特許第5973934号(P5973934)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5973934
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】液位計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/26 20060101AFI20160809BHJP
【FI】
   G01F23/26 A
【請求項の数】15
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-29986(P2013-29986)
(22)【出願日】2013年2月19日
(65)【公開番号】特開2014-159983(P2014-159983A)
(43)【公開日】2014年9月4日
【審査請求日】2015年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 伸博
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−163508(JP,A)
【文献】 特開2011−133426(JP,A)
【文献】 特開2010−210269(JP,A)
【文献】 特開平2−87022(JP,A)
【文献】 特開昭64−12084(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第0259923(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F23/26
F02M37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に貯蔵される液体の液位を計測する液位計測装置であり、
容器内の液体を吸引して液体利用機器に向けて圧送するポンプによって昇圧された液体を、容器内に放出する放出部と、
容器内に位置しており、放出部から放出される液体を受け入れる第1の貯留空間と、
第1の貯留空間に配置され、第1の貯留空間内の液体の液位を計測するための第1の電極対を備える電極部と、を備え、
電極部は、第1の貯留空間を画定する壁面の少なくとも一部を構成する液位計測装置。
【請求項2】
容器内に位置しており、放出部から放出される液体を受け入れる第2の貯留空間と、
第2の貯留空間に配置され、第2の貯留空間内の液体の誘電率を計測するための第2の電極対と、をさらに備え、
第2の貯留空間は、放出部と第1の貯留空間との間に配置されており、第1の貯留空間と連通する、請求項1に記載の液位計測装置。
【請求項3】
第1の電極対の一方の電極は、第2の電極対の一方の電極と共通である、請求項2に記載の液位計測装置。
【請求項4】
電極部は、第1の電極対と第2の電極対とが配置される基板を備える、請求項2又は3に記載の液位計測装置。
【請求項5】
第2の貯留空間は、第1の貯留空間内に位置する、請求項2から4のいずれか一項に記載の液位計測装置。
【請求項6】
第1の電極対は、円筒形状の第1の電極と、第1の電極の内側に配置される円筒形状の第2の電極と、を備え、
第2の貯留空間は、第2の電極の内周面によって画定される、請求項5に記載の液位計測装置。
【請求項7】
第2の貯留空間に収容され、第2の貯留空間内の液体の温度を検出する温度検出部をさらに備える、請求項2から6のいずれか一項に記載の液位計測装置。
【請求項8】
電極部の下方に配置されており、第1の貯留空間を画定する壁面の一部を構成する壁部を備え、
壁部は、第1の貯留空間の内側と第1の貯留空間の外側の容器とを連通する連通孔を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の液位計測装置。
【請求項9】
電極部は、第1の貯留空間を画定する壁面の一部を構成する部分に、第1の貯留空間の内側と第1の貯留空間の外側の容器とを連通する連通孔を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の液位計測装置。
【請求項10】
第1の貯留空間の外側には、連通孔を通過して、第1の貯留空間の内側から第1の貯留空間の外側の容器に液体が流入することを許容すると共に、連通孔を通過して、第1の貯留空間の外側の容器から第1の貯留空間の内側に、液体が流入することを規制する逆止弁を、さらに備える、請求項8又は9に記載の液位計測装置。
【請求項11】
連通孔を通過して、第1の貯留空間の外側の容器から第1の貯留空間の内側に、液体が流入する液体から異物を除去するフィルタを、さらに備える、請求項8から10のいずれか一項に記載の液位計測装置。
【請求項12】
第1の貯留空間の外側に配置され、第1の貯留空間の内側から外側に流出する液体を貯留する第3の貯留空間を画定する貯留ケースをさらに備え、
貯留ケースは、第3の貯留空間の内側と容器内と連通する開口部を備える、請求項8から11のいずれか一項に記載の液位計測装置。
【請求項13】
開口部の断面形状は、細長い形状を有する、請求項12に記載の液位計測装置。
【請求項14】
開口部は、容器の底部に向かって開口している、請求項12又は13に記載の液位計測装置。
【請求項15】
貯留ケースには、第3の貯留空間内を流れる液体の流路面積を小さくする堤防部が配置されている、請求項12から14のいずれか一項に記載の液位計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、容器内に貯蔵している液体の液位を計測する液位計測装置を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、燃料タンク内の液面レベルを検出するための液面レベル検出装置が開示されている。液面レベル検出装置は、測定電極とアース電極とを備える。測定電極とアース電極とは、液位よりも下方にある部分は燃料中に浸漬し、実際液位よりも上方にある部分は燃料から露出する。このため、測定電極とアース電極との静電容量は、液面レベルによって変化する。液面レベル検出装置は、測定電極とアース電極との静電容量を検出することによって、液面レベルを検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−223624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
容器内の電極対の静電容量は、容器内の液位によって変化すると共に、液体の誘電率によっても変化する。例えば、容器内の液体が2種類以上の液体が混合された混合液体である場合、各種類の液体が不均質に分布するために、電極対が液体に浸漬している部分における液体の誘電率が不均質に分布する。この状況では、液体の誘電率が不均質によって、液位の計測誤差が生じる。
