特許第5974090号(P5974090)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5974090
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】管端部用の蓋部材
(51)【国際特許分類】
   F16L 57/00 20060101AFI20160809BHJP
   F16L 55/00 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   F16L57/00 C
   F16L55/00 Z
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-522047(P2014-522047)
(86)(22)【出願日】2012年7月20日
(65)【公表番号】特表2014-526022(P2014-526022A)
(43)【公表日】2014年10月2日
(86)【国際出願番号】EP2012064316
(87)【国際公開番号】WO2013014089
(87)【国際公開日】20130131
【審査請求日】2015年4月15日
(31)【優先権主張番号】102011052227.1
(32)【優先日】2011年7月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513314366
【氏名又は名称】ヴァローレック ドイチュラント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー ゲラルド
(72)【発明者】
【氏名】ベックマン ディーター
(72)【発明者】
【氏名】ケッツァー フォルカー
【審査官】 礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】 実開平07−025395(JP,U)
【文献】 特開2002−106782(JP,A)
【文献】 特開2000−005043(JP,A)
【文献】 特開2007−315586(JP,A)
【文献】 特開2005−299740(JP,A)
【文献】 特開平09−210287(JP,A)
【文献】 特開2001−348052(JP,A)
【文献】 実開平02−143596(JP,U)
【文献】 実開昭58−091093(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3133294(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 55/00
F16L 55/10 − 55/136
F16L 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み付けられた状態において管の端部を閉じることができる円形の底カバー(2)を有しており、該底カバー(2)の管に面する方の面に、組み付けられた状態において管の内面に支持され、管の端部を閉じるべく前記底カバー(2)を保持する少なくとも2つのクランプ部材(5)が配置されている管の端部を閉じる蓋部材(1)であって、
前記クランプ部材(5)が、前記底カバー(2)へと着脱可能に取り付けられ、前記底カバー(2)における前記クランプ部材(5)の径方向における位置を選択的に調節するために前記底カバー(2)の種々の位置に取り付け可能であり、
前記クランプ部材(5)を、閉じられる管の端部の実際の肉厚に応じたラスタ状の位置にて前記底カバー(2)へと取り付けることができ、
前記底カバー(2)の外径が、最大で管の外径に一致し、
前記底カバー(2)への前記クランプ部材(5)の前記ラスタ状の取り付けが、閉じられる管のそれぞれの標準的な公称の肉厚に合わせられていることを特徴とする蓋部材(1)。
【請求項2】
前記クランプ部材(5)を、ラスタ状の差し込み接続部によって前記底カバー(2)へと取り付けることができることを特徴とする、請求項1に記載の蓋部材。
【請求項3】
前記クランプ部材(5)が、支持板(6)を備えており、前記差し込み接続部が、所定のラスタ寸法にて前記底カバー(2)に配置されたボルト状の部材(4)を含むとともに、該ボルト状の部材(4)へと接続することができる前記支持板(6)を含んでおり、該支持板(6)が、取り付け時に前記ボルト状の部材(4)を固定の様相で受け入れるために、前記ボルト状の部材(4)のボルト径およびラスタ寸法に合わせられた対応する穴(7)を備えていることを特徴とする、請求項2に記載の蓋部材。
