(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記細長い冷却部材が基端および先端を有し、該先端が前記基端よりも溶融ガラス流に近く、さらに前記先端の形状が、該先端に隣接している前記細長い冷却部材の形状と異なるものであることを特徴とする請求項1記載の方法。
前記ガラスリボンから得られたガラスシートの測定された厚さに応じて、前記流れている溶融ガラスから抽出される熱の量を変化させるために、前記冷却部材の温度を変更させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載の方法。
前記ガラスリボンから得られたガラスシートの測定された厚さに応じて、前記流れている溶融ガラスから抽出される熱の量を変化させるために、前記冷却部材の角度位置を変更させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項1から6いずれか1項記載の方法。
前記ガラスリボンから得られたガラスシートの測定された厚さに応じて、前記流れている溶融ガラスから抽出される熱の量を変化させるために、前記冷却部材の先端と前記流れている溶融ガラスとの間の距離を変更させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項1から7いずれか1項記載の方法。
前記変化させるステップにおいて複数の細長い冷却部材を含み、該各冷却部材が基端および先端を有するものであり、さらに前記複数の細長い冷却部材の前記先端と前記流れている溶融ガラスとの間の距離が均一ではないことを特徴とする請求項1から8いずれか1項記載の方法。
【背景技術】
【0003】
溶融ガラスを延伸してシートの形にするとき、ガラスは最初の送出時の厚さから最終的なシート厚まで引き伸ばされ、すなわち弱化される。オーバーフローダウンドロープロセスでは、溶融ガラスが成形部材の対向する合流面に沿って下方へと流れ、そしてその底部すなわち下端エッジから、単一のガラスリボンとして引き出される。ガラスリボンの最初の厚さは、成形部材の下端エッジ近傍で測定される。この下端エッジが、この操作において延伸ラインに相当する。その後、延伸されたリボンの自由端から、ガラスのシートが1枚ずつ分割される。
【0004】
アップドロープロセスおよびダウンドロープロセスにおいて、最終的なシートの厚さ特性は、最初の厚さの均一性とガラス粘度の均一性との両方によって弱化プロセス中に決定される。この両プロセスでは、厚さの均一なリボンを得ることがこれまでずっと課題になっている。すなわち、最終的なシートの厚さ変動は、計測が不正確であること、成形部材のガラス接触面が不完全であること、あるいはガラスの温度環境が不安定であるために延伸ラインに向かって流れているガラスの粘度プロファイルが不完全なものとなることにより、生じる可能性がある。
【0005】
ガラスシートの厚さ変動は、業界ではシート延伸プロセス固有のものであると考えられてきた問題であり、例えば楔形、長周期の波状変動、および短周期の波状変動などの、いくつかの一般的な種類の欠陥として現れ得る。楔形は、リボンまたはシートの一方のエッジが他方のエッジよりも厚くなった、厚さの変動が著しいものである。長い波状変動は、例えば数インチを上回るような、かなりの大きさの振幅および広がりを有する波状変動であり、延伸方向を横切る方向の経路に沿ってリボンを測定することにより評価することができる。短い波状変動は、例えば約3インチ(約7.62cm)以下などの、小さい振幅およびピッチのものであり、一般に長い波状変動に重なっている。
【0006】
歪みのないガラスシートを作製するためには、リボン成形ゾーンでのガラス内およびガラス周囲の局所的な温度の変動または揺らぎを、最小にするまたは補償することが必要であることが分かっている。延伸ライン付近でこのように局所的に温度が変動すると、鉛直に延伸されているリボン内に、縦方向に延びる、波あるいは別の厚い部分や薄い部分が生成される。この縦方向の波や厚さ変動が、特に波に対して鋭角からガラスを通して物体を見たときに、光学的観点から極めて好ましくない収差を生じさせる。
【0007】
このような厚さ変動を制御する従来の方法は、成形本体の長手方向に沿って配列された冷却管から、溶融ガラスに対して空気を流すステップを含むものであった。真っ直ぐな冷却管を成形本体の長手方向に沿って同じ間隔で配列し、かつ底部を通る鉛直平面に各管の中心縦軸が垂直となるように位置付けた。さらに、冷却管を管状の外側遮蔽体で被覆した。すなわち、これらの管を、成形本体およびガラス流と関連付けた状態で固定して位置付けた。
【0008】
残念なことに、ガラスリボンの厚さの欠陥の位置は長時間に亘って安定しているものではない可能性があり、あるいはリボンの横方向の位置自体、一定していない可能性がある。すなわち、冷却管があらかじめ位置付けられた固定のものであると、最初の事例では適切に位置付けることができるが、欠陥またはリボンが移動したために、第2回目では効果的に厚さを制御するのに適していない位置となる可能性がある。
【0009】
