(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
原動機と、前記原動機により駆動される可変容量油圧ポンプと、前記可変容量油圧ポンプから吐出される圧油によって作業機械のフロント作業機を駆動する少なくとも1つのアクチュエータと、前記可変容量油圧ポンプから前記アクチュエータに供給される圧油の流れを制御する方向制御弁と、前記方向制御弁を切換操作する操作装置と、前記アクチュエータに供給される圧油の最大圧を制限するリリーフ弁と、前記可変容量油圧ポンプの傾転を制御する傾転制御部と、前記操作装置の操作量を検出する操作量検出部と、
前記操作量検出部から前記操作装置の操作量を取り込み、前記操作量に応じてカットオフ目標圧力を算出し、算出した前記カットオフ目標圧力に基づいて前記可変容量油圧ポンプの傾転量を算出し、算出した前記可変容量油圧ポンプの傾転量を前記傾転制御部に出力する制御装置を備えた
ことを特徴とする作業機械の油圧制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術のカットオフ制御は、油圧ポンプの吐出圧がカットオフ圧力以上に上昇した場合に、油圧ポンプから吐出された圧油の流量を減らすものである。つまり、作業機械の何れかの動作においても、油圧ポンプの吐出圧がカットオフ圧力以上となれば、カットオフ制御がなされるので、作業機械の動作によってはその作業性が失われる場合がある。従って、作業機械の動作によってカットオフ制御の入切を制御することが要求されている。作業機械の作業性が失われない場合であってカットオフ制御を行うべき作業としては、積込掘削時のアームのクラウド、バケットのクラウドがある。
【0006】
本発明の目的は、油圧ポンプの吐出圧力が変動してカットオフ圧力以上に上昇したとしても、作業機械の必要な動作(例えば、積込掘削時のアームのクラウド動作、バケットのクラウド動作)時にカットオフ制御を行う作業機械の油圧制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、第1の発明は、原動機と、前記原動機により駆動される可変容量油圧ポンプと、前記可変容量油圧ポンプから吐出される圧油によって作業機械のフロント作業機を駆動する少なくとも1つのアクチュエータと、前記可変容量油圧ポンプから前記アクチュエータに供給される圧油の流れを制御する方向制御弁と、前記方向制御弁を切換操作する操作装置と、前記アクチュエータに供給される圧油の最大圧を制限するリリーフ弁と、前記可変容量油圧ポンプの傾転を制御する傾転制御部と、前記操作装置の操作量を検出する操作量検出部と、前記操作量検出部から前記操作装置の操作量を取り込み、前記操作量に応じてカットオフ目標圧力を算出し、算出した前記カットオフ目標圧力に基づいて前記可変容量油圧ポンプの傾転量を算出し、算出した前記可変容量油圧ポンプの傾転量を前記傾転制御部に出力する制御装置を備えたものとする。
【0008】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記可変容量油圧ポンプの吐出圧力を検出する圧力センサを備え、前記制御装置は、前記圧力センサで検出した前記可変容量油圧ポンプの吐出圧力が、前記カットオフ目標圧力を超えると、前記可変容量油圧ポンプの傾転を小さくする信号を前記傾転制御部へ出力することを特徴とする。
【0009】
更に、第3の発明は、第2の発明において、前記制御装置は、前記作業機械のフロント作業機を操作する複数の前記操作装置の操作量を取込み、その中の最大操作量を演算信号として選択する最大値選択部を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、第4の発明は、第2の発明において、前記原動機の回転数を検出する原動機回転数センサと、前記原動機の目標回転数を設定する原動機回転数指示器とを備え、前記制御装置は、複数の前記操作量検出部から前記作業機械のフロント作業機を操作する複数の前記操作装置の操作量を取込み、その中の最大操作量を選択する最大値選択部と、前記最大操作量に対応するカットオフ目標圧力の特性が