【請求項4】
前記ボルト状の部材(4)が、前記底カバー(2)上の接続片(11)に配置されていることを特徴とする、請求項3に記載の蓋部材。
【請求項5】
前記支持板(6)を、少なくとも2つの径方向における位置において前記底カバー(2)へと接続することができることを特徴とする、請求項3または4に記載の蓋部材。
【請求項6】
前記底カバー(2)に、剛性を高めるビード(3)が設けられていることを特徴とする、請求項1〜5の少なくとも一項に記載の蓋部材。
【請求項7】
前記ビード(3)が、同心円状に延びていることを特徴とする、請求項6に記載の蓋部材。
【請求項8】
前記底カバー(2)が、寸法安定性のある産業用合成材料からなり、前記クランプ部材(5)が、弾性ポリエチレンからなることを特徴とする、請求項1〜7の少なくとも一項に記載の蓋部材。
【請求項9】
前記産業用合成材料が、1g/cmよりも大きい密度を有していることを特徴とする、請求項8に記載の蓋部材。
【請求項10】
前記クランプ部材(5)が、管の内部へと突出し、組み付けられた状態において管の内壁に固定されるいくつかの弾性的な復元力を有するクランプリップ(9)を備えていることを特徴とする、請求項1〜9の少なくとも一項に記載の蓋部材。
【請求項11】
前記底カバー(2)の管の内径に応じて、管の内面への同心円状の固定のために、多数のクランプ部材(5)が前記底カバー(2)上に同心円状に配置されていることを特徴とする、請求項1〜10の少なくとも一項に記載の蓋部材。
【請求項12】
当該蓋部材(1)を管の端部から取り外すために、前記底カバー(2)が、工具を導入して前記底カバー(2)に引っ掛けることができる素材弱体部または開口を備えていることを特徴とする、請求項1〜11の少なくとも一項に記載の蓋部材。
【請求項13】
請求項1〜12の少なくとも一項に記載の蓋部材であって、
前記管が、鋼管である、蓋部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管(特に、鋼管)の端部を閉じる蓋部材であって、組み付けられた状態において管の端部を閉じることができる円形の底カバーを有しており、この底カバーの管へと面する方の面に、組み付けられた状態において管の内面に支持され、底カバーを保持して管の端部を閉じる少なくとも2つのクランプ部材が配置されている蓋部材に関する。
【背景技術】
【0002】
この形式の蓋部材は、管の輸送時に、管の内部をごみまたは水分の進入から保護すべき場合に、管端部を保護するために典型的に使用されている。また、管が建設現場において溶接またはボルトで締結される場合、管端部を輸送時の損傷から保護しなければならない。
【0003】
これまでに、着脱式の蓋部材が、管端部の一時的な保護として定着している。この形式の蓋部材は、底カバーと、カラー(collar)として形成された弾性合成材料からなる円筒形の外ケーシングとで構成され、カラーが管端部の外周の周りに係合し、弾性的な復元力によって非積極的(non−positive)な様相で管へとある程度は不動に固定される。
【0004】
しかしながら、これらの蓋部材は、カラーが外表面に位置するがゆえに、例えば管のお互いに対する振動運動または相対運動の結果として、輸送の最中に蓋部材が管から外れ、あるいは損傷を被り、もはや保護の機能をもたらさなくなることも頻繁である。さらに、一方ではカラーが管の表面に対して非積極的な様相で位置し、他方ではカラーを過度の力を加えなくても取り付けることができるよう、カラーの内径に関して極めて狭い公差を守る必要がある。
【0005】
独国特許出願公開第10 2006 045 592号明細書および西独国実用新案第84 14 522号明細書が、上述の方法で管端部へと取り付けられるよりもむしろ、管の内側へと不動に固定される蓋部材を開示している。この目的のために、これらの蓋部材のカバーは、管の内部に面する方の面の外周に分布した弾性クランプ部材を有しており、これらの弾性クランプ部材が、管へと挿入されたときに、弾性的な復元力によって管の内面に固定される。
【0006】
