特許第5974077号(P5974077)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5974077プロセス変数トランスミッタの制御方法、及びプロセス変数トランスミッタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5974077
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】プロセス変数トランスミッタの制御方法、及びプロセス変数トランスミッタ
(51)【国際特許分類】
   H03M 1/18 20060101AFI20160809BHJP
【FI】
   H03M1/18
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-502593(P2014-502593)
(86)(22)【出願日】2012年3月7日
(65)【公表番号】特表2014-509816(P2014-509816A)
(43)【公表日】2014年4月21日
(86)【国際出願番号】US2012027962
(87)【国際公開番号】WO2012134738
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2013年10月28日
【審判番号】不服2015-11469(P2015-11469/J1)
【審判請求日】2015年6月17日
(31)【優先権主張番号】13/077,132
(32)【優先日】2011年3月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ルッド,ジェイソン・エイチ
(72)【発明者】
【氏名】ブロンシーク,アンドリュー・ジェイ
【合議体】
【審判長】 大塚 良平
【審判官】 菅原 道晴
【審判官】 萩原 義則
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−281036(JP,A)
【文献】 特開2009−152743(JP,A)
【文献】 特開2008−263613(JP,A)
【文献】 特開平6−350454(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03M1/00-1/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工業プロセス変数を表すアナログ入力信号をデジタル出力信号に変換するアナログ・デジタル(A/D)変換器を備えたプロセス変数トランスミッタの制御方法であって、
閾値を境界にして、前記アナログ入力信号の信号レベルの複数の異なる信号範囲を定めることと、
前記閾値を含んで一の信号範囲から他の信号範囲にわたる、所定の信号範囲の境界周辺の領域を定めることと、
前記複数の異なる信号範囲に対応して、前記A/D変換器の複数の分解能設定を定めことと、
前記アナログ入力信号を受信することと、
前記アナログ入力信号の信号レベルを測定することと、
前記測定された信号レベルが前記一の信号範囲から前記他の信号範囲へ変化したときに、現在の分解能設定を、前記他の信号範囲に対応する分解能設定に変更することと、
前記測定された信号レベルが前記境界周辺の領域に入っている限り、前記測定された信号レベルが未だ前記一の信号範囲内にある場合であっても、現在の前記分解能設定を、前記他の信号範囲に対応する前記分解能設定に変更することと、
前記変更された分解能設定を使用して前記アナログ入力信号を前記デジタル出力信号に変換することと、
前記工業プロセス変数に関連する情報を、伝送接続を介して送信することと
を含むプロセス変数トランスミッタの制御方法。
【請求項2】
前記測定された信号レベルが前記境界周辺の領域に入り、前記一の信号範囲から前記他の信号範囲に近づいている限り、前記測定された信号レベルが未だ前記一の信号範囲内にある場合であっても、現在の前記分解能設定を、前記他の信号範囲に対応する前記分解能設定変化ること、
さらに含む、請求項に記載のプロセス変数トランスミッタの制御方法。
【請求項3】
前記測定された信号レベルの変化率を測定することと、
