(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一端側に位置しケーブルの端部に対して接続する接続部、及び、別のコンタクトが接触可能な接触部を有し、上記接続部と上記接触部の間に被支持部を有するコンタクトと、
該コンタクトの上記被支持部の外周面の一部を接触状態で支持する第一支持部及び上記接続部を収納する接続部収納部を有する樹脂製のコンタクト支持部材と、
該コンタクト支持部材及び上記コンタクトを受け入れる受容孔、並びに、上記被支持部の外周面の上記一部を除く部分全体を接触状態で支持することで上記第一支持部と共に上記被支持部を支持する第二支持部を有する樹脂製の受容部材と、
上記接続部、上記ケーブルの端部、上記接続部収納部、及び上記受容部材に跨るように形成した、上記接続部及び上記ケーブルの端部を被覆する樹脂製被覆部と、
を備えることを特徴とするケーブル用コネクタ。
【背景技術】
【0002】
ケーブルと電子機器等を接続するためのケーブル用コネクタの従来例としては特許文献1に開示されたものがある。
このケーブル用コネクタは、ケーブルと車載用カメラモジュールを接続するためのものであり、大きな構成要素としてコンタクトと、コンタクト支持部材と、受容部材と、樹脂製被覆部と、を具備している。
コンタクトは、ケーブルの線心の端部に対して圧着する圧着部を一端側に有し、他端側にはカメラモジュールのコンタクトが接触可能な接触部(コンタクト部)を有している。さらに圧着部と接触部の間には被支持部(ベース部)が形成してあり、圧着部からは係止部(係着部)が突出している。
コンタクト支持部材は、係止部(係着部)が圧入(係着)される係止溝(被係着部)と、接触部(コンタクト部)を収納するコンタクト部用凹部と、を備えている。
受容部材は、コンタクト支持部材(及びコンタクト支持部材に支持したコンタクト)を受け入れる受容孔を有している。
樹脂材からなる樹脂製被覆部(コードブッシュ)は、互いに組み付けたコンタクトの圧着部、ケーブルの線心の端部、コンタクト支持部材、及び受容部材に跨るようにして、これら各部材に対して成形(一体成形)したものであり、樹脂製被覆部を成形すると樹脂製被覆部によりコンタクトの圧着部及び線心の端部が被覆される。
【0003】
以上構成のケーブル用コネクタに対して車載用カメラモジュールを接続すると、カメラモジュールのコンタクトピンがコンタクトの接触部に接続する。その結果、車に搭載したバッテリの電力がケーブル用コネクタ(コンタクト)を介してカメラモジュールに供給されるので、カメラモジュールによる撮影(撮像)が可能になる。
【0004】
上記ケーブル用コネクタは車に搭載するものであるため、車の走行中に生じる振動が車からケーブル用コネクタに伝わる。しかし樹脂材からなる樹脂製被覆部によってコンタクトの圧着部、ケーブル(の線心の端部)、コンタクト支持部材、及び受容部材を互いに強固に固定しているので、振動によってケーブル用コネクタの各構成部品が互いに分離したり、コンタクトとケーブルの接続状態(圧着状態)が不安定になるおそれは小さい。
また車載用カメラモジュールは車外(車の表面)に取り付けるものなので、車外の水分(雨水等)がケーブル用コネクタに付着するおそれがある。しかし樹脂製被覆部がコンタクトの圧着部及び線心の端部を被覆しているので、上記水分がコンタクトの圧着部や線心の端部に付着するおそれは小さい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記ケーブル用コネクタでは、樹脂材からなる樹脂製被覆部をコンタクト、ケーブル(の線心の端部)、コンタクト支持部材、及び受容部材に被せているので、樹脂製被覆部の成形時に固化する前の樹脂製被覆部(樹脂材)がコンタクトの被支持部(ベース部)の表面を通って接触部側に流れるおそれがある。
仮に樹脂材が接触部の表面において固化すると、ケーブル用コネクタに対して車載用カメラモジュールを接続したときにカメラモジュールのコンタクトピンがコンタクトの接触部に接続できなくなるおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、コンタクトの接続部、ケーブルの端部、コンタクト支持部材、及び受容部材に対して樹脂材からなる樹脂製被覆部を成形するときに、樹脂材がコンタクトの被支持部の表面を通って接触部側に流れるおそれを効果的に低減できるケーブル用コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のケーブル用コネクタは、一端側に位置しケーブルの端部に対して接続する接続部、及び、別のコンタクトが接触可能な接触部を有し、上記接続部と上記接触部の間に被支持部を有するコンタクトと、該コンタクトの上記被支持部の外周面の一部を接触状態で支持する第一支持部及び上記接続部を収納する接続部収納部を有する樹脂製のコンタクト支持部材と、該コンタクト支持部材及び上記コンタクトを受け入れる受容孔、並びに、上記被支持部の外周面の上記一部を除く部分全体を接触状態で支持する
