特許第5973810号(P5973810)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5973810
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】仮設階段構造
(51)【国際特許分類】
   E04G 27/00 20060101AFI20160809BHJP
   E06C 1/08 20060101ALI20160809BHJP
   E06C 1/39 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   E04G27/00
   E06C1/08
   E06C1/39 Z
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-150042(P2012-150042)
(22)【出願日】2012年7月4日
(65)【公開番号】特開2014-12943(P2014-12943A)
(43)【公開日】2014年1月23日
【審査請求日】2015年7月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】512176381
【氏名又は名称】植木 公夫
(73)【特許権者】
【識別番号】512176392
【氏名又は名称】株式会社祥陽
(72)【発明者】
【氏名】広沢 建二
(72)【発明者】
【氏名】植木 公夫
(72)【発明者】
【氏名】田保 良作
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−208665(JP,A)
【文献】 実開昭63−030600(JP,U)
【文献】 特開2004−060246(JP,A)
【文献】 実開平06−020779(JP,U)
【文献】 特開平09−021218(JP,A)
【文献】 特開2004−183246(JP,A)
【文献】 特開2005−232886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 27/00
E06C 1/08
E06C 1/39
E06C 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の側板と該側板間に固定される複数の踏板からなる直型の仮設階段と、該踏板のいずれか一つに取り付けられる踊り場と、該踊り場に固定されて仮設階段の側面に取り付けられる昇降階段からなることを特徴とする仮設階段構造。
【請求項2】
前記踊り場の踏板に取り付けられる側と反対の側には、踊り場を支持する支柱が備えられ、該支柱は、踊り場を取り付ける踏板より下方にある踏板に支持されている請求項1に記載の仮設足場構造。
【請求項3】
前記昇降階段は一対の側板とその側板間に固定される踏板からなり、該一対の側板は、それぞれ前記仮設階段の一方の側板を跨いで、前記踊り場に取り付けられている請求項1又は2に記載の仮設階段構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設階段構造に関する。詳しくは、直型の仮設階段に追加し、直型の仮設階段の側面からの昇降を可能とする仮設階段構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建設中の建物の上下階の移動に供するため、上階の床面に形成された吹き抜け部を利用して仮設階段を設置することは従来より行われている。
【0003】
特に、戸建住宅では、階段室を設けるため、2階の床面に吹き抜け部が形成されており、階段室に正規の階段を設置するまでの間、仮設階段が設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−208665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この吹き抜け部を利用した仮設階段では、その設置位置によっては、仮設階段の下端部が、壁面に当接若しくは近接する場合がある。特に、戸建住宅の場合には、階段室は外部の太陽光を取り入れるため、また建物の配置プラン上、いずれかの壁面に沿って設けられることが多く、仮設足場の下端部が、壁面に当接若しくは近接する場合が非常に多い。
【0006】
仮設足場の下端部が、壁面に当接若しくは近接してしまうと、仮設階段の昇降方向を壁面が塞いでしまうため、仮設階段を使った昇降が困難となってしまう。そのため、仮設階段から下階の床面へ又は下階の床面から仮設階段への移動は、仮設階段の昇降方向ではなく、側面側から行わなければならず、仮設階段の側板に足を引っ掛けてしまう恐れがある。そもそも仮設階段は、施工中の建物に設置するものであるため、建設資材や工具等を持ちながら仮設階段を利用する機会が多く、この仮設足場の設置の不十分さに起因する危険度は高い。
【0007】
本発明は、以上のような問題点に鑑み、直型の仮設階段に追加し、仮設階段の側面からの昇降を可能とする仮設階段構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題は、一対の側板と該側板間に固定される複数の踏板からなる直型の仮設階段と、該踏板のいずれか一つに取り付けられる踊り場と、該踊り場に固定されて仮設階段の側面に取り付けられる昇降階段からなることを特徴とする仮設階段構造により解決される。
【0009】
