(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第一の包装部材と第二の包装部材と間に物品が収容され、第一の包装部材との間の接着力が小さく第二の包装部材との間の接着力が大きいイージーピールシーラント層を介して、両包装部材同士が剥離可能にヒートシールされている包装体であって、
イージーピールシーラント層と第二の包装部材との間に物品の縁部が挟み込まれており、開封時にイージーピールシーラント層の一部が他の部分から分離して物品の縁部を第二の包装部材に保持するための保持部となることを特徴とする包装体。
前記イージーピールシーラント層の一部のうち外側領域は第二の包装部材に直接ヒートシールされ、該外側領域よりも内側に位置する内側領域と第二の包装部材との間に物品の縁部が挟み込まれて該内側領域が前記保持部となる請求項1記載の包装体。
第一の包装部材は、片面側の表層がイージーピールシーラント層であるシートから収容凹部とフランジ部とを有する形状に形成された容器本体であり、第二の包装部材は容器本体の収容凹部を閉塞すべくフランジ部にヒートシールされた蓋であり、容器本体のフランジ部におけるイージーピールシーラント層には切離線が形成され、物品の縁部の少なくとも一部が切離線よりも外側に位置するようにして容器本体のフランジ部と蓋との間に挟み込まれており、開封時に切離線よりも外側に位置するイージーピールシーラント層の領域が切離線よりも内側に位置するイージーピールシーラント層の領域から分離して蓋と共に容器本体から分離する請求項1乃至3の何れかに記載の包装体。
フランジ部には蓋よりも外側に突出した延長部が形成され、該延長部は、基材の切離部によって切離される基材の一部に含まれている請求項5乃至8の何れかに記載の包装体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえに本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされ、簡単な構造でありながらも、収容した物品を開封時に一方の包装部材と共に確実に取り出すことができる包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであって、本発明に係る包装体は、第一の包装部材と第二の包装部材と間に物品が収容され、第一の包装部材との間の接着力が小さく第二の包装部材との間の接着力が大きいイージーピールシーラント層を介して、両包装部材同士が剥離可能にヒートシールされている包装体であって、イージーピールシーラント層と第二の包装部材との間に物品の縁部が挟み込まれており、開封時にイージーピールシーラント層の一部が他の部分から分離して物品の縁部を第二の包装部材に保持するための保持部となることを特徴とする。
【0007】
該構成の包装体にあっては、開封時にイージーピールシーラント層の一部がイージーピールシーラント層の他の部分から分離し、イージーピールシーラント層の一部は第二の包装部材側に位置し、イージーピールシーラント層の他の部分は第一の包装部材側に位置する。そして、イージーピールシーラント層の一部が保持部となって物品の縁部を保持するので、物品が第二の包装部材と共に第一の包装部材から離れる。尚、開封時には、第一の包装部材から第二の包装部材を完全に分離しても、逆に完全には分離しなくてもよい。
【0008】
特に、前記イージーピールシーラント層の一部のうち外側領域は第二の包装部材に直接ヒートシールされ、該外側領域よりも内側に位置する内側領域と第二の包装部材との間に物品の縁部が挟み込まれて該内側領域が前記保持部となることが好ましい。該構成によれば、包装体の密封状態と物品の保持とを容易に両立することができる。
【0009】
更に、保持部が物品の周縁部の全周に亘って設けられることが好ましい。保持部が物品の周縁部を周方向に間隔を置きながら複数箇所で保持する構成とすることもできるが、保持部が物品の周縁部の全周に亘って設けられていれば物品をより一層確実に保持することができ、第一の包装部材や第二の包装部材に対する物品の位置のばらつきの許容範囲も拡大する。
【0010】
