(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1つの前記外部チャネルを備え、ここで、該1つの外部チャネルが前記陥凹区画のうちの第1のものとのみ直接流体連通し、そして該第1の陥凹区画が、内部チャネルを介して該陥凹区画のうちの第2のものと流体連通する、請求項1に記載の滅菌テストパック。
2つの前記外部チャネルを備え、ここで、該2つの外部チャネルのうちの第1のものが、前記陥凹区画のうちの第1のものと流体連通し、そして該2つの外部チャネルのうち第2のものが、該陥凹区画のうちの第2のものと流体連通する、請求項1に記載の滅菌テストパック。
各外部チャネルが、独立して、0.025mmから4mmの範囲の深さ、および0.025mmから5mmの範囲の幅、および1mmから100mmの範囲の長さを有し、かつ
該外部チャネルの該深さおよび該幅が、前記滅菌インジケータに前記ガス状滅菌媒体の制限された流動を提供するように選択される、請求項1から5のいずれかに記載の滅菌テストパック。
前記基部または前記カバーの少なくとも1つが、前記滅菌テストパックが前記滅菌媒体に晒された後に前記化学的インジケータが視認可能であるように充分透明である、請求項1から7のいずれかに記載の滅菌テストパック。
前記基部が、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリレート、ポリ(メチル)メタクリレート、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリビニルクロライドの1つまたは2つ以上の組合せを含む、請求項1から8のいずれかに記載の滅菌テストパック。
前記カバーが、熱、接着剤、加熱活性化ラミネート接着剤、音波溶接、および磁気誘導の1つまたは2以上の組合せにより前記基部に密封される、請求項1から10のいずれかに記載の滅菌テストパック。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
公知のテストパックは、有効である一方、一般に複雑であり、そして製造にコストがかかり、多くのパーツを必要とし、使用が困難であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は滅菌テストパックに関し、
一対の陥凹区画を備える基部であって、該陥凹区画が非同心関係を有するように配置されており、そして互いに流体連通する、基部;
該基部に取り付けられており、かつ該陥凹区画に対して密封エンクロージャを形成する、カバー;
該密封エンクロージャと外部環境との間の流体連通のみを提供する、外部チャネル;
該陥凹区画のうちの第1のものの中の滅菌インジケータ;ならびに
該陥凹区画のうちの第2のものの中の化学的インテグレータおよび/または化学的インジケータ;
を備え、
該外部チャネルが、該陥凹区画へのガス状滅菌媒体の制限された流動のみを可能とするように構成されており、そして該基部および該カバーが、それに対して該ガス状滅菌媒体を通さない、テストパックに関する。
【0006】
1つの実施形態では、テストパックは、密封エンクロージャ内に配置された滅菌吸収材を含んでいない。
【0007】
1つの実施形態では、陥凹区画は、実質的に平行に並んだ関係にある。
【0008】
1つの実施形態では、テストパックは1つの外部チャネルを備え、該1つの外部チャネルが該陥凹区画のうちの第1のものとのみ直接流体連通し、そして該第1の陥凹区画は、内部チャネルを介して該陥凹区画のうちの第2のものと流体連通する。
【0009】
1つの実施形態では、テストパックは2つの外部チャネルを備え、該2つの外部チャネルのうちの第1のものが、該陥凹区画のうちの第1のものと流体連通し、そして該2つの外部チャネルのうち第2のものが、該陥凹区画のうちの第2のものと流体連通する。1つの実施形態では、たとえ2つの外部チャネルが存在するとしても、該第1および第2の陥凹区画は、内部チャネルを介して互いに流体連通するように配置されている。
【0010】
1つの実施形態では、外部チャネルまたは各外部チャネルは、密封エンクロージャと外部環境との間に屈曲がない(すなわち、真っ直ぐなチャネルである)。1つの実施形態では、外部チャネルまたは各外部チャネルは、密封エンクロージャと外部環境との間に少なくとも1つの屈曲を有する。別の実施形態では、外部チャネルまたは各外部チャネルは、密封エンクロージャと外部環境との間に多数の屈曲を有する。
【0011】
1つの実施形態では、各外部チャネルは、独立して、約0.025mm〜約4mmの範囲の深さ、および約0.025mm〜約5mmの範囲の幅、および約1mm〜約100mmの範囲の長さを有する。
【0012】
1つの実施形態では、各外部チャネルの深さおよび幅は、選択された滅菌インジケータについて適切なガス状滅菌媒体の制限された流動を提供するために選択される。
