特許第5974017号(P5974017)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5974017エンボス加工されたスクリーンを有するガス燃焼式放射器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5974017
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】エンボス加工されたスクリーンを有するガス燃焼式放射器
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/14 20060101AFI20160809BHJP
【FI】
   F23D14/14 G
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-545172(P2013-545172)
(86)(22)【出願日】2011年12月12日
(65)【公表番号】特表2014-500474(P2014-500474A)
(43)【公表日】2014年1月9日
(86)【国際出願番号】EP2011072397
(87)【国際公開番号】WO2012084561
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2014年10月15日
(31)【優先権主張番号】10290667.4
(32)【優先日】2010年12月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511007831
【氏名又は名称】ソラロニクス・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100154298
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100161001
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 篤司
(74)【代理人】
【識別番号】100179154
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 真衣
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100184424
【弁理士】
【氏名又は名称】増屋 徹
(72)【発明者】
【氏名】ルノワール,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】オラルド,ヴァレリー
(72)【発明者】
【氏名】エヴァン,ニコラ
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03847536(US,A)
【文献】 国際公開第2010/003904(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第1001215(EP,A2)
【文献】 特開2000−130715(JP,A)
【文献】 米国特許第03885907(US,A)
【文献】 特開2000−074326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/12−18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼面として作用するバーナプレートと、前記バーナプレートの燃焼側に配置された放射スクリーンと、を備えるガス燃焼式赤外線放射器において、
前記放射スクリーンは、エンボス加工されており、
これによって、1つまたは複数のエンボス部分において、前記放射スクリーンのエンボス加工されていない部分における前記バーナプレートと前記放射スクリーンとの間の距離と比較して、異なる距離が前記バーナプレートと前記放射スクリーンとの間に設定されており、
前記異なる距離は、近距離であることを特徴とするガス燃焼式赤外線放射器。
【請求項2】
前記放射スクリーンは多数のエンボス部を備えており、
前記異なる距離は、前記エンボス部のいくつかにおいて近距離であり、他のエンボス部のいくつかにおいて遠距離であることを特徴とする請求項1に記載のガス噴射式赤外線放射器。
【請求項3】
前記エンボス部の少なくともいくつかにおいて、前記バーナプレートと前記放射スクリーンとの間の距離は、前記放射スクリーンのエンボス加工されていない部分の前記バーナプレートと前記放射スクリーンとの間の距離よりも大きくなっていることを特徴とする請求項1に記載のガス噴射式赤外線放射器。
【請求項4】
前記バーナプレートは、1つまたは複数のセラミックプレートから構成されていることを特徴とする請求項1に記載のガス噴射式赤外線放射器。
【請求項5】
前記バーナプレートは、少なくとも2つの孔付きタイルから構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のガス噴射式赤外線放射器。
【請求項6】
前記放射スクリーンは、前記バーナプレートの2つの孔付きタイル間の少なくとも1つの接合部において、エンボス加工されていることを特徴とする請求項5に記載のガス燃焼式赤外線放射器。
【請求項7】
前記放射スクリーンは、前記バーナプレートの孔付きタイル間の全ての接合部において、エンボス加工されていることを特徴とする請求項6に記載のガス燃焼式赤外線放射器。
