(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5974099
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】水ディスペンサの取水フィンガ及びボトル空気スペースのための殺菌システム
(51)【国際特許分類】
B67D 1/07 20060101AFI20160809BHJP
B67D 3/00 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
B67D1/07
B67D3/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-532370(P2014-532370)
(86)(22)【出願日】2012年9月26日
(65)【公表番号】特表2014-527947(P2014-527947A)
(43)【公表日】2014年10月23日
(86)【国際出願番号】EP2012068989
(87)【国際公開番号】WO2013045508
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2015年9月10日
(31)【優先権主張番号】11183038.6
(32)【優先日】2011年9月28日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514075242
【氏名又は名称】スカンジナビアン イノベーション グループ オーワイ
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100085279
【弁理士】
【氏名又は名称】西元 勝一
(72)【発明者】
【氏名】パウロー アンジェイ
【審査官】
北村 一
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第07422684(US,B1)
【文献】
特開2010−052752(JP,A)
【文献】
特開2007−240116(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0005825(US,A1)
【文献】
特開2009−219636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/00− 3/04
C02F 1/50
F25D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水ディスペンサの、取水フィンガ(6)と水源ボトル(9)の空気スペース(10)との処理のためにオゾン−空気混合物を使用する殺菌システムであって、前記水ディスペンサ内には、前記ディスペンサの内部に位置するとともに空気スペース(8)を有する水リザーバ(11)内への前記ボトル(9)からの水の重力排出のために、前記ボトル(9)がそのネックを下向きにして取り付けられ、前記システムは、
前記ボトル(9)をそのネックを下向きにして保持するためのコーン(7)と、
前記ボトル(9)を開くための、及び前記ボトル(9)から前記水リザーバ(11)内への水の配送のための、前記コーン(7)の中央部内に位置する取水フィンガ(6)と、
殺菌のための前記オゾン−空気混合物を生成するオゾン発生器(2)と、
前記オゾン発生器(1)の制御のための制御装置(13)とを備え、ここで、
前記取水フィンガ(6)内には2つの縦方向チャネル(20、21)が、別個の、前記ボトル(9)から前記水リザーバ(11)内への水の配送、及び前記ボトル(9)内へのオゾン−空気混合物の配送のために作られ、
前記取水フィンガ(6)は、前記水リザーバ(11)の前記空気スペース(8)から前記ボトル(9)内への空気の侵入を防止するように適合された防止カップ(19)を備え、前記防止カップ(19)は、前記水リザーバ(11)からの水の取り出しの間に、前記ボトル(9)から注ぎ出される水が前記オゾン発生器(2)から配送される前記オゾン−空気混合物に置換される際の、前記防止カップ(19)内へのオゾン−空気混合物の配送のための、前記オゾン発生器(2)に接続された入口チャネル(18)を備える、
システム。
【請求項2】
前記水ディスペンサの前の所定の領域内に人(46)が検出された場合に前記オゾン発生器(2)をスイッチオンするための非接触人検知センサ(44)を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記水ディスペンサの前の前記所定の領域は少なくとも2つのゾーンからなり、前記オゾン発生器(2)は少なくとも2つの出力モードを有し、前記制御装置(13)は、前記人(46)が検出されるゾーンに応じて前記オゾン発生器(2)の前記出力モードを切り替えるように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
