(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ロック部材は、ばね板材でなり、前記被係止部は、円周方向の略対称位置の2箇所以上に一体形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシート用ブラケットの角度調整装置。
【背景技術】
【0002】
従来、
図12(a)に示すように、例えば車両用シート1に設けられるシート用ブラケットの角度調整装置がある(特許文献1参照)。
【0003】
このシート用ブラケットの角度調整装置は、シートクッション2に取り付けられる第1ブラケット4と、シートバック3に取り付けられる第2ブラケット5とを備えている。そして、ハンドル31を介して後述する操作軸30が回転操作されることで、第1ブラケット4に対する第2ブラケット5の角度、つまり、シートバック3の前後傾角度が調整されるようになっている。
【0004】
具体的には、
図12(b)(c)に示すように、第1ブラケット4は、外歯歯車32を一体に有し、第2ブラケット5は、外歯歯車32よりも歯数の多い内歯歯車33を一体に有している。
【0005】
また、外歯歯車32の歯車中心には、大径穴部32aが設けられており、内歯歯車33は、歯車中心で、小径部34aおよび大径部34bを有するくさび解除部材34が固定された操作軸30を支持している。さらに、外歯歯車32の大径穴部32aとくさび解除部材34の小径部34aとの間には、外歯歯車32に対して内歯歯車33を偏心させて、外歯歯車32と内歯歯車33とを噛み合わせるための一対のくさび部材35A,35Bが嵌め込まれている。
【0006】
そして、ハンドル31を介して操作軸30が
図12(b)において例えば左回りLに回転操作されると、くさび解除部材34の大径部34bによってくさび部材35Aが押圧操作されて、外歯歯車32に対する内歯歯車33の偏心位置が回転移動する。これにより、外歯歯車32に対する内歯歯車33の噛み合い位置が移動し、第1ブラケット4に対する第2ブラケット5の前倒角度が調整される。
【0007】
逆にハンドル31を介して操作軸30が
図12(b)において例えば右回りRに回転操作されると、くさび解除部材34の大径部34bによってくさび部材35Bが押圧操作されて、外歯歯車32に対する内歯歯車33の偏心位置が回転移動する。これにより、外歯歯車32に対する内歯歯車33の噛み合い位置が移動し、第1ブラケット4に対する第2ブラケット5の後倒角度が調整される。
【0008】
前記のようなシート用ブラケットの角度調整装置においては、一対のくさび部材35A,35Bの間に配設されたばね部材36の付勢力によってくさび部材35A,35Bが大径穴部32aと小径部34aとの間に食い込むようになっている。しかし、シートバック3に負荷が繰り返しかかったり振動が生じたりすると、くさび部材35A,35Bの変位等により操作軸30が少しずつ回転してシートバック3が徐々に後倒れすることがある。
【0009】
これに対して、操作軸30をブレーキドラムで覆い、ブレーキドラムにコイルばねを縮径させながら内嵌するとともに、このコイルばねに操作軸30を係止させることで、シートバック3が徐々に倒れることを抑制できるシート用ブラケットの角度調整装置がある(特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献2のようにブレーキドラムにコイルばねを内嵌する構成では、構造が複雑で部品点数が多くなり、コストも高くなる。
【0012】
本発明は前記のような問題を解消するためになされたもので、きわめて簡単な構造でコスト安に、シートバックが徐々に後倒れすることを抑制できるシート用ブラケットの角度調整装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、本発明は、外歯歯車を有し、シートクッションに取付けられる第1ブラケットと、前記外歯歯車よりも歯数の多い内歯歯車を有し、シートバックに取付けられる第2ブラケットと、前記外歯歯車と前記内歯歯車の一部同士を噛み合わせたときに生じる前記外歯歯車の歯車中心の大径穴部および前記内歯歯車の歯車中心の小径軸部との間の偏心空間に嵌め込む前位置と後位置の一対のくさび部材と、前記一対のくさび部材を食い込み方向に付勢するばね部材と、前記一対のくさび部材の食い込み先端部間に位置する突出部を形成したくさび解除部材とを備えて、手動用ハンドルの操作軸による前記くさび解除部材の回転操作で、前記くさび解除部材の突出部により前記一対のくさび部材をばね部材とともに前記偏心空間で緩み方向に周回させることで前記大径穴部に対して小径軸部を偏心運動させながら、前記外歯歯車に対する前記内歯歯車の噛み合わせ位置を変えて、第1ブラケットに対する第2ブラケットの角度を調整するようにしたシート用ブラケットの角度調整装置において、第1ブラケット側に、前記操作軸と同心に、円周上略等角度間隔で係止凹部が形成され、前記操作軸の端部は、前記手動用ハンドルの係合凹部に、前記係止凹部の少なくとも1ピッチ分の回転方向の遊びを有して係合され、前記操作軸に、前記係止凹部のいずれかに嵌り込み可能な被係止部を有するロック部材が一体に取付けられ、前記手動用ハンドルに、前記回転方向の遊びの範囲内で前記ロック部材の被係止部を前記係止凹部から抜き出し可能なカム面部が設けられていることを特徴とするシート用ブラケットの角度調整装置を提供するものである。
【0014】
本発明によれば、シートバックに負荷が繰り返しかかったり振動が生じたりすると、くさび部材の変位等により操作軸が少しずつ回転してシートバックが徐々に後倒れしようとする。ここで、操作軸が回転し始めると、操作軸と一体のロック部材も同時に回転されて、ロック部材の被係止部は、回転方向の最も近い位置にある第1ブラケット側の係止凹部に嵌まり込む。これにより、操作軸はそれ以上に回転できなくなるから、シートバックが徐々に後倒れすることを抑制できるようになる。
【0015】
一方、手動用ハンドルで操作軸を回転操作して、第1ブラケットに対する第2ブラケットの角度を調整する際には、先ず、ハンドルの係合凹部の回転方向の遊びの範囲内で、カム面部により、ロック部材の被係止部が係止凹部から抜き出されるようになる。これにより、操作軸は回転できるようになるから、第1ブラケットに対する第2ブラケットの角度を調整できるようになる。
【0016】
したがって、ハンドルにカム面部を形成し、係合凹部に遊びを形成することは、既存のハンドルの成形用型を僅かに改造するだけで可能であり、第1ブラケット側に係止凹部を形成することは、例えば第1ブラケットの成形用型を僅かに改造するだけで可能である。そして、部品としては、ロック部材が1点増加するだけであるから、きわめて簡単な構造でコスト安に、シートバックが徐々に後倒れすることを抑制できるようになる。
【0017】
また、ロック部材は、ハンドル内に組み込み可能な薄い部材であり、従来のようなブレーキドラムが不要であるから、角度調整装置の厚みをきわめて薄くできるようになる。
【0018】
前記ロック部材は、ばね板材でなり、前記被係止部は、円周方向の略対称位置の2箇所以上に一体形成されている構成とすることができる。
【0019】
この構成によれば、ロック部材がばね板であるから、コスト安に製造できる。また、ロック部材の被係止部が円周方向の略対称位置の2箇所以上に形成されているから、各被係止部が第1ブラケット側の係止凹部にそれぞれ嵌まり込むので、操作軸の回転を安定的に阻止することができる。
【0020】
前記ロック部材の一部は、前記手動用ハンドルのカム面部に常時接触されている構成とすることができる。
【0021】
この構成によれば、ロック部材の一部を手動用ハンドルのカム面部に常時接触させているから、ハンドルの回転方向の遊びは、ロック部材のばね板のテンションで抑制されるので、ハンドルが不用意に回転方向にがたつかなくなる。また、ロック部材のばね板のテンションで手動用ハンドルの係合凹部が操作軸の端部から抜け外れなくなる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、手動用ハンドル内にロック部材を設けるというきわめて簡単な構造でコスト安に、シートバックが徐々に後倒れすることを抑制できるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、背景技術と同一構成・作用の箇所は、同一番号を付して詳細な説明を省略する。
【0025】
図1はシート用ブラケットの角度調整装置10であり、(a)はハンドル31側から見た斜視図、(b)は操作軸30側から見た分解斜視図である。
