特許第5973814号(P5973814)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5973814
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】像ぶれ補正装置および光学機器
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20060101AFI20160809BHJP
【FI】
   G03B5/00 J
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-152418(P2012-152418)
(22)【出願日】2012年7月6日
(65)【公開番号】特開2014-16406(P2014-16406A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2015年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227364
【氏名又は名称】日東光学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】アイアット国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山科 一成
(72)【発明者】
【氏名】小松 広明
【審査官】 野村 伸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−085734(JP,A)
【文献】 特開2008−064844(JP,A)
【文献】 特開2009−092704(JP,A)
【文献】 特開2010−204476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結像光学系の像ぶれを補正するために補正レンズを前記結像光学系の光軸と直交する面に沿って移動させる像ぶれ補正装置において、
前記補正レンズを保持する移動枠と、
前記光軸に対して、前記光軸と交差する方向について、不動とされるベース体と、
前記ベース体に取り付けられ、前記光軸に直交する第1方向に対して平行に軸方向が配置されると共に、互いに平行かつ前記光軸に直交する方向に配置される2本のガイド軸と、
前記移動枠に設けられ、前記2本のガイド軸の軸線を含む平面である軸線面に平行に前記ガイド軸に当接することで、前記ガイド軸に対して、前記光軸方向への移動が規制されると共に前記軸線面に沿う方向への移動が許容されるガイド軸当接部を有するガイド受け部と、
を有し、
前記ベース体の前記2本のガイド軸が取り付けられる部分である軸取付部のうち少なくとも一箇所は、前記ベース体と一体に構成されると共に、他の部分よりも肉厚に形成される部分であり、前記移動枠に当接し、前記移動枠の前記第1方向の移動範囲を規制する第1移動規制部として機能し、
前記ガイド受け部には、前記ガイド軸に当接し、前記光軸と前記第1方向とに直交する方向である第2方向への前記移動枠の移動範囲を規制する第2移動規制部が設けられ、
前記軸取付部に前記移動枠が当接した位置を前記補正レンズの前記第1方向の原点位置とし、
前記ガイド受け部が前記ガイド軸に当接した位置を前記補正レンズの前記第2方向の原点位置とする、
ことを特徴とする像ぶれ補正装置。
【請求項2】
請求項1に記載の像ぶれ補正装置において、
前記第1移動規制部は、前記2本のガイド軸それぞれについて、前記第1方向の少なくとも一方側の前記軸取付部に設けられ、
前記第2移動規制部は、前記第2方向の少なくとも一方への移動を規制する前記第2移動規制部については、前記第1方向に離間する2箇所に設けられている、
ことを特徴とする像ぶれ補正装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の像ぶれ補正装置において、
前記ガイド受け部は、前記2本のガイド軸それぞれに対して、離間した2箇所に備えられている、
ことを特徴とする像ぶれ補正装置。
【請求項4】
請求項1からのいずれか1項に記載の像ぶれ補正装置を備えることを特徴とする光学機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像ぶれ補正装置および光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラやデジタルビデオカメラのような撮影光学機器においては、撮影時の振動等によって発生する像ぶれを補正する技術として、たとえば、像ぶれ補正装置を備えるものが知られている。像ぶれ補正装置としては、たとえば、特許文献1,2に開示される構成のものがある。特許文献1に開示される構成は、補正レンズをX軸方向に移動させるX軸移動機構と、このX軸移動機構をY軸方向に移動させるY軸移動機構とを有し、X軸移動機構とY軸移動機構とが光軸方向に重ねて配置される構成である。また、特許文献2には、補正レンズを保持する保持枠をボールにより支持し、ボールの転動により補正レンズを光軸と直交する面内に移動させる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−53554号公報