また、第一の包装部材は、片面側の表層がイージーピールシーラント層であるシートから収容凹部とフランジ部とを有する形状に形成された容器本体であり、第二の包装部材は容器本体の収容凹部を閉塞すべくフランジ部にヒートシールされた蓋であり、容器本体のフランジ部におけるイージーピールシーラント層には切離線が形成され、物品の縁部の少なくとも一部が切離線よりも外側に位置するようにして容器本体のフランジ部と蓋との間に挟み込まれており、開封時に切離線よりも外側に位置するイージーピールシーラント層の領域が切離線よりも内側に位置するイージーピールシーラント層の領域から分離して蓋と共に容器本体から分離することが好ましい。例えば製造工程においてイージーピールシーラント層として別途の環状(円形には限らない)のイージーピールフィルムを容器本体のフランジ部と蓋との間に位置させるということも可能であるが、容器本体をイージーピールシーラント層を有するシートから構成することにより、イージーピールフィルムを別途セットする工程が不要になり、包装体の製造が容易になる。また、容器本体のフランジ部と蓋との間に物品の縁部を挟み込むので、容器本体のフランジ部に蓋を容易且つ確実にヒートシールすることができる。そして、切離線よりも外側に位置するイージーピールシーラント層の領域が開封時に容器本体から分離するので、そのイージーピールシーラント層の領域で物品を蓋に容易に保持させることができる。
【0011】
その場合、特に、フランジ部におけるシートの基材には、該基材の一部を基材の他の部分から切離するための切離線が形成されていることが好ましい。この場合、開封時に基材の切離線によって基材の一部が基材の他の部分から切離され、切り離された基材の一部は蓋と共に容器本体から離れることになる。該切り離される基材の一部は蓋の補強となるので、開封作業が容易になると共に開封後においても蓋を容易に持つことができる。
【0012】
更に、前記基材の一部が蓋と共に物品の縁部を挟み込むように基材の切離線が形成されていることが好ましい。蓋を上側とし容器本体を下側としたとき、物品の縁部の下側に基材の切離線が位置し、切り離される基材の一部と物品の縁部とが上下に重なり合った部分を有することになる。このような位置に基材の切離線を形成すると、イージーピールシーラント層の切離線よりも外側の領域が物品の縁部を下側から支えるように保持すると共に、更に基材の一部も物品の縁部を下側から支えることになり、物品をより一層安定して保持することができる。
【0013】
また更に、基材の切離線がイージーピールシーラント層の切離線よりも外側に位置していることが好ましい。基材の切離線をイージーピールシーラント層の切離線と同じ位置に形成すると、開封前に両切離線によってフランジ部がその位置で切断されやすくなる。従って、基材の切離線はイージーピールシーラント層の切離線と一致させるのではなく内側あるいは外側に位置ずれさせることが好ましい。また、基材の切離線とイージーピールシーラント層の切離線とが互いに内外異なる位置に形成されていることにより、収容凹部の密封性が確保される。そして、基材の切離線がイージーピールシーラント層の切離線よりも外側に位置すると、基材の切離線がイージーピールシーラント層の切離線よりも内側に位置する場合に比して開封作業をスムーズに行うことができる。
【0014】
また、イージーピールシーラント層の切離線と基材の切離線が共にフランジ部の全周に亘って形成されていることが好ましい。イージーピールシーラント層の切離線がフランジ部の全周に亘って形成されていると、イージーピールシーラント層の一部から構成される保持部が環状となって物品の縁部を確実に保持することができる。そして、基材の切離線もフランジ部の全周に亘って形成されていると、開封によって切り離される基材の一部も環状となり、容器本体から分離された蓋が環状の基材によって効果的に補強されて安定する。尚、環状には円形のみならず楕円形や矩形等の多角形も含まれる。
【0015】
また、フランジ部には蓋よりも外側に突出した延長部が形成され、該延長部は、基材の切離部によって切離される基材の一部に含まれていることが好ましい。該構成によれば、延長部が蓋よりも外側に突出しているので、開封後においてその延長部を摘んだり把持したりすることで容易に蓋を持つことができる。
【0016】
また一方、前記物品を、収容凹部を区画する仕切りとすることができる。この場合、開封前には仕切りによって収容凹部を複数の部屋に区画しておくことができ、例えば、各部屋毎に異なる内容物を収容しておくことができる。そして、開封時に蓋と共に仕切りを外すことができる。即ち、仕切りによって区画されていた複数の部屋が開封動作によって自動的に一つになる。例えば、各部屋毎に異なる内容物を収容しておいた場合には、開封動作によって仕切りが外れることで各部屋の内容物を容易に混ぜ合わせることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明は、開封時に分離するイージーピールシーラント層の一部を利用して物品を第二の包装部材に保持することができるので、簡単な構造で確実に物品を第二の包装部材と共に第一の包装部材から分離することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係る包装体について
