(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5973959
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】面外磁気トンネル接合セルの強磁性自由層の磁化方向を切換える方法、磁気メモリシステムおよびデータを電子的に記憶する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/8246 20060101AFI20160809BHJP
H01L 27/105 20060101ALI20160809BHJP
H01L 29/82 20060101ALI20160809BHJP
H01L 43/08 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
H01L27/10 447
H01L29/82 Z
H01L43/08 Z
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-133942(P2013-133942)
(22)【出願日】2013年6月26日
(62)【分割の表示】特願2011-231948(P2011-231948)の分割
【原出願日】2011年10月21日
(65)【公開番号】特開2013-201458(P2013-201458A)
(43)【公開日】2013年10月3日
【審査請求日】2014年10月8日
(31)【優先権主張番号】12/946,900
(32)【優先日】2010年11月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500373758
【氏名又は名称】シーゲイト テクノロジー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Seagate Technology LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジン・インシク
(72)【発明者】
【氏名】ワン・シャオビン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ルー
(72)【発明者】
【氏名】シー・ハイウェン
【審査官】
小山 満
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−205335(JP,A)
【文献】
特開2009−176948(JP,A)
【文献】
特開2007−266498(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0226167(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0228501(US,A1)
【文献】
特開2009−200260(JP,A)
【文献】
特開2009−158665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/8246
H01L 27/105
H01L 29/82
H01L 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気メモリシステムであって、
強磁性自由層と、障壁層と、強磁性基準層とを有する磁気トンネル接合セルを備え、前記障壁層は、前記強磁性基準層と前記強磁性自由層との間に位置決めされ、前記強磁性自由層および前記強磁性基準層の磁化方向は面外であり、前記磁気メモリシステムはさらに、
前記磁気トンネル接合セルに電気的に接続され、前記磁気トンネル接合セルへのデータのビットの記憶のために、電流の流れる方向が周期的に変化するACスイッチング電流を供給するAC電流源と、
前記磁気トンネル接合セルに電気的に接続され、前記ACスイッチング電流が前記磁気トンネル接合セルに供給されているときにはDC電流を前記磁気トンネル接合セルに通さず、前記磁気トンネル接合セルからのデータの読取時にDC読取電流を前記磁気トンネル接合セルに通すDC電流源とを備え、
前記DC電流源からのDC読取電流の振幅は、前記AC電流源からのACスイッチング電流の振幅未満の振幅を有する、磁気メモリシステム。
【請求項2】
前記強磁性自由層および前記強磁性基準層の磁化方向は垂直である、請求項1に記載の磁気メモリシステム。
【請求項3】
アレイ状に構成された複数の磁気トンネル接合セルをさらに備える、請求項1に記載の磁気メモリシステム。
【請求項4】
各々が前記AC電流源と前記DC電流源とに電気的に接続された、アレイ状に構成された複数の磁気トンネル接合セルをさらに備える、請求項1に記載の磁気メモリシステム。
【請求項5】
データを電子的に記憶する方法であって、
