(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【技術分野】
【0001】
本発明は、式I:
【化1】
[式中、
R
1は、水素又はハロゲンであり;
R
2は、C
1−3−アルキル又は−(CH
2)
n−O−CH
3であり;
nは、2又は3であり;
mは、1又は2である]
で表されるエチニル誘導体、あるいはその薬学的に許容しうる酸付加塩、ラセミ混合物、又はその対応するエナンチオマー及び/もしくは光学異性体及び/もしくは立体異性体に関する。
【0002】
今般、驚くべきことに、一般式Iの化合物が、先行技術の化合物と比較して、有利な生化学的、物理化学的及び薬力学的特性を示す、代謝型グルタマート受容体サブタイプ5(mGluR5)のアロステリックモジュレーターであることが見いだされた。
【0003】
中枢神経系(CNS)において、刺激の伝達は、ニューロンより放出される神経伝達物質の、神経性受容体との相互作用によって起こる。
【0004】
グルタマートは、脳における、主要な興奮性神経伝達物質であり、種々の中枢神経系(CNS)機能において、ユニークな役割を果たす。グルタマート依存性の刺激受容体は、二つの主要なグループに分類されている。第1の主要グループ(すなわち、イオンチャンネル型受容体)は、リガンド制御型イオンチャネルを形成する。代謝型グルタマート受容体(mGluR)は、第二の主要なグループに属し、さらにGタンパク質共役型受容体のファミリーに属する。
【0005】
現在のところ、このようなmGluRの8つの異なるメンバーが知られており、このうち幾つかは、サブタイプを有する。それらの配列相同性、シグナル伝達機構及びアゴニスト選択性に従って、これら8つの受容体は、3つのサブグループに細分割されえ:
【0006】
mGluR1及びmGluR5は、グループIに属し、mGluR2及びmGluR3は、グループIIに属し、そしてmGluR4、mGluR6、mGluR7及びmGluR8は、グループIIIに属する。
【0007】
第1グループに属する代謝型グルタマート受容体のリガンドは、急性及び/又は慢性神経障害(例えば、精神病、癲癇、統合失調症、アルツハイマー病、認知障害及び記憶欠損)ならびに慢性及び急性痛の治療又は予防のために使用され得る。
【0008】
これと関連したその他の治療可能な適応症は、バイパス術又は移植により引き起こされた脳機能不全、脳への乏しい血液供給、脊髄損傷、頭部損傷、妊娠により引き起こされた低酸素、心停止及び低血糖である。さらなる治療可能な適応症は、虚血、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、結節性硬化症(TSC)、エイズにより引き起こされた認知症、眼損傷、網膜症、特発性パーキンソニズム又は薬物により引き起こされたパーキンソニズム、ならびにグルタマート欠乏機能につながる病状、例えば、筋痙攣、発作、片頭痛、尿失禁、ニコチン中毒、アヘン中毒、不安症、嘔吐、ジスキネジア及びうつ病などである。
【0009】
完全又は部分的にmGluR5によって介在される障害は、例えば、神経系の急性、外傷性及び慢性変性過程(例えば、アルツハイマー病、老年認知症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症及び多発性硬化症)、精神疾患(例えば、統合失調症及び不安症)、うつ病、疼痛及び薬物依存である(Expert Opin. Ther. Patents (2002), 12, (12))。
【0010】
選択的モジュレーターを開発するための新しい手段は、高度に保存されたオルソステリック結合部位とは異なる部位に結合することによって受容体を調節する、アロステリック機構を通じて作用する化合物を同定することである。最近になって、mGluR5のアロステリックモジュレーターが、この魅力的な代替手段を提供する新規な薬学的実体として出現した。アロステリックモジュレーターは、例えば、WO2008/151184、WO2006/048771、WO2006/129199、WO2005/044797に、そして特にWO2011/128279ならびにMolecular Pharmacology, 40, 333 - 336, 1991; The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics, Vol 313, No. 1, 199-206, 2005に記載されている。
【0011】
先行技術において記載されているのは、陽性アロステリックモジュレーターである。それらは、それら自身によって受容体を直接活性化しないが、アゴニストによって刺激される反応を著しく増強し、効力及び最大有効性を増す、化合物である。これらの化合物の結合は、その細胞外N末端結合部位での、グルタマート部位アゴニストの親和性を増す。このように、アロステリック調節は、適切な生理的受容体活性化を高めるために魅力的な機構である。mGluR5受容体の選択的アロステリックモジュレーターの不足がある。従来のmGluR5受容体モジュレーターは、典型的には、満足のいく水溶解性を欠き、そして乏しい経口バイオアベイラビリティーを示す。
【0012】
したがって、これらの欠乏を克服し、かつmGluR5受容体の選択的アロステリックモジュレーターを効果的に提供する、化合物の必要性が依然としてある。
本発明は、以下に示すように、この課題を解決した:
【0013】
本発明の化合物と先行技術の類似化合物の比較:
先行技術の構造的に類似する化合物は、国際公開公報第2011128279号(=参照文献1、Hoffmann-La Roche)に開示されており、この特許出願の構造的に最も類似する化合物(実施例106、170及び174)を比較のために示す。参照文献1の実施例106は、ラセミ混合物として開示された。この混合物のキラル分離を実行して、2つのエナンチオマーを産した(実施例1、工程5に記載の手順と同様の分離手順を使用して)。最も活性な(−)エナンチオマーを比較例として選択した。参照文献1の実施例170についても同様であり、光学的に純粋な(−)エナンチオマーを比較のためにここで使用する。完全を期すために、実施例174は、そのラセミ体で示され、参照文献1の実施例174に正確に一致する。
【0014】
本発明の化合物と参照化合物実施例106の比較:
本発明の化合物は全て、そのピリミジン核が実施例106のピリジン核よりより低い塩基性であり、そのR
4基が参照化合物のメチル基よりもより脂溶性であるという事実にもかかわらず、参照化合物と比較して200倍以上の高い溶解度を示す。これは、予期せぬ結果であり、溶解度に関して本発明の化合物の明らかな(有)利点を示しており、先行技術の構造的に類似する化合物と比較して、吸収、非結合遊離分画及び他の薬物関連の薬理学的特性に関して有益である。
【0015】
本発明の化合物と参照化合物実施例170及び174の比較:
参照文献1の実施例170及び174と比較した場合、この参照化合物はまたジアジン核も有しているが、溶解度値はまた改善される。しかしながら、主な(有)利点は、本発明の化合物が、マイケル付加型の反応性の指標となる、グルタチオンへの自発的付加を示さないことである(GSHアッセイ)。化学反応性の薬物の、タンパク質との反応(共有タンパク質結合−CVB)は、薬物安全性に関して望ましくない特性である。タンパク質は、マイケル受容特性を有する薬物分子に、それらの求核性のアミノ酸側鎖(例えば、システイン、セリン、リシンなど)を介して共有結合付加体を形成しうる。薬物−タンパク質付加体の形成は、共有結合したタンパク質を異物として認識する、望ましくない免疫系の反応を導きうる。そのような免疫応答は、免疫毒性と呼ばれる様々な強さのアレルギー反応を導きうる。
【0016】
試験化合物を肝ミクロソームとインキュベートすることによって共有結合付加体の形成を検出する、「ゴールドスタンダード」CVB(共有結合)アッセイは、
14Cで標識した材料を用いて実施する必要がある。これは、ルーチンスクリーニングの目的には適していない。自発的グルタチオンアッセイはルーチンスクリーニングに適しており、自発的グルタチオンアッセイにおいて有意なマイケル受容活性を示す化合物は、CVBアッセイにおいて活性を示す可能性が極めて高い。この場合の反応種は、親薬物であって、代謝的に誘導された反応性代謝物ではないので、これはまさに極めて重要なことである。上記のデータは、本発明の化合物が自発的な薬物−グルタチオンの共有結合付加体を形成する、非常に低い傾向を有し(FLAGなし)、一方で、対応する参照化合物がそれらのマイケル受容特性のために有意な量の薬物−グルタチオンの共有結合付加体を形成する(FLAGあり)ことを示している。一般的に言えば、そのため、本発明の化合物は、先行技術の構造的に類似する化合物と比較して、よりずっと低い、明らかなマイケル受容特性のために薬物安全性に関して明らかな(有)利点を有する。
【0017】
【表1】
【0018】
凍結乾燥溶解度アッセイ(LYSA):
この自動のハイスループットアッセイの手順は、2つの工程に分けられうる。第一に、4点の検定曲線を作製するために、試験化合物のDMSOストック溶液を希釈する。各試験化合物についての最適波長におけるピーク面積を超高速液体クロマトグラフィーによって自動的に決定する。生データからのピーク面積及び保持時間の抽出を自動的に実施する。4種の濃度と関連するピーク面積を使用して、検量線の傾き及び切片を計算する。得られた回帰線の相関係数は、0.99を超えるものとする。第二段階では、DMSOストック溶液から試料溶液を2連で調製する。エバボレーターを使用してDMSOを除去した。DMSOを蒸発させた後、固体薬物を0.05Mのリン酸緩衝液(pH6.5)に溶解して、1時間撹拌し、その後、2時間振盪した。一晩(約20時間)静置した後、マイクロタイターフィルタープレートを使用して溶液を濾過する。次に、濾液及びその1/10希釈物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって自動的に分析する。試料のピーク面積及び保持時間を検定に使用した同じ波長で抽出した。
【0019】
溶解度は、以下の式を使用して計算する:
S=(A−b)/a(1/10に希釈した試料について×10)
式中、Sは、溶解度(μg/mL)であり;Aは、試料のピーク面積であり;aは、傾きであり、そして、bは、検定曲線の切片である。この方法は、1μg/mlよりはるかに低い値については最適ではないため、値(<1)は、最大希釈において物質ピークが検出されなかった化合物について与えられ、これは、実際の溶解度が1μg/mLよりはるかに低いことを意味する。
【0020】
参照化合物106の場合では、LYSAアッセイで実施したものと同一の手順を使用して、当該化合物を0.05Mのリン酸緩衝液(pH6.5)中で24時間平衡化した。手動の慣用的なHPLC分析を使用して、存在する溶質の量を直接決定した。
【0021】
自発的グルタチオン(GSH)付加アッセイ:
リン酸緩衝液(pH7.4)に溶解した10μMの試験物質を、5mM GSH(グルタチオン)と共に室温で24時間インキュベートした。次に、質量分析計を使用して試料を分析して、グルタチオンと薬物とで付加体が形成されたか否かを決定した。共有結合付加体の質量が明確に検出された(M+307)試料をFLAGあり(陽性)と表す。付加体が検出されなかった化合物は、FLAGなし(陰性)と指名する。
【0022】
式Iの化合物は、有益な治療特性を有することによって識別される。これらは、mGluR5受容体のアロステリックモジュレーターに関連する障害の治療又は予防において使用されうる。
【0023】
アロステリックモジュレーターである化合物の最も好ましい適応症は、統合失調症及び認知である。
【0024】
本発明は、式Iの化合物及びそれらの薬学的に許容しうる塩、薬学的に活性な物質としてのこれらの化合物、それらの製造プロセス、ならびにmGluR5受容体のアロステリックモジュレーターに関する障害(例えば、統合失調症及び認知)の治療又は予防におけるその使用、さらには式Iの化合物を含有する医薬組成物に関する。
【0025】
本記載で使用される一般的用語の以下の定義は、問題となっている用語が単独で現れるか又は組み合わせで現れるかにかかわらず適用される。
【0026】
用語「ハロゲン」は、塩素、臭素、ヨウ素又はフッ素を示す。
【0027】
用語「薬学的に許容しうる塩」又は「薬学的に許容しうる酸付加塩」は、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、クエン酸、ギ酸、フマル酸、マレイン酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などの無機酸及び有機酸との塩を包含する。
【0028】
本発明の1つの実施態様は、式:
【化2】
[式中、
R
1は、水素又はフルオロであり;
R
2は、エチル、−(CH
2)
2−OCH
3又は−(CH
2)
3−OCH
3であり;
mは、1又は2である]
で表される化合物、あるいはその薬学的に許容しうる酸付加塩、ラセミ混合物、又はその対応するエナンチオマー及び/もしくは光学異性体及び/もしくは立体異性体である。
【0029】
式Iの化合物の例は、以下である:
(−)−(3aR,6aS)−1−エチル−3−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタンイミダゾール−2−オン
(−)−(3aR,6aS)−1−エチル−3−(5−(3−フルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタンイミダゾール−2−オン
(−)−(3aR,6aS)−1−エチル−3−(5−(4−フルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタンイミダゾール−2−オン
(−)−(3aR,6aS)−1−エチル−3−(5−(2,5−ジフルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタンイミダゾール−2−オン
