(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
有機液体の管理は、有機液体が廃棄物になると複雑な問題であり、その健康、環境、および美観に及ぼす影響を低減させるためにコスト効果のある代替がほとんど存在しない。現在の管理方法は、造成地盤内における有機液体の廃棄、焼却炉内での破壊、およびリサイクルに焦点を当てている。総合的廃棄物管理(IWM)における最近の進歩によって、ライフサイクル分析および持続可能廃棄物管理戦略の実装を介してこれらの材料の影響を最小にしている。しかしながら、有機液体廃棄物管理問題の遺物は、依然として存在しており、それに対して焼却および埋立処理が、現在、唯一の実践的な代替である。
【0004】
汚染物質水理地質学の分野における最近の進歩は、燻焼燃焼が、有機液体で汚染された土壌の地中容積を処理するために使用することができることを示している。このアプローチは、能動的修復用の持続的処理法(STAR)技術として商業的に利用可能であり、特許文献1の主題である。
【0005】
燻焼は、燃焼の無炎形態であって、酸化環境において加熱されると、固体または液体燃料の表面上において生じる反応からその熱を得る。燻焼燃焼反応の実施例として、煙草またはポリウレタン発泡体の燃焼片が挙げられる。燻焼は、燃料加熱の速度が、オキシダントが燃料中に拡散する速度を下回るときのみに生じることができる。したがって、燻焼は、燃料の表面へのオキシダント拡散の速度が、材料を気化するために要求される熱添加の速度よりも速いことを必要とする。拡散プロセスは、比較的に緩速であるので、燻焼は、燃料がオキシダントに暴露される非常に大きい表面積を有するという条件下においてのみ生じることができる(オキシダント取り込みの速度=オキシダント拡散流量×燃料の表面積)。この条件は、最も一般的には、材料が非常に大きい表面対容積比を有する多孔性材料の内部において達成される。煙草および他の固体有機材料(例えば、ごみ、石炭廃棄物、ポリウレタン発泡体等)の場合、煙草は、燃料および多孔性母材の両方であるのに対し、STARプロセスの場合、燃料は、有機汚染物質であって、多孔性母材は、土壌の地中容積である。
【0006】
燻焼燃焼は、発炎燃焼とは異なる。発炎は、凝縮燃料(液体または固体のいずれか)が、外部熱源によって気化され、燃料とオキシダントとの混合物を気相中に産生し、混合物は、さらなる加熱の存在の下に炎につながり得る燃焼プロセスである。炎は、小さい表面積対容積比を有する。したがって、加熱の速度は、オキシダント拡散の速度を遥かに超える。さらに、炎は、気相中における気化油と酸素との間の反応を表す。したがって、発炎燃焼は、気体燃料と気体オキシダントとの間の気相中において生じ、これは、同種燃焼反応である。燻焼燃焼は、逆に、気相オキシダントが凝縮液体または固体燃料中に拡散するにつれて、液体/固体燃料表面上において生じる。したがって、このプロセスは、異種反応である。
【0007】
燻焼燃焼は、燻焼燃焼反応を開始および持続するために、短時間エネルギー入力およびオキシダント(例えば、酸素、空気、過塩素酸塩)の添加を必要とする。燻焼燃焼は、炭素化合物およびオキシダントを二酸化炭素、水、ならびにエネルギーに変換する発熱反応(正味エネルギー産生)である。したがって、局在エネルギーの短時間低入力を介した点火後、燻焼燃焼反応は、自続式態様で継続することができる。例えば、STARにおける汚染物質の燃焼のために要求される熱エネルギーは、主に、汚染物質自体内の内在エネルギーに由来する。
【0008】
熱プロセスを使用して、熱分解および揮発等の吸熱プロセス(正味エネルギー消費)を介して汚染物質を除去または破壊する、一連の技術を含め、汚染された土壌の修復のための多数の方法論が存在する。これらの他の熱修復に勝るSTARの利点は、他の熱修復が汚染された土壌に印加される大量の熱/エネルギーの入力を必要とし、多くの場合、これらの技術を法外にコスト高にすることに対して、STARは、汚染物質内の内在エネルギーを利用してその破壊を促進することである。
【0009】
有機廃棄物の処理のための現在の技法は、類似の問題に悩まされている。例えば、焼却は、有機液体の容積削減/破壊のためのエネルギー集約的技術であって、継続的なエネルギー入力を必要とする。その結果、焼却は、多くの場合、コストがかかる処理技術である。
【0010】
燻焼は、従来、固体燃料の中において観察されており、石炭堆積物または固体有機廃棄物の堆積物の中において自然発生的に生じることが知られている。煙草の例のように、これらの材料の燻焼燃焼は、燃料源および多孔性母材の存在を必要とし、ほとんどの場合、燃料源と多孔性母材とは、1つおよび同一のもの(例えば、煙草)である。したがって、多孔性母材の欠如に起因して、液体燃料の燻焼燃焼は、長年、不可能であるとして却下されてきた。ある研究は、油および他の自己点火液体の中に浸漬された多孔性断熱材の内部で生じる断熱火災を含む、多孔性母材の中における液体燃料の燃焼、および燃焼前線が石油リザーバの中で引き起こされて、油を抽出点に向かって動かす原油増進回収法について調査している。しかしながら、バルク有機液体の処理またはその容積削減をもたらす手段としての燻焼燃焼の使用は、行われたことがない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下に説明されるように、燻焼燃焼は、燃料源および多孔性母材の存在下においてのみ可能である。石炭堆積物またはごみ等の固体有機廃棄物の場合、有機廃棄物は、燃料源および多孔性母材の両方として作用する。有機液体の場合、多孔性母材は、燻焼燃焼反応が生じるために必要な条件を生成するために、有機液体に添加されなければならない。これは、砂等の反応または不活性材料のいずれかを有機液体に添加することによって、あるいは有機液体を多孔性母材のベッドまたは堆積物に添加することによって、達成されることができる。これらの条件が確立されると、STARプロセスによって説明されるものと同様に、燻焼燃焼が有機液体/多孔性母材の混合物の中において開始され得る。すなわち、混合物が加熱され、オキシダントが燻焼燃焼プロセスを開始するために添加され、次いで、加熱源が停止されるが、オキシダント添加は、自続反応(すなわち、燻焼燃焼のためのエネルギー源は、外部源とは対照的に有機液体である)が生じるように続けられて、有機液体の容積削減をもたらす。
【0013】
本発明の実施形態は、最初に有機液体を多孔性母材の中において集合させることによって、燻焼燃焼を使用して、任意の有機液体の容積を削減することができるという驚くべき発見を利用する。有機液体または液体燃料は、多孔性固体燃料に一般的な必要表面積を欠いているので、集合ステップがない場合に燻焼することは知られていない。
【0014】
本発明は、有機液体の処理のための自続燻焼燃焼の原理に依拠する。燻焼燃焼は、低エネルギー要件、低コスト、より高速な処理、および効果的処理等、有機液体処理方法として、従来の処理技法に勝る利点を提供する。さらに、本発明は、燻焼燃焼プロセスが、コストを要する有機液体の貯蔵のための土地を調達および維持するための必要性を排除するために、有機液体を主として燃焼ガスに変換するので、埋立処理よりも優れている。具体的には、燻焼燃焼は、有機液体の容積を削減するように適用されることにより、有機液体を多孔性母材の中に集合または混合すること(すなわち、「その混合物」)によって有機液体を破壊し得る。有機液体は、多孔性母材と混合され、混合物を産生し、オキシダントが押されてそれに通し、燻焼が熱源によって開始させられる。熱源は、次いで、除去または停止される一方、オキシダント送給は、混合物を通しての燻焼反応の進行を持続するために維持される。
【0015】