この形式の蓋部材の場合には、底カバーが管の端面に対して突出することなく位置し、管端部の周囲に係合することがないため、蓋部材が管端部から外れるおそれが、上述した蓋部材の場合よりも少ない。
【0007】
しかしながら、これらの蓋部材の場合には、蓋部材の取り外しのための把持ラグが管の外周を超えて突出しているため、この場合にも、管からの蓋部材の不慮の脱落につながりかねない接触点がやはり存在する。
【0008】
さらに、どちらの解決策の場合も、例えば一定の外径および大きく変化する内径の場合に、これらの公知の蓋部材の弾性クランプ部材は、圧延の公差の範囲において最大数mmである内径の小さな変動しか補償できないため、多数の異なる蓋部材が必要となる点が不利である。
【0009】
例えばピルガ法によって製造される継ぎ目無しの熱間圧延による管の場合に可能であるように、外径が例えば600mmで一定のままである一方で、肉厚が注文に応じて最大10cm以上も変化しうる管の場合に、圧延の公差の枠組みにおいて公称の内径にのみ固定されるように構成された公知の蓋部材は、もはや使用することができない。
【0010】
そのような場合、それぞれの肉厚に応じて設計された蓋部材を使用しなければならない。必要な多数の蓋部材の変種を用意することは、物流に関して極めて複雑であり、コストが極めて高くなり、したがって非経済的である。
【0011】
さらに、米国特許出願公開第2008/0236691号明細書が、コンクリート管の複数の穴を閉じるために使用される栓を開示している。コンクリート管のケーシング表面の合計4つの穴が、地面への敷設のためにコンクリート管を取り扱うべく、ケーブルを取り付けるために使用される。もはや不要である場合に、穴を栓によって閉じることができる。各々のプラグは、ディスクと、支持部と、弾性フィンとで構成される。平板なディスクは、穴を覆うために、穴の直径よりも大きい直径を有している。穴に面するディスクの下面の中央に、下面から遠ざかるように延び、したがって組み付けられた状態において穴の中へと突き出す十字形の支持部が隣接している。支持部は、穴の内径よりもいくらか小さい外径を有している。栓を穴に取り付けることができるよう、十字形の支持部の4つの端部の各々の外側に、弾性フィンが隣接しており、弾性フィンの外側端が、穴の内径よりも大きい直径を有している。フィンを備える支持部が穴へと挿入されるとき、フィンが弾性的な様相で曲がり、フィンの外側端が穴の内壁に内側から当接する。フィンの弾性的な復元力が、栓を穴に保持するように機能する。ディスク、支持部、およびフィンを有する栓は、ワンピースの合成材料からなる射出成形部品として製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2006 045 592号明細書
【特許文献2】西独国実用新案第84 14 522号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0236691号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的は、管の端部へと挿入することができる上述の形式の蓋部材であって、一方では、輸送時においても管の内面への確実な固定を保証し、他方では、一定の公称の外径において肉厚の大きな違い、すなわち公称の内径の変化に合わせて簡単かつ柔軟に調節することもできる蓋部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的が、請求項1の特徴による蓋部材によって達成される。有利な発展が、従属請求項2〜15に記載される。
【0015】
本発明の教示によれば、この目的が、組み付けられた状態において管の端部を閉じることができる円形の底カバーを有しており、該底カバーの管に面する方の面に、組み付けられた状態において管の内面に支持され、管の端部を閉じるべく前記底カバーを保持する少なくとも2つのクランプ部材が配置されている蓋部材であって、前記クランプ部材が、前記底カバーへと着脱可能に取り付けられ、前記底カバーにおける前記クランプ部材の径方向における位置を選択的に調節するために前記底カバーへと種々の位置に取り付け可能であることで、外径は一定でありながら、前記底カバー上での前記クランプ部材の径方向における位置を変更することによって種々の公称の肉厚に合わせた柔軟な調節が可能である蓋部材によって達成される。
【0016】