ボトル取り外しセンサ(48)を備え、前記オゾン発生器(2)は強化出力のモードを有し、ここで前記制御装置(13)は、前記ボトル(9)が取り外された場合、前記取水フィンガ(6)の内部及び外部表面と前記コーン(7)の外部表面(40)との殺菌のために前記強化出力のモードで前記オゾン発生器(2)をスイッチオンするように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
ボトル取り外しセンサ(48)は、前記水ディスペンサの近傍内に人(46)が位置している場合に応答するように調節された非接触人検知センサ(44)である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記ボトル(9)が取り外されて前記水リザーバ(11)内の水位が一定レベルより下になった場合に、前記取水フィンガ(6)の内部及び外部表面と前記コーン(7)の外部表面(40)との殺菌のために前記強化出力のモードで前記オゾン発生器(2)をスイッチオンするための、水位センサ(50)を備える、請求項5に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水ディスペンサのための殺菌システムに関し、より詳細には、ボトルタイプ水ディスペンサのための殺菌システムに関し、特に、オゾンを使用した殺菌システムに関する。このシステムは、新規の水ディスペンサにおいて適用されてもよく、又は既存の水ディスペンサの最新化において使用されてもよい。
【背景技術】
【0002】
オゾンの殺菌効果は広く知られており、オゾン又はオゾン−空気混合物が水ディスペンサの既存の殺菌システムにおいて使用されている。そのようなシステムでは、発生器からのオゾン−空気混合物が冷水タンク内の水を通過させられる、かつ/又は冷水タンクの空気スペース内に供給される。
【0003】
例えば米国特許第6532760号明細書には、水リザーバ内に含まれる水の中へのオゾンの配送のためにオゾン発生器に接続された、水リザーバ内に位置するディフューザを含む、ディスペンサが記載されている。ここで、水を通過した後のオゾンが水リザーバの空気スペース内に蓄積され、そこからいくらかの量のオゾンがボトル内にも侵入する。しかし、そのような殺菌方法を使用する場合、ボトル内に侵入したオゾンの濃度はボトル内の空気スペースの殺菌のためには不十分であり、一方、水を介して運ばれるオゾンの量が増加すると水の味が損なわれる。
【0004】
米国特許出願公開第2010/0005825(A1)号明細書には、水ディスペンサの冷水タンク内の空気のオゾン殺菌のための装置が記載されており、ここで、オゾン又はオゾン−空気混合物は、冷水タンク内に含まれる水の中にではなく冷水タンクの空気スペース内に配送され、そこからボトル内にも供給される。ここで、冷水タンクの空気スペース内のオゾン濃度は、そして結果として、ボトル内に入るオゾン−空気混合物内のオゾン濃度は、上述のシステムにおけるよりも高い可能性がある。しかしオゾン−空気混合物はディスペンサからの水の取り出しの間のみボトル内に入るため、ボトル内に入るオゾンの量は、特に水ディスペンサの長い不使用の間の、ボトルの空気スペース内での微生物の発達を防止しない。一方、冷水タンクの空気スペース内のオゾン濃度の更なる増加は、水の味の劣化と、オゾンの生成のための過剰な電力消費とをもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、ボトル空気スペースの必要とされる殺菌を保証するためには、ボトルに配送されるオゾンの量を増加させる必要がある、又は同じことであるが、ボトルに配送されるオゾン−空気混合物内のオゾンの濃度を増加させる必要がある。
【0006】
同様に、取水フィンガの殺菌を、これを通して高濃度オゾン−空気混合物の流れを導くことによって保証する必要があり、これはボトルが取り外されて取水フィンガの表面が周囲空気と接触している場合に特に重要である。ボトル式水ディスペンサの主要な問題のうちの1つは、ボトルが交換される際にディスペンサの水コンテナ内に侵入する微生物によるディスペンサの汚染であり、なぜならボトルは多くの場合、管理されていない状況下で、並びに病院、オフィス、及びその他の公共空間などの、無菌であることから程遠い施設内で交換されるからである。
【0007】
