(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施形態]
図1から
図7を参照して、内視鏡装置の第1実施形態について説明する。
図1は本発明の内視鏡装置の全体構成図を示す。
図1に示すように、内視鏡装置11は、内視鏡12と、画像処理を含む制御を行う制御装置13と、光源装置14と、送気・送水・吸引装置15と、キーボード16と、モニタ17と、を有する。
【0010】
光源装置14は、制御装置13の制御下で、内視鏡12の後述する先端硬質部21にある照明レンズ22に光を供給する。送気・送水・吸引装置15は、制御装置13の制御下で、内視鏡12の先端硬質部21にあるノズル23に対して送気・送水を行ったり、チャンネル45を介して孔内から液体や組織等を吸引したりする。制御装置13の画像処理部は、内視鏡12の先端硬質部21の対物レンズ43を通して撮影された被検体の画像を画像処理してモニタ17に表示する。
【0011】
図1に示すように、内視鏡12は、操作部24と、操作部24と制御装置13とを連結するユニバーサルコード25と、操作部24に隣接したグリップ部26と、グリップ部26から延びて観察対象(被検体、装置)の孔内に挿入される挿入部27と、を有する。内視鏡12は、ユニバーサルコード25を介して制御装置13、光源装置14、及び送気・送水・吸引装置15に接続されている。
【0012】
図1において、矢印D1は挿入部27の長手方向Dの先端方向を示しており、矢印D2は長手方向の基端方向を示している。挿入部27は、細長く可撓性を有する可撓管部31と、この可撓管部31の先端に設けられた湾曲部32と、この湾曲部32の先端に設けられた先端部材としての先端硬質部21と、を備えている。
【0013】
湾曲部32の内部には、挿入部27の長手方向Dに沿って並んだ円筒状の複数の湾曲駒33が設けられている。隣接する湾曲駒33の間に介在されたピンによって湾曲駒33同士は角度を変えることができ、複数の湾曲駒33によって湾曲部32を湾曲させるための関節が構成される。湾曲部32の外周部は、後述する外皮34で被覆されている。さらに湾曲駒33の内側には、湾曲部32をU方向及びそれとは反対のD方向に湾曲させるための一対の第1ワイヤと、湾曲部32をR方向及びそれとは反対のL方向に湾曲させるための一対の第2ワイヤと、が挿通されている。一対の第1ワイヤおよび一対の第2ワイヤは、挿入部27の先端側において最も先端に位置する湾曲駒33に固定されている。一対の第1ワイヤは、操作部24側において第1ダイヤルユニット35の第1プーリに固定されている。同様に、一対の第2ワイヤは、操作部24側において第2ダイヤルユニット36の第2プーリに固定されている。湾曲駒33、第1ワイヤおよび第2ワイヤの作用によって、湾曲部32は、UP方向、DOWN方向、RIGHT方向およびLEFT方向のいずれの方向およびこれらを組み合わせた方向に湾曲することができる。
【0014】
図1に示すように、操作部24は、例えば合成樹脂材料で形成されたケース41と、ケース41から突出するとともにケース41に対して回転可能に設けられた第1ダイヤルユニット35と、ケース41から突出するとともにケース41に対して回転可能に設けられた第2ダイヤルユニット36と、ケース41に設けられたボタン部42と、を有している。ボタン部42は、ノズル23を介して内視鏡の先端硬質部に送気・送水を行う第1ボタン42B(送気・送水ボタン)と、チャンネル45を介して内視鏡の先端硬質部で吸引を行う第2ボタン42A(吸引ボタン)と、を含んでいる。
【0015】
第1ダイヤルユニット35は、湾曲部32をU方向(UP側)またはD方向(DOWN側)に湾曲させる際に使用される。ユーザが第1ダイヤルユニット35のUDノブを操作すると、第1プーリが回転して一方の第1ワイヤを引っ張るとともに他方の第1ワイヤの緊張が緩められ、湾曲部32をU方向またはD方向に湾曲させることができる。
【0016】
第2ダイヤルユニット36は、湾曲部32をR方向(RIGHT側)またはL方向(LEFT側)に湾曲させる際に使用される。ユーザが第2ダイヤルユニット36のRLノブを操作すると、第2プーリが回転して一方の第2ワイヤを引っ張るとともに他方の第2ワイヤの緊張が緩められ、湾曲部32をR方向またはL方向に湾曲させることができる。
【0017】