この仮設階段構造において、仮設階段の踏板に踊り場が取り付けられ、その踊り場に固定されて仮設階段の側面に昇降階段が取り付けられているので、直型の階段でありながら踊り場及び昇降階段により、略L字型の仮設階段が形成され、仮設足場の下端部が、壁面に当接若しくは近接し、仮設階段の昇降方向を壁面が塞いでしまう場合であっても、踊り場及び昇降階段を通じて、安全に仮設階段を昇降することができる。
【0010】
また、仮設階段に踊り場及び昇降階段を取り付けるだけであるので、既設の直型の仮設階段であっても、容易に略L型の仮設階段とすることができる。
【0011】
この仮設階段構造において、踊り場の、踏板に取り付けられる側と反対の側には、踊り場を支持する支柱が備えられ、該支柱は、踊り場を取り付ける踏板より下方にある踏板に支持されているとよい。
【0012】
踊り場が支柱により、踊り場を取り付ける踏板より下方にある踏板に支持されるので、踊り場は踏板への取り付け及び支柱での支持により、しっかりと安定的に仮設階段に固定され、仮設階段の踊り場を構造的に安定したものとすることができる。また、踊り場及び昇降階段を取り付けた後は利用しない踊り場の下方の踏板を利用して踊り場を支持しているので、踊り場の支持に余計なスペースや部材が必要でなく、効率的に仮設階段構造を実現することができる。
【0013】
また、この仮設階段構造において、前記昇降階段は一対の側板とその側板間に固定される踏板からなり、該一対の側板は、それぞれ前記仮設階段の一方の側板を跨いで、前記踊り場に取り付けられているとよい。
【0014】
昇降階段の一対の側板が、それぞれ仮設階段の一方の側板を跨いで、踊り場に取り付けられているので、踊り場に昇降階段をしっかりと取り付けることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は以上のとおりであるから、直型の仮設階段に追加し、直型の仮設階段の側面からの昇降を可能とする仮設階段構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】図(イ)は、本発明の実施形態である仮設階段構造を示す側面図、図(ロ)は、その設置状況を示す側面図である。
図2】図(イ)は、直型階段を示す側面図、図(ロ)は、同平面図、図(ハ)は、同正面図である。
図3】図(イ)は、踊り場を示す側面図、図(ロ)は、同平面図、図(ハ)は、同正面図、図(二)は、裏面側の平面図、図(ホ)は、図(イ)の部分拡大側面図である。
図4】図(イ)は、昇降階段を示す側面図、図(ロ)は、同平面図、図(ハ)は、同正面図である。
図5】図(イ)乃至(二)は、図6(ホ)乃至(ト)と共に、仮設階段構造の設置除状況を示す斜視図である。
図6】図(ホ)乃至(ト)は、図5(イ)乃至(二)と共に、仮設階段構造の設置除状況を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1に示す、戸建住宅の1階と2階の間に仮設される本発明の実施形態である仮設階段構造1において、2は、1階と2階の間に懸架される直型階段、3は踊り場、4は昇降階段である。なお、2Aは、直型階段に取り付けられる手摺りである。
【0019】
仮設階段構造1は、図1(ロ)に示すように戸建住宅5の外壁内面に隣接する階段室を設けるための空間に設置され、仮設階段構造の直型階段の上端部は、2階床面6に、下端部は1階床面7に支持され、直型階段の下端側昇降進路は、外壁内面に塞がれている。
【0020】
図2に示すように、直型階段2は、側板を構成する2つの棒材10,11と、左右一対の側材に固定される複数の踏板12‥からなる。13は棒材10,11どうしを連結する連結部材、14は棒材11の下端部にピン接合され、床面と当接する当接部材であり、その端部当接部には滑り止め材15が貼付されている。
【0021】
また、図1(ロ)に示すように、側板を構成する棒材10に対し、手摺り2Aを取り付けてもよい。この場合、手摺り2Aは、直型階段の下端まで設置するのではなく、踊り場を介して昇降階段へ移動するために、手摺り2Aを設置する下限を、踊り場を設置する位置までに留めておくとよい。
【0022】
図3に示すように、踊り場3は、踊り場本体20と、踊り場本体20の裏面に設けられ、直型階段2の踏板12‥と係合する踏板係合部21、支柱24,24からなる。
【0023】
踊り場本体20は、直型階段2の踏板12と幅が略等しく奥行きが長い平面視略正方形の板材である。踏板係合部21は、踊り場本体20の奥行き方向に平行に配置される、断面視I型とL型の係合片22,23からなり、直型階段2の踏板12の上部から設置し、水平方向に移動させることで踏板12に係合することができる。
【0024】
支柱24は、棒材からなり踊り場本体20の裏面に、踊り場本体20の幅方向端部側にそれぞれ1本ずつ計2本備えられている。支柱24には、踏板12の側面を狭持し、支柱24の長さ方向に移動可能なクランプ25が備えられている。クランプ25には、支柱24に対して移動可能なクランプ25を支柱24に固定するための、固定機構として蝶ボルト26と、踏板12の側面に狭持したクランプ25を踏板12に固定するための固定機構としての蝶ボルト27が備えられている。
【0025】
また、踊り場本体20の裏面には後述する昇降階段4の係合孔37が係合する突起部28が昇降階段4の一対の側板間の間隔にあわせて2つ、踊り場3の幅方向にそれぞれ一対ずつ、それぞれ一対の突起部28,28がそれぞれ同一方向に突起して設けられている。
【0026】
