特許第5973881号(P5973881)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5973881
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】コネクタの接続構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/642 20060101AFI20160809BHJP
   H01R 13/74 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   H01R13/642
   H01R13/74 K
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-248170(P2012-248170)
(22)【出願日】2012年11月12日
(65)【公開番号】特開2014-96310(P2014-96310A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2015年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098017
【弁理士】
【氏名又は名称】吉岡 宏嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100120053
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 哲明
(72)【発明者】
【氏名】中山 光一
(72)【発明者】
【氏名】山根 友和
(72)【発明者】
【氏名】数馬 圭一
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−155943(JP,A)
【文献】 特開2012−119263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/642
H01R 13/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電線の端末がそれぞれ接続される複数の端子金具を有するコネクタと、前記コネクタの先端部が挿入される挿入口が設けられ、電気機器が収容されるケースと、該ケースに収納されて前記端子金具がそれぞれ接続される複数の導体を絶縁支持する端子台と、前記ケースに挿入された前記コネクタの前記端子金具を前記端子台に接続する際に使用する前記ケースの作業口と、前記電線から前記電気機器への通電の許容と阻止を切り替えるインターロックとを備えるコネクタの接続構造において、
前記インターロックは、前記コネクタの挿入方向の先端部に支持される一対の端子を備え、この一対の端子の挿入方向の一端部は、前記コネクタの先端部が前記ケースに挿入されたときに前記端子台の支持面のボルト孔とそれぞれ対向し、該支持面とそれぞれ離間させて配置されるとともに、他端部を支点として前記支持面に対して揺動して接離可能に形成され、
前記ボルト孔は、導電性のボルトが螺合されるとともに、前記作業口を臨む位置に設けられ、該作業口から見たときに、前記一対の端子間に挟まれて配置され、該ボルト孔の孔径は、前記一対の端子の互いに対向する側面同士の離間距離よりも小さく形成され、
前記インターロックは、前記一対の端子が短絡していないときは、前記電線から前記電気機器への通電を阻止し、前記一対の端子が短絡したときは、前記電線から前記電気機器への通電を許容することを特徴とするコネクタの接続構造。
【請求項2】
前記端子台は、前記支持面の上に金属導体を絶縁支持し、該金属導体は、前記支持面のボルト孔に螺合する前記ボルトが挿通可能な貫通孔が設けられてなることを特徴とする請求項1に記載のコネクタの接続構造。
【請求項3】
前記一対の端子は、互いに対向する側面間の部位に前記ボルトが挿通可能な凹所が形成されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクタの接続構造。
【請求項4】
