(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上記特許文献2に記載の印刷物発行装置では、一対のローラの逆回転時における印刷用紙の進行方向に回収箱を設置する必要があるため、回収箱の設置位置が限られた箇所となってしまい、印刷物発行装置の設計の自由度が低くなってしまうという問題があった。
また、印刷用紙を発行する際と回収する際の送り出し方向とが真逆になるため、回収時に印刷用紙が誤って印刷用紙の発行時の経路に導かれてしまうおそれがある。これにより、紙詰まり等の不具合が発生し、安定的な発行動作を妨げてしまう。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、設置の自由度の向上を図ることができるとともに、安定的な発行動作を行うことが可能な印刷物発行装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を提供している。
即ち、本発明に係る印刷物発行装置は、印刷用紙に印刷を施し、該印刷用紙を送り出す印刷部と、前記印刷部によって送り出された前記印刷用紙を、正逆回転可能とされた一対のローラで挟持しながらこれら一対のローラを正回転させることにより、前記印刷用紙を搬送方向に送り出す搬送ローラ部と、前記搬送ローラ部の搬送方向を、前記印刷用紙の排出口側に向かう第一方向と該第一方向に交差する第二方向との間で選択的に切り替える搬送方向切替部と、前記搬送方向を前記第二方向とする前記搬送ローラ部の前記第二方向の後方側又は前方側に配置され、前記印刷用紙を収容可能とされた回収部と、を備え
、前記一対のローラは、一方のローラと他方のローラとからなり、前記搬送方向切替部は、前記一対のローラの軸線と平行な軸線回りに回転駆動可能とされ、前記他方のロータから見て前記一方のローラの反対側に設けられた駆動軸と、該駆動軸と前記一方のローラとを連結するとともに前記駆動軸の回転駆動に伴って該駆動軸の軸線回りに旋回する連結部と、を有し、前記搬送方向切替部は、前記連結部の旋回によって前記一方のローラを前記他方のローラの周方向に移動させることで前記搬送方向を切り替えることを特徴とする。
【0010】
このような特徴の印刷物発行装置によれば、搬送方向切替部によって搬送ローラ部の搬送方向を第一方向と第二方向とで切り替えることができる。これにより印刷用紙を排出口に導く際、即ち、発行する際と、印刷用紙を回収部に導く際、即ち、回収する際の送り出し方向を互いに異なるものとすることができる。したがって、回収時の印刷用紙が発行時の経路に誤って導かれることを回避することができる。
また、回収部が搬送ローラ部の第二方向の後方側に配置されている場合には、搬送ローラ部の搬送方向を第二位置とした後に該搬送ローラ部を逆回転させることで印刷用紙を回収部に導くことができる。一方、回収部が搬送ローラ部の第二方向の前方側に配置されている場合には、搬送ローラ部の搬送方向を第二位置とした後に該搬送ローラ部を正回転させることで印刷用紙を回収部に導くことができる。したがって、回収部を搬送ローラ部の第二方向の後方側又は前方側に設置さえすれば印刷用紙を回収することができるため、回収部の設置箇所の自由度を向上させることが可能となる。
【0012】
これによって、搬送ローラ部の搬送方向を第一方向に一致する状態と第二方向に一致する状態とで搬送方向を確実に切り替えることができる。
また、一対のローラの両方を移動させる場合に比べて簡易な構成でもって搬送ローラ部を第一位置と第二位置との間で移動させることができる。
【0013】
さらに、本発明に係る印刷物発行装置は、前記搬送方向切替部による前記一方のローラの移動に伴って、前記他方のローラが前記一方のローラの移動方向に回転することを特徴とする
【0016】
これによって、駆動軸の回転駆動に伴って一対のローラの少なくとも一方が移動されることにより、これら一対のローラからなる搬送ローラ部の搬送方向を第一方向と第二方向との間で確実に切り替えることができる。
【0017】
さらに、本発明に係る印刷物発行装置は、前記搬送方向が前記第一方向とされている際に前記印刷部から送り出された前記印刷用紙を前記搬送ローラ部に案内するガイド部をさらに備え、前記回収部は、前記搬送方向を前記第二方向とする前記搬送ローラ部の前記第二方向の後方側に配置され、前記搬送方向切替部は、前記一方のローラの移動とともに前記ガイド部を移動させ、前記印刷用紙の回収動作時に、前記搬送方向が前記第二方向とされた前記搬送ローラ部の逆回転により前記第二方向後方側に送り出される前記印刷用紙を、前記ガイド部が前記回収部へと案内するものであってもよい。
