(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記端子本体は前記嵌合端部と回路接続端部との間の中間部分を有し、該中間部分は該中間部分上に形成されて外方に延在する突出部を有する、請求項1に記載の雌型端子。
前記突出部は、操作中に、前記雌型端子のハウジングの中への挿入に応じて、該ハウジングの中に形成される肩部と接触するように構成される、請求項4に記載の雌型端子。
前記主接点は、前記雄型端子が前記通路の中へ挿入されるときに前記雄型端子と接触する接触領域を提供するように、前記通路内に延在する、請求項11に記載の雌型端子。
【背景技術】
【0003】
嵌合電気コネクタは、一般的に、嵌合されたコネクタを通して複数の回路または電線を相互接続するために、複数対のピン端子およびソケット端子間係合を利用する。ピンおよびソケット端子は、しばしば、雄型端子および雌型端子と呼ばれる。
【0004】
雌型端子の1つのタイプは、その中で略長方形のピンまたは雄型端子を受容するための略長方形のソケットまたは差込口をその嵌合端部に含む。嵌合端部は、頂壁および底壁、ならびに離間された対向する側壁を画定し、それによって、雄型端子を受容するための通路を画定する、細長い本体によって形成される。そのような端子は、従来、薄板材料から打ち抜き形成され、頂壁および底壁は、開口シームまたはスリットを有し得、それによって、対向する側壁を端子の長手方向軸に対して横方向に撓ませて、雄型端子がその中に挿入されるにつれて通路が拡大する。
【0005】
多くの応用例は、電力が端子に存在する間に、これらのタイプの端子を伴うコネクタをともに差し込む、または嵌合させることを必要とする。そのようなコネクタは、ホットプラグ可能なコネクタとして知られている。これらのホットプラグ可能なコネクタの中の端子の嵌合中、および主に脱嵌合中に、端子が嵌合または脱嵌合されるにつれて端子を通過する電流によって電気アークが生じる。端子は、そのようなアーク発生によって損傷を受け得る。さらに、アーク発生により、炭素等の非導電性または低導電性残留物が、端子の電気接点上に堆積し得る。そのような残留物は、以降の接続において、端子間の電気的接触の品質を低下させる可能性がある。
【0006】
従来技術におけるアーク放電に対する保護を提供するためのいくつかの試みは、個別の連続した端子を提供すること、または端子の連続した係合のために端子に前方または横方向の拡張部分を提供することを含む。そのような端子は、アーク発生の悪影響を低減させるのに有効であるが、これらの前方または横方向の拡張部分によって必要とされる余分な空間のため、必要以上に大きかった。一部の場合において、これらの修正された端子はまた、製造することがより複雑でもあった。したがって、人々は、改良された端子および/またはそれを使用するコネクタシステムを評価するであろう。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明は、例示的な実施形態を説明するものであり、明示的に開示された組み合わせ(複数可)に限定することを意図しない。したがって、別途注記のない限り、本明細書で開示される特徴は、ともに組み合わせて、簡潔さのために別の場合では示されなかった、さらなる組み合わせを形成し得る。
【0011】
ある実施形態において、描写された実施形態は、コネクタがともにホットプラグされるときに嵌合端子間のアーク放電の制御を補助する、改良された雌型電気端子を提供することができる。ある実施形態は、雄型端子に係合するように構成される雌型端子の中の1つ以上の犠牲電気接点が、雄型端子が主電気接点に係合する前に任意のアークを放電することを可能にする。これは、コンパクトかつ製造が安価である、主接点のためのアーク放電保護を伴う雌型端子の提供を可能にすることができる。
【0012】
図面をさらに詳細に参照し、最初に
図1〜3を参照すると、本発明は、プラグ
19と、差込口20とを有する、全体として10で表される電力コネクタ等に組み込まれる。差込口コネクタ20は、直角回路基板コネクタとして示されるが、電線ハーネスコネクタを含む、任意のタイプのものであり得る。差込口コネクタ20は、複数の雄型端子ピン
25を含み、該ピンは、絶縁ハウジング22の中で保持され、一般的に、18で表されるプリント回路基板に載置される。プラグコネクタ