前記複数の端子金具は、前記端子台の前記導体とそれぞれボルト締結により接続され、このボルト締結に用いるボルトが螺合されるボルト孔は、前記支持面に形成されるボルト孔と同径であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のコネクタの接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器を収納するケースの端子台にコネクタを接続するためのコネクタの接続構造に係り、特にインターロックを有するコネクタの接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、移動体としての自動車には、種々の電気機器が搭載されている。例えば、ハイブリッドカーや電気自動車には、モータやバッテリからの直流電力を交流電力に変換してモータに供給するインバータ等の電気機器が搭載されている。これらの電気機器は、それぞれ別々のシールドケースに収納され、ケーブルを介して互いに接続される。ケーブルは、複数の電線の端末にコネクタを接続して構成される。コネクタは、各電線の端末にそれぞれ接続される複数の端子金具を備える。コネクタの端子金具は、シールドケースに収納される端子台と接続されるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
シールドケースには、コネクタが挿入される挿入口と、挿入口から挿入されたコネクタの端子金具と端子台とをボルトによって締結するための作業口が設けられている。この作業口は、シールドケースにボルトで固定される蓋部を取り外すことで開口する。
【0004】
一方、このようにコネクタを端子台に接続する構造には、電線から電気機器への通電の許容と阻止を切り替えるインターロックが設けられている。この種のインターロックは、コネクタが挿入口に挿入されているか否かを検知するインターロックと、作業口が開口しているか否かを検知するインターロックの2つのインターロックから構成される。これらのインターロックは、いずれも一対のインターロック部(例えば、内部に導体が収納された筒状の部材)を備えており、この一対のインターロック部が互いに電気的に接続されたときにインターロックがオンになる。そして、両方のインターロックがオンしていないときは、電線から電気機器への導通が阻止され、両方のインターロックがオンのときは、電線から電気機器への導通が許容される。
【0005】
例えば、前者のインターロックは、端子台とコネクタの先端部にそれぞれインターロック部が設けられ、挿入口よりコネクタが挿入されると、コネクタのインターロック部が端子台のインターロック部と接続されるようになっている。同様に、後者のインターロックは、端子台と蓋部にそれぞれインターロック部が設けられ、蓋部が閉じられると、蓋部のインターロック部が端子台のインターロック部と接続されるようになっている。このように2つのインターロックを組み込むことで、コネクタの接続作業時に、挿入口や作業口を介して作業者が誤って端子台に触れたとしても、感電を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−124062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前者のインターロック、つまりコネクタが挿入口に挿入されているか否かを検知するインターロックは、例えばコネクタが本来の挿入方向に対して傾いて挿入されると、コネクタに設けられるインターロック部が端子台に設けられるインターロック部に対して傾いて接触する可能性がある。この場合、インターロック部が破損したり、インターロック部間の電気的な接続が不十分となり、インターロックの信頼性の低下を招くおそれがある。
【0008】
一方、端子台に設けられるインターロック部は、シールドケースの挿入口と対向する位置、つまり、コネクタに設けられるインターロック部の挿入方向と対向する位置に配置しなければならず、端子台の設計自由度が制限されるという問題がある。
【0009】
本発明は、コネクタの接続作業時の安全性を確保しつつ、インターロックの信頼性を高め、かつ、端子台の設計自由度を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、複数の電線の端末がそれぞれ接続される複数の端子金具を有するコネクタと、このコネクタの先端部が挿入される挿入口が設けられ、電気機器が収容されるケースと、このケースに収納されて端子金具がそれぞれ接続される複数の導体を絶縁支持する端子台と、ケースに挿入されたコネクタの端子金具を端子台に接続する際に使用するケースの作業口と、電線から電気機器への通電の許容と阻止を切り替えるインターロックとを備えるコネクタの接続構造において、インターロックは、コネクタの挿入方向の先端部に支持される一対の端子を備え、この一対の端子の挿入方向の一端部は、コネクタの先端部がケースに挿入されたときに端子台の支持面のボルト孔とそれぞれ対向し、この支持面とそれぞれ離間させて配置されるとともに、他端部を支点として支持面に対して揺動して接離可能に形成され、ボルト孔は、導電性のボルトが螺合されるとともに、作業口を臨む位置に設けられ、この作業口から見たときに、一対の端子間に挟まれて配置され、ボルト孔の孔径は、一対の端子の互いに対向する側面同士の離間距離よりも小さく形成され、インターロックは、一対の端子が短絡していないときは、電線から電気機器への通電を阻止し、一対の端子が短絡したときは、電線から電気機器への通電を許容することを特徴とする。