図2はブラケットの角度調整装置10であり、外歯歯車32と内歯歯車33を透視的に示した正面図である。
図3は
図2のI−I線断面図である。
図4は
図2のII−II線断面図である。
【0026】
車両用シート1において、第1ブラケット4は、ボルト用穴4dを挿通するボルト(不図示)でシートクッション2に取付ける。第2ブラケット5は、溶接等でシートバック3に取付ける。
【0027】
そして、操作軸30の手動用ハンドル31(本例のような円形状ダイヤルの他、レバー類であっても良い。)を回転操作することで、第1ブラケット4に対して第2ブラケット5の角度、つまり、シートクッション2に対してシートバック3の前後傾角度を調整するようになっている。なお、第1、第2ブラケット4,5や後述する歯車ユニットU等は、シート1の左右部に設けていて、操作軸30で連動して前後傾するようになっている。
【0028】
板材を外面から凸状にプレスして内面に成形した外歯歯車32と、板材を内面から凹状にプレスして内面に成形した内歯歯車33とを設けている。そして、後述する歯車ユニットUとして組み立てた後に、外歯歯車32は溶接等で第1ブラケット4に取付ける。また、内歯歯車33は溶接等で第2ブラケット5に取付ける。なお、背景技術と同様に、第1ブラケット4を外面から凸状にプレスして内面に外歯歯車33を成形するとともに、第2ブラケット5を内面から凹状にプレスして内面に内歯歯車33を成形することもできる。
【0029】
外歯歯車32の歯車中心には大径穴部32aを形成するとともに、内歯歯車33の歯車中心には、外歯歯車32の大径穴部32aの内部に突出する小径軸部33aを形成している。また、第1ブラケット4には、外歯歯車32の大径穴部32aに対応する穴部4aを形成するとともに、第2ブラケット5には、内歯歯車33の小径軸部33aに対応する穴部(不図示)を形成している。
【0030】
外歯歯車32を形成する円板状板材の外周に嵌合して保持する保持リング部材22を設けて、この保持リング部材22の穴の下縁部を、内歯歯車33を形成する円板状板材の外面に係合させる。これにより、外歯歯車32の外歯と内歯歯車33の内歯の一部同士を噛み合わせた状態で、外歯歯車32と内歯歯車33とを相対回転可能に保持する歯車ユニットUとして組み立てられるようになる。
【0031】
外歯歯車32の外歯と内歯歯車33の内歯の一部同士を噛み合わせたときに、外歯歯車32の大径穴部32aの内周と内歯歯車33の小径軸部33aの外周との間の偏心空間が生じる。この偏心空間に、一対のくさび部材35A,35Bを嵌め込んでいる〔
図12(c)参照〕。
【0032】
この各くさび部材35A,35Bには、外歯歯車32の大径穴部32aの内周円弧面に略沿う外円弧面と、内歯歯車33の小径軸部33aの外周円弧面に略沿う内円弧面とを形成している。そして、先端部側が細幅で、後端部側が広幅となるくさび形状に形成している。
【0033】
外歯歯車32の大径穴部32aの内周よりも小さい外形状に形成した略Ω字状のばね部材36を設ける。このばね部材36により、各くさび部材35A,35Bは、偏心空間内で、外歯歯車32の大径穴部32aの内周と内歯歯車33の小径軸部33aの外周との食い込み方向に付勢されるようになる。
【0034】
外歯歯車32の大径穴部32aの内周に回転可能に嵌合する有底円筒状のくさび解除部材34を設ける。このくさび解除部材34は、各くさび部材35A,35Bの食い込み側の先端部の間に位置する。
【0035】
操作軸30は、シート1の左右部に設けている第2ブラケット5の穴部から内歯歯車33の小径軸部33aの穴部を遊嵌して、小判状変形部30aがくさび解除部材34の小判状変形穴34cに回転できないように係合している。
【0036】
操作軸30の一方に回転操作用のハンドル31を取付ける場合には、その取付け側の小判状変形部30aを外方に延長させて、この延長部分の端部30bに手動用ハンドル31の係合凹部31aを僅かに回転できるように差し込んで(係合させて)取付ける。なお、ハンドル31を僅かに回転、つまり回転方向の遊び(ガタ)を有して係合させる理由は、後で説明する。
【0037】
そして、
図12(b)を参照すれば、ハンドル31による操作軸30の左回りLの回転操作で、くさび解除部材34を回転させると、くさび部材35Aが押圧操作されて、外歯歯車32に対する内歯歯車33の偏心位置が回転移動する。これにより、外歯歯車32に対する内歯歯車33の噛み合い位置が移動し、第1ブラケット4に対する第2ブラケット5の前倒角度が調整される。
