(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1心出し工程の前に、検査光を前記回転軸に沿って前記第1のレンズ及び第2のレンズの方向に向けて出射可能な光学系の少なくとも一部を前記領域に配置する光学系配置工程と、
前記第2心出し工程の後に、前記光学系の少なくとも一部を前記領域から退避させる光学系退避工程と、
をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載のレンズ製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、2枚のレンズのレンズ面同士を貼り合わせた接合レンズを製造する際には、2枚のレンズをそれぞれ心取りした後で、両者を位置合わせして接合する方法が一般的に採られている。この場合の心出しにも、従来、ベルクランプ方式が主に用いられていたため、以下のような問題が生じていた。即ち、ベルクランプ方式においては、光学的心出し方式に比べて心出しの精度が低く、心取り後のレンズに偏心や外径のバラツキが生じ易かった。このため、レンズを接合する際の位置合わせ(心出し)に時間を要していた。さらに、2つの先ヤトイにレンズを挟んでレンズを滑動させるので、レンズ面に傷が発生し易かった。
【0006】
これに対し、光学的心出し方式によれば高精度な心出しが可能であるため、精度良く心取りを行って高品質のレンズを製造することができる。また、光学的心出し方式においては熱可塑性接着剤等を用いてレンズを保持具に保持するため、レンズ面に傷が発生し難い。このため、接合レンズの製造においても、光学的心出し方式を採用できれば、より好ましい。しかしながら、従来、光学的心出し方式による心取り加工を容易に行うことができるレンズ製造装置はなかった。また、接合レンズを製造する場合には、心取り後のレンズを心取り装置から取り外し、再度、2枚のレンズを心出ししてからこれらのレンズを接合しなければならないため、作業が余計に煩雑になってしまう。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、光学的心出し方式を用いて心取り加工を行うことにより得られる高品質な接合レンズを、容易に製造することができるレンズ製造装置及びレンズ製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るレンズ製造装置は、複数のレンズを心出しして、砥石により心取りするレンズ製造装置において、互いに対向して設けられ、第1及び第2のレンズをそれぞれ保持する第1及び第2のレンズ保持具と、前記第1のレンズ保持具を支持し、前記第1のレンズ保持具と共に回転可能な第1のレンズ保持軸と、前記第1のレンズ保持軸の回転軸と同軸上に設けられ、前記第2のレンズ保持具を支持し、前記第2のレンズ保持具と共に前記回転軸の回りに回転可能な第2のレンズ保持軸と、前記第1のレンズ保持軸に設けられ、前記第1のレンズ保持具に対して、前記回転軸と直交する方向における位置、及び前記回転軸に対する傾きを調節する第1のレンズ調節機構と、前記第2のレンズ保持軸に設けられ、前記第2のレンズ保持具に対して、前記回転軸と直交する方向における位置、及び前記回転軸に対する傾きを調節する第2のレンズ調節機構と、前記回転軸に対する前記第1及び第2のレンズの光軸の偏心を検出する偏心検出部と、前記第1及び第2のレンズが合体可能となるように、前記第1レンズ保持軸及び前記第2レンズ保持軸を前記回転軸に沿って移動させる移動機構と、を備えることを特徴とする。
【0009】
上記レンズ製造装置において、前記偏心検出部は、前記回転軸上の前記第1のレンズ保持具と前記第2のレンズ保持具との間の領域に検査光を出射すると共に、前記領域から入射する前記検査光を検出する受発光素子と、少なくとも1つの反射面を有し、前記領域に対して挿脱可能に設けられた光学系と、前記受発光素子に対する前記反射面の相対的な位置及び/又は角度を変化させることにより、前記受発光素子から出射して前記少なくとも1つの反射面により前記回転軸に沿って反射される前記検査光の進行方向を、前記第1のレンズ保持軸の方向と前記第2のレンズ保持軸の方向との間で切り替える光路変更機構と、を備えることを特徴とする。
【0010】
上記レンズ製造装置において、前記光学系は、前記検査光を前記第1のレンズ保持軸の方向に反射する第1の反射面と、前記検査光を前記第2のレンズ保持軸の方向に反射する第2の反射面とを有し、前記光路変更機構は、前記受発光素子と前記光学系との少なくとも一方を相対的に前記回転軸と平行に移動させることを特徴とする。
【0011】
上記レンズ製造装置において、前記光学系は、前記回転軸と直交する軸の回りに回転可能な少なくとも1つの反射面を有し、前記光路変更機構は、前記少なくとも1つの反射面を回転させることを特徴とする。
【0012】
上記レンズ製造装置において、前記偏心検出部は、前記回転軸上の前記第1のレンズ保持具と前記第2のレンズ保持具との間の領域に向けて第1の検査光を出射すると共に、前記領域から入射する前記第1の検査光を検出する第1の受発光素子と、前記領域に向けて第2の検査光を出射すると共に、前記領域から入射する前記第2の検査光を検出する第2の受発光素子と、前記第1の受発光素子から出射した前記第1の検査光を前記回転軸に沿って前記第1のレンズ保持軸の方向に反射する第1の反射面と、前記第2の受発光素子から出射した前記第2の検査光を前記回転軸に沿って前記第2のレンズ保持軸の方向に反射する第2の反射面と、を有し、前記領域に対して挿脱可能に設けられた光学系と、を備えることを特徴とする。