ことで上記第一支持部と共に上記被支持部を支持する第二支持部を有する樹脂製の受容部材と、上記接続部、上記ケーブルの端部、上記接続部収納部、及び上記受容部材に跨るように形成した、上記接続部及び上記ケーブルの端部を被覆する樹脂製被覆部と、を備えることを特徴としている。
【0009】
上記コンタクト支持部材の上記受容孔と対向する対向表面に、上記受容孔との対向端部が開放しかつその内面が上記第一支持部を構成する、上記被支持部が嵌合可能な第一コンタクト支持溝を形成し、上記受容部材の上記受容孔の内面に、上記対向端部を通して上記第一コンタクト支持溝に嵌合しかつその突出端側の端部が上記第二支持部を構成する支持用突部を突設してもよい。
【0010】
上記コンタクト支持部材の上記受容孔と対向する対向表面に、上記受容孔との対向端部が開放しかつその内面が上記第一支持部を構成する、上記被支持部が嵌合可能な第二コンタクト支持溝を形成し、上記コンタクト支持部材の上記対向表面と、上記第二コンタクト支持溝に嵌合した上記被支持部の表面が同一平面上に位置し、上記受容部材の上記受容孔の内面に、上記コンタクト支持部材の上記対向表面と上記被支持部の上記表面とに接触し、かつその一部が上記第二支持部を構成する接触平面を形成してもよい。
【0011】
上記コンタクト支持部材が、上記コンタクトの延長方向に離間した二つの上記第一支持部を備え、上記受容部材が、上記延長方向に離間し上記各第一支持部とそれぞれ対応する二つの上記第二支持部を備えてもよい。
【0012】
上記コンタクトが、上記コンタクト支持部材に設けた係止溝に対して圧入することにより、該コンタクトを上記コンタクト支持部材に対して固定する係止部を備え、一方の上記第一支持部及び上記第二支持部と他方の上記第一支持部及び上記第二支持部との間に上記係止部を位置させてもよい。
【0013】
上記第一コンタクト支持溝の上記第一支持部と上記支持用突部の上記第二支持部がそれぞれ、一方の上記第一支持部と上記第二支持部を構成し、上記第二コンタクト支持溝の上記第一支持部と上記接触平面の上記第二支持部がそれぞれ、他方の上記第一支持部と上記第二支持部を構成してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、コンタクトの接続部、ケーブルの端部、コンタクト支持部材の接続部収納部、及び受容部材に跨るように樹脂製被覆部を形成し、この樹脂製被覆部によって接続部及びケーブルの端部を被覆している。
そしてコンタクト支持部材の第一支持部でコンタクトの被支持部の外周面の一部を接触状態で支持し、さらに受容部材の第二支持部でコンタクトの被支持部の外周面の上記一部を除く部分全体を接触状態で支持する。即ち、コンタクトの接続部と接触部の間に位置する被支持部の外周面全体にコンタクト支持部材(第一支持部)と受容部材(第二支持部)を接触させている。
そのため、固化する前の(液状の)樹脂製被覆部(樹脂材)がコンタクトの被支持部の表面を通って接触部側に流れるおそれは殆どない。従って、ケーブル用コネクタに対して別のコンタクトを接続したときに、この別のコンタクトとコンタクトの接触部との接触が樹脂材によって妨げられるおそれを殆どなくすことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態のケーブル用コネクタとソケットコネクタの接続状態の前方から見た斜視図である。
【
図2】ケーブル用コネクタとソケットコネクタの接続状態の後方から見た斜視図である。
【
図3】ケーブル用コネクタとソケットコネクタの分離状態の前方から見た斜視図である。
【
図4】ケーブル用コネクタとソケットコネクタの分離状態の後方から見た斜視図である。
【
図7】ケーブルとケーブル用コネクタの前方から見た分解斜視図である。
【
図8】ケーブルとケーブル用コネクタの後方から見た分解斜視図である。
【
図11】コンタクト支持部材の下方から見た斜視図である。
【
図13】
図12のXIII−XIII矢線に沿う断面図である。
【