【0005】
本明細書では、液位を計測するための電極対の周囲の液体の誘電率が不均質に分布することを抑制する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書では、容器に貯蔵される液体の液位を計測する液位計測装置が開示される。液位計測装置は、放出部と第1の貯留空間と電極部とを備える。放出部は、容器内の液体を吸引して液体利用機器に向けて圧送するポンプによって昇圧された液体を、容器内に放出する。第1の貯留空間は、容器内に位置しており、放出部から放出される液体を受け入れる。電極部は、第1の貯留空間に配置され、第1の貯留空間内の液体の液位を計測するための第1の電極対を備える。電極部は、第1の貯留空間を画定する壁面の少なくとも一部を構成する。
【0007】
上記の液位計測装置では、ポンプで攪拌されて放出部から放出された液体が、第1の貯留空間に受け入れられる。このため、第1の貯留空間内の液体は、ポンプによって、均質化される。これにより、第1の電極対の周囲の液体の誘電率が、不均質に分布することを抑制することができる。第1の電極対の周囲に、誘電率が不均質な液体が存在することによって、第1の電極対の静電容量が、変動することを抑制することができる。この結果、第1の電極対の静電容量を用いて、適切に液位を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施例の燃料タンク周辺の構成を示す。
図2】第2実施例の計測部の構成を示す。
図3】第3実施例の計測部の構成を示す。
図4】第4実施例の液位計測部と誘電率計測部の構成を示す。
図5】第5実施例の液位計測部と誘電率計測部の構成を示す。
図6】第6実施例の液位計測部と誘電率計測部の構成を示す。
図7図6のVII-VII断面の断面図を示す。
図8】第6実施例の変形例の液位計測部と誘電率計測部の構成を示す。
図9】第5,6実施例の変形例の液位計測部と誘電率計測部の構成を示す。
図10】第7実施例の計測部の構成を示す。
図11】第8実施例の計測部の構成を示す。
図12】第8実施例の変形例の計測部の構成を示す。
図13】第9実施例の液位計測部の構成を示す。
図14】第9実施例の変形例の液位計測部の構成を示す。
図15図14のXV-XV断面の断面図を示す。
図16】第10実施例の液位計測部と誘電率計測部の構成を示す。
図17】第10実施例の変形例の液位計測部と誘電率計測部の構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
【0010】
(特徴1)液位計測装置は、容器内に位置しており、放出部から放出される液体を受け入れる第2の貯留空間と、第2の貯留空間に配置され、第2の貯留空間内の液体の誘電率を計測するための第2の電極対と、をさらに備えていてもよい。第2の貯留空間は、放出部と第1の貯留空間との間に配置されており、第1の貯留空間と連通してもよい。この構成によれば、第2の電極対を用いて、第1の貯留空間に流入する液体の誘電率を計測することができる。また、第1の電極対を用いて容器内の液体の液位を計測するためには、第1の貯留空間内の液位を、容器内の液位に伴って変動させるために、第1の貯留空間と容器内とを連通しなければならない。一方において、第2の電極対を用いて容器内の液体の誘電率を計測するためには、第2の貯留空間内の液位の変動を抑制する必要がある。放出部と第1の貯留空間と第2の貯留空間とを、連通させる場合、放出部と第1の貯留空間との間に第2の貯留空間を配置する構成では、放出部と第2の貯留空間との間に第1の貯留空間を配置する構成と比較して、第2の貯留空間を第1の貯留空間に対して自由に配置することができる。
【0011】
(特徴2)第1の電極対の一方の電極は、第2の電極対の一方の電極と共通であってもよい。この構成によれば、電極の個数を削減し、液位計測装置を小型化することができる。
【0012】
(特徴3)電極部は、第1の電極対と第2の電極対とが配置される基板を備えていてもよい。この構成によれば、第1の電極対と第2の電極対とに別個の基板が設けられる構成と比較して、液位計測装置を小型化することができる。
【0013】
(特徴4)第2の貯留空間は、第1の貯留空間内に位置していてもよい。この構成では、第2の貯留空間の周囲には、第1の貯留空間内が存在する。この構成によれば、第2の電極対を用いて液体の誘電率を計測する際に、外部の環境によって、第2の電極対の静電容量が変動することを抑制し得る。
【0014】
(特徴5)第1の電極対は、円筒形状の第1の電極と、第1の電極の内側に配置される円筒形状の第2の電極と、を備えていてもよい。第2の貯留空間は、第2の電極の内周面によって画定されてもよい。この構成によれば、第2の貯留空間を、第1の貯留空間内に容易に配置することができる。
【0015】
(特徴6)第2の貯留空間に収容され、第2の貯留空間内の液体の温度を検出する温度検出部をさらに備えていてもよい。液体の誘電率は、液体の温度によって変動する場合がある。例えば、液体の誘電率が、温度と液体中の特定の物質の濃度とによって変動する場合に、液体の温度を検出することによって、特定の物質の濃度を検出し得る。
【0016】
(特徴7)電極部の下方に配置されており、第1の貯留空間を画定する壁面の一部を構成する壁部を備えていてもよい。壁部は、第1の貯留空間の内側と外側とを連通する連通孔を備えていてもよい。この構成によれば、第1の貯留空間の内側と外側によって、液位が相違することを抑制し得る。
【0017】
(特徴8)電極部は、第1の貯留空間を画定する壁面の一部を構成する部分に、第1の貯留空間の内側と外側とを連通する連通孔を備えていてもよい。この構成によれば、第1の貯留空間の内側と外側によって、液位が相違することを抑制し得る。
【0018】
(特徴9)液位計測装置は、第1の貯留空間の外側には、連通孔を通過して、第1の貯留空間の内側から外側に液体が流入することを許容すると共に、連通孔を通過して、第1の貯留空間の外側から内側に、液体が流入することを規制する逆止弁を、さらに備えていてもよい。この構成によれば、放出部から放出された液体以外の液体が、連通孔から第1の貯留空間に浸入することを抑制することができる。
【0019】
(特徴10)液位計測装置は、連通孔を通過して、第1の貯留空間の外側から内側に、液体が流入する液体から異物を除去するフィルタを、さらに備えていてもよい。この構成によれば、連通孔を介して、第1の貯留空間の外側から内側に液体が流入する場合に、液体中の異物が、第1の貯留空間に侵入することを抑制することができる。
【0020】
