(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
帯状の金属製薄板からなるフープ材及び帯状の軟質材からなるフィラー材を重ねて渦巻状に形成された本体部と、前記本体部の内周に形成され前記フープ材のみが巻かれた内周空巻き部と、前記本体部の外周に形成され前記フープ材のみが巻かれた外周空巻き部とを有するガスケット本体と、
前記ガスケット本体の内周空巻き部の径方向内方に配置され、前記内周空巻き部の内周面に係脱可能な内輪爪部が外周面に形成された内輪と、
前記ガスケット本体の外周空巻き部の径方向外方に配置され、前記外周空巻き部の外周面に係脱可能な外輪爪部が内周面に形成された外輪とを備えた渦巻形ガスケットであって、
前記内周空巻き部及び外周空巻き部の巻き数が、5〜10巻きに設定され、
前記内周空巻き部の内周面と、前記内輪の外周面における前記内輪爪部を除く部分との間に所定の第1隙間が形成され、
前記外周空巻き部の外周面と、前記外輪の内周面における前記外輪爪部を除く部分との間に所定の第2隙間が形成されており、
前記内輪の軸方向の厚さ及び前記外輪の軸方向の厚さは、互いに略同一でありかつ前記ガスケット本体の軸方向の厚さよりも薄く形成されており、
前記第1隙間及び第2隙間は、前記ガスケット本体の軸方向の厚さと、前記内輪又は外輪の軸方向の厚さとの差の0.5〜1.0倍に設定されていることを特徴とする渦巻形ガスケット。
前記第1隙間及び第2隙間は、前記ガスケット本体の軸方向の厚さが前記内輪又は外輪の軸方向の厚さになるまで当該ガスケット本体が圧縮されたときに、前記内周空巻き部の内周面が前記内輪の外周面に当接するとともに、前記外周空巻き部の外周面が前記外輪の内周面に当接するように設定されている請求項1に記載の渦巻形ガスケット。
前記圧縮されたときの前記ガスケット本体の圧縮密度は、前記圧縮される前の前記ガスケット本体の非圧縮密度よりも、当該非圧縮密度を基準として20〜50%大きい請求項2に記載の渦巻形ガスケット。
【背景技術】
【0002】
従来から、気体や液体などの流体の流路を構成する配管の接続箇所等における対向するシール面間には、流体の漏洩を防止すべく、渦巻形ガスケットが配設されている。この渦巻形ガスケットとしては、
図6及び
図7に示すように、帯状の金属製薄板からなるフープ材101と、膨張黒鉛又はフッ素樹脂等の軟質材からなる帯状のフィラー材102とを重ね合わせ、渦巻状に巻回されてなる環状のガスケット本体103と、このガスケット本体103の内周及び外周に取り付けられた補強リング部材としての内輪104及び外輪105とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この渦巻形ガスケットは、対向するシール面201間に装着されて使用される。この際、これらシール面201同士を互いに近づけるように締め付け、ガスケット本体103にその軸方向両端面から所定の締め付け圧を作用させることで、両シール面201間のシール性を確保するようになっている。
また、前記内輪104及び外輪105は、ガスケット本体103にそれぞれ着脱可能に取り付けるために、ガスケット本体103の近傍にて周方向に沿って所定間隔毎に設けられた複数の内輪爪部104a及び外輪爪部105aを有している。この内輪爪部104a及び外輪爪部105aは、ガスケット本体103側に押し出されることにより当該ガスケット本体103に係止される。これにより、ガスケット本体103が寿命に至ると、そのガスケット本体103のみを交換することで、内輪104及び外輪105を再利用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ガスケット本体103は、その装着時において対向するシール面201により締め付けられて軸方向に圧縮されるため、ガスケット本体103の内周側は、径方向内方に膨らむように弾性変形して内輪104の外周面を押圧する。これと同様に、ガスケット本体103の外周側は、径方向外方に膨らむように弾性変形して外輪105の内周面を押圧する。このため、締め付け圧が過大になると、ガスケット本体103の押圧力が増大して内輪104及び外輪105が変形し、これら内輪104及び外輪105を再利用することができなくなるという問題があった。