いくつかの有機液体(例えば、石炭タール、石油炭化水素等)に内在するエネルギーは、多くの場合、自続反応を生じさせるためには十分過ぎるほどである。この過剰エネルギー(すなわち、過剰熱)の一部分は、有機液体、または有機液体が部分的もしくは全体的に混合された多孔性母材のいずれかについての二次的処理に影響を及ぼすために使用されることができる。例えば、重金属は、一般的な土壌汚染物質であって、多くの場合、石油炭化水素等の有機液体中に存在することが分かっている。重金属は、有機体ではなく、燃焼しないであろうが、水銀等のいくつかの重金属は揮発性であり、自続燻焼燃焼プロセスによって発生した過剰熱を介した後処理のために、土壌または有機液体から除去されることができる。同様に、いくつかの形態の石綿は、700℃を上回る温度において無毒性になることが知られている。したがって、自続燻焼燃焼プロセスからの過剰熱を使用して、石綿鉱物を含有する土壌およびスラリーを処理することができる。最後に、自続燻焼燃焼反応の過剰熱は、湿気または水分保持土壌がプロセスにおいて多孔性母材として使用されるとき、土壌を乾燥させるために使用されることができる。
【0016】
対照的に、いくつかの有機液体は、自続反応を生じさせるための十分なエネルギーを欠いている。それらは、有機体であり、これらの化合物は、燃焼するであろうが、十分な固有エネルギーがないので、外部エネルギー供給が反応を維持するために必要とされる。これは、混合物の固有エネルギーを増加させるための燃料添加材のバッチ添加を通して克服することができる。したがって、自続燻焼が進行することを可能にする。また、燃焼反応が燃料添加材の添加を伴わずに自続している場合でも、燻焼反応の特性(例えば、温度)に影響を及ぼすために、燃料添加材を添加することは利点があり得る。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態では、燻焼プロセスは、燻焼燃焼を開始するために、セラミック、火口、または開始燃料の使用を必要としない。また、固体の燻焼において要求され得るように、燻焼を維持するために、集合体のバルクの中にチャネルを生成する必要性もない。
【0018】
本発明の第1の実施形態では、有機液体の容積削減のための方法が提供される。本方法は、有機液体の容積削減を生じさせるために、多孔性母材材料を液体と混合し、混合物を産生するステップと、混合物を加熱するステップと、オキシダントを混合物に押し込むステップと、混合物の自続燻焼燃焼を開始および維持するステップと、加熱源を停止するステップとを含む。ある実施形態では、反応条件は、点火の地点から離れるように、混合物を通る燻焼燃焼の伝播を生じさせるように維持される。
【0019】
特定の実施形態では、有機液体は、容積削減に先立って、集合させられる。これらの実施形態の方法は、有機液体を反応容器の中において集合させるステップをさらに含む。付加的実施形態は、多孔性母材材料を含む母材堆積物の中において有機液体を集合させるステップをさらに含む。なおも他の実施形態は、有機液体廃棄物ラグーンの中において多孔性母材を集合させるステップをさらに含む。
【0020】
さらなる実施形態は、混合物を燻焼燃焼ゾーンの中へ連続的に送給するステップを含む。
【0021】
ある実施形態では、多孔性母材材料を混合するステップは、有機液体および多孔性材料を容器の中へバッチ送給するステップを含む。
【0022】
付加的実施形態は、混合ツールを使用して、多孔性母材材料を有機液体と混合して、混合物を産生するステップを含む。特定の実施形態では、混合ツールは、回転する螺旋ブレードを含む。
【0023】
本発明の別の実施形態では、有機液体の容積削減のための方法が提供され、多孔性母材材料を有機液体と混合して、混合物を産生するステップは、多孔性母材材料を含む恒久的または半恒久的な閉込めベッドを形成するステップと、有機液体を閉込めベッド内に継続的に注入するステップとを含む。本発明の他の実施形態では、多孔性母材材料を有機液体と混合し、混合物を産生するステップが、有機液体を含む、有機液体閉込めベッドを形成するステップと、多孔性母材材料を有機液体閉込めベッド内に継続的に注入するステップとを含む、方法が提供される。
【0024】
特定の実施形態では、オキシダントを混合物に押し込むステップは、導入ポートを通して、空気を混合物中に導入するステップを含む。ある実施形態では、オキシダントを混合物に押し込むステップは、複数の導入ポートを通して、空気を混合物中に導入するステップを含む。他の実施形態では、オキシダントを混合物に押し込むステップは、導入ポートを通して、酸素を混合物中に導入するステップを含む。ある実施形態では、オキシダントを混合物に押し込むステップは、複数の導入ポートを通して、酸素を混合物中に導入するステップを含む。他の実施形態では、オキシダントを混合物に押し込むステップは、導入ポートを通して、液体オキシダントを混合物中に導入するステップを含む。ある実施形態では、オキシダントを混合物に押し込むステップは、混合物複数の導入ポートを通して、液体オキシダントを混合物中に導入するステップを含む。ある実施形態では、オキシダントを混合物に押し込むステップは、真空を生成し、オキシダントを混合物から吸引するステップを含む。他の実施形態では、オキシダントは、燻焼燃焼を開始するステップに先立って、混合物の内部に位置する。
【0025】
ある実施形態では、燻焼燃焼を開始するステップは、燻焼燃焼を開始するために十分な時間の間、複数の加熱源のうちの少なくとも1つから、熱を混合物に印加するステップを含む。特定の実施形態では、複数の加熱源のうちの少なくとも1つは、混合物の外部の対流加熱源である。さらに他の特定の実施形態では、複数の加熱源のうちの少なくとも1つは、混合物の内部に位置する対流加熱源である。さらに他の実施形態では、複数の加熱源のうちの少なくとも1つは、混合物に直接接触している内部伝導加熱源である。他の実施形態では、複数の加熱源のうちの少なくとも1つは、放射熱を混合物に印加する。
【0026】
なおもさらなる実施形態では、燻焼燃焼を開始するステップは、混合物と直接接触している内部伝導加熱源から、熱を混合物に印加するステップを含む。他の実施形態では、燻焼燃焼を開始するステップは、混合物に連結された対流加熱源から、熱を混合物に印加するステップを含む。特定の実施形態では、対流加熱源は、混合物の外部にある。他の実施形態では、対流加熱源は、混合物内に位置する。本発明の他の実施形態では、燻焼燃焼を開始するステップは、放射熱を混合物に印加するステップを含む。本発明の他の実施形態では、燻焼燃焼を開始するステップは、燃焼反応を通して、熱を混合物に印加するステップを含む。本発明の他の実施形態では、燻焼燃焼を開始するステップは、発熱化学反応を介して、熱を混合物に印加するステップを含む。
【0027】
ある実施形態では、混合物への加熱源は、燻焼燃焼の開始後、停止される。他の実施形態では、混合物への複数の加熱源のうちの少なくとも1つは、燻焼燃焼の開始後、停止される。
【0028】
本発明の別の実施形態では、有機液体の容積削減のための方法はさらに、螺旋混合ツールを使用して、多孔性母材材料を有機液体と混合し、混合物を産生するステップと、第1のコンベヤシステムを介して、燻焼燃焼ゾーン内に混合物を供給するステップと、第2のコンベヤシステムを介して、燃焼生成物を除去するステップとを含む。
【0029】
ある実施形態はさらに、地表面を上回って、有機液体を集合させるステップを含む。他の実施形態はさらに、地表面を下回って、有機液体を集合させるステップを含む。
【0030】