面外磁気トンネル接合メモリセルを提供するステップを備え、前記面外磁気トンネル接合メモリセルは、強磁性自由層と、障壁層と、強磁性基準層とを備え、前記障壁層は、前記強磁性基準層と前記強磁性自由層との間に位置決めされ、前記強磁性自由層および前記強磁性基準層の磁化方向は面外であり、前記方法はさらに、
電流の流れる方向が周期的に変化するACスイッチング電流を前記面外磁気トンネル接合メモリセルに通すステップを備え、前記ACスイッチング電流は、前記強磁性自由層の磁化方向を切換え、それによってデータのビットを記憶し、前記方法はさらに、
DC読取電流を前記面外磁気トンネル接合メモリセルに通して、前記面外磁気トンネル接合メモリセルの抵抗を検知するステップを備え、前記DC読取電流は、前記ACスイッチング電流の振幅未満の振幅を有し、
前記ACスイッチング電流が前記磁気トンネル接合セルに供給されているときには、DC電流を前記磁気トンネル接合セルに通さない、方法。
【請求項6】
前記ACスイッチング電流は、前記強磁性自由層の磁気回転周波数と一致させられる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ACスイッチング電流は、前記面外磁気トンネル接合メモリセルを迂回する磁場を引起す、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ACスイッチング電流は、前記強磁性基準層から前記強磁性自由層に、または、前記強磁性自由層から前記強磁性基準層に通される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記強磁性自由層の磁化方向を二度目に切換えるために、第2のACスイッチング電流を前記面外磁気トンネル接合メモリセルに通すステップをさらに備える、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面外磁気トンネル接合セルの強磁性自由層の磁化方向を切換える方法、磁気メモリシステムおよびデータを電子的に記憶する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
新しいタイプのメモリは、一般に利用されている形態のメモリと競うように大きな可能性を示してきた。たとえば、不揮発性のスピン移動トルクランダムアクセスメモリ(本明細書ではST−RAMと称する)は、「普遍的な」メモリとして扱われてきた。磁気トンネル接合(magnetic tunnel junction)(MTJ)セルは、高速であり、比較的高密度であり、消費電力が少ないので、ST−RAMでの用途で非常に注目されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ほとんどの取組みは、面内磁気異方性を有するMTJセルに的を絞ってきた。面外磁化方向を有するMTJセルは、同じ異方性磁場では面内MTJセルよりも低いスイッチング電流を達成できることが予測される。したがって、面外磁化方向MTJセルおよびそれらを利用する方法は、相当に関心のある分野である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
簡単な概要
本開示は、関連の強磁性層の磁気異方性(すなわち、磁化方向)をウェハ面に垂直にまたは「面外に」位置合わせさせた、しばしば磁気トンネル接合セルと称される磁気スピントルクメモリセル、およびそれらを利用する方法に関する。
【0005】
この開示の1つの特定の実施例は、面外磁気トンネル接合セルの強磁性自由層の磁化方向を切換える方法であって、ACスイッチング電流を上記面外磁気トンネル接合セルに通すステップを含み、上記ACスイッチング電流は、上記強磁性自由層の磁化方向を切換える、方法である。
【0006】
この開示の別の特定の実施例は、磁気メモリシステムであって、強磁性自由層と、障壁層と、強磁性基準層とを有する磁気トンネル接合セルを含み、上記障壁層は、上記強磁性基準層と上記強磁性自由層との間に位置決めされ、上記強磁性自由層および上記強磁性基準層の磁化方向は面外であり、上記磁気メモリシステムはさらに、上記磁気トンネル接合セルに電気的に接続されたAC電流源を含む、磁気メモリシステムである。
【0007】
この開示のさらに別の特定の実施例は、データを電子的に記憶する方法であって、面外磁気トンネル接合メモリセルを提供するステップを含み、上記面外磁気トンネル接合メモリセルは、強磁性自由層と、障壁層と、強磁性基準層とを含み、上記障壁層は、上記強磁性基準層と上記強磁性自由層との間に位置決めされ、上記強磁性自由層および上記強磁性基準層の磁化方向は面外であり、上記方法はさらに、ACスイッチング電流を上記面外磁気トンネル接合セルに通すステップを含み、上記ACスイッチング電流は、上記強磁性自由層の磁化方向を切換え、それによってデータのビットを記憶する、方法である。
【0008】
これらのおよびさまざまな他の特徴および利点は、以下の詳細な説明を読むことによって明らかになる。
