(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、穿刺針による心膜の穿刺作業は、心臓を拍動させたままの状態で行われるため、心臓が拡張している状態では心膜と心筋との距離が極めて近接しているため、穿刺針の尖端を心筋に接触させることなく心膜のみに穿孔することは困難である。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、X線観察下で確認困難な膜状組織に対して、該膜状組織に近接する拍動組織に尖端を接触させることなく、穿孔することができる医療デバイスを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の一態様は、体外から体組織に穿刺して、体組織内部の拍動組織の周辺の膜組織まで穿孔する穿刺針と、該穿刺針の外側に配置される筒状の保護部材と、前記拍動組織の拍動情報を取得する拍動情報取得部と、該拍動情報取得部により取得された前記拍動組織の拍動情報に同期させて、前記拍動組織が拡張したときには、前記穿刺針の尖端を前記保護部材の先端よりも基端側に引っ込め、前記拍動組織が収縮したときには、前記穿刺針の尖端を前記保護部材の先端より先方に突出させるように、前記穿刺針と前記保護部材とを相対的に移動させる駆動部とを備える医療デバイスを提供する。
【0008】
本態様によれば、医療用デバイスの穿刺針を保護部材から突出させた状態で、体外から体組織に穿刺して行き、拍動組織の周辺の膜組織に到達する前で、駆動部を作動させて穿刺針と保護部材とを相対的に移動させることにより、穿刺針の尖端を保護部材の先端から出没させる。
【0009】
駆動部は、拍動情報取得部により取得された拍動情報に同期させて穿刺針と保護部材とを相対移動させるので、拍動組織が拡張するとき、すなわち、拍動組織の表面が穿刺針に近接する方向に移動するときには、穿刺針の尖端を保護部材の先端よりも基端側に引っ込める方向に移動させることで穿刺針の尖端と拍動組織との接触を回避することができる。
【0010】
一方、拍動組織が収縮するとき、すなわち、拍動組織の表面が周囲の膜組織から離れる方向に移動するときには、穿刺針の尖端を保護部材の先端よりも先方に突出させて、穿刺針の尖端により膜組織に穿孔することができる。この場合に、拍動組織の収縮によって拍動組織が膜組織から離間しているので、穿刺針の尖端を拍動組織に接触させずに、膜組織をより確実に穿孔することができる。
【0011】
本発明の他の態様は、体外から体組織に穿刺して、体組織内部の拍動組織の周辺の膜組織まで穿孔する筒状の穿刺針と、該穿刺針の内側に配置される棒状の保護部材と、前記拍動組織の拍動情報を取得する拍動情報取得部と、該拍動情報取得部により取得された前記拍動組織の拍動情報に同期させて、前記拍動組織が拡張したときには、前記穿刺針の尖端を前記保護部材の先端よりも基端側に引っ込め、前記拍動組織が収縮したときには、前記穿刺針の尖端を前記保護部材の先端よりも先方に突出させるように、前記穿刺針と前記保護部材とを相対的に移動させる駆動部とを備える医療デバイスを提供する。
【0012】
上記態様においては、前記拍動情報取得部が、拍動情報として心電波形を取得し、前記駆動部は、前記拍動情報取得部により取得された心電波形の内、S波からT波にわたる範囲で、前記穿刺針を前記保護部材の先端開口外に突出させてもよい。
このようにすることで、拍動組織が心臓である場合に、心電波形の内、S波からT波にわたる範囲では、心室の収縮器に当たるので、膜組織である心膜と心筋との距離が開いている。したがって、この期間に穿刺針を保護部材の先端開口外に突出させることにより、穿刺針の尖端を心筋に接触させずに心膜に穿孔することができる。
【0013】
また、上記態様においては、前記駆動部により前記穿刺針と前記保護部材とを相対的に移動させる相対移動モードと、前記穿刺針の尖端が前記保護部材の先端開口外に突出された状態で保持する穿刺モードと、前記穿刺針の尖端を前記保護部材の先端開口内に引っ込めた状態で保持する保護モードとを切り替えるモード切替部を備えていてもよい。
【0014】