前記測定された信号レベルの変化率がより高い第1の率の場合には、前記測定された信号レベルの変化率がより低い第2の率である場合よりも速く、現在の前記分解能設定を、前記他の信号範囲に対応する前記分解能設定変化ることと、
さらに含む、請求項1又は2に記載のプロセス変数トランスミッタの制御方法。
【請求項4】
工業プロセス変数を表すアナログ入力信号をデジタル出力信号に変換するアナログ・デジタル(A/D)変換器を備えたプロセス変数トランスミッタであって、
前記A/D変換器分解能設定変更することが可能なプロセッサと、
前記A/D変換器及び前記プロセッサを動作させるためのプログラムと、を含み、
前記プログラムは、
閾値によって境界が定められた、前記アナログ入力信号の信号レベルの複数の異なる信号範囲と、
前記閾値を含んで一の信号範囲から他の信号範囲にわたって定められた、所定の信号範囲の境界周辺の領域と、
前記複数の異なる信号範囲に対応して定められた、前記A/D変換器の複数の分解能設定と、を含み、
前記プロセッサは、
前記測定された信号レベルが前記一の信号範囲から前記他の信号範囲へ変化したときに、現在の分解能設定を、前記他の信号範囲に対応する分解能設定に変更することと、
前記測定された信号レベルが前記境界周辺の領域に入っている限り、前記測定された信号レベルが未だ前記一の信号範囲内にある場合であっても、現在の前記分解能設定を、前記他の信号範囲に対応する前記分解能設定に変更することと、を含む処理を実行する
プロセス変数トランスミッタ。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記測定された信号レベルが前記境界周辺の領域に入り、前記一の信号範囲から前記他の信号範囲に近づいている限り、前記測定された信号レベルが未だ前記一の信号範囲内にある場合であっても、現在の前記分解能設定を、前記他の信号範囲に対応する前記分解能設定に変化すること、をさらに含む処理を実行する、
請求項4に記載のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記測定された信号レベルの変化率を測定することと、
前記測定された信号レベルの変化率がより高い第1の率の場合には、前記測定された信号レベルの変化率がより低い第2の率である場合よりも速く、現在の前記分解能設定を、前記他の信号範囲に対応する前記分解能設定に変化することと、
をさらに含む処理を実行する、
請求項4又は5に記載のプロセス変数トランスミッタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセス制御及び監視システムで使用されるプロセス変数トランスミッタに関する。より具体的には、本発明は、動作の間、A/D測定の分解能を改善するための、このようなシステムでのアナログ・デジタル変換器への入力の動的な調整に関する。
【0002】
プロセス変数トランスミッタは、プロセス制御又は監視システムでプロセスパラメータを測定するために使用される。マイクロプロセッサを用いるトランスミッタは、センサ、センサからの出力をデジタル形式に変換するアナログ・デジタル変換器、デジタル化された出力を補正するマイクロプロセッサ、及び、補正された出力を伝送する出力回路を、多くの場合、備える。現在、この伝送は、4〜20mA制御ループなどの、プロセス制御ループ、又は、無線で、通常、行われる。
【0003】
このようなシステムで測定される例示的なパラメータの1つは、温度であり、温度は、測温抵抗体(RTD。白金抵抗温度計若しくはPRTと呼ばれるときもある)の抵抗を測定するか、又は、熱電対により電圧出力を測定することによって、検出される。当然、温度は例示的なだけであり、多種多様の他のプロセス制御パラメータを同様に測定することができる。
【0004】
代表的なA/D変換器のいくつかは、一定の電圧基準、及び、構成可能な分解能ゲイン調整によって、構成される。構成可能な分解能ゲイン調整のためのそれぞれのゲイン設定は、取り付けられた電圧基準のスカラである基準点に対応する。電圧基準は、A/D変換器の分解能を(カウント当たりのボルトで)設定するために、A/D変換器によって使用される。したがって、測定されているアナログ入力信号の予想信号レベルに基づいて、A/D変換器の分解能を変化させることができる。
【0005】