【0009】
この開示は、添付の図面に関連してこの開示のさまざまな実施例の以下の詳細な説明を考慮すると、より完全に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1B】任意のピン止め層を含む例示的なMTJセルの概略図である。
【
図1C】低抵抗状態にある面外磁化方向を有する例示的なMTJセルの概略図である。
【
図1D】高抵抗状態にある例示的な磁気トンネル接合メモリセルの概略側面図である。
【
図2A】磁化方向の磁気回転緩和に対する直流(DC)スイッチング電流の影響を示す概略図である。
【
図2B】磁化方向の磁気回転緩和に対する交流(AC)スイッチング電流の影響を示す概略図である。
【
図3】MTJセルとトランジスタとを含む例示的なメモリユニットの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図は、必ずしも一定の比例に応じていない。図で用いられている同様の数字は、同様の構成要素を指している。しかしながら、所与の図においてある構成要素を指すためにある数字を用いることは、同じ数字で標識された別の図の構成要素を限定するように意図するものではないことが理解される。
【0012】
詳細な説明
本開示は、関連の強磁性層の磁化方向をウェハ面に垂直にまたは「面外に」位置合わせさせた磁気異方性を有する磁気トンネル接合(MTJ)セルのさまざまな実施例に向けられる。
【0013】
以下の説明では、その一部を成し、例としていくつかの具体的な実施例を示す添付の図面を参照する。他の実施例が意図され、本開示の範囲または精神から逸脱することなくなされてもよいと理解すべきである。したがって、以下の詳細な説明は限定的な意味で取られるべきではない。本明細書で付与される定義はいずれも、本明細書中で頻繁に用いられる特定の用語の理解を容易にするためのものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0014】
他に指定のない限り、本明細書および特許請求の範囲で用いられている特徴の大きさ、量および物理的特性を表わす数字はすべて、すべての場合に「約」という用語によって修飾されると理解すべきである。したがって、異なる指定がない限り、上記明細書および添付の特許請求の範囲で説明する数値パラメータは、本明細書に開示される教示を利用する当業者が得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。
【0015】
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる際、内容が明らかに他のことを規定しない限り、単数形「a」、「an」および「the」は複数の指示対象を有する実施例を包含する。本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる際、内容が明らかに他のことを規定しない限り、「または」という用語は一般に「および/または」を含む意味で利用される。
【0016】
本開示はそれほど限定的ではないが、以下の例を説明することによってこの開示のさまざまな局面が理解される。
【0017】
図1Aは、面外磁気方向を有する例示的なMTJセル100を示す。MTJセル100は、比較的軟らかい強磁性自由層110と、強磁性基準(たとえば、固定)層140と、酸化物障壁層130とを含む。強磁性自由層110および強磁性基準層140は、酸化物障壁層130または非磁性トンネル障壁によって切離されている。MTJセル100は、強磁性基準層と強磁性自由層との間に酸化物障壁層を位置決めさせたものであるとも説明できる。
【0018】
自由層110および基準層140は各々、関連の磁化方向を有する。層110および140の磁化方向は、層の広がりおよびMTJセル100が形成されるウェハ基板の面に平行でない方向に向けられる。いくつかの実施例では、層110および140の磁化方向は「面外」と称することができる。実施例では、層110および140の磁化方向は「少なくとも実質的に垂直」であり得る。実施例では、層110および140の磁化方向は「垂直」であり得る。自由層110の磁化方向は、基準層140の磁化方向よりも容易に切換え可能である。シード層、キャッピング層または他の層などの他の任意の層がMTJセル100に含まれ得るが、それらはこれらの図には図示されていない。
【0019】