【請求項8】
前記バーナプレートは、互いに隣り合って配置された2つの孔付きタイルを備えており、前記放射スクリーンは、前記2つの孔付きタイル間の接合部において、エンボス加工されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のガス燃焼式赤外線放射器。
【請求項9】
前記放射スクリーンは、金属格子または織ワイヤメッシュであることを特徴とする請求項1に記載のガス燃焼式赤外線放射器。
【請求項10】
前記バーナプレートは、前記バーナプレートの表面の全体に拡がる多数のレベルの燃焼面を有していることを特徴とする請求項1に記載のガス燃焼式赤外線放射器。
【請求項11】
前記エンボス部の断面は、V字形状またはU字形状を有していることを特徴とする請求項1に記載のガス燃焼式赤外線放射器。
【請求項12】
前記放射スクリーンは、前記放射スクリーンの両端側の少なくとも1つにおいて屈曲していることを特徴とする請求項1に記載のガス燃焼式赤外線放射器。
【請求項13】
前記バーナプレートの全面にわたってバーナプレートと放射スクリーンとの間に空隙が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載のガス燃焼式赤外線放射器。
【請求項14】
請求項1〜13に記載のガス燃焼式赤外線放射器の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼面と該燃焼面の前方に配置された放射スクリーン(または輻射スクリーン)とを有するガス燃焼式放射器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス燃焼式赤外線放射器は、パルプおよび紙工業において、移動するセルロースウエブの皮膜を乾燥させるために広く用いられている。これらの放射器は、周知であり、例えば、このような1つの放射器が、特許文献1に記載されている。
【0003】
先行技術のガス燃焼式赤外線放射器は、多くの場合、放射(反射、輻射)スクリーン(または格子)を含んでいる。このスクリーンは、放射器の放射出力を増大させ、同時に主要な放射面を汚染から保護するものである。取外し可能な格子を有する放射器の例が、特許文献1に開示されている。
【0004】
放射バーナプレートおよびスクリーンを備える放射バーナは、例えば、特許文献2または特許文献3からも知られている。
【0005】
放射スクリーンを強化し、その寿命を延ばすために、放射スクリーンの上方に補強用クロス材を用いることが、当該分野において知られている。
【0006】
特許文献4は、バーナ面と、放射スクリーンと、スクリーンを取り外し可能に配置し、かつ強化するために該スクリーン上に設けたフレーム構造とを備えるガス燃焼式赤外線放射器を記載している。
【0007】
特許文献5は、改良された反射スクリーンを利用する多孔質マット型ガス燃焼式放射バーナパネルを記載している。これらのスクリーンの目的は、同一の燃料−空気流量において、スクリーンを用いないバーナに対して、バーナの全放射出力を高めることである。一実施形態では、反射スクリーンは、セラミック複合材料から作製されている、このセラミック複合材料は、対応する金属よりも高い運転温度に耐えることができるものである。特許文献5の他の実施形態では、反射スクリーンは、波形が付されている。この波形は、剛性を強め、これによって、温度または熱膨張係数の差に起因するクリープおよび熱誘起歪に耐えるのに役立つことになる。付加的な利点として、波形は、バーナの放射効率をさらに向上させることが見出されている。好ましい実施形態では、反射スクリーンは、波形が付されていると共に、セラミック複合材料から作製されている。
【0008】
特許文献6は、空洞を画定する鋳物からなる放射バーナを開示している。この鋳物の片側は、そこに形成された開口を有しており、該片側の残りの面は、開口を包囲する平らなリムを画定している。ガスおよび空気を空洞に運ぶために、横断チューブが前記空洞の内部に流体接続されている。第1の平坦な孔付き部材は、前記開口を覆っており、第2の柔軟な孔付き燃焼維持部材は、開口および第1の部材の対応する部分を覆う中心部分を備えている。中心部分は、前記開口を覆う多数の互いに平行のU字状構造をもたらすように作製されている。U字状構造のいくつかの最大部分は、第1の部材に実質的に線接触している。中心部分の残っているU字状構造の最大部分は、第1の部材の面と平行に離間した面に接している。これらの面間の距離は、第1および第2の部材の組合せ厚みよりも大きくなっている。この開示は、両方のスクリーンの周縁をリムに取外し可能にクランプする手段を含んでいる。
【0009】
単一のバーナプレートをもたらすように列状にまたは正方形に配置された多数の孔付きタイル(例えば、孔付きセラミックタイル)を互いに接合することは、放射ガスバーナにおいて一般的に行われている。個々の孔付きタイル間の柔軟な接合部は、剛性の接合部と同様、知られている。
【0010】
例えば、特許文献7は、組み合わされた耐熱性孔付き耐火タイルまたはブロックから構成された放射ガスバーナに関する。これらのタイルは、耐火接合化合物またはタイルセメントによって、互いに隣り合って接合されている。タイルセメントは、硬化時に、煉瓦がモルタルによって互いに接合されるのとまったく同様に、タイルを互いに接合し、該タイルを組合せ状態で保持することになる。