図15】コンタクト支持部材と1本のコンタクトの前方から見たケーブルを省略して示す斜視図である。
【
図16】コンタクト支持部材に6本のコンタクトを取り付けたときのケーブルを省略して示す前方から見た斜視図である。
【
図17】コンタクト支持部材に6本のコンタクトを取り付けたときのケーブルを省略して示す後方から見た斜視図である。
【
図18】
図16のXVIII−XVIII矢線に沿うケーブルを省略して示す断面図である。
【
図23】
図22のXXIII−XXIII矢線に沿う断面図である。
【
図24】
図23のXXIV−XXIV矢線に沿う断面図である。
【
図26】
図23のXXVI−XXVI矢線に沿う断面図である。
【
図29】受容部材に対してコンタクト支持部材及びコンタクトを取り付けた組付体の後方から見たケーブルを省略して示す斜視図である。
【
図31】(a)は
図29の組付体の
図24と同じ位置で切断した断面図であり、(b)は(a)の要部の拡大図である。
【
図32】(a)は
図29の組付体の
図25と同じ位置で切断した断面図であり、(b)は(a)の要部の拡大図である。
【
図33】(a)は
図29の組付体の
図26と同じ位置で切断した断面図であり、(b)は(a)の要部の拡大図である。
【
図34】
図29の組付体とインナーモールドの一体物の前方から見たケーブルを省略して示す斜視図である。
【
図35】
図29の組付体とインナーモールドの一体物の後方から見た斜視図である。
【
図36】
図29の組付体とインナーモールドの一体物の
図23と同じ位置で切断したケーブルを省略して示す断面図である。
【
図37】
図29の組付体とインナーモールドの一体物を
図22のXXXVII−XXXVII矢線に沿って切断したときのケーブルを省略して示す断面図である。
【
図38】
図34の一体物とアウターモールドの一体物の前方から見たケーブルを省略して示す斜視図である。
【
図39】
図34の一体物とアウターモールドの一体物の後方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。なお、以下の説明中の前後、左右、及び上下の方向は、図中の矢印の方向を基準としている。
本実施形態のコネクタ10は、カメラモジュール(図示略)と一体化したプラグコネクタ12(ソケットコネクタ)と、プラグコネクタ12に対して着脱可能なリセプタクルコネクタ30(ケーブル用コネクタ)と、を備えるものである。
まずプラグコネクタ12の構成について簡単に説明する。
プラグコネクタ12は正面視略方形をなし前面が開口する箱形のプラグインシュレータ13を備えている。プラグインシュレータ13の底板14の対角線上に位置する二つの角部には前方に向かって突出する円柱状の位置決め用突部15がそれぞれ突設してある。底板14の後面には上下一対の取付片16が後ろ向きに突設してあり、各取付片16には係合孔17が穿設してある。さらに底板14の後面には上下の取付片16の間に位置する嵌合壁18が後ろ向きに突設してある。さらに底板14の後面の対角線上に位置する二つの角部には後方に向かって突出する円柱状の取付ピン19がそれぞれ突設してある。
プラグコネクタ12は計6本の金属製(導電性材料製)のプラグコンタクト21(別のコンタクト)を備えている。各プラグコンタクト21は、底板14の中央部に穿設した6個の貫通孔に対して前方から圧入(固定)してある。各プラグコンタクト21の前部はプラグインシュレータ13の内部空間に位置しており、各プラグコンタクト21の後部は嵌合壁18の内部空間に位置している。
さらに底板14の後面の中央部(嵌合壁18で囲まれた部位)には樹脂製のポッティング23が施してあり(ポッティング23の代わりにゴムシートを用いてもよい)、ポッティング23によって底板14の上記貫通孔を水密状態で塞いでいる。
【0017】
続いてケーブル25と接続するリセプタクルコネクタ30の各構成要素の構造を説明しながらリセプタクルコネクタ30の製造要領(組み立て要領)について説明する。
リセプタクルコネクタ30は大きな構成要素としてコンタクト支持部材31、6本のリセプタクルコンタクト42、受容部材50、インナーモールド67、アウターモールド70、及びOリング75を備えている。