予め設定されていて、前記最大値選択部からの前記最大操作量に応じたカットオフ目標圧力を算出する第1関数発生器部と、前記圧力センサで検出した前記可変容量油圧ポンプの吐出圧力から前記カットオフ目標圧力を減算して偏差信号を算出する第1減算部と、前記第1減算部で算出された偏差信号をPI演算して減トルク量を算出するPI演算部と、前記原動機回転数センサで検出した前記原動機の回転数と、前記原動機回転数指示器で設定した前記原動機の目標回転数とを取込み、ポンプ基準トルクを算出する基準トルク算出部と、前記基準トルク算出部で算出した前記ポンプ基準トルクから前記PI演算部で算出した前記減トルク量を減算してカットオフトルクを算出する第2減算部と、前記ポンプ基準トルクと前記カットオフトルクとを取込み、いずれかの最小値を目標トルク信号として選択する最小値選択部と、目標トルク曲線によって決定するポンプ吐出圧力に対応するポンプ傾転の特性が予め設定されていて、入力信号である前記圧力センサで検出した前記可変容量油圧ポンプの吐出圧力と前記最小値選択部が選択する前記目標トルク信号に応じて、ポンプ傾転信号を算出する第2関数発生器部とを備えた、ことを特徴とする。
【0011】
更に、第5の発明は、第3の発明において、前記制御装置は、前記最大値選択部により選択された前記最大操作量に応じてヒステリシス特性を有するカットオフ目標圧力を算出する演算部を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、第6の発明は、第4の発明において、前記制御装置は、前記最大値選択部により選択された前記最大操作量に応じてヒステリシス特性を有するカットオフ目標圧力を算出する演算部を備えたことを特徴とする。
【0013】
更に、第7の発明は、第3の発明において、前記制御装置は、前記最大操作量に対応するカットオフ目標圧力の特性が予め設定されていて、前記最大値選択部により選択された前記最大操作量に応じたカットオフ目標圧力を算出する演算部を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、第8の発明は、第1の発明において、前記アクチュエータは、前記作業機械の前記フロント作業機におけるアームシリンダとバケットシリンダであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、油圧ポンプの吐出圧力が変動してカットオフ圧力以上に上昇したとしても、作業機械の必要な動作時にカットオフ制御が行われて、作業機械の油圧エネルギロスを低減できるので、経済性が向上するとともに、作業機械の作業性の低下を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の作業機械の油圧制御装置の実施形態を図に基づいて説明する。
図1は本発明の作業機械の油圧制御装置の一実施の形態を適用した油圧ショベルの側面図、
図2は本発明の作業機械の油圧制御装置の一実施の形態を示す油圧回路図、
図3は本発明の作業機械の油圧制御装置の一実施の形態を構成するコントローラの処理内容を示すブロック図である。
【0018】
図1に示すように、本発明の作業機械の油圧制御装置の一実施の形態を備えた油圧ショベルは、走行体1と、この走行体1上に配置される旋回体2と、この旋回体2に上下方向の回動可能に接続されるフロント作業機3とを備えている。フロント作業機3は、旋回体2に取り付けられるブーム4と、このブーム4の先端に取り付けられるアーム5と、このアーム5の先端に取り付けられるバケット6とを備えている。また、このフロント作業機3は、ブーム4を駆動する一対のブームシリンダ7と、アーム5を駆動するアームシリンダ8と、バケット6を駆動するバケットシリンダ9とを備えている。
【0019】
本発明の作業機械の油圧制御装置の一実施の形態は、
図2に示すように、原動機150によって駆動される可変容量型の第1油圧ポンプ10と第2油圧ポンプ11とを備えている。原動機150には、原動機回転数を検出する原動機回転数センサ151と、原動機150の目標回転数を設定する原動機回転数指示器152とが設けられている。原動機回転数センサ151が検出した原動機150の回転数信号と、原動機回転数指示器152で設定された原動機150の目標回転数信号とは、後述するコントローラ100に入力される。