(特徴11)液位計測装置は、第1の貯留空間の外側に配置され、第1の貯留空間の内側から外側に流出する液体を貯留する第3の貯留空間を画定する貯留ケースをさらに備えていてもよい。貯留ケースは、第3の貯留空間の内側と容器内と連通する開口部を備えていてもよい。ポンプが駆動すると、第3の貯留空間には、第1の貯留空間から放出された液体が充満する。一方、容器に液体が供給されると、容器内の液位が第1の貯留空間の液位よりも高くなり、容器内の液体が、第1の貯留空間に向かって流れる。容器内から第1の貯留空間に向かう液体は、第3の貯留空間に流入する。第3の貯留空間に充満する液体は、容器内から第1の貯留空間に向かう液体に押されて、第1の貯留空間に浸入する。即ち、容器内から第1の貯留空間に向かう液体が、直接的に第1の貯留空間に浸入することを抑制することができる。この結果、ポンプによって攪拌されていない容器内の液体が、第1の貯留空間に浸入することを抑制することができる。
【0021】
(特徴12)開口部の断面形状は、細長い形状を有していてもよい。この構成によれば、第3の貯留空間に異物が侵入することを抑制することができる。
【0022】
(特徴13)開口部は、容器の底部に向かって開口していてもよい。この構成によれば、第3の貯留空間に、容器内から液体が浸入することを抑制することができる。
【0023】
(特徴14)貯留ケースには、第3の貯留空間内を流れる液体の流路面積を小さくする堤防部が配置されていてもよい。この構成によれば、第3の貯留空間に異物が侵入することを抑制することができる。
【実施例】
【0024】
(第1実施例)
本実施例の液位計測装置2は、自動車等に載置される。液位計測装置2は、燃料タンク10内に配置される。図1は、第1実施例の燃料タンク10周辺の構成を示す。燃料タンク10内に、燃料ポンプ30が収容されている。燃料ポンプ30は、低圧フィルタ32でろ過した燃料をポンプ本体34内に吸引し、吸引した燃料を高圧フィルタ36でろ過し、ろ過された加圧燃料をパイプ94に送り出す。パイプ94には、プレッシャーレギュレータ42が接続されている。プレッシャーレギュレータ42は、プレッシャーレギュレータ42内の燃料の圧力が所定圧以上になると、パイプ94内の過剰な燃料を、燃料タンク10に放出する。これにより、パイプ94内の燃料の圧力を一定圧力に調整する。燃料タンク10内の燃料は、燃料ポンプ30とプレッシャーレギュレータ42によって一定の圧力に調整されて、吐出ポート12から、エンジン(図示省略)に圧送される。
【0025】
燃料ポンプ30は、ベーパジェット38を備える。ベーパジェット38は、燃料ポンプ30内の燃料流路と燃料ポンプ30の外側の燃料タンク10とを連通する。ベーパジェット38は、燃料ポンプ30内の燃料の気泡を、燃料ポンプ30外に排出するための連通路である。ベーパジェット38から、燃料ポンプ30で昇圧された燃料が放出される。
【0026】
燃料ポンプ30は、リザーブカップ20内に配置されている。リザーブカップ20は、支柱22によってセットプレートに固定されている。リザーブカップ20の底部にはジェットポンプ(図示省略)が配置されている。ジェットポンプは、燃料ポンプ30から圧送されてプレッシャーレギュレータ42から放出された燃料の流速を利用してリザーブカップ20外の燃料をリザーブカップ20内に送り込む。例えば、ベンチユリー構造を備えており、ベンチュリーをプレッシャーレギュレータ42から放出された燃料が通過する際に、リザーブカップ20外の燃料をジェットポンプに吸引し、リザーブカップ20外から吸引した燃料をプレッシャーレギュレータ42から放出された燃料と共にリザーブカップ20内に送り込む。リザーブカップ20とジェットポンプを備えていると、燃料タンク10内の燃料残量が少ない場合でも、燃料ポンプ30の周辺の液位を高く保つことができる。
【0027】
液位計測装置2は、制御装置80と、誘電率計測部60と、液位計測部70と、放出パイプ82を備える。放出パイプ82の一方の端は、ベーパジェット38に接続され、放出パイプ82の他方の端は、誘電率計測部60に接続されている。ベーパジェット38から放出される燃料は、放出パイプ82を通過して、誘電率計測部60に到達する。
【0028】
誘電率計測部60は、リザーブカップ20の上方に配置されている。誘電率計測部60の上端は、燃料タンク10の上端付近に位置する。誘電率計測部60は、一対の電極64,66と、上壁69と、下壁61とを備える。電極64は、円筒形状を有する。電極64は、導線54を介して接地されている。電極64の下端は、下壁61によって閉塞されている。電極64の上端は、上壁69によって閉塞されている。誘電率計測部60では、電極64と上壁69と下壁61とによって、貯留空間63が画定されている。電極64の内周面は、貯留空間63を画定する壁面の一部を構成する。貯留空間63には、電極66が収容されている。電極66は、円柱形状を有する。電極64と電極66とは、間隔を開けて対向している。電極66は、導線54と制御装置80を介して外部電源に接続されている。
【0029】
下壁61は、放出パイプ82と貯留空間63とを連通する連通孔62を備える。ベーパジェット38から放出された燃料は、放出パイプ82と連通孔62を通過して、貯留空間63に受け入れられる。燃料は、上壁69に到達するまで貯留空間63に貯留される。この構成によれば、貯留空間63を、燃料で充満することができる。上壁69は、貯留空間63と連結パイプ52とを連通する連通孔68を備える。貯留空間63に燃料が充満している状態で、ベーパジェット38から貯留空間63に燃料が受け入れられると、貯留空間63内の燃料は、連通孔68を介して、連結パイプ52に流出する。
【0030】
連結パイプ52の一方の端は、誘電率計測部60に接続されており、連結パイプ52の他方の端は、液位計測部70に接続されている。貯留空間63から放出される燃料は、連結パイプ52を通過して、液位計測部70に到達する。
【0031】
液位計測部70は、一対の電極74,76と、上壁71と、下壁79とを備える。電極74は、円筒形状を有する。電極74は、導線56を介して接地されている。電極74は、燃料タンク10の底面近傍まで、燃料タンク10の深さ方向に伸びている。電極74の下端は、下壁79によって閉塞されている。電極74の上端は、上壁71によって閉塞されている。液位計測部70では、電極74と上壁71と下壁79とによって、貯留空間73が画定されている。電極74の内周面は、貯留空間73を画定する壁面の一部を構成する。貯留空間73には、電極76が収容されている。電極76は、円柱形状を有する。電極74と電極76とは、間隔を開けて対向している。電極76は、導線56と制御装置80を介して外部電源に接続されている。
【0032】
電極74は、電極74の下端近傍であって、下壁79よりも上方に位置する複数個の貫通孔78を有する。複数の貫通孔78は、電極74を貫通する。貫通孔78は、貯留空間73と電極74外のタンク空間4とを連通する。なお、本明細書では、燃料タンク10内の空間のうち、各貯留空間73等の外側であって、かつ、リザーブカップ20の外側の空間を、タンク空間4と呼ぶ。