図1〜
図4を参酌しつつ説明する。本実施形態における包装体は、第一の包装部材としての容器本体1と、第二の包装部材としての蓋2とを備え、容器本体1と蓋2との間に被包装物としての消毒綿50が収容されている。
【0020】
容器本体1は、上面開口の浅い有底筒状のものであって、上面に開口した収容凹部10と、該収容凹部10の開口縁部に形成されたフランジ部11とを備えている。具体的には、容器本体1は底部3と該底部3の周縁から上方に立ち上がった側壁部4とを備え、該底部3と側壁部4とからその内側に収容凹部10が形成され、側壁部4の上端に外側に向けてフランジ部11が突設されている。収容凹部10は消毒綿50が収容可能なサイズ、形状に形成されており、例えば平面視円形である。フランジ部11は全周に亘って形成されて、その上面は所定幅の平坦面となっている。
【0021】
かかる容器本体1は、多層シートから絞り加工やシート成型等により形成されたものである。多層シートは、その片面の表層が剥離層、即ち、イージーピールシーラント層12であって、そのイージーピールシーラント層12が容器本体1の内面(上面)となる。尚、フランジ部11に位置するイージーピールシーラント層12には切離線14(ノッチ)が全周に亘って形成されていて、該切離線14を境界としてイージーピールシーラント層12が内外二つの領域に分離できるようになっている。イージーピールシーラント層12のうち切離線14よりも外側に位置する領域は開封によって蓋2と共に容器本体1から分離する分離部30であり、イージーピールシーラント層12のうち切離線14よりも内側に位置する領域は開封後も容器本体1に残る残存部31である。従って、切離線14は、イージーピールシーラント層12を分断できる構造のものであればよく、必ずしも厚みの全体に亘って切り込まれている構造でなくてもよい。また、全周に亘って線状に切離線14が形成されているものの他、ミシン目状に全周に亘って形成されていてもよい。尚、イージーピールシーラント層12としては種々の材質を採用できるが、例えば、ポリエチレン系樹脂からなる。
【0022】
また、多層シートの基材13は、種々の単層構造や多層構造とすることができるが、特に、ポリプロピレン系樹脂層を採用することが保形性や強度上好ましい。また、多層シートの基材13がガスバリアー性を持つことが好ましく、そのため基材13を構成する層にはエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)やアルミ箔が使用されていることが好ましい。従って、多層シートの基材13は、これらのポリプロピレン系樹脂層とガスバリアー性を有する層とを備えていることが好ましい。尚、ガスバリアー性を有する層は内外二つのポリプロピレン系樹脂層の間に位置することが好ましい。
【0023】
かかる容器本体1のフランジ部11の上面に蓋2の内面(下面)が剥離可能にヒートシールされている。即ち、蓋2は、容器本体1のイージーピールシーラント層12にヒートシールされている。蓋2は、柔軟性を有する厚さ数十μm程度の多層の合成樹脂製のシートから形成されている。蓋2を構成する多層シートは、基材と、内面を構成するシーラント層とから構成される。基材は、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)等のポリエステルから構成される主層と、ガスバリアー性を有する層とを備えていることが好ましい。ガスバリアー性を有する層(例えばアルミ箔)は内外二つの主層の間に位置していることが好ましく、表側に位置する主層の内面には例えば印刷が施される。シーラント層は、例えばポリエチレン系樹脂からなる。
【0024】
このような容器本体1と蓋2との間に消毒綿50が挟み込まれるようにして収容されている。具体的には、消毒綿50は、中央部が厚く周縁部50aが薄くなっており、その周縁部50aが全周に亘って容器本体1のフランジ部11の上面に位置している。より詳細には、消毒綿50の周縁部50aは、イージーピールシーラント層12の切離線14よりも外側(側方)に所定領域はみ出すようにして載置されている。但し、消毒綿50の周縁部50aはフランジ部11の外縁までは達しておらず、消毒綿50の周縁部50aとフランジ部11の外縁との間において、フランジ部11におけるイージーピールシーラント層12が蓋2の内面に直接環状にヒートシールされて密封されている。また、消毒綿50の中央部の厚さは、容器本体1の収容凹部10の底まで達する程度であり、容器本体1と蓋2との間に収容されることで僅かに圧縮されてもよいし、収容凹部10の底との間に若干の隙間ができてもよい。消毒綿50には主としてその中央部に消毒液がしみ込んでいる。尚、消毒綿50は、綿や麻等の植物繊維やウールやシルク等の動物繊維のような天然繊維、ポリエステルやナイロン等の合成繊維が使用でき、天然繊維と合成繊維を混合したものであってもよい。また、消毒綿50がガーゼ等の被覆体で被覆されていてもよい。ガーゼ等の被覆体で被覆された消毒綿50を使用する場合には、その被覆体をフランジ部11の上に載せて蓋2で挟み込むようにしてもよい。