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、ガスケット本体に過大な締め付け圧が作用することにより、内輪及び外輪が変形するのを抑制することができる渦巻形ガスケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の渦巻形ガスケットは、帯状の金属製薄板からなるフープ材及び帯状の軟質材からなるフィラー材を重ねて渦巻状に形成された本体部と、前記本体部の内周に形成され前記フープ材のみが巻かれた内周空巻き部と、前記本体部の外周に形成され前記フープ材のみが巻かれた外周空巻き部とを有するガスケット本体と、前記ガスケット本体の内周空巻き部の径方向内方に配置され、前記内周空巻き部の内周面に係脱可能な内輪爪部が外周面に形成された内輪と、前記ガスケット本体の外周空巻き部の径方向外方に配置され、前記外周空巻き部の外周面に係脱可能な外輪爪部が内周面に形成された外輪とを備えた渦巻形ガスケットであって、前記内周空巻き部及び外周空巻き部の巻き数が、5〜10巻きに設定され、前記内周空巻き部の内周面と、前記内輪の外周面における前記内輪爪部を除く部分との間に所定の第1隙間が形成され、前記外周空巻き部の外周面と、前記外輪の内周面における前記外輪爪部を除く部分との間に所定の第2隙間が形成されていることを特徴としている。
【0007】
本発明によれば、ガスケット本体の内周空巻き部及び外周空巻き部は、その巻き数を5〜10巻きとして多めに巻かれているので、ガスケット本体が対向するシール面により締め付けられた際に、内周空巻き部が径方向内方に膨らむとともに外周空巻き部が径方向外方に膨らむのを抑制することができる。また、内周空巻き部の内周面と内輪の外周面との間に第1隙間を形成し、かつ外周空巻き部の外周面と外輪の内周面との間に第2隙間を形成したので、ガスケット本体が対向するシール面により締め付けられた際に、ガスケット本体が径方向内方及び径方向外方に膨らむのを前記第1隙間分及び第2隙間分だけ許容することができる。これにより、ガスケット本体の内周面が内輪の外周面を径方向内方に押圧する押圧力、及びガスケット本体の外周面が外輪の内周面を径方向外方に押圧する押圧力を低減することができるため、ガスケット本体に過大な締め付け圧が作用したとしても、前記押圧力に起因して内輪及び外輪が変形するのを効果的に抑制することができる。その結果、内輪及び外輪の再利用率を高めることができる。
【0008】
また、前記内輪の軸方向の厚さ及び前記外輪の軸方向の厚さは、互いに略同一でありかつ前記ガスケット本体の軸方向の厚さよりも薄く形成されており、前記第1隙間及び第2隙間は、前記ガスケット本体の軸方向の厚さと、前記内輪又は外輪の軸方向の厚さとの差の0.5〜1.0倍に設定されているのが好ましい。
この場合、第1隙間及び第2隙間を、ガスケット本体が径方向内方及び径方向外方に膨らむのを許容する適切な長さに設定することができるため、内輪及び外輪に作用する押圧力を効果的に低減することができる。
【0009】
また、前記第1隙間及び第2隙間は、前記ガスケット本体の軸方向の厚さが前記内輪又は外輪の軸方向の厚さになるまで当該ガスケット本体が圧縮されたときに、前記内周空巻き部の内周面が前記内輪の外周面に当接するとともに、前記外周空巻き部の外周面が前記外輪の内周面に当接するように設定されているのが好ましい。
この場合、ガスケット本体の軸方向の厚さが内輪又は外輪の軸方向の厚さになるまでガスケット本体が過度に圧縮された場合でも、内輪及び外輪に作用する押圧力を効果的に低減することができる。
【0010】
また、前記圧縮されたときの前記ガスケット本体の圧縮密度は、前記圧縮される前の前記ガスケット本体の非圧縮密度よりも、当該非圧縮密度を基準として20〜50%大きいのが好ましい。この場合、内輪及び外輪に作用する押圧力をさらに効果的に低減することができる。
【0011】
また、前記非圧縮密度が3.0〜5.0g/cm
3であり、前記圧縮密度が4.0〜6.0g/cm
3であることが好ましい。この場合、内輪及び外輪に作用する押圧力をさらに効果的に低減することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の渦巻形ガスケットによれば、ガスケット本体に過大な締め付け圧が作用しても、内輪及び外輪が変形するのを効果的に抑制することができ、内輪及び外輪の再利用率を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の渦巻形ガスケットの実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る渦巻形ガスケットの平面図である。また、