提案される発明のその他の目的及び利点は、更なる説明から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的は、水ディスペンサの、取水フィンガと水源ボトルの空気スペースとの処理のためにオゾン−空気混合物を使用する、殺菌システムを提供することによって一緒に又は別々に達成され、水ディスペンサ内には、ディスペンサの内部に位置するとともに空気スペースを有する水リザーバ内へのボトルからの水の重力排出のために、ボトルがそのネックを下向きにして取り付けられ、このシステムは、
ボトルをそのネックを下向きにして保持するためのコーンと、
ボトルを開くための、及びボトルから水リザーバ内への水の配送のための、コーンの中央部内に位置する取水フィンガと、
殺菌のためのオゾン−空気混合物を生成するオゾン発生器と、
オゾン発生器の制御のための制御装置とを含み、ここで、
取水フィンガ内には2つの縦方向チャネルが、別個の、ボトルから水リザーバ内への水の配送、及びボトル内へのオゾン−空気混合物の配送のために作られ、
取水フィンガは、水リザーバの空気スペースからボトル内への空気の侵入を防止するように適合された防止カップを備え、防止カップは、水リザーバからの水の取り出しの間に、ボトルから注ぎ出される水がオゾン発生器から配送されるオゾン−空気混合物に置換される際の、防止カップ内へのオゾン−空気混合物の配送のための、オゾン発生器に接続された入口チャネルを備える。
【0009】
そのようなシステムを使用すれば、ボトルの空気スペースに配送されるオゾン−空気混合物内のオゾンの濃度は、水リザーバの空気スペース内よりはるかに高くなり得る。オゾンのより低い濃度を水リザーバの空気スペース内で使用することにより、水の官能特性を劣化させる危険が低減され、同時にこのリザーバの必要な殺菌が保証される。ここで、ボトルの空気スペースに配送されるオゾン−空気混合物内のオゾンの増加させられた濃度により、ボトル及び取水フィンガの両方における無菌環境が維持される。
【0010】
システムは好ましくは、水ディスペンサの前の所定の領域内に人が検出された場合にオゾン発生器をスイッチオンするための非接触人検知センサを備える。
【0011】
水の取り出しの前に人がディスペンサに接近する際の適切なタイミングでオゾン発生器をスイッチオンすることにより、ボトル内に配送されるオゾン−空気混合物のまさに最初の部分が、必要とされるオゾン濃度を有することを保証することが可能になる。
【0012】
好ましくは、水ディスペンサの前の所定の領域は少なくとも2つのゾーンからなり、オゾン発生器は少なくとも2つの出力モードを有し、制御装置は、人が検出されるゾーンに応じてオゾン発生器の出力モードを切り替えるように構成される。
【0013】
複数の人検知ゾーン、及び人が検出されるゾーンに応じたオゾン発生器モード制御の利用可能性は、オゾン発生器の動作を最適化し、人がディスペンサに接近する際にオゾン発生器の出力を増加させることを可能にする。
【0014】
システムは好ましくはボトル取り外しセンサを備え、オゾン発生器は強化出力のモードを有し、ここで制御装置は、ディスペンサからボトルが取り外された場合、取水フィンガの内部及び外部表面とコーンの外部表面との殺菌のために強化出力のモードでオゾン発生器をスイッチオンするように構成される。
【0015】
ボトルの取り外し後のオゾン−空気混合物の短時間配送は、取水フィンガの内部表面及びその外部表面とフィンガの周囲のコーンの領域との殺菌を保証し、従ってフィンガを介してディスペンサ内に微生物が入る危険を大幅に減少させる。一方、ディスペンサの水リザーバの内部の小さな過剰圧力は、その中に含まれる外気及び微生物がディスペンサの内部に入るのを防止する。
【0016】
好ましくは、ボトル取り外しセンサとして、水ディスペンサの近傍内に人がいる場合に応答するように調節された非接触人検知センサが使用されてもよい。
【0017】
ボトルの取り外しの前に人がディスペンサに接近する際の適切なタイミングでオゾン発生器をスイッチオンすることにより、コーン内及び取水フィンガの外部表面上に入るオゾン−空気混合物のまさに最初の部分が最も高濃度になることを保証することが可能になり、一方、ディスペンサの水リザーバの内部の小さな過剰圧力は、その中に含まれる外気及び微生物がボトルの交換の間にディスペンサの内部に入るのを防止する。
【0018】
システムは好ましくは、ボトルが取り外されてリザーバ内の水位が一定レベルより下になった場合に、フィンガの内部及び外部表面とコーンの外部表面との殺菌のために強化出力のモードでオゾン発生器を短時間スイッチオンするための、水位センサを備えてもよい。
【0019】