【0033】
下壁79の下端面は、燃料タンク10の底面に当接している。電極対74,76は、下壁79によって、燃料タンク10に支持されている。また、電極対74,76は、下壁79によって、燃料タンク10の底面に対して位置決めされている。上壁71は、貯留空間73と連結パイプ52とを連通する連通孔72を備える。貯留空間63から溢れた燃料は、連結パイプ52と連通孔72を通過して、貯留空間73に受け入れられる。貯留空間73は、貫通孔78を介して、タンク空間4と連通する。このため、貯留空間73内の燃料の液位は、タンク空間4内の燃料の液位と一致する。なお、図示省略するが、上壁71には、貯留空間73とタンク空間4とを連通する連通孔が形成されている。
【0034】
制御装置80は、予め決められた周期(例えば、10Hz〜3MHz)の信号(交流電圧)を、電極66,76のそれぞれに供給する。なお、電極66,76に供給される信号は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。制御装置80は、電極対64,66と電極対74,76とを用いて、燃料タンク10内の燃料の液位を計測する。
【0035】
具体的には、最初に、制御装置80は、電極対64,66の静電容量を計測する。燃料ポンプ30が作動している間、ベーパジェット38から燃料が放出される。このため、貯留空間63は、燃料で充満している。即ち、電極対64,66の間には、燃料が充満している。このため、電極対64,66の静電容量は、電極対64,66の間の燃料の誘電率に相関して変動する一方、電極対64,66の静電容量は、燃料タンク10内の液位の高低によっては変動しない。制御装置80には、計測された電極対64,66の静電容量を、燃料の誘電率に変換するための回路が実装されている。
【0036】
次に、制御装置80は、電極対74,76の静電容量を計測する。貯留空間73の燃料の液位は、タンク空間4内の燃料の液位と一致する。燃料と燃料タンク10内の気体との誘電率が異なるため、貯留空間73の燃料の液位、即ち、電極対74,76の間の燃料の液位に相関して、電極対74,76の静電容量は変動する。さらに、電極対74,76の静電容量は、燃料の誘電率に相関して変動する。制御装置80は、計測された電極対74,76の静電容量と、計測済みの燃料の誘電率とを、燃料の液位に変換するための回路が実装されている。なお、制御装置80は、特定された燃料の液位を、自動車の表示装置に出力する。
【0037】
貯留空間73内には、燃料ポンプ30で攪拌されてベーパジェット38から放出された燃料が導入される。このため、貯留空間73内の燃料は、燃料ポンプ30によって均質化されている。この構成によれば、電極対74,76の周囲の燃料の誘電率が、不均質に分布することを抑制することができる。これにより、電極対74,76の静電容量を用いて、適切に液位を計測することができる。同様に、貯留空間63内の燃料は均質化されているため、電極対64,66の静電容量を用いて、貯留空間73内に流入する燃料の誘電率を、適切に計測することができる。
【0038】
燃料タンク10に供給される燃料が、ガソリンとエタノールとの混合燃料である場合がある。混合燃料中のガソリンとエタノールとの比率が異なると、混合燃料の誘電率が変化する。混合燃料が燃料タンク10に残存する状態で、ガソリンとエタノールとの比率が異なる混合燃料が、燃料タンク10に供給される場合がある。この場合、混合燃料が供給された直後では、燃料タンク10内に、誘電率の異なる混合燃料が不均質に存在する。上記の液位計測装置2によれば、燃料タンク10内に、誘電率の異なる混合燃料が不均質に存在するであっても、液位を適切に計測することができる。
【0039】
また、上記の構成では、電極64,74は、計測対象の燃料を貯留する貯留空間63,73を画定する壁面の一部を構成する。この構成によれば、貯留空間63,73を画定するための壁面全体を、個別に設けずに済む。
【0040】
また、貯留空間63は、放出パイプ82と貯留空間73との間に配置されている。電極対74,76を用いて液位を計測するためには、貯留空間73内の液位を、タンク空間4の液位に伴って変動させるために、貯留空間73をタンク空間4と連通しなければならない。一方において、電極対64,66を用いて燃料の誘電率を計測するためには、貯留空間63内の液位の変動を抑制する必要がある。放出パイプ82と貯留空間63と貯留空間73とを、連通させる場合、貯留空間63を貯留空間73の下流に配置する構成では、貯留空間63を貯留空間73の下方に配置しなければならない。一方、液位計測装置2のように、放出パイプ82と貯留空間73との間に、貯留空間63を配置する場合、貯留空間63を比較的に自由に配置することができる。
【0041】
以下の各実施例では、各計測部60,70以外の構成は、第1実施例と同様であるため、図示及び説明を省略する。
【0042】
(第2実施例)
図2に示すように、液位計測装置2は、計測部100を備える。計測部100は、3個の電極104,106,112と、上壁101と、仕切り壁108と、下壁115とを備える。
【0043】
電極104は、円筒形状を有する。電極104は、接地されている。電極104は、燃料タンク10の底部付近から上端付近まで伸びている。電極104の下端は、下壁115によって閉塞されている。電極104の上端は、上壁101によって閉塞されている。電極104は、上壁101と下壁115のそれぞれに形成されている溝に嵌合することによって、上壁101と下壁115とに支持されている。計測部100では、電極104と上壁101と下壁115とによって、空間が画定されている。電極104と上壁101と下壁115とによって画定される空間は、仕切り壁108によって、2個の貯留空間103,113に分割している。貯留空間103は、電極104と上壁101と仕切り壁108とによって画定されている。電極104の内周面は、貯留空間103を画定する壁面の一部を構成する。貯留空間113は、電極104と下壁115と仕切り壁108とによって画定されている。電極104の内周面は、貯留空間113を画定する壁面の一部を構成する。
【0044】
貯留空間103は、仕切り壁108の上方に位置する。貯留空間103には、電極106が収容されている。電極106は、円柱形状を有する。電極106は、上壁101と仕切り壁108のそれぞれに形成されている凹部に嵌合することによって、上壁101と仕切り壁108とに支持されている。これにより、電極104と電極106との位置関係が維持される。電極104と電極106とは、間隔を開けて対向している。電極106は、外部電源に接続されている。上壁101は、放出パイプ82と貯留空間103とを連通する連通孔102を備える。ベーパジェット38から放出された燃料は、放出パイプ82と連通孔102を通過して、貯留空間103に受け入れられる。
