特許第5973820号(P5973820)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5973820
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】シール構造の製造方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/00 20060101AFI20160809BHJP
【FI】
   E21D11/00 B
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-158482(P2012-158482)
(22)【出願日】2012年7月17日
(65)【公開番号】特開2014-20076(P2014-20076A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2015年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
(74)【代理人】
【識別番号】100111545
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 悦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100129067
【弁理士】
【氏名又は名称】町田 能章
(72)【発明者】
【氏名】伊賀崎 圭
(72)【発明者】
【氏名】森田 泰司
(72)【発明者】
【氏名】西田 与志雄
(72)【発明者】
【氏名】大坂 衛
【審査官】 桐山 愛世
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−118237(JP,A)
【文献】 特開平09−078990(JP,A)
【文献】 特開2011−190602(JP,A)
【文献】 特開昭63−007498(JP,A)
【文献】 特開2000−130094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 1/00−9/14
E21D 11/00−19/06
23/00−23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状に形成されたワイヤーブラシをシートで覆う準備工程と、
前記シートを貫通する注入パイプを前記ワイヤーブラシの周方向に対して複数本配設する第一配管工程と、
前記注入パイプから前記ワイヤーブラシの高さ方向の途中まで発泡樹脂用混合液を全周にわたって注入して第一樹脂層を形成する第一層注入工程と、
前記第一樹脂層がゲル化したことを確認した後、第一配管工程における注入パイプの配置に対して千鳥配置となるように前記ワイヤーブラシの周方向に対して注入パイプを複数本配設する第二配管工程と、
前記第二配管工程で配設された前記注入パイプから前記ワイヤーブラシの残りの部分に発泡樹脂用混合液を注入して第二樹脂層を形成する第二層注入工程と、を備えることを特徴とする、シール構造の製造方法。
【請求項2】
前記発泡樹脂用混合液の未充填箇所が確認された場合に、前記未充填箇所に発泡樹脂用混合液を注入する補足注入工程をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載のシール構造の製造方法。
【請求項3】
前記発泡樹脂用混合液が、3液混合タイプであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のシール構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドマシンのテールシールやトンネルのエントランス部等に用いられるシール構造の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シールドマシンのテール部には、土砂、地下水、裏込め材等がシールドマシン内に流入することを防止するために、テールシールが装備されている。
【0003】
テールシールとしては、ワイヤーブラシを用いたブラシ式が一般的である。
ブラシ式を採用する場合には、止水性を確保するために、グリース等の充填材を充填する必要がある。
【0004】
ところが、シールドマシンの掘進中に、テールシールからグリースが逸失すると、ワイヤーブラシの内部に裏込め材や土砂等が入り込み、固結する場合がある。テールシールの内部で裏込め材等が固結すると、テールシールの柔軟性が損なわれ、止水効果が低下してしまう。
【0005】
そのため、例えば、特許文献1に示すように、ワイヤーブラシに発泡樹脂を予め注入したテールシール構造が採用されている。このテールシール構造によれば、ワイヤーブラシ内への裏込め材等の浸入を防止することが可能になるので、テールシールの止水性を維持することが可能となる。
なお、発泡樹脂が注入されたワイヤーブラシは、推進工法等のエントランス部においても採用される場合がある。
【0006】
特許文献1では、シールドマシンの組立後に、次の(1)、(2)の作業を繰り返し行うことで、テールシールの全体に発泡樹脂を注入している。
(1)最下位に位置するワイヤーブラシの先端部を覆った状態で発泡樹脂を注入する。