他の方法として、冷却管を固定具に取り付けて使用するステップを含むものがあるが、この固定具は、冷却管を1以上の軸に関して揺動させることで、1つの管の範囲を拡張して冷却ガス流による冷却効果を高めさせるために提供されたものであった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、数インチ以下の幅を有する短い波状変動として認識される一般的な種類の局所的厚さ変動を大幅に減少させる、改良された方法、およびそのための装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
溶融ガラスからガラスシートを成形する際に、ヒートシンクを成形エリア内において、流れている溶融ガラスの表面に近接させて位置付け、溶融ガラスの個々の局所的部分から熱エネルギーを吸収する。特に延伸ラインすなわち底部に近接した位置にヒートシンクを位置付けて、シート内の局所的な厚さ変動を制御し、それにより均一なガラス厚さを実現する。ヒートシンクすなわち冷却部材は、このヒートシンク(すなわち冷却部材)を少なくとも1つの軸に関して回転または旋回させるよう構成された、固定具内に配置してもよく、それにより流れているガラス(および成形本体)に対する冷却部材の提示の仕方を変えることが可能になる。これは流れている溶融ガラスから熱を除去する際の助けとなり、またガラスの下流の例えば厚さなどの特性に応じて、この除去される熱の大きさを変化させるのを助ける。冷却部材を、流れている溶融ガラスの方へ挿入したり、あるいは流れている溶融ガラスから離れるように引いたりして、冷却部材が抽出する熱エネルギーの量(そしてそれにより、冷却部材により冷却される局所的領域の粘度および厚さ)を変化させることができるし、あるいは冷却部材を軸に関して回転または旋回させることもできる。この冷却は、従来の局所的冷却方法においてなされていたように流れている溶融ガラスの方に冷却部材から冷却ガスを向けなくても、成し遂げることができる。
【0012】
本発明の一実施の形態によれば、ダウンドローガラス製造プロセスにおいて連続した溶融ガラスのリボンを成形する装置が開示され、底部で合流する合流成形面を備えた成形本体、成形本体の周囲に配置されたエンクロージャ、溶融ガラスの局所的温度を変更させるための、エンクロージャに連結された少なくとも1つの厚さ制御ユニットであって、成形本体上から流れている溶融ガラス流の極近くへと延在する細長い冷却部材を備えた、厚さ制御ユニット、を含み、さらに、この厚さ制御ユニットが、冷却部材を通じて空気流を供給する機構を含んでいないことを特徴とする(すなわち、冷却部材から溶融ガラスの方へ空気流が向けられていないことを特徴とする)。冷却部材は、鉛直軸に関して回転可能であることが好ましく、これは冷却部材を鉛直軸に関して旋回または揺動させ得、それにより成形本体に対する冷却部材の角度配向を変え得ることを意味する。冷却部材は、溶融ガラス流に最も近い先端と、(この先端に対して)溶融ガラスから最も遠い基端とを備えている。細長い冷却部材の先端と成形本体との間の距離は、例えば冷却部材を溶融ガラスから離れるように引いたり、あるいは溶融ガラスのより近くへと挿入したりすることなどにより、変化させ得ることが好ましい。このような先端と成形本体(および溶融ガラス流)との間の距離は、上述した鉛直軸に関して冷却部材を旋回させることによっても実現することができる。冷却部材は、中空内部を有した管でもよいし、あるいは固体棒でもよい。ただし、固体棒では、エンクロージャの内部とエンクロージャ外部の環境との間で中空内部を介して空気漏れを生じさせる危険がなく、より優れた熱伝導を実現することができる。本書において棒とは、細長い本体を意味するよう意図されたものであり、円筒状の棒のみを意味すると解釈されるものではない。実際に、細長い本体は別の形状を有し得るし、さらに棒の形状は本体の長さに沿って変化していてもよい。いくつかの事例において、細長い本体(冷却部材)の先端は、この先端のすぐ隣の細長い本体の領域とは異なった、I字状のものでもよい。例えば、先端の幅は冷却部材の基端の幅よりも大きい。先端は球根状であってもよいが、球根状の先端を離れて細長い本体を長手方向に移動するにつれ、均一な円筒形状を有してもよい。言い換えれば先端の形状は、この先端に隣接している、冷却部材の形状と異なる。
【0013】
この装置は、成形本体の長手方向に隣接して水平に配列された、複数の厚さ制御ユニットと複数の細長い冷却部材とをさらに含むものでもよく、このときこのアレイは成形本体の底部に対して実質上均一な高さを有している。他の実施形態において、複数の冷却部材の先端と成形本体との間の距離は、均一ではないものとし得る。これは、個々の厚さ制御ユニットの鉛直高さを変動させることにより生じ得るし、あるいは冷却部材を鉛直ではない回転軸、例えば水平軸に関して回転させることによって、各冷却部材の先端を変化させた結果生じ得る。冷却部材の先端は、先端に近接している溶融ガラスの粘度が35,000ポアズ(約3,500Pa・s)と1,000,000ポアズ(100,000Pa・s)の間の範囲内となるように、位置付けられることが好ましい。
【0014】
いくつかの実施形態において、この装置は、温度修正器を冷却部材の付近に配置してさらに備えてもよく、この温度修正器は、冷却部材の温度を変化させ、さらにそれにより冷却部材の先端と、連続した溶融ガラスのリボンとの間の温度差を変化させるよう構成されたものである。例えば温度修正器は、電気加熱コイルでもよいし、または冷却剤流が流れている冷却コイルでもよい。温度修正器を使用して冷却部材の温度を変化させ、それにより冷却部材(および特に冷却部材の先端)と、冷却部材の先端に近接している溶融ガラス流との間の温度差を変化させる。