【0045】
貯留空間113は、仕切り壁108の下方に位置する。貯留空間113には、電極112が収容されている。電極112は、円柱形状を有する。電極112は、下壁115と仕切り壁108のそれぞれに形成されている凹部に嵌合することによって、下壁115と仕切り壁108とに支持されている。これにより、電極104と電極112との位置関係が維持される。電極104と電極112とは、間隔を開けて対向している。電極112は、外部電源に接続されている。仕切り壁108は、貯留空間103と貯留空間113とを連通する連通孔110を備える。貯留空間103の燃料は、連通孔110を介して、貯留空間113に流入する。下壁115の下端面は、燃料タンク10の底面に当接している。電極104の下端近傍であって、下壁79よりも上方には、電極104の周壁を貫通する複数の貫通孔114が形成されている。貯留空間113は、貫通孔114を介して、タンク空間4と連通する。このため、貯留空間113内の燃料の液位は、タンク空間4の燃料の液位と一致する。
【0046】
本実施例では、電極対104,106の静電容量を用いて、燃料の誘電率を計測し、電極対104,112の静電容量を用いて、液位を計測する。この構成によれば、第1の実施例と同様に、これにより、電極対104,112の静電容量を用いて、適切に液位を計測することができる。
【0047】
また、本実施例では、燃料の誘電率を計測するための電極対104,106と、液位を計測するための電極対104,112とで、共通の電極104が設けられている。このため、電極の個数を削減することができ、液位計測装置を小型化することができる。
【0048】
(第3実施例)
第2実施例と異なる点を説明する。第2実施例では、燃料の誘電率を計測するための電極対104,106と、液位を計測するための電極対104,112とで、共通の電極104が設けられている。図3に示すように、本実施例では、燃料の誘電率を計測するための電極対124,126と、液位を計測するための電極対132,126とで、共通の電極126が設けられている。なお、上壁121と下壁135のそれぞれは、上壁101と下壁115のそれぞれと同様の構成を有する。
【0049】
電極124は、円筒形状を有する。電極124は、接地されている。電極124は、燃料タンク10の上端付近から、仕切り壁128まで伸びている。電極124の下端は、仕切り壁128によって閉塞されている。電極124の上端は、上壁121によって閉塞されている。計測部120では、電極124と上壁121と仕切り壁128によって、貯留空間123が画定されている。電極124の内周面は、貯留空間123を画定する壁面の一部を構成する。
【0050】
貯留空間123には、電極126の上側の一部が収容されている。電極126は、円柱形状を有する。電極124と電極126とは、間隔を開けて対向している。電極126は、外部電源に接続されている。電極126は、上壁121から仕切り壁128を貫通して、下壁135まで伸びている。
【0051】
仕切り壁128の下方には、電極132が配置されている。電極132は、円筒形状を有し、接地されている。電極132は、仕切り壁128から下壁135まで伸びている。電極132の下端は、下壁135によって閉塞されている。電極132の上端は、仕切り壁128によって閉塞されている。計測部120では、電極132と下壁135と仕切り壁128によって、貯留空間133が画定されている。電極132の内周面は、貯留空間133を画定する壁面の一部を構成する。電極132と電極126とは、間隔を開けて対向している。貯留空間133は、連通孔130を介して、貯留空間123に連通している。
【0052】
ベーパジェット38から放出された燃料は、放出パイプ82と上壁121の連通孔122を通過して、貯留空間123に受け入れられる。貯留空間123内の燃料は、連通孔130を通過して、貯留空間133に受け入れられる。貯留空間133は、電極132の貫通孔134を介して、タンク空間4と連通されている。このため、貯留空間133内の燃料の液位は、タンク空間4の燃料の液位と一致する。
【0053】
この構成によれば、第1の実施例と同様に、電極対126,132の静電容量を用いて、適切に液位を計測することができる。また、本実施例では、燃料の誘電率を計測するための電極対124,126と、液位を計測するための電極対126,132とで、共通の電極126が設けられている。このため、電極の個数を削減することができ、液位計測装置を小型化することができる。
【0054】
(第4実施例)
図4に示すように、本実施例では、誘電率計測部140と液位計測部150とは、隣接している。誘電率計測部140は、誘電率計測部60の一対の電極64,66と下壁61と同様に、一対の電極144,146と下壁141とを備える。液位計測部150は、液位計測部70の一対の電極74,76と下壁79と同様に、一対の電極154,156と下壁160とを備える。電極154の外周面と電極144の外周面とは、接触している。
【0055】
誘電率計測部140と液位計測部150とは、共通の上壁147を備える。上壁147は、電極144の上端を閉塞すると共に、電極154の上端を閉塞する。誘電率計測部140では、一対の電極144,146と下壁141と上壁147によって、貯留空間143が画定されている。液位計測部150では、一対の電極154,156と下壁160と上壁147によって、貯留空間153が画定されている。
【0056】
ベーパジェット38から放出された燃料は、放出パイプ82と連通孔142を通過して、貯留空間143に受け入れられる。貯留空間143の燃料は、連通孔148と連結パイプ150を通過して、貯留空間153に受け入れられる。貯留空間153の燃料は、連通孔158を通過して、タンク空間4に放出される。
【0057】
この構成によっても、第1実施例と同様に、適切に液位を計測することができる。
【0058】
(第5実施例)
図5に示すように、誘電率計測部170の一対の電極174,176と液位計測部190の一対の電極176,178のそれぞれは、平板形状を有する。一対の電極174,176と一対の電極176,178とは、共通の電極176を備える。電極174は、電極176の一方の面と、間隔を開けて対向している。電極178は、電極176の他方の面と、間隔を開けて対向している。なお、電極174,178のそれぞれは、外部電源に接続され、電極176は接地されている。
【0059】