このようにすることで、モード切替部の作動により、穿刺モードに切り替えることによって、穿刺針の尖端が保護部材の先端開口外に突出された状態に保持されるので、穿刺針の尖端が拍動組織に接触する可能性の少ない領域では、常時穿刺針を突出させて、膜組織に至る体組織の穿孔を連続的に行うことができる。
【0015】
一方、モード切替部の作動により、保護モードに切り替えられることによって、穿刺針の尖端が保護部材の先端開口内に収容された状態に保持されるので、穿刺針の尖端が膜組織を貫通した後の状態で、穿刺針の尖端を保護部材内に収容して拍動組織に接触しないようにすることができる。
【0016】
また、上記態様においては、前記拍動情報取得部が、拍動情報として、前記穿刺針の尖端近傍において心電位を検出し、前記モード切替部は、該拍動情報取得部により検出された心電位が所定の閾値を超えた場合に、前記穿刺モードから前記相対移動モードへ切り替えてもよい。
【0017】
このようにすることで、拍動情報取得部により検出された穿刺針の尖端近傍の心電位が所定の閾値以下の場合には、穿刺針の尖端が膜組織から遠い位置にあり、所定の閾値を超えた時点で膜組織への接触を検出することができる。したがって、穿刺針の尖端が膜組織から離れているときには穿刺モードにして、穿刺針の尖端を保護部材の先端開口から突出させた状態に維持することにより、体組織の連続的な穿孔を可能にし、穿刺針の尖端が膜組織に接触したときには、相対移動モードに切り替えることで、拍動組織への接触を回避しながら膜組織への穿孔を行うことができる。
【0018】
また、上記態様においては、前記穿刺針の尖端近傍において生体情報を検出する生体情報検出部を備え、前記モード切替部は、前記生体情報検出部により検出された生体情報が穿刺針による膜組織の貫通を示す場合に、前記相対移動モードから前記保護モードへ切り替えてもよい。
【0019】
このようにすることで、拍動情報取得部により検出された穿刺針の尖端近傍の生体情報によって、穿刺針による膜組織の貫通が検出されたときには、相対移動モードから保護モードに切り替えることで、穿刺針の尖端を保護部材の先端開口内に収容し、尖端が拍動組織への接触することをより確実に防止することができる。
【0020】
上記態様においては、前記生体情報が、圧力、生体インピーダンス、反射光量および穿刺抵抗値のいずれかであってもよい。
このようにすることで、圧力、生体インピーダンス、反射光量および穿刺抵抗値のいずれかを生体情報として用いて、膜組織の貫通を検出することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、X線観察下で確認困難な膜状組織に対して、該膜状組織に近接する拍動組織に尖端を接触させることなく、穿孔することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態に係る医療デバイス1について図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る医療デバイス1は、
図1に示されるように、デバイス本体2と、心電信号を検出する心電信号検出部3と、該心電信号検出部3により検出された心電信号に基づいてデバイス本体2を駆動する駆動部4とを備えている。
【0024】
デバイス本体2は、患者の体外から体組織に穿孔するための尖端5aを有する穿刺針5と、該穿刺針5を収納可能な内孔6aを有する円筒状の保護部材6と、該保護部材6の基端側に着脱可能に連結されたエアシリンダ部7とを備えている。
穿刺針5は、先端部に、一方向に湾曲する湾曲部5bを有し、湾曲部5bのさらに先端側に鋭利な尖端5aを有している。穿刺針5の基端側には、エアシリンダ部7のピストンを構成するフランジ部5cが備えられている。
【0025】
保護部材6は、非鋭利に構成された先端部に内孔6aの先端開口を有している。保護部材6の基端側には雄ねじ6bが設けられている、
エアシリンダ部7は、穿刺針5に設けられたフランジ部5cを長手方向に摺動可能に収容する内孔7aと、該内孔7aの長手方向の途中位置に半径方向内方に突出する内鍔部7bと、内孔7aの開口部近傍に設けられ保護部材6の雄ねじ6bを締結する雌ねじ7cと、フランジ部5cと内鍔部7bとの間に配置される圧縮コイルバネ7dとを備えている。図中、符号8は止めネジである。
