(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
処理槽内の中心に該処理槽の底面に垂直に回転軸を設け、前記回転軸が上下方向に貫通する、上部及び下部が開口した通気筒を、前記回転軸に固定して前記処理槽内の中央部に設置すると共に、前記回転軸に、前記通気筒の内径より長い攪拌羽根を固定し、前記通気筒の貫通孔の一部を塞ぐ攪拌羽根のうち最下段に位置する攪拌羽根の回転方向前方部分の貫通孔の一部を塞ぎ、被攪拌物の前記通気筒内部への進入を防止するための蓋体を前記攪拌羽根から延設したことを特徴とする生ごみ処理装置。
処理槽内の中心に該処理槽の底面に垂直に回転軸を設け、前記回転軸が上下方向に貫通する、上部及び下部が開口した通気筒を、前記回転軸に固定して前記処理槽内の中央部に設置すると共に、前記回転軸に攪拌羽根を固定し、前記通気筒の下端開口の一部を塞ぐ攪拌羽根の回転方向前方部分の下端開口の一部を塞ぐ蓋体を前記攪拌羽根から延設したことを特徴とする請求項1に記載の生ごみ処理装置。
処理槽内の中心に該処理槽の底面に垂直に回転軸を設け、前記回転軸が上下方向に貫通する、上部及び下部が開口した通気筒を、前記回転軸に固定して前記処理槽内の中央部に設置すると共に、前記回転軸に攪拌羽根を固定し、前記通気筒の貫通孔の中間部の一部を塞ぐ攪拌羽根の回転方向前方部分の貫通孔の中間部の一部を塞ぐ蓋体を前記攪拌羽根から延設したことを特徴とする請求項1に記載の生ごみ処理装置。
前記蓋体は、攪拌羽根から攪拌羽根の回転方向へ45〜120°前方部分を塞ぐ蓋体であることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載の生ごみ処理装置。
【背景技術】
【0002】
従来から商業飲食施設、学校等の給食室、家庭等から排出される生ごみは焼却施設で焼却処理されている。しかし、これらの生ごみは大量であり、しかも水分を多量に含んでいるために、焼却施設から排出される有害物質を増加させ、焼却施設の寿命を短くする等の弊害が指摘されてきた。そこで、生ごみが発生する現場で生ごみを乾燥、分解して処理する生ごみ処理装置が用いられるようになってきた。
【0003】
この生ごみ処理装置には大別して乾燥型と分解型があり、乾燥型は生ごみが含有する水分を除去してごみの減量化を図るものであり、分解型は微生物を利用して生ごみを生分解するものである。分解型の生ごみ処理装置は、処理槽内に生ごみ、微生物及び水分調整剤或いは微生物担体等(以下単に「被攪拌物」ということがある。)及び微生物の生存並びに酸化分解に必要な酸素を投入し、処理槽内に設けた攪拌羽根を回転させて被攪拌物を攪拌して生ごみの分解を促進している。
【0004】
しかし、従来の生ごみ処理装置は、充分な量の酸素を被攪拌物に供給することが出来ないために、微生物の酸素呼吸による生ごみの酸化分解が充分に促進されず、更にそのため腐敗臭を発生させるといった問題点があった。
【0005】
そこで、処理槽内の中心に垂直方向に回転軸を設け、処理槽内の中央部に上部及び下部が開口した通気筒を該回転軸に固定して設置すると共に、該回転軸に攪拌羽根を固定した生ごみ処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この生ごみ処理装置は、通気筒の上部開口から取り入れた空気(酸素)を、堆積した被攪拌物の下層で開口する通気筒の下部開口を介して通気筒外部の被攪拌物に供給して、微生物による生ごみの分解を促進させる装置であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記の生ごみ処理装置では、攪拌羽根及び通気筒の回転に従って、通気筒の下部開口から通気筒の内部に被攪拌物が進入し、通気筒の下部開口を塞いでしまう現象が生じる場合があり、この場合、従来の通気筒が設けられていない生ごみ処理装置と比較すれば酸素の供給量を増加させることが出来るものの、下部開口から通気筒外部の被攪拌物に新鮮な酸素を充分に供給することが出来ず、微生物の酸素呼吸による生ごみの酸化分解が充分に促進されず、更にそのため腐敗臭を発生させるといった問題点が充分には解決されていなかった。