【0011】
これによれば、コネクタの先端部がケースに挿入されたときに、コネクタに支持された一対の端子が端子台の支持面と対向して配置される。そして、ケースの作業口を介して支持面のボルト孔にボルトを締め付けると、ボルトの頭部が一対の端子を支持面に押し付ける。これにより、一対の端子は、ボルトを介して端子同士が短絡される。ここで、インターロックは、一対の端子が短絡したときに電線から電気機器への通電を許容するため、コネクタの先端部がケース内に挿入されるまでは、電線から電気機器への通電が阻止される。したがって、本発明によれば、一対の端子をボルト締結するだけの極めて簡単な構成でコネクタの接続作業時の安全性を確保することができる。また、一対の端子は、支持面とボルトの頭部との間に挟まれて短絡されるため、端子間の接続状態を常に安定に維持することができ、インターロックの信頼性を高めることができる。また、一対の端子と対向する支持面は、複数の導体とともに、作業口を臨む位置に設けられていればよいため、端子台の設計自由度を高めることができる。
【0012】
この場合において、端子台は、支持面の上に金属導体を絶縁支持し、この金属導体は、支持面のボルト孔に螺合するボルトが挿通可能な貫通孔が設けられてなるものとする。
【0013】
これによれば、一対の端子は、ボルトの締結によって金属導体に押し付けられ、金属導体を介して互いに短絡されるから、一対の端子間の導通状態をより安定に維持することができ、インターロックの信頼性をより高めることができる。
【0014】
また、一対の端子は、互いに対向する側面間の部位にボルトが挿通可能な凹所が形成されてなるものとする。
【0015】
これによれば、ボルトを取り囲むように形成される凹所の周縁に沿ってボルトの頭部を当接させることができ、一対の端子を支持面や金属導体に安定して押し付けることができるため、インターロックの信頼性をより高めることができる。
【0016】
また、複数の端子金具は、端子台の導体とそれぞれボルト締結により接続され、このボルト締結に用いるボルトが螺合されるボルト孔は、支持面に形成されるボルト孔と同径であるものとする。
【0017】
これによれば、例えば、複数の端子金具をそれぞれ端子台の導体に接続するボルト締結作業の後、一対の端子を短絡させるボルト締結作業を連続して行うことができるため、一対の端子のボルト締結作業を漏れなく行うことができ、効率良く作業を行うことができる。また、すべてのボルト孔を同径とすれば、一対の端子を支持台にボルト締結するためのボルト孔として、端子金具を端子台にボルト締結するためのボルト孔(端子台に既設のボルト孔)を利用することができるため、端子台の製造コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、コネクタの接続作業時の安全性を確保しつつ、インターロックの信頼性を高め、かつ、端子台の設計自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係るコネクタの接続構造に係るコネクタの分解斜視図である。
図2】本発明に係るコネクタの接続構造に係る端子台の外観斜視図である。
図3】本発明に係るコネクタの接続構造において、コネクタが端子台に接続される構造をシールドケースの内側から見たときの斜視図である。
図4図3において、一対の端子が短絡するときの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を適用してなるコネクタの接続構造の一実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態のコネクタの接続構造は、複数の電線と電気機器の端子台とを電気的に接続するためのものであり、例えば、ハイブリッドカーや電気自動車などに搭載されるモータやバッテリなどに一端が接続された複数の電線の他端に接続されるコネクタを所定の電気機器(例えば、インバータ)の端子台に接続するためのものである。なお、図1に示す矢印Xは、電線の配列方向、及び、コネクタの幅方向を示し、矢印Yは、電線の軸方向及びコネクタの挿入方向を示し、矢印Zは、電線の配列方向と直交する方向、及び、コネクタの厚み方向を示している。
【0021】