図2は、その渦巻形ガスケットの使用状態を示す
図1のA−A矢視断面図である。
図1において、この渦巻形ガスケット1は、環状のガスケット本体12と、このガスケット本体12の内周側に着脱可能に取り付けられた補強リング部材としての内輪13と、ガスケット本体12の外周側に着脱可能に取り付けられた補強リング部材としての外輪14とを備えている。
【0015】
図2に示すように、渦巻形ガスケット1は、例えば配管の接続箇所において互いに対向する一対のフランジ2のシール面2a間に装着される。そして、渦巻形ガスケット1は、これらシール面2a同士を互いに近づけるように締め付け、ガスケット本体12に軸方向両側から所定の締め付け圧Wを作用させることで、両シール面2a間のシール性を確保するようになっている。
【0016】
ガスケット本体12は、本体部12aと、本体部12aの内周に形成された内周空巻き部12bと、本体部12aの外周に形成された外周空巻き部12cとによって構成されている。本体部12aは、帯状の金属(ステンレス鋼等)製薄板からなるフープ材15と、そのフープ材15と同一幅の軟質材(膨張黒鉛等)からなる帯状のフィラー材16とを重ね合わせて渦巻状に巻回して構成されている。
【0017】
内周空巻き部12b及び外周空巻き部12cは、フィラー材16を介装せずにフープ材15のみを巻いて形成されており、その巻き数は5〜10巻きに設定されている。内周空巻き部12bの内周面には、その周方向に沿って径方向外側に凹設したV字溝12b1が形成されており、外周空巻き部12cの外周面には、その周方向に沿って径方向外側に膨出した山形の膨出部12c1が形成されている。そして、内周空巻き部12b及び外周空巻き部12cの各端部をそれぞれ重なり合う内周空巻き部12b及び外周空巻き部12cにスポット溶接等により固着することで、全体として1個の環状のガスケット本体12を構成している。
【0018】
図3(a)は
図1のB−B矢視断面図であり、
図3(b)は
図1のC−C矢視断面図である。
図3(a)において、内輪13は、冷間圧延鋼板やステンレス鋼板などの金属材を用いて環状に形成されており、ガスケット本体12の内周空巻き部12bの径方向内方に配置されている。内輪13の外周には、その全周に亘って面取り加工が施されており、これにより内輪13の外周面に突条13aが周方向に沿って延設されている。
内輪13の外周面には、例えば周方向等間隔に配置された8個のL字状の内輪切欠部13b(
図1参照)と、各内輪切欠部13bに隣接して配置された単一の内輪爪部13cとが形成されている。
【0019】
内輪爪部13cは、ガスケット本体12の内周空巻き部12bの内周面に係脱可能に係合されている。具体的には、各内輪切欠部13bに隣接する内輪爪部13cの先端は、周方向1つおきに、径方向外方(ガスケット本体12側)に押し出されている(
図1参照)。そして、内輪爪部13cのガスケット本体12に対向する面に形成された突条13aが、ガスケット本体12の内周空巻き部12bに形成されたV字溝12b1に係合することで、内輪13とガスケット本体12とが一体化されている。
なお、本実施形態では、内輪切欠部13bの周方向1つおきに内輪爪部13cが押し出されているが、周方向全ての内輪切欠部13bに隣接する内輪爪部13cを押し出すようにしてもよい。
【0020】
図3(b)において、外輪14は、内輪13と同様、冷間圧延鋼板やステンレス鋼板などの金属材を用いて環状に形成されており、ガスケット本体12の外周空巻き部12cの径方向外方に配置されている。外輪14の内周には、ガスケット本体12の膨出部12c1に適合するようV字溝14aが周方向に沿って延設されている。
外輪14の内周面には、例えば周方向等間隔に配置された8個のT字状の外輪切欠部14b(
図1参照)と、各外輪切欠部14bに隣接して2個づつ配置された外輪爪部14cとが形成されている。
【0021】
外輪爪部14cは、ガスケット本体12の外周空巻き部12cの外周面に係脱可能に係合されている。具体的には、各外輪切欠部14bに隣接する2個の外輪爪部14cの各先端は、周方向1つおきに、径方向内方(ガスケット本体12側)に押し出されている(