【0013】
先の実施形態のいずれかでは、滅菌インジケータは生物学的インジケータおよびインジケータ酵素の少なくとも1つを含む。
【0014】
先の実施形態のいずれかでは、基部またはカバーの少なくとも1つは、滅菌テストパックが滅菌媒体に晒された後に化学的インジケータが視認可能であるように充分透明であり得る。
【0015】
先の実施形態のいずれかでは、基部は、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリレート、ポリ(メチル)メタクリレート、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリビニルクロライドの1つまたは2つ以上の組合せを含み得る。
【0016】
先の実施形態のいずれかでは、カバーは、マイラー、金属箔、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリレート、ポリ(メチル)メタクリレート、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリビニルクロライド、該ポリマーのうちの任意のものを用いる金属化ポリマーフィルム、および厚紙の1つまたは2以上の組合せを含み得る。
【0017】
先の実施形態のいずれかでは、カバーは、熱、接着剤、加熱活性化ラミネート接着剤、音波溶接、および磁気誘導の1つまたは2以上の組合せにより基部に密封され得る。
【0018】
先の実施形態のいずれかでは、基部は、カバーが密封される、実質的に平坦な隆起面(raised surface)を備え得る。
【0019】
先の実施形態のいずれかでは、テストパックは、1つの外部チャネルおよび2つの陥凹区画を有し得、そして2つの陥凹区画は互いに流体連通し得る。
【0020】
先の実施形態のいずれかでは、各外部チャネルが、独立して2つの屈曲を有するS字のチャネルであり得るか、あるいは屈曲なし、1つの屈曲または2以上の屈曲を有し得る。
【0021】
先の実施形態のいずれかでは、滅菌インジケータは生物学的インジケータおよび/またはインジケータ酵素を含み得る。
【発明の効果】
【0022】
本発明の滅菌テストパックは、1つまたはそれ以上の以下の特性を組み合わせたものであり、従来技術における問題に対する解決を到達しかつ提供するものであり:テストパックは有効であり、製造が単純かつ容易であり、ほとんど部品を必要とせず、使用が全く容易である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の種々の実施形態が、添付の図面を参照して以下に記載されている:
【0025】
図示の単純化および明確性のために、図に示す要素は必ずしも正寸ではない。例えば、いくつかの要素の寸法は、明確性のため互いと比較して誇張され得る。さらに、適切な場合、参照番号は、対応する要素を示すために図の間で繰り返されている。
【0026】
本発明は、置換が意図される構成と同等に機能し、なお製造が容易であり、最近上市されているテストパックよりも少ないパーツを必要とし、かつ消費者にとって使用し易いテストパックを包含する。それはまた、製造者が、将来、より多くの用途について可能とするために、チャネルの数、大きさ、位置および形状を単に変化させることによりテストパックの時期を変更することも可能とする。
【0027】
用語「滅菌」は、物質を再生、代謝および/または成長することができなくなるようにすることを言い得る。これはしばしば生存生物が皆無であることを意味する一方、当該用語は、物質が許容可能であると前もって認められた程度まで生存生物を含まないことを言うものとして本明細書において用いられ得る。他に示さない限り、用語「滅菌」は、さらに滅菌よりも厳格でない方法および手順(例えば、消毒、サニテーションなど)もまた言うものとして本明細書中において使用され得る。本明細書中に記載される滅菌テストパックならびにプロセスおよび装置は、ヘルスケア分野、科学分野などにおいて使用され得る。これらは、滅菌、消毒、サニテーションなどが所望され得る(例えば、食品加工、製薬など)商業的および工業的用途において使用され得る。
【0028】
開示された滅菌テストパックが用いられ得る滅菌プロセスは任意のガス状滅菌プロセスであり得る。これらは、滅菌媒体または滅菌剤がスチームあるいは1つまたはそれ以上のガス状滅菌剤などであり得る場合の滅菌プロセスを包含し得る。ガス状滅菌剤としては、ガス状過酸化水素、ガス状エチレンオキサイドなどが挙げられ得る。
【0029】