【特許文献2】特開2002−196383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される構成は、補正レンズをX軸方向に移動させる機構と、Y軸方向に移動させる機構とを光軸方向に重ねた構成であり、像ぶれ補正装置が光軸方向に大型化し易くなる問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、光軸方向への大型化を抑えることができる像ぶれ補正装置および光学装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の像ぶれ補正装置は、結像光学系の像ぶれを補正するために補正レンズを結像光学系の光軸と直交する面に沿って移動させる像ぶれ補正装置であり、補正レンズを保持する移動枠と、光軸に対して、光軸と交差する方向について、不動とされるベース体と、ベース体に取り付けられ、光軸に直交する第1方向に対して平行に軸方向が配置されると共に、互いに平行かつ光軸に直交する方向に配置される2本のガイド軸と、移動枠に設けられ、2本のガイド軸の軸線を含む平面である軸線面に平行にガイド軸に当接することで、ガイド軸に対して、光軸方向への移動が規制されると共に軸線面に沿う方向への移動が許容されるガイド軸当接部を有するガイド受け部と、を有し、ベース体の2本のガイド軸が取り付けられる部分である軸取付部のうち少なくとも一箇所は、ベース体と一体に構成されると共に、他の部分よりも肉厚に形成される部分であり、移動枠に当接し、移動枠の第1方向の移動範囲を規制する第1移動規制部として機能し、ガイド受け部には、ガイド軸に当接し、光軸と第1方向とに直交する方向である第2方向への移動枠の移動範囲を規制する第2移動規制部が設けられ、軸取付部に移動枠が当接した位置を補正レンズの第1方向の原点位置とし、ガイド受け部がガイド軸に当接した位置を補正レンズの第2方向の原点位置とする、こととする。
【0008】
また、本発明の像ぶれ補正装置においては、第1移動規制部は、2本のガイド軸それぞれについて、第1方向の少なくとも一方側の軸取付部に設けられ、第2移動規制部は、第2方向の少なくとも一方への移動を規制する第2移動規制部については、第1方向に離間する2箇所に設けられていることとする。
【0009】
また、本発明の像ぶれ補正装置においては、ガイド受け部は、2本のガイド軸それぞれに対して、離間した2箇所に備えられていることとする。
【0010】
また、本発明の像ぶれ補正装置においては、上述の像ぶれ補正装置を光学機器に備えることとする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、像ぶれ補正装置および光学装置の光軸方向への大型化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態に係る像ぶれ補正装置の構成を示す分解図であり前方斜めから見た斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る像ぶれ補正装置の構成を示す分解図であり後方斜めから見た斜視図である。
図3】本発明の実施の形態に係る像ぶれ補正装置の構成を後方から見た図である。
図4】本発明の実施の形態に係る像ぶれ補正装置の構成を後方から見た図であり、移動枠を省略した状態を示す図である。
図5】本発明の実施の形態に係る像ぶれ補正装置の構成を下方から見た図であり、移動枠保持筒を省略した状態を示す図である。
図6】移動枠のガイド受け部の部分の構成を示す部分拡大図である。
図7】本発明の実施の形態に係る像ぶれ補正装置の構成を前方斜めから見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(像ぶれ補正装置1)
以下、本発明の実施の形態に係る像ぶれ補正装置1の構成を図1〜7を参照しながら説明する。図1は、像ぶれ補正装置1の構成を示す分解図であり前方斜めから見た斜視図である。図2は、像ぶれ補正装置1の構成を示す分解図であり後方斜めから見た斜視図である。図3は、像ぶれ補正装置1の構成を後方から見た図である。図4は、像ぶれ補正装置1の構成を後方から見た図であり、移動枠3を省略した状態を示す図である。図5は、像ぶれ補正装置1の構成を下方から見た図であり、移動枠保持筒8を省略した状態を示す図である。図6は、移動枠3のガイド受け部5,6の部分の構成を示す部分拡大図である。図7は、像ぶれ補正装置1の構成を前方斜めから見た斜視図である。
【0014】
像ぶれ補正装置1は、光学機器として電子スチルカメラに搭載されることができるものであり、電子スチルカメラのレンズ鏡筒部に組み込まれる。電子スチルカメラに像ぶれ補正装置1を搭載することで、撮影時に電子スチルカメラに手振れ等の振動が加わった場合に、電子スチルカメラの結像部に結像する結像が移動してしまうこと(像ぶれ)を抑制(補正)することができる。なお、像ぶれ補正装置1は、電子スチルカメラの他、レンズ鏡筒、ビデオカメラ、テレビカメラ、双眼鏡、あるいは望遠鏡等のように結像光学系を有する光学機器に搭載可能である。光学機器に像ぶれ補正装置1が搭載されることで、光学機器に振動が加わった場合に、光学機器の結像部に対して結像が移動してしまうこと(像ぶれ)を抑制(補正)できる。