【0015】
別の実施形態によれば、フュージョンダウンドロープロセスにおいて連続したガラスリボンの厚さを制御する方法が説明され、この方法は、成形本体の、底部で交わる合流成形面上に溶融ガラスを流して、ガラスリボンを成形するステップ、流れている溶融ガラスの局所的エリアの粘度を、この流れている溶融ガラスに極近接して置かれた細長い冷却部材を用いて変化させるステップ、を含み、さらに、流れている溶融ガラスのこの局所的エリアの粘度を、流れている溶融ガラスの方へ細長い冷却部材から冷却ガス流をむけることなく変化させることを特徴とする。細長い冷却部材は基端および先端を有し、この先端は基端よりも溶融ガラス流に近く、さらに先端の形状は、この先端に隣接している細長い冷却部材の形状と異なる。この方法では複数の細長い冷却部材を含んでもよく、これらの複数の細長い冷却部材の先端と流れている溶融ガラスとの間の距離は均一ではないことを特徴とする。これは、例えば、個々の冷却部材を、例えば鉛直軸などの回転軸に関して回転または旋回させた場合に生じ得る。いくつかの実施形態において、細長い冷却部材(その先端)と流れている溶融ガラスとの間の距離は、細長い冷却部材を、流れているガラスの方へ挿入したり、あるいは流れているガラスから離れるように引いたりすることなどにより変化させる。
【0016】
特定の実施形態においては、細長い冷却部材の縦軸と底部を含む鉛直平面との間の角度を変化させる。すなわち、冷却部材を、冷却部材の中心縦軸に垂直な、冷却部材を貫通する軸に関して回転または旋回させてもよく、それによりこの中心縦軸と、この冷却部材に近接している成形本体(したがって流れている溶融ガラス)との間の角度を変化させる。
【0017】
特定の実施形態において、少なくとも1つの冷却部材の中心縦軸は、底部を含む鉛直平面に垂直である。言い換えれば、冷却部材の中心縦軸は底部に垂直である。
【0018】
特定の他の実施形態においては、ガラスリボンから得られたガラスシートの測定された厚さに応じて、流れている溶融ガラスから抽出される熱の量を変化させるために、冷却部材の温度を変化させる。例えば、冷却コイルまたは加熱コイルを冷却部材に接触または近接させてもよく、それにより冷却部材の温度を変化させて、さらに冷却部材の先端とこの先端に近接している溶融ガラス流との間の温度差を変化させる。これは、成形本体底部の下流で行われた厚さの測定に応えて実行してもよい。さらに他の実施形態においては、ガラスリボンから得られたガラスシートの測定された厚さに応じて、流れている溶融ガラスから抽出される熱の量を変化させるために、冷却部材の角度位置を変更させてもよい。
【0019】
さらに別の実施形態においては、ガラスリボンから得られたガラスシートの測定された厚さに応じて、流れている溶融ガラスから抽出される熱の量を変化させるために、冷却部材の先端と溶融ガラス流との間の距離を変化させる。
【0020】
角度位置、溶融ガラス流からの先端の距離、または冷却部材の温度は、夫々単独で変化させてもよいし、あるいは必要に応じて互いに種々組み合わせて変化させてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明のさらなる特徴および利点は以下の詳細な説明の中で明らかにされ、ある程度は、その説明から当業者には容易に明らかになるであろうし、あるいは本書で説明されたように本発明を実施することにより認識されるであろう。添付の図面は、本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、また本明細書に組み込まれかつその一部を構成する。本書および本図面において開示された本発明の種々の特徴は、任意の組合せで、また全て組み合わせて、使用することができることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の詳細な説明においては、説明のためであって限定するものではないが、具体的詳細を開示する実施形態例を明記して本発明の完全な理解を提供する。しかしながら、本開示の利益を得たことがある通常の当業者には、本発明をここで開示される具体的詳細とは異なる他の実施形態で実施し得ることは明らかであろう。さらに、周知の装置、方法、および材料に関する説明は、本発明の説明を不明瞭にしないよう省略することがある。最後に、適用できる限り、同じ参照番号は類似の要素を示す。
【0024】
図1に示したのは、例示的なフュージョンダウンドロープロセスによりガラスリボンを延伸する装置10である。装置10は、上方溝すなわちトラフ14をその中に配置して備えている、成形本体12を含む。成形本体12は、下方エッジすなわち延伸ライン18で合流する合流成形面16a、16bを含み、溶融ガラスはこの延伸ラインの位置から成形本体より延伸される。下方エッジ18は、底部18と称されることもある。溶融ガラス20がトラフ14に供給されると、この溶融ガラスはトラフの上方エッジを越えて流れるようにトラフから溢れ出て、溶融ガラスの2つの分離流として合流成形面16a、16bを下降する。溶融ガラスの分離流は、成形本体の底部で再結合すなわち融合し、そして単一のガラスリボン22として底部から方向21へと下方に続いていく。したがって、このプロセスは時に、フュージョンプロセスまたはフュージョンダウンドロープロセスと称される。成形本体12の成形面と接触している溶融ガラスの部分は、底部18から延伸されるリボンの内側に位置付けられ、リボンの外側表面は汚染されていない状態のままとなる。ガラスリボン22は成形本体12での粘性液体から粘弾性材料へと転移し、最終的には弾性材料に転移する。リボンが弾性状態に到達すると、例えば罫書きして折ることなどによってこのリボンを分割し、個々のガラスシートすなわちペイン23を形成する。