【0026】
フランジ部5cと内孔7aとの間には図示しないシール部材が配置され、フランジ部5cよりも基端側の内孔7aが気密状態に密閉された圧力室7eとして構成されている。
心電信号検出部3は、例えば、12誘導心電図を取得するための心電位計である。
【0027】
駆動部4は、制御部9と、制御部9からの指令信号に基づいて圧力室7eに供給する空気圧を調節する空気圧供給部10とを備えている。
制御部9は、心電信号検出部3により検出された心電信号に基づいて、空気圧供給部10に供給する指令信号を調節するようになっている。具体的には、
図2に示されるように、心電信号の内、S波の後半からT波の後半にわたる期間に、圧力室7eに供給する空気圧を増大させ、それ以外の期間では空気圧を低下させるような指令信号を出力するようになっている。
空気圧供給部10は、図示しない空気圧源と、調節弁とを備えている。
【0028】
また、本実施形態においては、制御部9には、操作者によって操作される入力部11が接続されている。入力部11は、制御部9による穿刺針5の動作モードを3段階に切り替えることができるようになっている。
【0029】
3段階の動作モードは、相対移動モード、穿刺モードおよび保護モードである。
相対移動モードは、制御部9が心電信号検出部3により検出された心電信号に同期させて、保護部材6に対して穿刺針5を長手方向の往復移動させ、穿刺針5の尖端5aを保護部材6の先端から出没させる動作モードである。
【0030】
穿刺モードは、心電信号検出部3により検出された心電信号と穿刺針5の移動との同期を行わず、
図3に示されるように、保護部材6の先端よりも先方に穿刺針5の尖端5aを突出させた状態に維持する動作モードである。具体的には、穿刺モードでは、制御部9は、空気圧供給部10から高い圧力の空気圧を圧力室7e内に供給するように指令するようになっている。
【0031】
保護モードも、心電信号検出部3により検出された心電信号と穿刺針5の移動との同期を行わず、
図1に示されるように、保護部材6の先端よりも基端側に穿刺針5の尖端5aを収容した状態に維持する動作モードである。具体的には、保護モードでは、制御部9は、空気圧供給部10に対し、圧力室7eへの空気圧の供給を停止するように指令するようになっている。空気圧が低下すると、圧縮コイルバネ7dの弾発力によって穿刺針5が基端側に押し戻されるようになっている。
【0032】
なお、本実施形態においては、制御部9に入力部11が接続され、入力部11からの信号に応じて穿刺針5の動作モードを切り替える例を示したが、入力部11および動作モードの切り替えについては必須ではない。
【0033】
このように構成された本実施形態に係る医療デバイス1の作用について、以下に説明する。
本実施形態に係る医療デバイス1を用いて、心膜Aにガイドワイヤ導入用の貫通孔を形成するには、入力部11を操作して穿刺モードに設定し、
図3に示されるように、穿刺針5の尖端5aを保護部材6の先端開口から突出した状態に維持する。
【0034】
この状態で、
図4に示されるように、穿刺針5の尖端5aを剣状突起B下部の体表から体組織に穿刺し、X線観察下で心臓C近傍まで穿刺していく。図中、符号Dは横隔膜である。
【0035】
次いで、尖端5aが心臓Cから十分に離れた位置において、入力部11を操作して動作モードを相対移動モードに切り替える。これにより、穿刺針5の尖端5aが、保護部材6の先端開口から出没されるようになる。
【0036】
この状態で、さらに穿刺する動作を継続する。
この動作モードにおいては、穿刺針5の尖端5aが心電信号に同期して保護部材6の先端開口から出没される。さらに具体的には、
図2に示されるように、心電信号のS波の後半からT波の後半にわたって、尖端5aが保護部材6の先端開口から突出させられ、その他の期間では保護部材6内に収容される。
【0037】