特定の実施形態では、多孔性母材材料は、砂、土壌、沈泥、肥土、充填材、丸石、砂利、砕石、ガラス、セラミック、ゼオライト、木くず、木炭、石炭、ドリル切削くず、およびそれらの組み合わせを含む群から選択される。ある実施形態はさらに、200〜2000℃の範囲内の温度において、燻焼燃焼を実施するステップを含む。他の実施形態はさらに、線速度0.0001〜100センチメートル/秒において、空気を混合物に押し込むステップを含む。
【0031】
本発明の別の実施形態はさらに、燃焼に先立って、補助燃料を多孔性母材材料および有機液体と混合するステップを含む。
【0032】
ある実施形態では、有機液体は、液体である。他の実施形態では、有機液体は、スラッジである。他の実施形態では、有機液体は、スラリーである。他の実施形態では、有機液体は、乳剤である。
【0033】
本発明の別の実施形態では、有機液体を反応容器、母材堆積物、またはラグーン中に集合させ、集合体を形成するステップを含む、有機液体の容積削減のための方法が提供される。実施形態はさらに、植物油、タール、化学オキシダント、掘削泥水、および石油炭化水素から成る群から選択される補助燃料を集合体に添加するステップを含む。実施形態はまた、砂、土壌、沈泥、肥土、充填材、丸石、砂利、砕石、ガラス、セラミック、ゼオライト、木くず、木炭、石炭、ドリル切削くず、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される多孔性母材材料を有機液体と混合し、混合物を産生し、自続燻焼燃焼を可能にするステップを含む。実施形態はさらに、少なくとも1つの空気供給ポートから、空気を混合物に押し込むステップと、少なくとも1つの伝導、対流、または放射加熱器から、混合物の自続燻焼燃焼を開始し、有機液体の容積削減を生じさせるステップとを含む。
【0034】
概して、前述の実施形態のそれぞれにおいて、有機液体を容積的に削減する方法として、自続燻焼燃焼を助長/維持することが所望される。
【0035】
実施形態の前述の特徴は、付随の図面に関連して、以下の発明を実施するための形態を参照することによって、より容易に理解されるであろう。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
有機液体の容積削減のための方法であって、該方法は、
混合物を産生するために、有機液体を多孔性母材材料と混合することと、
該混合物の一部分を加熱することと、
オキシダントを該混合物に押し込むことと、
該混合物に印加される熱の源を停止させることと
を含み、
それにより、該混合物の自続燻焼燃焼を開始して、該有機液体の容積削減を生じさせる、方法。
(項目2)
前記燃焼の伝播を該燃焼の点火点から離れるように生じさせることをさらに含む、項目1に記載の有機液体の容積削減のための方法。
(項目3)
前記有機液体を反応容器の中において集合させることをさらに含む、項目1および2のいずれかに記載の有機液体の容積削減のための方法。
(項目4)
前記有機液体を前記多孔性母材材料を含む堆積物の中において集合させることをさらに含む、項目1および2のいずれかに記載の有機液体の容積削減のための方法。
(項目5)
前記多孔性母材を有機液体ラグーンの中において集合させることをさらに含む、項目1および2のいずれかに記載の有機液体の容積削減のための方法。
(項目6)
前記混合物を燻焼燃焼ゾーンの中へ連続的に送給することをさらに含む、項目1〜5のいずれかに記載の有機液体の容積削減のための方法。
(項目7)
前記多孔性母材材料を混合することは、前記液体および該多孔性材料を前記容器の中へバッチ式送給することを含む、項目1〜5のいずれかに記載の有機液体の容積削減のための方法。
(項目8)
混合ツールを使用することをさらに含み、該混合ツールは、前記多孔性母材材料を前記液体と混合して前記混合物を産生する、項目1〜7のいずれかに記載の有機液体の容積削減のための方法。
(項目9)
前記混合ツールは、回転する螺旋ブレードを含む、項目8に記載の有機液体の容積削減のための方法。
(項目10)
前記混合物を産生するために、前記多孔性母材材料を前記液体と混合することは、
該多孔性母材材料を含む恒久的または半恒久的な閉込めベッドを形成することと、
該液体を該閉込めベッドの中へ連続的に注入することと
を含む、項目1に記載の有機液体の容積削減のための方法。
(項目11)
前記混合物を産生するために、前記多孔性母材材料を前記液体と混合することは、
前記有機液体を含む閉込めベッドを形成することと、
該多孔性母材材料を該閉込めベッドの中へ連続的に注入することと
を含む、項目1に記載の有機液体の容積削減のための方法。
(項目12)
前記有機液体を自然地盤または造成地盤の中において集合させることをさらに含む、項目1および2のいずれかに記載の有機液体の容積削減のための方法。
(項目13)
オキシダントを前記混合物に押し込むことは、導入ポートを通して空気を該混合物の中へ導入することを含む、項目1〜12のいずれかに記載の有機液体の容積削減のための方法。
(項目14)
燻焼燃焼を開始することは、前記混合物に直接接触している内部伝導加熱源から、熱を該混合物に印加することを含む、項目1〜13のいずれかに記載の有機液体の容積削減のための方法。
(項目15)
燻焼燃焼を開始することは、前記混合物に連結された対流加熱源から、熱を該混合物に印加することを含む、項目1〜13のいずれかに記載の有機液体の容積削減のための方法。
(項目16)
前記対流加熱源は、前記混合物の外部にある、項目15に記載の有機液体の容積削減のための方法。
(項目17)
前記対流加熱源は、前記混合物の内部に位置する、項目15に記載の有機液体の容積削減のための方法。
(項目18)
燻焼燃焼を開始することは、放射熱を前記混合物に印加することを含む、項目1〜13のいずれかに記載の有機液体の容積削減のための方法。
(項目19)
オキシダントを前記混合物に押し込むことは、複数の導入ポートを通して空気を該混合物の中へ導入することを含む、項目13に記載の有機液体の容積削減のための方法。
(項目20)
オキシダントを前記混合物に押し込むことは、該混合物を通してオキシダントを吸引するための真空を生成することを含む、項目13に記載の有機液体の容積削減のための方法。
(項目21)
燻焼燃焼を開始することは、複数の加熱源のうちの少なくとも1つから、熱を前記混合物に印加することを含む、項目1〜20のいずれかに記載の有機液体の容積削減のための方法。
(項目22)
前記複数の加熱源のうちの少なくとも1つは、前記混合物の外部にある対流加熱源である、項目21に記載の有機液体の容積削減のための方法。
(項目23)
前記複数の加熱源のうちの少なくとも1つは、前記混合物の内部に位置する対流加熱源である、項目21に記載の有機液体の容積削減のための方法。
(項目24)
前記複数の加熱源のうちの少なくとも1つは、前記混合物と直接接触している内部伝導加熱源である、項目21に記載の有機液体の容積削減のための方法。
(項目25)
前記複数の加熱源のうちの少なくとも1つは、放射熱を前記混合物に印加する、項目21に記載の有機液体の容積削減のための方法。
(項目26)
前記混合物を産生するために、螺旋混合ツールを使用して、前記多孔性母材材料を前記液体と混合することと、
第1のコンベヤシステムを介して、該混合物を前記燻焼燃焼ゾーンの中へ供給することと、
第2のコンベヤシステムを介して、燃焼生成物を除去することと
をさらに含む、項目8に記載の有機液体の容積削減のための方法。
(項目27)
前記有機液体を地表面の上方に集合させることをさらに含む、項目1〜26のいずれかに記載の有機液体の容積削減のための方法。
(項目28)
前記有機液体を地表面の下方に集合させることをさらに含む、項目1〜27のいずれかに記載の有機液体の容積削減のための方法。
(項目29)