【0013】
上記レンズ製造装置は、前記光学系を前記領域に対して挿入又は退避させる光学系移動機構をさらに備えることを特徴とする。
【0014】
上記レンズ製造装置において、前記偏心検出部は、第1の検査光を前記回転軸に沿って前記第1のレンズ保持具の方向に出射すると共に、前記第1のレンズ保持具の方向から入射する前記第1の検査光を検出する第1の受発光素子と、第2の検査光を前記回転軸に沿って前記第2のレンズ保持具の方向に出射すると共に、前記第2のレンズ保持具の方向から入射する前記第2の検査光を検出する第2の受発光素子と、を備えることを特徴とする。
【0015】
上記レンズ製造装置において、前記第1及び第2の受発光素子は、前記回転軸上の前記第1のレンズ保持具と前記第2のレンズ保持具との間の領域に設けられ、前記第1及び第2の受発光素子を前記領域に対して挿入又は退避させる移動機構をさらに備えることを特徴とする。
【0016】
上記レンズ製造装置において、少なくとも前記第1のレンズ保持軸は、前記第1のレンズ保持具を着脱可能に支持することを特徴とする。
【0017】
上記レンズ製造装置は、前記第1のレンズと前記第2のレンズとの少なくとも一方に接着剤を塗布する接着剤塗布装置をさらに備えることを特徴とする。
【0018】
本発明に係るレンズ製造方法は、複数のレンズを心出しして、砥石により心取りするレンズ製造方法において、互いに同一の回転軸上に配置された第1及び第2のレンズ保持軸に対し、第1及び第2のレンズ保持具をそれぞれ介して、第1及び第2のレンズを互いに対向させて取り付けるレンズ取り付け工程と、前記回転軸上の前記第1のレンズと前記第2のレンズとの間の領域に、少なくとも1つの反射面を有する光学系を配置し、前記回転軸外の光路を通って前記光学系に入射する検査光が前記光学系により前記第1のレンズの方向に反射されるように、前記光路と前記光学系との相対的な位置及び/又は向きを調整する調整工程と、検査光を、前記領域を介して前記回転軸に沿って前記第1のレンズに入射させ、前記第1のレンズによって反射された該検査光を検出することにより、前記第1のレンズの前記回転軸に対する偏心を検出して前記第1のレンズの位置及び/又は傾きを調節する第1心出し工程と、前記光路を通って前記光学系に入射する前記検査光が前記光学系により前記第2のレンズの方向に反射されるように、前記光路と前記光学系との相対的な位置及び/又は向きを変更する変更工程と、検査光を、前記領域を介して前記回転軸に沿って前記第2のレンズに入射させ、前記第2のレンズによって反射された該検査光を検出することにより、前記第2のレンズの前記回転軸に対する偏心を検出して前記第2のレンズの位置及び/又は傾きを調節する第2心出し工程と、を含むことを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係るレンズ製造方法は、複数のレンズを心出しして、砥石により心取りするレンズ製造方法において、互いに同一の回転軸上に配置された第1及び第2のレンズ保持軸に対し、第1及び第2のレンズ保持具をそれぞれ介して、第1及び第2のレンズを互いに対向させて取り付けるレンズ取り付け工程と、2つの反射面を有する光学系であって、前記回転軸上の前記第1のレンズと前記第2のレンズとの間の領域に配置された状態で、前記回転軸外の互いに異なる2つの光路を通って前記2つの反射面にそれぞれ入射する2つの検査光を前記第1及び第2のレンズの方向にそれぞれ反射する光学系を、前記領域に配置する光学系配置工程と、検査光を、前記領域を介して前記回転軸に沿って前記第1のレンズに入射させ、前記第1のレンズによって反射された該検査光を検出することにより、前記第1のレンズの前記回転軸に対する偏心を検出して前記第1のレンズの位置及び/又は傾きを調節する第1心出し工程と、検査光を、前記領域を介して前記回転軸に沿って前記第2のレンズに入射させ、前記第2のレンズによって反射された該検査光を検出することにより、前記第2のレンズの前記回転軸に対する偏心を検出して前記第2のレンズの位置及び/又は傾きを調節する第2心出し工程と、を含み、前記第1心出し工程と前記第2心出し工程とは同時に実行可能であることを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係るレンズ製造方法は、複数のレンズを心出しして、砥石により心取りするレンズ製造方法において、互いに同一の回転軸上に配置された第1及び第2のレンズ保持軸に対し、第1及び第2のレンズ保持具をそれぞれ介して、第1及び第2のレンズを互いに対向させて取り付けるレンズ取り付け工程と、各々が検査光を出射する第1及び第2の光源を、該第1及び第2の光源からそれぞれ出射した検査光が前記回転軸に沿って前記第1及び第2のレンズに入射するように、前記回転軸上の前記第1のレンズと前記第2のレンズとの間の領域に配置する光源配置工程と、検査光を、前記領域を介して前記回転軸に沿って前記第1のレンズに入射させ、前記第1のレンズによって反射された該検査光を検出することにより、前記第1のレンズの前記回転軸に対する偏心を検出して前記第1のレンズの位置及び/又は傾きを調節する第1心出し工程と、検査光を、前記領域を介して前記回転軸に沿って前記第2のレンズに入射させ、前記第2のレンズによって反射された該検査光を検出することにより