19は、差込口で絶縁ハウジング22と嵌合するための絶縁ハウジング
21に保持される、対応する雌型端子40を含む。ハウジング
21、22は、プラグ
コネクタ19および差込口
コネクタ20をともに保持するために使用される、選択的に係合可能なロック構造30を含む。ロック構造
30は、一般的にプラグハウジング
21上に形成される弾性ラッチ部分32と、一般に差込口ハウジング22上に形成されるロック部分34とを有する。
【0013】
各雄型端子
25および雌型端子
40は、各端子
25、40のそれぞれを全体的に取り囲むそれらの対応する絶縁ハウジング
22、21の一部分
24、23を有する。これらのハウジング
22、21の部分
24、23は、各端子
25、40の少なくとも一部分を収容する、絶縁エンクロージャを提供することができる。これらのハウジング
22、21の部分
24、23は、選択的ハウジング構成が、正しい嵌合コネクタの半分だけを係合することを可能にする、キーイング特徴26を含み得る。
【0014】
雌型端子40は、全体として42で表される嵌合部分または端部と、全体として44で表される終端部分または端部と、全体として46で表される中間固定部分または区間とを含む。
【0015】
雌型端子40は、金属薄板材料から打ち抜き形成され、終端端部44は、全体として48で表される電線上へ圧着するように構成される。より具体的には、雌型端子
40の終端部
44は、皮剥ぎしたまたは露出させた導体47または電線48の導電性コア上へ圧着させるための1対の前方圧着アーム45とともに、電線48の外部絶縁49上へ圧着させるための1対の後方圧着アーム50を含む。
【0016】
雌型端子40の中間部分
46は、
雌型端子
40の両側から外方に突出する、1対の打ち抜き形成されたロックアームまたはタブ56を含む。これらのロックアーム
56は、後方で片持ち支持され
、ハウジング
21の内部に関する
図8において、ロック肩部58の後方で弾性的にスナップ留めされ、
雌型端子
40がハウジング
21の中に挿入された後に、その中から
雌型端子
40が抜けるのを防止する。中間部分
46はまた、下方に延在する突出部70も含み得、該突出部は
、ハウジング
21内の停止肩部に係合して、ハウジング
21内の雌型端子
40の完全に挿入された位置を画定し、また、
雌型端子
40の長手方向軸の周囲での捻れ運動または回転運動に対してハウジング
21内の
雌型端子
40を安定させる。
【0017】
図5を参照すると、雌型端子40の嵌合端部または嵌合部分42は、以下で
図9〜13に関してさらに詳細に示されるように、雄型端子または雄型ピン25を受容するように適合される、通路43を含む。雄型ピン25は、好ましくは、正方形または長方形の断面を伴うピンによって提供されるような、少なくとも2組の2つの離間された略平行な平坦側部35および36を有する。雄型ピン25はまた、雌型端子40の通路43の中への雄型ピン
25の挿入を容易にするための、先細または楔形の端部25aも有し得る。
【0018】
雌型端子
40の嵌合端部42は、1対のチャネル51および52で形成され、該チャネルは、略U字形の断面であり、また、開口シームまたはスリット53および54によって分離され、よって、U字形チャネル
51および52の脚部の端部は、隣接して離間されるが、互いに離れている。それによって、チャネル51および52は、その中で雄型端子25を受容するための、略長方形状または正方形状の通路43をそれらの間に画定する。
【0019】
図6〜9で最も良く分かるように、U字形チャネル
51および
52の底部は、第1の対の対向する側壁57および59を通路43の中に画定するように、略平坦である。U字形チャネル
51および
52のそれぞれは、それぞれ、対向するチャネル側壁80、81および82、83を有する。各対向す
る側壁
57、59はさらに、雌型端子40の嵌合部分42の通路43の開口端部の近くに2つの撓み部分90、92および94、96を画定する、第2のシームまたはスリット67および68を含む。
【0020】
本発明の一態様によれば、少なくとも1つのアーク放電接点85または86が、それぞれ、通路43の開口端部の近くで、チャネル側壁80または81の中に配置される。好ましくは、アーク放電接点85および86は、各U字形チャネル