組み付けられた状態において、底カバーが管の端面にぴったりと位置し、管の端部を閉じる。クランプ部材が、管端部への挿入時に管の内壁に支持され、したがって弾性的な復元力によって非積極的な様相で管の内壁に固定される弾性変形可能なクランプリップを備えている。
【0017】
したがって、本発明によれば、底カバーの内面に径方向に調節することができるクランプ部材が取り付けられ、底カバーにおけるクランプ部材の径方向の位置を、管の外径が一定であるときに現時点においてもたらされた肉厚に応じて調整または調節できる蓋部材がもたらされる。
【0018】
管の公差の範囲内のより小さな肉厚の変化は、先行技術から知られているように、径方向の調節を必要とすることなく、クランプ部材そのものの弾性変形可能なクランプリップによって有利に補償される。この方法で、最大10mmまでの内径の変動を補償することができる。
【0019】
例えば最大10cm以上の範囲内の肉厚の変化は、底カバー上でクランプ部材を径方向にずらすことによって補償される。
【0020】
底カバーそのものは、いかなる場合もカバーが管の外周よりも突き出すことがなく、したがって輸送の際に管から蓋部材が不意に外れるような接触面が回避されるよう、常に管のそれぞれの外径を超えない直径を有する。
【0021】
周方向において底カバーに配置されるクランプ部材の数は、有利には、管の内径によって左右される。例えば100mmなどの小さな内径の管については通常は2つのクランプ部材で充分である一方で、例えば400mm以上の内径のより大きな管については、蓋部材を可能な限り最も効果的に中心合わせされた様相で管の端部へと挿入できるように、5つ以上のクランプ部材が必要とされる。
【0022】
底カバーおよびクランプ部材は、有利には、熱可塑性合成材料から射出成形部品として製造される。これらの部品は異なる機能を果たすがゆえに、本発明の有利な一実施形態においては、異なる材料から製造される。
【0023】
底カバーは手荒な輸送の状況に損傷を被ることなく耐えるという目的を有するため、可能な限り最も堅固かつ耐衝撃性の様相にて設計されなければならない。例えば1g/cmを超える密度を有するポリアミドなどの産業用合成材料が、この目的において有利な材料であることが明らかになっており、管の直径が大きい場合には、底カバーに補強用のビードを追加で設けることができる。
【0024】
確実な保持の機構を保証するために、クランプ部材の弾性変形可能なクランプリップが、蓋部材の挿入時に弾性的な復元力によって管の内面に固定されなければならない。ポリエチレンが、弾性クランプ部材のための材料として有利であることが明らかになっている。
【0025】
次いで、蓋部材を、例えば射出成形の目的で底カバーに取り入れられ、例えばフック状の工具を導入してカバーを管から引き外すために使用することができる素材弱体部または開口によって、管の端部から取り外すことができる。しかしながら、素材弱体部または開口は、キャップの保護機能を損なうことがないように大きすぎてはならない。20mm未満の開口径が有利であることが明らかになっている。
【0026】
底カバーの開口が望ましくない場合には、蓋部材を管の端部からてこで外すこともできる。この目的のため、レバー工具が管の端面と底カバーとの間に取り付けられ、蓋部材がてこで外される。これを、例えばパテナイフ、ねじ回し、または同様の工具で行なうことができる。
【0027】
クランプ部材を底カバー上で径方向に調節できるという事実ゆえ、管の外径が一定で内径が異なる幅広く様々な変種を、相応に構成された異なる成り立ちの蓋部材を用意する必要なく、カバーすることができる。結果として、入手および物流のコストが大幅に削減される。さらに、先行技術と対照的に、別々に製造された底カバーおよびクランプ部材だけを輸送および保管すればよいため、個々の部品について必要となる輸送および保管の能力が大幅に少なくて済む。
【0028】
管の外径に応じて蓋部材を組み立てるために、標準的な底カバーおよび対応するクランプ部材が、実務において用意される。クランプ部材そのものは、管の直径および肉厚とは無関係な標準の部材として寸法付けられるため、必要なのは、製造される管の外径に対応する種々の底カバーだけである。
【0029】
本発明の有利な一実施形態においては、クランプ部材が、管の現時点においてもたらされた肉厚に応じてクランプ部材の径方向における位置を連続的またはラスタ状に調節できるように構成される。