図1に示すコネクタ1は、図2に示す端子台3に接続される。端子台3は、図2の点線で示す導電性のシールドケース5内に図示しないインバータとともに収納される。端子台3は、コネクタ1の電線とインバータを電気的に接続するためのものである。シールドケース5には、端子台3と対向する側壁にコネクタ1の先端部を挿入するための挿入口7と、挿入口7に挿入されたコネクタ1の端子金具を端子台3のバスバに接続する際に使用する作業口9と、作業口9を開閉する導電性の蓋部11が設けられている。作業口9は、後述するように、端子台3のバスバを下方に臨む位置に設けられ、端子台3と略同じ外形形状に形成される。蓋部11は、複数のボルトによってシールドケース5に固定され、コネクタ1の取付作業時には、これらのボルトを外すことでシールドケース5から取り外すことが可能になっている。
【0022】
本実施形態のコネクタ1は、図1に示すように、2本の電線13と、これらの電線13の端末がそれぞれ圧着される端子金具15と、端子金具15を支持する絶縁性のハウジング17と、ハウジング17を収納する導電性のシールドシェル19と、シールドシェル19の外周面に沿って取り付けられるリング21と、電線13を保持するホルダ23と、ハウジング17の外周面に沿って取り付けられるパッキン25と、電線13の外周面に沿って取り付けられるゴム栓27と、ハウジング17に支持される一対の端子29を備えている。
【0023】
ハウジング17は、図示しない貫通孔が設けられた平板状の端子ブロック31と、端子ブロック31の一方の面、つまりコネクタ1の挿入方向の面には、挿入口7と略同じ形状の外形形状を有する筒状部33が突出して形成され、筒状部33の内側には端子金具15が通される貫通孔35が並列に2個形成されている。筒状部33の外周面にはパッキン25が装着され、筒状部33の外周面と挿入口7の内周面との隙間がシールされる。
【0024】
ハウジング17の他方の面、つまり端子ブロック31の筒状部33と反対側の面には、電線13が通される図示しない貫通孔を有する電線支持部37が形成されている。電線支持部37の貫通孔に通された電線13の外周面にはそれぞれゴム栓27が装着され、電線13の外周面と貫通孔の内周面との隙間がシールされる。ホルダ23は、各電線13をそれぞれ包み込む円環状の部材を連結するとともに、上下2つに分割可能に形成される。ホルダ23は、各電線13に取り付けられた後、電線13に沿って移動させることにより、電線支持部37に嵌着される。このとき、ホルダ23の外周部に設けられた被係止部39は、電線支持部37の外周部に設けられた係止部41に係止されるようになっている。
【0025】
シールドシェル19は、ハウジング17の端子ブロック31と電線支持部37をそれぞれ包み込むように形成され、コネクタ1を挿入する側に折り曲げられた2つの取付部43を有している。各取付部43には、シールドシェル19をシールドケース5に取り付けるためのボルト孔45が設けられている。
【0026】
端子金具15は、導電性を有する帯状の平板材を加工して形成され、コネクタ1の挿入方向の先端側には、端子金具15を端子台3に固定するためのボルト孔47が設けられ、基端側には、電線の露出した芯線が圧着接続される。
【0027】
ハウジング17には、一対の端子29が通される貫通孔49が他の2つの貫通孔35と並列に設けられている。貫通孔49は、ハウジング17の電線支持部37の外側に配置され、端子ブロック31と筒状部33を貫通させて形成される。貫通孔49は、例えば、端子ブロック31の断面が円形に形成され、筒状部33の断面が矩形に形成される。
【0028】
貫通孔49に挿入された一対の端子29は、図1のX方向で互いに所定の間隔を開けてハウジング17に支持される。一対の端子29は、端子ブロック31の貫通孔49に挿入されて筒状部33の貫通孔49から一端部が突き出された状態で、他端部がそれぞれ貫通孔49の内部に位置するようになっている。端子ブロック31の貫通孔49の開口は、弾性材料により形成される円柱状のゴム栓51によって封止される。ゴム栓51は、外周面に断面凹凸の溝が周状に形成され、ゴム栓51と貫通孔49の内周面との隙間をシールするようになっている。
【0029】
本実施形態では、ゴム栓51の一端面に2つの凹み53が形成され、これらの凹み53にそれぞれ一対の端子29の他端部が差し込まれて保持されるようになっている。また、貫通孔49は、Z方向の寸法が端子29の厚み寸法よりも大きく形成されている。これにより、一対の端子29は、ゴム栓51に保持された他端部を支点として、一端部がZ方向(周方向)で揺動可能に支持される。また、一対の端子29には、後述するインターロック回路が接続されている。