【0038】
逆にハンドル31による操作軸30の右回りRの回転操作で、くさび解除部材34を回転させると、くさび部材35Bが押圧操作されて、外歯歯車32に対する内歯歯車33の偏心位置が回転移動する。これにより、外歯歯車32に対する内歯歯車33の噛み合い位置が移動し、第1ブラケット4に対する第2ブラケット5の後倒角度が調整される。
【0039】
ここで、ばね部材36の付勢力でくさび部材35A,35Bが大径穴部32aと小径軸部33aとの間に食い込むことで、外歯歯車32の大径穴部32aに対して内歯歯車33の小径軸部33aが偏心運動する、つまり、シートバック3が徐々に後倒れすることはない。
【0040】
しかし、シートバック3に負荷が繰り返しかかったり振動が生じたりすると、くさび部材35A,35Bの変位等により操作軸30が少しずつ回転して、シートバック3が徐々に後倒れすることがある。
【0041】
そこで、本実施形態では、シートバック3の第2ブラケット5から内歯歯車33にシート後傾方向の回転力が作用したときに、操作軸30が回転し始めると、ロック部材24の被係止部24aが第1ブラケット4側のロック板23の係止凹部23aに嵌まり込むことにより、操作軸30のそれ以上の回転を阻止(ロック)するようにしたものである。
【0042】
図5は操作軸30をロック状態のロック機構11であり、(a)は分解斜視図、(b)はハンドル31側から見た組み立て斜視図である。
【0043】
図6は操作軸30をロック状態のロック機構11であり、(a)は操作軸30側から見た正面図、(b)は(a)のI−I線断面図、(c)は(a)のII−II線断面図である。
図7(a)は
図6(b)のIII−III線断面図、
図7(b)は
図6(b)のIV−IV線断面図である。
【0044】
図8は操作軸30をロック解除状態のロック機構11であり、(a)は分解斜視図、(b)はハンドル31側から見た組み立て斜視図である。
【0045】
図9は操作軸30をロック解除状態のロック機構11であり、(a)は操作軸30側から見た正面図、(b)は(a)のV−V線断面図、(c)は(a)のVI−VI線断面図である。
図10(a)は
図9(b)のVII−VII線断面図、
図10(b)は
図9(b)のVIII−VIII線断面図である。
【0046】
ロック機構11は、ロック板23とロック部材24とを備えている。円板状のロック板23は、ハンドル31よりもやや小径に形成されて、ハンドル31の内面側に操作軸30と同心に配置されている。ロック板23には、操作軸30が遊嵌する中心穴23bが形成されているとともに、円周上略等角度間隔で計16個の係止凹部(係止穴でも可)部23aが形成されている。ロック板23は、第1ブラケット4に溶接等で固定されている。
【0047】
操作軸30の端部30bは、ハンドル31の係合凹部31aに、ロック板23の係止凹部23aの少なくとも1ピッチ分の回転方向の遊び(ガタ)を有して係合されている。
【0048】
操作軸30の小判状変形部30aには、ばね板材でなるロック部材24の小判状変形穴24bが嵌め込まれている。この変形穴24bの内縁から斜めに切り起こした切り起こし部24d〔
図5(b)参照〕を操作軸30の端部30bの外周面に食い込ませることで、操作軸30と一体回転可能に、かつ抜け止めされて取付けられている。
【0049】
ロック部材24は、ロック板23の円周方向に略対称位置の2箇所の係止凹部23aにそれぞれ嵌り込み可能な凸状の2個の被係止部24aを有している。各被係止部24aには、外方に突出する突出部24cがそれぞれ形成されている。なお、ロック部材24の被係止部24aは1個であっても良い。
【0050】
ハンドル31の内面凹部には、側面視で略V字状のカム面部31dが略対称位置にそれぞれ設けられている。この各カム面部31dの内部には、ロック部材24の各突出部24cがそれぞれ嵌入されている。このカム面部31dの内部のフラットな底部31eにロック部材24の突出部24cがばね力でそれぞれ位置しているときは、被係止部24aがロック板23の係止凹部23aに嵌り込むようになる。これにより、操作軸30が回転しないようにロックされることになる。
【0051】