(2)ワイヤーブラシに注入した発泡樹脂がゲル化した後に発泡樹脂の注入幅分だけシールドマシンを回転させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3158019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の発泡樹脂の注入方法では、発泡樹脂を注入するたびにシールドマシンを回転させる必要があるため、作業に手間が掛かるとともに、設備が大掛かりとなってしまう。
また、トンネル軸方向に沿って、発泡樹脂の継目が形成されるため、この継目における止水性の低下が懸念されていた。
【0009】
本発明は、前記の問題点を解決することが可能なシール構造の製造方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の課題を解決するために、本発明のシール構造の製造方法は、無端状に形成されたワイヤーブラシをシートで覆う準備工程と、前記シートを貫通する注入パイプを前記ワイヤーブラシの周方向に対して複数本配設する第一配管工程と、前記注入パイプから前記ワイヤーブラシの高さ方向の途中まで発泡樹脂用混合液を全周にわたって注入して第一樹脂層を形成する第一層注入工程と、前記第一樹脂層がゲル化したことを確認した後、第一配管工程における注入パイプの配置に対して千鳥配置となるように前記ワイヤーブラシの周方向に対して注入パイプを複数本配設する第二配管工程と、前記第二配管工程で配設された前記注入パイプから前記ワイヤーブラシの残りの部分に発泡樹脂用混合液を注入して第二樹脂層を形成する第二層注入工程とを備えることを特徴としている。
【0011】
かかるシール構造の製造方法によれば、発泡樹脂の継目がトンネル軸方向に形成されることがないため、止水性に優れた高品質なシール構造を形成することができる。
また、シールドマシンを回転させるための大掛かりな設備が不要となるため、作業性にも優れている。
【0012】
また、発泡樹脂が注入されたワイヤーブラシは、水中・気中に関わらず体積変化や変質がほとんどないため、長期間にわたり機能が持続する。また、裏込め材などがワイヤーブラシに入り込むこともないため、止水効果が低下しにくくなる。
したがって、本発明のシール構造の製造方法によれば、耐久性が高く、長寿命なシール構造を提供することが可能となる。
【0013】
前記発泡樹脂用混合液の未充填箇所が確認された場合には、前記未充填箇所に発泡樹脂用混合液を注入する補足注入工程を行うとよい。このようにすると、より高品質なシール構造を製造することが可能となる。
なお、前記発泡樹脂用混合液に3液混合タイプのものを採用することで、発泡樹脂の硬度をコントロールしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のシール構造の製造方法によれば、高品質なシール構造を簡易に形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係るシール構造を備えるシールドマシンを後方から望む立面図である。
図2図1のシール構造が設置されたシールドマシンテール部の断面図である。
図3】本実施形態のシール構造の製造方法を示すシール構造の部分斜視図であって、(a)は準備工程、(b)は第一層注入工程である。
図4図3に続くシール構造の製造方法を示すシール構造の部分斜視図であって、(a)は第二層注入工程、(b)は脱型工程である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。
本実施形態では、シールドマシンMのテール部のテールシール(シール構造)1の製造方法について説明する(図1参照)。
【0017】
テールシール1は、図1に示すように、スキンプレートSの内面に沿って配設されている。図2に示すように、テールシール1は、ワイヤーブラシ2と、ワイヤーブラシ2を前後から挟むように配設された一対の板バネ3,3とを備えている。
【0018】
ワイヤーブラシ2は、細鋼線を束ねて形成されており、スキンプレートSの内面に沿って環状(無端状)に形成されている。
なお、ワイヤーブラシ2の形状は、円形に限定されるものではなく、例えば矩形に形成するなど、シールドマシンMの形状に応じて適宜設定すればよい。
【0019】
図2に示すように、本実施形態では、軸方向に沿って3段のテールシール1,1,1が配設されている。最後尾(図において右側)に配設されたテールシール1には、ワイヤーブラシ2全体に発泡樹脂が充填されており、中間に配設されたテールシール1には後側(外側)の半分のみに発砲樹脂が充填されている。最前(図において左側)に配設されたテールシール1には、発泡樹脂は注入されていない。
なお、テールシール1の段数は限定されるものではない。また、発泡樹脂の充填方法も限定されるものではなく、例えば、3段全てのテールシール1,1,1に発泡樹脂が充填されていてもよいし、最後尾のテールシール1のみに充填されていてもよい。また、発砲樹脂は、ワイヤーブラシ2全体に充填されていてもよいし、部分的に充填されていてもよい。
【0020】
本実施形態のテールシールの製造方法は、準備工程と、第一配管工程と、第一層注入工程と、第二配管工程と、第二層注入工程と、補足注入工程と、脱型工程とを備えている。