前記有機液体を自然地盤または造成地盤の内部において集合させることをさらに含む、項目1〜28のいずれかに記載の有機液体の容積削減のための方法。
(項目30)
前記多孔性母材材料は、砂、土壌、沈泥、肥土、充填材、丸石、砂利、砕石、ガラス、セラミック、ゼオライト、木くず、木炭、石炭、ドリル切削くず、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、項目1〜29のいずれかに記載の有機液体の容積削減のための方法。
(項目31)
200〜2000℃の範囲内の温度で、前記燻焼燃焼を実行することをさらに含む、項目1〜30のいずれかに記載の有機液体の容積削減のための方法。
(項目32)
0.0001〜100センチメートル/秒の線速度で、空気を前記混合物に押し込むことをさらに含む、項目1〜31のいずれかに記載の有機液体の容積削減のための方法。
(項目33)
燃焼に先立って、燃料添加材を前記多孔性母材材料および前記液体と混合することをさらに含む、項目1〜32のいずれかに記載の方法。
(項目34)
前記有機液体は、液体である、項目1〜33のいずれかに記載の方法。
(項目35)
前記有機液体は、スラッジである、項目1〜34のいずれかに記載の方法。
(項目36)
前記有機液体は、重金属を含み、前記方法は、該重金属の一部または全部が、前記混合物から除去されるまで、自続燻焼燃焼を維持するステップをさらに含む、項目1〜35のいずれかに記載の方法。
(項目37)
前記多孔性母材は、重金属を含有し、前記方法は、該重金属の一部または全部が、前記混合物から除去されるまで、自続燻焼燃焼を維持するステップをさらに含む、項目1〜36のいずれかに記載の方法。
(項目38)
前記重金属は、水銀である、項目36に記載の方法。
(項目39)
前記重金属は、水銀である、項目37に記載の方法。
(項目40)
前記有機液体は、石綿を含み、前記方法は、該石綿の一部または全部が、前記燻焼熱への暴露によってより低い毒性または無毒性になるまで、自続燻焼燃焼を維持するステップをさらに含む、項目1〜39のいずれかに記載の方法。
(項目41)
前記多孔性母材は、石綿を含有し、前記方法は、前記石綿の一部または全部が、前記燻焼熱への暴露によってより低い毒性または無毒性になるまで、自続燻焼燃焼を維持するステップをさらに含む、項目1〜40のいずれかに記載の方法。
(項目42)
前記多孔性母材は、湿気を含有する土壌であり、前記方法は、該湿気の一部または全部が、該土壌から除去されるまで、自続燻焼燃焼を維持するステップをさらに含む、項目1〜41のいずれかに記載の方法。
(項目43)
有機液体の容積削減のための方法であって、該方法は、
集合体を形成するために、該有機液体を反応容器、母材堆積物またはラグーンの中において集合させることと、
植物油、タール、化学オキシダント、掘削泥水、および石油炭化水素から成る群から選択される補助燃料を該集合体に添加することと、
混合物を産生するために、砂、土壌、沈泥、肥土、充填材、丸石、砂利、砕石、ガラス、セラミック、ゼオライト、木くず、木炭、石炭、ドリル切削くず、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される多孔性母材材料を、該液体と混合することであって、該混合物は、自続燻焼燃焼を可能にする程に十分に均一である、ことと、
少なくとも1つの伝導、対流、または放射加熱器を用いて、該混合物の一部分を加熱することと、
少なくとも1つの空気供給ポートから、オキシダントを該混合物に押し込むことと、
該混合物に印加される熱の源を停止させることと、
少なくとも1つの空気供給ポートから、空気を該混合物に押し込むことと
を含み、
それにより、該混合物の自続燻焼燃焼を開始して、該有機液体の容積削減を生じさせる、方法。
【発明を実施するための形態】
【0037】
定義。本説明および付随の請求項において使用されるように、以下の用語は、文脈によって別様に要求されない限り、ここに示される意味を有するものとする。
【0038】
用語「多孔性母材」は、孔(開放空間)を有する合成または自然固体材料を意味し、固体材料は、孔またはその間に孔を有する粒状固体集合を有する単一の片であり得る。本発明の実施形態の多孔性母材を含む、好適な材料の実施例は、砂、土壌、沈泥、肥土、充填材、丸石、砂利、ガラスビーズ、木片、ゼオライト、砕石、セラミック片、またはビーズ、木炭、石炭、ドリル切削くず、およびそれらの組み合わせを含む。
【0039】
用語組成物の「燻焼燃焼」は、炎を伴わない燃焼作用またはプロセスを意味し、急速酸化が、炎ではなく、熱および光によって達成され、燃焼は、組成物の表面において生じ(すなわち、炎と同様に組成物の上方の気相においてではなく)、この場合、組成物は、有機液体と多孔性母材との混合物である。
【0040】
用語「有機液体」は、液体として流動することができるか、または有機炭素化合物を含有する軟泥のような可塑性を有し、炭化水素スラッジ、スラリー、または乳剤等の部分的に液体である材料を含む有機材料を意味する。
【0041】
「自続式」は、燻焼燃焼が外部エネルギーの印加を伴わずに、すなわち、既に燻焼している有機液体が十分な熱を産生し、隣接する物質内の温度をその燃焼点まで上昇させる場合に、有機液体内において維持されるか、または有機液体を介して伝播する反応状態を意味する。この状態は、最初に、熱の印加が燻焼燃焼を開始するために要求される場合においてさえも、自続式であり得る。
【0042】
用語「母材堆積物」は、多孔性母材材料の任意の堆積物、盛土、あるいは垂直方向の集塊または集合を意味する。母材堆積物は、恒久的または半恒久的のいずれかであり得る。
【0043】
用語「点火」は、燃焼を開始するプロセスを意味する。
【0044】
用語「伝導加熱」は、直接的物理接触による熱エネルギーの伝達を意味する。
【0045】
用語「対流加熱」は、流体の移動による熱エネルギーの伝達を意味する。
【0046】
用語「放射加熱」は、電磁放射による熱エネルギーの伝達を意味する。
【0047】
用語「混合ツール」は、使用時に、有機液体および多孔性母材を塊または混合物に結合あるいは混成する器具を意味する。
【0048】
有機液体の「貯水槽」は、容器内、または地上の堆積物中、または地表面の下方の空洞内の有機液体の集合である。同様に、有機液体と母材の混合物の「貯水槽」は、容器内、または地上の堆積物中、または地表面の下方の空洞内の混合物の集合である。
【0049】
燻焼は、オキシダント(気体)および燃料(液体またはスラッジ)が、異なる相であるため、異種燃焼反応である。これは、単一(気)相中で生じる同種反応である、発炎燃焼とは対照的である。
【0050】
本発明の実施形態では、多孔性母材は、燻焼燃焼を促進する環境内に有機液体を捕捉するための足場としての役割を果たす。燻焼燃焼は、システムの内部における効率的エネルギーリサイクルを介して維持される。最初に有機液体が燃焼させられ、熱エネルギーを発し、多孔性母材によって留保または吸収される。次に、留保または吸収された熱エネルギーは、多孔性母材からシステムに再放出または再循環されるか、あるいは燃焼プロセスが開始された空間内の点からさらに遠くの除去される有機液体材料を予加熱する流体(例えば、オキシダント気体)を移動させることによって、混合物を通して輸送される。したがって、プロセスを開始するための短時間のエネルギー入力後に、燻焼燃焼は、自続し(すなわち、オキシダントの供給とともに、燃焼する有機液体のエネルギーを使用して反応を維持する)、点火点から離れるように可燃物質の中へ伝播することが可能である。燻焼は、廃棄物/多孔性母材の混合物を通って伝播することができる燃焼反応の唯一のタイプである(すなわち、炎は、そのようなシステムを通って伝播することが可能ではない)。自続プロセスにおいては、加熱源は、燻焼燃焼の開始後に停止される。