また、ハンドル31とともにカム面部31dが回転方向の遊びの範囲で回転させたときは、カム面部31dの内部の傾斜側部31fでロック部材24の突出部24cがばね力に抗して引き上げられることで、被係止部24aが係止凹部23aから抜き出されるようになる。これにより、操作軸30が回転できるようにロック解除されることになる。
【0052】
ロック部材24の一部である突出部24cは、カム面部31dの傾斜側部31fに常時接触されている。なお、31bは、ロック部材24の押さえ部である。
【0053】
ここで、操作軸30の端部30bがハンドル31の係合凹部31aに、ロック板23の係止凹部23aの少なくとも1ピッチ分の回転方向の遊び(ガタ)を有して係合されている理由を説明する。
【0054】
先ず、ロック部材24の被係止部24aがロック板23の隣り合う係止凹部23aの間に乗り上げた状態であるとき、シート後傾方向の回転力で操作軸30が回転し始めると、ロック部材24も同時に回転して、回転方向の最も近い位置にある係止凹部23aに嵌り込ませることで、操作軸30の回転を係止凹部23aの1ピッチ分以内で阻止(ロック)するためである。
【0055】
また、シートバック3を前後傾させるために、ハンドル31により操作軸30を回転操作する際に、ハンドル31の係合凹部31aの遊び(ガタ)の範囲で、ロック部材24の被係止部24aをロック板23の係止凹部23aから抜き出すことで(ロック解除)、操作軸30を回転できるようにするためである。
【0056】
前記のようにシート用ブラケットの角度調整装置10とロック機構11とを構成すれば、シートバック3に負荷が繰り返しかかったり振動が生じたりすると、くさび部材35A,35Bの変位等により操作軸30が少しずつ回転してシートバック3が徐々に後倒れしようとする。
【0057】
ここで、操作軸30が回転し始めると、操作軸30と一体のロック部材24も同時に回転されて、ロック部材24の被係止部24aは、回転方向の最も近い位置にある第1ブラケット4側のロック板23の係止凹部23aに嵌まり込む。これにより、操作軸30はそれ以上に回転できなくなるから、シートバック3が徐々に後倒れすることを抑制できるようになる。
【0058】
一方、ハンドル31で操作軸30を回転操作して、第1ブラケット4に対する第2ブラケット5の角度を調整する際には、先ず、ハンドル31の係合凹部31aの回転方向の遊びの範囲内で、カム面部31dにより、ロック部材24の被係止部24aがロック板23の係止凹部23aから抜き出されるようになる。これにより、操作軸30は回転できるようになるから、第1ブラケット4に対する第2ブラケット5の角度を調整できるようになる。
【0059】
したがって、ハンドル31にカム面部31dを形成し、係合凹部31aに遊びを形成することは、既存のハンドル31の成形用型を僅かに改造するだけで可能であり、第1ブラケット4側に係止凹部23aを形成することは、例えば後述する
図11であれば、第1ブラケット4の成形用型を僅かに改造するだけで可能である。そして、部品としては、ロック部材24が1点増加するだけであるから、きわめて簡単な構造でコスト安に、シートバック3が徐々に後倒れすることを抑制できるようになる。
【0060】
また、ロック部材24は、ハンドル31内に組み込み可能な薄い部材であり、従来のようなブレーキドラムが不要であるから、角度調整装置の厚みをきわめて薄くできるようになる。
【0061】
さらに、ロック部材24がばね板であるから、コスト安に製造できる。また、ロック部材24の被係止部24aを円周方向の略対称位置の2箇所以上に形成すれば、各被係止部24aが第1ブラケット4側のロック板23の係止凹部23aにそれぞれ嵌まり込むので、操作軸30の回転を安定的に阻止することができる。
【0062】
また、ロック部材24の一部である突出部24cを、カム面部31dの傾斜側部31fに常時接触させているから、ハンドル31の回転方向の遊びは、ロック部材24のばね板のテンションで抑制されるので、ハンドル31が不用意に回転方向にがたつかなくなる。また、ロック部材24のばね板のテンションでハンドル31の係合凹部31aが操作軸30の端部30bから抜け外れなくなる。
【0063】
前記実施形態では、第1ブラケット4に固定したロック板23に係止凹部23aを形成したが、
図11(a)(b)のように、第1ブラケット4自体に係止凹部23aを形成して、ロック板23を省略することもできる。