図2に示すように、先端硬質部21には、対物レンズ43を含む筒状部材としてのユニット44と、孔内の液体や組織等を吸引したり、処置具を挿通して処置を行ったりするチャンネル45と、照明レンズ22と、先端硬質部21の先端面を洗浄する水や空気を供給するノズル23と、が設けられている。
【0018】
図3に示すように、先端硬質部21は、金属製で略円筒形をなしている先端硬質部本体46(先端部材)と、先端硬質部本体46の先端側を覆う先端カバー47と、先端硬質部21の外周面を覆うゴム製の外皮34と、先端硬質部本体46に設けられる孔部48と、孔部48内に収納されるユニット44と、ユニット44を先端硬質部本体46に固定するための固定部材51と、ユニット44のレンズ枠53と先端カバー47との間に介在される接着剤52と、を備える。
【0019】
先端カバー47は、例えば、合成樹脂材料によってキャップ状に形成されている。
図4に示すように、接着剤52は、レンズ枠53と先端カバー47との間の隙間54を密封することができる。
図3に示すように、孔部48は、先端硬質部本体46の先端面に開口している。孔部48は、挿入部27の長手方向Dに沿って延びている。孔部48は、略円形の断面形状をなしている。先端硬質部本体46は、第1突出部55を有している。
図3、
図5に示すように、第1突出部55は、孔部48の内周面からユニット44に向けて(孔部48の中心方向に向けて)突出する。第1突出部55は、ユニット44の全周に対応するようにリング形に設けられている。第1突出部55の形状は、一部で不連続になった略リング形であってもよい。
【0020】
図3に示すように、ユニット44は、いわゆる対物レンズ部56と、対物レンズ部56に固定された撮像部57と、撮像部57から操作部24方向に延びる複数の電線を一体的にまとめたケーブル58と、を備えている。
【0021】
対物レンズ部56は、略円筒形のレンズ枠53と、レンズ枠53内に収められた複数の対物レンズ43(例えば、第1から第7対物レンズ43A〜43G)と、レンズ枠53の外縁部からさらに外側に突出した第2突出部61と、レンズ枠53の先端方向D1の外周面(外縁部)に設けられる第1ねじ部62と、を有している。
図3、
図6に示すように、第2突出部61は、ユニット44の外縁部(レンズ枠53)の略全周に対応するようにリング形に設けられており、第1突出部55と当接することができる。第2突出部61の形状は、一部で不連続になった略リング形であってもよい。対物レンズ部56は、略円柱形に形成されている。
【0022】
図3に示すように、撮像部57は、CCD63が対物レンズ部56に対向するように設けられている。撮像部57は、略四角柱状に形成されている。撮像部57は、CCD63と、CCD63を覆うカバーガラス64A、64Bと、を有している。撮像部57は、例えば接着剤によって対物レンズ部56に固定されている。
【0023】
固定部材51は、例えば金属材料によってリング状(ナット状)に形成されている。固定部材51は、その内周面に第1ねじ部62と螺合(係合)する第2ねじ部65を有する。固定部材51は、ユニット44に対して固定することができる。固定部材51は、ユニット44に固定された状態で、この固定部材51と第2突出部61との間に、先端硬質部本体46側の第1突出部55を挟みこむことができる。また、固定部材51は、挿入部27の長手方向Dに沿う方向において、第1突出部55および第2突出部61と直列的に並んでいる。
【0024】
続いて、
図3から
図7を参照して、本実施形態の挿入部27の先端硬質部21周りの組み立て方法について説明する。先端硬質部本体46の孔部48に対して、長手方向Dにおける基端方向D2からユニット44を差し込む。これによって、先端硬質部本体46の第1突出部55に対してユニット44の第2突出部61を突き当てる。この状態で、第1突出部55の内側からユニット44のレンズ枠53(第1ねじ部62)が突出する。
【0025】
そして、長手方向Dにおける先端方向D1から第1ねじ部62に対して、第2ねじ部65が形成された固定部材51を締結する。固定部材51を固定すると、固定部材51が第1突出部55に突き当たり、ユニット44の第2突出部61と固定部材51との間に先端硬質部本体46の第1突出部55が挟まれた状態となる。このようにして、先端硬質部本体46に対してユニット44が強固に固定される。最後に先端硬質部本体46に先端カバー47を被せて、組み立てが完了する。なお、
図7に示すように、先端硬質部本体46の孔部48の断面は、ユニット44の撮像部57付近が通る位置において、ユニット44の角部をよけるように逃げ部66が形成されている。