図4に示すように、昇降階段4は、側板を構成する2つの棒材30,31と、一対の側材に固定される複数の踏板32‥からなる。33,34は棒材30,31どうしを連結する連結部材、35は棒材31の下端部にピン接合され、床面と当接する当接部材であり、その端部当接部には滑り止め材36が貼付されている。昇降階段4の上端部に設けられる連結部材33,33には、踊り場3の突起部28,28が係合する係合孔37,37が設けられている。
【0027】
仮設階段構造1は、次のようにして設置される。
【0028】
図5(イ)に示すように、戸建住宅の1階と2階の吹き抜け部に、下端部を1階の床面に支持し、上端部を2階の床面に支持して設置された直型階段2の、下から3段目の踏板12に踊り場3を取り付ける。
【0029】
図5(ロ)に示すように、踊り場3の取り付けは、3の裏面に設けられた断面視I型とL型の係合片22,23からなる踏板係合部21の係止片22,23の間に踏板12を嵌め込み、踊り場3を水平移動させることにより、断面視L型の係合片23と踏板12の側面が係合し、しっかりと踏板12に踊り場3が固定される。
【0030】
図5(ハ)に示すように、踊り場3の2本の支柱24,24に備えられたクランプ25,25の位置を調整し、直型階段2の1段目の踏板12の側面にクランプ25,25を係合させ、蝶ボルト27,27によりクランプ25,25を踏板12に固定する。
【0031】
図5(ニ)、図6(ホ)に示すように、支柱24,24に対するクランプ25,25の取り付け位置を調整することにより、踊り場3の水平レベルを調整し、踊り場3が水平となる高さ位置で、蝶ボルト26,26により支柱24,24にクランプ25,25を固定する。
【0032】
次に、図6(ヘ)、(ト)に示すように、昇降階段4を踊り場3に取り付ける。昇降階段4の踊り場3への取り付けは、昇降階段4の上端部に設けられる左右の連結部材33,33に設けられた係合孔37,37に、踊り場本体20の裏面に設けられた突起部28,28を挿入して行う。突起部28,28は、それぞれ同一方向に突起しているので、昇降階段4を側方から水平移動することにより、左右両方に設けられた突起部28,28を連結部材33,33の係合孔37,37に容易に挿入し、固定することができる。
【0033】
なお、係合孔37,37は2つの大きさの異なる丸孔が連なった略瓢箪型で、一方の丸孔が突起部28の頭部より大きく、もう一方の丸孔が突起部28の頭部よりも小さく、突起部28,28を係合孔37,37の一方の大きい丸孔に挿入後、もう一方の小さい丸孔側に突起部28,28をスライドすることで、係合孔37,37から突起部28,28の抜けを防止でき、昇降階段4が踊り場3から脱落することを防止することができる。
【0034】
また、踊り場3には、その幅方向両端部に突起部28が対で設けられているので、仮設階段の設置場所の状況に応じて、直型階段2の左右どちらの側面にも昇降階段4を設置することができる。
【0035】
この仮設階段構造において、仮設階段の踏板に踊り場が取り付けられ、その踊り場に固定されて仮設階段の側面に昇降階段が取り付けられているので、直型の階段でありながら踊り場及び昇降階段により、略L字型の仮設階段が形成され、仮設足場の下端部が、壁面に当接若しくは近接し、仮設階段の昇降方向を壁面が塞いでしまう場合であっても、踊り場及び昇降階段を通じて、安全に仮設階段を昇降することができる。
【0036】
踊り場が支柱により、踊り場より下方にある踏板に支持されるので、踊り場は踏板への取り付け及び支柱での支持により、しっかりと安定的に仮設階段に固定され、仮設階段の踊り場を構造的に安定したものとすることができる。また、踊り場及び昇降階段を取り付けた後は利用しない踊り場の下方の踏板を利用して踊り場を支持しているので、踊り場の支持に余計なスペースや部材が必要でなく、効率的に仮設階段構造を実現することができる。
【0037】
また、支柱に設けられたクランプの高さ方向が移動可能となっているので、直型階段の踏板高さが異なっても、適宜高さ方向を調整して取り付けることができる。
【0038】
以上に、本発明の実施形態を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、発明思想を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、L型に設置できる仮設階段構造の場合を示したが、既設の直型階段に踊り場及び昇降階段を取り付けることで実現してもよく、既設の直型階段に、踊り場と昇降階段を設置するだけで、既設の直型階段であっても、L型の仮設階段とすることができる。特に、直型階段への踊り場の取り付けは、直型階段の踏板への、踊り場係合部の係合により実現しているので、既設の直型階段であっても、特別なアタッチメント等を用いることなく容易に取り付けることができる。
【0039】
また、上記の実施形態では、踊り場を、直型階段の下から3段目の踏板に取り付けた場合について示したが、踊り場を取り付ける踏板の位置に制限はなく、本仮設階段構造が設置される状況に合わせて、踊り場の取り付けられる踏板の位置は適宜選択されるとよいのはいうまでもない。
【0040】
さらに、本実施形態では、直型階段及び昇降階段の側板が、2本の棒材により構成される場合について示したが、側板の形態は、これに限定されることはなく、一枚の板材により構成されていてもよいし、3本以上の棒材により構成されていてもよいし、これ以外の方法によってもよいのはいうまでもない。
【符号の説明】
【0041】
1・・・仮設階段構造
2・・・直型階段
3・・・踊り場
4・・・昇降階段
10,11・・・棒材(側板)
12・・・踏板
24・・・支柱
図1
図2
図3
図4
図5
図6