【0011】
放射ガスバーナの周知の課題は、放射スクリーンの効率および有効性に関連している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5,820,361号明細書
【特許文献2】米国特許第4,799,879号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0539278号明細書
【特許文献4】米国特許第6,514,071号明細書
【特許文献5】米国特許第5,989,013号明細書
【特許文献6】米国特許第3,122,197号明細書
【特許文献7】米国特許第3,439,996号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、ガス燃焼式放射器の性能を改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様は、燃焼面として作用するバーナプレートと、バーナプレートの燃焼側に配置された放射スクリーンと、を備えるガス燃焼式赤外線放射器を提供している。放射スクリーンは、エンボス加工されており、これによって、エンボス部分において、放射スクリーンのエンボス加工されていない部分におけるバーナプレートと放射スクリーンとの間の距離と比較して、異なる距離がバーナプレートと放射スクリーンとの間に設定されている。
【0015】
エンボス部という用語は、面内の2つ以上の直線方向に沿って該面から外れる表面の変形を意味している。エンボス部は、波形状と以下の点において、すなわち、波形状では、面から外れる表面の変形は、面内の1つの直線方向に沿ってのみ、例えば、波状に生じる点において、異なっている。
【0016】
本発明の利点は、放射スクリーンに存在する1つまたは複数のエンボス部が、例えば、熱変形に対するスクリーンの機械的抵抗を増大させることである。従って、金属クロス材のような剛性付与手段を節約することができる。
【0017】
好ましくは、燃焼面として作用するバーナプレートは、1つまたは複数のセラミックプレート、例えば、1つまたは複数の孔付きセラミックタイルから構成されている。
【0018】
特定の実施形態では、エンボス部のいくつかにおける異なる距離は、近距離である。さらに特定の実施形態では、エンボス部の全てにおける異なる距離は、近距離である。
【0019】
他の特定の実施形態では、エンボス部の少なくともいくつかにおける異なる距離は、遠距離である。好ましくは、遠距離を有するエンボス部は、他の区域よりも温度が高いバーナプレートの箇所、例えば、バーナプレートの中央部、またはバーナプレートを構成する多数のタイルの中央部の上方に配置されている。これによって、バーナプレートの局部的な高温が相殺され、その結果、放射スクリーンの表面の全体にわたって温度がより一層均一化され、これによって、放射スクリーンの寿命を延ばすことができるという利点が得られる。
【0020】
本発明の他の実施形態では、バーナプレートは、燃焼面として1つの孔付きタイルを備えている。本発明の代替的態様は、バーナプレートが少なくとも2つの孔付きタイルを備えるガス燃焼式赤外線放射器を提供している。これらの孔付きタイルは、1つまたは2つの方向において互いに隣り合って配置され、バーナプレートを形成することになる。
【0021】
さらに他の実施形態では、放射スクリーンは、バーナプレートの2つの孔付きタイル間の少なくとも1つの接合部の位置において、エンボス加工されている。さらに特定の実施形態では、バーナプレートの2つの孔付きタイル間の少なくとも1つの接合部の位置におけるエンボス部は、近距離を有しており、これによって、付加的な利点をもたらすことになる。最新技術によるバーナでは、2つの孔付きタイル間の接合部は、バーナプレートの最も温度の低い箇所であり、その結果、この接合部の上方に位置する放射スクリーンの部分は、放射スクリーンの平均温度よりも低い温度になり、これによって、放射スクリーンによって放射される赤外線エネルギーが低くなる。本発明のこのさらに特定の実施形態による1つまたは複数のエンボス部は、放射スクリーンとバーナプレートとの間の距離を局部的に短縮している。これらのエンボス部において、放射スクリーンは、より多くの対流熱、従って、より高温、および放出されたより多くの赤外線エネルギーを受けることになる。放射スクリーンも、エネルギーをバーナプレートに戻すように放射する。すなわち、バーナ面とスクリーンとの間の近距離の箇所において、比較的多くのエネルギーがバーナプレートに戻るように放射されることになる。従って、バーナ面の温度が局部的に上昇することになる。その結果、放射エネルギーは、ガス燃焼式赤外線バーナの表面の全体にわたってより均一になり、ガス燃焼式赤外線バーナの効率が高められることになる。
【0022】
特定の実施形態におけるように、孔付きタイルの接合部の位置における近距離の1つまたは複数のエンボス部の存在によって、付加的な利点が得られる。エンボス部と燃焼面との間の近距離は、燃焼面自体の上方に波形部または近距離のエンボス部が設けられた場合のように、放射スクリーンの温度を高めることがない。後者の場合、放射スクリーンのエンボス部または波形部において、スクリーンが燃焼面に対して近接して位置することによって、高熱負荷が設定されることになる。
【0023】
さらに他の実施形態では、放射スクリーンは、バーナプレートの孔付きタイル間の接合部の全ての位置において、エンボス加工されている。