【0026】
第1実施形態によれば、内視鏡12は、観察対象の孔内に挿入される挿入部27と、挿入部27の先端部に設けられ、孔部48を有する先端部材と、孔部48内に収納される筒状部材と、前記先端部材または前記筒状部材の一方と係合することで、該一方とともに前記先端部材または前記筒状部材の他方を前記孔部の貫通方向に挟んで固定する固定部材51と、を備える。
固定部材51は、前記筒状部材に係合され、前記筒状部材と固定部材51との間に前記先端部材を挟むことによって前記筒状部材を前記先端部材に対して固定する。前記先端部材は、孔部48の内周面から突出する第1突出部55を有し、前記筒状部材は、前記筒状部材の外周面から突出する第2突出部61を有し、第1突出部55は、固定部材51と第2突出部61との間に挟まれる。
【0027】
これらの構成によれば、固定部材51によって筒状部材を強固に固定することができる。また、固定部材51と筒状部材の第2突出部61との間に筒状部材側の第1突出部55が挟まれる構造となるため、筒状部材のぐらつきを防止して筒状部材を強固に固定することができる。
【0028】
固定部材51は、挿入部27の長手方向Dに沿う方向において第1突出部55および第2突出部61と並ぶ。この構成によれば、挿入部27のいわゆる半径方向に固定部材51、第1突出部55および第2突出部61が並ぶことがないので、挿入部27および先端硬質部本体46の半径を小さくすることができる。
【0029】
第2突出部61は、外縁部の略全周にわたる。この構成によれば、例えば、外部から衝撃が加えられた場合でも、ユニット44(筒状部材)に対して加えられる衝撃を第2突出部61において拡散することができる。
【0030】
固定部材51は、リング状をなしている。この構成によれば、ユニット44の固定強度を十分に確保することができる。また、ユニット44(筒状部材)は、外縁部に形成された第1ねじ部62を有し、固定部材51は、その内周面に形成されるとともに第1ねじ部62と係合する第2ねじ部65を有する。この構成によれば、固定部材51および第2突出部61の間に第1突出部55を挟み込む際に、第2突出部61およびこれに連続するユニット44に対して均一に圧力をかけることができる。これによって、例えば挿入部27に衝撃が加えられた際にユニット44の一か所に応力が集中してしまうことがなく、ユニット44が破損する危険性を低減して、内視鏡12の信頼性を向上できる。
【0031】
ユニット44(筒状部材)は、第2突出部61が設けられた筒状のレンズ枠53と、レンズ枠53の内側に収められるレンズと、を有する。この構成によれば、ユニット44を固定する際にレンズ枠53が歪むことがないため、レンズ等の破損しやすい部品をユニット44が含む場合に、当該破損しやすい部品の破損を極力防ぎつつ、強固にユニット44を固定することができる。
【0032】
ユニット44(筒状部材)は、レンズに対向する撮像部57を有する。この構成によれば、撮像部57等の電子部品をユニット44が含む場合でも、当該破損しやすい電子部品の破損をできるだけ防ぎつつ、先端硬質部本体46に対してユニット44を強固に固定することができる。
【0033】
[第2実施形態]
図8から
図10を参照して、第2実施形態の内視鏡装置について説明する。第2実施形態の内視鏡装置は、ユニット44側の第2突出部61が先端硬質部本体46側の第1突出部55と固定部材51との間で挟まれる点で第1の実施形態のものと異なっているが、他の部分は第1実施形態と共通している。このため、主として第1実施形態と異なる部分について説明し、第1実施形態と共通する部分については図示或いは説明を省略する。
【0034】
図8に示すように、先端硬質部21は、金属製で略円筒形をなしている先端硬質部本体46と、先端硬質部本体46の先端側を覆う先端カバー47と、先端硬質部21の外周面を覆う外皮34と、先端硬質部本体46に設けられる孔部48と、孔部48内に収納されるユニット44と、ユニット44を先端硬質部本体46に固定するための固定部材51と、ユニット44のレンズ枠53と先端カバー47との間に介在される接着剤52と、を備える。
【0035】
先端硬質部本体46(先端部材)は、第1突出部55と、第1突出部55よりも先端方向側で孔部48の内周面に設けられた第1ねじ部62と、を有している。第1突出部55は、孔部48の内周面からユニット44に向けて(孔部48の中心方向に向けて)突出する。