【0008】
そこで、本発明は上記従来技術の問題点を解決し、被攪拌物、微生物に充分な量の酸素を供給して微生物の酸素呼吸による生ごみの酸化分解を促進させることにより、生ごみの処理期間の短縮及び処理能力の増加を図り、生ごみ処理の効率化を図ることを目的の1つとし、又、生ごみ処理における腐敗臭の発生を防止することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段は、処理槽内の中心に該処理槽の底面に垂直に回転軸を設け、前記回転軸が上下方向に貫通する、上部及び下部が開口した通気筒を、前記回転軸に固定して前記処理槽内の中央部に設置すると共に、前記回転軸に攪拌羽根を固定し、前記通気筒の貫通孔の一部を塞ぐ攪拌羽根のうち最下段に位置する攪拌羽根の回転方向前方部分の貫通孔の一部を塞ぐ蓋体を前記攪拌羽根から延設したことを特徴とする生ごみ処理装置である。
【0010】
又、上記生ごみ処理装置において、処理槽内の中心に該処理槽の底面に垂直に回転軸を設け、前記回転軸が上下方向に貫通する、上部及び下部が開口した通気筒を、前記回転軸に固定して前記処理槽内の中央部に設置すると共に、前記回転軸に攪拌羽根を固定し、前記通気筒の下端開口の一部を塞ぐ攪拌羽根の回転方向前方部分の下端開口の一部を塞ぐ蓋体を前記攪拌羽根から延設したことを特徴とする生ごみ処理装置である。
【0011】
又、上記生ごみ処理装置において、処理槽内の中心に該処理槽の底面に垂直に回転軸を設け、前記回転軸が上下方向に貫通する、上部及び下部が開口した通気筒を、前記回転軸に固定して前記処理槽内の中央部に設置すると共に、前記回転軸に攪拌羽根を固定し、前記通気筒の貫通孔の中間部の一部を塞ぐ攪拌羽根の回転方向前方部分の貫通孔の中間部の一部を塞ぐ蓋体を前記攪拌羽根から延設したことを特徴とする生ごみ処理装置である。
【0012】
又、上記生ごみ処理装置において、前記蓋体は、攪拌羽根から攪拌羽根の回転方向へ45〜120°前方部分を塞ぐ蓋体であることを特徴とする生ごみ処理装置である。
【0013】
又、上記生ごみ処理装置において、前記蓋体は、攪拌羽根から攪拌羽根の回転方向へ90°前方部分を塞ぐ蓋体であることを特徴とする生ごみ処理装置である。
【0014】
又、上記生ごみ処理装置において、処理槽内を正圧としたことを特徴とする生ごみ処理装置である。
【発明の効果】
【0015】
以上のような本発明によれば、通気筒の下端開口から通気筒の内部に被攪拌物が進入し、通気筒の下端開口を塞いでしまうことを防止出来るので、被攪拌物の上表面のみならず、深部へ直接酸素を供給可能で、微生物に充分な量の酸素を供給することが可能となり、微生物の酸素呼吸による生ごみの酸化分解を促進させることが出来、ひいては生ごみの処理期間の短縮、処理能力の増加を図り、生ごみ処理の効率化を図ることが可能となった。又、生ごみ処理における腐敗臭の発生を防止することが可能となった。
【0016】
更に、処理槽内を正圧としたので、被攪拌物の上表面及び深部から内部へ酸素を透過させることが出来、被攪拌物の内部にも充分な量の酸素を供給することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本発明を図に従って説明する。
図1に示すように、生ごみ処理装置1は処理槽2、処理槽2内の中心に垂直方向に配設された回転軸3、通気筒4、攪拌羽根5を備えて構成され、更に、固定刃7及び粉砕刃61、62を備えた構成としてもよい。
【0019】
処理槽2は、処理槽2内の生ごみ、微生物及び水分調整剤或いは微生物担体等で構成される被攪拌物100を攪拌し、生ごみを処理するための槽であり、上端及び下端が封鎖された円筒状であり、ステンレス等の腐食しにくい材質を用いて成形している。
【0020】