51および
52のチャネル側壁80
、81および
82、83の双方の中に提供される。
図9で最も良く分かるように、1つのアーク放電接点85は、雌型端子40を作成するために使用される金属打ち抜き形成工程中に、チャネル51のチャネル側壁80の中へ一体的に形成され得る。
【0021】
図9で図示される形態において、アーク放電接点85は、チャネル51と52との間に画定される通路43の中へ内方に湾曲させた、円形断面の金属を有する。この略湾曲した、または略円形の形状は、雄型端子25が雌型端子40の中で受容されるときに雄型端子25の側部に対して撓ませるための弾性を、アーク放電接点85および86に提供する。
【0022】
本明細書で使用されるとき、「犠牲接点」および「アーク放電接点」という表現は、同じ意味で使用され、同じもの、すなわち、2つの相互接続端子間でアークを放電する接点を意味することが意図される。アークは、接点上に非導電性または低導電性の残留物が堆積するので、そのような接点の導電品質が「犠牲」になる。それでも、これらの犠牲接点は、非導電性残留物を発生させるアークの影響が極端でなければ、電流を伝導し、さらなる接点として作用する。
【0023】
嵌合ピン25と雌型端子40との間で係合して主電気接点を提供するために、拡大主接点60および62が、雌型端子40の嵌合端部42の中に提供される。これらの拡大接点60および62は、当該技術分野で知られている金属打ち抜き形成技術によって、U字形チャネル
51および
52の底部のそれぞれの第1の対の対向する側壁57および59の中に形成される。
【0024】
図10で示されるように、主接点60および62は、好ましくは、雌型端子
40の長手方向に延長され、形成される。各主接点60および62は、各U字形チャネル
51および52のそれぞれの底部側壁
57および59に従属する、基底部分60aおよび62aを有する片持ち梁を含む。各主接点
60および62は、雌型端子40の主接点60および62の片持ち梁上にそれぞれ提供される、接点領域64および66を有する。梁部分は、雄型ピン25との接触領域を提供するために、雌型端子40の嵌合端部
42に向かって延在し、通路43の中へ突出する。
【0025】
図6で示されるように、U字形チャネル
51および
52は、第1の対の対向する側壁57および59を形成し、それぞれのU字形チャネル
51および52上に形成されるチャネル側壁80、81および82、83は、一般に雌型端子40の中に正方形状または長方形状の通路43を作成する第1の対の側壁
57および59に隣接する、第2の対の対向する側壁を形成する。側壁57および59は、その中にそれぞれ形成される主接点60および62を有し、チャネル側壁80、81および82、83は、その中にそれぞれ形成されるアーク放電接点85および86を有する。チャネル側壁
80、81および82、83上に形成されるアーク放電接点85および86は、U字形チャネル
51および52の側壁
57および59上に形成される主接点60および62よりも、雌型端子40の嵌合端部
42の近くに位置付けられる。
【0026】
同じく
図6で示されるように、
対向する側壁
57および
59は、2つの通路側壁を形成する。正方形状または長方形状の通路43の残りの隣接する2つの側壁は、対向するチャネル側壁80、81および82、83の各対によって形成される。この場合、これらの対向する隣接する側壁
80、81および82、83を構成する、4つの部分がある。これらの部分のそれぞれは、その中に形成されるアーク放電接点85および86を有する。
図6で最も良く示されるように、アーク放電接点
85および86は、チャネル側壁
80、81および82、83上の同じ相対位置上に形成されるが、千鳥状の関係である場合もあり、しかし、いかなる場合においても、全てが主接点
60および62の前方に位置付けられる。
【0027】
図9〜15は、雄型端子25の雌型端子40の嵌合部分
42の中への挿入を順に図示し、該雄型端子は、この実施形態において、略長方形のピンの形態である。
【0028】
図9および10は、雄型端子25が通路43の中に全くない状態を図示する。
図11および12は、雄型端子25が通路43の中へ挿入され始めている状態を図示する。端子25のテーパー端部25aが、アーク放電接点85および86にちょうど接触したところである。対向するチャネル側壁