図9に示すように、第1突出部55は、第1実施形態とは異なり、不連続に設けられている。第1突出部55は、孔部48の中心方向に向けて突出する複数(4個)の張り出し部67を有している。先端硬質部本体46は、張り出し部67同士の間の位置に切欠部68を有している。切欠部68は、ユニット44の撮像部57の角部に対応するように4か所に設けられている。後述するように、孔部48に対して先端方向D1側からユニット44を差し込む際に、撮像部57は、孔部48および切欠部68を介して、第1突出部55よりも基端方向D2側の位置に差し込まれる。
図8に示すように、第1ねじ部62は、孔部48の内周面のうち、最も先端方向D1側に寄った位置で、ユニット44の対物レンズ部56に対応する位置に設けられている。
【0036】
ユニット44(筒状部材)は、いわゆる対物レンズ部56と、対物レンズ部56に固定された撮像部57と、撮像部57から操作部24方向に延びる複数の電線を一体的にまとめたケーブル58と、を備えている。
【0037】
対物レンズ部56は、略円筒形のレンズ枠53と、レンズ枠53内に収められた複数の対物レンズ43(例えば、第1から第7対物レンズ43)と、レンズ枠53の外縁部からさらに外側に突出した第2突出部61と、を有している。第2突出部61は、ユニット44の外縁部(レンズ枠53)の略全周に対応するようにリング形(フランジ形)に設けられており、第1突出部55と当接することができる。第2突出部61の形状は、一部で不連続になった略リング形であってもよい。対物レンズ部56は、略円柱形に形成されている。本実施形態では、第1実施形態と異なり、レンズ枠53にねじ部が形成されていない。
【0038】
固定部材51は、例えば金属材料によってリング状(ボルト状)に形成されている。固定部材51は、その外周面に第1ねじ部62と螺合(係合)する第2ねじ部65を有する。固定部材51は、先端硬質部本体46に固定することができる。固定部材51は、先端硬質部本体46に固定された状態で、この固定部材51と先端硬質部本体46側の第1突出部55との間に、ユニット44側の第2突出部61を挟みこむことができる。固定部材51は、挿入部27の長手方向Dに沿う方向において第1突出部55および第2突出部61と並んでいる。
【0039】
続いて、
図8から
図10を参照して、本実施形態の挿入部27の先端硬質部21周りの組み立て方法について説明する。第1実施形態とは異なり、本実施形態では、先端硬質部本体46の孔部48に対して、長手方向Dにおける先端方向D1からユニット44を差し込む。これに先立って、ワイヤー等を使用して予め孔部48およびそれに連なる挿入部27(可撓管部31および湾曲部32)の内側にケーブル58を通しておく。そして、挿入部27の基端方向D2側からケーブル58を引っ張って、先端硬質部本体46の孔部48に対して先端方向D1側からユニット44を引き込むと、先端硬質部本体46の第1突出部55に対してユニット44の第2突出部61を突き当てることができる。この状態では、先端硬質部本体46の第1ねじ部62が外界に露出している。
【0040】
長手方向Dにおける先端方向D1から、第2ねじ部65が形成された固定部材51を第1ねじ部62に対して締結する。固定部材51を固定すると、固定部材51が第2突出部61に突き当たり、先端硬質部本体46の第1突出部55と固定部材51との間にユニット44の第2突出部61が挟まれた状態となる。このようにして、先端硬質部本体46に対してユニット44が強固に固定される。なお、
図10に示すように、先端硬質部本体46の孔部48には、ユニット44の撮像部57付近が通る位置において、ユニット44の角部をよけるように逃げ部66が形成されている。
【0041】
本実施形態によれば、固定部材51は、前記先端部材に係合され、前記先端部材と固定部材51との間に前記筒状部材を挟むことによって前記筒状部材を前記先端部材に対して固定する。前記先端部材は、孔部48の内周面から突出する第1突出部55を有し、前記筒状部材は、前記筒状部材の外周面から突出する第2突出部61を有し、第2突出部61は、固定部材51と第1突出部55との間に挟まれる。
【0042】
これらの構成によれば、固定部材51と先端部材側の第1突出部55との間に筒状部材側の第2突出部61が挟まれるため、筒状部材のぐらつきを防止して先端部材に対して筒状部材を強固に固定することができる。また、この構成によれば、先端部材の孔部48に対して先端方向D1側から筒状部材を着脱できる。このため、筒状部材に不具合を生じた場合に、先端方向D1側から筒状部材を取り外して、簡単に部品の交換をすることができる。このため、本実施形態の内視鏡12によれば、メンテナンス性を向上できる。