A/D変換器が実施される従来の監視システムは、多くの場合、A/D変換器が指定されたセンサの全範囲を測定できるように、構成可能な分解能ゲイン調整を設定する。すなわち、構成可能な分解能ゲイン調整は、全てのセンサ範囲に適応することができる、単一の、一定の分解能に、設定される。しかしながら、実際の入力信号は、多くの場合、A/D変換器を更に高い分解能に設定することができる値を有する(又は値の範囲内で変化する)。したがって、設定された、一定の分解能にゲイン調整を設定することは、A/D変換器の全機能を使用するようにチューニングされていない測定回路をもたらす。
【0006】
概要
プロセス変数トランスミッタは、プロセス変数を測定するために用いられ、測定の際、アナログ入力信号の測定値に基づきA/D変換器の分解能を動的に変化させる。動的な変化は、測定されているアナログ信号の値に基づき構成可能な分解能ゲイン調整を自動で調整することによって、入力信号がA/D変換器の最適な分解能領域に集中するように測定されている入力信号を正規化することによって、又は、A/D変換器に提供される電圧基準を調整することによって、実行可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】センサに繋がれたプロセス変数トランスミッタの簡略化されたブロック図である。
図2】入力電圧と分解能のグラフである。
図3】A/D変換器が構成可能な分解能設定を有する、図1に示されるシステムの簡略化されたブロック図である。
図4】入力信号が正規化される一実施形態の簡略化されたブロック図である。
図5A】入力信号を正規化する一実施態様の概略図である。
図5B】入力信号を正規化する一実施態様の概略図である。
図6】A/D変換器への電圧基準を変化させることによってA/D分解能を動的に変化させる一実施形態の簡略化されたブロック図である。
図7】システムの動作の一実施形態を例示する簡略化されたフローチャートである。
【0008】
発明の詳細な説明
図1は、一実施形態によるトランスミッタ10の簡略化されたブロック図である。トランスミッタ10は、図1に示される実施形態では、アナログ・デジタル(A/D)変換器18、プロセッサ20及びプログラム可能な分解能コンポーネント22を備える。トランスミッタ10は、センサ12に接続されて示され、センサは、矢印14で表されるプロセス制御パラメータを検出する。トランスミッタ10は、また、2線式プロセス制御ループ16に接続されて示されるが、代替又は追加として、無線伝送接続に接続することができる。一実施形態では、プロセス制御ループ16は、トランスミッタ10に電力を提供する。プロセッサ20は、プロセス制御ループ16を介して情報を伝送し、そして、同様にプロセス制御ループ16を介して、他の回路又はシステムから情報を受信する。例えば、プロセス制御ループ16は、例示的には、4〜20mAプロセス制御ループとすることができ、適切な通信プロトコルを使用して動作することができる。代替として、プロセス制御ループ16を、様々な無線技術又は構成を用いて無線で情報を伝送する、無線接続と置き換えることができ、又は、無線接続に加えて使用することができる。
【0009】
センサ12は、例示的には、検出されているプロセスから入力14を受信するプロセス変数センサである。センサ12は、例示的には、圧力、温度、pH、流れなどを検出するセンサとすることができる。センサ12は、例示的には、検出されたパラメータを表す、アナログ出力24をA/D変換器18に提供する。
【0010】
本説明では、センサ12は、温度センサとして説明される。しかしながら、任意の他の適切なセンサも同様に使用することができ、温度は検出可能な変数又はパラメータのほんの一例である。
【0011】
センサ12からの出力24は、適宜、アナログセンサ信号を増幅し、アナログセンサ信号にフィルタをかける回路(図示せず)に、例示的に供給可能であることに注意すべきである。この回路は、センサ12の一部、又は、別個の回路とすることができる。いずれにせよ、増幅され、そして、フィルタをかけられた信号24は、その後A/D変換器18に供給される。A/D変換器18は、プロセッサ20にデジタル化された出力を供給する。デジタル化された出力は、センサ12によって供給されたアナログ信号24のデジタル表現である。プロセッサ20は、当然、例示的に、メモリ及びクロック回路を関連づけ、プロセス制御ループ16を介して、検出されたパラメータに関する情報を供給する。プロセッサ20が入出力(I/O)回路を備えることができるか、又は、I/O回路を別個に用意することができ、I/O回路が、ループ16上にデジタルフォーマットで、又は、ループ16を通過する電流の流れを制御することによってアナログフォーマットで、情報を伝送することに注意すべきである。いずれにせよ、検出されたパラメータに関連する情報が、トランスミッタ10により、プロセス制御ループ16を介して提供される。