処理槽2の上端を塞ぐ上板21には給気口12と図示しない槽排気口が設けられ、上板21の上面に処理槽2内に空気を送る給気ファン11が設置され、給気ファン11の送風口111を給気口12に挿入して、給気ファン11により酸素を含む処理槽2外の空気を給気口12から処理槽2内へ送る構成としている。又、処理槽2内の空気は槽排気口から図示しない脱臭器へ移動し、脱臭器内に設置した防塵フィルターやゼオライト等の吸着剤含有フィルターを通過して排気口から生ごみ処理装置1外へ排出される。槽排気出口の開口は調節自在とし、或いは調節不可として、槽排気出口の大きさを少なくとも給気口12の大きさ以下に設定する。更に、給気ファン11による給気量の調整、脱臭器の設置をすることで、処理槽2内の空気圧を正圧の状態に維持することが可能となり、空気が被攪拌物100の表面から内部へ強制的に透過され、微生物に酸素を充分に供給可能となり、微生物の酸素呼吸による酸化分解が促進される。又、負圧とすると、給気ファンが硫化水素により錆び易く、寿命が短いが、正圧とすることで、硫化水素の影響が少なく、寿命が長くなり、経済的でもある。
【0021】
又、図示はしないが、処理槽2の上板21には生ごみ等の投入口が設けられ、回動自在に枢支された蓋により開閉自在としている。尚、通気筒4内へ被攪拌物100が投入されるのを防止するために、投入口は通気筒4の真上を避けて設けている。更に、処理槽2の中間部又は/及び下部には被攪拌物100の取出し口を設け、回動自在に枢支された蓋により開閉自在としている。処理槽2の上板21上には変速機等が載置されるので、上板21の上面には補強梁144を設けている。
【0022】
処理槽2の中心には、処理槽2の底面23に垂直な回転軸3を設けている。回転軸3は処理槽2の底部22に設けられたベアリング91及び処理槽2の上部に設けられたベアリング92で軸支されている。回転軸3は処理槽2の上板21に設けた貫通孔211を貫通し、該貫通孔211と回転軸3との隙間はシーリング部材(図示せず)によりシールして処理槽2の気密性を確保している。尚、図示はしないが、処理槽2の上板21上に設置された収納箱90内において、回転軸3の上端はチェーンカップリングにより変速機の軸と連結し、更に、変速機が動力源たるモータと連結し、モータの回転により回転軸3が回転する構成としている。又、処理槽2の上板21上には、制御装置、モータや給気ファン11等の操作スイッチ等を備える操作盤が設けられている。
【0023】
通気筒4は被攪拌物100に空気、特に酸素を供給するための部材であり、又、その形状によっては、被攪拌物100を攪拌する作用を奏する部材であって、
図1〜
図3に示すように、上部及び下部が開口し、側壁41で上下方向の貫通孔40が形成された横断面形状が正方形の筒状体である。そして、貫通孔40の上端の開口部及び下端の開口部が夫々上端開口42及び下端開口44となり、処理槽2内に給気ファン11を介して送られた空気は、上端開口42から通気筒4内に流入し、下端開口44から通気筒4外へ流出して被攪拌物100へ供給される。
【0024】
通気筒4は、通気筒4の中心に位置する回転軸3が上下方向に貫通孔40を貫通し、詳しくは、回転軸3が通気筒4の内部を通り上端開口42及び下端開口44から突出し、回転軸3から処理槽2の側壁27方向に突出した攪拌羽根5に固定されて、回転軸3に固定されて処理槽2の中央に設置されている。
【0025】
このような構成であるので、通気筒4は回転軸3の回転に伴い同方向に回転する。被攪拌物100が通気筒4の上端開口42から通気筒4の内部に移動することは、下端開口44又は通気筒4の貫通孔40を塞いで、通気筒4の下端開口44からの空気の流出を妨げるために望ましくないので、通気筒4の上端は処理槽2内に投入される被攪拌物100より高い位置に位置することが好ましく、又、処理槽2内に堆積した被攪拌物100の深部へ酸素を供給可能とするために、通気筒4の下端は処理槽2の底面23に出来る限り近いことが望ましい。従って、通気筒4はその上端を処理槽2の上端近傍に位置させると共に、その下端を処理槽2の下端近傍に位置させるような高さを備えて設置することが好ましい。このようにして、通気筒4の内部へは空気は出入するが、上端開口42から被攪拌物100が入らないよう構成する。