【0018】
これにより、ガイド部によって印刷部から送り出される印刷用紙を搬送ローラ部に確実に導くことができるとともに、回収動作時には該ガイド部により印刷用紙を回収部へと確実に導くことが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る印刷物発行装置によれば、回収部の設置箇所の自由度を向上させることができるため、印刷物発行装置全体としての設計の自由度の向上を図ることができる。また、回収時の印刷用紙が発行時の経路に誤って導かれることを回避することができるため、安定的に発行動作を行うことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の第一実施形態について、
図1から
図6を参照して詳細に説明する。
図1に示す印刷物発行装置100は、例えば有料道路や有料駐車場等の有料施設の料金所に設けられた料金自動収受機等に搭載されており、利用者の要求に応じて印刷用紙Pに印刷(印字)を施して領収書として発行する装置である。
【0022】
図1に示すように、印刷物発行装置100は、印刷用紙供給部10、印刷部20、搬送ローラ部30、搬送方向切替部35、切断部40、シャッター部50、回収部55、第一ガイド部60、第二ガイド部70、抜き取り検知センサ81、不渡し検知センサ82及び制御装置90(
図3参照)を備えている。
【0023】
印刷用紙供給部10は、印刷用紙Pを供給するものであって、印刷用紙Pを幾重にも巻き掛けることにより構成されたロール状をなすロール紙11と、該ロール紙11を回転可能に支持する軸部12とを備えている。そして、ロール紙11が軸部12回りに回転することにより、該ロール紙11の一部を印刷用紙Pとして下流側に向かって繰り出し可能とされている。なお、軸部12は必ずしも設ける必要はなく、ロール紙11を回転させながら印刷用紙Pを繰り出し可能であれば他の構成であってもよい。
【0024】
印刷部20は、印刷用紙供給部10から繰り出された印刷用紙Pに印刷を施しながら送り出す役割を有している。この印刷部20は、印刷用紙Pに印刷するサーマルヘッド等の印字ヘッド21と、該印字ヘッド21との間で印刷用紙Pを挟持しながら回転することで該印刷用紙Pを送り出すプラテンローラ22とを有している。これら印字ヘッド21及びプラテンローラ22は、
図3に示す印刷処理部91からの信号に応じて印刷用紙Pへの印刷及び該印刷用紙Pの送り出しを行うようになっている。
本実施形態では、印刷用紙Pは、プラテンローラ22によって水平面に平行に延びる第一搬送経路R1に沿って下流側に送り出される。
【0025】
搬送ローラ部30は、
図1及び
図2に示すように、印刷部20から送り出されて第一搬送経路R1に沿って進行する印刷用紙Pを、さらに下流側へと向かって搬送する役割を有しており、互いに平行な軸線回りに回転可能とされた一対のローラから構成されている。
【0026】
本実施形態の搬送ローラ部30は、上記一対のローラとして、回転駆動可能とされた駆動ローラ31と、該駆動ローラ31との間で印刷用紙Pを挟持可能とされ駆動ローラ31に従動して回転する従動ローラ32とを有している。
駆動ローラ31と従動ローラ32とは、これらの外周面同士の間に印刷用紙Pを挟持することができるように配置されている。なお、これら駆動ローラ31と従動ローラ32との外周面同士が最も近接する箇所、または互いに当接する箇所が、搬送ローラ部30による印刷用紙Pの挟持箇所となる。
【0027】
このような搬送ローラ部30は、正逆回転可能とされている。即ち、本実施形態においては駆動ローラ31が正逆回転駆動可能とされており、該駆動ローラ31が正回転する際には従動ローラ32も正回転し、これによって搬送ローラ部30としての正回転が行われる。また、駆動ローラ31が逆回転する際には従動ローラ32も逆回転し、これによって搬送ローラ部30としての逆回転が行われる。
なお、搬送ローラ部30の駆動、即ち、駆動ローラ31の駆動は、
図3に示す搬送ローラ駆動部92からの信号によって行われる。
【0028】