、前記第2のレンズの前記回転軸に対する偏心を検出して前記第2のレンズの位置及び/又は傾きを調節する第2心出し工程と、を含み、前記第1心出し工程と前記第2心出し工程とは同時に実行可能であることを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係るレンズ製造方法は、複数のレンズを心出しして、砥石により心取りするレンズ製造方法において、互いに同一の回転軸上に配置された第1及び第2のレンズ保持軸に対し、第1及び第2のレンズ保持具をそれぞれ介して、第1及び第2のレンズを互いに対向させて取り付けるレンズ取り付け工程と、検査光を、前記回転軸上の前記第1のレンズと前記第2のレンズとの間の領域を介して、前記回転軸に沿って前記第1のレンズに入射させ、前記第1のレンズによって反射された該検査光を検出することにより、前記第1のレンズの前記回転軸に対する偏心を検出して前記第1のレンズの位置及び/又は傾きを調節する第1心出し工程と、前記第1心出し工程後、検査光を、前記領域を介して前記回転軸に沿って前記第2のレンズに入射させ、前記第2のレンズによって反射された該検査光を検出することにより、前記第2のレンズの前記回転軸に対する偏心を検出して前記第2のレンズの位置及び/又は傾きを調節する第2心出し工程と、前記第1のレンズと前記第2のレンズとの少なくとも一方を前記回転軸に沿って移動させ、互いに合体させる合体工程と、を含むことを特徴とする。
【0022】
上記レンズ製造方法は、前記第1心出し工程の前に、検査光を前記回転軸に沿って前記第1のレンズ及び第2のレンズの方向に向けて出射可能な光学系の少なくとも一部を前記領域に配置する光学系配置工程と、前記第2心出し工程の後に、前記光学系の少なくとも一部を前記領域から退避させる光学系退避工程と、をさらに含むことを特徴とする。
【0023】
上記レンズ製造方法において、前記合体工程は、接着剤により前記第1のレンズと前記第2のレンズとを接合し、互いに接合された前記第1及び第2のレンズの外周面を研削又は研磨する心取り工程をさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、同軸上に配置された第1及び第2のレンズ保持軸に、レンズ保持具を介して2つのレンズを対向させて配置し、これらのレンズの偏心を検出する偏心検出部と、これらのレンズが合体可能となるように第1及び第2のレンズ保持軸を移動させる移動機構とを設けるので、光学的心出し方式による高精度な心出し及び心取りが施された高品質な接合レンズを、容易に製造することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、これら実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、各図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。図面は模式的なものであり、各部の寸法の関係や比率は、現実と異なることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる。
【0027】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るレンズ製造装置の構成例を示す一部断面上面図である。
図1に示すように、実施の形態1に係るレンズ製造装置100は、研磨加工された2つのレンズ1、2をそれぞれ心出しし、これらのレンズ1、2のレンズ面同士を接合して外周面を心取りすることにより、接合レンズを製造する装置である。
【0028】
より詳細には、レンズ製造装置100は、架台101上に、互いに同軸且つ対向して設けられたレンズ保持軸10、20と、砥石3を回転可能に支持する砥石スピンドル30と、レンズ1、2の偏心状態を検出する偏心検出部40Aと、モニタ44と、接着剤塗布装置50と、接着剤硬化用光源52と、これらの各部の動作を制御する制御部60とを備える。このうち、左側のレンズ保持軸10には、当該レンズ保持軸10を回転軸R
0回りに回転させる回転駆動部10aが設けられ、右側のレンズ保持軸20には、当該レンズ保持軸20を回転軸R
0回りに回転させる回転駆動部20aが設けられている。
【0029】
図2は、レンズ製造装置100の正面図である。なお、
図2においては、砥石スピンドル30、接着剤塗布装置50、及び接着剤硬化用光源52の記載を省略している。
図2に示すように、架台101には、ステージ110、120、及び130が設けられている。
【0030】
図の左側のステージ110には、レンズ保持軸10及び回転駆動部10aを支持する支持部112が設けられている。この支持部112には、該支持部112を回転軸R
0と平行に移動させる移動機構111が設けられている。これにより、レンズ保持軸10が回転軸R
0に沿って移動可能となる。
【0031】
図の右側のステージ120には、レンズ保持軸20及び回転駆動部20aを支持する支持部122が設けられている。この支持部122には、該支持部122を回転軸R
0と平行に移動させる移動機構121が設けられている。これにより、レンズ保持軸20が回転軸R
0に沿って移動可能となる。
【0032】
これらの移動機構111、121の動作により、後述するレンズ保持具12に保持されたレンズ1と、レンズ保持具22に保持されたレンズ2とが合体可能となる。なお、移動機構111、121は、制御部60の制御の下で動作するように構成しても良いし、ユーザが手動で操作できるようにしても良い。