【0051】
自続燻焼燃焼プロセスは、以下の条件が満たされる場合、有機液体の処理に拡張することができる。(1)有機液体が、燻焼燃焼プロセスを持続する程に十分な内在エネルギーを含有する(すなわち、可燃材料である)、(2)多孔性母材と混合され、燻焼プロセスを可能にする、(3)熱源が、プロセスを開始するために提供される、(4)オキシダント(例えば、酸素、空気、過塩素酸塩)の供給が、プロセスを開始および維持するために提供される、(5)熱源は、燻焼燃焼の開始後に停止される。
【0052】
自続燻焼燃焼処理方法は、有機液体、スラッジ、スラリー、または乳剤のいずれかに適用され、合成または自然多孔性媒体あるいは粒状固体母材の中において行うことができる。多くの用途では、廃棄物は、例えば、炭化水素スラッジ、スラリー、または乳剤のように、少なくとも部分的に液相であり得ることが予期される。
【0053】
自続燻焼燃焼プロセスは、有機液体の処理のための多数の利点を有する。第1に、プロセスの燃焼生成物は、二酸化炭素、一酸化炭素、エネルギー、および水であって、したがって、有機液体の埋立処理が必要とされない。第2に、プロセスは、自続する(すなわち、オキシダントの供給とともに、燃焼有機液体のエネルギーを使用して、反応を維持する)。したがって、燻焼燃焼プロセスは、焼却プロセスにおけるように、エネルギー、熱、または燃料の継続した添加の必要性を回避する。
【0054】
図1は、有機液体および多孔性母材が添加される、本発明のある実施形態による混合容器(11)を図示する。混合ツール(12)は、有機廃棄物と多孔性母材材料との混合物(13)を生成するために使用される。本発明の特定の実施形態では、混合は、燻焼燃焼が開始されることになる反応容器または貯水槽の内部において生じ得る。
図1の特定の実施形態では、螺旋混合ツール(12)が図示されているが、コルクスクリューおよびパドル形状の混合ツールを含む任意の形状が使用されてもよい。
【0055】
混合容器(11)は、中において多孔性媒体が定置され、燻焼プロセスの適用に備えて有機液体と混合される製造された円筒柱または長方形ボックス(例えば、ステンレス鋼壁容器)あるいは瓶、掘削された孔、指定堆積物、もしくは塀で囲まれた封入体であり得る。
【0056】
多孔性媒体は、ばらの(loose)または固定の多孔性材料(13)であり得る。固定の多孔性母材は、人工(例えば、鋼鉄メッシュ、多孔性プレート等)または自然(例えば、溶岩、石炭等)材料であり得る。ばらの多孔性母材は、人工(鋳鋼ショット、ガラスビーズ等)または自然(例えば、砂利、砂等)材料であり得る。
【0057】
混合物の定置は、バックホーまたは掘削機を介して手動で、スクリューコンベヤまたはコンベヤベルトシステムを介して自動で達成されてもよい。液体の定置は、注入、ポンプ、コンベヤ、または自重送り(例えば、サイフォンで吸い上げられる)を介して達成されてもよい。
【0058】
任意の有機液体が、本明細書に開示される方法によって、容積が削減され得る。本方法が特に効果的である有機液体の実施例は、石炭タールおよびクレオソート、石油炭化水素、掘削泥水、ならびに廃棄物スラッジ等の炭化水素混合物を含む。
【0059】
本明細書で使用される燻焼燃焼は、好ましくは、自続となる条件の下で、開始および維持される。いくつかの材料は、燻焼が、エネルギー増加物質を廃棄物または混合物に添加することなく、開始および維持され得るような十分なエネルギーを含有し得る。しかしながら、ある廃棄物物質は、その後の燻焼燃焼が自続となるか、またはその後の燻焼燃焼が、より高い温度等のある特性を有することを確実にするために、点火に先立って、1つ以上の燃料補助材のバッチ添加を要求し得る。例示的燃料補助材は、植物油、タール、掘削泥水、および石油炭化水素を含む。
【0060】
図2は、混合または反応容器(21)が、有機液体(23)が添加され、有機液体および多孔性母材材料の混合物を生成する固定のまたはばらの多孔性母材(22)を含有する、本発明の別の実施形態を図示している。液体または半液体の有機材料が、容積的に削減される特定の実施形態では、混合物は、有機液体が母材粒子の間に浸透するにつれて生成される。多孔性母材がばらの状態である実施形態では、混合は、本明細書に説明されるような混合ツールを使用することによって、支援されてもよい。
【0061】
混合ツールは、オーガもしくはスクリューまたは他の回転デバイス等の機械的混合器(12)であり得る。混合はまた、容器全体の振動または回転(反転)を介して達成されてもよい。混合はまた、容器内の多孔性媒体に液体を添加し、重力または毛細管作用によって自然に拡散させることによって、あるいは、圧力下において容器の底部に導入し、容器の上部へと移動するにつれて媒体の孔空間を充填することによって受動的に達成されてもよい。有機液体は、パイプ、斜溝、または他の放出体を通る液体の流動または流れとして、多孔性母材に添加されてもよい。
【0062】
混合プロセスは、連続、バッチ、または半バッチプロセスにおいて、燻焼プロセスのために使用される同一の容器内で行われるか、または別個の専用の混合容器または装置内で完了されてもよい。
【0063】
ばらの母材材料(22または以下の
図3の33)の添加は、手動で、バックホーまたは掘削機を介して、または自動的に、スクリューコンベヤまたはコンベヤベルトシステムを介して、達成されてもよい。
【0064】
コンベヤシステムは、混合容器から反応容器および反応容器から処理される母材土壌堆積物へとつながるスクリューまたはベルトコンベヤシステムであってもよい。混合物コンベヤは、スクリューコンベヤまたは他の機械的運搬デバイス、あるいは反応容器を通して処理される材料の自重送り通路を可能にするための解放機構であってもよい。
【0065】
本発明のある側面は、多孔性母材の中における有機液体の集合を含む。本明細書に説明される実施形態では、集合は、有機液体貯水槽が地表面の上方の容器内にあるときに生じる。しかしながら、また、有機液体が、ラグーンまたはプール等の空洞内の地表面の下方の(すなわち、地面の表面の下方の)貯水槽内にあるときも、本発明の実施形態を実践することが可能である。
図3は、貯水槽が、有機液体ラグーン(31)である実施形態を図示する。ラグーンは、ある容積の半固体または有機液体(32)を含み、その中に、ばらの母材材料(33)が添加され、混合ツール(34)によって混合され、有機液体と多孔性母材材料との混合物を生成する。有機液体ラグーン(31)の実施例は、有機液体(32)を蓄積および貯蔵するために使用される、漏水防止処理がされた、または漏水防止処理をしていない掘削地、改造プール、あるいは自然窪地であり得る。添加の順序は、特に重要ではないことを理解されたい。ラグーンが、最初に、多孔性母材材料によって充填され、その後に、有機液体が添加される実施形態、または多孔性母材材料が自然地盤であって、有機液体が自然地盤上に溢出され、自然地盤中に浸透する実施形態もまた可能である。いずれの場合も、混合物は、燻焼燃焼および液体の削減を可能にする好適な割合の地面下方空間の中に形成される。
【0066】
有機液体貯水槽が母材堆積物または盛土の地面の上にある、さらなる実施形態も可能である。
図4は、母材堆積物(42)が、有機液体材料(43)が適用される地面(41)の表面上に静置している、そのような実施形態を図示する。混合ツール(44)は、有機液体を循環させ、混合物を生成するために利用され得る。母材堆積物は、自立しているか、あるいは付加的な構造の内部に支持されているか、またはそれによって支持されているかのいずれかであってもよい。例えば、壁を使用して堆積物を覆ってもよい。
【0067】