図1参照)。そして、外輪爪部14cのガスケット本体12に対向する面に形成されたV字溝14aに、ガスケット本体12の膨出部12c1が係合することで、外輪14とガスケット本体12とが一体化されている。
【0022】
なお、本実施形態では、外輪切欠部14bの周方向1つおきに2個の外輪爪部14cが押し出されているが、周方向全ての外輪切欠部14bに隣接する外輪爪部14cを押し出したり、各外輪切欠部14bに隣接する2個の外輪爪部14cのいずれか一方のみを押し出したりしてもよい。
【0023】
上記のように構成された渦巻形ガスケット1は、内輪爪部13c及び外輪爪部14cによって、ガスケット本体12に内輪13及び外輪14を容易に組み立てることができる。これにより、寿命が尽きたガスケット本体12を新品のものに簡単に交換でき、その結果、内輪13及び外輪14を有効に再利用することができる。
【0024】
図4は、渦巻形ガスケット1を対向するシール面2a間に装着する前(圧縮前)の状態を示す
図1のD−D矢視断面図である。
図4において、内輪13の軸方向の厚さt2及び外輪14の軸方向の厚さt3は、互いに略同一に設定されており、かつガスケット本体12の軸方向の厚さt1よりも薄く形成されている。したがって、前記シール面2a同士を締め付けてガスケット本体12に締め付け圧Wを作用させるとき、
図2に示すように、各シール面2aが内輪13及び外輪14の軸方向両端面に当接しない程度にガスケット本体12を軸方向に圧縮させることにより、前記締め付け圧Wは適正な値となる。
ここで、「略同一」とは、内輪13の厚さt2及び外輪14の厚さt3が、互いに同一となる場合だけでなく、互いに多少異なる値も含む意味である。なお、本実施形態では、前記厚さt2,t3が互いに同一に設定されている場合について説明する。
【0025】
ところで、渦巻形ガスケット1を使用する際、
図5に示すように、対向するシール面2a同士を過度に締め付けることによって、ガスケット本体12の厚さt1が内輪13の厚さt2(外輪14の厚さt3。以下、同様)になるまで、すなわち各シール面2aが内輪13及び外輪14の軸方向両端面に当接するまでガスケット本体12が圧縮される場合がある。この場合、ガスケット本体12に過大な締め付け圧Wが作用するため、ガスケット本体12は径方向内方及び径方向外方に膨らむようにさらに弾性変形する。本実施形態における渦巻形ガスケット1は、このような弾性変形が生じても、内輪13の外周面及び外輪14の内周面にガスケット本体12からの押圧力が作用するのを抑制する構成となっている。
【0026】
具体的には、
図4に示すように、ガスケット本体12の内周空巻き部12bの内周面と、内輪13の外周面における内輪切欠部13b及び内輪爪部13cを除く部分との間には、所定の第1隙間S1が形成されている。また、ガスケット本体12の外周空巻き部12cの外周面と、外輪14の内周面における外輪切欠部14b及び外輪爪部14cを除く部分との間には、所定の第2隙間S2が形成されている。
【0027】
第1隙間S1及び第2隙間S2は、ガスケット本体12の厚さt1と内輪13の厚さt2との差(t1−t2)の0.5〜1.0倍に設定されている。より好ましくは、第1隙間S1及び第2隙間S2は、
図5に示すように、ガスケット本体12の厚さt1が内輪13の厚さt2になるまでガスケット本体12が圧縮されたときに、内周空巻き部12bの内周面が内輪13の外周面に当接するとともに、外周空巻き部12cの外周面が外輪14の内周面に当接するように設定されているのが良い。本実施形態では、前記差(t1−t2)は1.5mmであるため、第1隙間S1及び第2隙間S2は、0.75〜1.5mmの範囲内で設定される。
【0028】
また、本実施形態における渦巻形ガスケット1は、前記押圧力が作用するのを抑制するために、対向するシール面2aによって圧縮されたときのガスケット本体12の圧縮密度σbが従来のガスケット本体の圧縮密度よりも小さくなるように構成されている。
具体的には、前記圧縮密度σbは、対向するシール面2aによって圧縮される前のガスケット本体12の非圧縮密度σaよりも、当該非圧縮密度σaを基準として20〜50%大きくなるように設定されている。より好ましくは、非圧縮密度σaは3.0〜5.0g/cm
3の範囲内、圧縮密度σbは4.0〜6.0g/cm
3の範囲内に設定されているのが良い。
【0029】