【0033】
ステージ130は、ステージ110とステージ120との間に設けられている。また、ステージ130には、制御部60の制御の下で動作し、偏心検出部40Aを支持する支持部132を該ステージ130上で回転軸R
0と直交する方向に移動させる移動機構131が設けられている。これにより、偏心検出部40Aが、レンズ保持具12とレンズ保持具22との間の回転軸R
0上の領域に対して挿脱可能となる。なお、
図1は、偏心検出部40Aが回転軸R
0に挿入された状態を示している。
【0034】
図1及び
図2に示すように、レンズ保持軸10には、心出しステージ11を介して、レンズ1を保持するレンズ保持具12が支持されている。レンズ保持具12は、レンズ保持軸10と共に回転可能となっている。以下、レンズ製造装置1を上面から見た場合において、紙面の上方向をX方向とし、紙面の奥行き方向をY方向とする。
【0035】
心出しステージ11は、回転軸R
0と直交する2方向におけるレンズ保持具12の位置と、回転軸R
0に対するレンズ保持具12の軸の傾きとを調節するレンズ調節機構である。より詳細には、心出しステージ11は、レンズ保持具12のX方向における位置を調節するX調節部11aと、Y方向における位置を調節するY調節部11bと、XZ面内における傾きを調節するX
θ調節部11cと、YZ面内における傾きを調節するY
θ調節部11dとを有する。なお、心出しステージ11に対する操作は、ユーザが手動で行っても良いし、制御部60の下で動作する電動の調節機構を心出しステージ11に設けて自動で行っても良い。
【0036】
レンズ保持具12は、固定部12a及び皿部12bを有する。固定部12aは、心出しステージ11に対して螺合又は締結等により固定されている。また、皿部12bは、固定部12aに対して螺合又は締結等により着脱可能に装着されている。レンズ1は、この皿部12bの端面に、接着剤等によって固定される。
【0037】
レンズ保持軸20には、心出しステージ21を介して、レンズ2を保持するレンズ保持具22が支持されている。レンズ保持具22は、レンズ保持軸20と共に回転可能となっている。
【0038】
心出しステージ21は、心出しステージ11と同様に、レンズ保持具22の位置とレンズ保持具22の軸の傾きとを調節するレンズ調節機構であり、レンズ保持具22のX方向における位置を調節するX調節部21aと、Y方向における位置を調節するY調節部21bと、XZ面内における傾きを調節するX
θ調節部21cと、YZ面内における傾きを調節するY
θ調節部21dとを有する。なお、心出しステージ21に対する操作は、ユーザが手動で行っても良いし、制御部60の下で動作する電動の調節機構を心出しステージ21に設けて自動で行っても良い。
【0039】
レンズ保持具22は、左側のレンズ保持具12と対向して設けられており、固定部22a及び皿部22bを有する。固定部22aは、心出しステージ21に対して螺合又は締結等により固定されている。また、皿部22bは、固定部22aに対して螺合又は締結等により着脱可能に装着されている。レンズ2は、この皿部22bの端面に、接着剤等によって固定される。
【0040】
図1に示すように、砥石スピンドル30には、架台101に設けられたステージ31上に、図示しない移動機構を介して設置されている。この移動機構により、砥石スピンドル30がステージ31上を2次元的に移動可能となる。また、砥石スピンドル30には、砥石スピンドル30を回転軸R
1回りに回転させる回転駆動部32が設けられている。
【0041】
偏心検出部40Aは、筐体43と、該筐体43内に収納されたセンサ41及び三角ミラー42とを含む。
センサ41は、検査光を発生する光源41aと、光源41aの方向から入射する検査光を反射してセンサ41から出射させると共に、外部からセンサ41に入射した検査光を透過させるハーフミラー41bと、ハーフミラー41bを透過した検査光を受光して、検査光の像に対応する画像データを出力するCCD等の撮像素子41cとを内蔵する受発光素子である。なお、センサ41は、この他、検査光を結像させる結像光学系等の図示しない種々の光学系を有しても良い。本実施の形態1において、センサ41の向きは、該センサ41の光軸Lが回転軸R
0と直交するように調節されている。
【0042】
センサ41には、制御部60の制御の下で動作し、該センサ41を光軸Lと直交する方向に移動させる位置調節部41dが設けられている。後述するように、この位置調節部41dによりセンサ41と三角ミラー42との相対的な位置関係が変化して、検査光の進行方向が切り替わる。即ち、位置調節部41dは、光路変更機構として作用する。なお、センサ41を移動させる代わりに、三角ミラー42に位置調節部を設け、三角ミラー42側を移動させて両者間の位置関係を変化させても良い。
【0043】
また、センサ41には、該センサ41を光軸Lに沿って移動させることにより、撮像素子41cとレンズ1、2との光学的な距離を変化させてピント調整を行うピント調整部(図示せず)が設けられている。
【0044】
三角ミラー42は、センサ41から出射した検査光を回転軸R
0に沿って反射する反射面42a、42bを有する。本実施の形態1において、反射面42a、42bは互いに90°をなし、三角ミラー42の向きは、反射面42a、42bが回転軸R
0と45°をなすように調節されている。なお、三角ミラー42の代わりに、2つの反射面を有するプリズムを用いても良い。