【0025】
溶融ガラスを包囲している熱環境を制御するため、成形本体12は耐火性のエンクロージャすなわちマッフル24内に位置付けられる。マッフル24は、マッフルの耐火性材料の周りに配置された構造上の支持部材26を備えている。マッフルドア28がマッフル24の下方に、ガラスリボン22の対向面に沿って位置付けられ、マッフルドア28は、支持レール30に沿って内側または外側へと動くことができる。空気漏れすなわち通気を防ぐため、マッフル24とマッフルドア28の間の任意の空間を、無機ウール繊維などの適切な耐火性断熱材32で埋めてもよい。外側遮蔽部材34がマッフル24に添付され、かつスカート様に下方へと、マッフル24からマッフルドア28の上部までの間に延びている。外側遮蔽部材34は典型的にはステンレス鋼などの金属から形成される。遮蔽部材34は、マッフル内の雰囲気とマッフル外の雰囲気との間で空気の交換が行われることによる通気の可能性をさらになくすのに役立つ。ただし、各マッフルドアはガラスリボンに対して内側または外側へと動くように構成されているため、外側遮蔽部材34は恒久的にマッフルドア28に付着しているわけではない。いくつかの実施形態において、遮蔽部材34はマッフル24と一体化されている部分でもよく、例えば支持部材26を延長したものでもよい。
【0026】
複数の厚さ制御ユニット38を、成形本体12の側面に沿って底部18付近に位置付る。例えば、厚さ制御ユニット38を、外側遮蔽部材34と連結させてもよい。各厚さ制御ユニット38は細長い冷却部材40を含み、この冷却部材は、隣接する厚さ制御ユニットの隣接する細長い冷却部材から間隔を空けて配置され、好適には実質上水平な平面41(
図2参照)内に配置される。しかしながら、細長い冷却部材の位置は、全て同じ水平平面内である必要はない。例えば、いくつかの実施形態では、細長い冷却部材を所望であれば鉛直にずらして配置してもよい(
図3)。各冷却部材は、約35,000ポアズ(約3,500Pa・s)から1,000,000ポアズ(100,000Pa・s)の間の粘度範囲内にあるガラスリボンの領域に隣接して、垂直に位置付けられることが好ましい。各厚さ制御ユニットは、各冷却部材の一部を包囲しかつ必要に応じて冷却部材を外側遮蔽部材に連結させる、固定具42(
図4)をさらに含んでもよい。固定具42のブラケット44を用いて各厚さ制御ユニットを外側遮蔽部材34に連結させることができ、またこのブラケットによって、細長い冷却部材は外側遮蔽部材34上で間隔を空けた位置関係で維持される。各細長い冷却部材40の終端は成形本体12に極近接し、さらに特に底部18に極近接する。例えば、各細長い冷却部材を、成形本体の約6cmから約13cm以内としてもよい。
【0027】
各細長い冷却部材40は、容積36内の例えば1250℃を上回る高温で変形に耐え得る材料から形成される。冷却部材は、最も単純な形である場合、成形本体の極近くへと、特に成形本体の底部の極近くへと、好適には溶融ガラスの表面から約10cm未満まで延在している細長い本体である。冷却部材は固体棒でもよいし、あるいは中空管など中空のものでもよい。いくつかの実施形態において冷却部材は、ガラスまたは石英、セラミックまたはガラスセラミックでもよい。他の実施形態において冷却部材は、金属棒など金属製のものでもよい。固体の冷却部材によれば、マッフル内に存在する加熱された空気が冷却部材の中を通って脱出することを防ぐことができ、それによりマッフル内部の全体的な熱環境への冷却部材の影響が低減されて有利である。ただし、管の内部にバッフルまたはバリアを備えている中空管でも、同様にこれを達成することができる。さらに固体冷却部材の熱質量は中空管よりも大きく、流れている溶融ガラスから熱エネルギーを引き出すのにより効果的である。金属製の冷却部材は一般に、セラミックまたはガラスの冷却部材よりも大きい熱伝導特性を有する(溶融ガラスからより多くの熱エネルギーを伝導する)が、要求されるものより大きい温度および粘度の変動を溶融ガラスに生み出すことから、この急速な熱抽出が望ましくない場合もあり得る。さらに、いくつかのガラス製造プロセスでは、このように溶融ガラスに近接した際に受ける高温のため、金属製の冷却部材を実際には使用できないことがある。
【0028】
細長い冷却部材40は、冷却部材の縦軸に垂直な断面が典型的には円形のものである(例えば、
図7参照)が、他の幾何学的形状を備えたものでもよい。例えば、冷却部材は、長円形断面、四角形断面、三角形断面などを有するものでもよい。さらに冷却部材は略平坦なものでもよく、これは、既定された有限の水平幅を有している概して剛性のストリップを形成しているものでもよい。各ストリップの厚さは、そのストリップの長さに亘って変化していてもよい。ストリップの曲りや他の変形を防ぐのを助けるよう、各ストリップの適切な鉛直厚さは容易に決定することができる。
【0029】