樹脂製(絶縁材料性)の成形品であるコンタクト支持部材31(リセプタクルインシュレータ)の右側面には嵌合キー32が突設してある。コンタクト支持部材31の嵌合キー32を除く部分は左右対称かつ上下対称である。コンタクト支持部材31の後部には圧着部収納部33が形成してあり、圧着部収納部33の表面(コンタクト支持部材31を受容部材50に装着したときに後述する端部凹部56及び奥側凹部59の内面と対向する「対向表面」)には壁によって互いに仕切られた6つの圧着部収納凹部34(接続部収納部)が形成してある。一方、コンタクト支持部材31の前部には接触部収納部35が形成してあり、接触部収納部35には壁によって互いに仕切られた6つの接触部収納凹部36が形成してある。接触部収納部35の後壁の上端面及び下端面は共に上下方向に対して直交する被接触平面35aにより構成してある。圧着部収納部33の前壁の上端面及び下端面には各圧着部収納凹部34と連通する6つの第一コンタクト支持溝37が形成してあり、上下の被接触平面35aには各第一コンタクト支持溝37の直前に位置する6つの第二コンタクト支持溝38が形成してある。さらにコンタクト支持部材31には、圧着部収納部33の前壁から接触部収納部35の後壁に渡って前後方向に延びかつ前後に並んだ第一コンタクト支持溝37の底面と第二コンタクト支持溝38の底面を構成する支持平面39が構成してある。さらに前後に並ぶ第一コンタクト支持溝37と第二コンタクト支持溝38の間に位置する部位には各支持平面39の左右両側に位置するコンタクト係止溝40(係止溝)がそれぞれ左右一対として形成してある。上部のコンタクト係止溝40は下方に向かって延びており、下部のコンタクト係止溝40は上方に向かって延びている。
【0018】
6本のリセプタクルコンタクト42(コンタクト)はばね弾性を有する銅合金(例えばリン青銅、ベリリウム銅、チタン銅など)やコルソン系銅合金からなる均一板厚の金板材を打ち抜き加工した後に曲げ加工した一体成形品であり、表面にはニッケルメッキで下地を形成した後に金メッキや錫メッキを施してある。
リセプタクルコンタクト42は前後方向に直線的に延びる基部43(被支持部)と、基部43の後端に突設した左右一対の被覆チューブ圧着部44(接続部)と、基部43の後部(被覆チューブ圧着部44(接続部)より前方に位置する部位)に突設した左右一対の心線圧着部45(接続部)と、基部43の中央近傍から下方に延びる左右一対の係止部46と、基部43の前端から下方に延びる左右一対の前端曲げ部47と、左右の前端曲げ部47から後方に延びる左右一対の接触部48と、を具備している。
被覆チューブ圧着部44と心線圧着部45はリセプタクルコンタクト42の成形時(上記曲げ加工時)においては下方を開放するように左右方向に延びている(図示略)。係止部46の前面には係止突起46aが突設してある。左右の前端曲げ部47は両者全体で正面視略方形をなしており、接触部48は左右方向に弾性変形可能である。
【0019】
リセプタクルコンタクト42に対して接続するケーブル25は、6本の心線26(金属線の撚り線)と、各心線26の表面を被覆する絶縁性材料からなる被覆チューブ27と、6本の被覆チューブ27(心線26)を束ねた一体物の外周面を被覆する円筒状の金属製(例えば銅やアルミニウム)網材や薄膜からなる遮蔽部材(図示略)と、遮蔽部材の外周面を被覆する絶縁性材料からなるシース28と、を備えており、全体として可撓性を有している。
ケーブル25は、シース28の一端部を取り除いて(切除して)遮蔽部材を露出させる。次に遮蔽部材を所定の長さで切り取ることで6本の被覆チューブ27の一端部を露出させ、さらに被覆チューブ27の一端部を取り除いて(切除して)6本の心線26の一端部を露出させた上で、各被覆チューブ27の一端部(取り除かれた部分に隣接する部位)を左右の被覆チューブ圧着部44の間に位置させると共に心線26の一端部を左右の心線圧着部45の間に位置させる。この状態で図示を省略した治具等を用いて、左右の被覆チューブ圧着部44と左右の心線圧着部45を互いに接近する方向に塑性変形させて
図7、
図9、
図10、
図15に示す形状にすると、左右の被覆チューブ圧着部44が被覆チューブ27の一端部に対して外周側から圧着し、左右の心線圧着部45が心線26の一端部に圧着するので、心線26及び被覆チューブ27の一端部がリセプタクルコンタクト42に対して固定される。
【0020】
このようにして一体化したケーブル25とリセプタクルコンタクト42は、リセプタクルコンタクト42の各基部43をコンタクト支持部材31の6本の支持平面39(第一コンタクト支持溝37及び第二コンタクト支持溝38の底面)(第一支持部)に対して面接触させながら(
図18−