(−)−(3aR,6aS)−1−(2−メトキシ−エチル)−3−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタンイミダゾール−2−オン
(−)−(3aR,6aS)−1−(2−メトキシ−エチル)−3−(5−(3−フルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタンイミダゾール−2−オン
(−)−(3aR,6aS)−1−(2−メトキシ−エチル)−3−(5−(4−フルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタンイミダゾール−2−オン
(−)−(3aR,6aS)−1−(2−メトキシ−エチル)−3−(5−(2,5−ジフルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタンイミダゾール−2−オン
(−)−(3aR,6aS)−1−(3−メトキシ−プロピル)−3−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタンイミダゾール−2−オン
(−)−(3aR,6aS)−1−(3−メトキシ−プロピル)−3−(5−(3−フルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタンイミダゾール−2−オン又は
(−)−(3aR,6aS)−1−(3−メトキシ−プロピル)−3−(5−(4−フルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタンイミダゾール−2−オン。
【0030】
本発明の式Iの化合物の調製は、逐次又は収束合成経路で実施されうる。本発明の化合物の合成は、以下のスキーム1及び2に示されている。本反応及び得られた生成物の精製を実施するのに必要な技能は、当業者に公知である。方法の以下の記載に使用される置換基及び指数は、本明細書で先に与えられた意味を有する。
【0031】
式Iの化合物は、下記で与えられる方法によって、実施例で与えられる方法によって、又は類似方法によって、製造され得る。個別の反応工程における適切な反応条件は、当業者に公知である。反応シーケンスは、スキームに表示されたものに限定されず、出発物質及びそれらそれぞれの反応性に依存して、反応工程シーケンスは自由に変えられうる。出発物質は、市販のものであるか、あるいは後に与えられる方法に類似の方法によって、本記載もしくは実施例で引用した参考文献に記載されている方法によって、又は当技術分野において公知の方法によって調製されうるかのいずれかである。
【0032】
本発明の式Iの化合物及びそれらの薬学的に許容しうる塩は、当技術分野において公知の方法、例えば、後述するプロセスバリアントによって調製されえ、当該プロセスは、以下を含む:
式II:
【化3】
[式中、Xは、臭素又はヨウ素から選択されるハロゲン原子である]
で表される化合物を、式III:
【化4】
で表される適切なアリール−アセチレンと反応させて、式I:
【化5】
[式中、置換基は、上に記載する]
で表される化合物を形成すること、又は
所望であれば、得られた化合物を薬学的に許容しうる酸付加塩に変換すること。
【0033】
式Iの化合物の調製は、さらに、スキーム1及び2ならびに実施例1〜11においてより詳細に記載される。
【0034】
【化6】
【0035】
式IIのハロ−ピリミジン化合物は、適切なジハロゲン化ピリミジン、例えば2−ブロモ−5−ヨード−ピリミジンと式5の適切な二環式ウレアとの、パラジウム触媒反応によって得られうる(スキーム1)。また、例えば、NaH/THF又は炭酸セシウム/DMFのような塩基性条件を使用した芳香族求核置換反応による、5位に臭素又はヨウ素を有する2−クロロ−又は2−フルオロ−ピリミジンと式5の二環式ウレアとの反応が、式IIの化合物を形成することができる。式5の化合物は、式1の適切に保護されたcis−2−アミノ−シクロアルキル−1−カルボン酸から出発して得られえ、式1の化合物を、アシルアジド中間体を介して対応するイソシアネート2に変換し(クルチウス転位)、次にこれを環化して、二環式ウレア化合物3を形成することができる。3の遊離NH基を標準手順に従ってアルキル化して化合物4を形成し、次にこれを脱保護して、二環式ウレア5を生成することができる。また、式1の光学的に純粋な保護酸から出発して又は合成の間の任意の段階で当業者に公知の手順を使用してラセミ混合物を分離することによって、光学的に純粋な中間体を得ることも可能である。
【0036】
【化7】
【0037】
式II(X=Br、I)の化合物は、式IIIの適切なアリール−アセチレンと反応して、式I(式中、置換基は、上に記載のとおりであり、そして、mは、1又は2である)の化合物を形成することができる。
【0038】
本明細書に記載される式Iの化合物及びその薬学的に許容しうる塩は、精神病、癲癇、統合失調症、アルツハイマー病、認知障害及び記憶欠損、慢性及び急性痛、バイパス術又は移植によって引き起こされる脳機能不全、脳への乏しい血液供給、脊髄損傷、頭部損傷、妊娠によって引き起こされる低酸素症、心停止及び低血糖、虚血、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、エイズによって引き起こされる認知症、眼損傷、網膜症、特発性パーキンソニズム又は薬物によって引き起こされるパーキンソニズム、筋痙攣、発作、片頭痛、尿失禁、消化管逆流障害、薬物性又は疾患性の肝障害又は肝不全、脆弱性X症候群、結核性(tuberculous)硬化症、ダウン症候群、自閉症、ニコチン中毒、アヘン中毒、不安症、嘔吐、ジスキネジア、摂食障害、特に過食症又は神経性無食欲、ならびに鬱病の治療又は予防において、特に急性及び/又は慢性神経障害、不安症の治療及び予防、慢性及び急性痛、尿失禁及び肥満の治療及び予防のために使用される。
【0039】
好ましい適応症は、統合失調症及び認知障害である。
【0040】
本発明は、さらに、好ましくは上記障害の治療及び予防のための医薬の製造のための、本明細書に記載される式Iの化合物及びその薬学的に許容しうる塩の使用に関する。
【0041】
生物学的アッセイ及びデータ:
細胞内Ca
2+動員アッセイ
ヒトmGlu5a受容体をコードするcDNAで安定的にトランスフェクトされたモノクローナルHEK−293細胞株を生成した;mGlu5陽性アロステリックモジュレーター(PAM)を用いた作業のために、低い受容体発現レベル及び低い構成的受容体活性を有する細胞株を選択して、アゴニストの対PAM活性の鑑別を可能にした。細胞を、標準プロトコル(Freshney, 2000)に従って、1mM グルタミン、10%(v/v)加熱不活性化仔ウシ血清、ペニシリン/ストレプトマイシン、50μg/mL ハイグロマイシン及び15μg/mL ブラストサイジンを補充した高グルコースを含むダルベッコ変法イーグル培地中で培養した(Invitrogen, Basel, Switzerlandからの、全ての細胞培養試薬及び抗生物質)。
【0042】
実験の約24時間前、5×10