各冷却部材は、成形本体から下降している溶融ガラス流に極近接させたときに、流れている溶融ガラスの小さい局所的エリアの温度に影響を与えて、それにより溶融ガラスの粘度や最終的には溶融ガラスの局所的厚さに影響を与える、調節可能なヒートシンクとして機能する。局所的厚さとは、流れている溶融ガラスの、幅約2cm未満のガラスの水平ストリップに沿った厚さを意味している。本書において開示される実施形態による冷却部材は、従来の方法において使用されているような、冷却部材から発せられる流動ガスを使用することなく、単にガラス流に対する冷却部材の近接の程度を調節することによって厚さの制御を成し遂げることに留意されたい。すなわち冷却部材は、冷却部材の熱伝導性を利用して作用する。これは、流れているガラスから冷却部材への放射熱損失によるところが大きい。
【0030】
図7を参照すると、各冷却部材40を旋回部材46に連結してもよく、このとき各旋回部材は通路48を含み、冷却部材はこの通路の中に通って延在する。冷却部材は、例えば高温セメントなどを用いて旋回部材の通路48内で堅く接着させてもよいし、あるいは、成形本体から下降している溶融ガラス流に対して冷却部材を内側および外側に動かすことが可能な、圧縮継手やクランプなどの他の方法を用いて冷却部材を保持してもよい。例えば、特定の実施形態において、冷却部材40をこの冷却部材に最も近くに流れているガラスの表面により近づけてもよいし、あるいは流れている溶融ガラスの表面から冷却部材を離すよう冷却部材を引いてもよい。冷却部材の先端から、流れているガラス材料の表面までの近接の程度は、冷却部材が溶融ガラスから除去する熱エネルギー量に影響を与える。冷却部材を、成形本体の底部を通過する鉛直平面47に対して冷却部材の縦軸が垂直となるように配向してもよいし、あるいは冷却部材の縦軸を鉛直平面47に対して傾斜させてもよい。冷却部材40が平坦なストリップである場合には、ストリップの縦軸を、ストリップを通って縦方向に延び、かつストリップの両側面エッジから等距離であり、さらにストリップの上表面および下表面間で等距離の位置にある軸と解釈する(ストリップが均一な特性を有するもの、すなわち均一な厚さおよび幅を有するものと仮定する)。
【0031】
一実施の形態によれば、
図5および6に最もよく示されているが、各旋回部材46は実質上球状のものでもよく、例えば、前述の通路48を画成している金属球でもよい。実質上球状とは、旋回部材の外側表面の大部分が球状であること、あるいは、本書において以下でより十分に説明する受け口部材の合わせ面と接触する、少なくともその接触部分が球状であることを意味する。旋回部材のうち、受け口部材の相補的な合わせ面に接触しない他の部分は、これら他の表面部分が旋回部材の所望の回転に沿った動きを妨げない限り、球状(あるいは相補的形状)ではないものとすることができる。
【0032】
旋回部材46はプラットフォーム50に連結してもよく、プラットフォーム50は、旋回部材をプラットフォームの回転軸52に関して正確に運動させることを可能にする、高精度回転ステージ51を備えている。旋回部材46をプラットフォーム50にキーで固定して、旋回部材とプラットフォームとの間で鉛直軸52に関する相対的な回転運動が生じないようにしてもよい。従って、プラットフォームおよび旋回部材に夫々設けられた対応するスロットまたはキー溝56、58を用いて、旋回部材46とプラットフォーム50との間にキー54を位置付けてもよい(
図7および8では、明瞭にするためキーを取り除いて示している)。キー54は、プラットフォームのキー溝または旋回部材のキー溝のいずれか(または両方)の中でしっかりと固定してもよい。あるいは、プラットフォームのキー溝または旋回部材のキー溝のうちの一方にキー54をしっかりと固定して、他方の中では単に滑動可能に合わせた状態としてもよい。例えばキー54を、球状旋回部材のキー溝58内でしっかりと固定して、プラットフォーム50上の対応する相補的なキー溝56内では滑動可能に合わせてもよく、それにより球状旋回部材は鉛直の回転軸52に関してだけでなく水平の回転軸53に関しても回転可能となり、旋回部材および冷却部材に2つの回転自由度が与えられる。
図9および10は、これら2つの自由度に関する運動を示したものであり、すなわち
図9では水平な揺動すなわち横揺れを、さらに
図10では鉛直な揺動すなわち縦揺れを示している。ただし、マッフルドアとマッフルとの間の空間は一般に非常に狭いため、水平な回転軸に関する旋回部材の回転、すなわち縦揺れは、冷却部材とマッフルの要素および/またはマッフルドアとの接触により一般に制限される。以下でさらに説明するように、キーをなくしてクランプ力に頼ると旋回部材46を様々な方向に動かすことが可能になり、単なる縦揺れや横揺れに限定され得ないことは容易に分かるであろう。
【0033】
旋回部材46と冷却部材40を一体化して単一のユニットとし、このユニットをプラットフォーム50に恒久的には連結させないものとすると、旋回部材と冷却部材の組合せを容易に交換する助けとなる。例えば、破損した旋回部材―冷却部材の組合せを取り除いて新しい旋回部材―冷却部材ユニットを単に挿入することで、特定の冷却部材を容易に交換することができる。プラットフォームと新たな旋回部材―冷却部材との間でキー―キー溝接続を用いる場合には、この接続により、最初の旋回部材と同じ正確な角度配向で新たな旋回部材および冷却部材を配置することができる。すなわち、プラットフォーム50およびキー54の位置を乱すことなく旋回部材―冷却部材ユニットを取り除くことができ、かつ新たな旋回部材―冷却部材ユニットを、破損したユニットと同じ水平角度位置で再設置することができる。