本発明のテストパックにおける生物学的インジケータは、生物学的インジケータを用いて提供される供試生物よりも滅菌プロセスに対する耐性の低い任意の微生物に対して滅菌剤の致死率を決定するために用いられ得る。これらの微生物としては、大腸菌(Escherichia coli)、レジオネラsp.(Legionella sp.)、カンピロバクターsp.(Campylobacter sp.)および他の腸内細菌のような細菌、ならびにブドウ球菌(Staphylococcus)およびストレプトコッカス(Streptococcus)種、および他のヒト病原性微生物(例えば、
クリプトスポリジウム(Cryptosporidium))が挙げられ得る。
【0030】
本発明のテストパックにおける生物学的インジケータは、1つまたはそれ以上の供試生物を含み得る。供試生物は、意図する滅菌プロセスに対する耐性が、当該滅菌プロセスが破壊するように設計される他の生物のものを超える任意の細胞を含み得る。生物学的インジケータとして使用される供試生物のタイプは、様々な因子に依存し得、このような因子は限定されないが、使用される滅菌プロセスのタイプにより例示される。供試生物は微生物であってもよい。使用され得る菌株は、滅菌のために使用されるプロセスに対して最も耐性を有するものであり得る。供試微生物は細菌を含み得る。細菌微生物は、内生胞子(すなわち、細菌の胞子)を形成するものであり得る。供試生物は、ゲオバチルス(Geobacillus)属、バチルス(Bacillus)属またはクロストリジウム(Clostridia)属の細菌が挙げられ得る。これらとしては、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)、バチルス・アトロフェウス(Bacillus atrophaeus)、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・スファエリクス(Bacillus sphaericus)、バチルス・アントラシス(Bacillus anthracis)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、クロストリジウム・スポロゲネス(Clostridium sporogenes)、クロストリジウム・ディフィシレ(Clostridium difficile)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、バチルス・スブチリス・グロビギイ(Bacillus subtilis globigii)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、バチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)、あるいはそれらの2つまたはそれ以上の混合物を含み得る。
【0031】
生物学的インジケータのインジケータ生物は、真菌、マイコ細菌、原虫、栄養性細菌(vegetative bacteria)、栄養細胞、および/またはそれらの構成部分などを含み得る。使用され得る真菌の例としては、アルペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、トリコフィトン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)、ワンギエラ・デルマティティス(Wangiella dermatitis)などが挙げられ得る。使用され得るマイコ細菌の例としては、マイコバクテリウム・ケローネ(Mycobacterium chelonae)、マイコバクテリウム・ゴルドネ(Mycobacterium gordonae)、マイコバクテリウム・スメグマチス(Mycobacterium smegmatis)、マイコバクテリウム・テラエ(Mycobacterium terrae)などが挙げられ得る。使用され得る原虫の例としては、ランブル鞭毛虫(Giardia lamblia)、クリプトスポリジウム・パルバム(Cryptosporidium parvum)などが挙げられ得る。使用され得る栄養性細菌の例としては、エロモナス・ヒドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)、ストレプトコッカス・フェカーリス(Streptococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyrogenes)、大腸菌(Escherichia coli)、クラブシエラ(ニューモニエ)(Klebsiella (pneumoniae))、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、メチロバクテリウム(Methylobacterium)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、サルモネラ・コレレスイス(Salmonella choleraesuis)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、ステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)などが挙げられ得る。ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス、バチルス・アトロフェウス、バチルス・スブチリス、バチルス・コアグランス、クロストリジウム・スポロゲネスなどのような生物が、湿熱滅菌(高圧蒸気滅菌)の効果を確認するために用いられ得、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルスが特に有用である。
【0032】
1つの実施形態では、供試生物は、アルペルギルス・ニガー、カンジダ・アルビカンス、トリコフィトン・メンタグロフィテス、ワンギエラ・デルマティティス、マイコバクテリウム・ケローネ、マイコバクテリウム・ゴルドネ、マイコバクテリウム・スメグマチス、マイコバクテリウム・テラエ、マイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、ランブル鞭毛虫、クリプトスポリジウム・パルバム、エロモナス・ヒドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、エンテロコッカス・フェカーリス、ストレプトコッカス・フェカーリス、エンテロコッカス・フェシウム、ストレプトコッカス・ピオゲネス、大腸菌、クラブシエラ(ニューモニエ)、レジオネラ・ニューモフィラ、メチロバクテリウム、緑膿菌、サルモネラ・コレレスイス、ヘリコバクター・ピロリ、ミクロコッカス・ラディオデュランス(Micrococcus radiodurans)、デイノコッカス・ラジオデュランス(Deinococcus radiodurans)、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、ステノトロホモナス・マルトフィリア、あるいはそれらの2つまたはそれ以上の混合物を含む。
【0033】
最も耐性の生物を表すものとしてそれらが受け入れられることに基づいて選択された供試生物(例えば、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルスおよびバチルス・アトロフェウス)に加えて、生物学的インジケータはさらに、バイオテロまたは細菌戦の因子(例えば、炭疽菌)を含んでいてもよい。これらの耐性生物は、天然または人為的な改変によって抗生物質処理または化学的消毒の以前は効果的な手段に対して耐性を有するようになった菌株もまた含み得る。前者タイプの例としては、VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)、MSRA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、マイコバクテリウム・ケロネイ(Mycobacterium cheloni)などが挙げられ得る。このような耐性生物は所望され得る。VREおよびMRSAは、治療策に対する耐性(例えば、抗生物質耐性)を近年発達させ、そしてM.ケローネは、消毒のいくつかの様式に対する耐性(例えば、グルタルアルデヒド耐性)を発達させているからである。
【0034】
インジケータ酵素は、β−D−ガラクトシダーゼ、α−D−ガラクトシダーゼ、β−D−グルコシダーゼ、α−D−グルコシダーゼ、β−D−セロビオシダーゼ、α−L−アラビノシダーゼ、α−マンノシダーゼ、α−ガラクトサミニダーゼ、β−ガラクトサミニダーゼ、β−グルコニダーゼ、β−キシロシダーゼ、β−D−グルクロニダーゼ、β−D−フコシダーゼ、β−L−フコシダーゼ、α−グルコサミニダーゼ、β−グルコサミニダーゼ、β−ラクトシダーゼ、α−マルトシダーゼ、α−マンノシダーゼ、β−マンノシダーゼ、アルカリホスファターゼ、酸ホスファターゼ、カルボキシルエステラーゼ、ブチレートエステラーゼ、カプリレートエステラーゼリパーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、カテコール−2,3−ジオキシゲナーゼ、ミリステートリパーゼ、ロイシンアミノペプチダーゼ、バリンアミノペプチダーゼ、ホスホヒドロラーゼ、α−L−アラビノフラノシダーゼ、N−アセチル−β−グルコサミニダーゼ、アラニンアミノペプチダーゼ、プロリンアミノペプチダーゼ、チロシンアミノペプチダーゼ、フェニルアラニンアミノペプチダーゼ、脂肪酸エステラーゼ、あるいはそれらの2つまたはそれ以上の混合物を含み得る。
【0035】
図1〜5を参照して、本発明の実施形態にかかるテストパックを示す。
【0036】
図1は、本発明の1つの実施形態によるテストパックの側上面斜視図である。