【0030】
このようにして構成されるコネクタ1は、例えば、端子金具15が接続された電線13と一対の端子29をそれぞれハウジング17に挿入し、これらが挿入されたハウジング17をシールドシェル19に収納することによって組み立てられる。組み立てられたコネクタ1は、2つの端子金具15と一対の端子29がそれぞれハウジング17の筒状部33からコネクタ1の挿入方向(Y方向)に向かって略同じ長さで突出し、互いに平行に配置される。
【0031】
端子台3は、金属製の導体である複数の平板状のバスバ55を絶縁支持する樹脂製の部材であり、囲い壁57a〜57cと、これらの隣り合う囲い壁57a〜57c同士を互いに連結する連結部59とが一体的に形成されている。囲い壁57a〜57cはそれぞれ支持面61を取り囲んで形成され、各支持面61の上にはそれぞれ3つのバスバ55a〜55cが絶縁支持されている。バスバ55a〜55cは、互いに同径のボルト孔63が形成され、これらのボルト孔63を含めていずれも作業口9を臨む位置に配置されている。なお、本実施形態では、囲い壁57aのバスバ55にコネクタ1を接続する例について説明する。
【0032】
囲い壁57aの支持面61に支持される3つのバスバ55a〜55cは、いずれも矩形に形成され、このうち端子金具15と接続される2つのバスバ55a,55bは、インバータと電気的に接続されている。支持面61には、各バスバ55a〜55cのボルト孔63に挿通されたボルトが螺合するボルト孔がそれぞれ設けられている。これらの支持面61のボルト孔は、いずれも同径で同じ大きさのボルトが螺合するようになっている。
【0033】
次に、コネクタ1をシールドケース5及び端子台3に接続する手順について説明する。まず、蓋部11をシールドケース5に固定しているボルトを抜いて蓋部11を取り外すことにより、作業口9を全開にする。続いて、挿入口7からコネクタ1の筒状部35を挿入し、コネクタ1の挿入方向に面する端子ブロック31の端面をシールドケース5の挿入口7の周縁に当接させる。そして、シールドシェル19の取付部43のボルト孔45にボルトを通し、図示しないシールドケース5の孔に螺合させることでコネクタ1をシールドケース5に固定する。
【0034】
コネクタ1がシールドケース5に固定されると、シールドケース5の内部では、図3に示すように、コネクタ1から突出する2本の端子金具15が、それぞれ端子台3のバスバ55a,55bと当接するか、或いは、端子台3と僅かの隙間をあけて対向して配置される。そして、開放された作業口9を介してそれぞれの端子金具15のボルト孔47に通されたボルト64を対向するバスバ55a,55bのボルト孔63に通し、ボルト孔63に通されたボルト64を支持面61の孔にそれぞれ螺合して締め付けることにより、端子金具15をバスバ55に接続する(図4)。
【0035】
一方、本実施形態のインターロックは、電線13からインバータへの通電の許容と阻止を切り替えるためのものであり、一対の端子29と、これらの端子29に接続されるインターロック回路を有している。インターロック回路は、一対の端子29が互いに短絡されているか否かを電気的に検知する機能を有しており、一対の端子29が短絡されていないときは、電線13からインバータへの通電を阻止し、一対の端子29が短絡されているときは、電線13からインバータへの通電を許容する。
【0036】
一対の端子29は、コネクタ1がシールドケース5に固定されると、図3に示すように、それぞれ端子台3のバスバ55cのボルト孔63と所定の隙間をあけて対向して配置される。一対の端子29は、バスバ55cに向かって挿入方向の一端部が押し付けられると、他端部を支点として一端部がバスバ55cと当接し、一端部への押し付けがなくなると、他端部を支点として一端部がバスバ55cと離れるようになっている。
【0037】
バスバ55cのボルト孔63は、作業口9から見たときに、一対の端子29間に挟まれて配置される。すなわち、本実施形態では、一対の端子29の互いに対向する側面間の部位にボルト64が挿通可能な略円形の凹所65が形成され、作業口9から見ると、この凹所65の内側にボルト孔63が配置される。凹所65は、一対の端子29の互いに対向する側面をそれぞれ半円状に切欠いて形成される凹部67に挟まれて形成される。なお、凹所65は、略円形に限られるものではなく、一対の端子29の互いに対向する側面同士の離間距離が、端子29の軸方向において、ボルト孔63の孔径よりも大きく形成されていれば、この形状に限られるものではない。
【0038】