ここで、搬送ローラ部30が印刷用紙Pを挟持して正逆回転する際には、該印刷用紙Pは駆動ローラ31及び従動ローラ32の軸線に直交する断面において、これら軸線を結ぶ直線に直交する方向に送り出される。以下では、搬送ローラ部30が正回転する際に印刷用紙Pを送り出す方向を搬送ローラ部30の搬送方向D0と称する。
【0029】
このような搬送ローラ部30は、後述する搬送方向切替部35によって、印刷用紙Pの搬送方向D0を第一方向D1と第二方向D2との間で切り替えられるように構成されている。本実施形態においては、駆動ローラ31と従動ローラ32とのうち従動ローラ32のみが搬送方向切替部35によって移動されることで搬送方向D0が切り替えられ、従動ローラ32が第一位置に位置する際には搬送方向D0が第一方向D1とされ、該従動ローラ32が第二位置にある際には搬送方向D0が第二方向D2とされる。
【0030】
ここで、従動ローラ32の第一位置とは、
図2に実線で示すように、従動ローラ32の軸線が駆動ローラ31の軸線の直上よりも上流側、即ち、第一搬送経路R1の進行方向後方側にある状態の該従動ローラ32の位置を意味している。このように従動ローラ32が第一位置に位置する際には、搬送ローラ部30の搬送方向D0は、駆動ローラ31及び従動ローラ32の軸線に直交する断面において第一搬送経路R1の進行方向と鋭角をなす第一方向D1に一致している。この第一方向D1は、印刷用紙Pの排出口95側、即ち、下流側に向かう方向であって、本実施形態では、第一搬送経路R1の進行方向前方側に向かうに従って上方に向かうように傾斜する方向とされている。
【0031】
また、従動ローラ32の第二位置とは、
図2で仮想線で示すように、従動ローラ32の軸線が駆動ローラ31の軸線の同一水平面上かつ第一搬送経路R1の進行方向後方側にある状態の該従動ローラ32の位置を意味している。このように従動ローラ32が第二位置に位置する際には、搬送ローラ部30の搬送方向D0は、駆動ローラ31及び従動ローラ32の軸線に直交する断面において第一搬送経路R1の進行方向と直交して上方を向く第二方向D2に一致している。即ち、本実施形態では、第二方向D2は鉛直上向き方向と一致する方向とされている。
【0032】
このようにして搬送ローラ部30は、従動ローラ32が第一位置にある際に第一搬送経路R1に沿って進行してきた印刷用紙Pを挟持しながら正回転することによって、該印刷用紙Pを第一方向D1(第一方向D1前方側)に向かって送り出す。また、駆動ローラ31が第一位置に位置する搬送ローラ部30によって第一方向D1に送り出される印刷用紙Pが通過する径路は、搬送ローラ部30から第一方向D1前方側へと向かって延びる第二搬送経路R2とされている。
【0033】
一方、搬送ローラ部30は、従動ローラ32が第二位置にある際に印刷用紙Pを挟持しながら逆回転することによって、印刷用紙Pを第二方向D2の後方側に向かって送り出す。このように駆動ローラ31が第二位置に位置する搬送ローラ部30によって第二方向D2後方側に送り出される印刷用紙Pが通過する径路は、搬送ローラ部30から第二方向D2後方側へと向かって延びる回収搬送経路R4とされている。
【0034】
搬送方向切替部35は、搬送ローラ部30の搬送方向D0を第一方向D1と第二方向D2との間で切り替える役割を有している。本実施形態においては、搬送ローラ部30の従動ローラ32を第一位置と第二位置との間で移動させることで、搬送方向D0を切り替えている。
【0035】
この搬送方向切替部35は、駆動ローラ31から見て従動ローラ32の反対側に設けられてこれら駆動ローラ31及び従動ローラ32の軸線と平行な軸線回りに回転駆動可能とされた駆動軸36と、該駆動軸36と従動ローラ32とを連結する連結部37とを有している。連結部37はその一端が駆動軸36に一体に固定されており、これによって、連結部37は駆動軸36の軸線回りの回転に伴って該軸線回りに旋回するようになっている。また、連結部37の他端は従動ローラ32に一体に固定されており、これによって連結部37の旋回に伴って従動ローラ32は駆動ローラ31の周方向に移動するようになっている。即ち、搬送方向切替部35における駆動軸36が回転駆動されることで、連結部37を介して該駆動軸36と連結された従動ローラ32が駆動ローラ31の周方向に移動する。
【0036】