図1に示すように、本実施形態におけるテストパック10は、ポリカーボネート、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン)、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリレート、ポリ(メチル)メタクリレート、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリビニルクロライドの1つあるいは2またはそれ以上の組合せのような成形または熱成形可能な材料から製造された底部トレイの形状でなる基部12を有する。1つの実施形態では、基部にはポリプロピレン(例えば、MARLEX(登録商標)RGX−020ポリプロピレンランダムコポリマー)が用いられる。基部12は一対の陥凹区画14および16とともに形成されている。
図1の実施形態に示すように、陥凹区画14,16は、非同心関係を有するように配置されており、そして内部チャネル18を介して互いに流体連通する。内部チャネル18は、一対の陥凹区画14,16の間で流体連通を提供する。
【0037】
テストパックの基部12は、任意の適切なプロセスにより製造され得るが、最も所望されるのは基部が熱成形されることによるものであることがわかる。
【0038】
本発明によれば、テストパック10は、外部環境との流体連通を提供する外部チャネル20を備える。他の実施形態に関して記載されるように、テストパックは1つ以上の外部チャネルを備え得る。外部チャネル20、および任意の追加の外部チャネルは、テストパック10の陥凹区画14,16への外気(例えば、ガス状滅菌媒体)の制限された流動のみを可能とするように構成され、かつそのサイズを有する。外部チャネルは、必要に応じて基部内に熱成形または切削され得る。
【0039】
テストパック10はさらに、基部12に取り付けられ、かつ陥凹区画14,16のための密封エンクロージャを形成するカバー22を備える。カバー22は、以下により詳細に記載するように、剥離可能で、透明な材料であり得る。カバー22は、例えば、接着剤、を用いて基部12に対して取り外し可能に密封されており、そしてテストパック内の内部空間(例えば、陥凹区画)と外部環境との間で完全な密封を提供し、テストパック10の唯一の開口部は外部チャネル20である。カバー22は、外部チャネル20に上部を提供し、それゆえ全ての側面について当該チャネルは閉じられており、チャネルの外側端部および内側端部のみが開いている。
【0040】
図1に示すように、本実施形態において、基部12は、平坦な隆起面24および1つまたはそれ以上の下方タブ26を備える。カバー22は、隆起面24に対して接着性を有するが、取り外し可能に取り付けられている。しかし、カバー22は、タブ26までは延びていない。タブ26は、例えば、テストパック10を手で持つために提供されており、カバー22を取り外す際に基部12を掴むのに有用である。
【0041】
カバー22は、透明なプラスチックフィルムまたは箔から製造され得る。PETのような透明なポリエステルが好ましく、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、PVC、アクリル樹脂、ナイロンまたは不透明なアルミニウム箔が用いられ得る。1つの実施形態では、カバーは、マイラー(登録商標)、金属箔、金属化箔、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリレート、ポリ(メチル)メタクリレート、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリビニルクロライド、および厚紙の1つまたは2以上の組合せを含む。
【0042】
1つの実施形態では、カバー22は、高圧蒸気処理が可能なポリマーから製造されており、そして1つの実施形態では、高圧蒸気処理可能なポリエステル箔でなる剥離可能なラミネート(例えば、TOLAS
TM ITD−6121ラミネート)から製造されている。1つの実施形態では、ラミネートは多層を含み、ポリエステル層、箔層およびシーラントフィルム層を含んでいてもよく、互いにサンドイッチされ、そして接着層を介在することにより一緒になって保持されている。したがって、1つの実施形態では、カバー22の外層はPETを含み、そしてカバー22の内層はHDPE共押出しシーラントフィルムを含み、外層と内層との間に箔(例えば、アルミニウム)でなる薄層がサンドイッチされている。組み立てられたテストパックにおいて、シーラントフィルムは、基部12の隆起面24に固着されている。
【0043】
化学的インジケータがテストパックの外部から視認可能であり、その結果、テストパックが、化学的インジケータが感受する滅菌媒体に晒されたかどうかを容易に判定可能であることが所望される。
【0044】
