【実施例】
【0011】
図1に示すように、実施例に係るレゾネータ10は、内部に中空の共鳴空間12aを画成した共鳴室12と、この共鳴室12の上部に設けられ、共鳴空間12aに繋がる通路を有する筒状の接続部14とを備え、接続部14の上端部が吸気ダクトなどの接続対象(図示せず)に接続される。実施例のレゾネータ10は、共鳴室12の下側をなす上方に開口する箱状の下半体16と、共鳴室12の上側をなす下方に開口する箱状の上半体18とを、開口縁に延出形成されたフランジ部16a,18bを互いに突き合わせて、爪による係合や接着などで組み付けて構成される。なお、下半体16および上半体18は、射出成形等の合成樹脂の型成形により形成することができる。また、レゾネータ10は、共鳴室12の底部に水抜き孔20が上下方向に貫通形成されると共に、共鳴室12の底部に水抜き孔20を開閉可能な開閉部材30が配設される。水抜き孔20が形成される共鳴室12の底部は、共鳴室12で最下部に位置する部位であり、共鳴室12に入った水が水抜き孔20に集まるようになっている。また、共鳴室12には、矩形状の水抜き孔20の対向する開口縁の間に架け渡すように、丸棒状の軸部22が形成されている(
図3および
図5参照)。ここで、軸部22は、水抜き孔20における長手側の開口縁の間に、短手方向に延在している。
【0012】
前記開閉部材30は、軸部22を介して共鳴室12に対して揺動可能に軸支され、水抜き孔20を塞ぐ閉成姿勢(
図2(a)参照)と、水抜き孔20を開放する開放姿勢(
図2(b)参照)との間で変位するよう構成される。開閉部材30は、合成樹脂などからなる板状部材であり、水抜き孔20の開口形状に合わせて平面視で矩形状の外形形状に形成される(
図3参照)。開閉部材30には、該開閉部材30の短手方向に亘って延在すると共に下方へ開口するよう形成された軸溝32aを有する軸受部32が、長手方向中間部に設けられる(
図5参照)。軸受部32は、軸溝32aの閉塞端が軸部22に合わせて形成される一方、軸溝32aの開放端が軸部22の直径よりも僅かに小さく形成され、軸部22に対して軸溝32aを着脱可能になっている。開閉部材30は、軸部22に軸受部32の軸溝32aを上方(共鳴室12の内側)から嵌め合わせることで、共鳴室12に組み付けられる。そして、実施例の開閉部材30は、閉成姿勢で共鳴室12の底部に揃うように水平に延在し、開放姿勢で共鳴室12の底部と交差するように斜めに傾くように、軸部22を支点として揺動するよう構成される。なお、軸部22または軸受部32は、フッ素樹脂などの摩擦係数が小さい素材をコーティングするなどによって、開閉部材30の姿勢変位を円滑に行い得るようにするとよい。
【0013】
前記開閉部材30は、一方の揺動端部(錘側端部という)34が軸部22を挟む他方の揺動端部(貯水側端部という)36よりも重くなるよう形成され、錘側端部34の重量により閉成姿勢に保持されるようになっている。開閉部材30は、貯水側端部36と比べて錘側端部34が長くなるように揺動支点を設定したり、錘側端部34を肉厚に設定したり、錘を別途配設する等により、軸部22に支持されたもとで錘側端部34側に傾くように力がかけられる。ここで、水抜き孔20における錘側端部34側の開口縁には、段状に下がった規制部24が形成され、この規制部24の上面に開閉部材30の錘側端部34の下面が当接することで、錘側端部34が閉成姿勢から下方変位することが規制される(
図2(a)参照)。
【0014】
図2〜
図5に示すように、開閉部材30の貯水側端部36には、閉成姿勢において共鳴室12から流下する水を受容して、錘側端部34よりも貯水側端部36が重くなる量の水を貯留し得る貯水凹部38が形成されている。貯水凹部38は、貯水側端部36の短手方向に亘って上方に開放した凹溝状に形成され、開閉部材30の閉成姿勢で共鳴室12の底部よりも凹んでいる(
図4参照)。また、貯水凹部38は、長手辺側の開口した両側縁が、開閉部材30の閉成姿勢で水抜き孔20を画成する孔壁で封止され、閉成姿勢で水を溜めることができるようになっている。貯水凹部38には、開閉部材30の閉成姿勢において、錘側端部34と貯水側端部36との差分の重量よりも重い量の水を貯留することができ、貯水凹部38に水を溜めることで、貯水側端部36が錘側端部34より重くなるよう構成される。そして、開閉部材30は、開放姿勢に傾くことで、貯水凹部38から水を排出し得ると共に、開放した水抜き孔20を介して共鳴室12からの排水を許容し得るようになっている。
【0015】
〔実施例の作用〕
次に、実施例に係るレゾネータ10の作用について説明する。開閉部材30は、貯水凹部38に水が溜まっていない、あるいは貯水凹部38に水が溜まっているものの、貯水側端部36の重量が錘側端部34の重量を超えない通常状態において、閉成姿勢を保って水抜き孔20を塞ぐので、共鳴室12が閉じた空間になるよう維持される(
図2(a)参照)。そして、開閉部材30は、貯水凹部38に水が溜まることによって貯水側端部36の重量が錘側端部34の重量を超えると、軸部22を支点として閉成姿勢から開放姿勢に揺動変位する(
図2(b)参照)。これにより、開閉部材30の貯水凹部38が斜めに傾いて、水抜き孔20の孔壁による封止状態が解除されて、貯水凹部38に溜まった水が排出される。開閉部材30は、貯水凹部38に溜まった水がなく(少なく)なって貯水側端部36が錘側端部34より軽くなると、開放姿勢から閉成姿勢に変位して水抜き孔20を塞ぎ、通常状態に戻る(
図2(a)参照)。
【0016】
前記レゾネータ10は、通常状態において開閉部材30で水抜き孔20が塞がれているので、水抜き孔20の存在によって、設計において設定した低減すべき設定周波数から実際に低減する周波数がずれることはなく、設計において狙った通りの騒音の減衰特性が得られる。このように、レゾネータ10は、設計通りの騒音の減衰特性が得られるから、従来例で説明した開放した水抜き孔がある場合のように、共鳴室12の容積を増やす必要はなく、共鳴室12に水が溜まるのを防止しつつ全体を最小限の大きさとし得る。また、レゾネータ10は、水抜き孔20を開閉部材30により閉じることができるので、共鳴室12を水抜き孔20がない閉じた空間としてみなすことができ、設計に際して簡単な周波数計算式で設定周波数を算出することができ、解析によるモデルと実際の製品との減衰周波数のずれを小さくし得る。そして、設計周波数に合わせるために、水抜き孔20の位置などを調節する手間もかからず、型成形によりレゾネータ10を成形する場合は、成形型の修正にかかるコストも抑えることができる。
【0017】
(変更例)
前述した実施例の構成に限定されず、例えば以下のようにも変更可能である。
(1)軸部を開閉部材に設けて、共鳴室に軸受部を設ける構成であってもよい。
(2)開閉部材の外形は、閉成姿勢で水抜き孔を塞ぐことができればよく、例えば円形の水抜き孔に合わせて開閉部材の外形を円形にしてもよい。