4細胞/ウェルを、ポリ−D−リシン被覆黒色/透明底部の96ウェルプレートに播種した。細胞に、37℃で1時間、添加液(1×HBSS、20mM HEPES)中の2.5μM Fluo−4AMを入れ、そして添加液で5回洗浄した。細胞を、Functional Drug Screening System 7000(Hamamatsu, Paris, France)内に移し、そして試験化合物の11回の半対数関数的連続希釈液を37℃で加え、そして細胞を、蛍光のオンライン記録と共に10〜30分間インキュベートした。この予備インキュベーション工程に続いて、蛍光のオンライン記録と共に、アゴニストL−グルタミン酸塩を、EC
20(典型的には約80μM)に対応する濃度で細胞に加えた;細胞の応答性における日毎の変動を説明するために、グルタミン酸塩のEC
20を、グルタミン酸塩の完全用量反応曲線の記録によって、各実験の直前に決定した。
【0043】
応答を、蛍光におけるピーク増加−基底(すなわち、L−グルタミン酸塩の添加なしの蛍光)として測定し、L−グルタミン酸塩の飽和濃度で得た最大刺激効果に対して標準化した。グラフを、Levenburg Marquardtアルゴリズムを使用してデータを繰り返しプロットする曲線当て嵌めプログラム、XLfitを使用して、最大刺激%でプロットした。使用した単一部位競合分析方程式は、y=A+((B−A)/(1+((x/C)D)))であった[式中、yは、最大刺激効果%であり、Aは、最小のyであり、Bは、最大のyであり、Cは、EC
50であり、xは、競合化合物の濃度のlog10であり、そしてDは、曲線の傾斜(ヒル係数)である]。これらの曲線から、EC
50(半最大刺激が得られた濃度)、ヒル係数ならびにL−グルタミン酸塩の飽和濃度で得た最大刺激効果の%における最大応答を計算した。
【0044】
PAM試験化合物を用いた予備インキュベーションの間(すなわち、L−グルタミン酸塩のEC
20濃度の適用前)に得られた陽性シグナルは、アゴニスト活性を示し、そのようなシグナルの非存在は、アゴニスト活性の欠如を証明していた。EC
20濃度のL−グルタミン酸塩の添加後に観察されたシグナルの低下は、試験化合物の阻害活性を示した。下記の実施例の列挙において、全てEC
50<30 nMを有する化合物の対応する結果を示す。
【0045】
【表2】
【0046】
式Iで示される化合物及びそれらの薬学的に許容しうる塩は、医薬として、例えば、医薬製剤の形態で使用されうる。医薬製剤は、例えば錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤又は懸濁剤の剤形で、経口投与されうる。しかし、投与はまた、例えば、坐剤の剤形で直腸内にも、又は例えば、注射液の剤形で非経口的にも実施されうる。
【0047】
式Iの化合物及びそれらの薬学的に許容されうる塩は、医薬製剤の製造ため、薬学的に不活性な無機又は有機の担体と共に加工されうる。乳糖、トウモロコシデンプン又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩等を、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤のためのそのような担体として使用することができる。軟ゼラチンカプセル剤のための適切な担体は、例えば、植物油、ロウ、脂肪、半固体及び液体ポリオール類等である。しかし、活性物質の性質に応じて、軟ゼラチンカプセル剤の場合は、通常担体を必要としない。液剤及びシロップ剤の製造に適切な担体は、例えば水、ポリオール、ショ糖、転化糖、グルコース等である。アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油等のような佐剤は、式Iの化合物の水溶性塩の水性注射用液剤に使用されうるが、原則として必要ではない。坐剤に適切な担体は、例えば、天然又は硬化油、ロウ、脂肪、半液体又は液体のポリオール等である。
【0048】
加えて、医薬製剤は、保存剤、可溶化剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色剤、香料、浸透圧を変動させるための塩、緩衝剤、マスキング剤又は酸化防止剤を含有することができる。これらはまた、更に他の治療有用物質を含有することができる。
【0049】
前述のように、式Iの化合物又はそれらの薬学的に許容されうる塩と、治療上不活性な賦形剤とを含有している薬剤も、本発明の目的であり、1種以上の式Iの化合物又はそれらの薬学的に許容されうる塩と、所望により、1種以上のその他の治療上価値のある物質とを、1種以上の治療上不活性な担体と共にガレヌス製剤の投与形態にすることを含む、そのような薬剤の製造方法も、本発明の目的である。
【0050】
さらに前述のように、先に述べた疾患の予防及び/又は治療において有用な医薬の製造のための、式(I)で示される化合物の使用も、本発明の目的である。
【0051】
用量は、広い限度の内で変えることができ、当然それぞれの特定の症例における個別の要求に適合させられるであろう。一般に、経口又は非経口投与のための有効用量は、0.01〜20mg/kg/日の間であり、前述の全ての適応症について、0.1〜10mg/kg/日の用量が好ましい。したがって、体重70kgの成人のための1日投与量は、1日当たり0.7〜1400mgの間、好ましくは1日当たり7〜700mgの間である。
【0052】
本発明の化合物を含む医薬組成物の調製:
以下の組成の錠剤を、常法により製造する
mg/錠剤
活性成分 100
粉末乳糖 95
白色トウモロコシデンプン 35
ポリビニルピロリドン 8
Naカルボキシメチルデンプン 10
ステアリン酸マグネシウム 2
重量 250
【0053】
実施例1
(−)−(3aR,6aS)−1−エチル−3−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オン
【化8】
工程1:(rac)−(3aSR,6aRS)−2−オキソ−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル:
【化9】
28mlのジクロロエタン中の(rac)−cis−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)シクロペンタンカルボン酸(CAS:136315−70−3)(2.28g、9.98mmol)及びN−メチルモルホリン(1.1g、1.21ml、11.0mmol、1.1当量)の溶液を室温で10分間撹拌した。次に、ジフェニルリン酸アジド(3.02g、2.37ml、11.0mmol、1.1当量)を室温で滴下し、無色の溶液を室温で45分間撹拌し、その間に溶液は明黄色に変化した。次に、溶液を75℃まで温めて、一晩撹拌し、放冷した。ジクロロメタン/水で後処理した後、合わせた有機相を蒸発乾固した。橙色の固体を酢酸エチルでトリチュレートし、濾過して、1.27gの白色の固体を与えた。母液を濃縮し、結晶化した物質を再び濾過して、追加の0.55gの生成物を産した。総収量1.82g(81%)の標記化合物を結晶性の白色固体、MS:m/e=227.3(M+H