【0043】
固定部材51は、挿入部27の長手方向Dに沿う方向において第1突出部55および第2突出部61と並ぶ。この構成によれば、挿入部27のいわゆる半径方向に固定部材51、第1突出部55および第2突出部61が並ぶことがないので、挿入部27および先端硬質部本体46の半径を小さくすることができる。
【0044】
第2突出部61は、外縁部の略全周にわたる。この構成によれば、外部から衝撃が加えられた場合でも、ユニット44(筒状部材)に対して加えられる衝撃を第2突出部61において拡散することができる。
【0045】
固定部材51は、リング状をなしている。この構成によれば、ユニット44(筒状部材)の固定強度を十分に確保することができる。また、先端部材は、孔部48の内周面に形成された第1ねじ部62を有し、固定部材51は、その外周面に形成されるとともに第1ねじ部62と係合する第2ねじ部65を有する。この構成によれば、固定部材51および第1突出部55の間に第2突出部61を挟み込む際に、第2突出部61およびこれに連なるユニット44に対して均一に圧力をかけることができる。これによって、例えば挿入部27に衝撃が加えられた際にユニット44の一か所に応力が集中してしまうことがなく、ユニット44が破損する危険性を低減して、内視鏡12の信頼性を向上できる。
【0046】
[第3実施形態]
図11から
図13を参照して、第3実施形態の内視鏡装置11について説明する。第3実施形態の内視鏡装置11は、先端硬質部本体46(先端部材)とユニット44(筒状部材)との間に回転規制部71が設けられる点で第1の実施形態のものと異なっているが、他の部分は第1実施形態と共通している。このため、主として第1実施形態と異なる部分について説明し、第1実施形態と共通する部分については図示或いは説明を省略する。
【0047】
図11に示すように、先端硬質部21は、金属製で略円筒形をなしている先端硬質部本体46と、先端硬質部本体46の先端側を覆う先端カバー47と、先端硬質部21の外周面を覆う外皮34と、先端硬質部本体46に設けられる孔部48と、孔部48内に収納されるユニット44と、ユニット44を先端硬質部本体46に固定するための固定部材51と、先端硬質部本体46とユニット44との間に介在される回転規制部71(
図12参照)と、ユニット44のレンズ枠53と先端カバー47との間に介在される接着剤52と、を備える。
【0048】
図12に示すように、回転規制部71は、ユニット44のレンズ枠53に設けられた凸部72(キー部)と、先端硬質部本体46の孔部48から窪んだ凹部73(キー溝部)と、を含んでいる。凸部72が凹部73の内側に嵌ることで、回転規制部71は、先端硬質部本体46に対してユニット44が回転してしまうことを防止することができる。
【0049】
図11から
図13を参照して、本実施形態の挿入部27の先端硬質部21周りの組み立て方法について説明する。先端硬質部本体46の孔部48に対して、長手方向Dにおける基端方向D2からユニット44を差し込む。その際、凹部73の内側に凸部72が嵌るようにする。先端硬質部本体46の第1突出部55に対してユニット44の第2突出部61を突き当てると、第1突出部55の内側からユニット44のレンズ枠53(第1ねじ部62)が突出する。
【0050】
そして、長手方向Dにおける先端方向D1から第1ねじ部62に対して、第2ねじ部65が形成された固定部材51を締結する。このとき、回転規制部71の作用により、固定部材51を締結する際にユニット44が固定部材51に連れ回りしてしまうことが防止される。
【0051】
固定部材51を固定すると、ユニット44の第2突出部61と固定部材51との間に先端硬質部本体46の第1突出部55が挟まれた状態となる。このようにして、先端硬質部本体46に対してユニット44が強固に固定される。なお、
図13に示すように、先端硬質部本体46の孔部48には、ユニット44の撮像部57付近が通る位置において、ユニット44の角部をよけるように逃げ部66が形成されている。
【0052】
本実施形態によれば、内視鏡12は、回転規制部71を備え、回転規制部71は、先端硬質部本体46とユニット44との間に介在されるとともに、先端硬質部本体46に対してユニット44が回転することを規制する。この構成によれば、固定部材51を回転させて第1ねじ部62に対して第2ねじ部65を締結する際に、固定部材51に対してユニット44が連れ回りしてしまうことを防止できる。これによって、固定部材51を締結する際の作業性を向上できる。