1つの実施形態では、カバー22が透明でない場合は、基部12は透明なプラスチック材料から作られており、化学的インテグレータおよびインジケータの可視化を容易にして、テストパックを開封する必要がない。カバー22は適切な接着剤により適所に保持され、カバー22は基部22に取り外し可能に密封されている。カバー22は、1つの角部付近に接着剤を用いることなく部分的に残されていることにより、カバー22の把持が容易となり、基部12から取り外してインジケータへのアクセスを提供し得る。別の実施形態(図示しない)では、カバー22が基部12の端部を超えて外側に延びることにより、取り外しのためのカバー22の把持を容易にし得る。
【0045】
カバー22は、限定されないが、ヒートシール、接着剤、音波溶接(sonic weld)または電磁誘導シールを含む任意の適切な手段により、基部12に取り付けられていてもよい。カバー22の基部12への密封は、滅菌プロセスにおけるテストパックの処理の後、カバー22は、オートクレーブ内での蒸気滅菌のような滅菌においてさえも基部12にしっかりと付着したままであるが、生物学的インジケータおよび化学的インジケータまたはインテグレータへのアクセスを可能とするために、目的に応じて引き剥がされ得るようにして行われている。
【0046】
図1に示す実施形態において、外部チャネル20は基部12内に形成されており、1本の真っ直ぐなチャネルである。カバー22が配置される場合、外部チャネル20は、内部陥凹区画14,16とテストパック10の外の外部環境(例えば、滅菌大気)との間の連通のみを提供する。
【0047】
1つの実施形態では、テストパック10は、第一の陥凹区画14内に自己収容型生物学的インジケータ(self-contained biological indicator)(SCBI)のような生物学的インジケータを含む。1つの実施形態では、テストパック10は、第二の陥凹区画16内に化学的インテグレータまたは化学的インジケータを含む。
【0048】
本発明における別の実施形態を
図2に示し、
図2もまた、テストパック30の基部12の側上面斜視図である。テストパック30は、テストパック30が2つの外部チャネル32,34を備え、かつ外部チャネル32,34のそれぞれが2つの屈曲を備える点を除き、実質的にテストパック10と同様である。この実施形態において、外部チャネル32は、第一の陥凹区画14と外部環境との間の流体連通を提供し、そして外部チャネル34は、第二の陥凹区画16と外部環境との間の流体連通を提供する。
図2に示す実施形態においても、内部チャネル18が、陥凹区画14,16の間に流体連通を提供する。1つの実施形態では、図示していないが、2つの外部チャネル32,34が存在し、これらが、陥凹区画14,16のそれぞれと外部環境との間の流体連通を提供するが、内部チャネルは存在しない(すなわち、陥凹区画14,16の間に直接的に流体連通が存在しない)。
図2の実施形態では、密封可能なカバーを示していない。
【0049】
図3は、
図2のテストパックと類似するテストパック実施形態30の平面図であり、基部12が基部の周囲に細い周囲リップ36を備え、この実施形態において、この周囲リップは基部12の隣接する2つのコーナーのタブ26まで広がっていることをより明確に示す。図示されていないが、他の実施形態において、タブ26は省略されてもよく、あるいは1つのタブ26が用いられてもよく、あるいはタブ26は基部12の対向する角に、または3つの角にまたはすべての4つの角にさえあってもよい。
図3は、カバー22が接着する隆起面24、および周囲リップ36、および2つの外部チャネル32,34を示す。
【0050】
図4は、
図1の4−4線に沿った断面図であり、基部12を示す。
図4に示すように、本実施形態において、隆起面24は、周辺リップ36に関して僅かに隆起されており、そして第一の陥凹区画14が、第二の陥凹区画16よりもかなり深くなっている。これは、本実施形態において、相当の3次元体積を占めるSCBIのような滅菌インジケータが第一の陥凹区画14内に配置され、その一方で比較的平坦な化学的インテグレータまたは化学的インジケータが第二の陥凹区画16内に配置されるためである。
【0051】
図5は、本発明の実施形態によるテストパック50の平面図であり、第一の陥凹区画14内の生物学的インジケータ52および第二の陥凹区画16内の化学的インジケータ54を有する。
図5の実施形態において、生物学的インジケータはSCBIとして描かれているが、任意の適切な生物学的インジケータが使用され得る。
図5の実施形態において、化学的インジケータは示されているが、化学的インテグレータが代わりに使用されてもよい。1つの実施形態では、図示していないが、化学的インジケータおよび化学的インテグレータの両方が使用されてもよい。
【0052】