【0021】
準備工程は、シールドマシンMのテール部にワイヤーブラシ2を組み立てた後、このワイヤーブラシ2に型枠を設置する工程である。
【0022】
準備工程では、まず、ワイヤーブラシ2内に、水分、ゴミ、油脂等の有無を確認する。水分、ゴミ、油脂等が確認された場合には、除去する。
また、板バネ3,3の表面の汚れ(油脂の付着等)を確認する。型枠(図3の(a)参照)の設置に支障をきたす汚れが確認された場合は除去する。
【0023】
型枠の設置は、図3の(a)に示すように、板バネ3,3により挟まれたワイヤーブラシ2を透明シート4により覆うことにより行う。透明シート4の両端部は、それぞれ前後の板バネ3,3に固定する。ここで、ワイヤーブラシ2の後側(外側)の半分のみ(部分的)に発泡樹脂を充填する場合には(図2の中間のテールシール1)、ワイヤーブラシ2内にある鉄板2aと板バネ3に透明シート4の両端部を固定する。
【0024】
なお、型枠を構成する材料は、必ずしも透明である必要はない。また、シートとして、シール状や粘着テープ状のものを採用し、これをワイヤーブラシ2に接着すれば、型枠の設置作業を簡易に行うことができる。
【0025】
また、準備工程では、発泡樹脂用混合液の発泡試験を行い、発泡樹脂用混合液の配合を決定しておく。
【0026】
発泡樹脂用混合液の配合は、発泡倍率が6倍〜7倍の範囲内となるように設定する。
また、本実施形態では、発泡樹脂用混合液の撹拌開始から発泡が始まるまでの時間(クリームタイム)が約15秒、撹拌開始から発泡が落ち着くまでの時間(ライズタイム)が約1分30秒、撹拌開始から指で触れる程度の硬さになるまでの時間(タックフリー)が約2分30秒の発泡性状を有した配合とする。
【0027】
発泡試験は3回実施するものとする。発砲樹脂用混合液の製造は、A液とC液とを予め撹拌したものに、B液を混練・撹拌することにより行う。
【0028】
発泡試験の結果、3回の平均値が上記の目標値と異なる場合には、配合の確認、撹拌時間の増減などを行う。
【0029】
第一配管工程は、図3の(b)に示すように、透明シート4を貫通する注入パイプ5を配管する工程である。
第一配管工程では、まず、透明シート4に、マーキングを行う。マーキングの間隔(注入間隔)は限定されるものではなく、ワイヤーブラシ2の周方向全体に発泡樹脂を注入することが可能な間隔とする。
【0030】
次に、マーキング位置において、透明シート4に穴をあける。本実施形態では、図示しない注入パイプ設置棒を用いて穴をあけるが、穴の形成方法は限定されない。
【0031】
透明シート4に穴をあけたら、注入パイプ5の設置深さを注入パイプ設置棒により確認し、この結果に基いて、注入パイプ5に設置深さのマーキングを行う。
【0032】
次に、注入パイプ設置棒を用いて、所定の設置深さまで注入パイプ5をワイヤーブラシ2内に挿し込む。注入パイプ5を所定の深さまで挿し込んだら、注入パイプ設置棒のみをワイヤーブラシ2から抜き出して注入パイプ5の設置が完了する。注入パイプ5は、ワイヤーブラシ2の周方向に対して所定の間隔をあけて複数本配設する。
【0033】
第一層注入工程は、ワイヤーブラシ2に第一樹脂層6を形成する工程である。
第一樹脂層6は、各注入パイプ5から発泡樹脂用混合液を注入して、ワイヤーブラシ2の全周にわたって発泡樹脂用混合液を浸透させる。
【0034】
発泡樹脂用混合液の準備は、まず、A液とC液を撹拌してAC混合液を形成しておく。AC液の配合は、発泡試験の結果に応じて適宜決定すればよい。
【0035】
次に、AC混合液に、B液を投入して、撹拌機にて撹拌して、発泡樹脂用混合液を作成する。
B液がAC混合液と反応することで、発泡樹脂用混合液が発泡する。発泡樹脂用混合液の配合は、発泡試験の結果に応じて適宜決定すればよい。
【0036】
続いて、発泡樹脂用混合液をエアガン用のカートリッジ(図示省略)に投入し、このカートリッジをエアガン(図示省略)にセットする。
【0037】
エアガンにカートリッジをセットし、エアガンを注入パイプ5に接続したら、エアガンを起動し、注入パイプ5の先端からワイヤーブラシ2内に発泡樹脂用混合液を注入する。本実施形態では、ワイヤーブラシ2の高さ方向の中間部まで発泡樹脂用混合液を注入する。なお、発泡樹脂用混合液の注入深さは限定されない。
発泡樹脂用混合液の注入後、注入パイプ5を引き抜く。
【0038】
第二配管工程は、図4の(a)に示すように、ワイヤーブラシ2の未充填箇所に対して発泡樹脂用混合液を注入するための注入パイプ5を配管する工程である。
【0039】
第二配管工程では、まず、第一層注入工程において注入された発泡樹脂用混合液がゲル化したことを確認した後、充填範囲の確認を行う。充填範囲の確認は、注入パイプ設置棒による深針、目視および触診により行う。
触診は、充填材(発泡樹脂用混合液)が発熱している間に板バネ3,3を触診する。充填範囲の確認結果は、板バネ3,3に記入しておく。
【0040】
充填範囲の確認を行ったら、未充填範囲に対する注入量および注入位置の確認を行う。
続いて、透明シート4に、所定の注入間隔によるマーキングを行う。注入間隔は限定されるものではないが、第一配管工程における注入パイプ5の配置と千鳥配置となるように設定する。
【0041】