【0034】
鉛直の回転軸に関する回転のみが望ましい場合には(横揺れ)、旋回部材46は円筒状でもよく、このとき円筒状旋回部材の中心縦軸はプラットフォームの回転軸52と一致する(
図11)。この場合、本書において以下でより詳細に説明する受け口部材の合わせ面は、円筒状の旋回部材に相補的な円筒状であるべきである。
【0035】
細長い冷却部材40は旋回部材46の通路48を通って延在し、このとき冷却部材40の第1部分60は、流れている溶融ガラスに向かう方向へと旋回部材から延び、そして冷却部材の第2部分62は、ガラスリボンから離れるように旋回部材46から延びている。冷却部材40は2つの端部、すなわち溶融ガラス流から最も遠くに配置される基端64と、溶融ガラス流に最も近い先端66とを含む。基端64を、所望であれば適切な温度修正器67を用いて加熱または冷却してもよい。それにより、特定の冷却部材で提供される厚さ制御を、冷却部材の温度を変化させることにより調整することができ、かつ、冷却部材の先端と、この先端に近接している溶融ガラス流との間の温度差を変化させることもできる。例えば、冷却部材40の基端を、随意的な加熱コイルまたは冷却コイルと連結させてもよい(
図1)。このコイルは、電流を用いて冷却部材を加熱し、あるいは、冷却コイル内で循環しかつ冷却部材から熱を運び出す流動冷却剤を用いて、冷却部材を冷却する。例えば冷水を冷却コイルに通して循環させてもよい。冷却剤を続いて熱交換器に通して流し、この冷却剤から熱を除去してもよい。冷却部材と流れているガラスおよび/または成形本体との間の差温を大きくすることで、冷却部材の冷却効果は増加し得る。
【0036】
逆に、冷却部材を電気巻線またはコイルを用いて加熱してもよく、それにより流れているガラスおよび成形本体から冷却部材が熱を吸収する能力を遅らせることができる。冷却部材と流れているガラスおよび/または成形本体との間の差温を小さくすることで、冷却部材の冷却効果を減少させ得る。
【0037】
上述した加熱コイルおよび冷却コイルなどの温度修正器による個々の冷却部材の加熱および冷却を、フィードバックループに組み込んでもよい。このフィードバックループでは、ガラスリボンの局所的厚さを、冷却部材の下流のリボン下部付近、またはリボンから分割されたガラスシートなどにおいて測定し、得られた厚さデータを用いて1以上の冷却部材を調整してもよい。ガラスの厚さは、例えばレーザ三角測量法を用いて判定することができる。厚さを測定するための適切な測定機器として、LMIテクノロジー社(LMI Technologies)からのGTS2厚さ・プロファイル測定センサ(GTS2 thickness and profile measurement sensor)が挙げられる。例えば、ガラスリボンの局所的エリアの厚さがターゲット厚さよりも薄い場合には、冷却部材をガラスの近くに移動させることによって、または冷却部材に熱力学的に連結された冷却コイルへの冷却剤流を増加させることによって、あるいは冷却剤流の温度を下げることによって、冷却部材の有効性を高めることができる。所望であれば、コントローラ71を備えてフィードバックループを自動化してもよい。コントローラ71は、制御ライン73を介して厚さ測定検出器と通信し、さらに、各厚さ制御ユニットの冷却部材に連結されている1以上のアクチュエータ(図示なし)と制御ライン75を介して通信する(
図3参照)。電気ストリップヒータ、熱電冷却素子などの、他の温度修正器を用いて冷却部材の温度を変化させてもよく、
図1の冷却コイルの図は限定するためのものではないことに留意されたい。
【0038】
図12で最もよく分かるが、固定具42は、前すなわち第1受け口部材74と後すなわち第2受け口部材76とをさらに備えている。ここでは明瞭にするため、旋回部材46を省いて示している。第1受け口部材74は内部表面78を含み、この内部表面の少なくとも一部は旋回部材の一部に対して相補的である。開口80が、第1受け口部材の厚さを貫通して延在しており、旋回部材46が受け口の内部表面78の相補的部分と接触しているとき、冷却部材40はこの開口80を通って延在する。開口80は、旋回部材および冷却部材の運動を、その意図された運動範囲に亘って妨害することなく可能とするようなサイズである。すなわち、開口80のサイズは、旋回部材が少なくとも軸52に関して回転することができ、それにより冷却部材40が開口内で揺動すなわち横揺れすることができるようなサイズである。冷却部材40は、少なくとも約40度の角度に亘って自由に揺動することが好ましい。同様に、第2受け口部材76は、少なくとも一部が旋回部材46に対して相補的である内部表面82と、冷却部材40がその中を通って延在する第2開口84とを含み、これにより冷却部材40の第2部分は、旋回部材46が回転するときに揺動することができる。
【0039】
後受け口部材76は、前受け口部材と後受け口部材との間に配置された旋回部材46が安定して保持されるよう、前受け口部材74に連結される。例えば、前受け口部材および後受け口部材を、ボルト、ねじ、クリップ、または他の適切な接続方法を用いて互いに連結してもよく、こうすることで旋回部材46は受け口部材間でクランプされる。例えば、