【0020】
第1油圧ポンプ10から吐出される圧油を左走行モータ12、バケットシリンダ9、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、の各アクチュエータへ供給する第1主回路には、圧油の方向と流量を制御する方向制御弁13〜16と、第1油圧ポンプ10の過負荷を防止するために、第1主回路内の圧力を制限するリリーフ弁31と、ポンプ吐出圧力である第1主回路の圧力を検出する圧力センサ32とが設けられている。リリーフ弁31は、油圧配管内の圧力が設定圧力以上に上昇した場合に、第1主回路の圧油を戻り回路を介してタンク40へ逃がすものである。
【0021】
方向制御弁13〜16は、3位置6ポートのセンターバイパス形式の切換弁であって、その各パイロット操作部へ供給されるパイロット圧力により、各スプール位置を切り換えて、第1油圧ポンプ10からの圧油を各アクチュエータ7〜9,12に供給する。ここで、左走行用方向制御弁13は、第1主回路の最上流側に配置され、走行体1を駆動する左走行モータ12に供給される圧油の流れを制御する。左走行用方向制御弁13の下流にはバケット用方向制御弁14が配置され、バケットシリンダ9に供給される圧油の流れを制御する。バケット用方向制御弁14の下流には第1ブーム用方向制御弁15が配置され、ブームシリンダ7に供給される圧油の流れを制御する。第1ブーム用方向制御弁15の下流には第1アーム用方向制御弁16が配置され、アームシリンダ8に供給される圧油の流れを制御する。
【0022】
第2油圧ポンプ11から吐出される圧油を旋回モータ17、アームシリンダ8、ブームシリンダ7、右走行モータ21、の各アクチュエータへ供給する第2主回路には、圧油の方向と流量を制御する方向制御弁18〜20、22と、第2油圧ポンプ11の過負荷を防止するために、第2主回路内の圧力を制限するリリーフ弁35と、ポンプ吐出圧力である第2主回路の圧力を検出する圧力センサ36とが設けられている。リリーフ弁35は、油圧配管内の圧力が設定圧力以上に上昇した場合に、第2主回路の圧油を戻り回路を介してタンク40へ逃がすものである。
【0023】
方向制御弁18〜20、22は、3位置6ポートのセンターバイパス形式の切換弁であって、その各パイロット操作部へ供給されるパイロット圧力により、各スプール位置を切り換えて、第2油圧ポンプ11からの圧油を各アクチュエータ7,8,17,21に供給する。ここで、旋回用方向制御弁18は、第2主回路の最上流側に配置され、旋回体2を駆動する旋回モータ17に供給される圧油の流れを制御する。旋回用方向制御弁18の下流には第2アーム用方向制御弁19が配置され、アームシリンダ8に供給される圧油の流れを制御する。第2アーム用方向制御弁19の下流には第2ブーム用方向制御弁20が配置され、ブームシリンダ7に供給される圧油の流れを制御する。第2ブーム用方向制御弁20の下流には右走行用方向制御弁22が配置され、右走行モータ21に供給される圧油の流れを制御する。
【0024】
各アクチュエータ7〜9,12,17,21への指令入力手段である操作レバー(操作装置)は、ブーム用操作レバー23,アーム用操作レバー24、バケット用操作レバー25、旋回用操作レバー26、左走行用操作レバー27、及び右走行用操作レバー28で構成されている。これらの操作レバー23〜28における操作信号例えばポテンショメータ等の操作量検出部(23a〜28a)によって検出され、詳細を後述するコントローラ100に入力される。コントローラ100は、これらの操作信号を基に、電油変換器54a〜57b等にそれぞれ指令信号を出力する。
【0025】