【0030】
連続的な調節可能性は、例えばトング(tongue)および溝の原理による変位固定(displacement−clamping)によって達成できる。
【0031】
ラスタ状の差し込み接続によるクランプ部材の底カバーへの取り付けが、底カバーとクランプ部材とが差し込み接続によって有利な方法で接続されるがゆえに、特に推奨される。ラスタ寸法は、有利には、管の標準的な肉厚をカバーするように設定される。
【0032】
差し込み接続を確立するために、有利な一実施形態においては、底カバーに、突出しているボルト状の部材が設けられ、これらのボルト状の部材は、必要に応じて接続片上に、固定のラスタにて径方向の様相で配置され、これらのボルト状の部材へとクランプ部材を取り付けることができる。
【0033】
この目的のため、クランプ部材に、底カバーへと接続することができる支持板が設けられ、この支持板が、クランプ部材の取り付け時にボルト状の部材を受け入れるために、ボルトの直径に対応するように調節された穴を対応するラスタ寸法にて備える。
【0034】
蓋部材を組み立てるために、個々のクランプ部材の支持板が、閉じられる管の肉厚に応じて底カバーの対応するボルトへとそれぞれの径方向の位置に取り付けられ、穴を備えており、ボルトが穴に通され、穴に固定される。
【0035】
クランプ部材が底カバーから不意に外れてしまうことがないように、ボルトおよび穴の直径が、取り付けの際にクランプ部材が底カバーに堅固に保持されることを保証する固定効果が生じるように、互いに仕立てられる。
【0036】
この場合、支持板に固定されるボルトの数は、支持板が通常の輸送の条件下で底カバーから外れる可能性がないように設定される。しかしながら、支持板と底板とを、少なくとも2つの位置、好ましくは4つまたは6つの位置において互いに接続することが可能であるべきである。
【0037】
しかしながら、さらなる実施形態においては、製造の観点からより有利である場合には、底カバーに穴を設けることができ、クランプ部材の支持板に対応するボルトを設けることができる。
【0038】
本発明について、多数の実施形態が可能である。本発明の基本原理をさらに説明するために、それらの実施形態のうちの1つが以下で説明され、図面に示される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1a】蓋部材の前面の概略図を示している。
図1b】蓋部材の後面の概略図を示している。
図2】クランプ部材の概略図を示している。
図3】蓋部材を有する薄肉の管の端部の概略の断面図を示している。
図4】蓋部材を有する厚肉の管の端部の概略の断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1aは、前面の一実施形態の平面図を概略図にて示しており、図1bは、本発明による蓋部材1の後面の平面図を示している。
【0041】
本発明による蓋部材1は、底カバー2で構成され、底カバー2に、図1aに示されるように同心円状に延びて曲げ剛性を高めるビード3が取り入れられている。
【0042】
図1bに示されるように、底カバー2の後面2b、すなわち管13の端部13aを閉じた後に管の内部13c(図3および4を参照)に面する面に、この例においては一様な角度の間隔にて底カバー2の内面に分布した4つのボルト状の部材4が、底カバー2と一体に形成されて径方向に延びている接続片11に設けられている。これらのボルト状の部材4は、ペアにて互いに隣接して配置され、径方向に延びている。接続片の径方向の延在、ならびにボルト状の部材4の間の径方向の間隔は、管13の現時点においてもたらされた公称の肉厚を困難なく調節できるように構成されている。
【0043】
図2は、本発明によるクランプ部材5を概略的に示している。クランプ部材5は、底カバー2へと接続することができる支持板6で構成され、支持板6に、ボルト状の部材4のラスタ寸法に一致する配置を有する穴7が取り入れられている。支持板6における穴7の配置は、底カバー2の接続片11におけるボルト状の部材4の配置に一致している。直径に関して、穴7は、穴7を備える支持板6をボルト状の部材4へと固定の様相で取り付けることができるように構成されている。
【0044】