図12では、図示の受け口部材74および76はボルトで連結されている。冷却部材40が、流れている溶融ガラスから既定の近接程度および位置の範囲内となるように、旋回部材46を最初に位置付け、クランプ要素(ボルトなど)を堅く締めて旋回部材と冷却部材とを所望の配向にロックしてもよい。
【0040】
軸52に関して回転し、それにより冷却部材40を水平の弧を通るように「揺動」させる、本実施形態による旋回部材の能力は、固定されている冷却部材と比較して、溶融ガラスの幅に達するために必要な厚さ制御ユニット38の数を削減する助けとなる。例えば、旋回部材46を介して細長い冷却部材40を、少なくとも約10°、20°、30°または40°超までに亘って回転させることができる。さらに、冷却ガスの放出ではなく、冷却部材の熱伝導特性に頼っていることにより、冷却部材をより簡単に据付けかつ維持することができる(例えば、冷却ガスを送出するための外部パイプや、複雑なガス計測は用いられない)。
【0041】
従来の冷却方法に対し、本実施形態によれば、固定されている冷却部材よりも冷却部材40の間隔を空けることができる。厚さの乱れのため、流れている溶融ガラスの特定の領域で冷却が必要である場合には、その欠陥に最も近い位置にある冷却部材を、プラットフォーム50を回転させることによって、すなわちそれにより冷却部材40を回転させることによって、所定位置へと横方向に揺動させて、冷却部材を欠陥領域に極近接させることができる。さらに、各冷却部材を(溶融ガラス流から離れるように)引いたり、あるいは(溶融ガラス流の方へ)挿入したりして、溶融ガラス流と冷却部材の先端との間の距離を変化させてもよい。結果的に、マッフル内の容積への開口の数が減少する。開口の数が減少すると、マッフル24が包囲する容積36内への(または容積36からの)漏れによる無制御の通気の危険が減少する。各細長い冷却部材は、旋回部材46を介した回転に関しても、あるいは溶融ガラス流の方に向かったりこれから離れたりする内側または外側への動きに関しても、その動きを他の冷却部材と揃える必要はない。
【0042】
いくつかの実施形態において、細長い冷却部材40は真っ直ぐであり、かつその縦軸に垂直な断面形状は均一である。しかしながら、他の実施形態において各冷却部材は、先端に隣接している冷却部材の部分とは異なる形状を有した、変更された先端を有していてもよい。旋回部材は、例えば、三日月状の先端、部分的に円筒状の先端、または円盤状の先端を含み得る。
図13は、円筒状壁の一部分に類似した、弓状の端部を有している細長い冷却部材40を示している。冷却部材は、流れているガラスの局所的エリアを制御するのに望ましい、例えば異なる幾何学的形状の部分を組み合わせたものなど、より複雑な先端を含むものとしてもよい。このような変更された冷却部材の先端は、冷却部材の基端よりも(細長い冷却部材の縦軸88に垂直な方向において)幅広である。
【0043】
これまでの開示から、個々の冷却部材の位置付けを用いて、溶融ガラスから延伸されるガラスリボンの局所的厚さ、さらに最終的にはこのリボンから分割される個々のガラスシートすなわちペインの厚さを、効果的に制御できることは明らかであるはずである。本書において説明される実施形態によれば、個々の冷却部材を1以上の軸に関して回転(旋回)させて、成形本体および溶融ガラスに対する冷却部材の角度配向を変化させることができる。例えば、個々の冷却部材を鉛直軸に関して旋回させることが可能であり、それにより左右への揺動を生み出すことができる。個々の冷却部材を溶融ガラス流のより近くまで挿入し、冷却部材の先端と溶融ガラス流との間の距離を短くすることもできる。あるいは、個々の冷却部材を引くことも可能であり、そうすることで溶融ガラス流と冷却部材の先端との間の距離は増加する。したがって、個々の冷却部材の角度配向、および個々の冷却部材夫々の、先端から溶融ガラス流までの距離は、これらの冷却部材のアレイ内に含まれる別の冷却部材の角度配向および先端距離とは無関係に得ることができる。すなわち、個々のガラス製造設定に適した、流れているガラスの幅に亘る冷却プロファイルをもたらすことができる。
図14は冷却部材の例示的なアレイを上から見て描いたものであり、ここで個々の冷却部材は、溶融ガラス流から異なる距離に位置付けられている(この場合、下方への溶融ガラス流を平面100のエッジ図で表す)。
図14で各冷却部材は真っ直ぐな棒として表されているが、上での説明により、各冷却部材のサイズおよび形状は必要に応じて変化させることができる。同様に、
図15は溶融ガラス流の幅に亘って異なる冷却プロファイルを生成するために異なる角度配向を有している冷却部材のアレイを描いたものであり、これも冷却部材のアレイを上から見たものである。
図15では、各冷却部材の先端から溶融ガラス流までの距離と角度位置との両方に関して調節された冷却部材が示されている。
【0044】
例示的な、非限定的実施形態を以下に示す。
【0045】
C1.ダウンドローガラス製造プロセスにおいて連続した溶融ガラスのリボンを成形する装置であって、
底部で合流する合流成形面を備えた成形本体、
前記成形本体の周囲に配置されたエンクロージャ、
前記溶融ガラスの局所的温度を変更させるための、前記エンクロージャに連結された少なくとも1つの厚さ制御ユニットであって、前記成形本体上から流れている溶融ガラス流の極近くへと延在する細長い冷却部材を備えた、厚さ制御ユニット、