+)として産した。
【0054】
工程2:(rac)−(3aSR,6aRS)−3−エチル−2−オキソ−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル:
【化10】
25mlのDMF中の(3aSR,6aRS)−2−オキソ−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(実施例1、工程1)(1.50g、6.63mmol)の溶液に、鉱油中60%水素化ナトリウム(207mg、8.62mmol、1.3当量)の懸濁液を加えた。懸濁液を室温で45分間撹拌し(気体発生)、次に、ヨードエタン(1.34g、0.696ml、8.62mmol、1.3当量)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。真空下で濃縮し、酢酸エチル/水で後処理した後、鉱油の液滴を含有する1.60gの黄色の油状物を得て、これをさらに特性決定することなく次の工程に直接使用した。
【0055】
工程3:(rac)−(3aRS,6aSR)−1−エチル−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オン:
【化11】
15mlのジクロロメタン中の(3aSR,6aRS)−3−メチル−2−オキソ−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(実施例1、工程2)(1.60g、6.29mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(5.74g、3.9ml、50.3mmol、8当量)を加え、黄色の溶液を室温で15時間撹拌した。飽和重炭酸ナトリウム溶液を加えることによって反応混合物をクエンチし、水相のpHを9にした。ジクロロメタン/水で後処理した後、有機相を乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮し、0.801gの黄色の油状物を産して、これをさらに特性決定することなく次の工程に直接使用した。
【0056】
工程4:(rac)−(3aSR,6aRS)−1−(5−ブロモ−ピリミジン−2−イル)−3−エチル−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オン
【化12】
8mlのトルエン中の2−ブロモ−5−ヨードピリミジン(340mg、1.19mmol)、(3aR,6aS)−1−メチルヘキサヒドロシクロペンタ[d]イミダゾール−2(1H)−オン(実施例1、工程3)(184mg、1.19mmol、1.0当量)、622mgの炭酸セシウム(1.9mmol、2当量)、及び4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(xantphos)(28mg、0.048mmol、0.04当量)の懸濁液に、アルゴン雰囲気下、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd
2(dba)
3)(22mg、0.024mmol、0.02当量)を加えた。混合物を50℃で一晩撹拌した。混合物を直接20gシリカゲルカラムに装填し、ヘプタン中20%〜80%酢酸エチルのグラジエントで溶出して、標記化合物(229mg、62%)を明褐色の固体、MS:m/e=311.1、313.0(M+H
+)として産した。
【0057】
工程5:(rac)−(3aRS,6aSR)−1−エチル−3−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オン
マイクロ波管中、80mg(0.26mmol)の(rac)−1−(5−ブロモピリミジン−2−イル)−3−エチルヘキサヒドロシクロペンタ[d]イミダゾール−2(1H)−オン(実施例1、工程4)を3mlのDMFに溶解した。溶液にアルゴンをバブルした。エチニルベンゼン(57μl、53mg、0.52mmol、2当量)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(9mg、0.013mmol、0.05当量)、ヨウ化銅(I)(1.5mg、7.7μmol、0.03当量)、トリフェニルホスフィン(2.0mg、7.7μmol、0.03当量)及び107μlのトリエチルアミン(78mg、0.77mmol、3当量)を加えた。暗褐色の溶液を75℃で一晩撹拌し、シリカに吸着させ、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル20g、ヘプタン中0%〜80% EtOAcのグラジエント)によって精製して、72.7mg(85%)の標記化合物を褐色の固体、MS:m/e=333.3(M+H
+)として産した。
【0058】
工程6:(−)−(3aR,6aS)−1−エチル−3−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オン
(−)−(3aR,6aS)−及び(+)−(3aS,6aR)−1−エチル−3−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オンのラセミ混合物(70mg)を、キラルHPLC:(Reprosil Chiral NR−5cm×50cm、20μM;40%エタノール/ヘプタン、35ml/分、18Bar)によって分離した。ピークの検出は、UV検出器及び旋光度検出器(ORD)を使用して実現され、ここで、一方のピークはマイナスのシグナル((−)−エナンチオマー)を有し、他方のピークはプラスのシグナル((+)−エナンチオマー)を有する。(−)−エナンチオマー(30.5mg)をオフホワイトの固体として得た。MS:m/e=333.3(M+H
+)。(+)−エナンチオマー(26.7mg)をオフホワイトの固体、MS:m/e=333.3(M+H
+)として得た。
【0059】
実施例2
(−)−(3aR,6aS)−1−エチル−3−(5−(3−フルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オン
【化13】
標記化合物は、(rac)−1−(5−ブロモピリミジン−2−イル)−3−エチルヘキサヒドロシクロペンタ[d]イミダゾール−2(1H)−オン(実施例1、工程4)及び1−エチニル−3−フルオロベンゼンから出発し、実施例1、工程5の一般法に従って調製され、72.4mg(80%)のラセミ物質の((+/−)−(3aRS,6aSR)−1−エチル−3−(5−(3−フルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オン)を明褐色の固体として産し;MS:m/e=351.3(M+H