【0012】
図2は、基準電圧に対する入力電圧とA/D変換器18の分解能の間の関係を例示するグラフである。図2は、A/D変換器18が、3つの異なる分解能ゾーンで、出力を供給できることを示す。分解能ゾーンは、比較的高い分解能ゾーン、(高い分解能ゾーンより低い分解能であるカウント当たりのボルトの分解能でデジタル値を出力する)中間の分解能ゾーン、及び、(中間の分解能ゾーンより更に低い分解能である分解能でデジタル値を出力する)比較的低い分解能ゾーンを備える。A/D変換器18が動作することができる特定の分解能ゾーンは、一例では、アナログ信号24の信号レベル、及び、測定する際にA/D変換器18によって使用される基準電圧Vrefとアナログ信号の信号レベルの関係に基づく。図2に示される例示的な実施形態では、A/D変換器18は、信号24が+Vref/3と−Vref/3の間にある場合には、高い分解能ゾーンで動作可能である。A/D変換器18は、信号24が+/−Vref/3と+/−Vref/2の間にある場合には、中間の分解能ゾーンで動作可能であり、A/D変換器18は、信号24が+/−Vref/2と+/−Vrefの間にある場合には、低い分解能ゾーンだけで動作可能である。当然、図2に示される関係及びVref/xの特定の値は、例に過ぎない。
【0013】
多くの従来のシステムでは、センサ12の全ての指定された動作範囲に適応することができる一定の分解能ゾーンで動作するように、A/D変換器18は構成された。すなわち、センサ12が、温度を検出し、−Vrefと+Vref/3の間で出力信号24を供給できる場合には、A/D変換器18は、最も低い分解能でその出力を提供するように構成された。この構成は、センサ12の指定された全動作範囲に適応するために必要なものであった。
【0014】
しかしながら、通常、図2で特定される範囲30のような、大幅に狭い範囲で、センサ12が動作する場合がある。この場合、最も低い分解能ゾーンである分解能ゾーンにA/D変換器18を設定することは、不要な分解能誤差をもたらす。デバイス確度仕様が厳しくされるとき、入力信号を考慮して、可能な最大分解能設定を使用しないことによる誤差は、全体のシステム誤差の大きな要因となる。
【0015】
そのため、図1は、トランスミッタ10がプログラム可能な分解能コンポーネント22も備えることを示す。プログラム可能な分解能コンポーネント22は、A/D変換器18の分解能設定を変化させるA/D変換器18に出力を供給する。コンポーネント22は、測定された入力信号24の値に基づいて、プロセッサ20によって制御される。その結果、信号24の値が(図2に示される)新しい分解能ゾーンに対応する値に近づくとき、プロセッサ20は新しい分解能ゾーンに合致するようにA/D変換器18の分解能を動的に調整する。したがって、センサ12が(図2に示される)範囲30内に出力24を供給するとき、プロセッサ20は、高い分解能ゾーンにA/D変換器18を保つように、コンポーネント22を制御する。
【0016】
しかしながら、センサ12によって供給される出力信号24が(図2に同様に示される)高い分解能ゾーンの両側の中間の分解能ゾーンのどちらかに近づくとき、分解能が中間の分解能ゾーンとなるように、プロセッサ20はコンポーネント22を制御してA/D変換器18の分解能を動的に調整する。同様に、信号24が別のゾーンへ移動するとき、プロセッサ20はコンポーネント22を制御して、A/D変換器18の分解能を再び動的に調整することができる。したがって、(入力信号24を考慮して獲得可能な最善の分解能と分解能ゾーンが合致するという点で)A/D変換器18の分解能設定は、常に適切なゾーンにある。その結果、1つの固定した分解能設定を有するシステムの分解能以上に、A/D変換器18がプロセッサ20に出力を供給する際の全体の分解能が増加する。したがって、センサの全ての動作範囲24が高い分解能ゾーン外のエリアを備える場合であっても、トランスミッタ10は、A/D変換18の比較的高い分解能ゾーンをうまく利用する。更に、測定値24がより低い分解能ゾーンに近づく場合には、A/D変換18の分解能はより低い分解能ゾーンと合致するように簡単に調整される。