【0015】
像ぶれ補正装置1は、図1等に示すように、補正レンズ2と、補正レンズ2を保持する移動枠3と、移動枠3に設けられる4つのガイド受け部4,5,6,7と、移動枠3が保持されるベース体としての移動枠保持筒8と、移動枠保持筒8に取り付けられ、ガイド受け部4〜7を介して移動枠3の移動方向をガイドするガイド軸9,10と、電子スチルカメラに振動が加わった場合に、像ぶれを抑えるように移動枠3を移動させる駆動部11,12等とを有する。
【0016】
像ぶれ補正装置1は、補正レンズ2が結像光学系の光軸Xに直交する面に沿って移動可能に構成されている。像ぶれ補正装置1においては、電子スチルカメラに振動が加わった場合に、不図示の制御部から出力される像ぶれ補正信号により駆動部11,12が駆動される。駆動部11,12により、補正レンズ2を保持する移動枠3は、ガイド軸9,10のガイド方向に沿って、像ぶれが補正されるように、所定方向に所定量を移動させられる。
【0017】
以下の説明では、図1に示す矢印X1方向を前方とし、矢印X2方向を後方とし、また、矢印Y1方向を上方とし、矢印Y2方向を下方とする。さらに、矢印Z1方向を右方とし、矢印Z2方向を左方とする。矢印X1方向および矢印X2方向は光軸Xに平行な方向であり、矢印Y1方向および矢印Y2方向は第1方向に対応し、矢印Z1方向および矢印Z2方向は第2方向に対向する。第1方向および第2方向は、互いに直交する方向であると共に、光軸Xに直交する方向に平行な方向である。矢印X1方向(前方)には被写体(被結像体)が存在し、矢印X2方向(後方)には、結像面が配置される。たとえば、電子スチルカメラ、ビデオカメラあるいはテレビカメラにおいては撮像面が結像面に相当し、双眼鏡や望遠鏡においては、観察者の目(網膜)が結像面に相当する。
【0018】
なお、本実施の形態においては、矢印Y1−矢印Y2方向を上下方向とし、矢印Z1−矢印Z2方向を左右方向としているが、これは説明の便宜上であり、上下または左右が反転しても、また、上下と左右とが入れ替わってもよい。
【0019】
(補正レンズ2)
像ぶれ補正装置1は、図示を省略する光学機器の結像光学系(たとえば、レンズ鏡筒や電子スチルカメラの結像光学系)の光軸X上に補正レンズ2が配置されるように、光学機器に搭載される。補正レンズ2は、結像光学系を構成する一部のレンズを補正レンズ2として用いることもでき、また、結像状態に大きな影響を与えずに主として像ぶれの補正機能を有するレンズとしてもよい。
【0020】
(移動枠3)
補正レンズ2は、移動枠3に保持される。移動枠3は、板状部13と、レンズ保持部14と、ガイド受け部4,5,6,7とを有する。移動枠3は、板状部13と、レンズ保持部14と、ガイド受け部4,5,6,7とが一体成形にて1部材として構成されている。一体成形により1部材として構成されることで、部品点数の削減を行うことができる。
【0021】
また、各部を別部材として板状部13に取り付ける構造とした場合には、取り付け部分の取り付け精度の違いにより、板状部13とレンズ保持部14とガイド受け部4〜7との間の配置関係等について、移動枠3に個体差が生じる虞がある。しかしながら、移動枠3を一体成形により1部材にて構成することで個体差を抑制することができる。個体差を少なくすることで、たとえば、像ぶれ補正装置1の製造工程において、移動枠3の原点(補正動作に先立ち、移動枠3が配置される初期位置)の位置決めの工程を円滑に行うことができる。
【0022】
(板状部13)
板状部13は、前後方向に薄い板状体を呈し、矩形を呈する矩形部15と、矩形部15から下方に突出する突出部16とを有する。矩形部15にはレンズ保持部14が配置され、突出部16はレンズ保持部14が配置されている位置よりも下方に形成されている。突出部16の下縁部には下方に向かって円弧状に突出する円弧端縁部17が形成されている。この円弧端縁部17は、移動枠保持筒8の内周面の一部である当接部18(図2,3,4参照)と同一の曲率に形成され、円弧端縁部17を当接部18に沿わせた状態で当接させることができる。
【0023】
(レンズ保持部14)
レンズ保持部14は、板状部13の前後方向に突出する円筒状を呈し、円筒の内側に補正レンズ2が保持されている。レンズ保持部14は、補正レンズ2が保持された状態で、移動枠3の重心位置に補正レンズ2の光軸が配置されるように移動枠3に対して配置されることが好ましい。このように、移動枠3の重心位置に補正レンズ2の光軸を配置させることで、後述するように、移動枠3がガイド受け部4〜7を介してガイド軸9,10に保持された状態で、補正レンズ2のレンズ面の前後方向への倒れを抑え易くすることができる。理想的には、移動枠3の重心位置と補正レンズ2の光軸とが一致していることが好ましいが、重心位置と補正レンズ2の光軸とのずれ量が、重心位置と移動枠3の端縁部との距離の20%以下であれば、補正レンズ2のレンズ面の前後方向への倒れを抑える効果を得やすい。