【0026】
通気筒4の横断面形状は、
図1〜
図5において図示する実施例のように、攪拌効率がよく、且つモータへの負担が少ない正方形が好ましいが、この形状に限定されず、三角形(
図6(e))、長方形、五角形、星型等の多角形とすること、その他被攪拌物100を攪拌可能な凹凸形状とすることも可能である。又、攪拌機能は低下するが、横断面円形(
図6(d))、楕円形等とすることも可能である。更に、攪拌効率を高めるために、回転軸3を通気筒4の中心から外して偏芯させて通気筒4を設置してもよい。
【0027】
攪拌羽根5は、処理層2内の被攪拌物100を攪拌するための部材であり、一端を回転軸3に固定し、処理槽2の側壁27方向、且つ、回転軸3と直交する方向、即ち水平方向に延設している。攪拌羽根5は、上下方向の位置を変化させて、処理層2の高さ(深さ)に応じて、2段以上の複数段を設けると共に、回転軸3の同じ高さからは、回転軸3から放射状に所定数を設ける。攪拌羽根5は、一具体例として、
図1及び
図2に示すように、4段として、回転軸3の同じ高さからは回転軸3を挟んで反対方向に2本の攪拌羽根5を設け、一段毎に回転軸3の回転方向に90°ずらして設置することが出来る。
【0028】
攪拌羽根5の形状は特に限定されず、平板や棒状体等を用いることが出来るが、攪拌羽根5の強度を高めるため、縦断面L字状のアングルを用いて構成することが好ましい。又、回転軸3との固定箇所から通気筒4との固定箇所までの部分にはより強い圧力がかかるので、攪拌羽根5の強度をより高めるため、
図4及び
図5によく示すように、攪拌羽根5の回転軸3との固定箇所から通気筒4との固定箇所までの部分は、縦断面L字状のアングル59を互い違いにして固定して箱状に構成することが好ましい。
【0029】
攪拌羽根5として縦断面L字状のアングル59を用いる場合、横片501を水平にすると共に、縦片502を横片501の回転方向後端から上方に立設させて構成することが出来る。そして、このような構成とすることで、攪拌羽根5の回転により、縦片502によって被攪拌物100を上方へ移動させ易くなり、攪拌効率を上げることが可能となる。
【0030】
最下段に設ける攪拌羽根51は処理槽2の底面23と平行に、回転軸3を中心として180°の角度を持たせて2本設置している。
図1、
図4及び
図5に示すように、攪拌羽根51の上端が通気筒4の下端と当接して、攪拌羽根51上には通気筒4が載置され、2〜4段目の攪拌羽根5は、通気筒4の側壁41に形成された側面孔49に嵌合して貫通し、夫々溶接により固定されている。従って、通気筒4の貫通孔40、ここでは下端開口44、の一部は攪拌羽根51により塞がれている。尚、攪拌羽根51の上端が通気筒4の下端と当接する構成ではなく、攪拌羽根51が通気筒4の側壁41の下端部を貫通しつつ下端開口44の一部を塞ぐ構成としてもよい。
【0031】
そして、攪拌羽根51の回転方向前方部分の下端開口44の一部を塞ぐ蓋体47を攪拌羽根51から延設して、下端開口44の一部は開口させたまま、下端開口44の一部を蓋体47で塞いでいる。具体的には、
図4、
図5及び
図6(a)によく示すように、攪拌羽根51の上面から、下端開口44の攪拌羽根51の回転方向前方部分を、攪拌羽根51から攪拌羽根51の回転方向へ90°の前方部分を略長方形の蓋体47で塞いでいる。蓋体47は、通気筒4内で、攪拌羽根51の回転方向前側端部の全幅から延設され、蓋体47の一端部を攪拌羽根51を構成するアングル59の横片501の上面に載置され、蓋体47の一辺のみが下端開口44に面すると共に、他の二辺は通気筒4に接して固定されている。そして、回転軸3の周りを、蓋体47で塞がれた部分と開口部441が交互に位置した構成となっている。尚、回転軸3、通気筒4及び攪拌羽根5の回転方向は、図中矢印Gで示している。
【0032】