【0045】
筐体43の壁面のうち、三角ミラー42の反射面42a、42bが面する領域には、検査光を通過させる窓部43aが設けられている。筐体43を回転軸R
0に挿入して、反射面42a、42bを回転軸R
0上に配置すると、レンズ1、2の偏心を検出可能な状態となる。
【0046】
モニタ44は、例えば、LCD、ELディスプレイ、CRTディスプレイ等の表示装置であり、撮像素子41cから出力された画像データに基づいて、検査光の像を画面に表示する。
【0047】
接着剤塗布装置50は、接着剤を収容する接着剤収容部50aと、接着剤を噴射するノズル50bとを有し、架台101に設けられたステージ51上に、制御部60の制御の下で動作する移動機構(図示せず)を介して設置されている。この移動機構により、接着剤塗布装置50が2次元的に移動可能となる。なお、接着剤としては、例えば、紫外線硬化型の接着剤が用いられる。
【0048】
接着剤硬化用光源52は、例えば紫外線を発生する光源装置であり、架台101に設けられたステージ53上に、制御部60の制御の下で動作する移動機構(図示せず)を介して設置されている。この移動機構により、接着剤硬化用光源52が2次元的に移動可能となる。
【0049】
制御部60は、例えば、パーソナルコンピュータ等の汎用のコンピュータによって実現され、所定の制御プログラムをCPU等のハードウェアに読み込むことにより、レンズ製造装置100の各部に対する制御を行う。具体的には、制御部60は、回転駆動部10a、20aに対する回転制御、偏心検出部40Aの移動制御、センサ41の位置制御及び動作制御、モニタ44の表示制御、砥石スピンドル30の移動制御及び回転制御、接着剤塗布装置50及び接着剤硬化用光源52の移動制御等を行う。制御部60は、これらの制御を、外部から入力される信号に従って個別に行っても良いし、所定の制御プログラムに従って自動で行っても良い。また、制御部60は、ユーザが種々の命令や情報を入力する際に用いる入力手段(キーボードやタッチパネル等)や、レンズ製造装置100の動作を制御するための制御プログラムを記憶した記憶部を備えても良い。
【0050】
次に、本発明の実施の形態1に係るレンズ製造方法について説明する。
図3は、本実施の形態1に係るレンズ製造方法を示すフローチャートである。また、
図4〜
図8は、本実施の形態1に係るレンズ製造方法を説明するための図であり、レンズ製造装置1の一部を示している。以下においては、2枚のレンズを接合した接合レンズの製造方法を説明する。
【0051】
まず、工程S1において、ユーザは、左側のレンズ保持軸10と右側のレンズ保持軸20とが架台101の両端に配置された状態で、レンズ面の研磨がなされた2枚のレンズ1、2をレンズ保持具12、22にそれぞれ取り付ける。具体的には、レンズ1、2を皿部12b、22bに接着剤でそれぞれ貼り付け、皿部12b、22bを固定部12a、22aに螺合又は締結等によって固定する。その後、ユーザは、レンズ製造装置1の動作を開始させる。
【0052】
続く工程S2において、制御部60は、筐体43を回転軸R
0に挿入して、反射面42a、42bが回転軸R
0上を通るように三角ミラー42を配置し、センサ41から出射した検出光が反射面42aに入射するように、センサ41の位置調節を行う。具体的には、
図4に示すように、センサ41を筐体43のセンターよりも図の左側に移動させる。
【0053】
続く工程S3において、一方のレンズ1の心出しを行う。詳細には、センサ41から検査光を出射すると、検査光は、反射面42aにより回転軸R
0に沿って反射され、光路L
1を通ってレンズ1に入射する。この検出光はレンズ1に反射されて光路L
1を戻り、センサ41内でハーフミラー41bを介して撮像素子41cに入射する。それにより、モニタ44に検査光の像M
1が表示される。
【0054】
ユーザは、モニタ44を参照し、まず、レンズ1の一方の端面側の反射スポットにピントが合うように、センサ41のX方向における位置を調整する。或いは、制御部60が自動でピント調整を行っても良い。
【0055】
続いて、制御部60は、レンズ保持軸10を回転させて、像M
1の軌跡M
2をモニタ44に表示させる。この際、像M
1が回転軸R
0と一致していない場合には、像M
1の軌跡M
2は回転軸R
0を中心とする円となる。この軌跡M
2の半径が、回転軸R
0に対するレンズ1の偏心量を表す。ユーザは、モニタ44に表示された像M
1及び軌跡M
2から偏心量を測定し、この偏心量に基づいて心出しステージ11のX調節部11a及びY調節部11bを操作し、像M
1を回転軸R
0に一致させる。
【0056】
続いて、レンズ1の他方の端面側の反射スポットにピントが合うようにセンサ41の位置を調整し、レンズ保持軸10を回転させて像M
1の軌跡M
2をモニタ44に表示させる。そして、ユーザは、モニタ44に表示された軌跡M
2から測定した偏心量に基づいて心出しステージ11のX
θ調節部11c及びY
θ調節部11dを操作して、像M
1を回転軸R
0に一致させる。これにより、レンズ1に対する心出しが終了する。なお、心出し方法の詳細については、特開2002−239883号公報も参照されたい。また、心出しステージ11に電動の調節機構が設けられている場合には、制御部60がこの調節機構を介して、心出しステージ11に対する操作を自動で行っても良い。
【0057】
続く工程S4において、制御部60は、センサ41から出射した検出光が反射面42bに入射するように、センサ41の位置調節を行う。具体的には、