【0024】
(ガイド受け部4〜7)
ガイド受け部4〜7は、レンズ保持部14に対して左側と右側のそれぞれの上下に設けられる。ガイド受け部4〜7には、それぞれ、ガイド軸9,10が挿通されるガイド軸挿通部19が形成される。また、各ガイド軸挿通部19には、ガイド軸当接部20,21(図5,6参照)と、第2移動規制部としての移動規制部22(図5,6参照)とが設けられている。ガイド軸当接部20は、ガイド軸9,10の前側に配置され、ガイド軸当接部21は、ガイド軸9,10の後側に配置されている。つまり、ガイド軸当接部20とガイド軸当接部21との間がガイド軸挿通部19として形成されている。ガイド軸挿通部19の光軸Xから離れる方向の一端側は、開口部24として開口されている。ガイド軸挿通部19のレンズ保持部14側(開口部24が形成される側である一端側に対して他端側)には、移動規制部22が配置されている。
【0025】
ガイド受け部4,5,6,7にそれぞれ設けられるガイド軸当接部20は、ガイド軸9とガイド軸10の軸線(ガイド軸9,10の中心)を含む平面である軸線面(仮想面)に対して平行な平面に沿って配置されている。また、ガイド受け部4,5,6,7にそれぞれ設けられるガイド軸当接部21も、ガイド軸9とガイド軸10の軸線(ガイド軸9,10の中心)を含む平面である軸線面(仮想面)に対して平行な平面に沿って配置されている。ガイド軸当接部20は、ガイド軸9,10の前側に当接し、ガイド軸当接部21は、ガイド軸9,10の後側に当接する。したがって、ガイド受け部4〜7(移動枠3)は、ガイド軸9,10により光軸X方向(前後方向)への移動が規制される。
【0026】
ガイド軸当接部20およびガイド軸当接部21の左右方向(矢印Z1−矢印Z2方向)の幅(長さ)は、ガイド軸9,10の直径よりも長い。すなわち、ガイド軸挿通部19の左右方向の幅(長さ)は、ガイド軸9,10の直径よりも長く形成されている。つまり、ガイド受け部4〜7は、ガイド軸9,10に対して左右方向への移動が許容される。
【0027】
また、ガイド受け部4〜7は、ガイド軸9,10に沿って上下方向(矢印Y1−矢印Y2方向)への移動が許容されている。したがって、ガイド受け部4〜7にガイド軸9,10が挿通される移動枠3は、ガイド軸9,10により光軸X方向(前後方向)へ移動しない状態で、軸線面に沿う方向(光軸Xに直交する方向)に移動が許容される。
【0028】
図6に示すように、ガイド軸当接部20は、板状部13のガイド軸当接部21に対向する部分が後側に肉厚とされた部分に形成されている。つまり、ガイド軸当接部20は、板状部13の後側の面よりも後方に位置する部分となっている。ガイド軸9,10に板状部13が当接してしまう構成とした場合には、ガイド軸9,10に、板状部13が広い範囲に亘って当接することになる。そのため、板状部13の平面度を高く形成する必要がある。たとえば、平面度が低く板状部13が湾曲している場合には、移動枠3が前後に傾斜してしまう虞があるからである。これに対し、ガイド軸当接部20を板状部13の後側の面よりも後方に突出する部分とすることで、ガイド軸9,10と板状部13とが接触しないようにすることで、板状部13の平面度が移動枠3の前後への傾斜に影響する程度を低くすることができる。
【0029】
なお、ガイド軸当接部20,21については平面でなくても、稜部としてもよい。しかしながら、平面とすることで、ガイド軸9,10と面接触することができ、押圧力が分散され、ガイド軸当接部20,21の摩耗を低減させることができる。
【0030】
移動規制部22は、ガイド軸9,10の内側、すなわち、ガイド軸9とガイド軸10とが互いに対向する側に配置されている。つまり、ガイド受け部4,7の移動規制部22は、ガイド軸9の光軸X側に配置され、ガイド受け部5,6の移動規制部22は、ガイド軸10の光軸X側に配置されている。したがって、ガイド受け部4〜7の移動規制部22とガイド軸9,10とにより、移動枠3の左右方向への移動範囲が規制される。
【0031】
ガイド受け部4〜7は、レンズ保持部14の左右それぞれの上下となる4箇所に設けられている。具体的には、左上にガイド受け部4が配置され、左下にガイド受け部7が配置され、右上にガイド受け部5が配置され、右下にガイド受け部6が配置されている。そして、左上に配置されるガイド受け部4と右下に配置されるガイド受け部6とを結ぶ線と、左下に配置されるガイド受け部7と右上に配置されるガイド受け部5とを結ぶ線とが交差する交差位置Qを位置に補正レンズ2が配置されている。ガイド受け部4〜7と補正レンズ2とが上述のように配置されることで、ガイド受け部4〜7とガイド軸9,10に対してガタつきを生じた場合にも、光軸Xと補正レンズ2の光軸とが交差する角度を小さく抑えることができる。
【0032】
なお、補正レンズ2の光軸上に交差位置Qを配置させるようにガイド受け部4〜7が配置されることで、ガイド受け部4〜7とガイド軸9,10に対してガタつきを生じた場合に、光軸Xと補正レンズ2の光軸とが交差する角度をより小さく抑えることができる。
【0033】