自由層110および基準層140は、たとえばFe、CoまたはNiならびにNiFeおよびCoFeなどのそれらの合金などの任意の有用な強磁性(ferromagnetic)(FM)材料で、独立してできていてもよい。自由層110および基準層140のいずれかまたは両方は、単一の層である場合もあれば、多層である場合もある。自由層および固定層を構成し得る材料の具体例は、TbCoFe、GdCoFeおよびFePtなどの垂直異方性を有する単一の層、Co/Pt Co/Ni多層などの積層した層、ならびに、Co/FeおよびCoFeB合金などの高スピン偏極強磁性材料と積層した垂直異方性材料を含み得る。実施例では、自由層110は、Coなどの高スピン偏極層およびGdFeCoなどの希土類遷移金属合金層を含み得る。実施例では、基準層140は、Coなどの高スピン偏極層およびTbFeCoなどの希土類遷移金属合金層を含んでいてもよい。
【0020】
障壁層130は、たとえば酸化物材料(たとえば、Al2O3、TiOxまたはMgOx)などの絶縁材料または半導体材料でできていてもよい。障壁層130は、単一の層である場合もあれば、別の酸化物または金属と積層した層(たとえば、Mg/MgO二重層)である場合もある。障壁層130は、任意に、プロセス実現性およびデバイス信頼性に応じて、自由層110または基準層140でパターニングされ得る。
【0021】
図1Bは、MTJセルの別の例示的な実施例を示す。このMTJセル101は、基準層140に近接または隣接して配置された任意のピン止め層150を含む。ピン止め層150は、存在する場合には、基準層140の磁化方向を押さえる。いくつかの実施例では、このようなピン止め層150の磁化は0であり得るが、依然として基準層140の磁化方向を押さえることができる。ピン止め層は、存在する場合には、PtMn、IrMnなどの反強磁性的に秩序化された材料(AFM)であってもよい。
【0022】
図1Cは、自由層110の磁化方向が基準層140の磁化方向と同じ方向にある低抵抗状態の磁気トンネル接合メモリセル105を示す。
図1Dでは、磁気トンネル接合セル106は、自由層110の磁化方向が基準層140の磁化方向の反対方向にある高抵抗状態にある。いくつかの実施例では、低抵抗状態は「0」のデータ状態であり得て、高抵抗状態は「1」のデータ状態であり得る。一方、他の実施例では、低抵抗状態は「1」であり得て、高抵抗状態は「0」であり得る。
【0023】
磁気トンネル接合セルの磁気層を通過するスイッチング電流がスピン偏極されて、スピントルクを自由層110上に伝えるときに、スピン移動によって磁気トンネル接合セルの抵抗状態、したがってデータ状態の切換えが行なわれる。十分なスピントルクが自由層110に与えられるときには、自由層110の磁化方向は2つの逆の方向の間で切換えることができ、したがって、磁気トンネル接合セルは低抵抗状態と高抵抗状態との間で切換えることができる。
【0024】
本明細書には、面外磁気トンネル接合セルの強磁性自由層の磁化方向を切換える方法であって、交流スイッチング電流をMTJセルに通すステップを含む方法が開示されている。本明細書において「AC」とも称することができる交流は、電荷(または電子)の移動が周期的に方向を反転させる電流である。MTJセルを介してACスイッチング電流を印加することによって、(上述のスピントルクによって)自由層の磁化方向が切換わる。開示されている実施例では、磁気回転緩和も自由層の磁化方向の切換えを助ける。これによって、より低いスイッチング電流を使用できるようになり、それによって、データをMTJセルに書込むために利用される電力消費をより少なくすることができる。
【0026】
磁気回転緩和に対するDC電流の影響が
図2Aに概略的に示されている。
図2Aに見られるように、DCスイッチング電流は、(実線矢印で示される)自由層の磁化方向を全ての方向に等しく中心から離れるように引張り、それによって、磁気回転緩和の影響を効果的に打消す。逆に、ACスイッチング電流の影響が
図2Bに示されている。
図2Bに見られるように、この場合磁気回転緩和は打消されず、したがって、自由層の磁化方向の切換えを助けることになる。ACスイッチング電流を利用した実施例では、ACスイッチング電流は、
図2Bに見られるように磁気トンネル接合セルを迂回する磁場を引起し得る。引起された磁場は、強磁性自由層の磁化方向の磁気回転緩和を引起し得る。このような磁気回転緩和は、強磁性自由層の切換えに寄与し得る。磁気回転緩和が切換えに寄与するので、より低いスイッチング電流を用いることができ、より低い電力要件で機能し得るメモリをもたらすことができる。
【0027】
実施例では、ACスイッチング電流の周波数は、強磁性自由層の磁気回転周波数と一致させることができる。自由層の磁気回転周波数は、自由層の磁気特性および自由層の幾何学的配置の関数である。磁気回転周波数は一般に、GHz周波数範囲内である。
【0028】
自由層から障壁層を通して基準層まで、または、基準層から障壁層を通して自由層まで、ACスイッチング電流を通すことができる。
【0029】
開示されている方法はさらに、MTJセルの抵抗状態またはデータを読取るまたは検知するステップを任意に含み得る。MTJセルの抵抗状態は、読取電流をMTJセルに通すことによって決定できる。実施例では、読取電流はDC読取電流であり得る。測定または検知された抵抗(または電圧)は、基準抵抗(または電圧)と比較され得る。実施例では、読取電流は、スイッチング電流の振幅未満の振幅を有し得る。実施例では、ACスイッチング電流の振幅未満の振幅を有するDC読取電流は、MTJセルの抵抗を読取るまたは検知するために利用できる。