【0053】
また、本実施形態では、回転規制部71は、先端硬質部本体46とユニット44のレンズ枠53との間に設けられるため、ユニット44の他の部分(例えば、撮像部57の周囲)に負荷をかけることなく組み立てを行うことができる。これによって、組み立て時にユニット44を破損してしまう危険性を低減できる。
【0054】
[第4実施形態]
図14から
図18を参照して、第4実施形態の内視鏡装置について説明する。第4実施形態の内視鏡装置11は、固定部材51の回転を補助するための溝部74が設けられる点、先端硬質部本体46とユニット44との間に回転規制部71が設けられる点、で第2の実施形態のものと異なっているが、他の部分は第2実施形態と共通している。このため、主として第2実施形態と異なる部分について説明し、第2実施形態と共通する部分については図示或いは説明を省略する。
【0055】
図15に示すように、先端硬質部21は、金属製で略円筒形をなしている先端硬質部本体46(先端部材)と、先端硬質部本体46の先端側を覆う先端カバー47と、先端硬質部21の外周面を覆う外皮34と、先端硬質部本体46に設けられる孔部48と、孔部48内に収納されるユニット44(筒状部材)と、ユニット44を先端硬質部本体46に固定するための固定部材51と、先端硬質部本体46とユニット44との間に介在される回転規制部71(
図16参照)と、ユニット44のレンズ枠53と先端カバー47との間に介在される接着剤52と、を備える。
【0056】
固定部材51は、例えば金属材料によってリング状(ボルト状)に形成されている。固定部材51は、その外周面に第1ねじ部62と係合する第2ねじ部65を有する。
図14に示すように、固定部材51には、ユニット44の半径方向に延びる一対の溝部74が設けられている。この溝部74に対して治工具75の突出片75Aを差し込むことができる。一対の溝部74は、係合部の一例である。
図15、
図17に示すように、固定部材51は、この固定部材51と先端硬質部本体46側の第1突出部55との間に、ユニット44側の第2突出部61を挟みこむことができる。治工具75は、固定部材51を回転させる器具の一例である。
【0057】
図16に示すように、回転規制部71は、ユニット44のレンズ枠53に窪んだ設けられた凹部73と、先端硬質部本体46の孔部48から突出した凸部72と、を含んでいる。凸部72が凹部73の内側に嵌ることで、回転規制部71は、先端硬質部本体46に対してユニット44が回転してしまうことを防止することができる。
【0058】
図14から
図18を参照して、本実施形態の挿入部の先端硬質部21周りの組み立て方法について説明する。先端硬質部本体46の孔部48に対して、長手方向Dにおける先端方向D1からユニット44を差し込む。その際、凹部73の内側に凸部72が嵌るようにする。先端硬質部本体46の第1突出部55に対してユニット44の第2突出部61を突き当てると、第1突出部55の内側からユニット44のレンズ枠53(第1ねじ部62)が突出する。
【0059】
そして、長手方向Dにおける先端方向D1から第1ねじ部62に対して、第2ねじ部65が形成された固定部材51を締結する。固定部材51の溝部74には、治工具75の突出片75Aが差し込まれる。治工具75を回転させると、固定部材51を先端硬質部本体46に対して締結させることができる。治工具75によって、固定部材51の締結を容易に行うことができる。このとき、回転規制部71の作用により、固定部材51を締結する際にユニット44が固定部材51に連れ回りしてしまうことが防止される。
【0060】
固定部材51を固定すると、ユニット44の第2突出部61は固定部材51と先端硬質部本体46の第1突出部55との間に挟まれた状態となる。このようにして、先端硬質部本体46に対してユニット44が強固に固定される。なお、
図18に示すように、先端硬質部本体46の孔部48の断面は、ユニット44の撮像部57付近が通る位置において、ユニット44の角部をよけるように逃げ部66が形成されている。
【0061】
本実施形態によれば、固定部材51は、係合部を有し、係合部には、固定部材51を回転させる器具を係合可能である。この構成によれば、器具を利用して固定部材51の締結を簡単に行うことができる。これによって、内視鏡12の組み立て時の作業性を向上できる。