移動規制部22は、ガイド軸挿通部19の一端側に設けてもよい。すなわち、ガイド軸挿通部19の開口部24を閉塞し、この閉塞した部分を移動規制部22とすることもできる。しかしながら、移動規制部22をガイド軸挿通部19の他端側となる光軸X側に配置することで、移動枠3の大型化を抑えることができる。また、移動規制部22をガイド軸挿通部19の他端側に配置することで、移動規制部22が移動枠3の重心側に偏倚し、移動枠3が自転する際の慣性力を低減させることができ、移動枠3の移動をより円滑なものとすることができる。
【0034】
(ガイド軸9,10)
ガイド軸9は、ガイド部9Aとボス9Bとを有する。また、ガイド軸10は、ガイド部10Aとボス10Bとを有する。ガイド部9A,10Aおよびボス9B,10Bは円柱状を呈する。ボス9B,10Bは、ガイド軸9,10の一端側、すなわち下端部に設けられ、ガイド部9A,10Aよりも細い径に形成されている。ガイド部9Aは、ガイド受け部4,7の間隙S1(図1,5,6参照)に通すことができ、かつ、ガイド受け部4,7に対して前後方向にガタを生じない直径に設定される。ガイド部10Aは、ガイド受け部5,6の間隙S2(図1,5,6参照)に通すことができ、かつ、ガイド受け部5,6に対して前後方向にガタを生じない直径に設定される。
【0035】
なお、ガイド部9A,10Aは、ガイド受け部4〜7に対して前後方向に若干のガタを生じてもよい。この場合には、移動枠3を前方または後方に付勢する構成を備え、ガイド受け部4〜7のガイド軸当接部20またはガイド軸当接部21を、ガイド軸9およびガイド軸10に対して付勢させた状態で当接させる。これにより、ガイド軸9,10とガイド受け部4〜7との間のガタつきを抑えることができる。
【0036】
付勢する構成としては、たとえば、移動枠保持筒8と移動枠3との間に圧縮バネを備え、この圧縮バネにより、移動枠3を前方に引っ張り、ガイド受け部4〜7のガイド軸当接部21をガイド軸9,10に付勢させた状態で当接させたり、あるいは圧縮バネにより移動枠3を後方に付勢し、ガイド受け部4〜7のガイド軸当接部20をガイド軸9,10に付勢させた状態で当接させる構成を用いることができる。
【0037】
ガイド軸9,10は、ガイド受け部4〜7のガイド軸9,10に対する摺動を円滑なものとするため、表面にポリテトラフルオロエチレン層やフッ素樹脂層等の低摩擦層を形成することが好ましい。低摩擦層は、ガイド受け部4〜7のガイド軸9,10に当接する部分に形成してもよい。また、移動枠3をガイド軸9,10に付勢する場合には、後述する駆動部11,12による移動枠3の移動をできるだけ阻害しないように小さな付勢力とすることが好ましい。
【0038】
(移動枠保持筒8)
移動枠保持筒8は、像ぶれ補正装置1が電子スチルカメラ(光学機器)に搭載された状態で、光軸Xに対して、光軸Xと直交する方向について移動しないように(不動に)光学機器に備えられる。本実施の形態では、移動枠保持筒8は、図示を省略するシャッタ機構を備えるシャッタ枠としても構成されている。移動枠保持筒8は、結像光学系がズーム機構を備える場合や、あるいは、結像光学系を構成するレンズ鏡筒が沈胴側の場合には、ズーム動作や沈胴動作に伴い必要に応じて光軸X方向(前後方向)に移動する構成となる。
【0039】
移動枠保持筒8は、円筒形状を呈する円筒枠部25と、円筒枠部25の内部に配置される内周枠部26とを有する。移動枠保持筒8は、円筒枠部25と内周枠部26とが一体成形にて1部材として構成されている。一体成形により1部材として構成されることで、部品点数の削減を行うことができる。内周枠部26は、開口部27の部分を除いて円筒枠部25の前側を閉塞する。上述の移動枠3は、円筒枠部25内に配置される。内周枠部26は、円筒枠部25内に配置された移動枠3の前方に配置される。
【0040】
移動枠保持筒8には、開口部27を開閉する図示を省略するシャッタと、このシャッタを駆動する図示を省略するシャッタ駆動部とが備えられている。シャッタが開閉されることで、被写体光の結像面への露光状態と非露光状態とが制御される。
【0041】
ガイド軸9,10は、円筒枠部25に設けられる軸取付部28,29,30,31(図3,4参照)を介してに円筒枠部25に取り付けられる。円筒枠部25の軸取付部28,29,30が形成される部分は、他の部分よりも内側に向けて肉厚に形成され、円筒枠部25の一部として、円筒枠部25と一体成形にて構成されている。
【0042】
軸取付部28,29には、ガイド軸9,10を挿通することができる孔部28A,29Aが形成されている。ガイド軸9,10は孔部28A,29Aに対して圧入状態で挿入される。つまり、孔部28A,29Aは、ガイド軸9,10を軸線に交差する方向に移動しない(ガタつかないように)状態で保持できる大きさ(孔径)に形成されている。軸取付部28,29を肉厚とし、この肉厚部に孔部28A,29Aを形成することで、ガイド軸9,10の位置決めを確実に行うことができる。
【0043】
軸取付部30には、孔部29Aに上下方向で対向する位置に、ガイド軸10の下端部に設けられるボス10Bが嵌入されるボス孔30A(図2参照)が形成されている。また、円筒枠部25の孔部28Aに上下方向で対向する位置に、ガイド軸9の下端部に設けられるボス9Bが嵌入されるボス孔31A(図2参照)が形成されている。