図5に示すように、センサ41と筐体43のセンターよりも右側に移動させる。これにより、センサ41から出射し検査光は、反射面42bにより回転軸R
0に沿って反射され、光路L
2を通ってレンズ2の方向に進行する。
【0058】
続く工程S5において、他方のレンズ2の心出しを行う。なお、心出し工程の詳細は、工程S3と同様である。
【0059】
続く工程S6において、制御部60は、
図6に示すように、偏心検出部40Aを回転軸R
0から退避させる一方、接着剤塗布装置50をレンズ1又は2の近傍に移動させ、ノズル50bから接着剤を噴射してレンズ1又は2のレンズ面に接着剤を塗布する。その後、接着剤塗布装置50を退避させる。なお、接着剤の塗布対象は、レンズ1、2のいずれかであっても良いし両方であっても良い。接着剤の種類としては、好ましくは紫外線を照射することにより硬化する紫外線硬化型接着剤を用いると良い。この場合、他の種類(例えば熱硬化型)の接着剤よりも、硬化に要する時間を短縮することができる。なお、接着剤の塗布は、ユーザが手動で行っても良い。
【0060】
続く工程S7において、制御部60は、レンズ保持軸10、20のいずれか、又は両方を回転軸R
0に沿って移動させて両者を近づけ、レンズ1、2のレンズ面同士を接合する。さらに、接着剤硬化用光源52をレンズ1、2の接合面に近づけて紫外線を照射し、接着剤を硬化させる。その後、接着剤硬化用光源52を退避させる。
【0061】
続く工程S8において、制御部60は、
図7に示すように、互いに接合したレンズ1、2(以下、接合レンズ4という)の近傍に砥石スピンドル30を移動させ、接合レンズ4の外周面を砥石3で研削又は研磨することにより心取りを行う。
【0062】
工程S9において、ユーザは、心取りされた接合レンズ4をレンズ製造装置100から取り外す。具体的には、
図8に示すように、レンズ2に接着された皿部22bを固定部22aから解放させ、左側のレンズ保持軸10と右側のレンズ保持軸20とを両端に退避させる。そして、レンズ1に接着された皿部12bを固定部12aから取り外す。さらに、有機溶剤等を用いて接着剤を溶解させることにより、皿部12b、22bを接合レンズ4から除去し、接合レンズ4を洗浄する。それにより、接合レンズ4が完成する。
【0063】
以上説明したように、実施の形態1によれば、光学的心出し方式を用いて高精度に心出しして、心取り加工を行うことができるので、高品質な接合レンズを容易に製造することが可能となる。
【0064】
また、実施の形態1によれば、高精度に心出しされた2つのレンズを接合してから心取りを行うので、外周面のばらつきの少ない高品質な接合レンズを得ることができる。この際、各レンズを心出ししてから接合レンズを心取りするまでの間、レンズを装置から取り外すことなく、連続的に作業を行うことができるので、容易且つ効率良く、短時間に接合レンズを製造することが可能となる。
【0065】
また、実施の形態1によれば、心取り加工を1度で行うことができるので、心取り加工そのものの時間を短縮することができると共に、接合前のレンズの洗浄処理等の工程を削減することもできる。
【0066】
なお、上記実施の形態1においては、反射面42a、42bを回転軸R
0に対して45°に配置し、検査光を回転軸R
0と直交する方向から入射させることにより、検査光を回転軸R
0に沿って反射させた。しかしながら、検査光を回転軸R
0に沿ってレンズ1、2に入射させることができれば、反射面42a、42bの回転軸R
0に対する角度や、検出光の出射方向は特に限定されない。
【0067】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
図9及び
図10は、本発明の実施の形態2に係るレンズ製造装置の構成例を示す一部断面上面図である。
図9及び
図10に示すように、本実施の形態2に係るレンズ製造装置200は、
図1に示す偏心検出部40Aの代わりに、偏心検出部40Bを備える。なお、偏心検出部40B以外のレンズ製造装置200の各部の構成については、実施の形態1と同様である。
【0068】
偏心検出部40Bは、
図1に示す偏心検出部40Aの三角ミラー42の代わりに、回転可能な反射面45aを有するミラー45を備える。反射面45aは、回転軸R
0と直交し、且つ、回転軸R
0とセンサ41の光軸Lとの交点を通る軸R
2回りに回転可能に設けられている。また、ミラー45には、制御部60の制御の下で動作し、該ミラー45を軸R
2回りに回転させる回転駆動機構45bが設けられている。なお、本実施の形態2においては、センサ41に位置調節部41d(
図1参照)を設ける必要はない。
【0069】
レンズ1、2の接合レンズを製造する際には、
図3に示すフローチャートにおいて、レンズ1、2をレンズ保持具12、22にそれぞれ取り付けた後(工程S1)、制御部60は、センサ41の位置調整(工程S2)を行う代わりに、回転駆動機構45bを動作させてミラー45の角度調節を行う。具体的には、
図9に示すように、反射面45aをレンズ1の方に向け、回転軸R
0との角度を45°に調節する。それにより、センサ41から出射した検査光は、反射面45aにより回転軸R
0に沿って反射され、光路L
3を通ってレンズ1に入射する。その後、レンズ1の心出しを行う(工程S3)。
【0070】
続いて、制御部60は、センサ41の移動(工程S4)を行う代わりに、回転駆動機構45bを動作させてミラー45を回転させ、