+)、次にこれを、実施例1、工程6に記載のものと類似の分離条件を使用したキラルHPLCによって分離して、エナンチオピュアなエナンチオマー(−)−(3aR,6aS)−1−エチル−3−(5−(3−フルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オンを明黄色の半固体;MS:m/e=351.3(M+H
+)として、及びそのエナンチオマー(+)−(3aS,6aR)−1−エチル−3−(5−(3−フルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オンを明黄色の固体;MS:m/e=351.3(M+H
+)として産した。
【0060】
実施例3
(−)−(3aR,6aS)−1−エチル−3−(5−(4−フルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オン
【化14】
標記化合物は、(rac)−1−(5−ブロモピリミジン−2−イル)−3−エチルヘキサヒドロシクロペンタ[d]イミダゾール−2(1H)−オン(実施例1、工程4)及び1−エチニル−4−フルオロベンゼンから出発し、実施例1、工程5の一般法に従って調製され、ラセミ物質の((+/−)−(3aRS,6aSR)−1−エチル−3−(5−(4−フルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オン)をオフホワイトの固体;MS:m/e=351.3(M+H
+)として産した。キラルHPLCと実施例1及び2に記載のものと類似の分離条件を使用した分離が、エナンチオピュアなエナンチオマー(−)−(3aR,6aS)−1−エチル−3−(5−(4−フルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オンをオフホワイトの固体;MS:m/e=351.3(M+H
+)として及び(+)−(3aS,6aR)−1−エチル−3−(5−(4−フルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オンをオフホワイトの固体;MS:m/e=351.3(M+H
+)として産した。
【0061】
実施例4
(−)−(3aR,6aS)−1−エチル−3−(5−(2,5−ジフルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オン
【化15】
標記化合物は、(rac)−1−(5−ブロモピリミジン−2−イル)−3−エチルヘキサヒドロシクロペンタ[d]イミダゾール−2(1H)−オン(実施例1、工程4)及び1−エチニル−2,5−ジフルオロベンゼンから出発し、実施例1、工程5の一般法に従って調製され、ラセミ物質の((+/−)−(3aRS,6aSR)−1−エチル−3−(5−(2,5−ジフルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オン)を明褐色の固体;MS:m/e=369.2 (M+H
+)として産した。キラルHPLCと実施例1に記載のものと類似の分離条件を使用した分離が、エナンチオピュアなエナンチオマー(−)−(3aR,6aS)−1−エチル−3−(5−(2,5−ジフルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オンを黄色の油状物;MS:m/e=369.2(M+H
+)として及び(+)−(3aS,6aR)−1−エチル−3−(5−(2,5−ジフルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オンを黄色の油状物;MS:m/e=369.2(M+H
+)として産した。
【0062】
実施例5
(−)−(3aR,6aS)−1−(2−メトキシ−エチル)−3−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オン
【化16】
工程1:(rac)−(3aSR,6aRS)−3−(2−メトキシ−エチル)−2−オキソ−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル:
【化17】
標記化合物は、(rac)−(3aSR,6aRS)−2−オキソ−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(実施例1、工程1)から出発し、ヨードエタンの代わりに1−ブロモ−2−メトキシエタンを使用し、実施例1、工程2の一般法に従って調製され、所望の生成物を明黄色の油状物として産して、これをさらに特性決定することなく次の工程に直接使用した。
【0063】
工程2:(rac)−(3aRS,6aSR)−1−(2−メトキシ−エチル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オン:
【化18】
標記化合物は、(rac)−(3aSR,6aRS)−3−(2−メトキシ−エチル)−2−オキソ−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(実施例10、工程1)から出発し、実施例1、工程3の一般法に従って調製され、所望の生成物を明黄色の油状物として産して、これをさらに特性決定することなく次の工程に直接使用した。
【0064】
工程3:(rac)−(3aSR,6aRS)−1−(5−ブロモ−ピリミジン−2−イル)−3−(2−メトキシ−エチル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オン
【化19】
標記化合物は、実施例1、工程4の一般法に従って、(rac)−(3aSR,6aRS)−3−(2−メトキシ−エチル)−2−オキソ−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(実施例10、工程2)と2−ブロモ−5−ヨードピリミジンの反応によって調製され、所望の生成物を明褐色の固体、MS:m/e=341.0、343.1(M+H
+)として産した。
【0065】
工程4:(rac)−(3aRS,6aSR)−1−(2−メトキシ−エチル)−3−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オン
標記化合物は、(rac)−(3aSR,6aRS)−1−(5−ブロモ−ピリミジン−2−イル)−3−(2−メトキシ−エチル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オン(実施例10、工程3)及びエチニルベンゼンから出発し、実施例1、工程5の一般法に従って調製され、ラセミ体の(rac)−(3aRS,6aSR)−1−(2−メトキシ−エチル)−3−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オンを明黄色の油状物;MS:m/e=363.3(M+H
+)として産した。
【0066】
工程5:(−)−(3aR,6aS)−1−(2−メトキシ−エチル)−3−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オン