心電信号のS波の後半からT波の後半にわたっては、心室が動脈へ血液を駆出する期間であるため心筋が大きく収縮する。その結果、心膜Aと心臓Cとの間の心膜腔Eが拡張し、心臓Cが心膜Aから離間している。
したがって、
図5に示されるように、この期間に穿刺針5の尖端5aを突出し、尖端5aが心膜Aを貫通しても、尖端5aが心臓Cに接触する可能性が十分に低下させられる。
【0038】
特に、本実施形態においては、穿刺針5の先端部に湾曲部5bを設けているので、
図5に示されるように傾斜させて体組織に穿刺していくと、湾曲部5bの湾曲した外面を心臓C側に向けることができ、仮に、心臓Cの拡張時に穿刺針5が保護部材6の先端よりも先方に突出していたとしても、穿刺針5の尖端5aが心臓Cに接触することをより確実に回避することができる。
【0039】
一方、心電信号のS波の後半からT波の後半以外の期間では、心筋は拡張しているので、心膜Aと心臓Cとの間の心膜腔Eが収縮し、心臓Cが心膜Aに近接している。したがって、この期間においては、
図6に示されるように、穿刺針5の尖端5aによる心膜Aの穿孔作業は行わないことにして、尖端5aを保護部材6の内部に収容しておくことにより、穿刺針5の尖端5aが心臓Cに接触することを確実に防止することができる。
すなわち、心臓Cの拍動に同期して穿刺針5を保護部材6の先端開口から出没させることにより、穿刺針5の尖端5aが心臓Cに接触することを防止しつつ心膜Aに穿孔することができる。
【0040】
その後、心膜Aに穿孔して保護部材6の先端部が心膜腔E内に挿入されたときには、入力部11からの入力により、動作モードを保護モードに切り替えることにより、穿刺針5の尖端5aを保護部材6の内部に収容した状態に維持し、それ以降、穿刺針5の尖端5aが心臓Cに接触することを確実に防止することができる。
【0041】
そして、止めネジ8を緩めて、保護部材6の雄ねじ6bとエアシリンダ部7の雌ねじ7cとの締結を緩め、
図7に示されるように、エアシリンダ部7を保護部材6から取り外す。そして、保護部材6の内孔6aから穿刺針5を基端側に抜き出すことにより、保護部材6の内孔6aを介してガイドワイヤ(図示略)を心膜腔E内に導入することができる。
【0042】
このように、本実施形態に係る医療デバイス1によれば、穿刺針5を常時突出させた状態で心膜Aの穿孔作業を行うのではなく、心電信号に同期して出没する尖端5aによって穿刺作業を行うので、穿刺針5の尖端5aが心臓Cに接触することを防止しつつ心膜Aに穿孔することができるという効果を奏する。
【0043】
なお、本実施形態においては、
図1および
図3に示されるように、保護部材6に対して穿刺針5を移動させることとしたが、これに代えて、穿刺針5に対して保護部材6を移動させることにしてもよい。
また、本実施形態においては、穿刺針5が保護部材6の先端よりも先方に突出した状態においても、より確実に尖端5aの心臓Cへの接触を回避可能とするように、穿刺針5に湾曲部5bを設けたが、これに代えて、
図8に示されるように、湾曲部5bを有しない真っ直ぐな穿刺針5を採用してもよい。
【0044】
また、本実施形態においては、穿刺針5を中実の針状部材によって構成したが、これに代えて、
図9に示されるように中空の筒状部材によって構成してもよい。この場合に、穿刺針5の内孔5dとエアシリンダ部7の基端側の端面とを蛇腹のような伸縮自在の管状部材12によって連通させることにしてもよい。
【0045】
このようにすることで、エアシリンダ部7の基端側の端面から、管状部材12および穿刺針5の内孔5dを介して穿刺針5の先端に造影剤を供給することができる。これにより、穿刺針5の尖端5aが心膜Aを貫通して心膜腔E内に入ったか否かをX線観察によって、より正確に判断することが可能となる。
また、上記の構成を採用することにより、保護部材6から穿刺針5を抜去しなくても、管状部材12および穿刺針5の内孔5dを介して、心膜腔E内にガイドワイヤを導入することができるという利点もある。
【0046】
また、本実施形態においては、穿刺針5の外側に穿刺針5を収納可能な筒状の保護部材6を配置したが、これに代えて、
図10および
図11に示されるように、筒状の穿刺針5の内側に棒状または筒状の保護部材6を配置し、両者を相対的に移動させることにしてもよい。