ここで、バケット用方向制御弁用電油変換器54a,54bは、コントローラ100からの指令信号に応じたパイロット圧力をバケット用方向制御弁14の操作部のいずれかに供給して、バケットシリンダ9に供給される圧油の流れを制御する。また、ブーム用方向制御弁用電油変換器55a,55bは、コントローラ100からの指令信号に応じたパイロット圧力を第1及び第2ブーム用方向制御弁15,20の操作部のいずれかに供給して、ブームシリンダ7に供給される圧油の流れを制御する。また、アーム用方向制御弁用電油変換器56a,56bは、コントローラ100からの指令信号に応じたパイロット圧力を第1及び第2アーム用方向制御弁16,19の操作部のいずれかに供給して、アームシリンダ8に供給される圧油の流れを制御する。さらに、旋回用方向制御弁用電油変換器57a,57bは、コントローラ100からの指令信号に応じたパイロット圧力を旋回用方向制御弁18の操作部のいずれかに供給して、旋回モータ17に供給される圧油の流れを制御する。
【0026】
第1油圧ポンプ10には、第1油圧ポンプ10の傾転を制御する傾転制御部として、第1電油変換器29と第1サーボ機構30とが設けられている。また、第2油圧ポンプ11には、第2油圧ポンプ11の傾転を制御する傾転制御部として、第2電油変換器33と第2サーボ機構34とが設けられている。第1電油変換器29は、コントローラ100からの指令信号に応じたパイロット圧力を第1サーボ機構30に供給し、第1サーボ機構30を駆動することによって、第1油圧ポンプ10の傾転を制御する。同様に、第2電油変換器33は、コントローラ100からの指令信号に応じたパイロット圧力を第2サーボ機構34に供給し、第2サーボ機構34を駆動することによって、第2油圧ポンプ11の傾転を制御する。
【0027】
次に、本発明の作業機械の油圧制御装置の一実施の形態を構成するコントローラの処理内容を
図3を用いて説明する。ここで、
図3は第1油圧ポンプ10の制御ブロック図であって、第1油圧ポンプ10を例に説明する。
【0028】
コントローラ100は、圧力センサ32の検出信号と、アーム用操作レバー24の操作量検出部24aからの操作信号と、バケット用操作レバー25の操作量検出部25aからの操作信号と、原動機回転数センサ151と原動機回転数指示器152とが検出した各回転数信号とを取込む入力部と、これらの各信号を基に後述する演算処理を実行する演算部と、第1油圧ポンプ10の傾転制御部の第1電油変換器29に演算部で算出したポンプ傾転指令を電流出力する出力部とを備えている。
【0029】
演算部においては、
図3に示すように、最大値選択部101と、第1関数発生器部102と、第1減算部103と、PI演算部104と、基準トルク算出部105と、第2減算部106と、最小値選択部107と、第2関数発生器部108とを備えている。
【0030】
最大値選択部101は、アーム用操作レバー24の操作量検出部24aからの操作量とバケット用操作レバー25の操作量検出部25aからの操作量とを入力し、これらの信号におけるクラウド操作量の最大値をクラウド操作量最大値Mpとして第1関数発生器部102へ出力する。最大値選択部101は、アームクラウド操作及びバケットクラウド操作の複合操作時に、確実にアームクラウド操作もしくはバケットクラウド操作の操作量を検出するためのものである。本発明は、特にクラウド動作において有効であるが、最大値選択部101はダンプ操作量の最大値を出力するように設定することも可能である。
【0031】
第1関数発生器部102は、クラウド操作量最大値Mpに対応するカットオフ目標圧力Prの特性が予め設定されていて、最大値選択部101で選択されたクラウド操作量最大値Mpに応じたカットオフ目標圧力Prを第1減算部103へ出力する。
【0032】
第1関数発生器部102における特性は、
図3に示すようなヒステリシスループを有している。クラウド操作量最大値Mpが0から増加して第1設定操作量MP
ON未満のときにはカットオフ目標圧力Prをカットオフ解除圧力Pr
Offとして、クラウド操作量最大値Mpが第1設定操作量MP
ONに至ったときに、カットオフ圧力Pr
ONまで減少させる。この状態からクラウド操作量最大値Mpが第1設定操作量MP
ONよりも小さい第2設定操作量MP
Off以下まで減少したときに、カットオフ目標圧力Prをカットオフ解除圧力Pr
Offまで増加させる。ここで、第1設定操作量MP