【0025】
以上のような構成の包装体は、例えば以下のようにして製造される。
図3のように容器本体1に所定量の消毒液51を入れる。この消毒液51は、容器本体1に入れておく他、容器本体1には入れずに消毒綿50に直接含浸させるようにしてもよい。次に、同図のように、消毒綿50を容器本体1に入れるが、その際、消毒綿50の周縁部50aがイージーピールシーラント層12の切離線14よりも外側にはみ出すようにする。消毒綿50の周縁部50aが全周に亘ってイージーピールシーラント層12の切離線14よりも外側にはみ出すことが好ましいが、切離線14よりも外側にはみ出さない箇所が全周のうち部分的に存在していてもよい。そして、
図4のように消毒綿50の全体を覆うように蓋2を被せて蓋2と容器本体1のフランジ部11とをヒートシールして接着固定する。ヒートシールは例えば上下のシール板で挟み込むようにして行うが、その際、フランジ部11の略全幅、少なくとも切離線14より外側全体を挟み込むようにする。従って、蓋2と容器本体1のイージーピールシーラント層12とは外側においては環状に直接ヒートシールされて密封されると共に内側においては消毒綿50の周縁部50aが蓋2とイージーピールシーラント層12とで狭持されることになる。この消毒綿50の周縁部50aが挟み込まれた箇所においては蓋2とイージーピールシーラント層12とは直接ヒートシールされることはないが、ヒートシールの際の押圧力によって消毒綿50の周縁部50aは確実に蓋2とイージーピールシーラント層12との間に挟み込まれることとなる。
【0026】
このようにして製造された包装体は、蓋2の周縁部を摘むようにして開封する。蓋2を容器本体1のフランジ部11から剥離していくと、イージーピールシーラント層12は切離線14で内外二つの領域に分断する。即ち、イージーピールシーラント層12は、蓋2との間の接着力が大きく容器本体1の基材13との間の接着力が小さいので、切離線14よりも外側に位置するイージーピールシーラント層12の領域は、
図2のように容器本体1の基材13から剥離して蓋2と共に容器本体1から離脱する。蓋2に固着した状態で容器本体1から離脱したイージーピールシーラント層12の領域である分離部30は、外側領域30aと内側領域30bとを有している。外側領域30aと内側領域30bは何れも環状である。外側領域30aは、蓋2の内面に直接ヒートシールされた領域であり、内側領域30bは、蓋2の内面に直接ヒートシールされておらず蓋2の内面との間に消毒綿50の周縁部50aが挟み込まれている領域である。即ち、イージーピールシーラント層12の分離部30の内側領域30bは、消毒綿50の周縁部50aを下側から支えるようにして係止しており、該内側領域30bは消毒綿50の周縁部50aを蓋2に保持するための保持部として機能する。従って、蓋2を容器本体1から剥離するという一つの動作によって、消毒綿50を容器本体1の収容凹部10から自動的に取り出すことができる。消毒綿50はイージーピールシーラント層12からなる保持部によって蓋2の内面側に保持された状態となっているので、使用者は、容器本体1から剥離した蓋2を持ったまま消毒綿50を患部等に当てて消毒することができる。
【0027】
このように、本実施形態の包装体にあっては、消毒綿50をイージーピールシーラント層12からなる保持部で蓋2に保持する構成であるので、構造が簡単であって別途の保持手段も不要であり、製造も容易である。特に、容器本体1を構成する多層シートがイージーピールシーラント層12を備えているので、製造工程においてイージーピールシーラント層12を構成するために別途のフィルムを積層する必要もない。また、消毒綿50を蓋2の内面に固定するために接着剤を使用する必要がないので、接着剤の使用による影響を考慮する必要もない。
【0028】