1つの実施形態では、基部12は熱成形され、そして化学的インジケータおよび生物学的インジケータを収容する。次いで、剥離可能なカバー22が、基部12の隆起面24に対して密封され、陥凹区画14,16と外部環境との間の連通のみが外部チャネル(例えば、外部チャネル20または2つの外部チャネル32,34)を通る。
【0053】
使用において、本発明のテストパック10,30,50は、滅菌されるべき物体と一緒に滅菌装置のチャンバ内に配置される。テストパックが滅菌チャンバ内に配置される正確な場所は、当業者によって適切に決定され得る。
【0054】
外部チャネルは、テストパックへの滅菌媒体の流動を制限する大きさである。1つまたは複数の外部チャネルの寸法を調節すること、および/または外部チャネルの数を変更することにより、大体のガス状滅菌媒体が外部チャネルに入り、テストパックを通ることを可能にする。1つの実施形態では、各外部チャネルは独立して、約0.025mm〜約4mmの範囲の深さ、および約0.025mm〜約5mmの範囲の幅、および約1mm〜約25mmの範囲の長さを有する。1つの実施形態では、深さは、約0.05〜約2mmの範囲にあり、そして別の実施形態では、深さは約0.25〜約3mmの範囲にあり、そして1つの実施形態では、深さは約1.27mmである。1つの実施形態では、幅は約0.05〜約2mmの範囲にあり、別の実施形態では、幅は約0.025〜約0.25mmの範囲にあり、そして別の実施形態では、幅は約0.025〜約1mmの範囲にあり、そして1つの実施形態では、幅は約1.27mmである。1つの実施形態では、チャネルの長さは約3mm〜約30mmの範囲であり、そして別の実施形態では、長さは約5mm〜約15mmの範囲にあり、そして別の実施形態では、長さは約8mm〜約10mmの範囲にある。1つの実施形態では、深さおよび幅の両方が約1.27mmであり、そして長さが約7.9mm〜約9.55mmである。上記長さのすべては、存在する屈曲および任意の屈曲間の距離を包含するチャネルの全体的な長さを含む。
【0055】
上記深さ、幅および長さの任意の適切な組み合わせが選択され得、かつ本開示およびそれらから当業者によって直接導き出され得る範囲内にあると考えられる。深さ、幅および長さの適切な組合せが、本明細書に開示のテストパックの陥凹区画14,16へのガス状滅菌剤の所望の制限された流動を得るために必要性に応じて、屈曲の導入を含めて、または含めないで選択され得る。理解されるように、屈曲の導入は、隆起面24の幅を必ずしも増加させることなく、チャネルの全長を増加させ得る。
【0056】
1つの実施形態では、チャネルの大きさは、チャネルの断面積として表現され得る。例えば、約1.27mmの深さおよび幅を有するチャネルの断面積は、約1.6mm
2である。1つの実施形態では、チャネルの断面積は、約0.05mm
2〜約5mm
2の範囲にあり得る。
【0057】
1つの実施形態では、チャネルの大きさは、チャネルの容積として表現され得る。例えば、約1.27mmの深さおよび幅、ならびに約7.9mm〜約9.55mmの長さを有するチャネルの容積は、約12.7mm
3〜約15.4mm
3の範囲にあり得る。1つの実施形態では、チャネルの容積は、約1mm
3〜約125mm
3の範囲にあり得る。
【0058】
いくつかの量の調節が最適なチャネルの寸法および形状を得るために必要とされ得るが、これらは当業者に公知のファクターに依存する。ファクターには、生物学的インジケータ内の生物および滅菌媒体、ならびにテストパックの使用が意図される条件が挙げられる。
【0059】
ここで、および本開示の他の場所において、範囲および割合の限定の数値限定が組み合わされ得る。そのため、例えば、上記において、具体的に列挙されていないけれども、約0.05〜約1mmの範囲の深さが、具体的に開示された範囲内に含まれる。外部チャネルの深さおよび幅は、選択された滅菌インジケータおよび使用されるガス状滅菌媒体に適したガス状滅菌媒体の制限された流動を提供するように選択され得る。
【0060】
滅菌装置の操作の間、ガス状滅菌媒体の一部が、外部チャネル20または32、および存在する場合34、ならびに他の実施形態において存在し得る任意の他の外部チャネルを通って陥凹区画14,16に入る。滅菌プロセスが継続するにつれ、ガス状滅菌媒体が化学的インジケータまたはインテグレータに行き渡り、化学的インジケータまたはインテグレータが充分な量のガス状滅菌媒体と充分な時間接触したことを表示する。滅菌プロセスが継続されるにつれ、ガス状滅菌媒体の一部が生物学的インジケータに行き渡り、そして充分な曝露(時間、温度、ガス状滅菌剤の濃度等)に達した際、滅菌プロセスを終了する。本発明によれば、プロセスの操作者は、化学的インジケータまたはインテグレータが変色したか、あるいは他の方法で滅菌媒体への充分な曝露を示したかどうかを迅速かつ容易に知ることができる。この最初の確認の観察と同時に、操作者は、テストパックを滅菌装置から取り外し、次いで、カバーを引き剥がすことによりテストパックを開封して、インキュベート、および/または滅菌プロセスの有効性を確認する更なるテストのために生物学的インジケータを取り出し得る。次いで、テストパックの残りは適切に廃棄またはリサイクルされ得る。