支持板6に、支持板6に対して直角に配置され、支持板6と一体に形成されている支持片8が隣接している。支持片8の管の内面を向いている面に、弾性変形可能な横方向へと突き出しているクランプリップ9が配置され、支持板6に略平行に整列している。反対側の面には、支持板6と支持片8との間を延びる補強部10が設けられている。補強部10は、充分な固定の力がクランプリップ9によって管の内面13bへと加えられるように保証するために重要である。
【0045】
図2のクランプ部材5が、図1bに示されるように底カバー2の接続片11のボルト状の部材4へと取り付けられる場合、この例では10個の穴7を有している支持板6が、底カバー2の対応するボルト状の部材4に固定される。接続片11上での支持板6の径方向における位置が、参照番号12によって指し示されている。
【0046】
底カバー2の接続片11上を径方向に延びているボルト状の部材4の数は、クランプ部材5が底カバー2上に充分に堅固に据えられるよう、少なくとも支持板6の穴の対応する数と同じでなければならない。
【0047】
本発明に従って必要とされるとおりにクランプ部材5を底カバー2上で径方向に調節することができるように保証するために、底カバー2または接続片11における支持板6の延在は、底カバー2の半径または接続片11の長さよりも小さくなければならない。
【0048】
支持板6を底カバー2の接続片11上の異なる位置に配置することによって、クランプ部材5を、極めて簡単に管13の種々の肉厚に適するように調整することができる。接続片11へと取り付けられた支持板6の位置は、蓋部材1の弾性クランプリップ9が、管13の端部13aへと挿入された後に管の内面13bに固定され、輸送の状況下で損なわれることがない堅固な設置を保証するように設定される。
【0049】
図3は、蓋部材1によって閉じられた薄い肉厚を有する管13の端部13aの概略の断面図を示している。蓋部材1は、実質的に底カバー2およびクランプ部材5で構成されている。平坦かつ円形の底カバー2が、その外周に、底カバー2に直角に隣接して一種の周囲のケーシングを形成している周状のエッジ2aを備えていることが明らかである。周状のエッジ2aは、略2cmの高さを有し、閉じられる管13の方向に向けられている。したがって、底カバー2は、全体としてカップ状の様相に形成されている。また、底カバー2の外径が、管13の外径よりも小さく、したがって管13に対して後退させられていることも明らかである。すでに述べたように、底カバー2の外径および管13の外径は、最大で同一であってよい。底カバー2の外径は、管13の外径よりも大きくてはならない。なぜならば、そのような場合には、底カバー2の外径が管13の外周よりも突出し、底カバー2が押されて外れる可能性があるからである。合計4つの接続片11が、底カバー2の後面2bに取り付けられている。この場合に、接続片11の高さは、底カバー2のエッジ2aの長さよりも小さく、底カバー2のエッジ2aの長さの略半分に相当している。接続片11の高さは、底カバー2が組み付けられた状態にあるときにクランプ部材5の支持板6が管13の端面13dと接続片11との間に充分な空間を得、管13の端部13aを閉じたときに底カバー2のエッジ2aの管13の端面13dへの当接が妨げられることがないように選択される。この場合、接続片11は、底カバー2のエッジ2aにおいて始まり、底カバー2の中央の領域において終わる。また、クランプリップ9が管13の内面13bに支持され、挿入手順ゆえに管13の開口の方向にわずかにそらされていることも明らかである。
【0050】
図4は、図3の管13と比べてより大きな肉厚を有している管13の端部13a(同様に蓋部材1によって閉じられている)の図3に実質的に相当する概略の断面図である。図3と比べ、管13の肉厚が大きいがゆえに、クランプ部材5が接続片11上でさらに内側へとずらされていることが明らかである。このように、蓋部材が、管13の他の肉厚に合わせて有利な方法で調節されている。したがって、この場合には、クランプ部材5の支持板6の穴7が、接続片11の他のボルト状の部材4に係合している。
【符号の説明】
【0051】
1 蓋部材
2 底カバー
2a エッジ
2b 後面
3 ビード
4 ボルト状の部材
5 クランプ部材
6 支持板
7 穴
8 支持片
9 弾性クランプリップ
10 補強部
11 接続片
12 支持板6の径方向における位置
13 管
13a 管の端部
13b 管の内面
13c 管の内部
図1a
図1b
図2
図3
図4