なお、従動ローラ32が搬送方向切替部35によって移動される際には、これと同時に駆動ローラ31は従動ローラ32の移動方向に回転するように構成されている。即ち、従動ローラ32と駆動ローラ31とで印刷用紙Pを挟持している際には、従動ローラ32が駆動ローラ31の周方向に移動する際に印刷用紙Pを介して従動ローラ32から駆動ローラ31に力が伝達されることで、駆動ローラ31が従動ローラ32の移動方向に回転する。また、この他、駆動ローラ31を従動ローラ32の移動方向に回転駆動させることで、従動ローラ32の移動に駆動ローラ31の回転が追従する構成としてもよい。
このような搬送方向切替部35は、
図3に示す搬送方向D0切替駆動部94からの信号によって駆動され、従動ローラ32を第一位置と第二位置との間で移動させる。
【0037】
図1に示すように、切断部40は、印刷用紙Pを所定の寸法に切断する役割を有しており、印刷部20と搬送ローラ部30との間に位置する第一搬送経路R1の上方に配置されている。これにより、切断部40は、第一搬送経路R1に沿って進行する印刷用紙Pに該第一搬送経路R1の上方からカッターを接触させることによって、該印刷用紙Pを所定の寸法に切断する。なお、切断部40としては、例えばロータリーカッター等を採用してもよい。
このような切断部40は、
図3に示す切断駆動部93からの信号によって駆動されるように構成されている。
【0038】
図1に示すように、シャッター部50は、印刷物発行装置100の最下流に設けられた排出口95を開閉する役割を有しており、例えばソレノイドや電動機等の駆動源によって開閉駆動可能とされている。通常時には排出口95を閉塞するシャッター部50が該排出口95を開放することで利用者が印刷用紙Pを取り出し可能とされる。
【0039】
図1及び
図2に示すように、回収部55は、印刷用紙Pを収容可能な箱状をなしており、当該箱状の開口部を上方に向けるようにして、従動ローラ32が第二位置にある状態の搬送ローラ部30の第二方向D2後方側に配置されている。これにより、第二方向D2後方側の延長線上に回収部55の開口部が位置することになる。
【0040】
図1及び
図2に示すように、第一ガイド部60は、印刷部20と搬送ローラ部30との間に位置する第一搬送経路R1における切断部40の下流側に設けられており、印刷部20から送り出された印刷用紙Pを第一搬送経路R1に沿って案内する役割を有している。
なお、この第一ガイド部60は、搬送方向切替部35による従動ローラ32の移動を干渉しない位置に配置されている。
【0041】
図1及び
図2に示すように、第二ガイド部70は、搬送ローラ部30とシャッター部50との間に設けられており、搬送ローラ部30から第二搬送経路R2に沿って第一方向D1に送り出された印刷用紙Pを排出口95に案内する役割を有している。
より詳細には、第二ガイド部70は、第二搬送経路R2に沿って進行する印刷用紙Pを、第一搬送経路R1と平行に下流側に向かって延びる第三搬送経路R3に沿って進行するように案内する役割を有している。本実施形態ではこの第三搬送経路R3の下流側に排出口95が位置している。
【0042】
図1及び
図2に示すように、抜き取り検知センサ81は、排出口95に到達した印刷用紙Pが利用者によって抜き取られたか否かを検知する役割を有している。
本実施形態の抜き取り検知センサ81としては、第三搬送経路R3の上方に設けられたレーザセンサを採用している。即ち、抜き取り検知センサ81は、第三搬送経路R3上に印刷用紙Pが存在する際には、レーザが遮断されることによりオン信号を出力する一方、該第三搬送経路R3上に印刷用紙Pが存在しない際には、レーザが遮断されないことによりオフ信号を出力する。これによって、抜き取り検知センサ81の出力がオン信号からオフ信号に変わることで、印刷用紙Pが利用者によって抜き取られたことを検知することができる。
【0043】
なお、例えば抜き取り検知センサ81として、第一搬送路R1の上方に配置された発光器と第一搬送路R1の下方に配置された受光器とを設けた構成を採用してもよい。この場合、抜き取り検知センサ81は、発光器からの光を受光器が受光することで、オフ信号を出力する一方、発光器からの光を受光器が受光不可となることによりオン信号を出力する。
【0044】
図1及び