母材堆積物(42)の実施例は、窪地の建設のために掘削された材料の堆積物、敷地修復対策の一部分として掘削された汚染材料の堆積物、または粒状材料の備蓄であり得る。有機材料は、加圧または自重送りパイプ、斜溝、または放出体を通して、母材堆積物の表面上に有機液体を注入し、重力または押圧の下で、母材堆積物中に浸透させ、耕運機またはホーを介して母材堆積物中に耕作され、バックホー、掘削機、または土壌混合/掘削リグを介して混合されることによって、適用あるいは母材堆積物と混合され得る。
【0068】
図5は、固体粒子(51)と、多孔性母材の孔空間(53)内に位置する、有機液体の連続あるいは断続小球体または小塊(52)とを含む、有機液体/多孔性母材の混合物を図示する。多孔性母材中に可燃材料を定置することは、いくつかの利点を有する。第1に、閉込めベッド内に有機液体の集中をもたらす。閉込めベッドの寸法および容積は、容積上の液体削減の量および空間場所を精密に制御するように固定することができる。第2に、発熱反応(すなわち、燃焼)が十分なエネルギーを放出するとき、反応は、多孔性媒体中で自続し得る。
【0069】
熱再循環の原理は、容易に理解されるが、その実践的適用は、効率、制御された燃焼強度(すなわち、燻焼を維持するため)を確実にし、汚染物質排出を制御するためには、多くの変数の均衡を必要とする。最適化を必要とする多孔性母材の特定の属性は、多孔性母材粒子サイズ(例えば、数マイクロメートル〜数インチ)、孔サイズ、浸透率(1×10
―5センチメートル/秒〜数百センチメートル/秒)、および鉱物特性(例えば、ケイ砂、炭酸塩砂等)を含む最適化を必要とする。有機液体の特定の属性は、化学組成物(例えば、炭素含有量および内在熱エネルギー)、粘度(例えば、1センチストーク〜数百センチストーク)、密度(例えば、200〜数千キログラム/立方メートル)、揮発度(例えば、揮発性、半揮発性、不揮発性)、および湿潤性(例えば、有機湿潤性または有機非湿潤性)を含む最適化を必要とする。燃焼システムの特定の属性は、予加熱時間(数分〜数日)、予加熱強度(100℃〜2000℃に及ぶ温度)、初期オキシダント流速(数ミリメートル/秒〜数十センチメートル/秒)、維持オキシダント流速(数ミリメートル/秒〜数十センチメートル/秒)、空気圧(周囲圧〜数十ポンド/空気圧平方インチ)、およびオキシダント含有量(例えば、空気〜精製酸素)を含む、最適化を必要とする。
【0070】
本発明の実施形態では、以下の多孔性母材材料が、有機液体との好適な混合物を形成することが分かっている:砂、土壌、沈泥、肥土、充填材、丸石、砂利、セラミックビーズ、およびガラスビーズ。これらの材料は、正しく寸法設定された場合、オキシダント拡散速度が加熱速度を超え得るような、および母材材料内に貯蔵された熱を有機液体のさらなる燃焼を支援するために利用可能にするような、燃焼プロセスの間に発生する十分な量の熱が母材材料内に伝達および貯蔵されるような表面積対容積比を有する有機液体との混合物を生成するであろう。母材材料は、それと混合される有機液体を受容するための十分な孔空間のさらなる特性と、孔空間を通る空気流動に適している表面、形状、および選別特性とを有する。プロセスは、ある範囲の有機液体対多孔性母材比を介して動作するであろうが、概して、多孔性母材孔空間の0.01%〜100%を占有する有機液体含有量に制約される。
【0071】
燻焼燃焼の点火は、燃焼を開始するための加熱源と、燃焼を開始および維持するためのオキシダント源の両方を必要とする。
図6は、有機液体と多孔性母材との混合物(62)を含有する燃焼反応容器(61)を図示する。オキシダントは、オキシダント源(63)から、空気供給ポート(64)を通して反応容器に供給される。空気供給ポートは、反応容器の中への単一の開口を備えてもよく、または反応容器の内部に設置された複数の開口を有するマニホールドを備えてもよい。2つの異なる加熱源が、図示されており、これは、単独または組み合わせのいずれかで使用され得る。例えば、加熱源(65)は、供給されたオキシダントとインラインに設置され、対流熱を混合物に供給してもよい。対流加熱源はまた、反応容器または反応容器の壁内に配置されてもよい。加えて、内部加熱源(66)が、反応容器内に設置され、点火および燻焼の維持のための伝導または放射熱を供給してもよい。
図6に示されるように、内部伝導/放射加熱源は、反応容器の底部に向かって設置され、「底部から上部までの」燃焼前線を伝播させ得る。付加的伝導熱源が、反応容器の内部壁全体を通して設置され、混合物内で可変レベルの燃焼を開始してもよい。
【0072】
オキシダント源は、調整または非調整圧力あるいは流量を有する配管もしくは管類を通して反応容器に接続された空気コンプレッサであってもよい。空気供給ポートは、穿孔パイプまたは開放空洞(プレナム)の直列または単一の区画であって、混合物の基部にわたって、所望のパターンでオキシダントを分散させてもよい。加熱要素は、電気駆動式ケーブル加熱器、電気駆動式カートリッジ加熱器、プロパンまたは他の外部燃料源が内部に供給され燃焼される放射管加熱器であってもよい。
【0073】
空気供給ポートは、穿孔された直押し炭素鋼、ステンレス鋼、または他の材料のロッド、母材堆積物またはラグーンを通して、垂直またはほぼ垂直に据え付けられた、ワイヤ巻着またはスロット付きスクリーン管を有する炭素鋼、ステンレス鋼、または他の材料のウェルであり得る。加熱要素は、ロッドまたはウェル内に据え付けあるいは設置された、ロッドまたはウェルを囲む母材堆積物の中に据え付けられた電気抵抗加熱器または放射加熱器、もしくはロッドまたはウェルを通して母材堆積物の中を通過する空気を加熱する地面上の要素であり得る。
【0074】
特定の実施形態では、オキシダントは、大気の成分として供給される酸素である。反応は、反応前線への酸素の供給の停止によって反応を停止させるように、制御可能である。反応前線への酸素流量の速度を増加または減少させることもまた、燃焼の速度、したがって、それぞれ、反応前線の伝播速度を増加または減少させるであろう。
【0075】
燃焼は、燻焼燃焼を維持するために要求される酸素、空気、または他のオキシダントの量を決定するための当業者に公知の方法に従って、監視されることができることを理解されたい。燃焼温度は、一般に、処理されるべき材料の容積全体を通して設置され得る熱電対によって監視される。燃焼ガスはまた、反応容器の出口または有機液体および多孔性母材材料の混合物の表面において収集され、有機液体質量破壊率および燃焼効率の特性評価を行うことができる。そのような方法は、焼却システムを含む、多くの燃焼プロセスの監視のための一般的な実践である。
【0076】
図7に図示されるように、本発明の実施形態は、複数の空気供給ポートおよび加熱要素を有する貯水槽を利用してもよい。
図7Aは、貯水槽が、有機液体と多孔性母材との混合物(711)を含有する有機液体ラグーンである実施形態を図示している。オキシダントは、空気供給ポート(713)に連結されたオキシダント源(712)から、有機液体ラグーンまたは母材堆積物に供給され得る。空気供給ポートは、十分に固体である混合物の中に掘削された掘削孔であってもよい。代替として、空気供給ポートは、十分に固体または比較的に液体でさえある混合物の中に挿入された、穿孔された中空シャフトであってもよい。空気供給ポートは、オキシダントがラグーン全体を通して十分な量および十分な速度で送達されるように、ラグーンの全体的寸法に従って離間され得る。それによって、ラグーン全体を通して燻焼燃焼を促進する。同様に、単一または複数の対流加熱要素(714)が供給される空気とインラインで設置され、ラグーンの内部の複数の地点において燻焼燃焼を開始してもよい。加えて、または代替として、複数の伝導、対流、または放射加熱要素(715)は、それらがラグーンの内部にあるように、掘削孔またはシャフト内あるいは裏込材内に配置されてもよい。