前記非圧縮密度σaは、例えば、ガスケット本体12の本体部12aを渦巻状に巻回するときの巻き上げ荷重を調整することにより設定することができる。本実施形態では、ガスケット本体12の本体部12aを渦巻状に巻回するときの巻き上げ荷重が従来の巻き上げ荷重よりも小さくなるように、本体部12aを緩めに巻回している。これにより、前記非圧縮密度σaを上述の範囲内に設定することができる。
なお、本実施形態の渦巻形ガスケット1は、対向するシール面2aによって圧縮されたときのガスケット本体12の圧縮密度σbが従来のガスケット本体の圧縮密度よりも小さくなるように構成されているが、当該圧縮されたときのガスケット本体12の圧縮率が、従来のガスケット本体の圧縮率よりも高くなるように構成されていてもよい。
【0030】
上記のように構成された本実施形態の渦巻形ガスケット1によれば、ガスケット本体12の内周空巻き部12b及び外周空巻き部12cは、その巻き数を5〜10巻きとして多めに巻かれているので、ガスケット本体12が対向するシール面2aにより締め付けられた際に、内周空巻き部12bが径方向内方に膨らむとともに外周空巻き部12cが径方向外方に膨らむのを抑制することができる。また、内周空巻き部12bの内周面と内輪13の外周面との間に第1隙間S1を形成し、かつ外周空巻き部12cの外周面と外輪14の内周面との間に第2隙間S2を形成したので、ガスケット本体12が対向するシール面2aにより締め付けられた際に、ガスケット本体12が径方向内方及び径方向外方に膨らむのを第1隙間S1分及び第2隙間S2分だけ許容することができる。これにより、ガスケット本体12の内周面が内輪13の外周面を径方向内方に押圧する押圧力、及びガスケット本体12の外周が外輪の内周面を径方向外方に押圧する押圧力を低減することができるため、ガスケット本体12に過大な締め付け圧Wが作用したとしても、前記押圧力に起因して内輪13及び外輪14が変形するのを効果的に抑制することができる。その結果、内輪13及び外輪14の再利用率を高めることができる。
【0031】
また、第1隙間S1及び第2隙間S2を、ガスケット本体12の厚さt1と、内輪13の厚さt2との差(t1−t2)の0.5〜1.0倍に設定することにより、第1隙間S1及び第2隙間S2を、ガスケット本体12が径方向内方及び径方向外方に膨らむのを許容する適切な長さに設定することができる。これにより、内輪13及び外輪14に作用する押圧力を効果的に低減することができる。
【0032】
また、第1隙間S1及び第2隙間S2は、ガスケット本体12の厚さt1が内輪13の厚さt2になるまでガスケット本体12が圧縮されたときに、内周空巻き部12bの内周面が内輪13の外周面に当接するとともに、外周空巻き部12cの外周面が外輪14の内周面に当接するように設定されている。これにより、ガスケット本体12の厚さt1が内輪13の厚さt2になるまでガスケット本体12が過度に圧縮された場合でも、内輪13及び外輪14に作用する押圧力を効果的に低減することができる。
【0033】
また、前記圧縮されたときのガスケット本体12の圧縮密度σbは、前記圧縮される前のガスケット本体12の非圧縮密度σaよりも、当該非圧縮密度σaを基準として20〜50%大きく設定することにより、内輪13及び外輪14に作用する押圧力をさらに効果的に低減することができる。
また、ガスケット本体12の非圧縮密度σaを3.0〜5.0g/cm
3とし、圧縮後のガスケット本体12の圧縮密度σbを4.0〜6.0g/cm
3とすることで、内輪13及び外輪14に作用する押圧力をさらに効果的に低減することができる。
【0034】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態における内輪13の厚さt1及び外輪14の厚さt2は、互いに同一に設定されているが、ガスケット本体12の軸方向の厚さt1よりも薄く形成されていれば、互いに多少異なる値に設定されていてもよい。
この場合、第1隙間S1及び第2隙間S2は、厚さが厚い方を用いて設定すればよい。例えばt2<t3の場合、第1隙間S1及び第2隙間S2は、ガスケット本体12の厚さt1と、外輪14の厚さt3との差(t1−t3)の0.5〜1.0倍に設定すればよい。また、第1隙間S1及び第2隙間S2は、ガスケット本体12の厚さt1が外輪14の厚さt3になるまでガスケット本体12が圧縮されたときに、内周空巻き部12bの内周面が内輪13の外周面に当接するとともに、外周空巻き部12cの外周面が外輪14の内周面に当接するように設定すればよい。