誘電率計測部170では、一対の電極174,176の対向面と、下壁180の上面と、上壁172の下面と、図示省略した側壁の対向面とによって、貯留空間173が画定されている。側壁は、一対の電極174,176と下壁180と上壁172とによって形成される開口部を閉塞する。液位計測部190では、一対の電極176,178の対向面と、下壁188の上面と、上壁172の下面と、図示省略した側壁の対向面とによって、貯留空間183が画定されている。側壁は、一対の電極176,178と下壁188と上壁172とによって形成される開口部を閉塞する。貯留空間173と貯留空間183とは、電極176によって隔てられており、電極176の上端付近に形成された連通孔184を介して連通している。
【0060】
ベーパジェット38から放出された燃料は、放出パイプ82と連通孔182を通過して、貯留空間173に受け入れられる。貯留空間183の燃料は、連通孔184を通過して、貯留空間183に受け入れられる。貯留空間183の燃料は、電極176,178のそれぞれに形成されている連通孔186を通過して、電極176,178外の燃料タンク10内に放出される。
【0061】
この構成によっても、第1実施例と同様に、適切に液位を計測することができる。また、電極174〜178を平板形状にすることによって、誘電率計測部170、液位計測部190を小型化することができる。
【0062】
(第6実施例)
図6に示すように、誘電率計測部200は、電極部212と、ケース204とを備える。ケース204は、上端に開口を有する直方体形状を有する。ケース204の上端は、蓋202によって閉塞されている。ケース204には、電極部212が収容されている。電極部212は、基板212cと、基板212c上に配置される一対の電極212a,212bとを有する。一対の電極212a,212bでは、基板212c上において、櫛歯状電極212a,212bが向かい合っている一対の電極が形成されている。図7に示すように、基板212cは、ケース204の内周面に接着されている。誘電率計測部200では、ケース204の内周面と基板212cの一方の面と蓋202の下面によって、貯留空間213が画定されている。図6に示すように、貯留空間213は、ケース204の底壁に形成された連通孔206を介して、放出パイプ82に連通している。
【0063】
液位計測部220は、電極部214と、ケース217とを備える。ケース217は、上端に開口を有する直方体形状を有する。ケース217は、ケース204と一体に形成されている。ケース217の上端は、蓋202によって閉塞されている。ケース217の上端は、ケース204と同一の高さに位置し、ケース217の下端は、ケース204の下端を越えて、燃料タンク10の底面に当接している。ケース217には、電極部214が収容されている。電極部214は、基板210と、基板210上に配置される電極対214a,214bとを有する。一対の電極214a,214bでは、基板210上において、櫛歯状電極214a,214bが向かい合っている一対の電極が形成されている。図7に示すように、基板210は、ケース217の内周面に接着されている。液位計測部220では、ケース217の内周面と基板210の一方の面と蓋202の下端面によって、貯留空間219が画定されている。図7に示すように、貯留空間219は、ケース204とケース217との隔壁に形成された連通孔218を介して、貯留空間213に連通している。また、貯留空間219は、ケース217の下端付近の側面に形成された連通孔216を介して、ケース217外の燃料タンク10内と連通している。
【0064】
ベーパジェット38から放出された燃料は、放出パイプ82と連通孔206を通過して、貯留空間213に受け入れられる。貯留空間213の燃料は、連通孔218を通過して、貯留空間219に受け入れられる。貯留空間219の燃料は、連通孔216を通過して、ケース217外の燃料タンク10内に放出される。
【0065】
この構成によっても、第1実施例に、適切に液位を計測することができる。なお、変形例では、ケース217は、基板212cの電極対212a,212bが形成されている面と反対側の面に接着されているケース217の側壁を備えていなくてもよい。同様に、ケース217は、基板210の電極対214a,214bが形成されている面と反対側の面に接着されているケース217の側壁を備えていなくてもよい。言い換えると、基板210,212cは、ケース217の側壁を構成していてもよい。
【0066】
(第6実施例の変形例)
電極部212,214は、図8に示すように、基板212cの一対の電極212a,212bが配置される面と、基板210の一対の電極214a,214bが配置される面とが、対向するように配置されていてもよい。あるいは、基板212c、210の一方が、図7のように配置され、基板212c、210の他方が、図8のように配置されていてもよい。あるいは、基板212cの一対の電極212a,212bが配置されていない面と、基板210の一対の電極214a,214bが配置されていない面とが、ケース204とケース217との隔壁217aを挟んで、対向するように配置されていてもよい。
【0067】
(第5,6実施例の変形例)
第5実施例では、各電極174〜178は、平板形状を有する。第6実施例では、各電極212a,212b,214a,214bは、櫛歯形状を有する。しかしながら、図9に示すように、誘電率計測部200は、櫛歯電極212a,212bを備える電極部212を備えていてもよい。液位計測部220は、平板電極176,178を備えていてもよい。あるいは、誘電率計測部200は、平板電極174,176を備えていてもよい。液位計測部220は、櫛歯電極214a,214bを備える電極部214を備えていてもよい。
【0068】
(第7実施例)
図10に示すように、計測部260は、3個の電極266,268,270と、上壁262と、下壁264とを備える。電極266は、円筒形状を有する。電極266は、燃料タンク10の上端付近から底面まで伸びている。電極266は、外部電源に接続されている。電極266の上端は上壁262で閉塞され、電極266の下端は下壁264で閉塞されている。電極266の内面と上下壁262,264の内面とによって、貯留空間263が画定されている。
【0069】
貯留空間263には、一対の電極268,270が収容されている。電極268は、電極266よりも小径の円筒形状を有する。電極268は、燃料タンク10の上端付近から底面まで伸びている。電極268は、接地されている。電極268の上端は上壁262で閉塞され、電極268の下端は下壁264で閉塞されている。電極268の内周面と上下壁262,264の内面とによって、貯留空間265が画定されている。即ち、貯留空間265は、貯留空間263に収容されている。
【0070】