キラルHPLCと実施例1に記載のものと類似の分離条件を使用した分離が、エナンチオピュアなエナンチオマー(−)−(3aR,6aS)−1−(2−メトキシ−エチル)−3−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オンを非晶質の黄色の固体;MS:m/e=363.3(M+H
+)として及び(+)−(3aS,6aR)−1−(2−メトキシ−エチル)−3−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オンを非晶質の黄色の固体;MS:m/e=363.3(M+H
+)として産した。
【0067】
実施例6
(−)−(3aR,6aS)−1−(2−メトキシ−エチル)−3−(5−(3−フルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オン
【化20】
標記化合物は、(rac)−(3aSR,6aRS)−1−(5−ブロモ−ピリミジン−2−イル)−3−(2−メトキシ−エチル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オン(実施例5、工程3)及び1−エチニル−3−フルオロベンゼンから出発し、実施例1、工程5の一般法に従って調製され、ラセミ物質の((+/−)−(3aRS,6aSR)−1−(2−メトキシ−エチル)−3−(5−(3−フルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オンを明褐色の油状物;MS:m/e=381.3(M+H
+)として産し、次にこれを、実施例1に記載のものと類似の分離条件を使用したキラルHPLCによって分離して、エナンチオピュアなエナンチオマー(−)−(3aR,6aS)−1−(2−メトキシ−エチル)−3−(5−(3−フルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オンを非晶質の黄色の固体;MS:m/e=381.3 (M+H+)として及び(+)−(3aS,6aR1−(2−メトキシ−エチル)−3−(5−(3−フルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オンを非晶質の黄色の固体;MS:m/e=381.3(M+H
+)として産した。
【0068】
実施例7
(−)−(3aR,6aS)−1−(2−メトキシ−エチル)−3−(5−(4−フルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オン
【化21】
標記化合物は、(rac)−1−(5−ブロモピリミジン−2−イル)−3−(2−メトキシ−エチル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタ[d]イミダゾール−2(1H)−オン(実施例5、工程3)及び1−エチニル−4−フルオロベンゼンから出発し、実施例1、工程5の一般法に従って調製され、ラセミ物質の((+/−)−(3aRS,6aSR)−1−(2−メトキシ−エチル)−3−(5−(4−フルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オンをオフホワイトの固体;MS:m/e=381.3(M+H
+)として産した。キラルHPLCと実施例1に記載のものと類似の分離条件を使用した分離が、エナンチオピュアなエナンチオマー(−)−(3aR,6aS)−1−(2−メトキシ−エチル)−3−(5−(4−フルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オンをオフホワイトの固体;MS:m/e=381.3(M+H
+)として及び(+)−(3aS,6aR)−1−(2−メトキシ−エチル)−3−(5−(4−フルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オンをオフホワイトの固体;MS:m/e=381.3(M+H
+)として産した。
【0069】
実施例8
(−)−(3aR,6aS)−1−(2−メトキシ−エチル)−3−(5−(2,5−ジフルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オン
【化22】
標記化合物は、(rac)−1−(5−ブロモピリミジン−2−イル)−3−(2−メトキシ−エチル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタ[d]イミダゾール−2(1H)−オン(実施例5、工程3)及び1−エチニル−2,5−ジフルオロベンゼンから出発し、実施例1、工程5の一般法に従って調製され、ラセミ物質の((+/−)−(3aRS,6aSR)−1−(2−メトキシ−エチル)−3−(5−(2,5−ジフルオロ−フェニル−エチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オンを明褐色の固体;MS:m/e=399.2(M+H
+)として産した。キラルHPLCと実施例1に記載のものと類似の分離条件を使用した分離が、エナンチオピュアなエナンチオマー(−)−(3aR,6aS)−1−(2−メトキシ−エチル)−3−(5−(2,5−ジフルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オンをオフホワイトの固体;MS:m/e=399.2(M+H
+)として及び(+)−(3aS,6aR)−1−(2−メトキシ−エチル)−3−(5−(2,5−ジフルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オンを明黄色の油状物として産して、これを静置して固化させた;MS:m/e=399.2(M+H
+)。
【0070】
実施例9
(−)−(3aR,6aS)−1−(3−メトキシ−プロピル)−3−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オン
【化23】
工程1:(rac)−(3aSR,6aRS)−3−(3−メトキシ−プロピル)−2−オキソ−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル:
【化24】
標記化合物は、(rac)−(3aSR,6aRS)−2−オキソ−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(実施例1、工程1)から出発し、ヨードエタンの代わりに1−ブロモ−3−メトキシプロパンを使用し、実施例1、工程2の一般法に従って調製され、所望の生成物を明黄色の油状物として産して、これをさらに特性決定することなく次の工程に直接使用した。
【0071】
工程2:(rac)−(3aRS,6aSR)−1−(3−メトキシ−プロピル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オン:
【化25】