【0044】
ガイド軸9は、上方(円筒枠部25の外側)から孔部28Aに通され、ボス9Bをボス孔31Aに嵌入させることで円筒枠部25に対して取り付けられる。また、ガイド軸10は、上方(円筒枠部25の外側)から孔部29Aに通され、ボス10Bをボス孔30Aに嵌入させることで円筒枠部25に対して取り付けられる。ボス孔31A,30Aは、ボス9B,10Bが圧入される孔径であり、ボス9B,10Bとの間にガタを有しない孔径にて形成されている。また、孔部28A,29Aおよびボス孔30A,31Aは、ガイド軸9,10が円筒枠部25に取り付けられた状態で、ガイド軸9,10の軸線が光軸Xに直交する面内に配置される位置に設けられている。
【0045】
ガイド軸9,10は、移動枠3を円筒枠部25の内側に配置した状態で、ガイド軸9,10を孔部28A,29Aから円筒枠部25の内部に通される。これにより、円筒枠部25の内側に配置された移動枠3のガイド受け部4〜7にガイド軸9,10を通すことができ、移動枠3を円筒枠部25に保持することができる。
【0046】
ガイド受け部4の移動規制部22とガイド受け部5の移動規制部22との間隔D1およびガイド受け部6の移動規制部22とガイド受け部7の移動規制部22との間隔D2は、ガイド軸9とガイド軸10との間隔D3より狭く設定されている。間隔D1と間隔D2とは同一間隔となっている。つまり、ガイド受け部4〜7がガイド軸9,10に通された状態で、移動枠3は、ガイド軸9,10に対して左右方向、すなわちガイド軸9とガイド軸10とが配置される方向への移動が許容される。
【0047】
また、移動枠3と移動枠保持筒8とは、移動枠3のガイド受け部4,5の上面とガイド受け部6,7の下面との間の間隔D4が、軸取付部29と軸取付部30との間の間隔D5および軸取付部28と円筒枠部25の内周面との間の間隔D6よりも小さくなるように構成れている(図3参照)。つまり、ガイド受け部4〜7がガイド軸9,10に通された状態で、移動枠3は、ガイド軸9,10の軸線方向、すなわち上下方向への移動が許容されている。
【0048】
ガイド軸9,10は、軸線(ガイド軸9,10の中心軸)が光軸Xに直交する面内に配置されている。したがって、ガイド受け部4〜7にガイド軸9,10を通された状態で移動枠保持筒8に保持された移動枠3は、ガイド軸9,10のガイドにガイドされ、光軸Xに直交する面(軸平面)に沿った移動が許容される。
【0049】
軸取付部28,29とガイド受け部4,5とは上下方向で対向している。移動枠3が上方に移動したときに、ガイド受け部4,5が軸取付部28,29に当接し移動枠3の上方への移動が規制される。軸取付部28,29のガイド受け部4,5に当接する当接部28B,29B(図3参照)は、上下方向(第1方向)に対して直交する面内に配置されている。また、ガイド受け部4,5の軸取付部28,29に当接する当接部4A,5A(図3参照)は、補正レンズ2の光軸に対して対象な位置に配置されている。このため、移動枠3が上方に移動し、当接部4Aと当接部28Bとが当接すると共に、当接部5Aと当接部29Bとが当接したとき、移動枠3が光軸Xの周りに傾斜し難いものとなっている。
【0050】
(駆動部11,12)
移動枠保持筒8の内周枠部26の後面であって、開口部27を避けた位置には、コイル32,33が備えられている(図4参照)。一方、移動枠3には、磁石34,35が備えられている(図2参照)。コイル32,33および磁石34,35は、移動枠3が補正レンズ2の光軸を結像光学系の光軸Xに一致させる位置に配置されている状態で、コイル32と磁石34とが互いに対向し、また、コイル33と磁石35とが互いに対向する位置に配置される。
【0051】
コイル32および磁石34により第1駆動部36が構成され、コイル32は、電流が流されたときに、磁石34に対して上下方向への駆動力を作用させるように構成されている。つまり、第1駆動部36(コイル32および磁石34)により移動枠3に対して上下方向への駆動力を作用させることができる。一方、コイル33および磁石35により第2駆動部37が構成され、コイル33は、電流が流されたときに、磁石35に対して左右方向への駆動力を作用させるように構成されている。つまり、第2駆動部37(コイル33および磁石35)により移動枠3に対して左右方向への駆動力を作用させることができる。
【0052】
内周枠部26の後面には、位置検出センサーとしての光反射センサー38,39(図4参照)が備えられている。また、移動枠3の前面には反射ミラー40(図1参照)が備えられている。光反射センサー38,39と反射ミラー40とは、移動枠3が補正レンズ2の光軸を結像光学系の光軸Xに一致させる位置に配置されている状態で、反射ミラー40が光反射センサー38および光反射センサー39に対向するように配置されている。
【0053】