ONは、バケット方向制御弁14、第1及び第2アーム方向制御弁16,19のセンターバイパスが完全に閉じる状態であって、スプールストロークが最大ストローク相当となる操作量に設定されている。
【0033】
第1減算部103は、圧力センサ32が検出するポンプ吐出圧力と第1関数発生器部102の出力であるカットオフ目標圧力Prとを入力し、ポンプ吐出圧力からカットオフ目標圧力Prを減算して、その偏差信号をPI演算部104へ出力する。
【0034】
PI演算部104は、第1減算部103で出力された偏差信号をPI演算して減トルク量を算出して、第2減算部106へ出力する。
【0035】
基準トルク算出部105は、原動機回転数センサ151が検出した原動機150の回転数信号と、原動機回転数指示器152で設定された原動機150の目標回転数信号とを入力し、これらの信号からポンプ基準トルクを算出する。算出した基準トルクの信号は、第2減算部106と最小値選択部107とへ出力される。
【0036】
第2減算部106は、基準トルク算出部105で出力された基準トルク信号とPI演算部で出力された減トルク量とを入力し、基準トルク信号から減トルク量を減算してカットオフトルク信号を算出し、そのカットオフトルク信号を最小値選択部107へ出力する。
【0037】
最小値選択部107は、カットオフトルク信号と基準トルク算出部105で出力された基準トルク信号とを入力し、これらの信号における最小値を目標トルク信号として第2関数発生器部108へ出力する。
【0038】
第2関数発生器部108は、目標トルク曲線によって決定するポンプ吐出圧力に対応するポンプ傾転の特性が予め設定されていて、入力信号である圧力センサ32が検出するポンプ吐出圧力と最小値選択部107が出力する目標トルク信号に応じて、ポンプ傾転信号を出力する。
【0039】
第2関数発生器部108においては、
図3に示すように、最小値選択部107から出力される目標トルクに応じて目標トルク曲線を可変し、ポンプ吸収トルクを減トルク又は増トルクして、ポンプ吐出圧力に対応するポンプ傾転信号を出力する。ポンプ傾転信号は、第1油圧ポンプ10の傾転制御部の第1電油変換器29に出力する。
【0040】
なお、第2油圧ポンプ11の制御ブロック図は、
図3の第1制御ポンプ10の制御ブロック図と大略等しいが、以下の点が異なる。
(1)入力部には、第1ポンプ10の吐出圧力を検出する圧力センサ32に代えて、第2油圧ポンプ11の吐出圧力を検出する圧力センサ36からの信号が入力されている。
(2)出力部からは、第1油圧ポンプ10の傾転制御部の第1電油変換器29へではなく、第2油圧ポンプ11の傾転制御部の第2電油変換器33へ演算部で算出したポンプ傾転指令を出力している。
(3)入力部には、アーム用操作レバー24の操作量検出部24aからの操作信号のみが入力されていて、バケット用操作レバー25の操作量検出部25aからの操作信号は入力されていない。このことにより、アーム用操作レバー25の操作信号に応じてカットオフ目標圧力が算出される。具体的には、第1関数発生器部102は、アーム5のクラウド操作量最大値Mpに対応するカットオフ目標圧力Prの特性が予め設定されていて、最大値選択部101で選択されたアーム5のクラウド操作量最大値Mpに応じたカットオフ目標圧力Prを第1減算部103へ出力している。
【0041】
上述のように構成した本実施の形態における動作について、以下に説明する。
図2において、原動機150を駆動させ、第1油圧ポンプ10及び第2油圧ポンプ11を作動させ、アーム用操作レバー24あるいはバケット用操作レバー25をクラウド操作すると、第1油圧ポンプ10及び第2油圧ポンプ11から吐出される圧油がアームシリンダ8あるいはバケットシリンダ9に供給され、これらのアームシリンダ8あるいはバケットシリンダ9が駆動して、
図1に示すアーム5あるいはバケット6が回動し、土砂の掘削作業などの該当する作業が実施される。
【0042】
このような作業が実施されると、アーム用操作レバー24あるいはバケット用操作レバー25の操作量が操作量検出部24a,25aから検出され、コントローラ100に入力される。また、圧力センサ32、36によってポンプ吐出圧力が、原動機回転数センサ151から原動機150の回転数信号がそれぞれ検出され、コントローラ100に入力される。