貯留空間265には、電極270が収容されている。電極270は、円柱形状を有する。電極270は、燃料タンク10の上端付近から底面まで伸びている。電極270は、外部電源に接続されている。なお、3個の電極266,268,270は、上下壁262,264に嵌合することによって、位置決めされている。
【0071】
上壁262には、放出パイプ82と貯留空間265とを連通する連通孔276が配置されている。貯留空間265は、電極268の上端付近に形成された複数個の連通孔274を介して、貯留空間263と連通している。貯留空間263は、電極266の下端付近に形成された複数個の連通孔272を介して、タンク空間4に連通している。
【0072】
ベーパジェット38から放出された燃料は、放出パイプ82と連通孔276を通過して、貯留空間265に受け入れられる。貯留空間265に燃料が充填されると、燃料は、連通孔274を介して、貯留空間263に流入する。貯留空間263は、電極266の下端付近、即ち、燃料タンク10の下端付近で、連通孔272を介して、燃料タンク10に連通している。このため、計測部260では、貯留空間265には、燃料が充填されており、貯留空間263には、電極266外の燃料タンク10の液位と同一の液位の燃料が貯留さている。
【0073】
即ち、一対の電極268,270の静電容量は、燃料の誘電率に相関する一方、燃料の液位に相関しない。一方、一対の電極266,268の静電容量は、燃料の誘電率と、液位の両方に相関する。制御装置80は、一対の電極266,268の静電容量と燃料の誘電率とを用いて、燃料の液位を計測する。
【0074】
この構成によっても、第1実施例と同様に、適切に液位を計測することができる。
【0075】
また、貯留空間265は、貯留空間263内に位置する。この構成では、貯留空間263の周囲には、貯留空間265が存在する。この構成によれば、電極対268,270を用いて誘電率を計測する際に、外部の環境(例えば外部からの電波等)によって、電極対268,270の静電容量が変動することを抑制することができる。また、貯留空間265は、電極268の内周面によって画定されている。この構成によれば、貯留空間265を、貯留空間263内に容易に配置することができる。
【0076】
(第8実施例)
図11を参照して、第7実施例と異なる点を説明する。電極268の内側には、円柱部280が収容されている。円柱部280は、電極268の内側空間の上側の一部分以外を埋めている。電極268の内周面と、円柱部280の上端面と、上壁262の下面とによって、貯留空間275が配置されている。貯留空間275には、貯留空間265と同様に、燃料が充満されている。
【0077】
貯留空間275には、有底円筒形状の電極282が収容されている。電極282の内側には、サーミスタ284が収容されている。制御装置80は、サーミスタ284で計測される燃料の温度と、一対の電極282,268の静電容量とを用いて、燃料中のガソリンとエタノールとの比率を計測する。
【0078】
この構成によっても、第7実施例と同様の効果を奏することができる。
【0079】
(第8実施例の変形例)
図12に示されるように、計測部260は、円柱部280に替えて、円柱部280の上端面の同一の位置に、底壁302を備えていてもよい。電極282に替えて、平板形状の電極300を備えていてもよい。サーミスタ284は、貯留空間275に収容されていてもよい。なお、電極300は、電極268と離間していてもよいし、絶縁部材を挟んで接触していてもよい。電極300は、貫通孔を備えていてもよい。電極300に替えて、電極部212を配置してもよい。
【0080】
(第9実施例)
図13に示すように、液位計測装置2は、液位計測部70に替えて、液位計測部400を備える。なお、液位計測装置2は、誘電率計測部60を備える。液位計測部400は、液位計測部70の一対の電極74,76と同様の一対の電極414,416を備える。電極414はケース404に収容される。電極414の外周面は、ケース404の内周面に当接している。言い換えると、電極414の外周面は、ケース404の内周面との間に燃料が浸入しないように、ケース404の内周面と接触していてもよい。電極414の上端は上壁402によって閉塞され、電極414の下端はケース404によって閉塞されている。電極414の内周面と上壁402の下面とケース404の底面とによって、貯留空間413が画定されている。上壁402には、複数個の連通孔418が形成されている。ケース404の底には、複数個の連通孔410が形成されている。連通孔410には、フィルタ412が配置されている。フィルタ412は、例えば、不織布によって作製されている。ケース404の底の下方には、逆止弁406が配置されている。逆止弁406は、通常、連通孔407を開放する。逆止弁406は、燃料が燃料タンク10から貯留空間413に流入する場合、弁体408が連通孔407を閉塞することによって、燃料が燃料タンク10から貯留空間413に流入することを防止する。この構成によれば、燃料ポンプ30によって攪拌されていない燃料が、貯留空間413に流入することを抑制することができる。仮に、逆止弁406を通過して、燃料が燃料タンク10から貯留空間413に流入する場合、燃料は、フィルタ412を通過する。これにより、燃料内の異物が除去され、貯留空間413内に異物が混入することを防止することができる。
【0081】
誘電率計測部60から連結パイプ52と1個の連通孔418とを通過した燃料は、貯留空間413に受け入れられる。なお、複数個の連通孔418のうち、連結パイプ52に接続されていない連通孔418は、貯留空間413とタンク空間4とを連通する。これにより、貯留空間413とタンク空間4との間で、気体が流動する。これにより、貯留空間413内の気圧とタンク空間4の気圧が一致する。貯留空間413の燃料は、連通孔410と逆止弁406とを通過して、燃料タンク10内に放出される。なお、液位計測部400は、逆止弁406とフィルタ412のうちの一方を備えていてもよい。
【0082】
この構成によっても、第1実施例と同様の効果を奏することができる。
【0083】
(第9実施例の変形例)
液位計測装置2は、液位計測部400に替えて、液位計測部420を備えていてもよい。図14に示すように、液位計測部420は、一対の電極424,426と上壁422と下壁429とを備えていてもよい。また、図15に示すように、液位計測部420は、側壁428を備えていてもよい。電極424は、一辺の側面が開放された四角筒形状を有していてもよい。電極424の開放された側面は、側壁428によって閉塞されていてもよい。側壁428は、上壁422と下壁429とを連結していてもよい。電極424と上壁422と下壁429と側壁428とによって、貯留空間433が画定されていてもよい。
【0084】