【0024】
さらに他の実施形態では、バーナプレートは、互いに隣り合って配置された2つの孔付きタイルを備えており、放射スクリーンは、これらの2つの孔付きタイル間の接合部の位置において、エンボス加工されている。
【0025】
本発明の一実施形態では、放射スクリーンは、金属格子である。
【0026】
本発明のさらに他の実施形態では、放射スクリーンは、織ワイヤメッシュである。
【0027】
一実施形態では、バーナプレートの互いに異なる孔、従って、燃焼スポットは、全て、同一面内にある。他の実施形態では、バーナプレートは、バーナプレートの面の全体にわたって拡がる多数のレベルの燃焼面を有している。この実施形態は、ガス燃焼式放射器の騒音レベルが低減されるというさらなる利点をもたらすことになる。好ましい実施形態では、バーナプレートは、2つのレベルの燃焼面を有している。さらに一層好ましい実施形態では、種々のレベルの燃焼面は、バーナプレートの全体にわたって均一に分布されている。
【0028】
本発明の一実施形態では、エンボス部の断面は、V字形状を有している。本発明のさらに他の実施形態では、エンボス部の断面は、U字形状を有している。
【0029】
本発明の他の実施形態では、放射スクリーンは、(スクリーンのエンボス加工に加えて)、放射スクリーンの両端側の少なくとも1つにおいて屈曲されている。この実施形態の利点は、放射スクリーンの付加的な剛性付与効果が得られることである。
【0030】
本発明の一実施形態では、バーナプレートの全面にわたって、バーナプレートと放射スクリーンとの間に空隙が設けられている。
【0031】
本発明の他の態様は、本発明によるガス燃焼式赤外線放射器の使用である。
【0032】
好ましい実施形態では、放射スクリーンは、高耐熱・耐食性鋼階級、例えば、高レベルステンレス鋼階級、例えば、FeCrAlまたはFeCrAlMo合金鋼階級、またはクロム/ニッケル鋼階級(例えば、X10CrNiSiN21−11、X9CrNiSiNCe21−11−2またはX6CrNiSiNCe19−10;EN規格に準じる鋼組成)から作製されている。
【0033】
代替的に、放射スクリーンは、高耐熱性材料、例えば、セラミック、特に、酸化アルミニウムまたは酸化ジルコニウム、チタン酸アルミニウム、酸化シリコン、コランダムまたはムライト、炭化シリコン、窒化シリコン、または金属溶浸セラミック、例えば、シリコン溶浸炭化シリコンから製造されている。代替的に、放射スクリーンは、他の性質の耐熱材料、例えば、50重量%よりも多い金属珪化物、例えば、二珪化モリブデン(MoSi)または二珪化タングステン(WSi)を含む材料から製造されていてもよい。
【0034】
好ましい実施形態では、放射バーナプレートは、耐高温性および優れた機械的および熱力学特性を有するセラミック材料、例えば、コーディエライトまたはジルコニア、部分安定化ジルコニア(PSZ)、アルミナ、炭化シリコン、または他の高レベル技術セラミックの孔付きタイルから構成されている。
【0035】
以下、添付の図面を参照して、本発明の例示的実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明によるガス燃焼式放射器の概略図である。
図2】放射スクリーンにおけるエンボス部の例の概略図である。
図3図2の線I−I’に沿った断面の概略図である。
図4図2の線II−II’に沿った断面の概略図である。
図5図2の線III−III’に沿った断面の概略図である。
図6】本発明の代替的実施形態の概略図である。
図7】バーナ面に2つのタイルを備える本発明の実施形態の概略図である。
図8】バーナ面に2つのタイルを備える本発明の代替的実施形態の概略図である。
図9】バーナ面に2つのタイルを備える本発明のさらに他の代替的実施形態の概略図である。
図10】2つの異なるレベルの燃焼面を有するバーナプレートの概略図である。
図11図2の線III−III’に沿ったエンボス部の代替的断面の概略図である。
図12図2の線III−III’に沿ったエンボス部のさらに他の代替的断面の概略図である。
図13】本発明の他の実施形態の概略図である。
図14】本発明の他の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
例示的な実施形態において、図1のガス燃焼式放射器100は、本体110、ガスおよび空気用の入口120、ガス分配プレート130、およびバーナプレート140を備えている。放射スクリーン160は、エンボス部180を備えている。
【0038】
図2は、本発明によるエンボス部22を有する放射スクリーン20の上面図を示している。
【0039】
図3は、図2の線I−I’における断面を示している、この断面では、放射スクリーン30は、バーナプレート32から距離を隔てて、真っ直ぐに延びている。
【0040】
図4は、図2の線II−II’における断面を示している。この断面では、放射スクリーン40は、エンボス加工されており、これによって、エンボス部において、バーナプレート42に対する距離が小さくなっている。
【0041】
図5は、図2の線III−III’における断面を示している、この断面では、放射スクリーン50は、エンボス加工されており、これによって、エンボス部において、バーナプレート52に対する距離が小さくなっている。
【0042】