図21参照)左右の係止部46を対応する左右のコンタクト係止溝40に対して圧入し、各係止突起46aを対応するコンタクト係止溝40の内面に対して食い込ませ、さらに各基部43の係止部46の前後に位置する部位を第一コンタクト支持溝37と第二コンタクト支持溝38にそれぞれ嵌合することにより、コンタクト支持部材31に対して固定する。各リセプタクルコンタクト42の被覆チューブ圧着部44及び心線圧着部45は各圧着部収納凹部34に収納され、前端曲げ部47及び接触部48は各接触部収納凹部36に収納される。各基部43の第一コンタクト支持溝37に嵌合した部位の左右両側面に対して対応する第一コンタクト支持溝37の左右両側面(第一支持部)が接触する。一方、各基部43の第二コンタクト支持溝38に嵌合した部位の左右両側面に対して対応する第二コンタクト支持溝38の左右両側面(第一支持部)が接触し(
図21参照)、さらに上側の基部43の当該部位の上面及び下側の基部43の当該部位の下面が上下の被接触平面35a(対向表面)と同一平面上に位置する(
図16、
図21参照)。
【0021】
以上のようにして構成したケーブル25、リセプタクルコンタクト42、及びコンタクト支持部材31の一体物は、樹脂製(絶縁材料性)の成形品である受容部材50(リセプタクルインシュレータ)の内部に収納する。
受容部材50は上下一対の抜止用突部51を備えており、上下の抜止用突部51の端部には係合爪52がそれぞれ形成してある。受容部材50の後面の左側部には後方に突出する側部突片53が設けてあり、側部突片53には断面略半円状のケーブル逃げ用凹部54が形成してある。受容部材50の後面には背面視略横長矩形の端部凹部56(受容孔)が凹設してあり、端部凹部56の右側面(内面の右側部)には後端が開口したキー溝57が形成してある。端部凹部56の前方には端部凹部56より上下幅が狭い奥側凹部59(受容孔)が前向きに凹設してある。
図27、
図28等に示すように奥側凹部59の上面及び下面は上下方向に対して直交する接触平面59aとなっており、上下の接触平面59aには後端が開放した4本の圧着部収納部受容溝60が左右方向に並べて形成してあり、隣接する圧着部収納部受容溝60の間には隣接する圧着部収納部受容溝60どうしを仕切る計6本の支持用突部61が設けてある。受容部材50の前面には、当該前面を前後方向に貫通して奥側凹部59と連通する計6個のコンタクト挿通孔63が形成してあり、受容部材50の前端近傍の外周面にはリング取付溝64が凹設してある。
ケーブル25、リセプタクルコンタクト42、及びコンタクト支持部材31の一体物は受容部材50の後方から端部凹部56及び奥側凹部59に挿入する。具体的には、左右方向に向けたケーブル25の一端部(コンタクト支持部材31側の端部)近傍をケーブル逃げ用凹部54に嵌合させた上で、コンタクト支持部材31の嵌合キー32をキー溝57に嵌合しながら、コンタクト支持部材31(及び6本のリセプタクルコンタクト42)全体を端部凹部56及び奥側凹部59に挿入し、コンタクト支持部材31の後面と受容部材50(側部突片53を除く)の後面を略同一面上に位置させる。
すると
図31に示すように、コンタクト支持部材31の各第一コンタクト支持溝37に対して受容部材50の各支持用突部61が嵌合し、(自由状態において左右幅が第一コンタクト支持溝37よりも僅かに大きい)支持用突部61の左右両面が第一コンタクト支持溝37の左右両面に接触する。さらに上側のリセプタクルコンタクト42の基部43の第一コンタクト支持溝37に嵌合している部位の上面及び下側のリセプタクルコンタクト42の基部43の第一コンタクト支持溝37に嵌合している部位の下面に対して各支持用突部61の先端面(上側の支持用突部61の下端面と下側の支持用突部61の上端面。第二支持部)が面接触する。即ち、6本の基部43の第一コンタクト支持溝37に嵌合する部位の外周面全体に第一コンタクト支持溝37の内面と支持用突部61の先端面が接触する。
さらに
図33に示すように、上側のリセプタクルコンタクト42の基部43の第二コンタクト支持溝38に嵌合する部位の上面、下側のリセプタクルコンタクト42の基部43の第二コンタクト支持溝38に嵌合する部位の下面、及び上下の被接触平面35aに対して奥側凹部59の上下の接触平面59a(第二支持部)が面接触する。即ち、6本の基部43の第二コンタクト支持溝38に嵌合する部位の外周面全体に第二コンタクト支持溝38の内面と接触平面59aが接触する。
また
図32に示すように、上側のリセプタクルコンタクト42の基部43の左右の係止部46の間に位置する部位の上面及び下側のリセプタクルコンタクト42の基部43の左右の係止部46の間に位置する部位の下面に対して、各支持用突部61の先端面(上側の支持用突部61の下端面と下側の支持用突部61の上端面)が面接触する。
