特許第5973897号(P5973897)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5973897
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】電磁流量計
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/60 20060101AFI20160809BHJP
   G01F 1/58 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   G01F1/60
   G01F1/58 N
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-265004(P2012-265004)
(22)【出願日】2012年12月4日
(65)【公開番号】特開2014-109529(P2014-109529A)
(43)【公開日】2014年6月12日
【審査請求日】2015年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】坂野 洋平
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 修
【審査官】 山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−209231(JP,A)
【文献】 特開平05−045195(JP,A)
【文献】 特開平03−118419(JP,A)
【文献】 特開平10−221134(JP,A)
【文献】 特表平09−502267(JP,A)
【文献】 特開2000−258211(JP,A)
【文献】 特開平07−005006(JP,A)
【文献】 米国特許第08590361(US,B1)
【文献】 米国特許第06392416(US,B1)
【文献】 米国特許第05895864(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/58 − 1/60
G01F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定管内を流れる流体への励磁に応じて当該流体に発生した起電力を電極で検出し、この起電力を交流増幅して得られた第1の交流流量信号を第1のサンプルホールド回路でサンプリングし、得られた第1の直流流量信号に基づき当該流体の流量値を制御回路で算出して出力する電磁流量計であって、
前記第1の交流流量信号から、前記流体が前記電極に接していない空状態の際に前記起電力に混入するノイズの周波数成分を減衰させた第2の交流流量信号を出力する帯域減衰フィルタと、
前記第2の交流流量信号をサンプリングすることにより第2の直流流量信号を出力する第2のサンプルホールド回路とを備え、
前記制御回路は、前記第1の直流流量信号と前記第2の直流流量信号との電圧比を、所定のしきい値と比較することにより、前記空状態であるか否かを判定する
ことを特徴とする電磁流量計。
【請求項2】
請求項1に記載の電磁流量計において、
前記帯域減衰フィルタは、前記ノイズの周波数成分として、商用電源周波数の成分を減衰させることを特徴とする電磁流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種プロセス系において導電性を有する流体の流量を測定する電磁流量計の空検知技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、導電性を有する流体の流量を測定する電磁流量計では、測定管内を流れる流体の流れ方向に対して磁界発生方向が垂直となるよう配置された励磁コイルへ、極性が交互に切り替わる励磁電流を供給し、励磁コイルからの発生磁界と直交して測定管内に配置された一対の電極間に生じる起電力を検出し、この電極間に生じる起電力に基づいて、測定管内を流れる流体の流量を測定している。
【0003】
図7は、一般的な電磁流量計の構成を示すブロック図である。図8は、一般的な電磁流量計の動作(正常状態)を示す信号波形図である。
この電磁流量計5は、検出器5Aと変換器5Bとから構成されている。
検出器5Aには、主な構成として、測定管P、電極TA,TB、および励磁コイルLが設けられている。
変換器5Bには、主な回路部として、励磁回路50、交流増幅回路51、サンプルホールド回路(SH)52、A/D変換器53、制御回路54、通信回路55、電源回路56、および表示器57が設けられている。
【0004】