本出願の文脈では、殺菌(sterilization)は、微生物学的環境の発達レベルにおける低減として理解される。
【0020】
提案されるシステムのその他の利点は、例示的実施形態の更なる詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】提案されるシステムの例示的実施形態の略図である。
【
図2】防止カップを有する取水フィンガの拡大図である。
【
図3】防止カップ内にオゾンを配送するためのチャネル付近のシステムの拡大部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ボトルタイプ水ディスペンサのための提案される殺菌システムは、ボトルが取り付けられている場合の、取水フィンガの外部表面とボトルの空気スペースとの殺菌、及びボトルが取り外された場合の、取水フィンガの外部及び内部表面とボトルホルダコーンの外部表面との殺菌を確実にする。このシステムは、ディスペンサ内部への外気の侵入も防止する。ディスペンサ内部のオゾン−空気混合物の増加させられた圧力が「オゾン−空気カーテン」を常に形成して、外気がディスペンサ内部に入るのを防止する。
【0023】
図1に示すように、水ディスペンサのための殺菌のシステムは以下からなる。
−飲料水の備蓄を貯蔵するように設計された、飲料水を有するボトル9。
−大気から殺菌システム内への空気の配送のために設計された空気ポンプ1と、ポンプ1から配送された空気からのオゾンの生成、及び水ディスペンサ内へのオゾンの配送のために設計されたオゾン発生器2とからなるオゾン発生器ユニット。
−システム要素を接続するように設計された配送管路12。
−オゾン発生器を水及び水蒸気から保護する逆止め弁3。
−オゾン−空気混合物が大気中に排出される際にオゾンを破壊するように設計された、オゾン破壊器4。
−空気ポンプ1が動作している場合のシステム内の最適な過剰圧力の生成及び維持のための調節可能スロットラー14。
−取水フィンガ6内及びボトルの空気スペース10内への混合物の配送のために、及びボトル9が損傷した場合の水漏れからの保護のために設計された、保護分配弁5。この実施形態では分配弁は2つの機能を実行する。これは水リザーバ内の水位が許容レベルを超過した場合にシステム管路内に水が入るのを防止する働きをする。この弁はまた、過剰なオゾンを水リザーバ内に排出する働きもする。
−ボトル9から水リザーバ11内への動作水位17までの水の配送のために、及びボトル空気スペース10内へのオゾン−空気混合物の配送のために設計された、取水フィンガ6。
−ボトル9をそのネックを下向きにした垂直位置に保持するように、かつ封止リング52によってコーン−水リザーバのリンクの密封性を保証するように設計されているとともに、外部表面40と内部表面53という2つの表面を有する、ボトルホルダコーン7。
−空気ポンプ1及びオゾン発生器2のスイッチオンを制御するように設計された制御装置13。
−水リザーバ11からカップ16内への水の取り出しのために設計された配水栓15。
【0024】
図2に示すように、取水フィンガ6は以下の主要な要素からなる。
−わずかに過剰な圧力の下でオゾン発生器から防止カップ19内に高濃度オゾン−空気混合物を配送する配送チャネル18。これにより、ボトル空気スペース10に入るオゾン−空気混合物において一定のオゾン濃度が達成される。
−配水栓15からの水の取り出しの間に水リザーバ11内の水位が変動する際に、ボトル空気スペース10が低オゾン濃度を有するオゾン−空気混合物を水リザーバ空気スペース8から得ることを防止するために設計された、防止カップ19。
−シャットオフ面23。水がここに到達したら、ボトル9内へのオゾン−空気混合物の配送が停止され、水リザーバ11内の動作水位17に到達した場合、ボトル9からの水の配送が停止される。
−シャットオフ面23より少なくとも2mmだけ高い、オゾン−空気混合物配送チャネル20内への入口との間に位置し、オゾン−空気混合物の流れに対する障害のない、技術的スペース24。
−ボトル9内のコルクを開くように設計された取水フィンガケーシング22。
−ボトルから流出した水を埋め合わせるためにボトル内にオゾン−空気混合物を配送するように設計された空気配送チャネル20。このチャネルは気密隔壁によって水配送チャネル21から分離され、その長さ及び流れ断面は水配送チャネル21より小さく、これにより、水リザーバ11内への取水の間、ボトル9からの均一かつ連続的な水流が達成される。
−ボトル9から水リザーバ11内への水の配送のためのボトル水配送チャネル21。チャネル出口は、水流の均一性を提供するために、シャットオフ面23の少なくとも3mm下にあり、防止カップ機能の性能を提供するために、防止カップ19の端の少なくとも15mm上にある。
