制的に回転することによって破断された薄肉ライン部分とが確実に接続される。肉ライン22の破断は2段階、即ち切断片76による切断とこれに続く外蓋4の強制的回転による破断、で遂行される故に、薄肉ラインの全体を同時に破断する場合に比べて、薄肉ライン22の破断に必要なトルクを充分に低減せしめることができる。
【0021】
上述したとおりにして薄肉ライン22がその全体に渡って破断されると、除去領域24が閉塞壁6から切り離される。従って、外蓋4を更に開回転方向に回転せしめると、切り取られた除去領域24も外蓋4と共に開回転方向に回転せしめられる。外蓋4を開回転方向に回転せしめると、外蓋4の雌螺条52と本体2の雄螺条10との螺合が漸次解除され、従って外蓋4は回転と共に漸次上昇せしめられる。そして、外蓋4の垂下壁66に形成されている環状突状72と除去領域24に配設されている延出壁34の形成されている環状突状36との協働により、本体2に対して外蓋4が相対的に上昇されることが阻止、換言すれば外蓋4に対して除去領域24が下方に変位することが阻止される故に、除去領域24も外蓋4と共に上昇せしめられる。他方、外蓋4のタンパーエビデント裾部56は、内周面に形成されている環状係止片62が本体2の外側壁18に形成されている係止肩面21に係止されている故に上昇が阻止される。従って、外蓋4の上昇に応じて破断ライン54、更に詳しくはその橋絡部60に応力が生成されて橋絡部60が破断され、タンパーエビデント裾部56が外蓋4のその他の部分から切り離される。しかる後においては、外蓋4は、タンパーエビデント裾部56を残留せしめて、本体2から離脱された除去領域24と共に回転と共に上昇せしめられて本体2から離脱される。容器の口部78に装着されている本体2の閉塞壁6には、除去領域24の切り取りによって生成された開口が存在し、かかる開口を通して内容物を排出することができる。案内壁12は内容物の排出を適宜に案内する。所要量の内容物を排出した後には、本体2に外蓋4を被嵌して外蓋4を閉回転方向(図5において上方から見て時計方向)に回転せしめ、本体2の雄螺条10に外蓋4の雌螺条52を螺合せしめて図5に図示するとおりの状態にせしめ、かくして口部78を再び密封することができる。外蓋4を本体2に装着する際には、これに先立って必要に応じて外蓋4から除去領域24を離脱せしめることができる。
【0022】
以上、添付図面を参照して本発明に従って構成された容器蓋の好適実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能であることは多言を要しない。例えば、図示の実施形態においては、外蓋4において垂下壁66に環状突状72及び当接片74と共に切断片76を付設しているが、所望ならば、垂下壁66よりも半径方向外側に天面壁40から垂下する付加壁を配設し、かかる付加壁に切断片を付設することもできる。この場合、外蓋の垂下壁が本体の延出壁の内側に進入するように構成し、垂下壁の外周面に環状突状及び当接片を形成し、延出壁の内周面に環状突状と当接片を形成することもできる。また、本体における当接片は延出壁ではなくて閉塞壁の上面に直接的に形成することもできる。
【符号の説明】
【0023】
2:本体
4:外蓋
6:閉塞壁
8:装着壁
10:雄螺条
22:薄肉ライン
24:除去領域
26:弧状没入部
28:溝
30:溝
32:リブ
34:延出壁
36:環状突状(上昇阻止手段)
38:当接片(回転阻止手段)
40:天面壁
42:スカート壁
52:雌螺条
66:垂下壁
72:環状突状(上昇阻止手段)
74:当接片(回転阻止手段)
76:切断片
78:容器の口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6