【0061】
本発明の実施形態にしたがって、テストパックは、密封エンクロージャ内に配置された滅菌吸収剤を含まない。すなわち、本実施形態では、1つまたは複数の外部チャネルの通過が可能となるガス状滅菌媒体の流動が制限されていることにより、本発明のテストパックの
陥凹区画へのガス状滅菌媒体の流動を抑制または低減するために、任意の種類の吸収剤または類似の滅菌剤反応性デバイスを提供する必要がない。従来技術において、そのような吸収剤は一般に必要とされるが、本発明の実施形態では必要とされない。本発明にしたがって、1つまたは複数の外部チャネルは、残りの充填物が晒される最悪のケースの滅菌条件を最も厳密にシミュレートするのに必要とされるテストパックへの滅菌剤の流動をすべて抑制する。滅菌剤の流動の制限は、充分な滅菌剤が充填物および生物学的インジケータにおける両方の微生物におおよそ均等な程度まで到達したかどうかを正確に示すのに役立つ。容易に理解されるように、滅菌剤が、滅菌されるべき充填物に到達するよりもより容易にインジケータに到達するのであれば、生物学的インジケータは、偽陰性の結果を出し得、これは、明らかに所望され得ない。一方、滅菌剤のインジケータへの到達が同等に容易またはより容易でないのであれば、陰性の結果は、充填物の滅菌の成功を真に示すものであり、所望され得るものである。そのため、本発明のテストパックは、化学的インジケータを介する滅菌サイクル完了の最初の指標を提供する。次いで、生物学的インジケータは、充分な滅菌雰囲気が、滅菌を生じるのに充分な時間で提供されたかどうかを判定するために用いられる。
【実施例】
【0062】
2つの形態の本発明のテストパックデザインを、種々のオートクレーブサイクルで16枚タオルテストパック(16-towel test pack)と並べて試験する。形態は、「直線」チャネルと「S字型」チャネルを含み、両形態ともポリプロピレンを用いて熱成形される。直線チャネルでは、深さ、幅、および長さの寸法が1.3mm×1.3mm×8mmであり、実質的に直線状(すなわち、屈曲を有しない)ものである。S字型チャネルでは、深さおよび幅の寸法が0.38mm×0.25mm×15.4mmであり、チャネルの長さの中間に2つの約90°の屈曲を有する。使用した剥離ホイルは、TOLAS
TM ITD6121ポリエステルラミネートであり、ボトム層としてヒートシール可能なフィルムを含み、ヒートシール法を用いてシールされたものである。STERIS Century(登録商標)SV−120滅菌装置内で処理した際の生物学的インジケータおよび化学的インジケータの両方の結果を表1に示す。上記と同じ大きさおよび形状を有する1本の直線状チャネルを有するよう製造し、かつSTERIS Century(登録商標)SV−116滅菌装置中で処理したテストパックの結果を表2に示す。本発明は、要求される標準の16枚タオルテストパックと匹敵する性能であったことに留意するのが重要である。「BI」は生物学的インジケータであり;「インテグレータ」は、蒸気滅菌用Verify(登録商標)Integrating Indicator(化学的インテグレータ)である。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
成功したとみなされるのは、各テストパック形態が、16枚タオルパックと同等の結果を提供するか、あるいは16枚タオルパックよりも幾分より高頻度で失敗する場合であって、16枚タオルパックと同等または僅かに厳しい性能を示す場合である。
【0066】
上記実施例に示すように、本発明の実施形態のテストパックは、標準の16枚タオルパックにより得られた結果と同等またはそれ以上の信頼性のある結果を提供する。
【0067】
明細書および特許請求の範囲を通じて、開示された範囲および割合の数値限定は組み合わせられてもよく、すべての介在する値を含むとみなされることに留意すべきである。さらに、すべての数値は、修飾語「約」が、この用語が特に言及されているか否かに関わらず、付されているとみなされる。
【0068】
本発明の原理を、ある特定の実施形態に関連して説明し、例示の目的で提供する。それらの種々の改変は本願明細書を読む当業者にとって明らかなものであると理解すべきである。したがって、本明細書中に開示された発明については、添付の特許請求の範囲の範囲内に収まるようにこのような改変が網羅されていると意図することを理解すべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ限定される。