コイル32,33は、不図示の制御部からの像ぶれ補正信号により駆動される。像ぶれ補正信号は、電子スチルカメラ(光学機器)に振動が加わったときに、結像光学系による結像のぶれを抑えるように移動枠3を移動させるための信号である。制御部は、光学機器の振動の量、方向、速度等を検出するセンサー(たとえば、加速度センサー、ジャイロセンサー等)および光反射センサー38,39からの検出信号に基づき、像ぶれ補正信号を出力する。像ぶれ補正信号によりコイル32,33が駆動され、移動枠3(補正レンズ2)が振動に応じて移動することで、結像する像のブレが抑えられる。
【0054】
(本実施の形態の主な効果)
本実施の形態の主な効果について、以下に説明する。
【0055】
本実施の形態の像ぶれ補正装置1は、光学機器としての電子スチルカメラに搭載されるものであり、補正レンズ2を保持する移動枠3と、光軸Xに交差する方向について不動とされるベース体としての移動枠保持筒8と、2本のガイド軸9,10と有し、移動枠3には、ガイド受け部4〜7が設けられている。2本のガイド軸9,10は、移動枠保持筒8に取り付けられ、電子スチルカメラの結像光学系の光軸Xに直交する方向(図1においては上下方向)に対して平行に軸方向が配置されると共に、互いに平行かつ光軸Xに直交する方向に配置される。また、ガイド受け部4〜7は、移動枠3に設けられ、ガイド軸9,10に対して、ガイド軸9とガイド軸10との軸線を含む平面である軸線面に平行に当接し、ガイド軸9,10に対して、光軸X方向(前後方向)への移動が規制される共に軸線面に沿う方向への移動が許容されるガイド軸当接部20,21を有する。
【0056】
上述の構成において、ガイド軸9,10は、軸方向が光軸Xに直交する方向に対して平行になるように配置されると共に、互いに平行かつ光軸Xに直交する方向に配置されている。つまり、ガイド軸9,10の軸線は、光軸Xに対して直交する平面である軸線面を規定する。また、このガイド軸9,10のガイドを受けるガイド受け部4〜7は、軸線面に平行にガイド軸9,10に当接する。また、ガイド受け部4〜7は、軸線面に沿う方向への移動が許容されている。したがって、移動枠3を、ガイド軸9,10のガイドにより光軸Xに直交する面に沿って移動させることができる。
【0057】
本実施の形態に係る像ぶれ補正装置1によれば、ガイド軸9とガイド軸10は、光軸Xに直交する方向に配置されるため、従来(特許文献1)の構成のように、2本のガイド軸を光軸X方向(前後方向)に配置する構成に比べて、像ぶれ補正装置1の光軸X方向の小型化(薄型化)を図ることができる。また、従来(特許文献2)の構成のようにボールを用いる場合、転がり易いボールを装置に組み込む必要があり、組み立て作業が煩雑になり易い。これに対し、本実施の形態に係る像ぶれ補正装置1によれば、ボールの組み込みがなく、組み立て作業の容易化を図ることができる。また、従来(特許文献2)の構成のように、ボールを用いて補正レンズを移動可能とする場合には、少なくとも3つのボールを用いて光軸に対する傾きが規定される。しかしながら、本実施の形態に係る像ぶれ補正装置1によれば、2本のガイド軸9,10により補正レンズ2の光軸Xに対する傾きを規定することができ、部品点数の削減を図ることができる。
【0058】
移動枠保持筒8に形成される軸取付部28,29と移動枠3に設けられるガイド受け部4,7とは、移動枠3が上方に移動させられたときに互いに当接する。また、移動枠保持筒8の当接部18と移動枠3の突出部16の円弧端縁部17とは、移動枠3が下方に移動させられたときに互いに当接する。つまり、軸取付部28,29は、移動枠3の上方への移動量を規制し、また、当接部18とは、移動枠3の下方への移動量を規制する。このように、軸取付部28,29は、移動枠3の上方への移動範囲を規制する第1移動規制部として構成され、また、当接部18は、移動枠3の下方への移動範囲を規制する第1移動規制部として構成されている。
【0059】
ガイド受け部4,7には、移動枠3が光軸Xと上下方向とに直交する方向である左方に移動させられたときにガイド軸9に対して当接する移動規制部22が設けられている。また、ガイド受け部5,6には、移動枠3が光軸Xと上下方向とに直交する方向である右方に移動させられたときにガイド軸10に対して当接する移動規制部22が設けられている。つまり、ガイド受け部4,7の移動規制部22は、移動枠3の左方への移動範囲を規制し、また、ガイド受け部5,6の移動規制部22は、移動枠3の右方への移動量を規制する。すなわち、ガイド受け部4,7の移動規制部22は、移動枠3の左方への移動量を規制する第2移動規制部として構成され、また、ガイド受け部5,6の移動規制部22は、移動枠3の右方への移動範囲を規制する第2移動規制部として構成されている。
【0060】
軸取付部28,29は、円筒枠部25の他の部分よりも内側に向けて肉厚に形成され、円筒枠部25の一部として、円筒枠部25と一体成形にて構成されている。したがって、部品点数を増すことなく、移動枠3の上方への移動範囲を規制することができる。さらに、本実施の形態においては、ガイド受け部4,7も、移動枠3の一部として移動枠3と一体成形にて設けられている。また、円弧端縁部17も移動枠3の一部として移動枠3と一体成形にて設けられ、当接部18も移動枠保持筒8の一部として移動枠保持筒8と一体成形にて設けられている。したがって、部品点数を増すことなく、移動枠3の上下方向への移動範囲を規制することができる。