を含み、さらに、前記冷却部材から前記溶融ガラスの方へ空気流が向けられていないことを特徴とする装置。
【0046】
C2.前記冷却部材が鉛直軸に関して回転可能であることを特徴とするC1記載の装置。
【0047】
C3.前記冷却部材が、前記溶融ガラス流に最も近い先端を備え、かつ前記細長い冷却部材の該先端と前記成形本体との間の距離を変化させ得ることを特徴とするC1またはC2記載の装置。
【0048】
C4.前記冷却部材が固体棒であることを特徴とするC1からC3いずれか1項記載の装置。
【0049】
C5.前記冷却部材が、前記溶融ガラス流に最も近い先端を備え、かつ該先端の形状が、該先端に隣接している前記冷却部材の形状と異なることを特徴とするC1からC4いずれか1項記載の装置。
【0050】
C6.前記先端の幅が、前記冷却部材の基端の幅よりも大きいことを特徴とするC5記載の装置。
【0051】
C7.複数の細長い冷却部材をさらに含み、該複数の細長い冷却部材が、前記成形本体の長手方向に隣接して、水平に配列されていることを特徴とするC1からC6いずれか1項記載の装置。
【0052】
C8.前記複数の冷却部材の先端と、前記成形本体との間の距離が、均一ではないことを特徴とするC7記載の装置。
【0053】
C9.前記冷却部材の先端が、該先端に近接している前記溶融ガラスの粘度が35,000ポアズ(約3,500Pa・s)と1,000,000ポアズ(100,000Pa・s)の間の範囲内となるように、位置付けられることを特徴とするC1からC8いずれか1項記載の装置。
【0054】
C10.温度修正器をさらに備え、該温度修正器が、前記冷却部材の温度を変化させ、さらにそれにより該冷却部材の先端と前記連続した溶融ガラスのリボンとの間の温度差を変化させるよう構成されたものであることを特徴とするC1からC9いずれか1項記載の装置。
【0055】
C11.複数の冷却部材をさらに備え、かつ該複数の冷却部材のうちの第1冷却部材の前記底部に対する鉛直高さが、該複数の冷却部材のうちの第2冷却部材の前記底部に対する鉛直高さと異なることを特徴とするC1からC10いずれか1項記載の装置。
【0056】
C12.フュージョンダウンドロープロセスにおいて連続した溶融ガラスのリボンの厚さを制御する方法であって、
成形本体の、底部で交わる合流成形面上に溶融ガラスを流して、ガラスリボンを成形するステップ、
流れている溶融ガラスの局所的エリアの粘度を、該流れている溶融ガラスに極近接して置かれた細長い冷却部材を用いて変化させるステップ、
を含み、さらに、前記流れている溶融ガラスの前記局所的エリアの前記粘度を、前記流れている溶融ガラスの方へ前記細長い冷却部材から冷却ガス流をむけることなく変化させることを特徴とする方法。
【0057】
C13.前記細長い冷却部材が基端および先端を有し、該先端が前記基端よりも溶融ガラス流に近く、さらに前記先端の形状が、該先端に隣接している前記細長い冷却部材の形状と異なるものであることを特徴とするC12記載の方法。
【0058】
C14.前記細長い冷却部材と前記流れている溶融ガラスとの間の距離を変化させることを特徴とするC12またはC13記載の方法。
【0059】
C15.前記細長い冷却部材の縦軸と前記底部を含む鉛直平面との間の角度を変化させることを特徴とするC12からC14いずれか1項記載の方法。
【0060】
C16.少なくとも1つの前記冷却部材の縦軸の一部が、前記底部を含む鉛直平面に垂直であることを特徴とするC12からC15いずれか1項記載の方法。
【0061】
C17.前記ガラスリボンから得られたガラスシートの測定された厚さに応じて、前記流れている溶融ガラスから抽出される熱の量を変化させるために、前記冷却部材の温度を変更させるステップをさらに含むことを特徴とするC12からC16いずれか1項記載の方法。
【0062】
C18.前記ガラスリボンから得られたガラスシートの測定された厚さに応じて、前記流れている溶融ガラスから抽出される熱の量を変化させるために、前記冷却部材の角度位置を変更させるステップをさらに含むことを特徴とするC12からC17いずれか1項記載の方法。
【0063】
C19.前記ガラスリボンから得られたガラスシートの測定された厚さに応じて、前記流れている溶融ガラスから抽出される熱の量を変化させるために、前記冷却部材の先端と前記流れている溶融ガラスとの間の距離を変更させるステップをさらに含むことを特徴とするC12からC18いずれか1項記載の方法。
【0064】
C20.前記変化させるステップにおいて複数の細長い冷却部材を含み、該各冷却部材が基端および先端を有するものであり、さらに前記複数の細長い冷却部材の前記先端と前記流れている溶融ガラスとの間の距離が均一ではないことを特徴とするC12からC19いずれか1項記載の方法。
【0065】
上述した本発明の実施形態、特に任意の「好ましい」実施形態は、単に実施可能な例であって、本発明の原理を明確に理解するための単なる説明であることを強調したい。本発明の精神および原理から実質的に逸脱することなく、上述の本発明の実施形態に対して多くの変形および改変を作製することができる。全てのこのような改変および変形は、本書において本開示および本発明の範囲内に含まれ、かつ以下の請求項によって保護されると意図されている。