【0077】
図7Bは、貯水槽が母材堆積物(721)である、実施形態である。前述のように、複数の空気供給ポートおよび加熱要素の両方が使用されてもよい。例えば、オキシダントは、空気供給ポート(723)に連結されたオキシダント源(722)から、有機母材堆積物に供給されてもよい。空気供給ポートは、十分に固体である混合物の中に掘削された掘削孔、あるいは十分に固体または比較的に液体でさえある混合物の中に挿入された穿孔された中空シャフトであってもよい。空気供給ポートは、オキシダントが、全体を通して、十分な量および十分な速度で送達されるように、堆積物の全体的寸法に従って離間され得る。それによって、堆積物全体を通して、燻焼燃焼を促進する。同様に、単一または複数の対流加熱要素(724)が、供給される空気とインラインで配置され、母材堆積物内の複数の地点において、燻焼燃焼を開始してもよい。加えて、または代替として、複数の伝導、対流、または放射加熱要素(725)は、それらが母材堆積物の内部にあるように、掘削孔またはシャフト内あるいは裏込材内に配置されてもよい。
【0078】
図8は、空気供給ポートおよび加熱要素を有する貯水槽の付加的実施形態を図示する。
図8Aでは、有機液体ラグーンは、有機液体と多孔性母材との混合物(811)を含有して示される。オキシダントは、オキシダント源(812)から、ラグーン内またはその下の空気供給ポート(813)を通して、有機液体ラグーンまで供給される。空気供給ポートは、ラグーン内への複数の入口点、または、図示されているように、ラグーンの底部に向かって設置されたマニホールドタイプ据付けを備えてもよい。加熱要素(814)は、供給されるオキシダントとインラインで、あるいはラグーン内またはその下に設置されてもよい。前述のように、加熱要素および空気供給ポートの特定の位置は、所与の有機液体材料のために、必要に応じて、燻焼燃焼を促進するように最適化され得る。
【0079】
図8Bは、貯水槽が母材堆積物である、対応する実施形態である。
図8Bでは、母材堆積物は、有機液体と多孔性母材との混合物(821)を含有して示される。オキシダントは、オキシダント源(822)から、堆積物の内部またはその下の空気供給ポート(823)を通して堆積物まで供給される。ラグーン実施形態に関して説明されたように、複数の入口および単一のマニホールドタイプ構造を含む空気供給ポートのいくつかの構成が可能である。加熱要素(824)は、供給されるオキシダントとインラインで設置され、対流熱を提供し得る。加えて、または代替として、伝導、対流、または放射加熱源(825)は、堆積物の内部またはその下に設置されてもよい。より小型の個々の伝導、対流、または放射加熱源もまた、堆積物の内部の複数の場所に設置されてもよい。
【0080】
空気供給ポートは、穿孔されたダイレクトプッシュ炭素鋼、ステンレス鋼、または他の材料のロッド、母材堆積物またはラグーンを通して水平方向に据え付けられたワイヤ巻着またはスロット付きスクリーン管を有する炭素鋼、ステンレス鋼、または他の材料のウェルであり得る。加熱要素は、ロッドまたはウェルの内部に据え付けあるいは設置されたロッドまたはウェルを囲む母材堆積物の中に据え付けられた電気抵抗加熱器もしくは放射加熱器、またはロッドもしくはウェルを通して母材堆積物の中を通過する空気を加熱する地面上方の要素であり得る。
【0081】
本発明の実施形態は、燃焼前線が、反応容器、母材ラグーン、または母材堆積物を通って伝播するように設計され得る。燃焼前線は、加熱および空気流動空間操作を介して指向させられて、任意の方向の上向きにまたは側方に進み得る。
【0082】
図9は、有機液体と多孔性母材材料との混合物(93)を通る燃焼前線(92)の進行(91)を図示する。これらの実施形態では、燃焼前線の伝播は、空気流動の方向(94)に沿って進む。燃焼前線が、多孔性母材を通って進むにつれて、燃焼前線内の有機液体が燃焼され、燃焼前線の前方の有機液体が加熱される。本特定の実施形態では、有機液体の燃焼は、有機液体が、燻焼燃焼の結果として、容積削減を受けた多孔性母材(95)の領域を残して本質的に完了する。
【0083】
付加的実施形態は、燃焼前線に対して、有機液体/多孔性母材を運搬してもよい。
図10は、そのような実施形態による、反応容器(101)を図示し、反応容器において、第1のコンベヤまたはオーガデバイス(102)が、有機液体と多孔性母材材料との混合物(103)の連続または半連続供給量を擬似定常燻焼燃焼反応前線(104)まで運搬するために使用される。混合物供給は、予混合された有機液体と多孔性母材材料との混合物(103)を反応容器に輸送するコンベヤシステム(102)の使用を介して維持される。燻焼燃焼反応前線は、オキシダントの添加(105)を介して維持される。混合またはコンベヤツール(106)を利用して、反応容器を通して混合物を伝播させてもよい。螺旋混合ツールが図示されているが、代替形状ツール(例えば、コルクスクリュー、パドル)が使用されてもよい。混合ツールはまた、混合物を通してオキシダントを循環させる役割を果たしてもよい。燃焼前線では、混合物の中の有機液体は、本質的に、燻焼燃焼の結果として消費され、容積削減(106)が達成される。処理された多孔性母材(107)は、連続または半連続式に反応容器から引き出され、処理された多孔性母材(109)として、第2のコンベヤシステム(108)に沿って輸送される。
【0084】
付加的実施形態では、有機液体は、それ自体が可燃性である多孔性母材と混合されてもよい(例えば、木くず)。すなわち、混合物全体が、本質的に、燃焼前線において消費されて、非有機母材残渣(例えば、灰)のみを残してもよい。そのような実施形態では、残渣は、
図10に示されるように、コンベヤまたはオーガデバイスによって除去され得る。
【0085】
ある実施形態では、固定のまたは半恒久的な多孔性母材が、使用されてもよい。有機液体と多孔性母材自体とを混合するのではなく、これらの実施形態は、有機液体を固定のまたは半恒久的な母材のベッドを通して浸透させる。しかしながら、半恒久的な母材を伴う特定の実施形態では、浸透は、混合ツールによって支援され得る。
【0086】
図11は、固定のまたは半恒久的な多孔性母材を伴う特定の実施形態を図示する。反応容器(111)は、有機液体の連続的または半連続的な供給が添加される(図示せず)、固定のまたは半恒久的な多孔性母材のベッド(112)とともに示されている。混合物が形成された後に、燻焼が、燻焼燃焼反応前線(113)において開始され得る。燻焼は、燻焼が開始されることになる場所の近位にある反応容器の外側、その上、またはその中に設置された対流、伝導、または放射加熱要素によって開始され得る。燻焼は、空気供給ポート(115)を介したオキシダント(114)の添加を介して維持され得る。燃焼前線は、恒久的または半恒久的な多孔性母材と有機液体との混合物を通る空気の流動方向に沿って進む。燃焼反応前線(124)の位置は、オキシダント添加(123)の速度、有機液体添加の速度、有機液体と多孔性母材材料との混合物の特性、ならびに動作パラメータ(例えば、空気流速)によって統制される。燃焼前線が進むにつれて、有機液体は、容積的に削減される。燃焼前線の下方には、処理された多孔性母材(116)がある。
【0087】
図12は、本発明の実施形態の流れ図である。最初に、多孔性母材は、有機液体と混合される(131)。前述のように、特定の母材/液体の組み合わせおよび比率が、特定のタイプの有機液体に対する燻焼燃焼を促進するように選択され得る。次に、オキシダントが押されて混合物を通される(132)。オキシダントの存在は、燻焼燃焼を開始および維持可能にする(133)。前述のように、オキシダントの量、流速、および付加的構成要素(例えば、点火に先立って添加される補助燃料)は、燃焼が燻焼状態に維持されることを確実にし、特定の混合物に対する燃焼を最適化するために利用され得る。