尚、容器本体1から剥離したイージーピールシーラント層12の分離部30のうち保持部となる内側領域30bは、消毒綿50とは一般的には接着されないが、例えば消毒綿50の繊維の間にイージーピールシーラント層12が溶融して入り込むなどして擬似的にヒートシールされていてもよく、また、消毒綿50の周縁部50aが合成繊維である場合にはイージーピールシーラント層12とヒートシール可能である。このように、消毒綿50の周縁部50aがイージーピールシーラント層12に擬似的にあるいは所定の接着力を有するようにヒートシールされていれば、消毒綿50の周縁部50aがより一層確実に蓋2に保持されることになる。但し、消毒綿50の周縁部50aがイージーピールシーラント層12にヒートシールされていなくても構わない。ヒートシールされていなくても、容器本体1から剥離したイージーピールシーラント層12の分離部30のうち保持部となる内側領域30bが消毒綿50の周縁部50aを係止するようにして蓋2に保持する。
【0029】
尚、被包装物としては上述のような消毒綿50の他に種々のものがあり、複数の被包装物を収容する場合にも適用可能である。例えば、主内容物60に対して付属的な物品である付属物61を被包装物として蓋2に保持するようにしてもよい。その一例を
図5に示しているが、付属物61は包装袋62に包装され、該包装袋62の周縁部62aが蓋2と容器本体1のフランジ部11との間に狭持されている。収容凹部10内において主内容物60は付属物61と接触していてもよいが、接触させないようにしてもよい。開封すると、主内容物60はそのまま容器本体1の収容凹部10に残り、付属物61は蓋2と共に容器本体1から離れる。付属物61としては、例えば、乾燥剤や保護材、バリア材等のように保存時は必要であるが使用時には必要でないもの、あるいは、調味料やドレッシング等のように開封後に主内容物60に対して付随して必要となるもの、あるいは、お漬け物やサラダ、溶けやすい食材等のように、主内容物60を加熱する場合においてその加熱時に容器本体1から取り外しておきたいもの、あるいはまた、おまけやおもちゃ等のようなキャンペーン用の物品や販促用の物品、これらを代表的なものとして挙げることができるが、これ以外にも種々のものであってよい。何れにしても、開封の際に主内容物60と分離するものを付属物61として蓋2に保持させることができる。尚、付属物61は包装袋62に包装されているものには限定されず、付属物61の周縁部を容器本体1と蓋2との間に直接挟み込むようにしてもよい。
【0030】
また、フランジ部11におけるシートの基材13に、該基材13の一部を基材13の他の部分から切離するための基材用切離線15を形成してもよい。その一例を
図7〜
図9に示している。上述したものと同様に、容器本体1にはフランジ部11が全周に亘って形成され、該フランジ部11はその一部を除いて蓋2で覆われている。
図7において蓋2は二点鎖線で示している。該蓋2はフランジ部11の全周のうちの大部分において該フランジ部11よりも外側に僅かにはみ出す程度の大きさである。そして、蓋2によって覆われていないフランジ部11の一部は、蓋2よりも外側に突出した延長部16となっている。即ち、フランジ部11の外側への突出量は、延長部16を除いて一定であり、延長部16においてのみ大きくなっている。この蓋2よりも外側に突出した延長部16は、指で把持できる程度に十分な突出量と面積とを有している。また、容器本体1は
図7(a)に示すように平面視において楕円形あるいは長円形であって、その長軸方向の一方に延長部16が形成されている。
【0031】
該フランジ部11に全周に亘ってイージーピールシーラント層12の切離線14と基材用切離線15とがそれぞれ形成されている。
図8に拡大図を示しているように、この実施形態においてはイージーピールシーラント層12の切離線14がフランジ部11の内縁近傍に形成されている。このようにイージーピールシーラント層12の切離線14をフランジ部11の内縁近傍に形成することにより、フランジ部11の上面に載置される被包装物70の周縁部70aの幅を過度に幅広としなくても、被包装物70の周縁部70aをイージーピールシーラント層12の切離線14よりも外側に容易にはみ出させることができる。従って、イージーピールシーラント層12の切離線14よりも外側に位置する分離部30のうちその内側領域30bによって被包装物70の周縁部70aを下側から支えるように保持することができる。
【0032】