励磁回路50から検出器5Aの励磁コイルLに交流励磁電流を供給した場合、検出器5Aの電極TA,TBに、流体の流量に応じた大きさの起電力E0が発生する。この起電力E0は、容量素子Cを介して交流増幅回路51に入力されて交流増幅された後、交流流量信号E1として出力される。
【0005】
この交流流量信号E1は、サンプルホールド回路52で、制御回路54からのサンプリング制御信号SH1,SH2に基づいて、正側波形および負側波形のうち、波形が安定している特定期間の電圧がサンプルホールドされ、直流流量信号V1となる。この直流流量信号V1は、A/D変換器53でA/D変換されて制御回路54に入力される。
制御回路54は、直流流量信号V1の電圧値を取得して、この電圧値から流量計測値を算出し、通信回路15で4〜20mAのアナログ直流電流に変換した後、通信回線Wを介してコントローラなどの上位装置(図示せず)へ通知する。
【0006】
このような電磁流量計50では、検出器5Aの測定管P内の流体が少なく電極TA,TBと接液していない、いわゆる空状態である場合、流量とは関係なく、電極TA,TBで得られる起電力E0が不安定となり、流量計測値が安定しない。
図9は、一般的な電磁流量計の動作(空状態)を示す信号波形図である。流体が電極TA,TBに接している正常状態では、図8に示したように、流量に応じた大きさの起電力E0が検出されるが、流体が電極TA,TBに接していない空状態では、図9に示すように、起電力E0に、例えば電源周波数を持つノイズが混入する。
【0007】
これは、極めて微弱な起電力E0を検出するため、電極TA,TB間のインピーダンスおよび交流増幅回路51の入力インピーダンスがいずれも高く設計されているため、空状態の場合に、商用電源などの周囲の電磁波の影響を受けるものと考えられる。
このため、この計測流量値の不安定が、実際の流量が不安定であるために発生しているのか、流体が空状態であるために発生しているのかを検知する必要がある。
【0008】
従来、このような電磁流量計における空検知技術として、検出器5Aの電極TA,TB間におけるインピーダンスを測定して判定する技術が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。具体的には、検出器5Aの電極TA,TBと接地電位との間に電流を流して、電極TA,TBに発生する電位を検出し、この電位をしきい値と比較することにより空状態か否かを判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011−209231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような従来技術では、検出器5Aの電極TA,TBと接地電位との間に電流を流して、電極TA,TBに発生する電位を検出する必要があるため、流量検出とは別個に余分な電力を常に消費するという問題点があった。このことは、電力を潤沢に使用できる4線式電磁流量計ではあまり問題とはならないが、使用電力が制限されている2線式の電磁流量計においては、極めて深刻である。
【0011】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、消費電力の増加を抑制しつつ、空状態を正確に検知できる空検知技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的を達成するために、本発明にかかる電磁流量計は、測定管内を流れる流体への励磁に応じて当該流体に発生した起電力を電極で検出し、この起電力を交流増幅して得られた第1の交流流量信号を第1のサンプルホールド回路でサンプリングし、得られた第1の直流流量信号に基づき当該流体の流量値を制御回路で算出して出力する電磁流量計であって、前記第1の交流流量信号から、前記流体が前記電極に接していない空状態の際に前記起電力に混入するノイズの周波数成分を減衰させた第2の交流流量信号を出力する帯域減衰フィルタと、前記第2の交流流量信号をサンプリングすることにより第2の直流流量信号を出力する第2のサンプルホールド回路とを備え、前記制御回路は、前記第1の直流流量信号と前記第2の直流流量信号との電圧比を、所定のしきい値と比較することにより、前記空状態であるか否かを判定するようにしたものである。
【0013】
また、本発明にかかる上記電磁流量計の一構成例は、前記帯域減衰フィルが、前記ノイズの周波数成分として、商用電源周波数の成分を減衰させるようにしたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、帯域減衰フィルタとサンプルホールド回路を追加するだけで、空状態を検知することができ、消費電力の増加を抑制しつつ、空状態を正確に検知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の電磁流量計の構成を示すブロック図である。