標記化合物は、(rac)−(3aSR,6aRS)−3−(3−メトキシ−プロピル)−2−オキソ−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(実施例9、工程2)から出発し、実施例1、工程3の一般法に従って調製され、所望の生成物を明褐色の油状物として産して、これをさらに特性決定することなく次の工程に直接使用した。
【0072】
工程3:(rac)−(3aRS,6aSR)−1−(3−メトキシ−プロピル)−3−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オン
10mLのパイレックス(pyrex)管中、2−ブロモ−5−(フェニルエチニル)ピリミジン(CAS:1338493−52−9)(80mg、309μmol、Eq:1.00)及び(rac)−(3aRS,6aSR)−1−(3−メトキシ−プロピル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オン(68.0mg、309μmol、1.0当量)を2mlのトルエンに溶解した。炭酸セシウム(201mg、618μmol、2.0当量)、Xanthphos(7.15mg、12.4μmol、0.04当量)及びPd
2(dba)
3(5.65mg、6.18μmol、0.02当量)を加え、赤褐色の反応混合物を90℃で3時間撹拌した。反応混合物を濾過し、シリカに吸着させ、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル20gと1gのシリカ−NH
2、ヘプタン中30%〜100%EtOAcのグラジエント、301nm)によって精製した。65.6mgの標記化合物を黄色の油状物;MS:m/e=377.6(M+H
+)として得た。
【0073】
工程5:(−)−(3aR,6aS)−1−(3−メトキシ−プロピル)−3−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オン
キラルHPLCと実施例1に記載のものと類似の分離条件を使用した分離が、エナンチオピュアなエナンチオマー(−)−(3aR,6aS)−1−(3−メトキシ−プロピル)−3−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オンを非晶質の黄色の固体;MS:m/e=377.6 (M+H
+)として及び(+)−(3aS,6aR)−1−(3−メトキシ−プロピル)−3−(5−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オンを非晶質の黄色の固体;MS:m/e=377.6(M+H
+)として産した。
【0074】
実施例10
(−)−(3aR,6aS)−1−(3−メトキシ−プロピル)−3−(5−(3−フルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オン
【化26】
工程1:(rac)−(3aSR,6aRS)−1−(5−ブロモ−ピリミジン−2−イル)−3−(3−メトキシ−プロピル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オン
【化27】
標記化合物は、実施例1、工程4の一般法に従って、(rac)−(3aSR,6aRS)−3−(3−メトキシ−プロピル)−2−オキソ−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(実施例9、工程2)と2−ブロモ−5−ヨードピリミジンの反応によって調製され、後処理及びフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘプタン中35%〜90%EtOAcのグラジエント)によって精製した後、所望の生成物を黄色の油状物として産して、これをさらに特性決定することなく次に工程に直接使用した。
【0075】
工程2:(−)−(3aR,6aS)−1−(3−メトキシ−プロピル)−3−(5−(3−フルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オン:
標記化合物は、(rac)−(3aSR,6aRS)−1−(5−ブロモ−ピリミジン−2−イル)−3−(3−メトキシ−プロピル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オン及び1−エチニル−3−フルオロベンゼンから出発し、実施例1、工程5の一般法に従って調製され、ラセミ物質の((+/−)−(3aRS,6aSR)−1−(3−メトキシ−プロピル)−3−(5−(3−フルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オンを褐色の油状物;MS:m/e=395.6(M+H
+)として産し、次にこれを、実施例1に記載のものと類似の分離条件を使用したキラルHPLCによって分離して、エナンチオピュアなエナンチオマー(−)−(3aR,6aS)−1−(3−メトキシ−プロピル)−3−(5−(3−フルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オンを橙色の油状物;MS:m/e=395.6(M+H+)として及び(+)−(3aS,6aR1−(3−メトキシ−プロピル)−3−(5−(3−フルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オンを橙色の油状物;MS:m/e=395.6(M+H
+)として産した。
【0076】
実施例11
(−)−(3aR,6aS)−1−(3−メトキシ−プロピル)−3−(5−(4−フルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オン
【化28】
標記化合物は、(rac)−(3aSR,6aRS)−1−(5−ブロモ−ピリミジン−2−イル)−3−(3−メトキシ−プロピル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オン及び1−エチニル−4−フルオロベンゼンから出発し、実施例1、工程5の一般法に従って調製され、ラセミ物質の((+/−)−(3aRS,6aSR)−1−(3−メトキシ−プロピル)−3−(5−(3−フルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オンを褐色の油状物;MS:m/e=395.6(M+H
+)として産し、次にこれを、実施例1に記載のものと類似の分離条件を使用したキラルHPLCによって分離して、エナンチオピュアなエナンチオマー(−)−(3aR,6aS)−1−(3−メトキシ−プロピル)−3−(5−(3−フルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オンを橙色の油状物;MS:m/e=395.6(M+H+)として及び(+)−(3aS,6aR1−(3−メトキシ−プロピル)−3−(5−(3−フルオロ−フェニルエチニル−ピリミジン−2−イル)−ヘキサヒドロ−シクロペンタイミダゾール−2−オンを橙色の油状物;MS:m/e=395.6(M+H
+)として産した。