図2に示すように、不渡し検知センサ82は、第一搬送経路R1の上方に配置されており、第一ガイド部60における下側ガイド板62の前端と搬送ローラ部30の挟持箇所との間の区間に印刷用紙Pが存在するか否かを検知している。
この不渡し検知センサ82としては、例えばレーザセンサを採用している。即ち、不渡し検知センサ82は、上記区間に印刷用紙Pが存在する際にはレーザが遮断されることによりオン信号を出力する一方、該区間に印刷用紙Pが存在しない際には、レーザが遮断されないことによりオフ信号を出力するようになっている。
【0045】
なお、例えば不渡し検知センサ82として、第一搬送路R1の上方に配置された発光器と第一搬送路R1の下方に配置された受光器とを設けた構成を採用してもよい。この場合、不渡し検知センサ82は、発光器からの光を受光器が受光することで、オフ信号を出力する一方、発光器からの光を受光器が受光不可となることによりオン信号を出力する。
【0046】
図3に示すように、制御装置90は、印刷処理部91、搬送ローラ駆動部92、切断駆動部93及び搬送方向D0切替駆動部94と接続されており、これらを制御可能に構成されている。即ち、この制御装置90は、発行指令、回収指令及び不渡し検知センサ82からの入力に基づいてこれら印刷処理部91、搬送ローラ駆動部92、切断駆動部93及び搬送方向D0切替駆動部94を制御するように構成されている。
【0047】
印刷処理部91は、制御装置90からの信号に基づいて、印刷部20に印字ヘッド21による印刷部20への印刷及びプラテンローラ22による印刷用紙Pの送り出しを行わせる。
また、搬送ローラ駆動部92は、制御装置90からの信号に基づいて該搬送ローラ部30の正逆回転駆動させる。特に、本実施形態の搬送ローラ駆動部92は、駆動ローラ31の正逆回転駆動を制御している。
【0048】
さらに、切断駆動部93は、切断部40の駆動を制御しており、制御装置90からの信号に基づいて所定のタイミングで切断部40を駆動させる。切断部40はこの駆動によって印刷用紙Pを切断する。
また、搬送方向D0切替駆動部94は、制御装置90からの信号に基づいて、従動ローラ32を第一位置と第二位置との間で移動させるべく、搬送方向切替部35の駆動軸36を正逆回転を制御する。
【0049】
次に、上記構成の印刷物発行装置100による領収書(印刷済みの印刷用紙P)の発行動作について説明する。なお、初期状態として、搬送ローラ部30の従動ローラ32は第一位置に位置しており、該搬送ローラ部30の搬送方向D0は第一方向D1に一致しているものとする。
まず、利用者が図示しない領収書発行ボタンを押すと、これに基づいて領収書の発行指令が制御装置90に入力される。すると、制御装置90は印刷処理部91に対して信号を出力し、この指令に基づいて印刷処理部91が印刷部20を駆動する。これにより、印刷部20は、印刷用紙Pに対して印字ヘッド21による印刷を施しながら、プラテンローラ22を駆動させることにより印刷用紙Pを送り出す。また、制御装置90は搬送ローラ駆動部92に信号を出力し、これによって該搬送ローラ部30が正回転させられる。
【0050】
このように印刷部20から送り出された印刷用紙Pは、第一ガイド部60に案内されながら第一搬送経路R1に沿って進行する。このように第一搬送経路R1上を進行する印刷用紙Pの前端が、搬送ローラ部30による挟持箇所の手前における不渡し検知センサ82の検知位置に到達すると、不渡し検知センサ82がオンとなる。その後、印刷用紙Pは、正回転する搬送ローラ部30に挟持されることで第二搬送経路R2に沿って第一方向D1に送り出される。そして、このように第一方向D1に送り出された印刷用紙Pは、第二ガイド部70によって案内されることで第三搬送経路R3に沿って進行する。この際、印刷用紙Pの前端が抜き取り検知センサ81の検知位置に到達することで該抜き取り検知センサ81がオンとなる。
【0051】
また、制御装置90は、所定のタイミングで切断駆動部93に信号を送出し、これによって該切断駆動部93がカッターを駆動させ、印刷用紙Pを所定の寸法に切断する。このように所定の寸法とされた印刷用紙Pが、シャッター部50により開放状態とされた排出口95に到達することで領収書の発行が完了し、該排出口95から利用者が領収書を受け取り可能となる。
なお、この際、印刷用紙Pは、搬送ローラ部30により挟持された状態で該搬送ローラ部30により不渡し検知センサ82の検知位置から外れない位置まで送り出されることが好ましい。これによって、印刷用紙Pは搬送ローラ部30により保持されるため、例えば印刷用紙Pの自然落下や風等による紛失を回避することができる。