【0025】
一般的な1回の水の取り出しは約120〜180mlであり、ほぼ同じ水容積がボトル内で置換され、この目的のためにほぼ同じ容積の空気又はオゾン−空気混合物がボトル内に配送されなければならない。これらの考察に導かれ、ディスペンサから流出する水の速度を考慮に入れると、防止カップの内部容積も約120〜180mlとなり、これは、水リザーバからの空気ではなく、高濃度オゾン−空気混合物のみがボトル内に入ることを保証する。
【0026】
次に殺菌システムの動作について、
図1に示す基本動作図を参照して説明する。
【0027】
空気ポンプ1及びオゾン発生器2をスイッチオンすると、空気流がオゾン発生器内に入り、ここでオゾン処理されてオゾン−空気混合物が形成され、オゾン−空気混合物の返流の形成を防止する逆止め弁3内に配送管路12を介して供給され、更にオゾン−空気混合物の流れ25は、デストラクタ内へのオゾン−空気混合物の流れ26と、保護分配弁5内へのオゾン−空気混合物の流れ27という2つの流れに分割される。第1の流れ26は、デストラクタ4内に導かれ、オゾンの破壊の後、調節可能スロットラー14を介して大気中に排出され、第2の流れ27は、水リザーバ11内に位置するとともに保護カップ19内へのオゾン−空気混合物の配送のチャネル18と接続された出口を有する、保護分配弁5内に、配送管路12を介して導かれる。システムの動作原理について更に考慮するために、
図3を参照して、水リザーバ内の水が動作レベル17上にあり、配水栓15を介した水の取り出しが発生せず、保護分配弁5のロッキングフロート(locking float)34がその開位置にあってオゾン−空気混合物の流れを妨げない場合の状況について調べる。この状況では、分配弁5の出口開口部30を介したオゾン−空気混合物の流れ28が水リザーバ空気スペース8内に入り、このスペース内にオゾン−空気混合物の過剰圧力を生成し、この圧力は、調節可能スロットラー14によって設定され、又はこれが利用できない場合は、デストラクタ4の流れに対する抵抗によって設定される。防止カップ19内へのオゾン−空気混合物の配送のチャネル18は水で覆われており、オゾン−空気混合物はボトル空気スペース10内に入らず、ボトル9からの水はボトル空気スペース8内の負圧によって保持され、水リザーバ11内に入らない。配水栓15から水が取り出されると、水リザーバ11内の水位が低下し、水リザーバ内の水位32に到達すると、水ボトル内へのオゾン−空気混合物の配送が可能になり、オゾン−空気混合物の流れ27は、流れ28及び流れ29という2つの流れに分割され、流れ29は、スペース24及び配送チャネル20を介してボトル空気スペース10内に導かれ、流れ29に起因してボトル空気スペース10内の圧力が高まり、配水栓15から取られた水を埋め合わせるため、かつ水リザーバ11内の動作水位17を回復するために、ボトル9から水リザーバ11内への水流36が発達する。配水栓15からの水の取り出しが完了したら、水リザーバ内の水位は上昇し、レベル31に達したら、スペース24内へのオゾン−空気混合物の配送は停止し、一方、ボトル9から水リザーバ11内への水流36は水リザーバ11を充填し続け、オゾン−空気混合物の残りが水によってスペース24からボトル空気スペース10内に押し出され、水リザーバ11内の動作水位17に達したら、次にレベル30まで水位が低下するまで、水流36は停止される。空気ポンプ1及びオゾン発生器2をスイッチオフした後、水リザーバ空気スペースからのオゾン−空気混合物の逆流35が発生し、オゾン破壊器4及び調節可能スロットラー14を介して大気中に入り、これにより、水リザーバ空気スペース8内で大気との均圧が起き、従って、水リザーバ内の動作水位17の安定化に達する。大気圧における変動及び水リザーバ内の動作水位17のわずかな変化がある場合、水リザーバ空気スペース8内の前記均圧が調節可能スロットラー14及びオゾン破壊器4を介して実行される。水リザーバ内のレベル30における空のボトル9の交換の間、オゾン−空気混合物は、取水フィンガ6からのオゾン−空気混合物の出口のための開口部38から自由に出て、ボトルホルダコーン7の底部内に蓄積し、従って、取水フィンガケーシング22の外部表面とコーン7の外部表面40との殺菌が保証され、これにより、新たに充填されたボトル9の取り付けの間の水の汚染が防止される。
【0028】