図10に示すように反射面45aをレンズ2の方に向けて、回転軸R
0との角度を45°に調節する。それにより、センサ41から出射した検査光は、光路L
4に沿ってレンズ2に入射する。その後、レンズ2の心出しを行う(工程S5)。工程S6以降の工程については、実施の形態1と同様である。
【0071】
以上説明したように、実施の形態2によれば、検査光の進行方向を切り替える際に、センサ41を移動させる必要がなくなるので、偏心検出部41bを省スペース化することが可能となる。
【0072】
なお、実施の形態2においては、両面が反射面である板状のミラーを用いても良い。この場合、例えば検査光をレンズ1の方向に進行させる際には、一方の反射面をレンズ1の方に向け、検査光をレンズ2の方向に進行させる際には、他方の反射面をレンズ2の方に向けるようにすれば、検査光の進行方向を切り替える際のミラーの回転量を少なくすることができる。また、この場合において、ミラーの厚みが大きいときには、センサ41から出射した検査光が回転軸R
0上で反射されるように、センサ41の位置を回転軸R
0に沿って微調整すると良い。
【0073】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
図11は、本発明の実施の形態3に係るレンズ製造装置の構成例を示す一部断面上面図である。
図11に示すように、本実施の形態3に係るレンズ製造装置300は、
図1に示す偏心検出部40Aの代わりに、2つの偏心検出部40C、40Dと、三角ミラー48とを備える。三角ミラー48は、レンズ保持具12とレンズ保持具22との間の回転軸R
0上の領域に挿脱可能に設けられている。なお、
図11は、三角ミラー48が回転軸R
0上の当該領域に挿入された状態を示している。また、偏心検出部40C、40D及び三角ミラー48以外のレンズ製造装置300の構成については、実施の形態1と同様である。
【0074】
各偏心検出部40C、40Dは、筐体47及び該筐体47に内蔵されたセンサ41を有する。なお、センサ41の構成は、実施の形態1と同様である。筐体47の壁面の一部には、各センサ41から出射する検査光L
5、L
6を通過させる窓部47aが設けられている。また、筐体内47には、該センサ41を光軸に沿って移動させることによりピント調整を行う図示しないピント調整部も設けられている。各センサ41から出力される画像データは、共にモニタ44に入力される。
【0075】
三角ミラー48は、所定の角度で互いに交わる2つの反射面48a、48bを有する。また、三角ミラー48には、該三角ミラー48を回転軸R
0に対して挿脱する移動機構(図示せず)が設けられている。
【0076】
偏心検出部40Cは、検査光L
5が反射面48aにより反射され、回転軸R
0に沿ってレンズ1に向かう位置に配置されている。一方、偏心検出部40Dは、検査光L
6が反射面48bにより反射され、回転軸R
0に沿ってレンズ2に向かう位置に配置されている。
【0077】
レンズ1、2の接合レンズを製造する際には、
図3に示すフローチャートにおいて、レンズ1、2をレンズ保持具12、22にそれぞれ取り付けた後(工程S1)、三角ミラー48を回転軸R
0に挿入し、検査光L
5、L
6をレンズ1、2にそれぞれ入射させた状態で、レンズ1の心出し(工程S3)及びレンズ2の心出し(工程S5)を同時に行う。その後、回転軸R
0から三角ミラー48を退避させる。なお、工程S2及びS4は不要となる。また、工程S6以降の工程については実施の形態1と同様である。
【0078】
以上説明したように、実施の形態3によれば、レンズ1及びレンズ2の心出しを同時に行うことが可能になると共に、検査光の進行方向を切り替えるための位置調節等が不要となる。
【0079】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について説明する。
図12は、本発明の実施の形態4に係るレンズ製造装置の構成例の一部を示す上面図である。
図12に示すように、本実施の形態4に係るレンズ製造装置400は、
図1に示す偏心検出部40Aの代わりに、2つのセンサ71、72を備える。センサ71、72は、レンズ保持具12とレンズ保持具22との間の回転軸R
0上の領域に対して挿脱可能に設けられている。なお、
図12は、センサ71、72が回転軸R
0上の当該領域に挿入された状態を示している。本実施の形態4においては、これらのセンサ71、72が偏心検出部を構成する。また、センサ71、72以外のレンズ製造装置400の構成については、実施の形態1と同様である。
【0080】
各センサ71、72は、
図1に示すセンサ41と同様に、光源と、ハーフミラーと、CCD等の撮像素子を内蔵した構成を有している(いずれも図示せず)。
図12に示す状態で、センサ71は、自身の光軸を回転軸R
0と一致させ、検査光L
7がレンズ1の方向に進行する位置及び向きに配置されている。一方、センサ72は、自身の光軸を回転軸R
0と一致させ、検査光L
8がレンズ2の方向に進行する位置及び向きに配置されている。これらのセンサ71、72から出力された画像データは、共にモニタ44に入力される。
【0081】
レンズ1、2の接合レンズを製造する際には、
図3に示すフローチャートにおいて、レンズ1、2をレンズ保持具12、22にそれぞれ取り付けた後(工程S1)、センサ71、72を回転軸R
0に挿入し、検査光L
7、L