そして、イージーピールシーラント層12の切離線14よりも外側の位置であって且つ被包装物70の周縁部70aの下側に重なる位置(被包装物70の周縁部70aの外縁よりも内側の位置)に基材用切離線15が形成されている。該基材用切離線15としては、例えば、ハーフカット線やミシン目、切り込みで一部つながった線等が挙げられる。該基材用切離線15は開封時に切離される。従って、フランジ部11の基材13のうち基材用切離線15よりも外側に位置する領域は開封時に容器本体1から切離され、フランジ部11の基材13のうち基材用切離線15よりも内側に位置する領域は切離されずにそのまま容器本体1に残る。フランジ部11の基材13のうち基材用切離線15よりも外側に位置して開封時に容器本体1から切離される領域を、以下、基材切離部17と称することにする。また、基材用切離線15がイージーピールシーラント層12の切離線14よりも外側に形成されているので、フランジ部11が同じ位置でその厚さの全体に亘って貫通するということがなく、収容された被包装物70を容器外部から遮断できる。尚、基材用切離線15はイージーピールシーラント層12の切離線14よりも0.5mm〜3mm外側に位置することが好ましい。
【0033】
また、このように基材用切離線15が全周に亘って形成されていることから、基材切離部17は環状であって、該基材切離部17に延長部16が存在している。この実施形態では、延長部16を把持して開封することになる。延長部16を把持してフランジ部11を上方に引っ張ると、まず基材用切離線15が切離される。引き続いて基材用切離線15とイージーピールシーラント層12の切離線14との間に位置するイージーピールシーラント層12の部分がフランジ部11の基材13から剥離し、イージーピールシーラント層12の切離線14が切離されてイージーピールシーラント層12が内側の残存部31と外側の分離部30に分かれる。基材用切離線15が被包装物70の周縁部70aの下側にそれと重なり合うように位置しているので、被包装物70の周縁部70aは、イージーピールシーラント層12の分離部30の内側領域30bと基材切離部17とによって下側から支えられ、それらと蓋2とによって被包装物70の周縁部70aが上下に狭持された状態で、被包装物70が容器本体1の収容凹部10から取り出されることになる。
【0034】
容器本体1から剥離された蓋2の内面周縁部にはその全周に亘って基材切離部17が付着しているので、蓋2のみの場合に比して強度が大きい。即ち、基材切離部17によって蓋2が補強されるため、柔軟な蓋2であってもその変形が抑制されることになり、被包装物70が安定する。特に、基材切離部17が環状であるので、蓋2を十分に補強することができる。そして、基材切離部17によって蓋2の変形が抑制されることから、イージーピールシーラント層12の分離部30の内側領域30bによる被包装物70の周縁部70aの保持も安定する。更には、基材切離部17がイージーピールシーラント層12の分離部30の内側領域30bを介して被包装物70の周縁部70aを全周に亘って下側から支えるので、イージーピールシーラント層12の分離部30の内側領域30bのみで被包装物70の周縁部70aを支える場合に比して被包装物70をより一層確実に保持することができる。また、容器本体1から分離された蓋2には延長部16が存在しているので、開封動作に引き続いてその延長部16を把持することにより、その延長部16を把持部として利用することができる。例えば、被包装物70が上述したような消毒綿である場合には開封後にそのまま延長部16を持ちながら直ちに消毒綿を患部等に当てて消毒することができる。このようにフランジ部11に延長部16を設けてそれを把持部として利用することにより、開封作業が容易になるうえに、開封後の被包装物70の取り扱いも容易になる。
【0035】
また、基材用切離線15の態様も種々あって、上述したように環状に形成する以外にも例えば
図10及び
図11のように直線状に形成してもよい。
図10及び
図11に示した実施形態では、基材用切離線15を二箇所形成している。このように基材用切離線15は複数であってもよい。詳細には、フランジ部11は外側への突出量が全周に亘って一定ではなくその一部において突出量が大きい幅広部18を有している。該突出量の大きい幅広部18は先細り形状であって互いに対向して左右一対形成されているが、幅広部18は一箇所であってもよい。蓋2はフランジ部11に対応した形状であってフランジ部11の全体が蓋2によって覆われている。そして、フランジ部11の基材13の一部を幅広部18を含めて略三角形状に切離するように基材用切離線15が左右一対形成されている。両基材用切離線15は互いに平行である。従って、
図11のように、フランジ部11の基材13のうち、両基材用切離線15よりも内側に位置する左右方向中央部が開封後に容器本体1に残り、両基材用切離線15よりも外側に位置する左右方向両端部が基材切離部17となってそれぞれ切離されて蓋2と共に容器本体1から分離する。容器本体1から切離される基材切離部17には、突出量の大きい幅広部18が存在しているので、幅広部18を摘むことで容易に開封することができる。即ち、幅広部18を摘んで基材用切離線15を容易に切断することができると共にイージーピールシーラント層12の分離部30をフランジ部11の基材13から容易に剥離することができる。また、このように基材用切離線15を直線状に形成する場合においてもその少なくとも一部が被包装物70の周縁部70aの下側に重なり合うようにすることが好ましい。具体的には、
