【実施例】
【0014】
以下、図面と共に本発明による磁気スタンドの好適な実施の形態について説明する。
図1から
図3において符号1で示されるものは周知の熱伝導性の高い金属、例えば、アルミニウム、銅、鉄、チタン、ニッケル、またはこれらの合金等の何れかからなる基台であり、この基台1の上板部20には、所定間隔でかつ直線状に並設された複数の保持孔6が形成されている。
【0015】
前記基台1の前記上板部20と下板部21との間には正面側が開放された窪み部からなる凹形部22が形成され、この凹形部22の背面22aには前記各保持孔6に対応して断面半円状をなす溝2が各々形成されている。
前記各溝2の底部には前記下板部21が位置し、前記保持孔6と溝2は互いに連通し、かつ、前記下板部21の上面50が凹形部22及び溝2の底部となる。
【0016】
前記上板部20には、その保持孔6及び凹形部22に挿入され溶液が内蔵された容器11が設置され、この容器11の軸方向23に対して直交する方向の孔方向24に沿ってプランジャ用孔25が形成されている。
前記プランジャ用孔25内に挿入又は螺入されたプランジャ12は前記軸方向23に対しても直交する方向に配設され、このプランジャ12の先端12aは前記容器11の側部を付勢した状態で当接され、容器11の保持孔6内における位置決めがなされるように構成されている。
【0017】
前記基台1の前記凹形部22の背面22aの各溝2の裏側には、前記プランジャ用孔25の下方でかつ孔方向24と非平行な方向に磁石手段用孔26が形成され、この磁石手段用孔26内には棒状をなすと共に長手方向Aに沿って長手状の磁気手段4が挿入されて配設されている。
尚、前記磁石手段用孔26が基台1の水平面に対して傾斜しているため、この磁石手段用孔26に挿入された磁気手段3Aの磁石先端部3Aaは前記容器11の下部のテーパ部31に接触して密着している。
前記容器11の下部すなわち先端11aは、前記下板部21の上面50に形成された位置決め用凹部51に入り込む状態で位置決めされている。
【0018】
前記凹形部22の背面22aに形成された前記各溝2の内面2aは前記磁気手段用孔26と連通しており、前記溝2の内面2aは、
図3の断面図で示されるように、前記テーパ部31と同様に互いに一致するようにテーパ状に形成されている。
【0019】
従って、前述の磁気スタンド30において、各保持孔6の中に先端部にテーパ部31を有する容器11を挿入すると、この容器11の先端11aが前記下板部21の位置決め用凹部51上に当接して位置決めされ、前記プランジャ12を前進させることによって前記容器11の側部は保持孔6内で一側に付勢され、所定位置に鉛直状に固定される。
【0020】
前述の容器11の固定状態において、この容器11のテーパ部31と磁気手段3Aの磁石先端部3Aaが密着しているため、容器11内の溶液中の磁性微粒子は前記磁気手段4の磁力によって磁気手段4側に引き寄せられ、磁性微粒子の分離が容易となる。
【0021】
前記磁気手段4は、例えば、ネオジウム等の超強力磁石からなる永久磁石又は電磁石からなり、磁力を発生する構成であれば何れの形式も採用することができる。
尚、磁石は多極着磁された磁石でも良く、磁石は外周を鉄などの磁性金属でできたキャップで覆い、磁石の面を容器に向けて埋め込んだ構造でも良く、磁石の着磁方向の長さは、着磁面の直径または一辺の長さと同じ以上の長さが良く、2倍以上の長さがより良い。
磁気手段3Aは磁性微粒子を早く集めるために最も強いネオジム磁石が好ましい。
磁気手段3Aは多極着磁された磁石とすることで、容器内に大きな磁場勾配を発生させることができるので、磁性微粒子を早く集めることができる。
磁気手段3Aは鉄などの磁性金属でできたキャップで覆うことで、容器11内に大きな磁場勾配を発生させることができるので、磁性微粒子を早く集めることができる。
磁気手段3Aは着磁方向に長くするにつれて発生する磁場が強くなり、着磁面の直径又は一辺の長さに対して2倍より長い場合は磁性微粒子の集まる早さの違いは殆んどなくなる。
【0022】
また、前記プランジャ12の代りに保持孔6の上部周囲にゴムの材質で形成されたリングを備えた構造でも良い。
前記保持孔6の上部周囲にゴムの材質で形成されたリングを備えることによって、保持孔6に挿入した容器11が保持される。
【0023】
また、前記容器11の形状に合わせた溝2とすることで、容器11と金属が密着するので、氷上に磁気スタンドを置いた際に容器11内の溶液を良く冷却することができる。
容器内の溶液を冷やせるようにするために、基台1の材質は高い熱伝導率を有する金属が良く、金属の中で熱伝導率が高いアルミニウムや銅、又はこれらの合金が特に好ましい。
【0024】
次に、本発明による磁気スタンド30の実施例について述べる。前記基台1をアルミニウム合金とし、磁石手段3Aを着磁面の直径に対して2.4倍の長さの単極の磁石とした場合、氷上に磁気スタンド30を置いて容器11内の水の温度を測定したところ、10分で2℃まで冷却できた。
比較として市販品の樹脂製で容器と溝の間に隙間がある磁気スタンドで測定をしたところ、1時間経過しても10℃以下にはならなかった。
また、この二つの磁気スタンド30で磁性微粒子の回収される速度を調べたところ、本発明の
図1〜
図3の磁気スタンド30の方が市販品のものよりも1.5倍早く回収できた。
【0025】
前述の磁気スタンド30についてその要旨とするところは、次の通りである。
すなわち、容器11を挿入するための複数の保持孔6を有すると共に金属よりなる基台1と、前記基台1に設けられ前記容器11の下部に対応して位置し永久磁石又は電磁石から成る磁気手段3Aと、前記基台1の下部に設けられ前記容器11の下部を位置決めするための位置決め用凹部51と、前記基台1に設けられ前記磁気手段3Aの上段に位置するプランジャ用孔25と、前記プランジャ用孔25内に設けられ前記容器11の側部を付勢するためのプランジャ12とよりなり、前記磁気手段3Aの磁石先端部3Aaが前記容器11のテーパ部31に密着し、前記磁気手段3Aは長手方向に着磁されている構成である。