【0047】
図10および
図11に示す例では、穿刺針5の内側に挿入配置される筒状の保護部材6をエアシリンダ部7に固定しており、穿刺針5がエアシリンダ部7の圧力室7eに供給される空気圧によって、その尖端5aを保護部材6の先端よりも先方か基端側かのいずれかの位置に配置するようになっている。逆に、穿刺針5を固定し、保護部材6を穿刺針5に対して進退させる構成を採用してもよい。
【0048】
また、半径方向の内側に配置される穿刺針5あるいは保護部材6に長手方向に貫通する内孔6aを設ける場合には、
図12に示されるように、その内孔6aを利用して、生体情報を検出し、動作モードの切り替えに利用してもよい。
例えば、
図12に示す例において、センサ13として保護部材6の先端に圧力センサを配置し、センサ13により検出された圧力に基づいて、生体情報検出部14により、生体情報を検出してもよい。
【0049】
すなわち、体組織や心膜Aを穿孔中の場合、圧力センサによって検出される圧力は、組織から受ける圧力が支配的となるが、穿刺針5によって心膜Aが貫通された時点で、心膜腔E内の圧力が検出されることとなり、圧力が低下する。したがって、圧力センサによって心膜腔E内の圧力が検出された時点で、相対移動モードから保護モードに自動で切り替えることができる。なお、圧力変化があったことを、表示灯の点灯や画面表示あるいは音声によって外部に報知することにしてもよい。
【0050】
なお、圧力センサを保護部材6の先端に設けることに代えて、保護部材6の内孔6aの基端側に配置してもよい。この場合には、内孔6a内の圧力変動を検出して動作モードの切り替えを行うことができる。
【0051】
また、例えば、
図12に示す例において、センサ13として、生体情報としての生体インピーダンスを測定するための電極を配置してもよい。
電極に体組織や心膜Aが接触している場合と、電極が心膜腔E内に入って空間に配される場合とで生体インピーダンスが変化するので、圧力の場合と同様にして、生体インピーダンスの変化が検出された時点で、相対移動モードから保護モードに自動で切り替えることができる。
【0052】
また、例えば、
図12に示す例において、センサ13として、先方に光を照射し、散乱して戻る光を生体情報として検出する光センサを採用してもよい。
穿刺針5によって、体組織や心膜Aを穿孔中の場合、組織から戻る散乱光の強度は高いが、穿刺針5によって心膜Aが貫通された時点で、光は広い心膜腔E内に照射されることになるため、検出される反射光の強度は低下する。したがって、光センサによって検出される光の強度が低下した時点で、相対移動モードから保護モードに自動で切り替えることができる。
【0053】
また、例えば、
図1に示す例において、穿刺針5を導電性の材料により構成し、穿刺針5に心電位計を接続することにより、心電位を検出するための電極として穿刺針5を利用してもよい。
穿刺針5が心膜Aに接触すると比較的大きな電流が流れるために、検出される心電位が大きく変化する。したがって、この心電位の変化を検出することにより、穿刺針5が心膜Aに接触したと判定できる。すなわち、心電位の変化の検出により、穿刺モードから相対移動モードへの自動切替を行うことができる。
【0054】
また、保護部材6の内孔6aを介した圧力の検出に代えて、圧力室7e内の圧力変動を圧力センサによって検出したり、穿刺針5を介して伝達される穿刺抵抗をロードセル(図示略)によって検出したりすることにより、穿刺時に穿刺針5にかかる力を直接検出し、動作モードの切り替えに利用してもよい。すなわち、穿刺針5を突出させた状態で、体組織に穿孔しているときには、圧力室7e内の圧力や穿刺針5に加わる穿刺抵抗は高い値となるが、心膜Aを貫通したときに低下する。したがって、この圧力低下や穿刺抵抗の低下が検出された場合に、動作モードを保護モードに自動的に切り替えることにすればよい。
【0055】
また、本実施形態においては、拍動組織として心臓C、膜組織として心膜Aを例示したが、これに限定されるものではない。
また、拍動情報として心電信号を例示したがこれに限定されるものではない。