図6は、本発明によるガス燃焼式赤外線放射器600の代替的実施形態を示している。放射スクリーン620およびバーナプレート640は、ハウジング660内に固定されている。放射スクリーン620は、中央680においてエンボス加工されており、ハウジング660に対する固定部690において屈曲されている。
【0043】
図7は、バーナプレート710が2つの孔付きタイル720,730を備える本発明の実施形態を示している。2つの孔付きタイル720,730は、耐火接合複合物またはタイルセメント740によって、互いに隣り合って接合されている。放射スクリーン750は、2つのタイル720,730間の接合部740の位置においてエンボス加工されている。
【0044】
図8は、バーナプレート810が2つの孔付きタイル820,830を備える本発明の実施形態を示している。2つの孔付きタイル820,830は、インサート840を介して、互いに隣り合って接合されている。放射スクリーン850は、2つのタイル820,830間の接合部840の位置においてエンボス加工されている。インサート840は、2つのタイル820,830間に柔軟な接合部を設けることになる。
【0045】
図9は、本発明によるガス燃焼式赤外線放射器900の代替的実施形態を示している。バーナプレート910は、2つの孔付きタイル920,930を備えている。2つの孔付きタイル920,930は、接合部950を形成するインサート940を介して、互いに隣り合って接合されている。放射スクリーン960およびバーナプレート910は、ハウジング970内に固定されている。放射スクリーン960は、2つの孔付きタイル920,930間の接合部950の上方においてエンボス加工されている。放射スクリーン960は、ハウジング970に対する固定部980において屈曲されている。
【0046】
図10は、2つの異なるレベルの燃焼面を有するバーナプレート1000の概略図を示している。
【0047】
図11は、図2の線III−III’に沿ったエンボス部の代替的断面の概略図を示している。図において、エンボス部の断面は、1100として示されている。
【0048】
図12は、図2の線III−III’に沿ったエンボス部のさらに他の代替的断面の概略図を示している。図において、エンボス部の断面は、1200として示されている。
【0049】
図13は、本発明の他の実施形態の断面を示している。この断面では、放射スクリーン1300は、バーナプレートの中心区域においてエンボス加工されており、これによって、エンボス部において、バーナプレート1302に対する距離が大きくなっている。
【0050】
図14は、本発明によるガス燃焼式赤外線放射器1400のさらに他の代替的実施形態を示している。バーナプレート1410は、2つの孔付きタイル1420,1430を備えている。2つの孔付きタイル1420,1430は、接合部1450を形成するインサート1440を介して、互いに隣り合って接合されている。放射スクリーン1460およびバーナプレート1410がハウジング1470内に固定されている。放射スクリーン1460は、孔付きタイル1420,1430の中心区域においてエンボス加工されており、これによって、エンボス部において、バーナプレートに対する距離が大きくなっている。放射スクリーン1460は、箇所1480において、ハウジング1470内に固定されている。
【0051】
一実施形態では、放射スクリーンのエンボス部は、その最も長く延在する方向において、放射スクリーンの側面から4mmから30mmの範囲内の距離において終端している。さらに好ましい実施形態では、放射スクリーンのエンボス部は、その最も長く延在する方向において、放射スクリーンの側面から5mmから20mmの範囲内の距離において終端している。さらに一層好ましい実施形態では、放射スクリーンのエンボス部は、その最も長く延在する方向において、放射スクリーンの側面から5mmから10mmの範囲内の距離において終端している。
【0052】
一実施形態では、エンボス部は、V字状であり、V字の脚は、50°から130°の間の狭角を有している。好ましい実施形態では、V字の脚は、60°から120°の間の挟角を有している。さらに好ましい実施形態では、V字の脚は、75°から105°の間の挟角を有している。
【0053】
本発明の一実施形態では、燃焼面に対する放射スクリーンの平坦部分の距離は、5−20mmの範囲内にある。さらに好ましい実施形態では、燃焼面に対する放射スクリーンの平坦部分の距離は、7−17mmの範囲内にある。本発明の他の実施形態では、燃焼面に対する放射スクリーンの平坦部分の距離は、10−15mmの範囲内にある。
【0054】
本発明の一実施形態では、放射スクリーンの平坦部分に対する近距離のエンボス部の深さは、その最深点において、6mmから15mmの範囲内にある。好ましい実施形態では、放射スクリーンの平坦部分に対する近距離のエンボス部の深さは、その最深点において、6mmから12mmの範囲内にある。さらに好ましい実施形態では、放射スクリーンの平坦部分に対する近距離のエンボス部の深さは、その最深点において、7mmから10mmの範囲内にある。
【0055】
本発明の一実施形態では、近距離のエンボス部の最深点と燃焼面との間の間隙は、2−8mmの範囲内にある。好ましい実施形態では、近距離のエンボス部の最深点と燃焼面との間の間隙は、2−5mmの範囲内にある。

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