【0052】
ここで、上記のように領収書を発行した際であっても、利用者が領収書を受け取らずに去ってしまう場合もあり得る。このような場合には、印刷物発行装置100が回収動作を行うことで領収書を回収する。以下、この回収動作について
図4に示すフローチャートを参照して説明する。
【0053】
回収動作は、回収指令が制御装置90に入力されることで開始される(ステップS1)。この回収指令は、例えば図示しない回収ボタンを押下することで制御装置90に入力される。
また、この他、例えば印刷用紙Pが第三搬送経路R3に残存することで抜き取り検知センサ81のオン状態が継続され、かつ、例えば印刷物発行装置100外部に設けられた車両発進検知器により利用者が搭乗する車両が発進したことを条件として、回収指令が制御装置90に入力される構成であってもよい。
さらに、抜き取り検知センサ81のオン状態の継続時間が、所定時間を超えた際に回収指令が制御装置90に入力される構成であってもよい。
【0054】
続いて回収指令の入力に基づいて制御装置90が搬送ローラ駆動部92に信号を送り、これに基づいて搬送ローラ駆動部92が搬送ローラ部30を正回転させる(ステップS2)。これによって、印刷用紙Pは搬送ローラ部30から第一方向D1へと向かって、即ち、下流側へと向かって排出口95へと送り出される。
【0055】
そして、このように印刷用紙Pが送り出された結果、
図5に示すように、印刷用紙Pの後端が不渡し検知センサ82の検知位置に到達して該印刷用紙Pが不渡し検知センサ82の検出位置から外れると、即ち、切断部40の切断により形成された印刷用紙Pの後端が不渡し検知センサ82の検出位置よりも下流側に到達すると、該不渡し検知センサ82がオフとなる。これによって不渡し検知センサ82から制御装置90にオフ信号が入力される(ステップS3)。
【0056】
すると、制御装置90は、不渡し検知センサ82からのオフ信号に基づいて搬送方向D0切替駆動部94に信号を送出し、該信号に基づいて搬送方向D0切替駆動部94は、従動ローラ32が第一位置から第二位置となるように搬送方向切替部35を駆動させる(ステップS4)。これによって、
図6に示すように、従動ローラ32が第二位置に移動すると、搬送ローラ部30の搬送方向D0が第二方向D2に一致し、即ち、搬送ローラ部30の搬送方向D0が第一方向D1から第二方向D2に切り替えられる。また、このような従動ローラ32の移動に追従するようにして、駆動ローラ31が従動ローラ32の移動方向に回転する。
【0057】
続いて制御装置90は、搬送ローラ駆動部92に信号を送出し、該信号に基づいて搬送ローラ部30は逆回転させられる(ステップS5)。すると、印刷用紙Pは、
図6に示すように、搬送ローラ部30から第二方向D2後方側へと向かって、即ち、下方へと向かって送り出される。これによって、印刷用紙Pが回収部55に導かれて、該回収部55に印刷用紙Pが収容されて、印刷物発行装置100による領収書の回収動作が完了する。
【0058】
以上のような印刷物発行装置100によれば、搬送方向切替部35によって搬送ローラ部30の搬送方向D0を第一方向D1と第二方向D2とで切り替えることができる。これにより印刷用紙Pを排出口95に導く際、即ち、発行する際と、印刷用紙Pを回収部55に導く際、即ち、回収する際との送り出し方向を互いに異なるものとすることができる。
これによって、例えば回収時の印刷用紙Pが誤って第一搬送経路R1等の他の経路に導かれてしまうことを回避することができ、紙詰まり等の不具合を回避することができる。したがって、回収時の印刷用紙Pによって発行動作が妨げられることはないため、安定的な発行動作を行うことが可能となる。
【0059】
ここで、実施形態においては、第二方向D2を鉛直上向き方向としたが該第二方向D2は第一方向D1と交差する限りいかなる方向としてもよい。したがって、回収部55を搬送ローラ部30の第二方向D2の後方側に設置さえすれば印刷用紙Pを回収することができる。
また、回収動作時における搬送ローラ部30の回転方向を正回転すれば、該搬送ローラの第二方向D2の前方側に回収部55を設置することができる。