次に、マーキング位置において、透明シート4に穴をあける。本実施形態では、注入パイプ設置棒を用いて穴をあけるが、穴の形成方法は限定されない。
【0042】
透明シート4に穴をあけたら、注入パイプ5の設置深さを注入パイプ設置棒により確認し、この結果に基いて、注入パイプ5に設置深さのマーキングを行う。
【0043】
次に、注入パイプ設置棒を用いて、所定の設置深さまで注入パイプ5をワイヤーブラシ2内に挿し込む。注入パイプ5を所定の深さまで挿し込んだら、注入パイプ設置棒のみをワイヤーブラシ2から抜き出して注入パイプ5の設置が完了する。
【0044】
第二層注入工程は、注入第二樹脂層2を形成する工程である。
第二樹脂層7は、第一樹脂層6が形成されたワイヤーブラシ2の残りの部分に注入パイプ5から発泡樹脂用混合液を全周にわたって注入することで形成する。
【0045】
発泡樹脂用混合液の準備および注入方法は、第一層注入工程で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0046】
補足注入工程は、発泡樹脂用混合液の未充填箇所に対して発泡樹脂用混合液を注入する工程である。
なお、補足注入工程は、必要に応じて実施すればよく、発泡樹脂用混合液の未充填箇所が確認されなかった場合には、省略してもよい。
【0047】
補足注入工程では、まず、第二層注入工程において注入された発泡樹脂用混合液がゲル化したことを確認した後、未充填箇所(補足注入範囲)の確認を行う。未充填箇所の確認は、注入パイプ設置棒による深針、目視および触診により行う。
【0048】
未充填箇所が確認されたら、1箇所当りの注入量や、注入回数等を算出し、発泡樹脂用混合液の配合量を決定する。
また、未充填箇所に対応して透明シート4に穴をあける。
【0049】
次に、未充填箇所に対して、発泡樹脂用混合液を注入する。発泡樹脂用混合液の準備方法は、第一層注入工程で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0050】
本実施形態では、カートリッジの先端部に切り込みを入れ、この切り込みを未充填箇所に押し当てた状態で、カートリッジに投入された発泡樹脂用混合液をカートリッジの後端から押圧することで、未充填箇所に注入する。
【0051】
補足注入工程が終了したら、カートリッジを引き抜き、透明シート4の穴を塞ぐ。
【0052】
脱型工程は、図4の(b)示すように、透明シート4をワイヤーブラシ2から取り外して、脱型する工程である。
【0053】
透明シート4は、発泡樹脂用混合液の養生後に取り外す。
透明シートを撤去したら、ケレン棒等を用いて、バネ板3と充填材との縁を切る。
【0054】
脱型後、再度未充填箇所の確認を行い、未充填箇所が発見された場合は、再度補足注入工程を実施する。
【0055】
以上の通り、本実施形態のシール構造の製造方法によれば、第一樹脂層6および第二樹脂層7が周方向に連続して形成されているため、トンネル軸方向に沿った継目が形成されることがなく、止水性に優れている。
【0056】
また、ワイヤーブラシ2は発泡樹脂により充填されているため、ワイヤーブラシ2内に裏込め材などが入り込むことがなく、耐久性に優れている。また、発泡樹脂は、水中や気中の環境下においても体積変化がほとんどなく、変質もしないため、テールシールの機能を長期間にわたり持続する。
【0057】
また、ワイヤーブラシ2は、柔軟性にも優れているため、急曲線施工時等におけるクリアランスの変化にも対応する。
【0058】
本実施形態のシール構造の製造方法によれば、発泡樹脂用混合材を、ワイヤーブラシ2の全周にわたって発泡樹脂用混合材を同時に注入するため、シールドマシンを回転させる必要はなく、したがって、大掛かりな設備を要することなく、簡易にテールシール1を形成することができる。そのため、作業性に優れており、シールドマシンMの組立工程を短縮することができる。また、仮設工事費の低減も可能である。
【0059】
発泡樹脂用混合液として、早期にゲル化する3液混合タイプを使用しているため、注入方向(上向きや横向き等)にかかわらず、高品質に施工を行うことができる。
【0060】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記の実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0061】
例えば、前記実施形態では、シールドマシンのテールシールについて、本発明のシール構造の製造方法を採用する場合について説明したが、シール構造の製造方法は、例えばエントランスシールを形成する場合に採用してもよく、その適用箇所は限定されるものではない。
【0062】
発泡樹脂用混合材の注入にエアガンを使用したが、発泡樹脂用混合材の注入時に使用する装置は限定されるものではない。
【0063】
発泡樹脂用混合材として使用する材料は、3液混合タイプに限定されるものではなく、例えば、2液混合タイプでもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 テールシール(シール構造)
2 ワイヤーブラシ
3 バネ板
4 透明シート(シート)
5 注入パイプ
6 第一樹脂層
7 第二樹脂層
M シールドマシン
図1
図2
図3
図4