図10(a)のように、基材用切離線15の中央部が被包装物70の周縁部70aの下側に重なり合っている。従って、開封すると、左右二つの基材切離部17が互いに対向しつつそれぞれ被包装物70の周縁部70aをイージーピールシーラント層12の分離部30の内側領域30bを介して下側から支える。このように容器本体1から切り離される基材切離部17が蓋2と共に被包装物70の周縁部70aを挟み込むことができるように、基材用切離線15の位置を設定することが好ましい。
【0036】
尚、容器本体1を平面視矩形とした場合においては、フランジ部11の四辺のうち例えば一辺あるいは二辺を突出量の大きい幅広部18としてもよい。何れにしても、フランジ部11に幅広部18を形成する場合には基材切離部17に幅広部18が含まれるようにする。また、幅広部18を形成する場合においては、その幅広部18を含むフランジ部11の全体を蓋2で覆うようにする以外にも、幅広部18の一部が蓋2からはみ出すようにして幅広部18に延長部16を形成してもよい。
【0037】
また、
図12のように被包装物70の周縁部70aよりも外側に基材用切離線15が形成されるようにしてもよい。
図12に示す実施形態では、基材用切離線15がフランジ部11の全周に亘って形成されているのではなく全周のうちの一部のみ、具体的には略半周分だけ形成されている。該基材用切離線15はその周方向の両端においてそれぞれ径方向外側に延設されてフランジ部11の外縁まで達している。従って、基材用切離線15によって容器本体1から切離される基材切離部17は円弧状の部分を有することになる。このように基材切離部17は環状でなくてもよい。この実施形態では、被包装物70の周縁部70aよりも外側に基材用切離線15が形成されているので、被包装物70の周縁部70aを基材切離部17で支えることはできない。しかしながら、基材切離部17が蓋2の周縁部を補強することによって蓋2の変形が抑制されるため、イージーピールシーラント層12の分離部30の内側領域30bも変形しにくくなり、その結果、被包装物70の周縁部70aがイージーピールシーラント層12の分離部30の内側領域30bによって安定して係止されることになる。尚、基材切離部17の一部を構成している延長部16の形状も任意であって、
図12のように、延長部16が指先を入れることができるリング状、いわゆるプルトップ型であってもよい。その他に例えば延長部16を細長い棒状としてもよく、開封後において棒状の延長部16を把持部とすることができる。
【0038】
また一方、被包装物70を蓋2に保持する構成とする以外にも、種々の物品を蓋2に保持させることができる。例えば、
図13及び
図14のように収容凹部10を区画する仕切り80を蓋2に保持して開封時に仕切り80を収容凹部10から取り出す構成としてもよい。仕切り80は、板状の仕切り板とすることができ、紙製やプラスチック製とすることが好ましい。該仕切り80は収容凹部10を第一の部屋10aと第二の部屋10bという二つの部屋に区画する。該仕切り80の上端面には帯状の薄肉部81が形成されている。該薄肉部81は、
図14(b)のように仕切り80の主部82の厚さよりも幅広に形成されていて主部82の両面からそれぞれ側方に鍔状に突出している。また、薄肉部81の長手方向両端部も主部82から所定量長手方向に突出しており、
図13(a)及び
図14(a)のように、その薄肉部81の長手方向両端部における突出部81aがそれぞれ容器本体1のフランジ部11に載置される。尚、
図14には蓋2と仕切り80の薄肉部81を二点鎖線で示している。
図13(a)及び
図14(a)に示しているように、フランジ部11の上面にはイージーピールシーラント層12の切離線14が全周に亘って形成されているが、該イージーピールシーラント層12の切離線14を仕切り80の薄肉部81の両突出部81aが何れも外側に跨いでいる。即ち、イージーピールシーラント層12の切離線14に対して仕切り80の薄肉部81の突出部81aが外側に一部はみ出している。
【0039】
尚、容器本体1の底部3のうち第一の部屋10aに対応した箇所には上げ底部5が形成されており、