図2】帯域減衰フィルタの回路構成例である。
図3】帯域減衰フィルタの周波数特性例である。
図4】本発明の電磁流量計の動作(正常状態)を示す信号波形図である。
図5】本発明の電磁流量計の動作(空状態)を示す信号波形図である。
図6】本発明の空検知処理を示すフローチャートである。
図7】一般的な電磁流量計の構成を示すブロック図である。
図8】一般的な電磁流量計の動作(正常状態)を示す信号波形図である。
図9】一般的な電磁流量計の動作(空状態)を示す信号波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
[本実施の形態の構成]
まず、図1を参照して、本実施の形態にかかる電磁流量計1について説明する。図1は、本発明の電磁流量計の構成を示すブロック図である。
【0017】
この電磁流量計1は、全体として検出器1Aと変換器1Bとから構成されており、各種プロセス系において導電性を有する流体の流量を測定する機能を有している。本実施の形態では、電磁流量計1が、2線式の通信回線Wを介してコントローラなどの上位装置(図示せず)との間で、4〜20mAのアナログ直流電流を用いて伝送を行う、2線式電磁流量計である場合を例として説明する。なお、4線式電流計についても、同様にして適用できる。
【0018】
検出器1Aには、主な構成として、測定管P、電極TA,TB、および励磁コイルLが設けられている。
測定管Pは、全体としてステンレスなどの非磁性金属の筒体からなり、その内側に測定対象となる流体が流れる流路を構成する。
励磁コイルLは、測定管Pの外側に対向して配置された一対のコイルからなり、変換器1Bから供給された交流励磁電流に応じて、流路を流れる流体の流れ方向に対して直交する方向に磁界を発生させる機能を有している。
【0019】
電極TA,TBは、励磁コイルLで発生した磁界の方向と直交する方向に対向して、測定管Pの内壁に、流路を流れる流体と接液するよう配置された一対の電極からなり、磁界による流体への励磁に応じて当該流体に発生した起電力E0を検出し、変換器1Bへ出力する機能を有している。
なお、測定管Pの電位は、接地端子TGを介して変換器1Bの接地電位と接続されている。
【0020】
変換器1Bには、主な回路部として、励磁回路10、交流増幅回路11、サンプルホールド回路(SH)12、A/D変換器13、制御回路14、通信回路15、電源回路16、および表示器17に加えて、帯域減衰フィルタ(BEF)21、サンプルホールド回路(SH)22、およびA/D変換器23が設けられている。
【0021】
励磁回路10は、所定の励磁周波数を持つ交流励磁電流を検出器1Aに供給する機能を有している。
交流増幅回路11は、検出器1Aで得られた起電力E0を容量素子Cを介して入力し、この起電力E0を交流増幅し、交流流量信号E1として出力する機能を有している。
【0022】
サンプルホールド回路(第1のサンプルホールド回路)12は、制御回路14からのサンプリング制御信号SH1,SH2に基づいて、交流流量信号E1の正側波形および負側波形のうち、波形が安定している特定期間の電圧をサンプルホールドし、直流流量信号(第1の直流流量信号)V1として出力する機能を有している。
A/D変換器13は、直流流量信号V1の電圧値をA/D変換して制御回路14へ出力する機能を有している。
【0023】
帯域減衰フィルタ21は、交流流量信号E1のうち、例えば商用電源周波数の成分など、空状態の際に起電力E0に混入するノイズの周波数成分を減衰し、交流流量信号E2として出力する機能を有している。
図2は、帯域減衰フィルタの回路構成例である。ここでは、ツインT型のノッチ・フィルタを用いるとともに、帰還系にもオペアンプを用いた回路例が示されている。
図3は、帯域減衰フィルタの周波数特性例である。ここでは、図2の回路構成例のゲインに関する周波数特性が示されており、商用電源周波数である50Hzで、40dB程度の減衰が得られていることが分かる。
【0024】
サンプルホールド回路(第2のサンプルホールド回路)22は、制御回路14からのサンプリング制御信号SH1,SH2に基づいて、交流流量信号E1の正側波形および負側波形のうち、波形が安定している特定期間の電圧をサンプルホールドし、直流流量信号(第2の直流流量信号)V2として出力する機能を有している。
A/D変換器23は、直流流量信号V2の電圧値をA/D変換して制御回路14へ出力する機能を有している。
【0025】
制御回路14は、全体としてCPUとその周辺回路からなり、メモリ(図示せず)からプログラムを読み込んで実行することにより、各種の処理を実行する機能を有している。制御回路14が実行する主な処理として、励磁制御処理、サンプリング制御処理、流量計測値算出処理、通信制御処理、および空検知処理がある。