空気ポンプ1及びオゾン発生器2の動作を制御するために、これらと接続された制御装置13及び水取り出しセンサ37が提供される。制御装置13は、水の取り出しの間に水取り出しセンサ37から信号「水の取り出し」43を受信すると、空気ポンプ1及びオゾン発生器2をスイッチオンして、殺菌システムの動作のための必要条件である、ボトル9から注ぎ出された水を埋め合わせるためのオゾン−空気混合物の流れを作る。取り出しと取り出しとの間の期間は、オゾン−空気混合物の分解の時間より短いか又はそれと同程度でなければならず、これは更には混合物の温度に強く依存し、通常の条件下では約30分である。配水栓15からの水の取り出しの間の中断が長く続く場合のシステムの正常な動作を保証するために、空気ポンプ1及びオゾン発生器2を30分以上の周期で定期的にスイッチオンして、水リザーバ11の空気スペース内の必要とされるオゾン濃度を維持する必要がある。
【0029】
図4は、空気ポンプ1及びオゾン発生器2のスイッチオンの制御のために、非接触人検知センサ44がこのシステムでは加えて含まれる、という点で上述とは異なる殺菌システムの一実施形態を示す。非接触人検知センサ44は、水ディスペンサのハウジングとの人の直接的な接触なしに、人の存在を検知することを可能にする装置である。非接触人検知センサ44は、装置の前0〜700mmの距離内の人の存在の信号45を形成し、この距離は、これに入る人が概して水ディスペンサを使用するゾーンであり(これは水ディスペンサの実際の適用の経験により確認された)、従って水ディスペンサの動作の準備のために使用可能である。ディスペンサの前の人の存在の信号45によって、制御装置13は空気ポンプ1及びオゾン発生器2をスイッチオンし、検出領域内に人がいない場合はこれらの装置をスイッチオフする。この非接触人検知センサ44の適用は、殺菌システムのリソースを最も効率的に使用することを可能とし、特に、取水フィンガケーシング22の外部表面及びコーン7の外部表面40のより完全な処理を実行することを可能にする。
【0030】
本発明の別の実施形態の基本動作図が
図5に提示されている。このシステムは、空気ポンプ1及びオゾン発生器2のスイッチオンの制御のために、水ディスペンサの前の少なくとも2つの異なるゾーン内の人を検知する可能性を有する非接触人検知センサ44がこのシステムでは更に含まれる、という点で上述のものとは異なる。非接触人検知センサ44は、装置の前250〜700mmの距離L3内の人の存在の信号45を形成し、この距離は、これに入る人が概して水ディスペンサを使用するゾーンであり(これは水ディスペンサの実際の適用の経験により確認された)、従って水ディスペンサの動作の準備のために使用可能である。水ディスペンサの前の人の存在の信号45によって、制御装置13は空気ポンプ1及びオゾン発生器2を通常動作出力のモードでスイッチオンし、検出領域内に人がいない場合はこれらの装置をスイッチオフする。非接触人検知センサ44は、装置の前0〜250mmの距離L2内に人が存在したら「ボトル交換」信号47を形成し、この距離は、これに入る人が概して空のボトル9を充填されたものと交換するゾーンを規定する。そのような距離において水を取るために水ディスペンサを使用することは不都合であり(これは水ディスペンサの実際の適用の経験により確認された)、従ってこの距離は、取水フィンガケーシング22の外部表面の及びコーン7の外部表面40のより深い処理のための強化出力のモードで空気ポンプ1及びオゾン発生器2をスイッチオンするために使用されてもよい。
【0031】
本システムの更に別の実施形態の基本動作図が
図6に示されている。水ディスペンサの殺菌のためのこのシステムは、空気ポンプ1及びオゾン発生器2のスイッチオンの追加の制御のために、水ディスペンサ上に取り付けられたボトルの検出のためのセンサ48がこのシステムでは更に含まれる、という点で上述のものとは異なる。水ディスペンサ上のボトルの検出のためのセンサ48は、水ディスペンサ上にボトルが取り付けられているかどうかを検出することを可能にする装置であり、接触タイプ又は非接触のいずれかであってもよい。水ディスペンサ上のボトルの検出のためのセンサ48は、水ディスペンサ上にボトルがない場合に「ボトルなし」信号49を形成し、この信号によって制御装置13は、取水フィンガケーシング22の外部表面の及びコーン7の外部表面40のより深い処理のための強化出力のモードで空気ポンプ1及びオゾン発生器2をスイッチオンする。ボトルが取り外された場合の、防止カップ19内及び取水フィンガ6内の一定の過剰圧力の生成が、外気及びその中に含まれる微生物が取水フィンガ6内のチャネルを介して水ディスペンサ内に入るのを防止する「オゾン−空気カーテン」の形成を常に保証する。
【0032】