【0062】
なお、本実施形態では、固定部材51に溝部74を設けているが、次に述べる第3実施形態の変形例のように、固定部材51に孔部を設けて、コンパス状の治工具75を用いて固定部材51を締結するようにしてもよい。
【0063】
(変形例)
図19を参照して、第3実施形態の内視鏡装置の変形例について説明する。以下では、第3実施形態と異なる部分について説明し、第3実施形態と共通する部分については図示或いは説明を省略する。
【0064】
本変形例では、第4実施形態と同様に、固定部材51の締結に治工具75を用いることができる。本変形例では、治工具75は、回転軸76と、コンパス状の一対のアーム77と、アーム77の先端に設けられたピン78と、を有している。治工具75は、固定部材51を回転させる器具の一例である。
【0065】
固定部材51は、例えば金属材料によってリング状(ナット状)に形成されている。固定部材51は、その内周面に第1ねじ部62と係合する第2ねじ部65を有する。固定部材51の端面には、ドリル等で形成した孔部81が一対に設けられており、この孔部81に対して治工具75のピン78を差し込むことができる。固定部材51は、この固定部材51とユニット44(筒状部材)の第2突出部61との間に、先端硬質部本体46(先端部材)側の第1突出部55を挟みこむことができる。孔部81は、係合部の一例である。
【0066】
図19を参照して、本実施形態の挿入部27の先端硬質部21周りの組み立て方法について説明する。先端硬質部本体46の孔部48に対して、長手方向Dにおける基端方向D2からユニット44を差し込む。その際、凹部73の内側に凸部72が嵌るようにする。先端硬質部本体46の第1突出部55に対してユニット44の第2突出部61を突き当てると、第1突出部55の内側からユニット44のレンズ枠53(第1ねじ部62)が突出する。
【0067】
そして、長手方向Dにおける先端方向D1側から第1ねじ部62に対して、第2ねじ部65が形成された固定部材51を締結する。固定部材51の孔部81には、治工具75のピン78が差し込まれる。治工具75を回転させると、固定部材51を先端硬質部本体46に対して締結させることができる。治工具75によって、固定部材51の締結を容易に行うことができる。このとき、回転規制部71の作用により、固定部材51を締結する際にユニット44が固定部材51に連れ回りしてしまうことが防止される。
【0068】
固定部材51を固定すると、ユニット44の第2突出部61と固定部材51との間に先端硬質部本体46の第1突出部55が挟まれた状態となる。このようにして、先端硬質部本体46に対してユニット44が強固に固定される。
【0069】
本変形例によれば、固定部材51は、係合部を有し、係合部には、固定部材51を回転させる器具を係合可能である。この構成によれば、器具を利用して固定部材51の締結を簡単に行うことができる。これによって、内視鏡12の組み立て時の作業性を向上できる。
【0070】
なお、本変形例では、固定部材51に孔部81を設けているが、先に述べた第4実施形態のように、固定部材51に溝部74を設けて、円筒形で先端に突出片78を有する治工具75を用いて固定部材51を締結するようにしてもよい。
【0071】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変形実施することができる。すなわち、上記の各実施形態において、ユニット44は、対物レンズ部56および撮像部57を含んで構成されているが、孔部48に収納されるユニット44としては、これに限定されるものではない。孔部48に収納されるユニット44としては、照明レンズ22および光源を有する照明レンズユニット等であってもよい。また、固定部材51をユニット44又は先端硬質部本体46に固定する際の固定方法は、ねじ止めに限定されるものではない。固定部材51の固定方法は、嵌め合い、圧入、或いは接着剤を利用した接着でもよい。さらに、上記各実施形態の内視鏡を組み合わせて一つの内視鏡を構成することも当然に可能である。
内視鏡は、観察対象の孔内に挿入される挿入部27と、挿入部27の先端部に設けられ、孔部48を有する先端部材と、孔部48内に収納される筒状部材と、前記先端部材または前記筒状部材の一方と係合することで、該一方とともに前記先端部材または前記筒状部材の他方を前記孔部の貫通方向に挟んで固定する固定部材51と、を備える。