【0017】
一実施形態では、プロセッサ20は、分解能ゾーン間の各境界周辺の値の領域を使用する。信号24が、分解能ゾーン境界に近づき、領域に入るとき、新しいゾーンに適応するように、プロセッサ20は前もってA/D変換器18の分解能を変化させることができるか、又は、分解能を変化させる前に、信号24が実際に境界を横切るまでプロセッサ20は待機することができる。別の実施形態では、プロセッサ20は、信号が境界に近づくときに、信号24の変化率を測定することもでき、そして、すばやく分解能を変化させる方法を決定するために変化率を使用することもできる。同様に、プロセッサ20は、異なる分解能設定間の移行のためのヒステリシス幅を実施することができる。その結果、測定されるセンサ入力信号24が1つの分解能設定から次の設定まで移行する移行領域周辺をうろついている場合には、ヒステリシスはプロセッサ20が望ましくない方法でA/D変換器18の分解能設定を連続的に変化させないようにする。所与の領域の大きさ、ヒステリシス幅、又は、使用される特定の変化率は、特定の実施態様によって変化をつけることができる。当然、他の修正も同様に行うことができる。
【0018】
図1の説明のために、プログラム可能な分解能コンポーネント22がA/D変換器18とは別個のコンポーネントとして示されていることに注意すべきである。しかしながら、プロセッサ20がA/D変換器18の分解能設定入力に制御出力を簡単に供給することができるように、いくらかの現在のA/D変換器18は、コンポーネント22を内部に組み込む。図3は、このような実施形態の簡略化されたブロック図を示す。
【0019】
図3に示される項目は、図1に示される項目と同類であり、同類の項目には同じように番号がつけられる。しかしながら、A/D変換器18の分解能を変化させるために使用される別個のプログラム可能な分解能コンポーネント22を有する代わりに、分解能設定入力40を単純に有するA/D変換器18によって、トランスミッタ10が実施されていることが分かる。したがって、プロセッサ20は、A/D変換器18の分解能を動的に調整するために、A/D変換器18の分解能設定入力40に、分解能制御出力を単純に供給する。その結果、A/D変換器18の分解能設定が変化する。
【0020】
図4は、更に別の実施形態による別のトランスミッタ10の簡略化されたブロック図である。図4に示される実施形態では、トランスミッタ10は、A/D変換器18及びプロセッサ20を備える。しかしながら、(図3に示される40のような)分解能設定入力を有するA/D変換器18の代わりに、トランスミッタ19は、入力信号正規化コンポーネント42を備える。
【0021】
図4に示される実施形態では、A/D変換器18は、特定の入力電圧測定に集中した高い分解能ゾーンを有する。例えば、図2に示される分解能ゾーンのような、分解能ゾーンでA/D変換器18が動作すると考えられる。そのため、入力信号24が+/−Vref/3内にある限り、A/D変換器18は、A/D変換器18によって獲得可能な最も高い分解能を使用して、高い分解能ゾーンで入力信号の変換を行うことができる。A/D変換器18の分解能を再設定する代わりに、入力信号正規化コンポーネント42は、A/D変換器18の高い分解能領域内に入力信号を例示的に保つように入力信号24を正規化する。すなわち、コンポーネント42は、A/D変換器18の高い分解能ゾーン内に信号を保つように、信号24にオフセットをもたらす。
【0022】
図5Aは、部分的な概略図の形で入力信号正規化コンポーネント42の一実施形態を示す簡略図である。図5Aはまた、一例として、センサ12が抵抗サーマルデバイス(RTD)50又は熱電対52を備えることを示す。図5Aに示される実施形態では、コンポーネント42は、プロセッサ20によって制御される一組のスイッチ54及び56を備える。コンポーネント42はまた、ツェナーダイオード66と共に、抵抗58、60、62及び64の抵抗回路網を備える。