【0088】
(実施例)
(実施例1)
液体油性材料(油および気体精製廃棄物)の処理のための燻焼燃焼試験を、直径138ミリメートル(mm)および高さ275mmの石英ガラス柱の中において行った。汚染材料を調製するために、油性材料を、乾燥装填時のバルク密度1,600キログラム/立方メートル、平均粒度0.88mm、および平均多孔率37%を特徴とする市販の石英砂(#12ST Silica Sand,Bell & Mackenzie Co.Ltd.,Hamilton,Canada)のキログラム当たり259グラムの油の質量比において混合させた。混合物を、装置内への装填に先立って、機械的混合によって厚さ11センチメートルまで均質にした。混合物を、空気コンプレッサおよびインコネル被覆ケーブル加熱器(Bluewater Heater Inc.,Canada)によって供給される空気拡散装置によって下にさせた。11個のインコネル被覆Type K熱電対を、柱の中心軸に沿って砂装填物の中に挿入し、ケーブル加熱器の上方に10mm間隔で離間させ、装置内の温度、したがって、燃焼前線が混合物を通って伝播するときの燃焼前線の場所を追跡した。熱電対をデータ取得システム(Multifunction Switch/Measure Unit 34980A,Agilent Technologies)に接続した。
【0089】
実験開始時に、混合物を、ケーブル加熱器に電流を印加することによって加熱し、空気流動を、(ダルシーの)流速5.0センチメートル/秒において、空気拡散装置を介して開始させ、ケーブル加熱器の場所の2センチメートル上方において、280℃の閾値温度を超えるまで続けた。この加熱方法は、組み合わされた伝導および対流加熱源を模倣する。次いで、空気導入を増加させ、(ダルシー)流速9.0センチメートル/秒において、実験を終了するまで維持した。温度が、ケーブル加熱器の場所の1センチメートル上方において、空気流量が5.0〜9.0センチメートル/秒に増加して約9分後、時間経過に伴って(すなわち、ピーク後に)低下し始めたとき、ケーブル加熱器をオフにした。温度が、ケーブル加熱器の11センチメートル上方(すなわち、混合物の最上部)において、空気流量が5.0〜9.0センチメートル/秒に増加して約23分後に、時間経過に伴って(すなわち、ピーク後に)低下し始めたとき、実験を終了した。ケーブル加熱器によって使用された最大電力は、約390Wであった。
【0090】
実験の特性評価は、定置された混合物の中に位置する熱電対によって、油/砂混合物試料および気体放出試料の分析を通して実施した。180ミリリットル(mL)の土壌試料を、処理前混合物の均質化されたバッチから収集し、別の土壌試料を処理された砂の均質化されたバッチから収集し、1)土壌中の石油炭化水素F1&BTEX(Method CCME CWS)、2)土壌中の石油炭化水素F2―F4(Method CCME CWS)、3)F4G(Method CCME Hydrocarbons Gravimetric)、および4)GC/MSによる土壌中の芳香族多環式炭化水素(PAH)化合物(Method EPA 8270)の分析のために、Maxxam Analytics(London,Ontario)に発送した。気体放出の代表的試料は、手順全体を通して、総合的試料を達成するために、実験継続中、一定速度で、装置の上部から引き出された。湿気および凝縮可能成分は、気体の流れから除去され、凝縮物トラップ内に収集された一方、乾燥気体試料は、5リットルのテドラーバッグ中に収集した。乾燥気体および凝縮物試料は両方とも、1)GC/TCDによる一酸化炭素(CO)および二酸化炭素(CO2)(Method EPA 3C)、2)気相中のBTEXおよび揮発性有機化合物(VOC)(Method EPA TO―15A)、ならびに3)凝縮物中のBTEXおよびVOC(Method EPA 8260)の分析のために、Maxxam Analytics(London,Ontario)に発送した。
【0091】
前述の点火プロトコル(ケーブル加熱器に電流を印加し、(ダルシー)流速5.0センチメートル/秒において、空気拡散装置を通した空気流動開始後、空気流動を(ダルシー)流速9.0センチメートル/秒まで増加させ、加熱源を停止する)は、混合物の自続燻焼燃焼をもたらした。自続燻焼挙動は、
図13に表される温度―時間プロットに示される。自続挙動は、ある場所から減少する温度―時間プロットが、第2の隣接する場所から上昇する温度―時間プロットと交差するときに生じることが知られている。本温度交差は、反応が、過剰エネルギーを生成し、燃焼反応を伝播させる(この場合、上向き方向に)ことを実証する。ピーク(最大)温度は、熱電対によって、混合物中において測定され、ケーブル加熱器の停止後の時間を含め、実験の間、約480〜520度に及んだ。混合物内の各熱電対におけるピーク温度到達時間の分析は、燻焼燃焼伝播速度が、約0.63cm/分(1.26フィート/時間)であることを示す。
【0092】
図14は、処理前のF1およびBTEX範囲、F2―F4範囲、ならびに油/砂混合物のPAH化合物中の石油炭化水素の濃度の表を表す。油/砂混合物の測定された試験前水含有量は、12%であって、重量分析による油濃度は、259,000mg/kgであった。これは、乾燥重量油濃度139,000mg/kgに相当する。油のF1―F4分率の合計は、約76,500mg/kgである。
図14はまた、処理後の土壌中のF1およびBTEX、F2―F4、ならびにPAH分率の分析も表す。処理後の試料の場合、分析された化合物は全て、分析器具の最小検出限界を下回ることが見出され、調べられた成分に対して、有機液体の100%容積削減を示した(検出の欠如は、成分の完全欠如に相当すると想定する)。本油除去のレベルは、処理「前」および処理「後」試料の写真を示す、
図15に見ることができる。
【0093】
試験の間に測定されたCOおよびCO2(燃焼ガス)の濃度は、それぞれ、非検出および0.4%であった。1体積百万分率(ppmv)を上回る、気相中の検出された揮発性化合物は、二硫化炭素、プロペン、クロロメタン、2―プロパノン、ヘプタン、およびベンゼンを含む。1百万分率(ppm)を上回る、気相から収集された凝縮物中で検出された揮発性化合物は、ベンゼン、クロロベンゼン、エチルベンゼン、o―キシレン、p+m―キシレン、およびトルエンを含む。
【0094】
複数回の反復実験を行ったところ、
図13に説明されるものと非常に類似する結果が得られた。純粋伝導(点火に先立って、空気流動がない)または純粋対流加熱手順(ケーブル加熱器と混合物との間に接触がない)の使用を含む、点火プロトコルの修正もまた、
図13に説明されるものと類似結果をもたらす。
【0095】
前述の実験データは、本発明の方法が、有機液体の容積削減のための実行可能な処理技術であることを明白に実証する。
【0096】
種々の修正が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、前述のものに行われてもよい。例えば、前述の実験は、上向き垂直方向の燃焼前線伝播を実証するが、伝播はまた、点火の場所および混合物内の空気の流動方向によって十分に操作される場合、水平または任意の他の方向にも行われ得る。
【0097】
前述の本発明の実施形態は、単なる例示であると意図される。多数の変形例および修正が、当業者に明白となるであろう。全てのそのような変形例および修正は、いずれかの添付の請求項に定義されるように、本発明の範囲内であると意図される。