これにより、回収部55の設置箇所の自由度を向上させることができるため、印刷物発行装置100全体としての設計の自由度の向上を図ることが可能となる。
【0060】
また、搬送方向切替部35は、駆動ローラ31及び従動ローラ32のうち従動ローラ32を駆動ローラ31の周方向に移動させる構成としたため、搬送ローラ部30の搬送方向D0を第一方向D1に一致する状態と第二方向D2に一致する状態とで搬送方向D0を確実に切り替えることができる。さらに、従動ローラ32及び駆動ローラ31の両方を移動させる場合に比べて簡易な構成でもって搬送ローラ部30を第一位置と第二位置との間で移動させることができる。
【0061】
また、搬送方向切替部35による従動ローラ32の移動に伴って、駆動ローラ31が従動ローラ32の移動方向に回転する構成としたため、該印刷用紙Pを駆動ローラ31及び従動ローラ32で確実に挟持しながら搬送ローラ部30による搬送方向D0を変化させることができる。
【0062】
さらに、搬送方向切替部35は、駆動軸36及び連結部37によりなる構成としたため、駆動軸36の回転駆動を連結部37が従動ローラ32に伝達することにより、該従動ローラ32を第一位置と第二位置との間で確実に移動させることができる。
【0063】
次に、本発明の第二実施形態について
図7及び
図8を参照して説明する。この第二実施形態については第一実施形態と同様の構成要素については同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0064】
第二実施形態の印刷物発行装置101は、搬送方向切替部35による従動ローラ32の移動に伴って第一ガイド部60(ガイド部)が移動する点で第一実施形態と相違する。
即ち、
図7及び
図8に示すように、第二実施形態の第一ガイド部60は、その前端(下流側の端部)が従動ローラ32の連結部37に一体に固定されている。これによって、搬送方向切替部35における駆動軸36の回転駆動に伴って連結部37が旋回すると、第一ガイド部60も連結部37と一体に移動する。即ち、該連結部37に固定された従動ローラ32と一体として第一ガイド部60も移動する。
【0065】
したがって、印刷用紙Pの回収動作時において、搬送方向切替部35が従動ローラ32を第一位置から第二位置に移動させると、これに連動して第一ガイド部60が従動ローラ32の移動方向に移動する。これによって
図8に示すように、第一ガイド部60による印刷用紙Pの案内方向は第一搬送路に対して傾斜する方向となる。よって、この状態において搬送ローラ部30が逆回転した際には、印刷用紙Pが第二方向D2後方側に向かって送り出された後、第一ガイド部60によって案内されることになる。その結果、搬送ローラ部30の第二方向D2後方側、かつ、第一ガイド部60による当該印刷用紙Pの案内方向側に位置する回収部55に、印刷用紙Pを導くことができる。
【0066】
以上のように第二実施形態の印刷物発行装置101によれば、発行動作時には、第一ガイド部60によって印刷部20から送り出される印刷用紙Pを搬送ローラ部30に確実に導くことができる一方、回収動作時には該第一ガイド部60により印刷用紙Pを回収部55へと確実に導くことができる。したがって、発行動作及び回収動作を安定的に行うことが可能となる。
【0067】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、実施形態では、搬送ローラ部30の一対のローラのうち、一方を従動ローラ32とするとともに他方を駆動ローラ31としたが、これら一対のローラの両方を自立駆動可動な構成としてもよい。
【0068】
また、搬送方向切替部35は、従動ローラ32のみを移動させることで搬送ローラ部30の搬送方向D0を切り替える構成としたが、これに代えて、駆動ローラ31及び従動ローラ32の両方を移動させることによって、即ち、搬送ローラ部30全体を移動させることによって該搬送ローラ部30の搬送方向D0を切り替える構成であってもよい。
【0069】
また、実施形態では、搬送方向D0が第二方向D2に一致する搬送ローラ部30の第二方向D2後方側に回収部55を配置したが、第二方向D2前方側に回収部55を配置してもよい。この場合、搬送ローラ部30を正回転させて印刷用紙Pを第二方向D2前方側に送り出すことで、印刷用紙Pを回収部55に導入する。これによっても、実施形態同様、印刷用紙Pを円滑に回収することができる。