【0043】
例えばアーム5のクラウド操作を行った場合、
図3に示すように最大値選択部101でアーム5のクラウド操作量が選択され、第1関数発生器部102からはアーム5のクラウド操作量であるクラウド操作量最大値Mpに応じたカットオフ目標圧力Prが出力される。
【0044】
クラウド操作量最大値Mpが第1設定操作量MP
ON未満であれば、カットオフ目標圧力Prがカットオフ解除圧力Pr
Offとなり第1減算部103、PI演算部104、第2減算部106を経て、カットオフトルクとして最小値選択部107に入力される。この時、カットオフトルクは基準トルク算出部105により出力される基準トルクよりも大きいトルクとなるため最小値選択部107で基準トルクが選択され、第2関数発生器部108で原動機回転数に応じた基準トルク制御がなされる。
【0045】
さらにアーム5のクラウド操作を行い、クラウド操作量最大値Mpが第1設定操作量MP
ON以上となると、カットオフ目標圧力Prがカットオフ圧力Pr
ONとなり、第1減算部103の減算値が小さくなる。このことにより、PI演算部104の入力は増加するので、第2減算部106の減算値が増加して、出力であるカットオフトルクを小さくする。このため、カットオフトルクは基準トルク算出部105により出力される基準トルクよりも小さいトルクになり、最小値選択部107でカットオフトルクが選択される。
【0046】
この結果、第2関数発生器部108では減トルク制御となるポンプ吐出圧力に対応するポンプ傾転指令が出力され、出力部から第1電油変換器29、第2電油変換器33へポンプ傾転指令に対応する電流が出力する。
【0047】
これにより、第1電油変換器29、第2電油変換器33が第1サーボ機構30、第2サーボ機構34を介し第1油圧ポンプ10、第2油圧ポンプ11の吸収トルクを小さくするように、すなわち第1油圧ポンプ10、第2油圧ポンプ11の押しのけ容積を小さくするように駆動し、油圧ポンプ10,11の吐出流量が減少するカットオフ制御が実施される。
【0048】
アーム5のクラウド操作を解除して行き、クラウド操作量最大値Mpが第1設定操作量MP
ONを下回り、第2設定操作量MP
Off以下となれば、カットオフ目標圧力Prがカットオフ解除圧力Pr
Offとなる。このことにより、第1減算部の減算値が大きくなり、PI演算部104の入力は減少するので、第2減算部106の減算値が減少して、出力であるカットオフトルクを大きくする。このため、カットオフトルクは基準トルク算出部105により出力される基準トルクよりも大きいトルクになり、最小値選択部107で基準トルクが選択される。この結果、第2関数発生器部108で原動機回転数に応じた基準トルク制御に復帰する。バケット6のクラウド操作の場合も同様である。
【0049】
上述した本発明の作業機械の油圧制御装置の一実施の形態によれば、第1及び第2油圧ポンプ10,11の吐出圧力が変動してカットオフ圧力以上に上昇したとしても、作業機械の必要な動作時にカットオフ制御が行われて、作業機械の油圧エネルギロスを低減できるので、経済性が向上するとともに、作業機械の作業性の低下を防止することができる。
【0050】
また、上述した本発明の作業機械の油圧制御装置の一実施の形態によれば、バケット方向制御弁14、第1及び第2アーム方向制御弁16,19のセンターバイパスが完全に閉じる状態であって、スプールストロークが最大ストローク相当となる操作量のときにカットオフ制御が行われるように設定されているので、このときには、ブリードオフ回路が完全に閉じる状態となり、圧油がアクチュエータのみに流れる。この結果、圧油がアクチュエータとセンターバイパスからタンクに流れることによる圧力変動を防ぐことができる。
【0051】
次に、本発明の作業機械の油圧制御装置の他の実施の形態について
図4を用いて説明する。
図4は本発明の作業機械の油圧制御装置の他の実施の形態を構成するコントローラの処理内容を示すブロック図である。
図1乃至
図3に示す符号と同符号の部位は同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0052】