8にそれぞれ入射させた状態で、レンズ1の心出し(工程S3)及びレンズ2の心出し(工程S5)を同時に行う。その後、回転軸R
0からセンサ71、72を退避させる。なお、工程S2及びS4は不要となる。工程S6以降の工程については実施の形態1と同様である。
【0082】
このような実施の形態4によれば、レンズ1及びレンズ2を同時に心出しすることが可能になると共に、検査光の進行方向を切り替えるための位置調節等が不要となる。
【0083】
(変形例1)
次に、実施の形態1〜4の変形例1について説明する。
上述した実施の形態1〜4においては、レンズ1、2を保持する保持具として、レンズ1、2を接着剤により皿部12b、22bにそれぞれ固定する方式のレンズ保持具12、22を用いた。しかしながら、レンズ保持具の方式としては、この他にも様々な方式を用いることができる。
【0084】
図13は、本変形例1におけるレンズ保持具の構成を示す断面図である。
図13に示すように、レンズ保持具80は、心出しステージ21の端部(X調節部21a)にボルト81aにより締結された台座81と、台座81と一体的に設けられた円柱状をなす吸着保持部82と、吸着保持部82と共にロータリージョイント構造を構成するジョイント部83とを備える。
【0085】
ジョイント部83は、吸着保持部82の周囲に、ベアリング83aにより回転可能に設けられている。また、ジョイント部83の内部には、空洞の減圧室83bが設けられ、ジョイント部83の側面には、減圧室83bと外部とを連通する貫通孔83cが設けられている。貫通孔83cには、パイプ90aを介して真空ポンプ90が接続されており、真空ポンプ90を作動させることにより、減圧室83b内が減圧される。
【0086】
台座81とは反対側の吸着保持部82の端面82aには開口が設けられており、この開口と連通する吸着保持部82の内部空間が減圧部82bとなっている。また、吸着保持部82の側面には、減圧部82bとジョイント部83内の減圧室83bとを連通する貫通孔82cが設けられている。
【0087】
このような吸着方式のレンズ保持具80は、レンズ保持軸20側にのみ設けても良いし、レンズ保持軸10及び20の両方に設けても良い。前者の場合、レンズ保持軸10側においては、実施の形態1と同様の接着方式のレンズ保持具12(
図1参照)を用いれば良い。
【0088】
図3の工程S1において、レンズ2をレンズ保持具80に保持させる際には、レンズ2を端面82aに当接させた状態で真空ポンプ90を作動させ、減圧室83b及び減圧部82bを減圧する。それにより、レンズ2が吸着保持部82に吸着されて固定される。また、工程S9において、レンズ1と接合されたレンズ2をレンズ保持具80から取り外す際には、真空ポンプ90を停止させて、減圧室83b及び減圧部82bを解放すれば良い。
【0089】
以上説明したように、変形例1によれば、レンズ保持部に対するレンズの着脱を容易に行うことができる。また、変形例1によれば、接着剤の洗浄工程が不要になるので、製造工程を簡素化することが可能となる。
【0090】
(変形例2)
次に、本発明の実施の形態1〜4の変形例2について説明する。
上記実施の形態1〜4は、3つ以上のレンズからなる接合レンズの製造に適用することも可能である。この場合、
図8に示すように皿部22bを固定部22aから解放した後、レンズ1をレンズ保持具12に保持させたまま、有機溶剤等を用いてレンズ2から皿部22bを除去し、洗浄する。そして、第3のレンズを右側のレンズ保持具22に取り付けて心出しした後、接合レンズ4のレンズ2側に接合すれば良い。この場合の心取り工程は、レンズを新たに接合するごとに行っても良いし、全てのレンズの接合が終了した後でまとめて行っても良い。
【0091】
なお、右側のレンズ保持具22の代わりに、変形例1において説明した吸着方式のレンズ保持具80を用いると、レンズ2をレンズ1に接合した後、レンズ2からレンズ保持具(吸着保持部82)を容易に取り外すことができ、レンズ2の洗浄も不要となるので、より好ましい。
【0092】
(変形例3)
上述した実施の形態1〜4においては、レンズ1、2を接合した接合レンズ4の状態で心取りを行ったが、各レンズ1、2を心取りした後で両レンズ1、2を互いに接合しても良い。具体的には、
図1に示すレンズ製造装置100において、レンズ1の心出し後、レンズ保持具12にレンズ1を保持させた状態で砥石3により心取りを行う。続いて、レンズ2の心出しを行い、レンズ保持具22にレンズ2を保持させた状態で砥石3により心取りを行う。その後、レンズ保持軸10、20を回転軸R
0に沿って中心方向に移動させ、心取り済みのレンズ1とレンズ2とを接着剤を用いて接合する。
【0093】
本変形例3によれば、光学的心出し方式により高精度に心出しされ、心取りされたレンズ1、2を、レンズ製造装置100から取り外すことなく、心出し精度を維持した状態で接合することが可能となる。
【0094】
以上説明した実施の形態1〜4及び変形例1〜3は、本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。また、本発明は、各実施の形態1〜4及び変形例1〜3に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を形成できる。本発明は、仕様等に応じて種々変形することが可能であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施の形態が可能である。