【0026】
励磁制御処理は、所定の励磁周波数に基づいて、励磁回路10を駆動する処理である。サンプリング制御処理は、励磁周波数に基づきサンプリング制御信号SH1,SH2を生成してサンプルホールド回路12,22へ出力する処理である。流量計測値算出処理は、直流流量信号V1の電圧値に基づいて、流量計測値を算出する機能である。通信制御処理は、算出した流量計測値を、通信回路15から通信回線Wを介して上位装置へ通知する処理である。
【0027】
空検知処理は、A/D変換器13からの直流流量信号V1とA/D変換器14からの直流流量信号V2との電圧比を、しきい値と比較することにより、検出器1Aの測定管Pが空状態であるか否かを判定し、空状態と判定した場合は、通信回路15から通信回線Wを介して上位装置へアラームを通知する処理である。
【0028】
通信回路15は、通信回線Wを介して上位装置と通信を行うことにより、流量計測値やアラームなどの情報を通知する機能を有している。
電源回路16は、通信回線Wを介して上位装置から供給された電源を通信回路15から受け取って、変換器1B内の各回路部へ分配する機能を有している。
表示器17は、LCDやLEDなどの表示素子からなり、制御回路14からの指示に応じて、計測電流値や空検知結果などの各種情報を表示する機能を有している。
【0029】
[第1の実施の形態の動作]
次に、図4および図5を参照して、本実施の形態にかかる電磁流量計1の動作について説明する。図4は、本発明の電磁流量計の動作(正常状態)を示す信号波形図である。図5は、本発明の電磁流量計の動作(空状態)を示す信号波形図である。ここでは、空状態において起電力E0に商用電源周波数の成分がノイズとして混入する場合を例として説明する。
【0030】
励磁回路10は、制御回路14の励磁制御処理に基づいて、所定の励磁周波数の交流励磁電流を検出器1Aの励磁コイルLに供給する。
励磁コイルLは、この交流励磁電流に応じて、流路を流れる流体の流れ方向に対して直交する方向に磁界を発生させる。これにより、測定管Pを流れる流体に、流量に応じた大きさの起電力E0が発生する。
流体が電極TA,TBに接している正常状態の場合、電極TA,TBは、流体に発生した起電力E0を検出し、変換器1Bへ出力する。
【0031】
変換器1Bの交流増幅回路11は、容量素子Cによる静電容量結合を介して入力された検出器1Aからの起電力E0を交流増幅し、交流流量信号E1として出力する。
サンプルホールド回路12は、制御回路14のサンプリング制御処理で出力されたサンプリング制御信号SH1,SH2に基づいて、交流流量信号E1の正側波形および負側波形のうち、波形が安定している特定期間の電圧をサンプルホールドし、直流流量信号V1として出力する
A/D変換器13は、直流流量信号V1の電圧値をA/D変換して制御回路14へ出力する。
【0032】
一方、帯域減衰フィルタ21は、交流増幅回路11からの交流流量信号E1のうち、商用電源周波数の成分を減衰し、交流流量信号E2として出力する。
サンプルホールド回路22は、制御回路14からのサンプリング制御信号SH1,SH2に基づいて、交流流量信号E2の正側波形および負側波形のうち、波形が安定している特定期間の電圧をサンプルホールドし、直流流量信号V2として出力する
A/D変換器23は、直流流量信号V2の電圧値をA/D変換して制御回路14へ出力する。
【0033】
したがって、正常状態の場合、図4に示すように、励磁周波数と同期した起電力E0が得られるため、直流流量信号V1と直流流量信号V2の両方が、流量に応じた電圧値を示すことになる。
一方、空状態の場合、図5に示すように、励磁周波数と同期した起電力E0が得られず、起電力E0に商用電源周波数の成分が混入する。このため、商用電源周波数成分を減衰させていないV1は、不安定ながら、ある程度の電圧値を示すものの、商用電源周波数成分を減衰させたV2は、V1より大幅に小さい電圧値を示すものとなる。
【0034】
この後、制御回路14は、A/D変換器13から取得した直流流量信号V1の電圧値と、A/D変換器23から取得した直流流量信号V2の電圧値とに基づいて、空検知処理を実行する。
図6は、本発明の空検知処理を示すフローチャートである。
【0035】
空検知処理において、制御回路14は、まず、A/D変換器13から直流流量信号V1を取得するとともに(ステップ100)、A/D変換器23から直流流量信号V2を取得する(ステップ101)。
次に、制御回路14は、直流流量信号V1で直流流量信号V2を除算することにより、V1とV2との電圧比を計算し、この電圧比を予め設定されているしきい値Rthと比較する(ステップ102)。
【0036】