このような構成とすることで、回転する攪拌羽根51の押圧により上方へ移動しようとする被攪拌物100が下端開口44から通気筒4内部に進入し、下端開口44を塞ぐと共に通気筒4内に堆積して、上端開口42からの空気を通気筒4外の被攪拌物100の下層に送ることが出来なくなることを防止し、通気筒4を介して被攪拌物100の下層に充分な空気及び酸素を送ることが出来る。
【0033】
蓋体47で塞ぐ下端開口44の攪拌羽根51の回転方向前方部分の量は、下端開口44の総てが塞がれずに、開口部441が構成されていれば、特に限定されないが、被攪拌物100の通気筒4内部への進入を確実に防止すると同時に被攪拌物100の下層に充分な空気及び酸素を確実に送るために、面積であれば、下端開口44の40〜60%程度が好ましく、より好ましくは50%であり、又、攪拌羽根5の回転方向への角度で示せば、攪拌羽根51から45〜120°程度の前方部分を塞ぐことが好ましく、90°がより好ましい。
【0034】
尚、蓋体47は平板を処理槽2の底面23と水平に設置して構成しているが、平板を攪拌羽根51の回転方向前方に向かって上方に傾斜させて構成し、或いは回転方向前方に向かって上方に湾曲或いは屈曲して延びる部分を備える板体で構成してもよい。又、蓋体47は板体に限定されずブロック体等任意の形状を使用することが出来る。
【0035】
又、蓋体47の一端が攪拌羽根51の上面に載置された構成でもよいが、攪拌羽根51の羽根の側面に固定された構成でもよい。更に、蓋体47の一辺のみが下端開口44に面すると共に、他の辺は攪拌羽根51又は通気筒4に接して固定される構成に限定されず、後述するように、蓋体47の二辺が下端開口44に面した構成とすることも出来る。
【0036】
又、
図1に示すように、攪拌羽根51の下端、即ち横片510の裏面511には下方へ突出する四角柱形状の粉砕刃61を所定の間隔で複数設けている。攪拌羽根51は粉砕刃61の下端が処理槽2の底面23に接触しない程度に底面23に近接する位置に固定している。
【0037】
一方、
図1及び
図2に示すように、処理槽2の底面23には、上方へ突出する四角柱形状の複数の粉砕刃62,62…を、処理槽2の底面23の中心から内側面24方向へ放射状に固定し、夫々60°間隔で6列設けている。1列毎の粉砕刃62,62…は等間隔で固定され、この間隔は攪拌羽根5の粉砕刃61,61…の間隔と同一としている。粉砕刃62,62…と粉砕刃61,61…は夫々回転軸3を中心とする異なった円周上に固定され、列毎の粉砕刃62,62…間には粉砕刃61,61…が円軌道で通過するので、粉砕刃62,62…間及び粉砕刃61,61…間は夫々粉砕刃61、62の横幅より広く設けている。尚、粉砕刃62,62…及び粉砕刃61,61…は互いに回転軸3を中心とする異なった円周上に固定されていれば、列状や等間隔に設けずに、設置位置の変更が可能である。
【0038】
処理槽2の内側面24には、側面視で、複数段に設けられた攪拌羽根5の間に位置し、回転軸3方向へ水平に延びる固定刃7を所定数固定している。即ち、固定刃7は、底面23に対するその傾斜角度を攪拌羽根5の傾斜角度と同一にして設置している。又、固定刃7は攪拌羽根5に対応させ、攪拌羽根5と平行且つ摺接するよう或いは所定の間隔を設けて設置している。固定刃7は、固定刃7と攪拌羽根5の間に生ごみを挟み、粉砕するための部材である。固定刃7の形状は特に限定されず、平板や棒状体等を用いることが出来るが、強度を高めるため、縦断面L字状のアングルを用いて構成することが好ましい。
【0039】
固定刃7は、図示する実施例においては、3段設け、最下段の一段目には回転軸3を中心として夫々120°の間隔で3本の固定刃7を設け、二段目には回転軸3を中心として180°の間隔で2本の固定刃7を設け、最上段の三段目には回転軸3を中心として夫々120°の間隔で3本の固定刃7を設けて設置しているが、固定刃7の設置数、設置間隔及び設置段数は特に限定されず、同一高さにおける設置数は1本でもよいが、複数本でもよい。又、固定刃7を異なる高さで複数段設ける場合には、段毎に設置数、設置位置が同一でもよいが、異ならせることとしてもよい。