このようにして構成される一対の端子29は、凹所65に通されたボルト64がバスバ55cのボルト孔63を通り、ボルト孔63を通ったボルト64の先が、支持面61のボルト孔に螺合されることにより、ボルト64の頭部が一対の端子29の凹部67の周縁と当接する。そして、更にボルト64を締め付けることで、図4に示すように、一対の端子29はボルト64によってバスバ55cに押し付けられる。これにより、一対の端子29は、導電性のバスバ55c及び導電性のボルト64を介して互いに短絡される。こうして一対の端子29が短絡されると、これらの端子29を介してインターロックがこれを検知し、電線13からインバータへの通電が許容される。
【0039】
本実施形態によれば、一対の端子29をボルト締結するだけの極めて簡単なインターロックの構造で、コネクタ1の挿入の有無を検知することができる。そして、コネクタ1が挿入口7から挿入され、一対の端子29がボルト64の締結によって短絡されたときだけ、電線13からインバータへの通電が許容されるため、コネクタ1の接続作業時の安全性を確保することができる。
【0040】
また、本実施形態のインターロックとともに、作業口9が開放されているか否かを検知する別のインターロックを設置して本実施形態のインターロックと連携させ、一対の端子29が短絡していても、作業口9が蓋部11によって閉じられていないときは、電線13からインバータへの通電を許容せず、一対の端子29が短絡され、かつ、作業口9が蓋部11によって閉じられたときだけ、電線13からインバータへの通電を許容するように構成してもよい。これによれば、コネクタ1の接続作業時の安全性をより高めることができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、一対の端子29と対向するバスバ55cは、他のバスバ55a,55bとともに、作業口9を臨む位置に配置されていればよいため、端子台3の設計自由度を高めることができる。この点、本実施形態では、バスバ55a〜55cが並列に配置されているため、作業口9を通じて、例えば、2本の端子金具15をそれぞれ端子台3のバスバ55a,55bに接続するボルト締結作業の後、一対の端子29をバスバ55cを介して短絡させるボルト締結作業を連続して行うことができ、一対の端子29のボルト締結作業を漏れなく行うことができるとともに、作業効率の向上を図ることができる。また、これらのボルト締結作業は、いずれも端子台3の支持面61に形成される同径のボルト孔を用いてなされるため、本実施形態のように2極のコネクタ1を接続する際に既設の3極の端子台3を流用することができ、経済的である。
【0042】
また、本実施形態では、一対の端子29間にボルト64を挿入する凹所65を形成しているため、ボルト64の頭部を凹部67の周縁に沿って均一に押し付けることができる。これにより、一対の端子をバスバ55cに押し付ける力を高く維持することができ、インターロックの接触信頼性を高めることができる。また、本実施形態で使用するボルト64は、座付き頭部を有しているため、通常の六角ボルト等と比べて、一対の端子29と当接する面積をより広く確保することができる。これにより、一対の端子29をより均一に押し付けることが可能となる。なお、ボルト64の形状は、一対の端子29を押し付けることができれば、座付きタイプに限られるものではない。
【0043】
以上、本発明の実施の形態を図面により詳述してきたが、上記の実施の形態は本発明の例示にしか過ぎないものであり、本発明は上記の実施の形態の構成だけに限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあっても、本発明に含まれることは勿論である。
【0044】
例えば、本実施形態では、支持面61の上にバスバ55cを設置し、一対の端子29をバスバ55cとボルト64をそれぞれ介して短絡させるようにしているが、バスバ55cは必ずしも必要ではなく、一対の端子29を端子台3の絶縁性の支持面61とボルト64との間に挟み、ボルト64のみを介して短絡させるようにしてもよい。
【0045】
また、本実施形態では、囲い壁57aのバスバ55に、2相のコネクタ1を接続する例を説明したが、囲い壁57b、57cのバスバ55に、それぞれ3相のコネクタを接続する場合についても、本実施形態と同様の構造を適用することができる。この場合、一対の端子を短絡させる支持面のスペースを新たに設けることが必要になる。
【符号の説明】
【0046】
1 コネクタ
3 端子台
5 シールドケース
7 挿入口
9 作業口
11 蓋部
13 電線
15 端子金具
17 ハウジング
29 端子
55 バスバ
61 支持面
63 ボルト孔
64 ボルト
65 凹所
67 凹部
図1
図2
図3
図4