【0023】
図5Aに示される実施形態では、コンポーネント42が、センサ12により出力されるゼロ点を所定の値分、低い方へ移行するのを効果的に可能にする。センサ12によって提供される信号が許容可能な高い分解能ゾーン内にある場合には、図5Aに示されるように、スイッチ54を閉じ、スイッチ56を開くように、プロセッサ20はスイッチ54及び56を操作する。その結果、矢印68によって表される第1経路に沿って流れるように、センサ電流Isensorがもたらされる。A/D変換器18は、最も高い分解能で、変換を行い、そして、測定され変換された出力をプロセッサ20に提供することができる。
【0024】
しかしながら、センサ12によってA/D変換器18に出力される信号がより低い分解能ゾーンへと移動する場合には、プロセッサ20は、図5Bに示されるようにスイッチ54及び56を制御することができ、その結果、スイッチ54は開かれ、スイッチ56は閉じられる。これにより、矢印70によって表される第2経路に沿って流れるように、電流Isensorがもたらされる。その結果、センサ入力0点が、図2に示されるような高い分解能ゾーン電圧領域内となるように、センサ入力0点が効果的に低下する。当然、追加的な抵抗分割器及びスイッチが他のセンサ範囲に同様に適応するために追加可能であることに気づくであろう。示された抵抗分割器及びスイッチは例示的なものに過ぎない。
【0025】
図6は、更に別の実施形態の簡略化されたブロック図である。図6では、前の図に示された項目と同類の項目に、同じように番号がつけられる。A/D変換器18が、測定のための異なる分解能ゲインを選択するために、いかなる手段も備えない実施形態を、図6は例示する。この場合には、トランスミッタ10は、A/D変換を行うA/D変換器18の基準電圧として使用されるVref入力に、入力を提供するプログラム可能な基準電圧80を備える。A/D変換器18が比較的高い分解能ゾーンで動作し続けることができるように、プロセッサ20は、センサ入力信号24の測定値に基づきプログラム可能な基準電圧80を制御する。この実施形態では、A/D変換器18に提供される異なる電圧基準値が、A/D変換器18に、異なる量子化レベルで変換をさせる。したがって、Vrefを変化させることによって、プロセッサ20は、A/D変換器18により使用される分解能レベルを変化させることができる。
【0026】
そのため、図6に示される実施形態では、プログラム可能な基準電圧80は、例示的に、プロセッサ20によって選択することができる複数の異なる、選択可能な電圧タップからなる。それぞれのタップは、選択される場合にA/D変換器18へのVref入力として提供される異なる電圧レベルに対応する。この方法で、プロセッサ20は、測定された入力信号24の値に基づいて、A/D変換器18が動作する量子化レベル(分解能)を動的に調整することができる。
【0027】
図7は、トランスミッタ10の動作の一実施形態を例示する簡略化されたフローチャートである。図7に示される実施形態では、トランスミッタ10は、センサ入力24の入力信号レベルを最初に測定する。この動作は、ブロック90によって表される。次に、信号24がどの分解能ゾーンに分類されるか決定することによって、プロセッサ20が、測定されたセンサ入力信号レベルに基づく適切な分解能設定を決定する。この動作は、ブロック92によって表される。次に、プロセッサ20が、ブロック92で決定をした分解能ゾーンと合致する分解能設定に、A/D変換器の分解能を設定する。この動作は、ブロック94によって表される。A/D変換器18の分解能を動的に調整するためにプロセッサ20がトランスミッタ10を制御する特定の方法は、その調整のために使用される特定の実施形態に依存する。多くの例示的な実施形態が、図1から図6に関して上で述べられる。図7がトランスミッタ10を動作するほんの1つの例示的な方法であることはいうまでもない。
【0028】
本発明が好ましい実施形態を参照にして説明されたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく形式及び細部で変更が可能であることを当業者は認識するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7