ここで、電圧比がRth以上である場合(ステップ102:YES)、商用周波数成分を減衰したV2が、商用周波数成分の減衰していないV1と比較して、ある程度の大きさを有していることから、正常状態であると判定し(ステップ103)、一連の空検知処理を終了する。
【0037】
したがって、空検知処理により正常状態と判定した場合、制御回路14は、流量計測値算出処理により、A/D変換器13から取得した直流流量信号V1の電圧値に基づいて流量計測値を算出し、通信制御処理により、通信回路15で4〜20mAのアナログ直流電流に変換した後、通信回線Wを介して上位装置へ通知する。また、その時点で空状態であった場合、制御回路14は、通信回路15から通信回線Wを介した上位装置へのアラーム通知を停止する。
【0038】
一方、電圧比がRth未満である場合(ステップ102:NO)、V2がV1に比較して、極めて小さい値を示していることから、空状態であると判定し(ステップ104)、一連の空検知処理を終了する。
【0039】
したがって、空検知処理により空状態と判定した場合、制御回路14は、流量ゼロを示す流量値(固定)を、通信回路15で4〜20mAのアナログ直流電流に変換した後、通信回線Wを介して上位装置へ通知する。また、制御回路14は、通信回路15から通信回線Wを介して上位装置へアラーム発生を通知する。
【0040】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、帯域減衰フィルタ21が、交流流量信号(第1の交流流量信号)E1のうちからノイズ成分を減衰させることにより交流流量信号(第2の交流流量信号)E2を出力し、サンプルホールド回路(第2のサンプルホールド回路)22が、交流流量信号E2をサンプリングすることにより直流流量信号(第2の直流流量信号)V2を出力し、制御回路14が、直流流量信号(第1の直流流量信号)V1と直流流量信号V2との電圧比を、所定のしきい値Rthと比較することにより、流体が電極TA,TBに接していない空状態であるか否かを判定するようにしたものである。
【0041】
これにより、正常状態である場合には、交流流量信号E1,E2がほぼ同じ電圧値を示すのに対して、空状態である場合には、起電力E0に商用電源周波数の成分などのノイズ成分が混入し、交流流量信号E1に比べて交流流量信号E2の電圧値が低下するため、空状態であると検出される。
したがって、帯域減衰フィルタ21とサンプルホールド回路22を追加するだけで、空状態を検知することができ、消費電力の増加を抑制しつつ、空状態を正確に検知することが可能となる。
【0042】
また、本実施の形態では、しきい値を任意に設定することができるため、電磁流量計1が設置されている環境や、流量を測定する流体の種類などの要因で、空状態のときに起電力Eに混入するノイズ成分の大きさが変化する場合でも、しきい値を調整することにより、空状態を適切に検知することができる。
【0043】
また、本実施の形態では、帯域減衰フィルタ21で減衰させる周波数を50Hzの商用電源周波数とした場合を例として説明したがこれに限定されるものではなく、商用電源周波数が60Hzの地域では、60Hz成分を減衰させればよい。また、帯域フィルタで減衰させる周波数を55Hzとすれば、判定精度がやや悪化するが、商用電源周波数が50Hzか60Hzかを問わず、すなわち使用地域に関係なく安定して空状態の検出が可能となる。
【0044】
また、商用電源周波数以外の周波数のノイズが混入する場合には、当該ノイズの周波数成分を減衰させればよい。なお、帯域減衰フィルタ21を回路ではなくソフトウェアで実現してもよく、これにより減衰させる周波数を任意に選択することができ、商用電源周波数の変更、さらには商用電源周波数以外の周波数のノイズが発生する場合にも、柔軟に対応できる。
【0045】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0046】
1…電磁流量計、1A…検出器、1B…変換器、10…励磁回路、11…交流増幅回路、12…サンプルホールド回路(第1のサンプルホールド回路)、13…A/D変換器、14…制御回路、15…通信回路、16…電源回路、17…表示器、21…帯域減衰フィルタ、22…サンプルホールド回路(第2のサンプルホールド回路)、23…A/D変換器、P…測定管、TA,TB…電極、L…励磁コイル、E0…起電力、E1…交流流量信号(第1の交流流量信号)、E2…交流流量信号(第2の交流流量信号)、V1…直流流量信号(第1の直流流量信号)、V2…直流流量信号(第2の直流流量信号)、SH1,SH2…サンプリング制御信号。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9