80、81および82、83上に形成される各アーク放電接点
85および86は、雄型ピン25と雌型端子40との間の任意の不整合を補償するために、4つの異なる個別の地点で雄型ピン
25に接触し得る。このときに、ホットプラグ可能なコネクタを伴う場合のように、雄型ピン25と雌型端子40との間に電圧電位がある場合は、雄型端子25と、対向するチャネル側壁
80、81および82、83上に形成されるアーク放電接点85および86の1つまたは全てとの間で、アーク放電が起こり得る。
【0029】
図13は、雄型端子25が通路43の中へさらに挿入され、よって、現在、雄型端子25の側壁がアーク放電接点85および86に係合している状態を図示する。通路43を画定する対向するチャネル側壁81および82の撓み部分90および92は、弾性があり、雄型ピン
25がアーク放電接点85および86に最初に係合するときに、雄型ピン25の楔形の端部25aが、チャネル側壁81および82を別々に撓ませることを可能にする。
【0030】
雄型ピン25のさらなる挿入に応じて、楔形の端部25aが、主接点60および62の接触部分64および66に接触する。このときに、雄型ピン
25および雌型端子
40はどちらも、雄型ピン
25と雌型端子
40との間のアーク発生を排除する同じ電圧電位であり、したがって、いかなる非導電性残留物の蓄積もなく、それらの間に確実な電気的接続部を提供する。
【0031】
図14および15は、通路43の中への雄型ピン25の完全な挿入を図示する。アーク放電接点85および86は、主接点60および62よりも、雌型端子40の嵌合部分42の通路43の近くに形成される。主接点60および62は、雄型ピン25の挿入に応じて、電気的接触が雄型ピン25とアーク放電接点85および86との間で最初に行われるように、アーク放電接点85および86の後方に位置付けられる。対向するチャネル側壁81および82の撓み部分90および92の弾性は、雄型ピン25に垂直力を印加することによって、それに対してアーク放電接点85および86を保持および付勢し、また、雄型ピン
25と雌型端子
40との間の電気的接触を維持する一方で、雄型ピン
25と主接点60および62との間に離脱力を付与しない。さらなる挿入に応じて、雄型ピン25は、依然としてアーク放電接点85および86に係合したまま、その後に主接点60および62に係合する。これは、改良された電気的接触が、雄型ピン
25と雌型端子40の主接点60および62との間に存在することを確実にする。
【0032】
一般的に、従来技術は、梁部材の基部に位置付けられる主接点を開示しており、また、アーク放電接点は、梁部材の基部からより遠くに位置付けられる。梁の撓みが起こる梁の基部に近くなるにつれて、反力が大きくなる。アーク放電接点が、同じ梁部材上にあり、かつ基部からより離れて位置付けられるので、主接点は、基本的に、雄型ピンのアーク放電接点を持ち上げ、したがって、アーク放電接点と雄型ピンとの間の電気力を最小化する。撓みが起こる梁部材の基部から遠くなるにつれて、反力が小さくなる。
【0033】
同様に、この場合、アーク放電接点85および86は、雄型ピン25に最初に係合し、その後に主接点60および62に係合する。主接点60および62、ならびにアーク放電接点85および86は、同じ梁部材上ではなく、隣接する部材または側壁上に形成され、結果として生じる反力は異なる面上に作用する。この場合、反力は、互いに対して垂直であり、したがって、互いに無関係である。換言すれば、主接点
60および62の反力は、雄型ピン
25のアーク放電接点
85および86を持ち上げない。
【0034】
本明細書およびその特許請求の範囲で使用される「上」、「下」、「前」、「後」等の用語は、本発明のより明瞭かつ簡潔な理解を提供するために、単に相対的な用語として使用されていることを理解されたい。当業者によく知られているように、本発明の端子は、実際の使用において様々な方向に配向され得るので、そのような用語は、限定するものとして解釈されるべきではない。
【0035】
本明細書で提供される開示は、その好ましい例示的な実施形態の観点で特徴を説明している。添付の特許請求の範囲および趣旨の範囲内で、数多くの他の実施形態、修正、および変形が、本開示の検討から当業者に想起されるであろう。