【0040】
攪拌羽根5は被攪拌物100に埋没し、被攪拌物100の重み圧力により下方へ押圧される等して下方への湾曲、歪みが生じやすい。そこで、図示はしないが、処理槽2の内側面24の全周に渡って、内側面24から回転軸3方向へ、底面23と平行に突出させた支持突起を設け、攪拌羽根5の先端を載置して、支持させて、攪拌羽根5の湾曲、歪みを防止することが好ましい。尚、総ての段の攪拌羽根5を支持突起で支持するのではなく、所定の段の攪拌羽根5、例えば最下段の攪拌羽根51、のみを支持する構成としてもよい。
【0041】
次に生ごみ処理装置1の使用、動作について説明する。先ず、通気筒4内を除く処理槽2内へ投入口から新聞紙を細かく裁断したものやおがくず等の水分調整材、菌類を含む微生物及び生ごみを投入する。この際被攪拌物100は通気筒4の上端に達しない量のみを投入する。次に操作盤を操作して、図示しない電源から電力を得て動力源たるモータを作動させることにより変速機を介して回転軸3を回転させ、通気筒4、攪拌羽根5を回転させる。同時に給気ファン11を作動させ、空気を処理槽2内へ送り込む。
【0042】
槽排気出口の開口の調整等により風速抵抗が生じ、処理槽2内から排出される空気より処理槽2内へ送られる空気の量を多くし、処理槽2内を正圧状態を保つ。これにより、処理槽2内の空気は、被攪拌物100の上部表面から内部へ浸透すると共に、上端開口42から通気筒4内を通り、下端開口44を介して被攪拌物100の深部から内部へ浸透し、被攪拌物100へ充分に酸素を供給する。
【0043】
被攪拌物100は攪拌羽根5の縦片502により上方向に押し上げられ、攪拌羽根5の遠心力で処理槽2の中心部から内側面24方向へ移動し、内側面24に当たって上方へ移動し、崩れて通気筒4にぶつかり、通気筒4の角部分で内側面24方向へ送り出されることを繰り返して攪拌される。攪拌中にも通気筒4の内部へは被攪拌物100は入らない。このようにして、生ごみと微生物の攪拌が効率よく行われ、処理槽2内が正圧のため被攪拌物100へ通気筒4からも酸素が充分に供給され、生ごみ分解微生物により酸化分解が促進される。通常、攪拌羽根5は回転と停止を所定間隔で繰り返して行うが、攪拌羽根5の停止中にも処理槽2内への送風は行うことが望ましい。
【0044】
尚、攪拌中に生ごみ中の骨、貝殻、割り箸等硬い固形物及び柔らかい固形物は最下段の攪拌羽根51の粉砕刃61,61…が粉砕刃62,62…間に櫛刃状態でかみ合わさるその間に挟まれることにより、更に、攪拌羽根5の横片501の先端と固定刃7の間に挟まれることにより粉砕される。又、処理槽2内の空気は、槽排気出口から脱臭器へ移動し、脱臭器内に設置した防塵フィルターやゼオライト等の吸着剤含有フィルターを通過して脱臭、集塵されて、無臭、無粉塵となった空気が排気口から生ごみ処理装置1外へ排出される。
【0045】
攪拌羽根の実施形態として上記以外の形態も採用可能である。例えば、水平方向に設けるのではなく、回転軸3から斜め上方に延ばしたり、斜め下方に延ばして、処理槽2の底面23に対する角度に変化をもたせることとしてもよい。このような場合、固定刃は、底面23に対する傾斜角度を攪拌羽根の傾斜角度と同一に構成する。
【0046】
又、回転軸3の同じ高さからは、1本又は3本以上の攪拌羽根を延設してもよい。更に、攪拌羽根を回転軸3の同じ高さから複数本設ける場合に、同一間隔で設けてもよいが、異なる間隔で設けてもよい。又、攪拌羽根を複数段設ける場合に、一段毎に回転軸3の回転方向にずらさないで構成してもよく、又、90°以外の角度でずらして構成してもよい。更に、複数段設ける場合に、段毎に設置本数が異なっていてもよい。
【0047】
蓋体47、最下段に設ける攪拌羽根51を含む通気筒4の下部の実施例として、
図6(a)に示すように、回転軸3を中心として180°の角度で設置された2本の攪拌羽根51上に横断面形状が正方形の通気筒4の対向する側壁41の下端中央が載置され、攪拌羽根51の上面から、下端開口44の攪拌羽根51の回転方向前方部分を、攪拌羽根51から攪拌羽根51の回転方向への角度Zが90°の前方部分を略長方形の蓋体47で塞ぐ上述の構成の他に、