【0022】
ケーブル25、リセプタクルコンタクト42、コンタクト支持部材31、及び受容部材50からなる組立体を製造したら、この組立体に対して金型(図示略)を利用した一体成形により樹脂材(絶縁性材料)からなるインナーモールド67(樹脂製被覆部)(リセプタクルインシュレータ)を一体的に成形する。
このインナーモールド67は受容部材50の後部に対して一体成形されるので、インナーモールド67を構成する樹脂材料の一部は液状状態から固化するまでの間に受容部材50の端部凹部56及び奥側凹部59に流入し、端部凹部56及び奥側凹部59の内部において固化する(
図36参照)。そのためコンタクト支持部材31の圧着部収納部33(圧着部収納凹部34)、6本の心線26及び被覆チューブ27の一端部、並びに各リセプタクルコンタクト42の第一コンタクト支持溝37より後方に位置する部分(被覆チューブ圧着部44や心線圧着部45等)の表面は、端部凹部56及び奥側凹部59の内部においてインナーモールド67によって被覆される可能性がある。しかし上記したように、6本の基部43の第一コンタクト支持溝37に嵌合する部位の外周面全体に第一コンタクト支持溝37の内面と支持用突部61の先端面が接触するので(
図31(b)参照)、固化する前の樹脂材が第一コンタクト支持溝37及び支持用突部61と基部43の外周面との間から各リセプタクルコンタクト42の第一コンタクト支持溝37より前方に位置する部分側に流入して、これらの部位の表面で固化するおそれは殆どない。さらに6本の基部43の第二コンタクト支持溝38に嵌合する部位の外周面全体に第二コンタクト支持溝38の内面と接触平面59aが接触し、しかも上側のリセプタクルコンタクト42の基部43の第二コンタクト支持溝38に嵌合する部位の上面、下側のリセプタクルコンタクト42の基部43の第二コンタクト支持溝38に嵌合する部位の下面、及び上下の被接触平面35aからなる大きな平面に対して、奥側凹部59の大きな平面(上下の接触平面59a)が面接触するので(
図33(b)参照)、万が一、固化する前の樹脂材が第一コンタクト支持溝37及び支持用突部61と基部43の外周面との間から各リセプタクルコンタクト42の第一コンタクト支持溝37より前方に位置する部分側に流入したとしても、樹脂材が第二コンタクト支持溝38及び接触平面59aと基部43の外周面との間から各リセプタクルコンタクト42の第二コンタクト支持溝38より前方に位置する部分側に流入するおそれは殆どない。従って、固化する前の樹脂材が各リセプタクルコンタクト42の接触部48に接触して、接触部48の表面で固化する可能性はほぼ皆無である。
またインナーモールド67が固化すると、インナーモールド67の後部が側部突片53(ケーブル逃げ用凹部54)の直後に位置する半円筒部68を構成し、ケーブル逃げ用凹部54と半円筒部68が円形孔を構成する。さらにケーブル逃げ用凹部54に嵌合しているシース28の外周面の後半部と半円筒部68が一体化する。このようにインナーモールド67(樹脂材)がケーブル25、コンタクト支持部材31、リセプタクルコンタクト42、及び受容部材50と一体化しながら固化するので、インナーモールド67によってケーブル25、コンタクト支持部材31、リセプタクルコンタクト42、及び受容部材50が強固に一体化される。
【0023】
ケーブル25、リセプタクルコンタクト42、コンタクト支持部材31、受容部材50、及びインナーモールド67からなる一体物を製造したら、この一体物に対して金型(図示略)を利用した一体成形により樹脂材(絶縁性材料)からなるアウターモールド70(樹脂製被覆部)(リセプタクルインシュレータ)を一体的に成形する。
図38−
図41に示すようにアウターモールド70は樹脂材(インナーモールド67と同じものでも異なるものではよい。例えば本実施形態ではインナーモールド67には硬質樹脂を用いる一方で、アウターモールド70にはインナーモールド67よりも軟らかいゴム等の樹脂材を適用している)を液状状態から固化させることにより、受容部材50及びインナーモールド67の表面のほぼ全体を被覆する。ただし、アウターモールド70が上下の抜止用突部51の外周面全体を覆うものの、上下の係合爪52はアウターモールド70の上下両面から突出している。またアウターモールド70の前部を構成する前部筒状部71の前面は開口しているので受容部材50の前面(コンタクト挿通孔63)は露出しており、さらに前部筒状部71の内周面と受容部材50の前部の外周面の間には環状隙間が形成してある。