図14(b)のように上げ底部5の第二の部屋10b側の側面5aに仕切り80の下部の一方の面が当接している。また、側壁部4の内面のうち上げ底部5に対応した一対の部分は内側にそれぞれ突出しており、該両突出壁部6の第二の部屋10b側の各側面6aに仕切り80の主部82の両側部がそれぞれ当接している。尚、両突出壁部6の上面はフランジ部11の上面と面一であり、薄肉部81は両突出壁部6の上面にも載置される。これによって薄肉部81の載置面積を拡大することができ、薄肉部81を安定して載置できる。また、容器本体1の底部3のうち第二の部屋10bに対応した箇所には、
図14のように位置決め用の凸部7が形成されている。該凸部7は一箇所でもよいが仕切り80の長手方向に間隔をあけて複数箇所形成することが好ましく、具体的には二箇所形成している。該凸部7は、半球状あるいはドーム状であって、その高さは上げ底部5よりも低い。該凸部7に仕切り80の下部の他方の面が当接する。従って、仕切り80は上げ底部5及び両突出壁部6と凸部7とによって主部82の厚さ方向に挟まれるようにして位置決めされる。尚、蓋2の上には更に例えばシート成形により形成された透明のプラスチック製の外蓋(図示省略)を被せることができる。該プラスチック製の外蓋は、例えば容器本体1のフランジ部11に外側から嵌合する構成とすることができる。
【0040】
このように構成された容器本体1の収容凹部10には被包装物としての粒状の内容物を充填することが好ましい。仕切り80で収容凹部10が第一及び第二の部屋10a,10bに区画されているので、各部屋10a,10b毎に異なる種類の内容物を充填することができる。粒状の内容物としては例えば菓子やペットフード、洗剤、入浴剤等が挙げられる。容器本体1の収容凹部10に内容物を充填する場合、まず
図14(a)のように仕切り80を収容凹部10に入れる。そして、第一及び第二の部屋10a,10bにそれぞれ内容物を充填した後、蓋2を容器本体1のフランジ部11にヒートシールする。尚、イージーピールシーラント層12の切離線14よりも外側の領域のみに蓋2がヒートシールされ、切離線14よりも内側の領域には蓋2がヒートシールされないようにシール板を配置する。従って、両突出壁部6の上面には蓋2はヒートシールされない。
【0041】
そして、蓋2には第二の部屋10b側に摘み部2aが形成されているので、その摘み部2aを摘んで容器本体1から蓋2を上方に引き上げるように剥離して開封する。このように蓋2を第二の部屋10b側から開けていくと、イージーピールシーラント層12の分離部30がフランジ部11の基材13から剥離して蓋2と共に容器本体1から分離していく。イージーピールシーラント層12の分離部30と蓋2との間には仕切り80の薄肉部81の両突出部81aが挟み込まれているので、仕切り80の薄肉部81の両突出部81aがイージーピールシーラント層12の分離部30によって係止されて上方に引き上げられ、
図13(b)のように蓋2と共に仕切り80が上方に持ち上げられていく。即ち、蓋2を開封することによって収容凹部10から仕切り80を自動的に抜き出すことができ、蓋2と仕切り80を一つの動作で容器本体1から分離することができる。このように開封動作によって収容凹部10から仕切り80が除去されるので、仕切り80によって区画されていた第一及び第二の部屋10a,10bが開封動作に伴って自動的に一つになる。従って、開封後直ちに各部屋10a,10bの内容物同士を容易に混ぜ合わせることができる。尚、仕切り80を板状ではなく筒状としてもよく、その筒状の仕切り80の内側にも内容物を充填してもよい。また、仕切り80を複数設けてもよい。仕切り80を複数設ける場合にはそれらの全部を蓋2に保持して収容凹部10から取り出すようにしてもよいし、そのうちの一部のみを蓋2と共に取り出すようにしてもよい。このように、蓋2で保持する対象物は被包装物には限られず、収容凹部10に収容されている物品であればよい。
【0042】
尚、イージーピールシーラント層12に設けた切離線14をフランジ部11の全周のうち一部には形成しないようにしてもよく、開封時において蓋2の一部が容器本体1に接着した状態で残る態様であってもよい。
【0043】
更に、上記実施形態では、イージーピールシーラント層12が容器本体1を構成する多層シートに設けられていたが、イージーピールシーラント層12を構成するフィルムを容器本体1を構成するシートとは別体構成とすることもできる。その場合には、イージーピールシーラント層12を構成するフィルムを環状としてフランジ部11の上にセットすることが好ましい。
【0044】
また更に、上記実施形態では、保形性を有する容器本体1と柔軟性を有する蓋2とからなる包装体について説明したが、第一の包装部材と第二の包装部材を共に柔軟性を有するシートから構成するようにしてもよい。