図6及び
図7に示す以下のような構成としてもよい。
【0048】
回転軸3を中心として180°の角度で設置された2本の攪拌羽根51上に通気筒4が載置され、攪拌羽根51の上面から、下端開口44の攪拌羽根51の回転方向前方部分を、攪拌羽根51から攪拌羽根51の回転方向へZで示す角度90°の前方部分を蓋体47で塞ぐ構成とすると共に、例えば、攪拌羽根51上に横断面形状が正方形の通気筒4の対向する角隅部が載置され、言い換えれば、通気筒4の対角線上に攪拌羽根51を位置させ、略三角形の蓋体47で塞ぐ構成(
図6(b))や、攪拌羽根51上に横断面形状が正方形の通気筒4の対向する側壁41の端部下端が載置され、略四角形の蓋体47で塞ぐ構成(
図6(c))や、攪拌羽根51上に横断面形状が円形の通気筒4の側壁41の対向する下端が載置され、言い換えれば、通気筒4の直径上に攪拌羽根51を位置させ、略扇形の蓋体47で塞ぐ構成(
図6(d))や、攪拌羽根51上に横断面形状が三角形の通気筒4が載置され、略直角三角形の蓋体47で塞ぐ構成(
図6(e))、攪拌羽根51上に横断面形状が正方形の通気筒4の対向する側壁41の下端中央が載置され、略台形の蓋体47で塞ぐ構成(
図6(f))とすることが出来る。
【0049】
図6に示す実施例では蓋体47の一端を攪拌羽根51の上面に載置しているが、
図7に示す実施例では蓋体47の一端を攪拌羽根51の側面に固定している。又、
図6に示す実施例では蓋体47の直線状の一辺のみが下端開口44に面する一方、他の辺は攪拌羽根51又は通気筒4の内壁面に接しているが、
図7に示す実施例では蓋体47の直線状の二辺又は曲線状の一辺が下端開口44に面している。
【0050】
そして、例えば、長方形の蓋体47を用い、直線状の二辺が下端開口44に面し、他の一辺が通気筒4の内側面に当接した構成(
図7(a))や、略扇状の蓋体47を用い、曲線状の一辺が下端開口44に面した構成(
図7(b))や、三角形の蓋体47を用い、直線状の二辺が下端開口44に面し、蓋体47を挟んで開口部441が形成された構成(
図7(c))や、略扇状の蓋体47を用い、曲線状の一辺が下端開口44に面し蓋体47を挟んで開口部441が形成された構成(
図7(d))とすることが出来る。
【0051】
又、回転軸3を中心として120°の角度で設置された3本の攪拌羽根51上に横断面形状が円形の通気筒4の側壁41の下端が載置され、攪拌羽根51の側面から、下端開口44の攪拌羽根51の回転方向前方部分を、攪拌羽根51から攪拌羽根51の回転方向へ60°の前方部分を略長方形の蓋体47で塞ぐ構成(
図7(e))とすることが出来、更に、これらの構成を部分的に組み替えた構成とすることが出来る。
【0052】
最下段に設ける攪拌羽根51の上端が通気筒4の下端と当接して、攪拌羽根51上に通気筒4が載置されて下端開口44の一部を塞ぐ構成、或いは最下段に設ける攪拌羽根が通気筒4の側壁41の下端部を貫通しつつ下端開口44の一部を塞ぐ構成ではなく、通気筒4と接触して設けられた攪拌羽根のうち最下段に設ける攪拌羽根が下端開口44と離間し、且つ通気筒4の側壁41を貫通する位置に設置されている場合には、通気筒4の下端開口44は攪拌羽根により塞がれることなく完全に開口している一方、最下段の攪拌羽根が通気筒の貫通孔40の一部を中間部において塞いだ構成となる。このような構成の場合、貫通孔40の最下段に位置する攪拌羽根の回転方向前方部分の貫通孔40の中間部の一部を、即ち貫通孔40の一部は開口させたまま、上述のような下端開口44の一部を塞ぐ構成と同様に、蓋体で塞ぐ構成とする。
【0053】
このような構成とすることで、通気筒4の貫通孔40の下端、即ち下端開口44から通気筒4内へ被攪拌物100が進入することは防止出来ないが、最下段に設ける攪拌羽根より上方へ被攪拌物100が進入することを防止することが出来る。