アウターモールド70の上下両面には前後方向に延びる側部規制溝72が左右一対として突設してある。また前部筒状部71の左側部には受容部材50の側部突片53及びインナーモールド67の半円筒部68の表面を覆う円筒状の外側筒状部73が形成してあり、外側筒状部73の内周面がケーブル25のシース28の外周面と一体化している。
このようにアウターモールド70(樹脂材)がケーブル25(シース28)、受容部材50、及びインナーモールド67と一体化しながら固化するので、アウターモールド70によってケーブル25(シース28)、受容部材50、及びインナーモールド67が強固に一体化される。また、ケーブル25の引張りや屈曲で生じる力をアウターモールド70で受け止めたり吸収することで、リセプタクルコネクタ30からのケーブル25やシース28の剥離を防止できる。
このようにして構成したケーブル25、コンタクト支持部材31、リセプタクルコンタクト42、受容部材50、インナーモールド67、及びアウターモールド70を有する一体物のリング取付溝64に対して、自由状態から拡径方向に弾性変形させたOリング75を装着すれば、(ケーブル25と一体化した)リセプタクルコネクタ30が完成する。
【0024】
続いてプラグコネクタ12とケーブル25の使用要領について説明する。
プラグコネクタ12のプラグインシュレータ13の内部にカメラモジュール(図示略)を嵌合し、カメラモジュールの後面に形成した凹部に対して二つの位置決め用突部15を圧入すれば、プラグコネクタ12に対してカメラモジュールを固定状態で一体化できる。
さらにリセプタクルコネクタ30の前部筒状部71の内周面と受容部材50の前部の外周面の間の環状隙間に対して、プラグコネクタ12の嵌合壁18を前方から嵌合し、さらにリセプタクルコネクタ30の上下に設けた左右の側部規制溝72の間にプラグコネクタ12の上下の取付片16を前方から嵌合しかつ各係合孔17に対して係合爪52を係合させれば、プラグコネクタ12とリセプタクルコネクタ30が固定状態で互いに接続する。するとプラグコネクタ12のプラグコンタクト21の後部が受容部材50のコンタクト挿通孔63を通して奥側凹部59内に進入し、さらにコンタクト支持部材31の接触部収納凹部36内に位置する各リセプタクルコンタクト42の左右の接触部48の間に進入して、左右の接触部48を弾性変形させながら左右の接触部48の内面(対向面)に接触する。さらにリセプタクルコネクタ30のOリング75に対して嵌合壁18の内周面が水密状態で接触する。
プラグコネクタ12とリセプタクルコネクタ30を接続することにより構成したコネクタ10は図示を省略した車に対して装着可能である。具体的には、プラグコネクタ12の二つの取付ピン19を例えば車の後部バンパーに設けた取付孔に対して圧入することにより、車に対して装着することができる。そのためケーブル25を車に内蔵した制御手段に接続して、車に内蔵したバッテリの電力を制御手段を介してケーブル25に供給すれば、カメラモジュールによって車の周囲の状況を撮影(撮像)することが可能になる。
【0025】
そして本実施形態のコネクタ10は、上記したようにインナーモールド67を構成する樹脂材が固化する前に(液状のときに)各リセプタクルコンタクト42の接触部48に接触して、接触部48の表面で固化する可能性はほぼ皆無である。従って、リセプタクルコネクタ30に対してプラグコネクタ12を接続したときに、プラグコネクタ12のプラグコンタクト21の後部とリセプタクルコネクタ30のリセプタクルコンタクト42の接触部48との接触が(インナーモールド67を構成する)樹脂材によって妨げられるおそれが殆どない。
【0026】
またリセプタクルコンタクト42をコンタクト支持部材31に固定するための溝である第一コンタクト支持溝37と第二コンタクト支持溝38の内面を基部43の外周面に接触させることにより、固化する前の(液状の)樹脂材が第一コンタクト支持溝37及び支持用突部61と基部43の外周面との間、並びに、第二コンタクト支持溝38及び接触平面59aと基部43の外周面の間から、各リセプタクルコンタクト42の前方へ流入するのを防止している。そのためリセプタクルコンタクト42をコンタクト支持部材31に固定するための溝(第一コンタクト支持溝37、第二コンタクト支持溝38)と、(液状の)樹脂材が第一コンタクト支持溝37及び支持用突部61と基部43の外周面との間、並びに、第二コンタクト支持溝38及び接触平面59aと基部43の外周面の間から各リセプタクルコンタクト42の前方へ流入するのを防止するための溝と、をコンタクト支持部材31に対して別個に成形する場合に比べて、コンタクト支持部材31(リセプタクルコネクタ30)の構造を簡単にすることが可能である。