【0030】
本明細書には、データを電子的に記憶する方法であって、開示されたMTJセルを提供するステップを含む、方法も開示されている。提供するステップは、データを電子的に記憶するためにシステム内にMTJセルを製造する動作、購入する動作、構成する動作、または他の動作を含み得る。上記方法はまた、強磁性自由層の磁化方向を切換えるために、上述のようにACスイッチング電流をMTJセルに通すステップを含み得る。強磁性自由層の磁化方向の切換えは、0(たとえば、自由層が基準層に平行である場合)または1(たとえば、自由層が基準層の反対側にある場合)のデータのビットを記憶するように機能し得る。ACスイッチング電流をMTJに通す方向は、MTJに記憶されるのが0であるか1であるかを規定することになる。
【0031】
このような方法はまた、MTJセルの抵抗を測定または検知するために読取電流をMTJセルに通すステップを含み得る。読取電流をMTJセルに通すことができる前、後、または前後両方で、第2の(および後続の)ACスイッチング電流をMTJセルに(同じ方向または異なる方向に)通すこともできる。
【0032】
図3は、導電性素子340を介して半導体ベースのトランジスタなどのトランジスタ320に電気的に接続されたMTJセル310を含む例示的なメモリユニット300の概略図である。MTJセル310は、本明細書で説明したMTJセルのうちのいずれかであってもよい。トランジスタ320は、ドープ領域(たとえば、n−ドープ領域と示される)と、ドープ領域同士の間のチャネル領域(たとえば、p−ドープチャネル領域と示される)とを有する半導体基板350を含み得る。トランジスタ320は、ワード線WLに電気的に結合されて選択を可能にし、かつ、電流をビット線BLからMTJセル310に流すことができるゲート360を含み得る。
【0033】
プログラム可能な金属化メモリユニットのアレイも、半導体作製技術を利用して半導体基板上に形成できる。
図4は、例示的なメモリアレイ400の概略回路図である。本明細書で説明する複数のメモリユニット450は、アレイ状に配置できて、メモリアレイ400を形成する。メモリアレイ400は、いくつかの平行な導電性ビット線410を含み得る。メモリアレイ400はまた、ビット線410に概して直交するいくつかの平行な導電性ワード線420を含み得る。ワード線420およびビット線410は、メモリユニット450を各交点に配置できるクロスポイントアレイを形成し得る。メモリユニット450およびメモリアレイ400は、従来の半導体作製技術を用いて形成できる。
【0034】
本明細書には、メモリシステムも開示されている。開示されているメモリシステムは、MTJセルと、AC電流源とを含み得る。例示的なシステムが
図5に概略的に示されている。磁気メモリシステム500は、上述のように自由層510と障壁層530と基準層540とを含むMTJセル505を含み得る。システム500はまた、MTJセル505に電気的に接続されたAC電流源501を含み得る。本明細書には示されていないが、トランジスタも任意にMTJセル505に電気的に接続させることができる。このようなシステムはまた、任意に、たとえばアレイ状に構成された複数のMTJセルを含み得る。このような実施例では、複数のMTJセルの各々がAC電流源に電気的に接続され得る。このようなシステムはまた、任意に、MTJセル505(または複数のMTJセルの各々)に電気的に接続されたDC電流源502を含み得る。DC電流源は、MTJセル(または複数のMTJセル)の抵抗を読取るまたは検知するために利用できる。
【0035】
本明細書に開示されているようなMTJセルは、たとえばプラズマ蒸着(plasma vapor deposition)(PVD)、蒸発および分子線エピタキシ(molecular beam epitaxy)(MBE)を含むさまざまな技術を用いて製造できる。
【0036】
本明細書に開示されているようなMTJセルを切換える方法、データを記憶する方法およびメモリシステムは、MRAMの用途で用いることができる。
【0037】
このように、面外磁気トンネル接合セルを切換える方法の実施例が開示されている。上述の実現例および他の実現例は、特許請求の範囲の範囲内である。当業者は、開示されている実施例以外の実施例で本開示を実施できることを理解する。開示されている実施例は、限定の目的ではなく例示を目的として提示されており、本開示は特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0038】
100 MTJセル、110 強磁性自由層、130 障壁層、140 強磁性基準層。