貯留空間433は、上壁422に形成された連通孔423を介して、連結パイプ52に連通しており、下壁429に形成された連通孔430を介して、貯留空間433外の燃料タンク10内に連通していてもよい。連通孔430は、燃料タンク10の底面に当接する下壁429の下面に開口していてもよい。この構成によれば、タンク空間4から連通孔430を介して、燃料が貯留空間433に流入することを抑制することができる。
【0085】
(第10実施例)
図16に示すように、計測部500は、電極504,506,512と、上壁501と、仕切り壁508と、貯留ケース530とを備える。電極504は、電極104と同様の構成を有する。電極104の上端は上壁501によって閉塞され、電極104の下端は貯留ケース530によって閉塞されている。計測部500では、電極504と上壁501と貯留ケース530とによって、空間が画定されている。電極504と上壁501と貯留ケース530とによって画定される空間は、仕切り壁508によって、2個の貯留空間503,513に分割されている。貯留空間503は、電極504の内周面と上壁501の下面と仕切り壁508上面とによって画定されている。貯留空間513は、電極504の内周面と貯留ケース530の上面と仕切り壁508下面とによって画定されている。
【0086】
仕切り壁508の上方の貯留空間503には、電極512が収容されている。電極512は、電極112と同様の構成を有する。仕切り壁508の下方に位置する貯留空間513には、電極506が収容されている。電極506は、電極106と同様の構成を有する。仕切り壁508は、貯留空間503と貯留空間513とを連通する連通孔510を備える。貯留空間503の燃料は、連通孔510を介して、貯留空間513に流入する。電極504の下端には、貯留ケース530が取り付けられている。貯留ケース530は、貯留空間532を画定する。
【0087】
貯留空間532は、連通部522を介して、貯留空間513と連通する。貯留空間532は、電極504に対して垂直に伸びている。貯留空間532の伸長方向に垂直な断面は、正方形である。貯留ケース530は、貯留空間532と燃料タンク10とを連通する開口部538を有する。開口部538には、突起部536が設けられている。これにより、開口部538は、長方形状に細長く形成されている。なお、変形例では、開口部538は、スリット形状であってもよく、リング状であってもよい。一般的には、開口部538は、燃料内の異物が通過することを抑制する程度に細く形成されている。貯留空間532の中間位置には、堤防部534が形成されている。堤防部534は、貯留空間532の流路面積を小さくする。
【0088】
貯留空間532には、貯留空間513から連通部522を介して放出された燃料が貯留される。即ち、貯留空間532には、燃料ポンプ30で攪拌された燃料で充満する。燃料ポンプ30の停止中に、燃料タンク10に燃料が供給されると、タンク空間4の燃料の液位が上昇する。この結果、燃料タンク10内の燃料が、開口部538を通過して、貯留空間532内に流入する。これにより、貯留空間532内の燃料は、貯留空間513に流入する。この構成によれば、燃料タンク10内から貯留空間513に向かう液体が、直接的に貯留空間503,513に浸入することを防止することができる。これにより、燃料ポンプ30によって攪拌されていない燃料が、貯留空間503,513に浸入することを抑制することができる。
【0089】
また、開口部538は、細長い形状を有する。このため、燃料タンク10内の燃料が貯留空間532内に流入する場合に、燃料内の異物が貯留空間532内に侵入することを抑制することができる。堤防部534によって、燃料内の異物が、堤防部534を越えて、貯留空間532内に侵入することを抑制することができる。この構成によれば、貯留空間532から貯留空間503,513に燃料が流入する際に、異物が貯留空間503,513に侵入することを抑制することができる。
【0090】
(第10実施例の変形例)
図17に示すように、開口部538は、燃料タンク10の底面に対向する向き、即ち、下向きに形成されていてもよい。この構成によれば、貯留空間532に、燃料タンク10内から燃料が浸入することを抑制することができる。
【0091】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0092】
(変形例)
(1)上記の各実施例では、一対の電極74,76等が、ケースに収容されていてもよい。この場合、一対の電極74,76等が、ケースの内周面に当接していてもよい。言い換えると、一対の電極74,76等は、電極74,76等とケースの内周面との間に燃料が浸入しないように、ケースの内周面と接触していてもよい。
【0093】
(2)液位計測装置2は、自動車以外に、自動二輪車等に搭載されていてもよい。また、液位計測装置2は、燃料以外に、例えば、冷却水の液位を計測してもよい。
【0094】
(3)上記の各実施例では、貯留空間73等は、燃料ポンプ30のベーパジェット38から放出される燃料を受け入れている。しかしながら、例えば、貯留空間73等は、プレッシャーレギュレータ42から放出される燃料を受け入れてもよいし、燃料パイプ94から分岐するパイプから放出される燃料を受け入れてもよい。
【0095】
(4)上記の各実施例では、液位計測装置2は、燃料の誘電率を計測するための電極対を備える。しかしながら、液位計測装置2は、燃料の誘電率を計測するための電極対を備えていなくてもよい。例えば、燃料の誘電率が予め決まっており、変動が小さい場合、燃料の誘電率を計測しなくても、液位を適切に計測することができる。
【0096】
(5)液位を計測するための電極は、電極を貫通する貫通孔を備えていてもよい。この構成によれば、電極に燃料が付着することを抑制することによって、計測誤差を抑制することができる。
【0097】
(6)上記の各実施例の電極対は、制御装置80の回路構成を変更することによって、接地される電極と、外部電源に接続される電極とが、逆であってもよい。例えば、第1実施例では、電極64が外部電源に接続されていてもよく、電極66が接地されていていてもよい。
【0098】
(7)上記の各実施例の制御装置80は、電極対の静電容量を計測する。しかしながら、制御装置80は、電極対の一方の電極に電力を供給し、他方の電極から出力される電流等を計測することによって、燃料の誘電率及び液位を計測してもよい。
【0099】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0100】
2:液位計測装置
4:タンク空間
10:燃料タンク
30:燃料ポンプ
38:ベーパジェット
60:誘電率計測部
63,73:貯留空間
64,66,74,76:電極
70:液位計測部
80:制御装置
82:放出パイプ
図1
図2
図3
図4
図5
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