本実施の形態において、コントローラ100は、
図3に示す一実施の形態と大略同じであるが、演算部において、第1関数発生器部102の特性と異なる特性を有する第1関数発生器部112を備えた点が異なる。
【0053】
第1関数発生器部112は、クラウド操作量最大値Mpに対応するカットオフ目標圧力Prの特性が予め設定されていて、最大値選択部101で選択されたクラウド操作量最大値Mpに応じたカットオフ目標圧力Prを第1減算部103へ出力する。
【0054】
第1関数発生器部112における特性は、
図3に示すような特性を有している。クラウド操作量最大値Mpが0から増加して第2設定操作量MP
Offに未満のときにはカットオフ目標圧力Prをカットオフ解除圧力Pr
Offとして、クラウド操作量最大値Mpが第2設定操作量MP
Offに至ったときに、第1油圧ポンプ10の最大圧に相当するメインリリーフセット圧Prsまで減少させる。この状態からクラウド操作量最大値Mpの増加に伴いカットオフ目標圧力Prをメインリリーフセット圧Prsから徐々に減少させ、第1設定操作量MP
ONに至ったときに、カットオフ圧力Pr
ONとなる特性としている。ここで、ここで、第1設定操作量MP
ONは、バケット方向制御弁14、第1及び第2アーム方向制御弁16,19のセンターバイパスが完全に閉じる状態であって、スプールストロークが最大ストローク相当となる操作量に設定されている。
【0055】
例えばアーム5のクラウド操作を行った場合、
図4に示すように最大値選択部101でアーム5のクラウド操作量が選択され、第1関数発生器部112からはアームクラウド操作量であるクラウド操作量最大値Mpに応じたカットオフ目標圧力Prが出力される。
【0056】
クラウド操作量最大値Mpが第1設定操作量MP
ON未満であれば、カットオフ目標圧力Prがカットオフ解除圧力Pr
Offとなり第1減算部103、PI演算部104、第2減算部106を経て、カットオフトルクとして最小値選択部107に入力される。この時、カットオフトルクは基準トルク算出部105により出力される基準トルクよりも大きいトルクとなるため最小値選択部107で基準トルクが選択され、第2関数発生器部108で原動機回転数に応じた基準トルク制御がなされる。
【0057】
さらにアーム5のクラウド操作を行い、クラウド操作量最大値Mpが第2設定操作量MP
Off以上となると、カットオフ目標圧力Prがメインリリーフセット圧Prsと同値になり、さらにアーム5のクラウド操作を行うと、カットオフ目標圧力Prがカットオフ圧力Pr
ONに近づくと共に、減算部103で出力される偏差信号が徐々に増大する。このことにより、PI演算部104の入力が増加するので、第2減算部106の減算値が増加して、出力であるカットオフトルクを小さくする。このため、カットオフトルクは基準トルク算出部105により出力される基準トルクよりも小さいトルクになり、最小値選択部107でカットオフトルクが選択される。
【0058】
この結果、第2関数発生器部108では減トルク制御となるポンプ吐出圧力に対応するポンプ傾転指令が出力され、出力部から第1電油変換器29、第2電油変換器33へポンプ傾転指令に対応する電流が出力する。
【0059】
これにより、第1電油変換器29、第2電油変換器33が第1サーボ機構30、第2サーボ機構34を介し第1油圧ポンプ10、第2油圧ポンプ11の吸収トルクを小さくするように、すなわち第1油圧ポンプ10、第2油圧ポンプ11の押しのけ容積を小さくするように駆動し、油圧ポンプ10,11の吐出流量が減少するカットオフ制御が実施される。バケット6のクラウド操作の場合も同様である。
【0060】
上述した本発明の作業機械の油圧制御装置の他の実施の形態によれば、一実施の形態と同様の効果が得られる。また、圧油をリリーフした状態でアーム用操作レバー24あるいはバケット用操作レバー25によってアーム5あるいはバケット6をクラウド操作する動作において、カットオフ制御は、カットオフ目標圧力が滑らかに切換わることから、目標トルクが徐々に減少し、このことにより滑らかに実行される。この結果、作業機械の操作性が向上する。