【0061】
移動規制部22についても、移動枠3の一部として移動枠3と一体成形にて設けられている。したがって、部品点数を増すことなく、移動枠3の左右方向への移動範囲を規制することができる。
【0062】
なお、円弧端縁部17は、円筒枠部25の内周面の一部である当接部18と同一の曲率に形成され、円弧端縁部17を当接部18に沿わせて当接させることができる。したがって、たとえば、電子スチルカメラを机上等に置いたときの衝撃で、移動枠3が下方に移動され、移動枠3が円筒枠部25に衝突した場合にも、円弧端縁部17が円筒枠部25に広い面積で当接することができる。このため、移動枠3が円筒枠部25に衝突したときの衝撃が分散され、円筒枠部25や移動枠3を損傷してしまう虞を低減することができる。
【0063】
第1移動規制部としての軸取付部28,29は、2本のガイド軸9,10それぞれについて、第1方向の少なくとも一方側である上方側に配置されている。したがって、移動枠3が上方に移動したとき、ガイド受け部4,5がそれぞれ軸取付部28,29に当接することになり、移動枠3は離間した2箇所で上方への移動を受け止められることになる。また、ガイド受け部4,7に設けられる移動規制部22は、上下方向に離間している。したがって、移動枠3が左側に移動したとき、移動枠3は離間した2箇所でガイド軸9に左方への移動を受け止められることになる。また、ガイド受け部5,6に設けられる移動規制部22も、上下方向に離間している。したがって、移動枠3が右側に移動したとき、移動枠3は離間した2箇所でガイド軸10に左方への移動を受け止められることになる。
【0064】
像ぶれ補正装置1においては、補正レンズ2を像ぶれ補正のための移動制御を行うために、補正レンズ2の位置検出を行う必要がある。そのため、像ぶれ補正装置1の動作の開始に先立ち、補正レンズ2の原点位置を決め、この原点位置に基づき、補正レンズ2の位置を検出することができる。本実施の形態においては、軸取付部28,29に移動枠3が当接した位置を、補正レンズ2の上下方向についての原点位置とし、また、移動規制部22が、ガイド軸9またはガイド軸10に当接した位置を、補正レンズ2の左右方向についての原点位置とすることができる。この際、軸取付部28と軸取付部29とが左右方向に離れた2箇所に設けられていることで、移動枠3(ガイド受け部4,5)が軸取付部28,29に当接した際、左右方向に揺動することを防止できるので、原点位置を精度よく決めることができる。また、移動規制部22が上下方向に離れた2箇所に設けられていることで、移動枠3(移動規制部22)がガイド軸9あるいはガイド軸10に当接した際、上下方向に揺動することを防止できるので、原点位置を精度よく決めることができる。
【0065】
また、当接部4Aと当接部5Aとが配置される面と、ガイド受け部4の移動規制部22とガイド受け部7の移動規制部22が配置される面、あるいはガイド受け部5の移動規制部22とガイド受け部6の移動規制部22が配置される面とを互いに直交する配置とすることが好ましい。かかる配置とすることで、上下方向および左右方向の各方向について、各方向の原点位置に基づく補正レンズ2の位置の検出を容易に行うことができる。
【0066】
ガイド受け部4,7は、ガイド軸9対して離間した2箇所に備えられ、また、 ガイド受け部5,6は、ガイド軸10対して離間した2箇所に備えられている。つまり、移動枠3は、ガイド軸9,10に対して補正レンズ2を中心側とする4方向で支持されている。そのため、たとえば、補正レンズ2を3方向で支持する場合に比べて、補正レンズ2の前後および左右への揺動(ローリング)を抑制するすることができる。
【0067】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明は上述の形態に限定されることはない。
【0068】
たとえば、移動枠3は、補正レンズ2の全周を保持する枠体の構成を示したが、枠体を呈する必要はなく、たとえば、補正レンズ2の周囲の一部あるいは補正レンズ2の有効径に干渉しない適宜の部分を保持する構成としてもよい。
【0069】
また、ベース体としての移動枠保持筒8は、筒状の円筒枠部25を有し、円筒枠部25にガイド軸9,10を取り付けられる構成とされているが、べース体としては、たとえば、円筒枠部25を設けずに、内周枠部26に後方に延設しガイド軸9,10を支持する腕部を設ける構成としてもよい。
【0070】
また、ガイド軸9,10は、円柱状でなくても、たとえば、断面矩形の角柱状、あるいはレール状であってもよい。
【符号の説明】
【0071】
X … 光軸
Y1−Y2 … 第1方向
Z1−Z2 … 第2方向
1 … 像ぶれ補正装置
2 … 補正レンズ
3 … 移動枠
4,5,6,7 … ガイド受け部
8 … 移動枠保持筒(ベース体)
9,10 … ガイド軸
20,21 … ガイド軸当接部
22 … 移動規制部(第2移動規制部)
28,29 … 軸取付部(第1移動規制部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7