さらに第一コンタクト支持溝37と第二コンタクト支持溝38をコンタクト係止溝40(係止部46)の近傍に位置させているので、第一コンタクト支持溝37及び第二コンタクト支持溝38の基部43の外周面に対する接触状態が安定する。そのため、固化する前の(液状の)樹脂材が第一コンタクト支持溝37及び支持用突部61と基部43の外周面との間、並びに、第二コンタクト支持溝38及び接触平面59aと基部43の外周面の間から、各リセプタクルコンタクト42の前方へ流入するのを確実に防止できる。
【0027】
さらにコネクタ10(リセプタクルコネクタ30)を車に搭載した場合は、車の走行中に生じる振動が車からコネクタ10(リセプタクルコネクタ30)に伝わる。しかし樹脂材からなるインナーモールド67及びアウターモールド70によってケーブル25、コンタクト支持部材31、リセプタクルコンタクト42、及び受容部材50(並びにインナーモールド67及びアウターモールド70)を強固に一体化(固定)しているので、車に生じた振動によってリセプタクルコネクタ30の各構成部品が互いに分離したり、ケーブル25(心線26)とリセプタクルコンタクト42の接続状態が不安定になるおそれは小さい。
またコネクタ10を車外(例えばバンパーの表面)に取り付けると、車外の水分(雨水等)がコネクタ10に付着するおそれがある。しかしリセプタクルコネクタ30のOリング75に対して嵌合壁18の内周面が水密状態で接触するので、嵌合壁18とOリング75の間からOリング75の内側に上記水分が進入して、水分がコンタクト挿通孔63を介してプラグコンタクト21に付着するおそれは殆どない。さらに万が一、受容部材50、インナーモールド67、及びアウターモールド70の間に微少な隙間が形成してありかつ当該隙間から水分がリセプタクルコネクタ30の内部に進入したとしても、リセプタクルコネクタ30のインナーモールド67が各リセプタクルコンタクト42の第一コンタクト支持溝37より後方に位置する部分(被覆チューブ圧着部44や心線圧着部45等)の表面及び各心線26(被覆チューブ27)の一端部を被覆する場合は、上記水分がリセプタクルコンタクト42の第一コンタクト支持溝37より後方に位置する部分(被覆チューブ圧着部44や心線圧着部45等)や各心線26(被覆チューブ27)の一端部に付着するおそれは殆どない。
【0028】
以上、本発明を上記実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、様々な変形を施しながら実施可能である。
例えば、第一コンタクト支持溝37の内面及び支持用突部61の先端面と基部43の(第一コンタクト支持溝37に嵌合する部位の)外周面との間に、インナーモールド67(の液状樹脂材)が進入不能な程度の微少な隙間(例えば0.15mm以下、より好ましくは0.1mm以下)を形成してもよい。同様に、第二コンタクト支持溝38の内面及び接触平面59aと基部43の(第二コンタクト支持溝38に嵌合する部位の)外周面との間に、インナーモールド67(の液状樹脂材)が進入不能な程度の微少な隙間(例えば0.15mm以下、より好ましくは0.1mm以下)を形成してもよい。なお、これらの「隙間」を設ける場合も、第一コンタクト支持溝37の内面及び支持用突部61の先端面と基部43の外周面との状態、並びに、第二コンタクト支持溝38の内面及び接触平面59aと基部43の外周面との状態は、特許請求の範囲の「接触状態」に含まれる。
またリセプタクルコンタクト42の基部43や被接触平面35aに対して第二コンタクト支持溝38(コンタクト支持部材31)や接触平面59a(受容部材50)を非接触にし、第二コンタクト支持溝38及び接触平面59aと基部43の間に液体樹脂材が流入可能な隙間を形成してもよい。
またインナーモールド67とアウターモールド70を一回の成形(一種類の樹脂材)により成形してもよい。
【0029】
リセプタクルコンタクト42の心線圧着部45を、被覆チューブ27を破りながら心線26に接続する「圧接部(接続部)」に変更してもよい。また心線圧着部45を、心線26の端部に対してはんだ付けされる「はんだ付け部(接続部)」に変更してもよい。
さらにリセプタクルコネクタ30からOリング75を省略してもよい。
プラグコネクタ12に装着する電子機器(電気機器)をカメラモジュール以外のものにしたり、リセプタクルコネクタ30(コネクタ10)を車以外の物(電気機器、電子機器など)に取り付けても良い。