図4を再び参照して本発明の別の実施形態について説明する。この実施形態におけるシステムは、空気ポンプ1及びオゾン発生器2のスイッチオンの追加の制御のために、水ディスペンサ上のボトルの検出のためのセンサ48の代わりに、非接触人検知センサ44がこのシステムでは含まれる、という点で上述のものとは異なる。非接触人検知センサ44は、ディスペンサの前0〜250mmの距離L1内に人が存在したら「ボトル交換」信号47を形成し、この距離は、これに入る人が概して空のボトル9を充填されたものと交換するゾーンを表し、一方、そのような距離において水を取るために水ディスペンサを使用することは不都合であり(これは水ディスペンサの実際の適用の経験により確認された)、従ってこの距離は、取水フィンガケーシング22の外部表面の及びコーン7の外部表面40のより深い処理のための強化出力のモードで空気ポンプ1及びオゾン発生器2をスイッチオンするために使用されてもよい。ボトルの交換より前に防止カップ19内で一定の過剰圧力を生成することが、外気及びその中に含まれる微生物が取水フィンガ6内のチャネルを介して水ディスペンサ内に入るのを防止する「オゾン−空気カーテン」の形成を常に保証する。これは、オゾン−空気混合物の最初の部分が、必要とされる濃度をすでに有することも保証する。
【0033】
本発明の最後の実施形態の基本動作図が
図7に示されている。このシステムは、強化出力のモードでの空気ポンプ1及びオゾン発生器2のスイッチオンの追加の制御のために、水リザーバ内の水位のセンサ50がこのシステムでは含まれる、という点で上述のものとは異なり、「ボトルの交換」信号47に対する追加の要因として、このセンサ50は、リザーバ内の水位が水リザーバ内の水位32より下に低下したら直ちに「ボトルの交換」信号51を形成して、水ボトル内へのオゾン−空気混合物の配送を可能にし、その理由は、装置の前0〜250mmの距離L1内に人が存在する場合にボトル9内にもはや水がない、ということより前にもボトル交換が行われる可能性があるからである。
【0034】
従って、提案される殺菌システムは以下の利点を有する。
−システムは、水源ボトル内の空気スペースのオゾン−空気混合物による確実な殺菌を、水の味を維持しながら提供する。
−システムは、取水フィンガとフィンガの周囲のコーンの領域との殺菌を提供する。
−提案されるシステムは、ボトルの取り外し/交換時に取水フィンガ内にオゾン−空気混合物の過剰圧力を更に提供し、従って、外気がディスペンサ内に入るのを常に防止する効果的なオゾン−空気混合物カーテンを作る。
【符号の説明】
【0035】
1 空気ポンプ
2 オゾン発生器
3 逆止め弁
4 オゾン破壊器
5 保護分配弁
6 取水フィンガ
7 ボトルを垂直位置に保持するためのコーン
8 水リザーバの空気スペース
9 ボトル
10 ボトルの空気スペース
11 水リザーバ
12 配送管路
13 制御装置
14 調節可能スロットラー
15 配水栓
16 カップ
17 水リザーバ内の動作水位
18 防止カップ内へのオゾン−空気混合物の配送のためのチャネル
19 防止カップ
20 空気配送チャネル
21 水配送チャネル
22 取水フィンガケーシング
23 シャットオフ面
24 技術的スペース
25 オゾン発生器の後の、オゾン−空気混合物の流れ
26 オゾン発生器の後の、オゾン破壊器内へのオゾン−空気混合物の流れ
27 オゾン発生器の後の、分配弁内へのオゾン−空気混合物の流れ
28 分配弁の後の、水リザーバの空気スペース内へのオゾン−空気混合物の流れ
29 分配弁の後の、水ボトルの空気スペース内へのオゾン−空気混合物の流れ
30 分配弁の出口開口部
31 水ボトルの空気スペース内へのオゾン−空気混合物の配送をロックする水リザーバ内の水位
32 水ボトルの空気スペース内へのオゾン−空気混合物の配送を許可する水リザーバ内の水位
33 分配弁のロックのための水リザーバ内の水位
34 分配弁のロッキングフロート
35 水リザーバの空気スペースからのオゾン−空気混合物の流れ
36 ボトルから水リザーバ内への水流
37 水取り出しセンサ
38 取水フィンガからボトル内へのオゾン−空気混合物の出口のための開口部
39 ボトルから取水フィンガ内への水の出口のための開口部
40 ボトルを垂直位置に保持するためのコーンの外部表面
41 空気ポンプのスイッチングのための制御信号
42 オゾン発生器のスイッチングのための制御信号
43 水取り出しセンサのための制御信号
44 非接触人検知センサ
45 人検知センサからの信号−人がいない
46 人
47 人検知センサからの信号−ボトル交換
48 水ディスペンサ上のボトルの存在のセンサ
49 ボトル存在センサからの信号−ボトルなし
50 水位センサ
51 水位センサからの信号−ボトルの交換
52 封止リング
53 コーンの内部表面